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2012年4月懐かしラジオ52: 【姉御】篠原美也子のANN【110番】 (271) TOP カテ一覧 スレ一覧 2ch元 削除依頼
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【姉御】篠原美也子のANN【110番】


1 :04/01/04 〜 最終レス :12/04/25
93年秋から2年間、水曜2部で放送されていたこの番組。
「モテない、金無い、受からない」のキャッチコピーで、男子浪人生などに人気を博しました。
主なコーナーとして、リスナーからの投稿によって小説を完成させる“篠原美也子文庫”、
篠原美也子作成の珍妙なグッズをプレゼントする“ミヤコロンドン”などがありました。
篠原美也子オフィシャルサイト room493
http://www.geocities.co.jp/MusicStar-Guitar/3094/
http://www.room493.com/
現在放送中、篠原美也子のありえない日々(WEBラジオも聴けます)
http://www.tbc-sendai.co.jp/fr_02radio.html
邦楽板の本スレ。
【二年目母さん】篠原美也子with龍part5【大奮闘】
http://music2.2ch.net/test/read.cgi/musicj/1067214023/

2 :
おな2ーゲット!

3 :
3はいただいた
返してほしければ10万ペリカ用意しておくのだな。
受け渡し方法は追って連絡する。

4 :
 

5 :
この番組の後釜が古内東子だっけ?

6 :
うるせーバカ

7 :
  Λ_Λ  \\
  ( ・∀・)   | | ガッ
 と    )    | |
   Y /ノ    人
    / )    <  >_Λ∩
  _/し' //. V`Д´)/
 (_フ彡        / ←>>6

8 :
>1
ほんとだ〜
ラジオやってる〜
仙台に住んでてよかった〜

9 :
なつかすぃーね。天才の誕生、ジレンマカード、ビーナスの鼻歌...わかる香具師いる?
なにげに全部持ってる罠...

10 :
>9
いいなぁ。俺は一回だけ写真入りポストカードをもらったけど、あれは何になるのかな?

11 :
WEBラジオ聴いてみた 話し口調が懐かしい〜
ネット放送なだけに曲が聴けないのが残念だけど
考えたら東北放送なら神奈川からでも十分聴けるな

12 :
>>10
それはビーナスの鼻歌だと思われ。シール式のはがきなら天才の誕生。
あー、無性に懐かしくなってきた!

13 :
>11
埼玉だけどニッポン放送が邪魔でほとんど聴けない…(´・ω・`)

14 :
>11
関東在住ならぜひライブにお越しを。

15 :
真夜中の官能小説
  熱い体 -第一話-
夜が来た。
良子はいつもの通り窓を少し開け、下着姿のまま風を吸い込んだ。
3階の窓からは向かいのマンションが見える。
電気は消えているが、でも誰かが見ているかもしれない。
そう思うとなんだか体が熱くなる。
仕事から帰って、堅いスーツを脱いで、窓のそばに立ち見知らぬ視線を
意識するこのひと時が25歳の良子にとって一番刺激的な時間なのだ。
目を閉じると、夕べの和男との時間が
映画のワンシーンのように浮かんでくる。
次に会えるのはいつだろう?
彼の前に立つと良子はバターになる。
触れられれば体中が解け始める。
書類に集中するメガネの奥の瞳、てきぱきと指示を出す低い声、
クールな仕草、彼が冷たければ冷たいほど良子の体は熱くなる。
良子は両手に頬を当て、そっと溜息をついた。
電話が鳴った。

16 :
文庫では「春の雪」が良かったなぁ。
ノベルティ結構持ち腐れ状態‥‥‥。
誰か欲しい方いますか〜?

17 :
>16
( ゜∀゜)ノハイ。ヤフオクに出してみれば高値が付くかも。
文庫ではダイヤモンドダスト(最初のやつ)が好きだった。

18 :
>>17
売るのには抵抗があるので、多分東京ワンマン辺りで配ります(^^;;
でも久しぶりに見たら、誕生と鼻歌には半分以上宛名が書いてあった‥‥‥。
プチトリビア(^^;;
篠原美也子のannでは、「誕生」と「鼻歌」の時代
1週間に2枚以上読まれると、枚数分を封筒でまとめて送るために
宛名の書いていない「さら」のノベルティが送られてきた。
1枚だけ読まれた場合は、それぞれに直に宛名を書いて送られた。
故に、前者の宛名の書かれていないノベルティは意外と貴重である。

19 :
>>18
そのトリビアが出せると察するにもしかしてかつてのハガキ職人さん?

20 :
>18
( ・∀・)つ〃∩ ヘェーヘェーヘェー
ハガキ職人では他の番組で名前を聞く人達もいたなぁ。
番組の構成作家は「バカサイ」の椎名基樹だったね。

21 :
  熱い体 -第二話-
「もしもし、俺だ。今、君の部屋のすぐ下にいる」
「えっ?」
良子は窓に駆け寄った。
下を見ると公衆電話の中から和男が手を振っている。
再び電話に戻り、受話器を握った。
「もう、急なのね。もしもし?」
電話はすでに切れていた。
慌てて良子は窓に引き返し下を見るが、和男はもういない。
コンコン、ノックが鳴った。
「和男さん?」
良子は怪訝そうにドアを開ける。
果たしてドアの前には和男がいた。
微笑んではいるが走ってきたと見え、息が荒い。
良子はそれがおかしく、吹き出しながら中へ入れた。
中へ入るなり和男は激しく良子の唇を求めた。
「もう、せっかちなんだから」
和男は構わず唇から首筋へと唇をはわせ、右手でブラジャーを
肩からはずすと、露になった良子の首に吸いついた。
  熱い体 -第三話-
和男の口の中で首は隆起し、激しく踊った。
良子の体から力が抜け、立っていられなくなった。
和男は良子をベッドへ運び、スタンドのスイッチを入れた。
良子のかろうじて生きている意識の一片が切なく訴えた。
「電気を消して、お願い」
「だめだ」
彼は冷たくほくそ笑んだ。
自分にぞっこんほれている女、何でも自分の言いなりになる女、
そんな良子に対して彼の心の奥深くに灯っていた青白い炎がメラメラと燃え上がってきた。
和男はスラックスのベルトを引き抜くと、素早く良子の両手首をベッドにくくりつけた。
良子は一瞬自分の身に何が起こったか解らなかったが、すぐに激しく抵抗し叫んだ。
「何するの、嫌っ、嫌よ」
和男はそんな良子を満足げに眺めながら、部屋の窓を大きく開け放った。
向かいのマンションとこの部屋を遮るものは今や何もない。
眩しい光の中に怪しく悩ましい女体がくっきりと浮かび上がっている。
  熱い体 -第四話-
「俺達、もう普通のじゃダメなんだ」
そう言うと、和男は窓際に立って向こうのマンションに手招きをした。
「か、和男さん、何をするの?」
和男はそれには答えず不気味に笑うばかりである。
すると、急にドアが開いた。
誰かが入ってくる。
「和男さん、誰かが入ってくるわ」
「慌てるなよ、俺が呼んだんだぜ」
入ってきたのは女だった。
黒のコートを着て、ボストンバッグを持っている。
女はバッグからロープとロウソクを取り出すとコートを脱ぎ始めた。
「あっ」
良子は叫んだ。
女はコートの下に何もつけていなかったのだ。
和男は驚く良子に猿ぐつわを噛ませ、ロープで体を縛り始めた。
「そう暴れるなって、体は正直なんだ」
ハッとして下を見ると、良子のそこはすでに濡れていた。

22 :
真夜中の官能小説
  熱い体 -最終話-
和男はロウソクに火をつけると、それをゆっくりと傾けながら、
溶け始めた赤いロウソクを良子の体に落とした。
ロウは肌の上に落ちるとたちまち光沢を失って固まった。
「ん、んー」
言葉にならない声を発する良子を満足げに眺めながら和男は
「ムチを出してくれ」と女に指図した。
「あたしにやらせて」
女はそういうとムチを握り締め良子の前に立った。
「いい子ね、あたしが可愛がってあげる」
夜の神聖な空気を打ち破るかのようにムチの快音が鳴り響いた。
女がハイヒールで良子の首を弄ぶと、良子の濡れ具合は極みに達した。
「そろそろいいだろう」
和男はそう呟くとブリーフを下ろした。
和男のモノは硬直し、スタンドの光に生々しく照らし出された。
「いくぜ」
剣は奥深い若草をかき分けて、泉に突き刺さった。
午後11時。
隣の302号室には黙々と勉強に取り組む受験生の姿があった。

23 :
真夜中の青春小説
  この夜の向こう側 -第一話-
マモルは自分が何をやりたいのかまだよく判らない。
もうすぐ18になろうとしている秋、受験勉強は追い込みに入っているが、
参考書を眺めるマモルの目は気がつくと何も書いていない余白のページに止まってしまう。
母親は言う、「とりあえず勉強でしょう?」
友達は言う、「とりあえず大学行かなきゃしょうがないだろう?」
とりあえず勉強して、とりあえず大学にいって、それからどうなるんだろう?
とりあえず就職して、とりあえず結婚して・・・。
一体、いつまでこの“とりあえず”は続くのだろう?
マモルは頭を振って参考書をバタンと閉じる。
真夜中ってのはどうも良くない。
友達と騒いでいる学校での時間や、母親の小言にイライラする夜は
こんなこと考えもしないのに。
周りはしんと静まり返っているのに、胸の中だけがザワザワしている。
もう今日じゃない、でも、まだ明日じゃない隙間の時間、
マモルは無性に誰かの声が聞きたいと思った。

24 :
真夜中の青春小説
  この夜の向こう側 -第二話-
夜は人をさらけ出すものだなぁ、とマモルは思う。
気分転換にと近くの自販機にコーヒーを買いに行き、
街頭の下で無駄に明るく光る自販機の傍らに座り込み、
コーヒーを飲みながらタバコを吹かしていたところだ。
結局は惰性で生きているんだ、俺は・・・。
紫煙を夜空に吐き出しながらそう思う。
空は満月。
青白い世界がマモルを包み込む。
自分の歩みをしていないんだ。
大学っていうから、俺もって。
正直言って勉強は嫌いだ。
高校の勉強と大学の学問は違うのだろうが、
どうしても行きたいというほどの魅力は感じられない。
かといって、自分の夢に突き進む勇気もない。
などとマモルがぼんやり考えていると、後ろから突然、
「おーい、マモル君」と呼び声が響いた。
驚いて立ち上がり振り返ると、トレーニングウェア姿の少女がいた。
「あっ、中村か、ひょっとして?」
「そう、久しぶり」
中村とは、マモルが高2の時の同級生だった子だ。
「何やってんだ、おまえ。そんな格好で?」
「えっ?私?私はねぇ。フフッ・・・」

25 :
真夜中の青春小説
  この夜の向こう側 -第三話-
「はっ」
懐かしい少女の意味ありげな笑い声と共に飛び起きた。
夢だ、夢だったんだ。
体中に嫌な汗をべっとりとかいている。
そろそろ白髪が混じり始めた髪が額に張り付いている。
忘れようとしても忘れられない夢のように。
マモルは43歳。
生活を繰り返していくうちに女というものをどこかに置き忘れたような妻と、
生意気盛りの17歳の息子、少女雑誌の綴じ込みページにどきどきしながらハサミを入れる15歳の娘。
この3人に囲まれ、幸せか不幸せか判らないような毎日を送っている。
今朝の夢は何だったのか?
何の前触れなのか?
あの少女は何十年も経った今頃、何故、俺の前に現れるのだろう?
思い出したくない。
あの事件はとっくの昔に俺と、そして、あいつの胸の奥深くに封印したではないか。
そっけない妻の態度を後に、マモルはいつもの会社への道を歩き出した。
何気なく振り返ると見覚えのある影が近づいてきた。

26 :
なつかしぃー!>>篠原美也子文庫
ほとんど聞いたはずだけど、もう覚えてないだけに続きが楽しみ。

27 :
真夜中の青春小説
  この夜の向こう側 -第四話-
「親父、何ぼけっとしてんだよ。遅刻するぞ。」
息子の進だった。
マモルという名前のせいか比較的消極的だったマモルは、
自分の息子には積極的であって欲しいと願い、進と名付けたのだ。
しかし、当の進は、平凡な名前付けやがって、と思っているらしい。
「何だよ親父、女のことでも考えていたのか?」
進は冗談っぽく言ったが、マモルは内心ドキッとした。
中村のことが頭から離れないのだ。
「ああ、父さんがお前くらいの時のクラスメイトのことを考えててな・・・」
意外な返答に、今度は進がドキッとした。
そして、少し不思議そうな顔をして聞いた。
「親父ってさ、どんな高校生だった?」
「ん、父さんか?そうだな、普通の高校生かな。
 大人になりたくない、けれども子供扱いされるのも嫌だって。
 自由を叫んで自分勝手なことをしてみたり。
 普通だったな・・・」
マモルの目は遠くを見ていた。
そして、頭の中にはあの日の出来事が浮かんでいた。

28 :
真夜中の青春小説
  この夜の向こう側 -最終話-
「えっ?私?私はねぇ。フフッ・・・
 誰にも言わないでね。私、今から死んじゃうんだ。」
言葉の内容とは裏腹に、少女の口調はあまりにも無邪気であった。
少年は少し混乱した。
「死ぬ?なっ、何言ってんだよ、おまえ!」
「私ね、今の生活がイヤなんだ。
 何かとりあえず生きてますって感じで。
 それに、年取ってしわしわになっちゃうのもイヤだし。
 ほら、今死んじゃえば私はずっと17歳のままでしょ?」
少年は何故か何も言い返せなかった。
そして、その日を最後に彼女は姿を消したんだ。
「おーい、マモル君」
中村?ハッとしてマモルは振り返った。
しかし、そこに立っていたのは自分の父親がボケたかと心配する息子、進だった。
44回目の秋が訪れる。
マモルは自分が何をやりたいのかまだよく判らない。
「中村、俺は今日もとりあえず生きてるよ・・・」
43歳の少年は、息子に聞こえぬようにそう呟き、大きく深呼吸をすると駅へ走り出した。

29 :
え、これって本物の篠原美也子文庫?ぜんぜん内容忘れちゃった・・・
前に篠原美也子文庫のサイトあったけど、なくなってしまって、すごく見たかったので、うれしい。
文庫じゃないけど投稿して何度か読まれたことあるよー。
「ふとっぱら」のコーナー(名前うろ覚えだけど、FAXで投稿する奴)で
その週の一番になって、何か送られてくるかなーと思ったら
何も送られてこなかった思い出が・・・・w

30 :
篠原美也子伝記
  誰の様でもなく -第一話-
1966年10月30日 日曜日
午前三時を少し過ぎた頃、東京は渋谷の日赤産院にて一人の赤ん坊が生まれた。
母親が産気づいたとき、かかりつけの医師が留守で、救急車で産院まで運ばれ、
かなり時間が経っていたためか赤ん坊はすぐに産声を上げず、
取り上げた医師にお知りをいくつか叩かれやっと小さな泣き声をあげた。
3200グラムの子。
両親にとって初めての赤ん坊は、彼らの名前から一字ずつ取って『美也子』と名付けられた。
『あまり泣かない良い子でした』と古いアルバムにはある。
モノクロがほとんどのアルバムの中で、若い両親に抱かれているのは、
母親ゆずりの色白に丸々と太った赤ん坊だ。
ほんの子供時代から幼稚園の途中までの数年間を、美也子は当時まだ畑や原っぱだらけだった
志木という土地で三つ違いの妹と育った。
そして、美也子が五つの冬、一家は東京の池袋に程近い街に移り住み、
やがて美也子は小学校入学を迎える。

31 :
篠原美也子伝記
  誰の様でもなく -第二話-
小学校に入り、最初に知った言葉は『ポコチン』である。
プールの着替えの時間、クラスの男子の無数のポコチンを見て
本能的にこれだ、と悟ったという。
ポコチンは美也子の人生の中で重要なキーワードの一つではあるが、
今はまだ関係ない。
美也子が小五の時、初めて好きな人ができた。
思い切りのいい美也子は、さっそく放課後、体育館の裏に呼び出して告白した。
結果は『NO』
その後、その男の子がボコボコにされ転校してしまったことは言うまでもない。
そういう点に美也子の性格の明朗快活さと後腐れの無さが表れている。
そして、中学に進学し、クラスの人気者となり、何とか受験にも合格し、
いつのまにか三学期も終わり卒業式を明日に迎えていた。
しかし、幸せは長く続かない。
なぜなら、そのほうが伝記が面白くなるからだ。
だから美也子は、男に酒にポコチンにと青春を謳歌していた。
自らの運命を左右する出来事が間近に迫ってきていることも知らずに・・・。

32 :
篠原美也子伝記
  誰の様でもなく -第三話-
卒業式の日、クラスでも明るく、皆から人気のあったS子が学校の屋上から飛び降りた。
多くの新聞やワイドショーがその事件を取り上げたが、結局、自殺の理由については謎のまま
世間の記憶から消えていきつつあった。
そんなある日、美也子の元に一通の手紙が届いた。
『みんなあんたのせいだ』
見覚えのあるS子の文字は、ただそれだけをぶっきらぼうに美也子に伝えるものだったが、
何故S子が自殺の直前にこんなものを自分に送りつけてくるのか全く思い当たる節が無かった。
このことを誰にも相談できないまま一人で苦しむ美也子は、もしかして彼なら何か知ってるかもしれない、
そんな一心で思い切ってダイヤルを回した。
「もしもし、高橋ですが」
同級生の高橋悟はおとなしい性格ではあったが、1年以上も前からS子と交際を続けていて、
皆から異色のカップルとしてよく冷やかされていた。

33 :
篠原美也子伝記
  誰の様でもなく -第四話-
高橋の話はこうだった。
S子は美也子同様、音楽活動を行っていたらしく、それが実を結び音楽関係者と接触し始めた頃、
あろうことか彼らの目が美也子にとまったのだ。
「まさか、それで・・・」
美也子は愕然とした。
「そう思う。派手な彼女は自分らしくない地道なことを続けてて、
 それを邪魔されたのが耐えられなかったんだよ」
高橋は静かに言った。
自分が悪いわけではない。
判っているものの、心優しい美也子は胸を痛めて嗚咽した。
も出た。
辛いときはいつもこうだ。
楽しいときもたまにこうだ。
「なくなよ」
高橋が優しく言ってくれた。
「君を責める人はいないよ。もし、いても僕は君の味方だ」
嘘よ、美也子は思った。
恋人の自殺の原因である私の味方だなんて。
しかし、嘘でもいいと思うとさらに涙が出た。
この事件を機に、美也子は大きく成長した。
有名になってから態度がでかくなるなら最初からでかい方がいい、
と美也子が思い始めたのもこのころだった。
そして、月日は流れる・・・。

34 :
やっぱりこうやってまとめて読むと筋の繋がりがヘンだったりするね。まあそこが面白かったりするんだけど。

35 :
篠原美也子伝記
  誰の様でもなく -最終話-
19歳になった美也子に悲劇が訪れる。
歌手としてのデビューも決まり、レコーディングに明け暮れる日々の中、自動車事故に巻き込まれた。
半月ほど生死をさまよって意識を取り戻した彼女を待っていたのは、
生態を痛め二度と歌うことができないという現実だった。
そして、絶望した彼女は失踪した。
2年後、21歳となった彼女は作家として戻ってくる。
小説『ポコチン』が性愛小説の新しいかたちとして直木賞候補となり、
鮮烈なデビューを飾る。
以後、ベストセラー作家となった彼女は出版を続け、25歳で高橋悟と結婚、
一児を生み幸福な生活を送っていたが、27歳の時、突然、骨髄性白血病が発病、
闘病生活に入るが病魔には勝てなかった。
1994年1月12日永眠。
享年27歳。
自伝的小説『誰の様でもなく』が遺作となる。
現在、墓地は埼玉県志木市にあり、命日には献花に訪れる人が絶えないという。
−以上、2014年度版 日本人名鑑より抜粋。

36 :
いまぼくらに〜できることは〜
(CMがない地域用のフィラー、実際はインスト)

37 :
>36
姐御がラジオを始める少し前に企画されたものだね。
百歌でもおなじみの石川よしひろと加藤いづみが中心になってた。

38 :
真夜中のサッカー小説
  PK  −第一話−
長い笛が鳴った。
地区予選の決勝、帝南高校対市立船越高校の試合は80分を終了し、スコアは1対1。
勝負はPK戦へともつれ込むことになった。
勝ったほうが全国大会への切符を手にする。
去年の決勝も同カードで、そのときは帝南が2対1と市立船越高校を下していた。
因縁の対決、負けられない。
どちらのイレブンも同じ思いである。
市立船越のキーパー、吉田は二年生。
175センチと決して大柄ではないが、天性のバネと抜群の反射神経で、
一年のときからレギュラーとしてゴールを守っている。
一方、帝南のキーパーは三年生のキャプテン、佐藤。
180センチの恵まれた体格を生かしたボールセービングで、
全国でも屈指のキーパーとして優秀選手にも選ばれている。
先に蹴るのは帝南。
身震いをするように頭を振った吉田にキャプテンの中村が声をかける。
「吉田、OK、OK」
吉田はうなずき、ゴールを背に両手を高くあげた。
帝南のキッカーは田口。
笛が鳴る。
助走が始まる。
"左"、吉田は飛んだ。

39 :
真夜中のサッカー小説
  PK  −第二話−
左と決めて飛んだ吉田の方へ帝南の一人目田口の放ったシュートが向かってきた。
コースを狙いすぎたのか緊張していたのかボールには勢いがなかった。
"もらった"、そう思った吉田は懸命に手を伸ばした。
しかし、どうもボールとのタイミングが合わない。
吉田の想像よりも遅かったようだ。
それでも反応しようとしてさらに手を伸ばした。
観衆が静まり返った。
吉田の手袋の先がボールに触れたように見えた。
が、ボールは音も無くネットを揺らした。
その時だった、無理な体勢だった吉田がバランスを崩し、肩からグラウンドに落ちたのだ。
ベンチから担架が運ばれると歓声が悲鳴に変わった。
市立船越の親玉、高校サッカー界の異端児と呼ばれる松丸監督も、この時だけは立ち上がった。
吉田はかなり痛そうだった。
「右腕が動きません」と言うのがやっとだった。
イレブンの心に不安がよぎる。
そんな状況の中で松丸監督が飛び出してきた。

40 :
真夜中のサッカー小説
  PK  −第三話−
松丸が市立船越の監督になって8年が過ぎようとしていた。
彼はサッカー選手としては大成しなかった男である。
しかし、指導者として成功した男である。
Jリーグができた今となっては、優秀な選手たちの目標はJリーグでプレイすることであって
間違っても国立競技場でプレイするなんてありえないのである。
しかし、松丸は違った。
彼は国立でサッカーをすることだけを目標にサッカーをしてきた。
そして、その夢が破れると、今度は指導者として国立に行きたいと考え始めた。
それが12年前の話である。
松丸の指導は、選手の将来性を考えるとか、自主性に任せるというのとは無縁であった。
彼は常に中心でありたかったし、選手などカードの一枚に過ぎないと考えていた。
その結果、確かに船越は強くなった。
そして、彼を恨む人間も当然多くなった。
田中カズ。彼は三年前、船越を支えるゴールキーパーであった。

41 :
真夜中のサッカー小説
  PK  −第四話−
あのときと同じ澄んだ空を松丸は見上げ、そして、ゆっくりと目を閉じた。
そう、あのときの田中もとうていプレイを続行できる状態ではなかった。
しかし、どうしても国立に行きたかった松丸は、田中を降ろさなかった。
しかし、船越は優勝できず、そして、田中は二度とゴールの前に立つことはなかった。
マスコミは松丸を鬼監督と非難したが、サッカーがまだあまり注目されていなかったためか、なし崩しとなった。
だから、今向こう側のベンチに座っている帝南の新監督がその田中だということを知る人はいない。
田中は若いが、まとまりのあるチームを作ったと好評だ。
今、自分の方を見ている悲しそうな目が松丸には痛かった。
何一つも迷わずにこの道を選んだはずだと自分に言い聞かせて、田中のことは忘れようと心に決めたのに。
一粒の涙が松丸の頬を伝って落ちた。
監督の指示を待つイレブンは不思議そうにそれを見つめていた。
松丸の口がゆっくりと開いた。

42 :
イイヨーイイヨー
なつかしいね
全部でどれくらいあったっけ?
たしかパーソナリティは2年丸々つとめてたから、20編ちかくあるのかな。
番組始まっていつ頃からこの企画が始まったか覚えてないけど。

43 :
>42
初回からあった気がする。

44 :
真夜中のサッカー小説
  PK  −最終話−
「試合を放棄する!」
「監督、何であの時あんなこと言ったんですか?」
結婚式場で青年は過去の疑問を幾分か年老いた男に投げかけた。
「もし、あのまま無理にお前を使ったとして、今頃こうやって笑顔で話し合い、
 可愛い娘を嫁にやることができるか」
半分冗談で半分真実を混ぜながら目じりのしわを集めて笑った。
「ただな、自分の年老いた欲望のためにもう後悔はしたくなかった。
 そして、おまえは今や日本、いや、世界を代表するキーパーになった。
 あの選択は今となって・・・おっ、見ろ」
いきなり大声で叫ぶ男の指差す先には、純白のウエディングドレスを纏った女性が美しく微笑んでいる。
「お父さん、綺麗?」
「ああ」
その男は必死に涙をこらえ、やがて涙がこぼれ落ちた。
黒い燕尾服に実を包んだ青年、吉田はその男がこぼした涙を見つめながら、
あの試合で松丸がこぼした一粒の涙を思い出した。
そして、吉田は花嫁に歩み寄り、そっと呟く。
「最高のお父さんだね」

45 :
真夜中の昔話
  鶴太郎 −第一話−
むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。
働き者の二人は子宝に恵まれませんでしたが、おじいさんは山に芝刈りに、
おばあさんは川に洗濯にと仲良く暮らしていました。
ある日、いつものようにおばあさんが川に選択に行くと、
川上から一羽の鶴が溺れながら流れてきました。
哀れに思ったおばあさんは、ちょうど手に持っていたおじいさんのふんどしをひらりと投げ、
「ほれ、これにつかまれ」
と言うと鶴は、
「助かったわ」
と、ふんどしにつかまり、無事、岸にたどりつくことができました。
鶴は丁寧にお礼を言い、
「感謝のしるしです」
と、ぽっこり卵を産み、空へ飛び去っていきました。
おばあさんは卵を持ってかえり、おじいさんと二人大切に育てたところ、
ある日、卵は割れ、
「マッチで〜す」
という声と共に男の子が生まれました。
鶴の卵から生まれたということで、二人はその子に『鶴太郎』と名付けました。
やがれ、五歳になったある日、鶴太郎は言いました。

46 :
真夜中の昔話
  鶴太郎 −第二話−
「おじい、おばあ、もっと飯を食わせてくれ。腹が減ったぞ」
おじいさん、おばあさんはとても驚きました。
鶴太郎は5歳の癖に成人並にご飯を食べていたからです。
エンゲル係数はどんどん上がり、破産寸言でした。
でも、鶴太郎はただの食いしん坊ではありませんでした。
琉球から引越ししてきた具志堅道場でボクシングを習っていました。
さて、そのころ何万里離れたところでたくさんの鬼の前で演説をしている黒鬼がいました。
「私が鬼帝国の王、鬼塚だ。
 鬼の、鬼による、鬼のための政治をするには人間が邪魔だ。
 みんなで人間をやっつけようではないか」
と宣戦布告をしていました。
これはあっという間に全世界に伝わりました。
「おじいさん、産経瓦版を見たかや?
 殿様が鬼退治した者には百万両の賞金と美女をプレゼントするそうだと」
これを隣の部屋で聞いていた鶴太郎は、鬼退治をしようと単純に決めました。
それは決して正義感からではなく、金欲と性欲からでした。
そして、鶴太郎は・・・。

47 :
真夜中の昔話
  鶴太郎 −第三話−
鬼退治に出発しました。
野を超え山を越えどんどん歩いていくと、道の真ん中にとても大きな犬が寝そべっていまいした。
そして、その隣にはなんと、あの、バザールでござーる君が犬のせいで先に進めず困っていました。
しかし、助けてあげるような鶴太郎ではありません。
ざまあみろと思いながらそのまま通り過ぎようとしたとき、バザール君が言いました。
「鶴太郎さん、その吉備団子を全部あげます。だから助けてください。お願いです。」
おなかが空いていた鶴太郎は、さらに一緒に鬼退治に行くという条件付きで助けてあげました。
めざとく吉備団子を見つけた犬がくれとうるさいので、やはり一緒に行くという条件付きであげました。
さて、さらにどんどん歩いていくと、バザール君の友達のキジに会いました。
キジは篭に入れられていて、もうすぐ食べられてしまうと泣いていました。
バザール君の必死の頼みで、残りの吉備団子と交換にキジを助けてあげました。
もちろん一緒に行くのです。

48 :
真夜中の昔話
  鶴太郎 −第四話−
船を求め鶴太郎が浜辺をうろついていると、
成金の浦島太郎が亀に虐待をされているのを見つけました。
哀れに思ったバザール君が助けに行きましたが逆にのされてしまい、
鶴太郎が仕方なく前に出ると、「おまえ金持ってるか?」と聞きました。
バザール君が、「鶴太郎さん、たかりなんてあんまりですよ」と言うと、
鶴太郎は浦島の胸ぐらをつかみ、
「バカだなあ、こんなアルマーニのスーツを着てるヤツが困ってたら、
 金を巻き上げるのが賢い現代人の生き方ってもんだろ、なぁ亀?」と言いました。
不意に同意を求められた亀は、これ以上関わらない方がいいと思い、海に逃げました。
結果として浦島を助けた鶴太郎は、当然のように報酬を求めましたが、
浦島には持ち合わせがないため、自家用の潜水艦で鬼が島まで送ってもらうことになりました。
船旅は順調に進みましたが、岸まであと一歩のところで鬼帝国の機雷に触れてしまい、船は撃沈。
必死の思いで島まで泳ぎ着いた鶴太郎は、そのまま鬼に捕らえられてしまいました。

49 :
真夜中の昔話
  鶴太郎 −第五話−
すると、牢屋に一人の男が現れました。
「おまえが鶴太郎か?俺はタノムサク。一緒に鬼塚を倒そうぜ」
と言うや否や、タノムサクは持ち前のパンチ力で牢屋を壊し、
二回連続疑惑の判定負けの恨みを晴らすかのように手下の鬼を倒し続け、
ついに敵は鬼塚一人だけとなりました。
そして、タノムサクは“清酒 鬼殺し”と書かれた一升瓶の液体を口に含み、
鬼に吹きかけました。
すると、鬼塚は苦しんで倒れてしまいました。
他の人がいくらやっても倒せなかった鬼塚を倒したのです。
鶴太郎たちが驚き呆然としていたのに気付いたタノムサクは体がまっぷたつに割れ、
中からなんと篠原美也子が出てきたのでした。
「驚いた?手柄は私のものね」
と言い残し、動物と共に去っていきました。
このキジは後に“柿島 伸次”と名乗り、
犬と猿は風の便りでは犬山モンキーパークを建設したそうで、
鶴太郎は一人さびしく悲しんだとさ。
おしまい。

50 :
文庫懐かしいなぁ。
今読んでも美也子さんが鼻をすする音も聞こえてきそう(笑)
夜から朝に変わる曖昧な時とともに‥‥‥お疲れさまです。

51 :
真夜中の青春小説
 春になれば  −第一話−
卒業式を終えたばかりの校庭には、卒業生を囲む後輩達の輪がいくつもできていた。
色紙や贈り物を渡す者、第二ボタンをねだる女生徒、涙、歓声。
声にならないざわめきの中で、僕は男子バスケ部の先輩達と握手を交わしながら
誰にも気付かれないようそっと体の位置をずらした。
たくさんの背中のむこうに、卒業証書の筒と一輪のカーネーションを抱え、
やはり多くの後輩達に囲まれている彼女がいた。
懸命に笑顔を作ろうとしながら涙をこぼしている彼女。
入学したての春、何気なく覗いたバスケ部の練習で彼女を見かけ、僕はすぐに入部手続きをした。
あれから二年。
誰にも話したことはない、特別な言葉を交わしたことも、まして打ち明ける勇気も持てないまま、
彼女--美也子先輩は四月から高校生に、僕は中学三年生になる。
こんな特別な春があるなんて。
キャプテンの後藤先輩の挨拶を聞きながら、僕はいつまでも美也子先輩の横顔を見ていた。

52 :
真夜中の青春小説
 春になれば  −第二話−
その美也子先輩に告白できないまま時間だけが過ぎた。
今は三年生最後の夏。
全国大会の予選が始まっている。
我がバスケ部は何とか勝ち進み、あと一つ勝つと全国大会に手が届くのだった。
学校ももう休みだが、今日も朝から練習をしている。
暑い中の長く苦しい練習でやっと昼になった。
「んぐぐ、はぁ、うるさいセミだなあ」
「そうだね」
蛇口の横に現れたのはバスケ部のマネージャー、麻衣子だった。
彼女は美也子先輩の妹であり、唯一僕がまともに話をできる女性だった。
「あと一つで全国大会だね」
力強く彼女は言った。
「そうだね」
僕は空返事だった。
「またそんな顔して」
続けて麻衣子は言った。
「今度の試合、お姉ちゃん見に来てくれるらしいよ」
思いがけない出来事だった。
僕の胸は高鳴った。
そして絶対に勝とうと思った。
「少しは元気でた?」
そう言った麻衣子の顔を見ると嬉しそうでもあり悲しそうでもあった。
しかし、今の僕には、彼女の複雑な顔は目に入っていなかった。

53 :
真夜中の青春小説
 春になれば  −第三話−
木々の葉が散り始めた。
僕の心の木はとっくに枯れていた。
あの全国大会の予選の決勝の日、僕は客席で美也子先輩が応援しているのを見て燃えた。
しかし、ダメだった。
その時、ふっと美也子先輩が見せた淋しげな表情が頭に焼き付いて離れない。
美也子先輩の夢も、僕の夢も崩れてしまった。
今日は秋も深まった日曜日。
なんだか僕は歩きたくなり、別に目的もなく学校へと歩いていた。
「もう受験だなあ」
とつぶやくと、
「お姉ちゃんの学校受けるんでしょ?」
と言う声がした。
振り向くと麻衣子だった。
図星だったため僕が何も言えずにいると、
「しっかりしてよ片山君、あなたらしくないわよ」
と麻衣子が言ってきた。
僕が黙っていると、
「私は元気いっぱいの君が好きなのよ」
と言って、にっこりと笑った。
その表情がとても可愛かった。
僕が呆然としていると、麻衣子は駆け足で行ってしまった。
突然の麻衣子の告白で、僕は麻衣子をただの友達と見れなくなった。
心の中は散らかっていた。

54 :
真夜中の青春小説
 春になれば  −第四話−
まだ心の整理がつかないまま、ただ時だけが流れた。
今夜は聖夜。
ライトアップされた街の光を受けて、僕はすれ違う恋人達を後目にただ一人歩いていた。
しかし、聖夜という華やかな雰囲気とおは対照的に僕の心は迷いに満ちていた。
数分後、僕は校庭のバスケットコートに立っていた。
特に理由はなかった。
ただここに立っていると何もかも忘れることができると思ったからかもしれない。
何気なく周囲を見回すと、しまい忘れたボールがひとつ、淋しそうに転がっていた。
僕はそのボールを取り眺めているうちに、美也子先輩のことを想っているときの自分と、
麻衣子に告白され異常に胸が高鳴ったときの自分が交錯し、どちらが本当の自分であるか
判らなくなっていた。
ティン、ティン。
ボールをつくうちに麻衣子のことばかり考え始めている自分に気付いた。
その夜以来、麻衣子のことを考えている時間が増えたような気がする。
そして、今までもつれていた心の糸が次第にほどけていった。

55 :
真夜中の青春小説
 春になれば  −最終話−
麻衣子は順当に、僕は奇跡的に美也子先輩の高校に合格し、晴れて卒業式を迎えた。
式典後、校庭は別れを惜しむ生徒でざわめいていた。
そんな涙と歓声の中、ぽつんと麻衣子が僕を見つめていた。
麻衣子は弱々しい目で近づき、
「片山君の気持ちは、私じゃなくお姉ちゃんに向いているのはわかってたんだ」
と切なく呟いた。
そして、駆け足で去っていこうとする。
麻衣子は気付いていたのだ。
しかし、聖夜以来、僕は麻衣子を誰よりも大切に想い始めている。
「違うんだ」と言ったが声が届かない。
後姿がどんどん小さくなる。
今、この瞬間に気持ちを伝えなければ、ボタンの掛け違いのように
互いの感情がずれていってしまう気がした。
その時、ふっと全国大会予選の決勝で美也子先輩の応援する姿が頭に浮かんだ。
"がんばれ、片山君"
と、あのときと同じ声援がどこかで聞こえた。
その一言でなりふり構わぬ勇気が湧いた。
僕は麻衣子の心を離すまい、と思った。
そして、桜並木を走る麻衣子を追った。

56 :
移転∩゚∀゚∩age

57 :
真夜中の青春小説
「たったひとつの朝を待つ幾つもの夜」−1−
何から書けばいいんだろう。
何を書いても、「何故?」と問い返されそうで、正直、僕はひどく考え込んでいる。
始まったばかりの予備校生活は、ひとまず順調。
積極的に友達を作る雰囲気ではないにせよ、帰り道、ファーストフードのコーヒーを片手に
あれこれ話をする程度の友達はできた。
今年スベッた大学にも「一浪すれば確実」と言われている。
「何かあったのか?」と聞かれれば、「何も無かった」と答えるしかないだろう。
けれど、気持ちを痛めるものが必ずしも大きな傷口とは限らない。
流行のドラマみたいに派手に傷つくことができれば、大声で泣いたり、
誰かに助けを求めたっていい。
辛いのは、人に話すほどじゃない、まして、涙なんか流すのははずかしいかすり傷だからだ。
僕は逃げようとしているんだろうか?
戦おうとしているんだろうか?
負けなんだろうか?
それとも勝とうとしているんだろうか?
死んでしまいたいということは、一体どちらなんだろうか?

58 :
真夜中の青春小説
「たったひとつの朝を待つ幾つもの夜」−2−
"死"というものに"夜"というイメージを持つようになったのは
いつの頃からだっただろうか。
"死"というものを知って間もない頃、
それは眠りの延長のようなものだと何となく思っていた。
眠りはまず資格から失い、
その後、聴覚やその他の感覚と共に意識が薄れていき、
やがて深い闇の中に滑り落ちるように消えていく。
そして、気がつけば朝というものであり、
"死"はその眠りから朝を取ったものである。
こう考えていたのだ。
このころから"死=夜"というイメージが頭の底にこびりついたのだろう。
それから今までに、死んだほうがましだ、と思うことが何度かあった。
もう、これ以上悪いことはあるまい。
そんなとき"死"はたまらなく甘く、誘惑に満ちたものに思えるのだ。
そして、今、その甘い誘惑に翻弄されそうになっているのも事実だった。
ただ、「何故?」と聞かれても本当に解らないのだ。
理由があったとしても、それはきっと些細なことなのである。

59 :
夜から朝にかわる曖昧な時とともに… 篠原美也子のオールナイトニッポン

60 :
真夜中の青春小説
「たったひとつの朝を待つ幾つもの夜」−3−
僕の命とは一体何なのだろうか?
18年間の僕の人生を振り返ってみる。
その中には、過去の僕がやった様々な出来事が"記憶"としてある。
そして、これからも僕はもっと多くの出来事を"記憶"として積み重ねていって、
その積み重ねの集大成こそが僕の命そのものなのだろう。
だけど、それの完成と同じくして、僕は"死"というものを迎える。
だから、僕の命すべてを振り返ることは誰にも、僕自身でさえ、出来はしないのだ。
それなら、僕の命なんて何の意味もなさないものなのだろうか?
そんなもののために僕は今までも、これからも、
幾つもの夜を数えていかなければならないのか。
朝が決して訪れないことを解っていながら。
死ぬということは、この行為に自ら幕を引く儀式に思える。
そして、その時、その言葉は何かしら厳粛で魅力ある響きを放つのだ。
今、僕は訳もなくその魅力に惹かれているようだ。
少なくとも、今それを否定する理由なんて、今の僕の心にはないのだから。

61 :
松村→鈴木さん

62 :
真夜中の青春小説
「たったひとつの朝を待つ幾つもの夜」−4−
僕は朝を待つ。
"死"とは本当に闇なのだろうか?
"朝"は本当に生の証なのだろうか?
"死"は生きている僕の無い物ねだりなのだろうか?
僕は生きたいのだろうか?死にたいのだろうか?
死ぬために生きているのだろうか?
"生命"とは活動する肉体なのだろうか?
それとも"記憶"という色が無ければ全くの空白であるこの精神なのだろうか?
"生"とはこの世界からかたちを持った"固体"として存在することなのだろうか?
"死"とはこの世界からかたちをなくし世界に溶け込むことなのだろうか?
それとも、完全なる発生、完全なる消滅なのだろうか?
生物は何故意味も無く存在し続けるのだろうか?
それとも何か重大な意味があるのだろうか?
"死"は"無"なのだろうか?
"死"が"無"であるなら、何故、"死"は存在しているのだろうか?
世界には"有"のみが在る。
それだけなのだろうか?
世界にはいずれ"朝"が来る。
しかし、僕には、まだ夜明けは来ない。
僕に"朝"が来た時、果たして、僕は在るのだろうか?

63 :
大部分の人にとって、生は死の対極としての生に過ぎないのかもしれない
生を積極的に生きるということは、結構むずかしい

64 :
真夜中の青春小説
「たったひとつの朝を待つ幾つもの夜」−5−
幾つもの夜が過ぎ、幾つもの朝が訪れる。
月日は流れていった。
僕は二十歳になった。
今、この年齢なりにいろいろ考えてみると、
人は大人になるとき、ピュアな心を失う。
たとえ、その心を持ち続けたいと願っても、
それが叶わないことを人は無意識のうちに知っているから、
それに抵抗する手段として理由のない"死"への憧れを抱くのだろう。
死ぬことに憧れる気持ちは、
子供の頃にかかる"麻疹"のように誰の身にも訪れる。
そして、その思いが去ったとき、人は大人になるのだ。
たった一つの朝を待つ幾つもの夜が終わりを告げたとき、
僕は理由の無い"死"への憧れが、心から過ぎ去っていくのを感じた。
そして、もう二度とあの頃の自分には戻れないということを実感した。
たとえ、人の命が朝には生えいでて栄え、夕べには刈られて枯れる青草のようであっても、
春には花を咲かせ、夏にはしぼむ花のようであっても、
"記憶"の中でしか存在しないあの頃のことを、僕は生涯忘れることはないだろう。

65 :
真夜中のラブレター小説
「あなたに会いたい」−1−
前略
突然手紙なんか書いて、きっと驚いているだろうと思います。
あなたが会社の研修で札幌へ行って二ヶ月。
料金を気にしながらでも、慌しくても、声が聞ける電話はうれしい。
だけど、いつも一番大事なことを言い忘れたようで、
一番言いたかったことだけ言えなかったようで、
受話器を置いたあと後悔ばかりしています。
顔を見ずに気持ちを伝えることがこんなに難しいなんて
あなたが東京にいたときには思ってもみなかった。
だから、おお見切ってペンを取ってみました。
いまどき手紙なんてはやらないし、うまく書ける自信もないし、
あなたの苦笑する顔が目に浮かぶようで照れくさいけど、
声にならなかった言葉を少しずつ書いてみるつもりです。
札幌は今一番言い季節よね。
東京は梅雨に入り、雨の嫌いな私には憂鬱な日々ですが、
とりあえず元気に仕事してます。
あなたも体に気をつけて、頑張って。
とても会いたい・・・それじゃ。

66 :
真夜中のラブレター小説
「あなたに会いたい」−2−
少し意外だった。
突然、君が手紙だなんて。
返事は電話でも良かったのだけれど、電話じゃうまく伝えられない気がして、
こうして僕も君に宛てて手紙を書くことにした。
東京はもう梅雨に入ったんだね。
北海道では梅雨というものがほとんどないらしい。
僕が君とはなれて、この札幌という街に来て幸せに感じることは、
食べ物がおいしいことと、君が雨の日に見せるあのあの憂鬱な顔を見ることができないことぐらいかな。
東京を離れてもう二ヶ月。
電話では言えないけれど、君の顔が見たい。
手紙は気恥ずかしくて、今まで書けなかった。
それから、君の言葉にならない気持ちは手紙で書くといい。
僕もそのほうが落ち着いて気持ちを受け止められる気がする。
手紙、うれしかった。
朝顔の種をもらったので一緒に送る。
気が向いたら植えてみてくれ。
毎日の生活は疲れることも多いけど、僕も頑張る、君も頑張れ。

67 :
あした?遠すぎて予想もつかないよ。きのう?忘れたなぁ。
あれ?今日の晩ご飯何食べたっけなぁ?
憎みきれないロクデナシ。篠原美也子のオールナイトニッポン!

68 :
真夜中のラブレター小説
「あなたに会いたい」−3−
前略
お手紙ありがとう。
不器用なあなたが私の好きな空色の便箋を選んだり、
あんなにしっかりした字を書くなんて少し意外でした。
もう気の合う仲間はできましたか?夜は安心して眠れていますか?
そして、札幌へ発つ朝にあなたが私に言いかけた言葉は何ですか?
毎日、あなたへの幾つもの問いかけといつか目にした場面にます。
あなたが傍にいたときよりも私はあなたのことを考える時間が多くなりました。
考えるよりも思い出すの方が当てはまるかもしれません。
あの頃にも戻れない、今のあなたにも会えない、その隙間はあまりにもひとりです。
でも、あなたと同じくらいに強くなれるような、素直になれるような気がして・・・
あなたも気持ちに余裕ができたらまたお手紙ください。
体に気をつけて。それじゃ。
追伸
さっそく朝顔の種を植えました。
花が咲いた朝、あなたが隣にいてくれたら、うれしい。

69 :
真夜中のラブレター小説
「あなたに会いたい」−4−
返事、遅くなってすまない。
忙しかったと言えば忙しかったが、
本当のところ自分の気持ちをうまく文にできずに悩んでいた。
今朝、北海道では珍しく雨が降った。
それと同時に、君の憂鬱な顔が浮かんできて、
会いたい気持ちで胸がいっぱいになった。
東京はもう梅雨が明ける頃だろうか?
夏に向け、君の憂鬱な顔が笑顔に変わると思うとなんだかうれしい。
札幌に来てもう四ヶ月。
東京と札幌という遠距離になってしまったが、
この遠い距離が二人の気持ちをより確かなものにしてくれたと僕は思う。
君がまいた朝顔の種は順調に育っているのだろうか?
来月の君の誕生日に東京に戻る。
二人で朝顔が咲くところを一緒に見れたらいいと思う。
もし二人で朝顔の咲くところを見ることができたら、
札幌を発つときに言いかけた言葉を言うつもりだ。
東京に戻る日までの残りの日々をお互い頑張ろう。
君と二人で会える日までに朝顔が咲いてしまわないことを祈って。

70 :
前略
ふふっ、懐かしい書き出しでしょう?
あの日、あなたの乗っていた飛行機が墜落したというニュースを
私は空港で知りました。
あなたが札幌に発つときに私に言いかけた言葉、
結局、教えてもらえずじまいですね。
ひどいよ。
私もあなたに伝えたいことがあったのに。
実はね、もうすぐ赤ちゃんが産まれます。
妊娠を知ったとき、あなたに知らせるかどうかすごく迷いました。
手紙なら言える気がしたけれど、
結局、勇気が足りなかったこと今少し後悔しています。
赤ちゃんは男の子だそうです。
あなたに似ているかしら?
だったら、きっとハンサムね。
例の朝顔の咲いたあとの種をとってあるので、
毎年少しずつ増やしていこうと思っています。
そうすれば産まれてくる赤ちゃんに、
あなたのことをいつも話してあげられるでしょう?
この手紙、街で一番高いマンションの最上階から紙飛行機で飛ばします。
あなたにちゃんと届くといいけれど。
それじゃ、また。

71 :
どっかに全作全文あがってなかったっけ。
故・鷺沢萠が来たときのテープがあるかもしれない。

72 :
>>71
昔は全作全文作者付のページがあったけど、今はもう無いと思う。
ところで、この"篠原美也子文庫"は全作やるつもりなのかな。

73 :
「箱」もなかなか良かったなぁ。

74 :
あと12作・・・。
続けようかどうか迷い中・・・。
邦楽版の姉御スレで不評だったので、少し落ち込みながら
こっちで続けることにしてみたけど、
やっぱり迷惑なのかな、などと思ってしまう。
それ以前に、スレの半分くらいが篠原美也子文庫になっていることに疑問を感じる。

75 :
乙です
ぜんぜん迷惑じゃないと思いますよ。というかせっかくなんだから続行きぼん
回の途中ではレスしにくいかもしれないね。
俺はレスは1〜2回しかしてないけど、のんびり見てますよ。

76 :
連休も終わったことだし、そろそろ続行することにします。

77 :
真夜中の野球小説
 「ダイヤモンドダスト」 第一話
高三の夏はあっという間にやってきた。
「暑い」「去年とは大違いだ」とセカンドのポジションに向かって走りながら、
18になったばかりの和彦は思う。
雨に祟られた去年の予選。
県内屈指の左腕と評判だった二年生エース松本を擁し、優勝候補の一角にあげられた港高校だったが、
雨中、ぬかるみに足を取られた和彦のエラーによる失点が決勝点となり、二回戦で姿を消した。
トーナメントの厳しさを思い知らされた大会だった。
その後、松本の故障で選抜の夢も破れ、最後のチャンスとなる18の夏、
守備位置に着いた和彦は、軽く屈伸運動をしながらマウンド上の背番号『1』を見つめた。
松本とは中学時代からのチームメートだ。
故障も癒え、今大会では好投を続けている。
去年の痛恨のエラー、和彦は松本にまだ謝っていない。
二人そろって甲子園の切符を手にしたとき、初めて謝れるんだ。
準決勝、甲子園まであと二つ。
球審の手が挙がり、松本が振りかぶった。

78 :
>>70
その手紙に返信してみたいけど、なかなかうまく書けないわ

79 :
hosyu

80 :
ビ、ビビリました・・!!
こんななつかすぅいースレあったとは!!
発見記念カキコしときます。
確か水曜深夜でしたか?
ジュディマリも2部でしてた頃でしたよね?
思わずレス全読みしますた。

81 :
「ダイヤモンドダスト」第二話
一回戦からここまで、いずれも差をつけて勝利してきた港高校だったが、準決勝は一転投手戦となった。
特に松本は緩急使い分けた素晴らしいピッOで、相手打線を完全に封じ込め、ここまで無失点。
港高校、1点のリードで、とうとう9回表を迎えた。
簡単にツーアウトを取った松本は、一つ大きく深呼吸すると、
セカンドベースをちらりと見た。
照りつける日差しの向こうでは、和彦も同じように深呼吸をしている。
ここを勝てば甲子園は目の前だ。
そうすれば去年のあの忌まわしい出来事だって笑って話せる思い出に変わるはずだ。
松本は帽子を深くかぶりなおし、プレートに足を乗せた。
最後のバッターが打席に入る。
松本は1球、2球と直球勝負。
あっという間にツーストライクに追い込んだ。
そして、3球目。
1球大きく外そうとしたボール球をバッターがフルスイングした。
乾いた球音を残し、打球はレフトスタンドに消えていく。
同点。
松本は打球の行方を見つめたまま動けなくなっていた。

82 :
「ダイヤモンドダスト」第三話
一回戦からここまで、いずれも差をつけて勝利してきた港高校だったが、
準決勝は、一転、投手戦となった。
特に松本は緩急使い分けた素晴らしいピッOで、
相手打線を完全に封じ込め、ここまで無失点。
港高校1点のリードでとうとう9回表を迎えた。
簡単にツーアウトを取った松本は、一つ大きく深呼吸すると、
セカンドベースをちらりと見た。
照りつける日差しの向こうでは、和彦も同じように深呼吸をしている。
ここを勝てば甲子園は目の前だ。
そうすれば、去年のあの忌まわしい出来事だって、
笑って話せる思い出に変わるはずだ。
松本は帽子を深くかぶりなおしプレートに足を乗せた。
最後のバッターが打席に入る。
松本は1球、2球と直球勝負。
あっという間にツーストライクに追い込んだ。
そして、3球目。
1球大きく外そうとしたボール球をバッターがフルスイングした。
乾いた球音を残し、打球はレフトスタンドに消えていく。
同点。
松本は打球の行方を見つめたまま動けなくなっていた。

83 :
あっ・・・間違えた・・・・
もうずっと人大杉で・・・ごめんなさい。
ちゃんとした第三話は後日改めて・・・

84 :
これ入れるよろし
無印でもDoeでもどちらでもok
http://sakots.pekori.jp/OpenJane/

85 :
「ダイヤモンドダスト」第三話(訂正版)
内野手が駆け寄りマウンドに輪ができた。
仲間は口々に励ましてくれたが、もはや松本の耳には届かなかった。
呆然となったピッチャーは孤独だった。
ふと輪にひとり足らないことに気付いた。
和彦だった。
和彦は腕を組んだまま、こっちを見ているだけだった。
とたんに松本は気を取り直した。
周りの野手は松本の気持ちの切り替えに戸惑いながらも守備位置へ戻った。
「もう大丈夫だ」
と呟いた松本は次の打者を三振に押さえ全力でベンチに帰った。
松本は和彦に例を言いたかったが、いざ顔を見ると言えなかった。
いや、言うべきではないと思った。
試合は延長に入り、港ペースだった。
11回裏、和彦の二塁打を足がかりとして、サヨナラスクイズで勝利を収めた。
三塁から滑り込んだ和彦は土まみれだった。
ゲームセット。
港高校の校歌が流れる。
接戦を制したチームには団結力と勢いがついた。
高校生活最後の夏。
その夏もいよいよ本番を迎える。

86 :
「ダイヤモンドダスト」 第四話
決勝戦は雨のため順延された。
和彦にとっては去年を思い起こさせる嫌な雨だったが、
港高校にとっては連日熱投を続ける松本の方を休める恵みの雨だった。
翌日、どんよりとはっきりしない天気の中、港高校ナインはグランドに集結した。
この日で決まる。
それぞれに胸のうちには、今日まで勝ち抜いてきた自負、これから迎える決勝への不安、
甲子園への憧れなど、様々な想いがひしめいていた。
和彦は不思議な気持ちだった。
今は、以前感じていたような気負いもない。
ただ、今、この瞬間、この場所にいられることがうれしかった。
また松本の投球が見られることがうれしかった。
球状を浸す両校の声援のざわめきの中、和彦はエースナンバーを背負った松本を見つめた。
そして、プレーボール。
松本は大きくモーションを取り、体重を込めて投げた。
「ストライク」
球審の声が飛ぶ。
松本は1回の表を3人で押さえ、港高校の攻撃となった。
「風が出てきたな」
和彦はネクストバッターズサークルへ向かいながらそう思った。

87 :
「ダイヤモンドダスト」 最終話
予報通りに振り出した雨は、見る見るうちにグラウンドを大きな水溜りに変えた。
中断。
駆け足でベンチに戻り、雨にぬれたアンダーシャツを着替え、体を冷やさぬよう肩からかけたタオルをかぶった和彦は、
ふと壁に幾つも掛けられている千羽鶴を見つめた。
自分達と戦い敗れていった相手校が、港高校の健闘、そして自分達の分までという想いを込め、
涙をこらえながら手渡してくれた大きな鶴。
昨年、夢を果たせぬまま敗れ去っていった港高校ナインにはこの気持ちが痛いほどよく解っていた。
通り雨だったらしい。
雨はすぐに小降りになった。
グラウンド整備が始まり、再び試合が始められることになると、
松本は和彦の肩を何も言わずにポンと叩くと、小走りにマウンドに向かった。
和彦は追いかけるように走り出して、追いついた松本の背中を同じようにポンと叩き、
全速力でセカンドのポジションに向かっていった。

88 :
この人のAN日本でやってたしめの言葉の
〜〜〜の人も〜〜〜の人も
みたいな台詞って覚えてる人いたら教えてもらえませんか?

89 :
あー懐かしいな。俺も知りたい。

90 :
>>88
おはようの人も、おやすみの人も、いってらっしゃいの人も、お帰りの人も、……
こんな感じだったような。

91 :
おはようございますの人も
おやすみなさいの人も
いってらっしゃいの人も
来週まで元気で過ごしてちょうだい。
篠原美也子でした。

92 :
めざにゅーの挨拶を先取りしてたよな。

93 :
真夜中のSF小説  『奇妙な一日』 −1− 
カップから立ち上るコーヒーの湯気で鼻の毛穴が開くような気がした。
どこか開放感に似たその感覚に一瞬目を閉じると、
柳沢公平はおもむろに黒い液体の一口飲んだ。
濃い、苦い、おまけに熱すぎる。
15年に何々とする結婚生活だが、朝のコーヒーをめぐっての戦いは、
新婚わずか七日目にして妻の富子に軍配が上がっていた。
寝込むのである。
拗ねて仮病を使うというのではない。
本当に熱が出て具合が悪くなるのである。
元来、猫舌でカフェインが得意でない柳沢であったが、
六日目についに根をあげた。
「飲む、飲みます」
こうして、新婚七日目から今日に至るまで、
朝のコーヒーは柳沢にとって一種の儀式になった。
コーヒー如きで寝込まれてはかなわない。
それ以外はいたって普通の妻である。
唯一の自慢がコーヒーなのだから目を瞑るべきだ。
「おはよう」
中二の一人息子、洋平が食卓についた。
「おはよう」
柳沢はもう一口コーヒーを啜った。
いつも通りの朝だった。

94 :
真夜中のSF小説  『奇妙な一日』 −2−
軽い食べ物が食卓に並び順調に朝食が進む中、今日が燃えるゴミの日であることを、
柳沢は妻に指摘されて始めて知った。
ゴミ出し当番を勤めているのは柳沢自身に他ならない。
最近になってそういう伝統が形作られたのである
妻が言うに、世間体を気にしてゴミ出しをやらせないという考え方はもう過去のものであるらしい。
その結果として、柳沢にはゴミ出しという重要な任務が課せられることとなったのだ。
情けない。
つい柳沢は愚痴をこぼしてはみるものの、あの儀式と同様、結局は従わざるを得なかった。
「ごちそうさま、行ってくる」
急ぐようにして食事を済ませた洋平は備えていた荷物類を手際よく持つと、足早に食卓から離脱した。
陸上部の朝というのはそれなりに早いようだ。
柳沢もそれに促されるようなかたちで、朝食を終えると家を出た。
「行ってらっしゃい」
今でも妻が玄関先まで出てきて見送ってくれる。
紛れもなくいつも通りの朝だった。

95 :
真夜中のSF小説  『奇妙な一日』 −3−
柳沢は少し早歩きで駅に向かった。
柳沢にとって、いつもと違う時間の電車に乗ることはとても嫌だった。
柳沢は駅に着くとホームを見回した。
喋ったことのない見覚えのある顔がいつもと同じくいた。
こうして電車を待っていると、必ず部下の前田が声をかけてくる。
「おはよう」
やっぱり声をかけてきた。
柳沢は「おはよう」いつもと同じく答えた。
二人は満員電車に、車掌に押されながら何とか入れた。
柳沢はいつもと同じ電車にのれたことにひとまず安心した。
だが、そのとき、柳沢は何かいつもと違う、いや、違っていることに気がついた。
何が違ったかしばらく解らず、二駅が過ぎたとき、ハッとした。
確か前田は自分の部下だ。
それなのに前田はホームで「おはようございます」ではなく、「おはよう」と言った。
まるで、友達や恋人にでも言うように。
柳沢は、ただの言い間違いだと思おうとした瞬間、隣にいた前田が耳元で言った。
「今日も綺麗だよ」

96 :
真夜中のSF小説  『奇妙な一日』 −4−
柳沢はこれをたちの悪い冗談だと思うことにした。
しかし、上司に下らぬ冗談を言う前田に注意をしなければ、柳沢の気が済まなかった。
勤める上村工業に着くと、柳沢はいつもの係長の席に着き、午前中は書類を片付けていた。
昼、柳沢は朝の注意をしようと前田を喫茶店に呼び出した。
「朝の冗談は何かね?」柳沢は少し声を荒げてみせた。
「会社ではいわないようにしていたけど、君の顔を見たらたまらなくなったんだ」
前田の目は紛れもなく恋人を見るものだった。
柳沢は恐ろしくなり会社へ逃げ帰った。
柳沢が席に着くと、上司の奥山部長が声をかけてきた。
「柳沢君」
柳沢の耳元に近づいて言葉を続けた。
「綺麗だね。愛しているよ」
柳沢は身動きが出来ずにいると、ひとりのOLが呼びにきた。
「柳沢係長、上村社長がお呼びです」
柳沢が社長室に入ると、後ろから抱きつくものがいた。
「公平ちゃん可愛い」
上村社長だった。

97 :
真夜中のSF小説  『奇妙な一日』 −5−
柳沢はとっさに社長から逃れ、社長室を飛び出した。
部下の前田といい、奥村部長といい、よりによって社長まで。
柳沢は何がなんだか解らず頭を抱えた。
仕事を終え、帰宅途中、柳沢は妙な視線を感じながら一つのアメリカンジョークを思い出した。
ある男が数人の美女と一緒で全員が全裸という夢を見て、困惑して医者に相談したところ、
医者は何が不都合なのか?と聞き返した。
すると、その男は言った。「私も女だということです」というものだ。
柳沢は家に着くと自分の姿を鏡で確認した。
そんなことがあってたまるか。
と思いつつも、柳沢は鏡の中のいつもの姿に内心ほっとした。
いつも通り、家族三人で食卓を囲んでいると、息子の洋平が言った。
「ねぇ、お母さん。僕とお父さん、どっちが綺麗」
「そうねぇ、洋平の方が可愛いし綺麗よ」と妻の富子が答えた。
柳沢は頬を硬直させ立ち上がって叫んだ。
「もっと綺麗になってみせるわ」

98 :
Dr.Pepper STREET BREEZE

99 :
>>98
ベイFMの夜中の5分番組ですね。なつかしい
Shinonara Miyako文庫、話もさることながら、姉御の朗読の声が好きでした。
あの声が、すごく雰囲気をだしていた様にも思えます。
しかし、一体、この原稿はどうやって起こしているのでしょうか?以前に
篠原美也子文庫の全文掲載のHPがありましたが、閉鎖されてしまったようですね。
長文書き込みすみません。

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