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2012年6月スポーツサロン205: フィギュアスケーターズの華麗ないちにち 6日目 (535)
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フィギュアスケーターズの華麗ないちにち 6日目 (535)
フィギュアスケーターズの華麗ないちにち 6日目
- 1 :10/09/07 〜 最終レス :12/06/09
- 今日も今日とて繰り広げられるドタバタ劇。
今日は一体どうなることやら?
前スレ
フィギュアスケーターズの華麗ないちにち 5日目
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/sposaloon/1275317520/
過去ログ
ジョニ子の乙女ないちにち その1
http://hideyoshi.2ch.net/test/read.cgi/skate/1267015878/
フィギュアスケーターズの華麗ないちにち
http://hideyoshi.2ch.net/test/read.cgi/skate/1269584472/
フィギュアスケーターズの華麗ないちにち 3日目
http://hideyoshi.2ch.net/test/read.cgi/skate/1271067332/
フィギュアスケーターズの華麗ないちにち 4日目
http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/sposaloon/1272445178/
- 2 :
- --------------------------------------------------------------------------------------------
・スケーターたちへの尊敬の念を持って書きましょう。
・書き込む前にリロードして新しいレスがないか確認しましょう。話に矛盾が出てしまいます。
・話に矛盾が出来ないよう、書き込む方は少なくとも5レスは遡って読みましょう。
・気に入らない話の流れを批判するよりも、より面白くする流れを考えましょう。
・特定選手の過剰なage/sage、他選手による持ち上げは自重しましょう。
このスレの主役はあなたのお気に入りスケーターだけではなく、
誰もが彼(女)が一番好きとは限らないことに気がつきましょう。
・妄想カプネタ、ハゲネタ、性別人種差別、宗教系等、世界で「タブー」とされているネタ、は自重してください。
・一人で連続投稿や長文はなるべく控えること。 どうしてもという時はこちらの舞台裏スレ
(http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/sposaloon/1278563228/l50)を有効に使ってください。
・1スレ(500KB)で完結を目指して書いていきましょう。
・本スレが目指すのは大団円です。
・何か意見等ある時は、舞台裏スレを有効活用してください。勿論、ROM専さんの御意見御感想も大歓迎です!
まとめwiki(http://www23.atwiki.jp/figureskaters/)
--------------------------------------------------------------------------------------------
- 3 :
- 3 :スポーツ好きさん :sage :2010/09/09(木) 21:45:18 ID:qhMgJ/MK
ここは中国・北京。
雪組の氷上結婚式ショーは盛況のうちに幕を下ろし、今は和やかに祝賀パーティーが行われていた。
パーティーにはショーに参加したスケーター達、そしてこのスレのDIVAであるジョニ子も
もちろん姿を見せていた。
- 4 :
- その頃、猛暑の日本に降り立った謎のスケーターたちがいた・・・
「ここがトーキョー・・・嘘でしょ、なんて暑さなの。
こっちのトーキョーはもっと涼しいって聞いてたのに!」
「気温35度か、向こうの春の気温とほとんど変わりないねアハン」
「これじゃもう手遅れなのかなママン?」
「手遅れかもねアハンアハン」
「あーもうっ、そんなこと言っててもしょうがないだろ!
マシンで行き来できる一番古い時代が2010年なんだから
ここで手を打つしかないじゃないか!」
「そう、すべては未来の私たちの世界を灼熱地獄から救うため・・・
何としてもこの時代の地球温暖化をストップしなくっちゃね!」
彼らは華麗な5回転で、2010年のスケーターたちが集う北京へ向かった。
- 5 :
- 「うわっ、何だか臭い……ひどい大気汚染!」
北京郊外にて、スモッグの中へ降り立っての第一声は、案の定この通り。
「これじゃ温暖化も進むはずよ! 少しは子孫たちのことを考えて……」
「落ち着けって。未来世界がああなった原因は、人類の活動だけとは言えないからな。
最大の引き金になる『あれ』についても、調べて何とかしないと」
「そ、そうね。この時代のご先祖様たちにも助けを求めて、情報を集めましょう」
うなずき合う彼ら。念のため持ってきたマスクを着用し、一息つく。
さて、その頃……
- 6 :
- 盛り上がる祝賀パーティ会場。
初めは静粛にかつ華やかに進行していたが
アルコールの量が増えていくにつれリーマン親父達の宴会場のようになっていた。
現在はカラオケ大会に移行し、DIVAジョニ子が小さいときからの大切な友人である
パンダのぬいぐるみのPingちゃんを胸元に突っ込みDIRTY LOVEを熱唱していた。
(発売前でカラオケに入ってないので特別にアカペラでお披露目中)
横ではヤグとプルが歌に合わせてダンスをして更に場を盛り上げている。
そんなジョニ子の歌声の中
「素敵な氷上結婚式になって嬉しいわ」
「中国で初めてのアイスショーが成功したのも君がいてくれたからだよ」
「あなたがいてくれたからこそよ。これからもよろしくね」
「もちろんさ。素晴らしい時間を二人で過ごしていくんだよ」
パーティの主役2人は歌声が耳に届かないくらい喜んでいるようである。
- 7 :
- DIRTY LOVEを熱唱するジョニ子の頭にはショーの途中でプルに被せられた花冠が乗っていた。
ついでに踊っているプルも花籠を被っていたが、細かい事は(ry
- 8 :
- ジョニ子「ふぅっ気持ちよかったわ」
思う存分熱唱しご機嫌なジョニ子が席に戻ってきた。ヤグプルも一緒だ。
ジョニ子「それにしても暑いわね〜エアコンの効きが悪いのかしら」
プル「今年は世界中猛暑で大変だよね」
ヤグ「ロシアもウォッカ引っ掛けて水に入るっつう死亡事故があとをたたなかったもんな」
真央「日本でも体温よりも高い暑さが続いててどうかなっちゃいそうです」
ロシェ「氷河も崩壊してるのよね。ネアズ海峡が塞がれるかもしれないのよね。
海峡横断が日課の私には由々しき問題だわ」
ジョニ子「どうにかなんないのかしらね。メイクもすぐ落ちるし暑くていいことってなにもないわ〜」
ちなみにランビは隣のパーティ会場に乱入して
女の子にアハンアハンの最中だ。
- 9 :
- 「ここが首都体育館ね。」
未来世界から来たらしい彼ら5人はマスク姿でうなずきあった。
「さて、ここからどうする?」
「僕と君の先祖がこのパーティーに参加してる記録があるからうまく落ち合えば・・・・」
「と、言ってるそばから見つけたよママン」
「そうだね、アハハン」
体育館から程近いホテルのパーティー会場に、まさに潜入しようと試みるランビを発見。
「どうする?後ついていく?」
「取りあえず、僕たち二人で君のご先祖をマークするよ。ママン」
「じゃあ、僕はご先祖の振りして体育館に潜入してみるよ。アハン」
「私たちは隙を見て出演者の説得をしてみるわ。」
「よし!作戦開始!」
彼らは未来の地球を救うべく活動を開始した。
- 10 :
- 雪組結婚式の祝賀パーティー会場の隣の部屋で開催されている
全く関係ない別のパーティー会場にランビはいた。
ピンクのドレスに身を包んだ女性の後ろ姿に
前スレで出逢ったエマ謹製フラミンゴを重ね合わせ
フラフラとついてきてしまったのだ。
「アハン、ここは何のパーティーをしてるのかな」
- 11 :
- ステージ上では芸達者な中国スケ連の面々が京劇を披露している。
「ねえ、そう言えばステファンは?」
「うーん見当たらないね」
「次はアタシ達二人の出しものなのにどこに行ったのよ!」
「体育館に忘れ物をしたって、ジョニーさんが歌の準備をしてる時に
そこから出て行きましたよ」
マオが角の出入り口を指差す。
「なによっアタシの歌を聞いてないですって、許せないわ!」
怒りのあまりプリンをひと飲み。
「まあまあ、忘れ物なら仕方ないだろ」
ヤグが宥めながらプリンを差し出す。
「とりあえずステファンを探しに行ってくるわ
ずーーーーっと練習してきたのに披露出来ないなんて
冗談じゃないわよ」
プリン片手にジョニーはスピンで出入り口を駆け抜けた。
- 12 :
- 一方、日本スケ連の元に謎のメールが届いていた。
『突然のメール失礼いたします。
僕たちはあなた方の時代から100年後の世界からやってきました。
今僕たちの世界は温暖化により危機に瀕しています。
原因はいろいろありますがそのひとつが通称・『ICE』の消滅なのです。
これだけでは信じられないとは思います。
後ほどそちらに伺い詳細をお話いたします。
乱筆乱文、平にご容赦ください。 from KOZUKA』
- 13 :
- まったく関係ないが、アボットは扁桃腺を腫らして寝込んでいた。
「SF的な事とかわかんないから絡みようがないけどさ、誰か助けに来てくれないかなあ」
あいにくみんなそれぞれ忙しくて、それどころじゃないのだった。
物語的にも、子孫軍団のうち正体の目星がついているのはたった2人。
残りの3人は誰?物語の鍵を握るのは?DIVAはプリン食べ過ぎ?
とにかくいろいろと大変なのだった。
- 14 :
- 一方ベルネルは戸惑っていた。
「まだ拵えた覚えのない子孫が・・・なぜ?」
勇名トラ二世
ttp://uproda.2ch-library.com/289634muQ/lib289634.jpg
- 15 :
- 一方こちらは、関西大学キャンパス内。
練習の合間にくつろぐ二人のスケーターたち。
大輔「いよいよ来月やな」
信成「そーなんですよ、どんな顔してるんやろ?やっぱ僕似かな?」
大輔「あー、そっちも来月なん?けどGPSももう来月からやで」
信成「あ、そっちもか!大ちゃんはNHK杯がいきなり初戦で大変やね」
大輔「でも国内やし体はラクやで。あれ、どうしたんやろ、昼間に流れ星?」
ちゅどーーーーーーーーーーーん!
???「うわー、やっと着いたぞ。皆は無事にトーキョーに着いたのか?」
大輔「なんや!この謎の物体!?中から人が出てきたで!」
信成「大丈夫?救急車呼ぼうか?」
???「おっす、オラのび太!おめえがオラのひいじいちゃんの信成だな!
それにライバルの高橋大輔!ホントに百年前の世界に来れたんだな。
オラおめえたちに会えてとってもうれしいぞ!」
信成「ブクブクブク(泡を吹いて倒れた)」
大輔「あのー・・・・・・どちらのサイヤ星人さんですか?」
- 16 :
- 「もう!ステファンたらこんなとこにいたのね!」
プリン片手に体育館にやって来たジョニ子はさっそくランビの姿を発見した。
「あ、ああ・・・、ちょっと探しものをしていたんだよアハン」
「まったく仕方ないわね!早くしないとアタシ達の出番はすぐよ!」
「出番?・・・なんだったかな?アハン」
「んもうっ!とぼけるんじゃないわよ!さっさと行くわよ」
「ちょ、ちょっと待ってアハン」
ジョニ子はランビの腕を引っ付かんでパーティー会場に大急ぎで引きかえした。
腕を引いているのがランビのフリをした子孫である事は
当然ながらま〜ったく気が付いていない。
- 17 :
- 「いい?アタシ達の練習の成果を今こそ見せる時よってアンタなにマスクしてんのよ」
「アハハンこ、これはね・・あの」
「なんか怪しいわね〜アンタ。まさかアタシに内緒でネタを仕込んでないでしょうね。
そのマスク、取ってみなさいよ」
言うが早いかジョニ子が子孫ランビのマスクを奪い取った。
そしてマスクが取られた顔を凝視して言葉を失うジョニ子。
「!!!!!!ステフ・・・・アンタ・・・!!!」
(もうバレちゃったよアハン。騒ぎになる前に説明しないと・・)
「やっだーお肌ツルッツルじゃない!忘れ物とか言いながら
こっそりヒゲを剃りに行ってたのね。それにしてもいつもより綺麗に剃れてるわね。
ヒゲが全く残ってないじゃない。アタシにも後で貸してよね。さあっ急ぐわよ」
気合い入れにプリンをひと飲みしてお肌ツルツルランビと共に会場へ急いだ。
(この状況は良いのか悪いのか、アハンどうしようアハンアハン)
- 18 :
- その頃パーティー会場では、真央とプルがなかなか戻らない二人を気にしていた。
「ジョニーさんもランビエールさんもまだ帰ってきませんね?どうしたのかなぁ?」
「ちょっと僕様子見に行ってこようかな?・・・あ、帰ってきた!」
プルは会場の出入り口に駆け込んできたジョニ子とランビ(子孫)を見つけた。
「随分遅かったな。どこ行ってたんだ?」
「それが聞いてよ、ステフったらこっそり抜け出して髭剃りに行ってたのよ、ほら!」
ジョニ子はヤグにつるつる肌のランビ(子孫)の顔を指して言った。
「あらホント、随分キレイに剃れてるわねぇ」
「いやあ、お祝いの場には相応しい身なりをしないといけないからねアハン」
(ここにいるのがご先祖達か…ああ、あの人が彼のご先祖だな。確かに顔立ちが似ているなぁアハン)
とりあえず先祖のフリを続けながら一行の様子を伺うランビ(子孫)。
そうこうしているうちに京劇が終わり、いよいよジョニ子とランビの出番がやって来た。
- 19 :
- >>12のメールは日本スケ連のみならずISUをはじめ
世界各国のスケ連に送られていた。
『ICE』の単語を見つけたISUの幹部たちはこのメールは
真実であると判断。
なぜなら『ICE』はスケーター達にとって命のような存在だったからだ。
そしてこの事はISUの幹部と各国スケ連の会長しか知ることができない。
ISUは事態を収集するべく、各国スケ連に優秀なスケーターたちの招集
を指示したのであった。
- 20 :
- アボット宅の出窓をよいしょ、と乗り越えてキャロライン・ジャンがやって来た。
「ジェレミー大丈夫?お見舞いに来たの」
「ありがとうキャロ。でも、なんで窓から」
「はいこれ。ミライからのお見舞い。ジェレミーにはこれが効くだろうって」
「なんだろう。スープかな」
つ【宇津救○丸】
「僕、夜泣きもかんのむしもないよ!」
- 21 :
- でも素直に飲むアボット。不思議と気分が落ち着いた。
ベッドの隣ではキャロラインがアボットが描いたイラストを見つめてなにやらコメントしている。
「精神的な抑圧と将来への漠然とした不安がスパークしてるわね」
「あ、それ夜中にふと描きちらしたやつだから気にしないで」
「そういう時に本音が出るのよ。心の深淵から怪物が顔を覗かせるのよ」
見舞いに来てくれたのはいいけどなんかめんどくせーなー、とアボットは溜息をつく。
- 22 :
- 小塚とリッポンとアモディオはトロント近くの湖畔で日に焼かれていた。
こづ「アモ君初登場オメ〜」
リポ「オメ〜」
アモ「d」
リポ「初トロントどうよ?」
アモ「思ったより熱いね。」
リポ「温暖化進みすぎてるよね。」
アモ「DIVAに関わるときつい?」
リポ「わがままハンパね〜」
こづ「・・・今回はゆるい活躍でいいや〜」
アモ「ピンポイント程度でいいの?」
こづ「とりあえず、うかつに近寄らなきゃOK」
リポ「トラブルは向こうからやってくる」
アモ「活躍は寝て待てばいいんだね。」
二人「正解」
3人のゆるい時間が過ぎてゆく・・・
- 23 :
- 「さあ、行くわよ」
再びプリンを口の中へ流し込み、子孫ランビを引っ張ってステージへ向かう。
「アハンちょっと待って、準備がまだ出来てないから」
なにをするのかわからない子孫ランビは大あわて。
「まさかアンタここまで来て怖じ気づいてるんじゃないでしょうね。
あれだけの練習を無駄にする気?」
「アハンアハンアハンアハン」
嫌がる子孫ランビとステージへ突進するジョニ子が腕をひっぱりあう。
「はーい、お待たせしましたー。特製のふかひれスープを皆様どうぞー」
ウエイターのお兄さん2人が大きな鍋を抱えて会場に入ってきた。
会場内の視線が鍋に釘付けの中ジョニ子達の引っ張り合いは続く。
「行くから、行くからもう少しだけ時間をアハーン」
勢いをつけてジョニ子の腕を振り払った衝撃で
ジョニ子のネックレスが引きちぎれた。辺り一面に散らばるチャームと鎖。
そして一部はふかひれスープにぼっちゃんと音を立てて飛び込んで行った。
ふかひれスープへの視線が一斉にジョニ子に向けられた。
- 24 :
- 「ちょっと!あたしじゃないわよ!ステフなの!も〜あたしのネックレスとスープどうしてくれるのよ!!!」
「あ、は〜〜〜ん・・・・」
子孫ランビは半べそをかきながら周囲を見る。
招待客の残念そうな視線が彼の心に突き刺さる。
「お客様、落ち着いてください。すぐに変わりのスープを・・・」
ウェイターさんが声を書けた瞬間、
ホテルの全て照明が落とされた!
- 25 :
- と、すぐにまた照明がつくと、なんとステージにもう一人ランビ登場!
「やあ、僕たちのステージの時間だよねアハーン。
これから素敵なマジックをお目にかけ、アハ?」
なんと、ランビが二人もいるではないか!
観客はすごいマジックだと思い拍手喝采。
「はい、以上ご友人の皆さんのマジックでした〜ありがとうございました〜」
これ以上場をややこしくしたくない司会者によって
ジョニ子一同(ランビ×2含む)はステージから強制退場になった。
「ちょっとぉ、せっかくあんなに練習したのに何もできなかったじゃないの〜!
ぷんすかぷん!で、あんた何者?」
こうなったら仕方がない。正直に状況を説明することにした。
「アー、アハンアハン、突然ですがご先祖の皆さん、はじめまして」
- 26 :
- 「キャーいやあああああああ」
ランビ(子孫)の挨拶に被せるようにジョニ子が悲鳴をあげた。
「そのフカヒレスープちょっと待ったーーーっ
アタシのネックレスチャームの救出がマダなのよーー」
思い出いっぱいの品々をおいそれと見過ごすわけにはいかない。
「ほらっアンタ達も手伝いにくるのよ」
右手にランビ、左手にランビ(子孫)、頭にはいつの間に作ったのかプリンの冠を乗せて
ジョニ子はウェイターを追っかけ会場を出ていった。
- 27 :
- 真央「ジョニーさん達行っちゃいましたね」
プル「ねぇ、ステファンって双子だったっけ?」
ヤグ「…さぁ、そんな話は聞いたことないぞ?」
ジョアニー「また厄介なことにならないと良いけど…」
ひそひそと話合う4人。
一方、次々と起こるハプニングにパーティー会場はざわつき始めていた。
パーティーの主役の雪組も少し困惑げな表情を浮かべている。
(このままの雰囲気だとまずいなぁ…なんとかしなきゃ)
「ねぇみんな、ちょっとついてきて!」
「はあ?何やるんだおまえ?」
思い立ったプルはおもむろに立ち上がると、残った仲間と一緒にステージに向かった。
その様子を会場の物陰から伺っているマスク姿の男女がいた。
- 28 :
- ♪♪♪〜
『着信 先生』
「誰?」
「信夫先生だ。はい、もしもし?」
「崇彦、ゆるゆるバカンス中に大変申し訳ないのですが、 至急、日本スケ連本部まで戻ってきてもらえますか?」
「・・・・・・え゛?」
嫌な予感がする。いっそ、信夫の雷のほうがましなくらいの、嫌な予感が。
「嗣彦と光彦さんにも来てもらっています。・・・どうしても、小塚家がいないと話が進まなさそうなんですよ」
「・・・はーい」
電話を切った崇彦が3年分のため息をついた。
「何?なに?活躍できるの?」
「・・・・・・嫌、でもね」
初登場アモディオの目の輝きと反比例するように、崇彦の目が死んでいる。
- 29 :
- 無事アタシのネックレスを救出できたワァ.*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!
ふかひれスープを小分けにし、チャーム探しをさせられ
疲労困憊気味のランビとランビ子孫にジョニ子は
頭の上のプリンを1つずつ渡す。
ちなみに小分けされたスープであるが、ランビの北京での新しいお友達、
街のカラスくん達に庭で振る舞うことになった。
- 30 :
- 子孫「あの〜実はですねアハン」
先ほどの自己紹介が聞こえてないと思いもう一度挨拶をしようとする子孫ランビ。
ジョニ子「あっら〜〜アンタってば喋り方までステファンそっくりじゃない」
子孫「アハハンそれはですね」
ジョニ子「世の中には自分に似た人が3人いるっていうものね。
アタシも会ってみたいわ〜〜。それでお互いにメイクをし合って
服の交換をしたり夜通しガールズトークで盛り上がるの。楽しそうよね〜〜」
子孫「似てるんじゃなくてですね、アハン僕は」
ジョニ子「ステフ!せっかくそっくりさんに会ったんだし、記念に
ペアルックを着て他のみんなを驚かしましょうよ!アタシ、意外とペアルックって大好きなのよ」
ランビ「アハン。ペアルックは微妙じゃないかな。でもみんなを驚かすのは楽しそうだよね」
子孫「いや、さっきみんな見たからアハン。驚かないと思います。というよりですね、僕の話をアハン」
ジョニ子「よ〜〜しっそれじゃあ早速行くわよっ!アンタ達のんびりプリン食べてる場合じゃないわよ!!」
ジョニ子に押され、子孫ランビは口を挟む暇もなく
会場近くのブティックに連れて行かれる羽目になった。
- 31 :
- さて、日本スケ連本部にとんぼ帰りする羽目になった崇彦。
「あ、大ちゃんにナルくんも呼ばれたの?シーズン間近だってのに災難だね。」
「その台詞、そっくりそのままタカに返すよ」
「ていうか先に謝っとく。ごめん、ホンマかんにん!」
「ナルくんそれどういう・・・あれ、ジュニアにあんな子いたっけ?」
「コーチのじっちゃーん!オラ会いたかったぞ!!!」
「じ、じっちゃん!?そそそそれ僕のこと!?」
「だっておめえ、小塚崇彦だろ?」
「そうだけど・・・」
「やっぱり!おらが小学生のころ5回転ジャンプを教えてくれたじっちゃんだ!
オラが12の時に死んじまったから、3年ぶりだぞ!」
「僕は初対面なんだけど・・・坊や、どこから来たの?
まさかサイヤ星とか言わないよね?」
「いやーオラびっくりしたぞ、じっちゃんの若い頃はハンサムだったって
皆が言ってたのはホントだったんだなー!
で、早速なんだけど若いじっちゃんに頼みが・・・おーい、じっちゃーん!」
「なあノブ、タカに見せてみたらどうよ?あの子が持ってきた、
"小塚崇彦118歳と最後の教え子織田信太11歳のツーショット写真"ってやつ・・・」
「見せたらあかん!タカちゃんマジギレするで、あんなシワシワのツr(ry」
- 32 :
- 一方その頃、ざわついたパーティー会場の中を真央とジョアニーが
くまなく回って散らばったネックレスパーツを可愛らしく探す仕草をし、
見つかるとにっこり笑顔でお客さんたちにアピールしていた。
二人の笑顔になんだか和んでしまう招待客。
(ちなみにヤグも一応笑顔でいたが、営業スマイルは性に合わないのか若干引きつっていた)
一方、プルは見当違いの方向を探すフリをしたり、おもむろに3Aを跳んだり、
ステージ上から目をつけたお客さんに近づいてはちょっかいを出したりと
EX張りのフリーダムな行動で笑いを誘っていた。
大方のパーツを拾い終えた頃合で「それではごきげんよう〜♪」と極上スマイルで
会場から廊下に出てきたところでようやくほっとする4人。
「ふう…なんとかうまく行ったかな?」
「なんで俺達が他の客のご機嫌をとらないといけないんだ?」ひと安心なプルと不満げなヤグ。
「そういえばジョニーとステフ…とそっくりな彼はどこ行ったのかしら?」
「さっき出て行ってから帰ってきてませんね……あれ?」
周囲を見ていた真央が何かに気がついた。
「どうしたんだい、マオ?」
「プルシェンコさん、あそこに人が…」
真央が指差したところにある柱の影から一行を手まねきする男の姿が見える。
「誰だあいつ?変なマスクしてるぞ?」
「何だか見覚えのあるような顔だねぇ?」
訝しげに様子を見ていると男はおもむろにマスクを取った。その顔を見た真央は驚いた。
「あれぇ?…たかちゃん、どうしてここにいるの?」
- 33 :
- ブティックに行くはずがなぜか天安門広場を観光している3人。
手にはスタバで買ったコーヒーがある。
「アンタ名前はなんて言うのよ」
本名を言っていいのか逡巡する子孫だったが
この状況で自分の正体を明かすのは無理だと悟る。
「えっとアハン。……ラ…いや、バンビ…バンビ・エール」
「へぇ名前まで似てるのね。こっちはステファン・ランビエールっていうのよ」
知ってるとも言えず、おとなしくジョニ子の言うことに頷くしかなかった。
- 34 :
- 「・・・要するに、彼は100年後の未来からやってきたナル君の子孫なんですね。」
憮然とした表情で答える崇彦。部屋の隅では可哀相なことになった人物がひとり転がっていた。
「それとこのメール、100年後の未来から彼方の子孫がSOSを求めているわ。」
崇彦たちにメールを見せながら橋本聖子会長は続ける。
「彼は今中国スケ連にいる。まもなくここにきてくれるようね。」
「あの・・・僕たちも同席してても大丈夫ですか?」
ちゃっかり崇彦にお供してきたリッポン&アモディオ。
「かまいません。むしろISUからも通達が着てる事態ですので私としても心強いわ。」
「初めての活躍・・・・・wktk」瞳を輝かせるアモ。反対に今までのことを思いため息をつく崇・大・り・・・・
まもなく、部屋に佐藤コーチに連れられた一人の青年が入ってきた。
「はじめまして、私はプルシェンコ財団から派遣されてきたモロゾフと・・・」
その視線が信太を見つけて驚愕する。
「し・・・信太!!!何でこんなところに!あれほど来るなって言ったのに!」
「ずるいじゃないか〜おらを置いてこうとするなんてさ!何が何でもくっついってってやるからな!」
「やれやれだぜ・・・・」彼は額に手を当てて首を振る。
「・・・とにかく手短に現状をお話します。そして、皆さんの力をぜひともお借りして私たちの世界を救ってください!!」
- 35 :
- 「バンビちゃんはどこの生まれなのかしら?」
「アハハン、スイスです」
「まぁっそれもステファンと同じなのね。偶然ってすごいわ〜」
「じゃあもしかしてスケートもやってたりしてアハンアハン」
「あっやってます。アハン、でもご先祖様みたいにメダルはまだだけどアハハン」
「え!?あなたのご先祖様もメダリスト?すごいわっきっとあなたも
その才能を受け継いでるわね。スケーター同士だなんて偶然って重なるものね〜」
- 36 :
- ヨーロッパではISUの特命を受けたADSLがサンクト目指して殺人イーグルで向かっていた。
- 37 :
- 「あれぇ?…たかちゃん、どうしてここにいるの?」
じっ…と真央を見つめる崇彦(?)。
「どう思う?」
「・・・何か違う気がするな」
そんな崇彦(?)を睨むプルとヤグ。
「・・・・・・」
崇彦(?)は小さく口を動かした後、キッ、と、真央を見据えた。
「浅田真央さん、突然ですが、大至急日本スケート連盟本部へお戻りいただけますか?」
「え?」
「突然である上に挨拶もそこそこという無礼は百も承知しておりますが、
どうしても事態は急を要するのです」
口調は柔らかく丁寧だが、全く持って話が見えない。
崇彦は真央にこんな話し方はしないから、とりあえず、崇彦ではなさそうだが・・・。
「え?た、たかちゃん、何を言ってるの?」
他にどう呼んで良いのかわからないので、とりあえず「たかちゃん」呼びの真央。
「・・・・・・僕、そんなに崇じぃに似てるんだ・・・(ボソッ)」
「・・・え?」
「失礼をお許しください!」
ガッ!
「ぅえっ?」
崇彦(?)は素早く真央を横抱きにした。
「貴様!」
「エフゲニー・プルシェンコさん、と、アレクセイ・ヤグティンさん、ですね?」
「だったら何だと言うんだい?」
「あなた方も至急ロシアへお戻りください。・・・ここでももうすぐ、
僕の仲間が皆さんに重要な事実とお願いを申し上げるでしょうけれど・・・」
「貴様さっきから何言って・・・!」
「アンナ、後は頼むよ!」
「任せて!」
真央を抱えて4Aで逃げ去る崇彦(?)。
プルとヤグの前に立ちはだかり、マスクを取った女、その姿は・・・
「・・・・・・ヤナ・・・!?」
- 38 :
- モロゾフ「さて、2010年の日本スケ連の皆さん。残念ながら百年後の世界は
今の地球からは想像もつかないような極限世界に変わっています。
ちなみに2110年夏の最高気温は58.7度でした・・・」
「え、うそ!」「ホンマかいな!?」「何その灼熱地獄!」
信太「崇彦じっちゃんは生きてたころ、口ぐせみたいに言ってたぞ。
若いころに"地球温暖化"って言葉がはやったけど、その頃はスケートに夢中で
見向きもしないでいるうちに取り返しがつかなくなっちまって後悔してるって。
オラたちの時代じゃ、夏は50度超えが当たり前で外でなんか暮らせねえから
今はシェルター都市に皆で避難して暮らしてる。
もう外の世界じゃ、草も木もまともに育たねえ。それ以前に草が生える場所がねえ。
北極も南極も氷がみんな溶けて、地面はほとんど水没しちまったんだ。
そんな世界で、オラたちがスケートを続けていくのがどんなに大変なことか、
わかるだろ・・・じっちゃんたち・・・・・・」
先祖一同「・・・・・・」
???「けど、のび太が住んでる日本じゃ、もっと大変なことになってるの。
何しろスケートを法律で禁止しようとしてるんだから。
スケートのこと、貴重な氷を浪費する有害なスポーツだって。許せないわ!」
モロゾフ「お前まで来たのか!これ以上登場人物を増やしてどうするんだ・・・・・・」
???「ハーイ、ご先祖の皆さんこんにちは〜。私も未来のスケーターの一人よ。
訳あって私の正体はひ・み・つ。とりあえず"ブルマ"とでも呼んでちょうだい」
信成「・・・それだけ美姫ちゃんに生き写しじゃ、秘密も何もないと思うで」
信太「さすがオラのひいじいちゃん」
- 39 :
- 「ちょっと〜一体どうすんのよ。そろそろアタシも出番が欲しいのよ!」
「そんなこと言ってもだなママン。とにかく現状を把握する必要があるだろ」
「現状把握とか言いながら、登場時からず〜っと後をつけてるだけ!
だいたいね、体育館潜入担当のあいつがあの2人に合流した時点で
アタシ達もあの場に割り込めばよかったのよ。
なんでアタシがこんなコソコソと、ろくに出番がない役回り担当なのよ。
こんなことなら会場偵察の方に回ればよかったわ」
パーティ会場からランビの後をつけてまわっている
子孫ジュベと子孫ジョニ子。
「もう待ち切れない、あそこに乗り込んでやるわ」
「ママン落ち着け。あっちはあっちで考えがあるのかもしれない。ここはママン、じっと我慢だ」
「ふんっわかったわよ。あとで出番は作ってもらうわよ」
- 40 :
- 同じ頃、プル達はヤナそっくりの女―アンナから信太が語ったのと同様の話を聞いていた。
「地球温暖化で人が住めなくなる?・・・マジかよ?」
「それで、貴女はジェーニャとヤナの曾孫で、さっきのタカヒコやステフに似てるのは彼らの子孫ってこと?」
俄かに信じがたい話に困惑するヤグとジョアニー。
「突然こんな事を聞いて驚くのは無理ないでしょうね。でも実態は一刻を争っているの。どうか私達に力を貸していただけないかしら?」
そう語るアンナの風貌を見つめるプル。よく見るとヤナより少し年若い感じで、目の色はプルと同じアイスブルーだ。
「なにぼんやりしてんだジェーニャ?ヤナとどっちが美人か比べてんのか?」
「そんなわけないだろ!・・・やっぱり似てるなぁと思っただけだよ!」
「まぁおまえの子孫って言ってもヤナ似で良かったな。お前似だったらきっと鼻が・・・」
「どういう意味・・・?」たちまちブリザードが(ry
「・・・私は曾祖母様似だって聞いてたけど、あの子はご先祖様に似てるのね(ぼそっ)」
「あの子って?僕にそっくりな子孫もいるの?」
「私の弟よ・・・写真でご先祖様の若い頃を見たけど、実際に見ると本当にそっくりだわ」
そう言ってアンナは一枚のディスクを取り出した。
「・・・彼は今回の作戦の指揮をしているわ。これは彼からこの世界の人達へのメッセージよ」
- 41 :
- ―――――30分後
ジョニ子一行が雪組へのプレゼントにと両手いっぱいの花束を抱えて
祝賀パーティ会場に戻ってきた。
しかしすでにパーティ会場は片付けが始まっており
出席者達の姿はなかった。スケーター達も見当たらない。
「パーティの終了時間までは、まだまだあったわよね。
なんで終わってるのかしら」
「アハンなにかあったのかもしれないね」
困惑する2人に一人のウェイターが近づき
一通の封筒を差し出した。そして一礼をして去っていく。
「ただ事じゃないわね。出席者の誰かがアタシに一目惚れをして
ラブレターをくれた展開でもなさそうだわ」
「残念だが違うみたいだね。アハン何かなこのマークは」
「アハハン、それはプルシェンコ財団のマークですよ」
バンビの言葉にジョニ子とランビが振り返る。
「バンビちゃん、アンタなにを知っているのかしら。
パーティがお開きになった理由にアンタも関係あるのね」
「お話しますよ。アハン、最初からその予定でしたからアハハン」
「ちょっと待ったーーーー」
3人が会場隅のソファに腰を下ろした途端、響く声。
そこには出番を待ちきれず業を煮やしたジョニ子と
疲れた顔をしたジュベの子孫が立っていた。
- 42 :
- サンクトペテルブルグではISUから特命を受けたユーロ地区のスケーターたちが集結していた。
時空飛行装置を組み込んだ金色宇宙船の前でガチ君は祈る。
(今回は裏方・・・・今回は影・・・・今回は応援・・・・)
- 43 :
- 子孫ジョニ子の声に子孫ランビは>>26を思いだし吹き出した。
(アハハーンやっぱり仕草や言葉は受け継がれるもんなんだね)
オマエモナー
- 44 :
- 「何がおかしいのよ」バンビにデコピンを食らわせてから、子孫ジョニ子はジョニ子とランビに視線をやった。
仲間に顎周り以外は瓜二つの男と、まるで鏡に映った自分のようなおとk…もとい、DIVA。
キョトンとしたまま固まっているその姿は非常に興味深いものだったが、のんびり観察してもいられない。
子孫ジョニ子は咳払いを一つして、優雅に一礼した。
「御機嫌よう。ジョニー・ウィアー、そしてステファン・ランビエール。
アタシはジョニー・G・ウィアー。
この名前は、21世紀のスケーター史に燦然と輝く曾祖叔父さまからいただいたもの。
子供の頃、ママからそう聞かされたわ」
面を上げ、ウインクをしてみせたその表情も目の前の祖先とそっくりである。
- 45 :
- 「崇じぃっ!!」
「ぎゃぶっ!!」
どんっ!!
扉が開いたと思うと、何かが崇彦に勢い良く衝突した。
つづいてひょっこり入ってきた真央。
「とりあえず、無事に着いたようで何より・・・・・・この子は、崇彦の子孫ですかね」
「そうなんですか?弟ですか?」
弟は子孫じゃないなんてツッコミなど、今ここでしても無意味である。
「崇じぃ〜会いたかったぁ〜!!」
「く、くるしぃ・・・はなして・・・」
「あ、ごめんごめん・・・でも、本当に会いたかったぁ・・・」
「あ!ズルいぞ、ユキ!おらだってじっちゃんに会いたかったのに!!」
「後にしてよノビ君。この人は僕の偉大なる曾お祖父さまなんだから!」
「・・・・・・とすると、君は崇彦の曾孫なんですね?」
「あ、はい」
信夫に話しかけられて我に返った崇彦の子孫は礼儀を正した。
「ご挨拶が遅れて申し訳ありませんでした。僕は小塚雪彦と申します」
- 46 :
- ジュベはイラついていた。
突然ISUから特命とやらを受けてサンクトまで来て見れば
大勢のスケーターが同じように集まっていた。
が、その後は待機と言う事で特命の詳しい内容も未だ知らされていない。
「こんなところまで呼びつけて一体なんのつもりだママン?」
ジュベのボヤキを聞いた同じく待機中のトラが声をかけてきた。
「ああ、なんかプルシェンコさん達がある重要な人物と一緒に中国から帰ってくるの待ってるらしいよ?」
「なんだって?今中国にいる重要人物ってまさかリョーシャ先輩か?!…なら仕方ないなママン」
トラの話を勝手に解釈して一人納得するジュベだった。
- 47 :
- その頃中国ではヤグがくしゃみをしていた。
そしてヤグもちょっとイラついていた。
ジュベそっくりの子孫ジュベが自分の顔をジロジロと見ているからだ。
(なんだアイツ、俺に喧嘩売ってんのか?
ブライアン以上にジロジロ見てくるやつだなぁ)
とうの子孫ジュベは
(ああ…あの人がご先祖さママンが憧れているリョーシャさん…!
ご先祖さママンから代々受け継いでいる家宝のポスターの人そのままン!!
ポスターも自伝も演技を収録したビデオも見まくったけど
実物はやっぱりすごいオーラだ…!)
やっぱりヤグファンであった。
- 48 :
- 日本スケ連に到着して、改めて話を聞かされた真央はびっくりだ。
真央「地球温暖化がそんなに進んじゃって、皆スケートはどうしてるの?」
信太「オラは崇彦じっちゃんが死んじゃってからは、トーホクの中学校に進んで
そこのスケートリンクを使わせてもらってるけど、トーホクで一か所だけだから
使用料はめっちゃくちゃ高いし、混みまくりでさあ・・・」
雪彦「それですっかりトーホク弁になっちゃったんですよ、ノビ君。
ちなみに小塚家ではプライベート・リンクを持っていますよ。
ノビ君たちも子供の頃はそこにスケートを習いに来てたわけですけどね」
ブルマ「ま、こんな感じですっかり、一握りの金持ちの道楽と化してるわ。
私もプルシェンコ財団の奨学金がなければ続けてなかったかもね。」
真央「で、私たち、まずはどうしたらいいの?」
部屋の隅で話を聞いていた大輔が、そそくさとクーラーの温度を上げに行ったのと、
さっき可燃ゴミのゴミ箱に捨てたペットボトルを信成が捨てなおしに行ったのと、
ほぼ同時だった。
- 49 :
- 「ところで、『ICE』てなんですか?」
ずっと疑問に思っていたことを崇彦は口にした。
佐藤先生は橋本会長を振り向き頷きあった後、静かに口を開いた。
「・・・・殿堂入りを許されたものだけが持つことができる書物のことです。」
「そして、私たちの世界では北極と南極のことも指しています。」
子孫モロゾフが付け加えた。
先生「この部屋に入ってくる前に彼の語ったことによると、近い将来その両極の氷が崩壊し消滅するそうです。」
「工工工エエエエエエェェェェェェ(全員)ェェェェェェエエエエエエ工工工」
モロ子孫「その災害後に地球の温暖化は急激に進んで、今では地上での生活は困難になりました。」
雪彦「僕たちスケーターはモロゾフ先生をはじめとした財団の協力でこれまで温暖化を食い止める方法を模索してきました。」
ブルマ「その結果行き着いたのが、かつてはあった『ICE』の存在なの。」
モロ子孫「『ICE』には私たちの世界では失われつつある『スケート力』の全貌が記されているところまで判明いたしました。」
ブルマ「その項目の中にもしかしたら温暖化を食い止める方法があると信じてこの世界に来たの。」
雪彦「僕たちは自分たちの世界を変えたい一心で、過去を変えるというタブーを犯そうとしている。」
ブルマ「たとえ重罪になろうとも、かつて人や動植物が生活していた地上に私たちも暮らしたい!」
子孫たちの叫びに静まり返る室内。しかし崇彦はなにやら思いついたことがあるようだ。
(あの温泉ツアーのとき、タラソワコーチが貸してくれた本。あれがもしかして『ICE』?)
- 50 :
- 曾祖叔父さま・・・もしかしてそれアタシのことかしら。
DIVAでトロフィーワイフを目指すアタシがおじ・・・いやあああああああああああああ
呆然として放心状態のジョニ子だが他のみんなはそれに気づかない。
「アハンってことは、バンビ君ももしかして?」
「はい、曾お祖父様のお話はかねがねうかがっていますアハハン。
えーっと、僕は曾お祖父様の元に生まれた12人兄妹の2番目の兄の元に生まれた10人兄妹の・・」
「いいよいいよ、わかったよアハン。とにかく大家族で楽しそうだね、なによりだよアハンアハン」
「その中でもですねアハハン。僕は曾お祖父様に一番似ていると言われています。照れるんですが・・
アハーン、スケートの技術を受け継いでるとも。名前を一部頂いてステアハン・ランビエールと名付けられました」
「あれ?じゃあバンビっていうのはアハン?」
「先ほどは急遽偽名を・・・実はバンビというのは・・・さっきジョニー(子孫)が自己紹介をしている間に
5回転でいなくなった彼のことでして・・・アハハンアハハン」
「そう言えば急に飛んでいちゃったよね、アハンあれどうしたの?」
「アハハーン・・・彼は先祖代々語り継がれているとある選手の大ファンなんです。
こっちに来てからは、いまいち上の空で。多分スケ力を集中させてその選手のオーラを感じ取って
幸せに浸ってたんだと思いますが・・・・」
「面白い子だねアハン」
「それでさっきそこの厨房から鹿肉の香りがしましたよね。アハハン・・そのー
ご先祖様がクリスマスに鹿肉を食べていたことから、彼はジャンプの練習前に鹿肉を食べる癖がありまして」
「鹿肉の香りで思わず飛んでしまった、とアハンアハン」
「はい、ご無礼をお詫びいたします。アハハン・・・どうやら憧れの選手の元に飛んでいったようです」
「アハン気にしないで。それで僕たちは何をすればいいのかな?」
- 51 :
- 「・・・で、彼はブライアンの子孫ってわけかい?」
突然現れたかと思うと、挨拶もそこそこにヤグを熱いまなざしで見つめるジュベ子孫を見遣ってプルが尋ねる。
「ええ、そうよ。そしてアレクセイ・ヤグディンは彼の一族代々の憧れの選手なの。」
「ふぅん、そのへんもブライアンと一緒なんだ」アンナの返事を聞いて思わず苦笑するプル。
「・・・何笑ってんだよ?」プルの視線に気づいてむっとするジュベ子孫。
「ごめんごめん、君と君のご先祖があんまりそっくりなもんでつい・・・」
そう言いつつも笑いを堪えるのに必死だ。
「あんたこそ、あいつと顔から仕草からそっくりじゃないか!」ますますむくれるジュベ子孫。
「バンビ、私達の曾お爺様に失礼よ。彼は財団の礎になった人よ」アンナが嗜める。
「ああ、すまん・・・ついいつもの調子で・・・あんたとアリョーシャがあんまりそっくりなもんだから」
「あ、アリョーシャ?!!」「なんでこいつの子孫が俺の名前なんだよ?!!」
それを聞いて驚くプルとヤグ。
「弟が生まれる少し前に曾お爺様が亡くなったんだけど、この名前をつけるようにっていう書置きがあったの。
父のように敬愛する人の名前から取ったらしいわ」
「そうか、ミーシンコーチからか・・・そりゃそうだよね」
「そういやあのおっさんもアレクセイだったな・・・紛らわしいったらありゃしねぇ」
ちなみにウル様もアレクセイだぞヤグ。
- 52 :
- 「カクチーカクチー」
ユーロ地区のスケーターを乗せた金色宇宙船を呼び出したプル。
「具体的な作戦会議はこの宇宙船の中で行おう。」
プルたちと子孫を乗せて宇宙線は一先ず北極を目指す。
- 53 :
- 飛び立つ宇宙船の窓を見ながら、物憂げな様子のスケーターが一人。
つい先日、愛息子・アクセルが1歳の誕生日を迎えたばかりのアリ=ペッカ・ヌルメンカリである。
突然現れた「子孫」と名乗る若者達は、確かにそれが頷けるほど見知った顔ばかりだ。
自分と妻の特徴を併せ持った我が子は、これから一体どのように育っていくのだろうか?
まだ想像もつかないが、彼の子供や孫にも、この若者達と同じようにスケーターの道を志す者が……
未来に危機が迫っているらしい、という言葉が実感出来ないまま、ついこんな思いばかりを巡らせてしまう。
「そう、私達のお祖父様の世代に当たる、アクセル・ヌルメンカリという方が……」
(な、何だって!?)
突如耳に入ったアンナの声に、ヌルメンカリは目を見開いた。
- 54 :
- 先祖と共に優雅のティータイムを満喫する子孫ジョニ子たち。
「私たちは温暖化と氷河の崩落を食い止める為にこの世界に来た。
でも、個人的にもうひとつやってみたい事があるの!」
「へ〜、なんだいアハハン」
「地球を薔薇の花でいっぱいにするの!そうすれば緑だって増えるし温暖化だって食い止められるわ!」
「やっぱりジョニーの子孫だねアッハ〜ン」
その言葉にわれに返った先祖ジョニ子。
「そうよ!何も難しいことじゃないじゃない!今すぐはじめるわよ!
ステフ!今すぐ薔薇の種と薔薇の花買ってきて!子孫ステフも一緒よ!」
「ジョニーはどうするんだいアハ〜ン」
「あたしはもちろんコスチュームを揃える為にブティックに行くわ。あたしの分身と一緒にね(ハート」
「人使い荒いよ〜アハン;;」
こうしてジョニ子ズ指揮の元、地球薔薇化計画が始動!
- 55 :
- そのころバトルは北の大地からの救難スケパシーをキャッチした。
「これは大変だ!!!!」
急いでリュックにありったけのお菓子を詰めると華麗なジャンプで北極に向かった。
- 56 :
- アンナの話に息子の名前が出てきた事に驚いたヌルメンカリは、さらにその続きを聞こうとした。しかし。
「アンナ、君が持ってきたメッセージを皆に見せて欲しいんだけど」
「ええ、解ったわ」
プルに促されてアンナの話は中断されてしまったので、それ以上の話は聞けずじまいだった。
(ああ、話の続きが気になる…後で彼女に聞いてみよう)
こっそり思うヌルメンカリをよそに、アンナはディスクを持参した小型の再生装置にセットした。
ディスクの再生が始まると、スケーターの集まる大部屋の真中に立体的な映像を映し出した。
最初はノイズ交じりだったそれは人の形を取り始め、やがて見覚えのある金髪と青い目、
そして特徴的な鼻が目立つ青年の姿になった。
「…これが僕の子孫?」
「へぇ…憎たらしいくらいおまえにそっくりじゃねぇか」
思わず息を呑むプルと立体映像をまじまじと眺めるヤグ。
周囲で見守っているスケーター達も驚嘆の声をあげた。
「…なんかス○ーウォーズみたい」
事前の願いと裏腹に結局宇宙船に乗っていたガチ君がポツリと呟いた。
- 57 :
- 「アハン君、見てみなよアハンアハン。綺麗に出来たよ」
近所のお花屋さんから薔薇の花と種を買ってきて
パーティ会場の庭にそれらを埋め終わったランビと子孫ランビ。
「あのー確かに綺麗なんですけど、アハハーン僕たち2人で1時間かけて
10m四方を花で埋めつくしただけっていうのは…あまりにも
非生産的で能率が悪すぎませんか?アハン?」
ステアハンが心配げに言うが、てんとう虫のじょうろで踊りながらご機嫌に
種に水をやっているランビの耳には届いていなかった。
「2人で1時間かけて10平方メートル。
アハーン地球の陸地面積はおよそ1億5000万平方キロメートル。
……無理だアハハーン」
- 58 :
- 颯爽と北極へ降り立ったバトル。
しかし見渡す限り真っ白な氷原が続く限りで人影は見当たらず、
先ほどまで感じていたスケパシーも今はまるで反応が無い。
「おかしいなぁ?たしかにスケパシーを感じたんだけどなぁ・・・」
バトルは首を傾げつつも、ひとまず周囲を探してみる事にした。
- 59 :
- アダム・リッポンは憂鬱だった。
よくは解らないが何だか大変な事が起こっているらしい。
にもかかわらず相変わらずフリーダムな行動をとっている人物がいる。
云うまでもなくジョニーズとランビーズだ。
取りあえず何とかしてこい、と云われ、何故、僕が!?
と思ったがその場(日本スケ連)に米国人は自分しかいなかった。
「そりゃあ、ジョニ姐には世話になってるけどさぁ・・・」
明るい材料といえば、フローラン・アモディオが一緒についてきた事だが果して役に立つのかどうか。
「あ!アダム、あそこ!」
アモディオが指さす方向を見ると一面の薔薇畑を背景に何やら人垣が出来ている。その中心をよく見ると・・・
「うげ!ジョニ姐、何やってんだ?!」リッポンはその綺麗な顔を歪めた。
一方、宇宙船の中ではブライアン・ジュベールとバンビ・ジュベールがヤグディンを挟んで睨みあっていた。
「お前ら・・・いいから映像の方に集中しろ」
- 60 :
- 睨み合っているWジュベは放っておいて、スケーター達は立体映像に注目していた。
スケーター達が見つめる中、プルにそっくりな子孫――アレクセイはゆっくりと周囲を見回すと口を開いた。
アレクセイが一体何を話すのか、じっと見守るスケーター達。
『…あれぇ?これもう撮影始まってるの?』
がくっ。ずっこける一同。
「ごめんなさい、出発直前に急遽撮ったから編集が出来ていないのよ」
アンナが申し訳なさそうに呟く。
『なに?撮りなおそうかって?…まぁいいや、このまま撮っちゃっおうよ。そのほうが面白そうだし』
「さすがジェーニャの子孫…全然変わってねぇ…」
Wジュベに挟まれるなか、呆れた様子のヤグ。
『さて、と…こんにちわ、初めましてご先祖様達。僕はアレクセイ・プルシェンコ。名前を聞いて察しがつくと思うけど、
僕はエフゲニー・プルシェンコの曾孫にあたるんだ。まぁそういうわけだから、よろしくねご先祖様達♪』
にやりと見覚えのある笑みを浮かべるアレクセイ。こんなとこまで先祖似らしい。
先行きにちょっぴり不安を感じたスケーター達だが、気を取り直して映像の続きを見る事にした。
『…挨拶はこの辺にしておいて、ご先祖様達に僕から頼みがあるんだ。ある現象についてそちらの世界で確かめて欲しい。
もしかしたら、それは今僕達が解決しようとしている事に関連があるかもしれないんだ』
- 61 :
- 北極を調査していたバトル。そこへ別の一団がやってきた。
「あ、バトルさんだ〜!」「真央〜!!」
真央と愉快なチームジャパンの面々だ。
大輔「バトルもスケパシーをキャッチしたの?」
バト「ああ、でもさっきからいろいろ探してるんだけど何も見当たらないんだ。
ところでノブの隣にいる子供はジュニアかノービスの子?」
信太「うわ!ひどいな〜オラこう見えても15だぞ!」
全員「嘘!」
ブルマ「見かけどおりのオコチャマだから仕方ないんじゃない?」
信太「うるさ〜い!」
信成「あ、そうそうバトルさんにも説明しておかないと・・・」
バトルに改めて子孫とその他もろもろの話をする。
バト「・・・・そんな事になっていたとは」
大輔「取りあえず、何も見つかりそうにないしどこか場所を移そうか?」
バト「そうだね、その話しも詳しく聞きたいし・・・僕の通う大学があるトロントは?」
大輔「うんおk!そこにしよう。」
バト「ところで崇彦がいないようだけど?」
大輔「うん、何か佐藤先生と小塚家で相談があるからって日本に残ってる。」
バト「そうか。じゃあ後でメールするか。」
バトルを加えたチームジャパンは北極を後にしてトロントへ向かった。
- 62 :
- 映像のアレクセイの話は続く。
『こっちで消滅した『ICE』についての情報を調べている時に、
極地帯で発信者不明のスケパシーが確認されたんだ。
財団から調査員を向かわせたけど、ほとんど微弱なスケパシーのうえに、発信場所は溶けた北極の海の真っただ中で
誰も生存できる状態じゃなかった。でもその後も同じような現象が何度も起こってるんだ』
「謎のスケパシー…か」
「もしかして幽霊じゃ何かじゃないのか?」
口々に噂するスケーター達。
『残念ながら僕達の現状ではこれ以上の調査ができない。
でも、ご先祖様の時代には極地帯はまだ氷に覆われていて、ご先祖様達のスケート力は僕達より強くて安定している。
もしかしたらこの件について何かの答えが見つかるかもしれない。…ご先祖様、どうか僕達に力を貸して下さい』
映像はそこで終了した。
「随分ややこしそうな話だな。どうする?」
ヤグがプルの様子を伺う。
「確かにちょっと気になる話だよね・・・それに、君も感じてるでしょ?」
「ああ、さっきから妙なスケパシーが来てやがる。たぶんこれの事だろうな」
「となったら、まずはこのスケパシーの発信元へ急ごう!」
- 63 :
- 「では、崇彦はその借りた本をもう一度探してみてください」
「先生は・・・」
「残念ながら、私はまだ正式な式典を受けていないので、『ICE』は持っていません。
そのかわり、有香と連絡を取って北米チームを動かしてもらいましょう。
現在の科学的なデータも利用できるかもしれませんからね」
「はい」
「嗣彦はみどり君を探して欲しい。彼女も殿堂入りの一人だ…『ICE』の内容ぐらい読んでいるはず。
光彦さん、古い資料を貸してもらえませんか?何か使えるものがあるかもしれない」
「愛知の連盟にかけあってみるか・・・」
「雪彦君は崇彦を助けてくれるね?彼だけじゃわからないことだらけだろう・・・」
「わかりました」
「ところでじいさん、何でさっきから嬉しそうなの?」
「お前の結婚が確定したからのう・・・あとは一刻も早く曾孫の顔を見せろ」
「あーもうっ!!!!そればっかり!!!」
- 64 :
- 静かな部屋に、携帯電話の着信音が響き始めた。アボットの顔色が再び青ざめる。
「どうかしたの」
「ユカからだ…! どうしよう、そろそろ練習しなさいって怒られちゃう」
布団を被って震えるアボットを見て、キャロラインはほんの数秒考え込む素振りをした後、携帯を手に取った。
「はい、こちらジェレミー・アボットの携帯電話」
「…あら? ジェレミー、あなたいつから女の子になったのかしら^^」
慌てるアボットにも、有香の冗談にも、キャロラインは表情一つ変えない。
「私はジェレミーではありません。キャロライン・ジャンです。今は彼のお見舞いに」
「分かってるわよ、キャロライン^^ …それで、ジェレミーの具合はどう?」
「本調子ではないですね。まだ練習は無理そうだ、早く復帰したい、待っててくれるユカにも申し訳ない、と」
アボットの顔付きが一転、安堵のそれに変わった。
「そうなの。いつもなら頑張りなさい^^って言うところだけど、実は、今日はそうもいかないのよね」
「何かあったんですか」電話越しに聞こえた溜息に、キャロラインの眉が訝しげに動く。
「……今朝リンクに来たら、氷が全て溶けてしまっていたの」
- 65 :
- 崇彦と雪彦は殿堂入りした人物から『ICE』を借りられそうな人物を絞り込んだ。
「オーサーはまぁ、リッポンに頼むとして・・・・いや3人かな」
ロシア重鎮の一人タラソワ、アメリカの名伯楽キャロル、そして今期EXを依頼したカート。
「一番頼みやすそうなのはカート。距離的に近いのはLAのキャロルコーチ。
・・・ただ、どうしても聞きたいことがあるのはタラソワコーチ。」
頭を抱えていた崇彦だったが・・・
「雪彦、おまえモスクワとロスとトロントどこ行きたい!」
「へぇ?なに?」
「悩んだときは誰かに聞くのが一番!おまえの行きたいとこでいいよ!」
「そんな単純でいいの?崇じぃ。」
「まぁ、どこでも一緒だと思うから」
どこに行っても絶対トラブルに巻き込まれるから、とはいえなかった。
- 66 :
- 「あらぁっ!そのくるくるした巻き毛ちゃんはえーっと、アダム・リッポンくんね。
そして隣の子は…ニコニコした陽気な男前…フローラン・アモディオくんかしら。
あなたの天性のリズム感がアタシのご先祖様にちょっとでもあればねえ……」
顔を見合わせるリッポンとアモディオ。
ピンクのジャケットを羽織り、薔薇畑の中で横たわったまま声をかけてきた人物、
それはどうやらジョニーの子孫のようだ。
リッポンは辺りを見渡すがジョニーの姿はない。
事態が把握できないままだが、とにかく天安門広場のど真ん中に
薔薇畑を作り上げているこの状況をなんとかしなければ…!
- 67 :
- とりあえずリッポンは花売り少年に化けた。
これで相棒がカナコならモリコロのハプニング的で完璧なのだが、今回はアモ。
「なんでもいいから早くこの薔薇を売りさばくんだ!」
- 68 :
- とりあえずアモは脱いでいた。
うそです。冗談です。まだ、そこまで突き抜けてはいなかった。
得意のダンスで人を集めるが北京っ子は財布の紐が堅かった。不況だし。
そこへ、ランビーズが現れた。
「あ〜ひどいよ〜。せっかく植えたのにアハンアハン」
「でも、ダンス楽しそうだね〜アハハン」
アモディオと一緒にくるくる踊り出す。
「(うへあ('A`) 二人いる )あ、あのジョニ子姐さんは何処に…」
二人はリッポンの問いかけなど勿論聞いていなかった。
(自由だ…!自由過ぎる!二人いるのに二人とも役に立たない…!)
- 69 :
- スケパシーを頼りに北極へ到着した宇宙船組。
だが先に来ていたバトル達同様に、周囲に誰もいる気配はない。
プル「…やっぱり誰もいない。アレクセイの話と同じだね」
ヤグ「スケパシーもここに来た途端にピタッと止まっちまったぞ?」
ガチ「何者かが僕達…っていうか、スケーターをおびき出そうとしてるでしょうか?」
トラ「まさか本当に幽霊…なんてことないよな?」
気味の悪い現象にさすがのスケーターも困惑を隠せない。
「いぜれにせよその「幽霊」の正体を調べないとね」
プルが一枚の地図を取り出す。アレクセイのディスクに一緒に情報が収められていた
これまでに確認された謎のスケパシー現象の発生地点を記してある。
プル「同じ現象が北極のあちこちで起きてるようだから、いくつかに分れて調べてみよう。
僕とアンナとアーチャはここをもう少し調べてみるよ」
バンビ「リョーシャさんには俺がお供しますよママン。」
ブライアン「何言ってるんだママン?俺が一緒に決まってるじゃないかママン」
ヤグ「(…くそっ、なんで俺がこいつらの面倒を!)…おい!静かにしないとお前ら置いてくぞ!」
プル「人気者で良かったねぇ、リョーシャ♪」
ヤグ「うるせぇデカッ鼻!」たちまちブリザードが(ry
ぬる麺「…とりあえず、僕とトマシュとアドリアンで行動しようか」
黙って頷くトラとADSL。タダでも寒い北極でこれ以上のブリザードに巻き込まれないうちに、
スケーター達は何組かに分れて怪しい地点の調査に向かった。
- 70 :
- (だ・・・駄目だ。頭が痛くなってきた・・・・・・)
どうにかしようと、とりあえずの行動を2連発でやってみたアモとリッポンだが
どうみても事態は更に混乱している。
アモはランビーズと共にダンスに夢中で
薔薇畑に横たわってるジョニー(子孫)はティータイムに入った模様。
そのうえ、通りすがりの観光客や現地の人は怪訝そうに遠巻きに見ているだけで
薔薇は全く売れていない。
初登場で目を輝かせていたあのアモディオが
まさかのジョニーズランビーズタイプだったことも
リッポンの頭痛の種だった。
そんな混乱が続く中
「アンタ達っ!何をやってんのよ!
アダムも一緒になって・・・!いい加減にしなさいっ」
背後からジョニ子の一喝が響き渡る。
(なんでこの状況で僕ひとりだけが、名指しで怒られなきゃいけないんだ・・・)
腑に落ちない思いを抱えながらリッポンは振り返った。
- 71 :
- 崇彦・雪彦コンビは結局ロスに向かうことになった。
有香さんから佐藤先生にデトロイトを中心に、ほとんどのリンクの氷が解けて混乱していると連絡があったからだ。
「タカ〜!!こっちだよ〜!!」
リンク前に降り立った二人を未来が出迎えてくれた。
「隣の人がタカの子孫?双子みたいにそっくり!」
目を丸くする未来に二人は苦笑する。
「未来ちゃん、フランク先生は?」
「リンクでエヴァンのシンクロ見てるよ。うちにもエヴァンの子孫がいっぱい来たの。」
「うそ!あいつも来たの!」
驚いたのは雪彦のほうだ。
「とにかくすごいから早くいこう〜!」
未来にせかされてリンクに入った二人。そこで目にした光景は・・・・
長い手足 回転数がまったく変わらないスピン 一糸乱れぬ動き そしてなにより黒(ry それはまさに
『 量 産 型 エ ヴァ ン (ライサ) ゲ リ オ ン』
- 72 :
- 世界各地でスケーターとその子孫達が遭遇していた頃。
2110年のロシア、かつてその場所にあった街の名がついたドーム都市『サンクトペテルブルグ』。
街の中でひときわ目立つプルシェンコ財団本部の建物の奥まった一室で。
「今ごろみんなご先祖様達に会ってるのかなぁ…」
執務机に頬杖をついて、面白くなさそうな表情の若者が一人。
「あ〜あ、なんで僕が一人で留守番しなきゃいけないんだよ…」
一人ぶつくさ言ってるのは何を隠そう、財団の総帥にして今回の計画を指揮する
アレクセイ・プルシェンコだった。
「過去へ行ってご先祖様の協力を得て『ICE』の全容を解明・温暖化を阻止」という計画を立てた時は
ぶっちゃけ自分も行くつもりだったのだが、立場上周囲から駄目出しされてしまったのだった。
「もう、僕だって行きたかったのになぁ。第一ここを纏めるならアンナの方が上手いのに…」
それに、伝説のスケーターの曽祖父にひと目会ってみたいとも思っていたのに
仲間達を他所に一人追いてけぼり状態なのは、正直かな〜り面白くない。
「こうなったら、隙を見てこっそり行ってやろうか…いてっ!!」
突然頭をはたかれて何事かと振り返ると、そこには一番見たくない顔がニヤッと笑って立っていた。
- 73 :
- リッポンが振り向く。そこには
生肉に身を包んだジョニ子、いやよく見ると
真っ赤な薔薇の花びらに身を包んだジョニ子がいた。
隠しているようでいろんなところが隠れていない。
天安門広場でこの姿は絶対にヤバすぎる。いや、天安門広場じゃなくてもヤバい。
- 74 :
- 「何やってるんですか、ジョニ姐さんっ!」
「何って見れば解るでしょ。ガガリスペクトよ。パクリじゃないわよ。オマージュよ」
「どっちでもいいですよ!兎に角その格好はまずいですって。早く着替えて…」
「駄目よ〜、これからここで即席ファッションショーやるんだから!Wジョニーのお披露目よ!
そうだ!あんたも参加しなさい。パフォーマーとして」
「嫌です、恥ずかしい!」
「何いってんのよ、ツイッター見たわよ。似たような事してたじゃない。『世界の王だーhaha!』って」
「あっ、あれはちょっとテンションが上がっちゃってっ…」
「じゃあ、今すぐテンション上げなさいっ!ほら、ここでっ!ジョニー手伝って」
「は〜い、ジョニー♪」
ジョニーズ、リッポンの服を脱がしにかかる。
「(同じだ…!この二人も同じ性格だっ…;)いやー、止めてー!フローラン、助けて!!」
- 75 :
- さてこちらは北極調査中のヤグ・ジュベ・バンビ。
「ここも反応無しか、まったくわけわかんねぇぜ」
地図の担当場所のポイントにチェック印を入れるヤグ。その様子を両側から覗き込むジュベとバンビ。
「リョーシャさん、俺はこっちが怪しいと思いますよママン」
「先輩!むしろこっちのほうが怪しいですよママン」
「なに言ってんだよ曾祖父さん!こっちだろママン!」
「うるさいな!曾孫なら言う事聞けよママン!」
いがみ合うジュベーズ。ジョニーズやランビーズとは様子が違うようだ。
「…ったくお前等うるせぇっ!次の場所は俺が決める!とっととついて来い!!」
ヤグはイラつきながらも次の場所へ向かう事にした。
「『黙って俺について来い』かぁ…男らしくて格好良いなぁ。さすがだ!」(×2)
憧れフィルターが発動してヤグの言葉を勝手に解釈して感激しているところだけは
そっくりなジュベーズだった。
- 76 :
- 「ん?」
リッポンの叫び声に振り向いたアモディオ・・・。
「ちょ、何やってんの・・・えぇぇぇ!?ストップ、ストーーップ!!!」
大慌てでジョニーズとリッポンを引き離す。
「た、たすか・・・た、ありが・・・「ここでセッボなんかやっちゃまずいでしょ!!」・・・は?」
真顔のアモディオ。何か壮大な勘違いをしているようだ。
「もう、ジョニーさんたちもさすがにわかるでしょ、あのプロはこんな所でやるべきプロじゃないって」
「・・・あの」
「・・・アモディオ、くん?」
「確かにみんなで脱げば怖くないけど、それはリンクの上でいろいろな照明や演出も整えて、初めて成功なんですよ」
やはり、アモディオもフランス男子。「みんなで脱げば怖くない」のだ。
しかし、なにやら「脱ぐ」にも彼なりのルールらしい。
「・・・気分がそがれたわ」
「そうね」
(よ、よかった、これで薔薇地獄から逃げられる・・・)
「薔薇の本場、フランスに移動しましょ」
「何で思いつかなかったのかしら」
(・・・・・・・・・orz)
泣き出したリッポンを意味もわからず慰めるアモディオ。
こんな見当違いなことを言ってみたりしている。
「どうでもいいけどさ、カナコを連れて行かない?花売りにはもってこいだよ?」
- 77 :
- 「ご指名ありがとうございま〜す!!!!」
当の佳菜子が花売りスタイルで広場に参上した。
「初代スレ以来なかなかで番がなくてヤキモキしてたんだよね〜」
ニコニコしながら話す彼女、既に準備は万端のようだ。
「ようこそあは〜ん」「女の子成分あはは〜ん」
ランビ〜ズは歓迎ムード。対するジョニズは警戒モード。
「た、助かった・・・」「カナコおひさ〜」
リッポンとアモは嬉々として彼女を向かいいれる。
「じゃあ、早速だけどパリだっけ?出発しましょう!!!」
「ちょっと!なにあんたが仕切ってるのよ!」「DIVAは」
「レッツGO!!!!」
「まって〜!!」
こうしてカナコの号令のもとDIVA一行はパリへ向かう。
- 78 :
- ヤグがWジュベに手を焼いている頃、プル&ガチ君と行動中のアンナは北極の光景に見入っていた。
「凄いわ…資料で見たけど、この時代の北極は本当に一面が氷に覆われているのね」
「そういえば、アンナさんの時代はここも南極も海になってるんですよね?」
「ええ。大量の氷がある場所といえば、ドーム都市のリンクか各国政府の管理する氷の貯蔵所ぐらいよ」
ガチ君の問いかけにアンナは頷いた。
「貯蔵所?そんなものまで出来てるのかい?」プルが不思議そうな顔をする。
「私達の時代では氷は貴重品だから…この景色を弟や残っている仲間が見たら驚くでしょうね」
「ねぇ、アレクセイはこっちには来ないの?」
「彼は全体を指揮する立場だし、財団を纏める役目もあるから残っているわ」
「そうか…彼には会えないんだね」
それを聞いて残念そうな様子のプル。
「あの子も来たがってたけれど、危険な事も多いし皆で説得してなんとか思い留まらせたの。
きっと今は向こうで自分の役目を果たしているはずよ」
あの……お言葉ですがお姉さん、弟さんこっちへ来る気満々ですけど?
- 79 :
- 「さあ、パリに到着です!皆さん脱ぎましょう!」張り切るアモディオ。若干、引く佳菜子。
「何言ってるのよ」「脱ぐ訳ないじゃない」とジョニーズ。
「え?だって、さっき…」
「あれはただのガガネタ、ツイッターネタでしょ?本筋はずれちゃってどうするのよ」
「そうそう、遊びは必要だけどバランスとってね」
「良かった…ジョニ姐に正気の部分が残ってた… ;」
ジョニ子の部屋別室inパリを設置。
室内なので勿論ジョニーズはパンイチだ。完全に引く佳菜子。
リッポン「脱いでるじゃん!やっぱり脱いでるじゃん!!」
ジョニ子「脱いでたって作戦会議は出来るわよ。ジョニー状況は?」
子ジョニ「あんまり進展ないわね。謎のスケパシーを調査するも今のところ手がかりなし。
作戦司令のアレクセイからも情報なし。さぼってんじゃないのかしら?
あっと、『ICE』を集めるイベントが発生してるわ。『ICE』とは(説明略」
「オッケー!そのイベント参加出来るわ。アダムつながりでオーサーに突撃よ!はい、アダムお姫様抱っこ」
「今回その役は僕ですか…ていうかジョニ姐太ったよね!?」
「失礼ね、10パウンドだけよ」「嘘だ!絶対もっと太ってる!」
「あんたレイチェルの時と態度違うわよ!いいからとっとと飛びなさい!
ステフ達はカナコとフローランの面倒みてやって!」
- 80 :
- 「サーシャ・・・・何するんだよ!」「お前がチャント仕事してるか見に来たんだよ!」
恨めしそうにサーシャ――アレクサンドル・ヤグディンを見つめる総帥プル。
「なかなか連絡がこないからどうしたのかな〜て思っただけだよ!」
「ほんとか〜?こっそり過去に行こうとしてたんじゃないのか〜?」
「ふふ〜んだ!」
そっぽを向くが、子孫ヤグにはばればれだ。
「まあ、そろそろ現地から報告がほしいところだな。お前から連絡すればいいじゃん。」
「ええ〜、この通信機旧式だからめんどくさ〜い。・・・・・サーシャやって!」
「ホントにお前は総帥かよ!」
そういいつつ通信機のスイッチを入れる子孫ヤグ、その間に総帥プルは時空移動の準備をこっそり始めていた。
- 81 :
- 謎のスケパシーを調査していた宇宙船組は、各地の調査を終えて集合していた。
「おかえり、そっちはどうだった?」プルは戻ってきたトラ達に声をかけた。
「・・・残念ながらどこも反応なしだったよ。」首を振るヌルメンカリ。
「こっちも空振りだ。全く何がどうなってんだか」
若干疲れた様子のヤグ。最も疲労の原因は後ろのWジュベに手を焼いた事もあるのだが。
「もうこれ以上探すところはないのかなぁ?」
北極の地図を見て考え込こむプル。すると。
「・・・・・・ここはまだ、探してない」
黙っていたADSLが地図のある場所を指した。
「アドリアン、そこには印はないぞ?」
訝しげなトラを他所にADSLはその場所の周囲をくるりとなぞった。
よく見てみれば、その周辺は北極全体に散らばったポイントからみてちょうど中央の地点だ。
「なるほど、全ての中心か・・・なにかあるかも知れないね」
「まぁここまで来たならついでに探してみるか」
頷く一同。というわけで一行はADSLの示した地点――北極点へ向かった。
- 82 :
- 2人のジョニ子を抱えて飛び去ったリッポン。
「アハンあっちの方向でいいのかなあ」
「服を着て行った方がよかったんじゃないでしょうか」
「大丈夫だよアハン。いつものことだから」
いちにちスレではDIVA組として行動を共にすることの多いランビには見慣れた光景だが
カナコには何もかもが初めての経験だった。
「あれ?アハハンそういえばこれ・・・」
脱いでたたまれたジョニ子の服のポケットからはみ出ていた未開封の封筒。
宛先は2010年のジョニー宛。差出人はアレクセイ・プルシェンコ。
そういえば>>41でプルシェンコ財団マークの封筒を受け取っていたが
ごたごたしていたので開けていなかった。
「アリョーシャからジョニーに渡せって、アンナが預かってたんだよアハハン」
「うーん、ジョニーが帰ってくるまで待っていようか。アハン勝手に開けるわけにはいかないしね」
「重要なことが書いてるかも!ジョニーさんを呼び戻して開けた方がいいですよ!」
「そうですよ。もしくは私たちが追いかけるか。ここでのんびりなんてつまらないです」
アモとカナコはやる気だ。目を輝かせてランビに詰め寄る。
(たまには女の子とのんびりしていたいのになアハンアハン)迷うランビ。
「お願いします!!」
ニコッと微笑むカナコ。これで決まった。女の子の満面の笑顔に逆らえるわけがない。
- 83 :
- 「エヴァン達、まだやってるの?」
「うわっ!?」
量産型エヴァ…もといライサと子孫達の群舞をポカンと眺めていた崇彦は、不意に声を掛けられて思わず飛び上がった。
振り返ると、唇を尖らせたデニス・テンの姿があった。片手に持っているのは枕ではなく、携帯電話。
「あれ、デニス。起きてたんだ」
「起きてるよ!」ますます不機嫌そうに頬を膨らませる。「練習できないから、アブザルと電話してた」
「アブザルって、ミキ達と一緒にモロゾフコーチの所にいる?」
未来の問いに、デニスは頷いた。
「けど、みんな連盟とかに呼ばれて、今残ってるのはアブザルと、あともっと年下の子ばっかりだってさ」
「ラトビアは大丈夫なのかな…んっ?」思いを馳せる崇彦の袖を、雪彦が引っ張った。
「崇じぃ、終わったみたいだよ。ほら!」
雪彦の指差した先には、横一列に手をつないだライサ達。凸凹のない、綺麗な直線だった。
- 84 :
- 先祖と子孫の夢の競演を終えたライサ一族。
リンクの上でみな抱き合って互いの喜びを分かち合っていた。すると
ポポポポン!
抱き合ったライサ同士がひとつになり黒い珠に変わった。
その珠をリンクに残ったライサが懐から出した黒磁石で一気に集めて、
ネックレス上になったそれを首にかけてキャロルたちに深々と頭を下げた。
「改めて、私は2110年の世界から来たエヴァン・ライサチェクの末裔・ギャヴァンです!」
「ど、どうも・・・」
シドロモドロになりながら返事をする崇彦たち。しかし、あのネックレスはもしかして・・・
「このネックレスは『チャッキーリング』と言いまして代々伝わる我が家の家宝なんです。」
「いや〜、前回ケヴィンから譲ってもらって遊んでたら分身出来るようになっちゃってさぁ、楽しいたらありゃしないよ!」
「・・・そうなんだ・・・よかったね」
棒読みで答える崇彦。まさかあのネックレスが再登板とは・・・ま、その件はここまでにしてキャロルコーチに向き直る。
「あの、佐藤先生から連絡が入ったと思いますが」
「ああ、『ICE』の件だね。ちょっと待っててくれ」
控え室へ入って戻ってきたキャロルの手には崇彦にとって見覚えのある本に握られていた。
「(タラソワコーチが貸してくれた本とほぼ同じ・・・・)」
「さて、この本について説明をする、心して聞くように。」
- 85 :
- 北極点へと向かった宇宙船組。徐々に近づくにつれて謎のスケパシーが再び届き始めた。
「……やっぱりここみたいだね」
「ああ、最初に感じたのと同じスケパシーだ。どうやら当たりらしいぜ」
頷くプルとヤグ。やがて北極点の直ぐ傍に宇宙船は着陸した。
外に出るとやはり人の姿は無いが、今度ははっきりとスケパシーが感じ取れる。
一体どこから発しているのか、スケート力を使って辿って行くスケーター達。
そして、遂にその場所は見つかった。
地球の最も北の地点。そこに広がる氷の下からスケパシーは漂っていた。
「よりによってこの下かよ?」困惑するヤグ。
とてもじゃないがこんな氷の下に生きた人間がいるとは到底思えない。
「まさかと思うが遭難した誰かが埋まってたりしないよなママン?」
「気味の悪い事言うなよ曾祖父さん、それじゃ本当に幽霊じゃないかママン」
言い合いながらも同じ動作で足元の氷を覗き込むWジュベ。しかし真っ白な氷の下では何も見えない。
でもスケパシーは今もはっきりとそこから発せられている。
「となると、後はこの氷を割って確かめるしかないね」
「でもこの氷は結構分厚いわ。どうやって割ればいいのかしら?」
アンナに尋ねられて考えるプル。さて、どうしようか…?
- 86 :
- 「氷を削ればいいんだママン!」
ジュベはルームランナーをやり始めた。
「あ!その技は…!俺だってできるぞママン!!」
バンビも先祖に負けじと走る。
「「さあ!リョーシャさんも一緒に…!!ママン!」」
キラキラとした目でヤグを見つめるWジュベ。
- 87 :
- トロントでは真央たちだけでなく、ユカさんの連絡で多くの北米スケーター達が集結していた。
「ICEの謎と北極・南極の調査・・・・いろいろやること多いわね!」
- 88 :
- >>82から1時間後―
とっくの昔にジョニーズ&リッポンのもとに向かってると思われたランビチームだったが、まだパリにとどまっていた。
「じゃんけんアハン!あっち向いて〜〜〜〜アハン♪」
「じゃんけんアハハン!あっち向いて〜〜〜〜アハハン♪」
どちらがカナコを抱えて飛んでいくかを巡って、ランビコンビの熱い戦いが繰り広げられているのだ。
勝負を見てるのもいい加減飽きてきたカナコ&アモは集まってきた野次馬に薔薇を売りつつ
この状況を打開する方法について考えていた。
- 89 :
- ぱらぱらと本の頁をめくるキャロル。固唾をのんで見つめる一同。…が
「あ、あれ?…白紙?」「何にも書いてないですぅ」「………zzz(ハッ、フルフル)」
「まあ、待ちたまえ。見ててごらん。…書物よ、お前はスケート力について知っているかね?」
すると白紙だった本の頁にうっすらと文字が浮かびあがってきた。
『YES』
「おおー!」
「それはいかようなものだね?」
しかし、今度は本は反応しなかった。崇彦「どういう事ですか?」
「うむ、どうやら私の本はYESかNOしか答えないらしいのだ。つまり…」
キャロルコーチは本を崇彦に手渡して言った。「ここから先は君たち若い選手の仕事だよ」
一方…
「やったー!オーサーの『ICE』を手に入れたわー!」
「すごーい、はやーい!巻き毛ちゃん、どうやったのよー!」
「どうって…ハァハァ普通に貸して下さいって丁寧に頼んだだけですよ…ハァハァ
っていうか、ジョニ姐さん達っ!そんなかかとの高い靴で走ったら転びますよっ!」
ジョニーズはオーサーの『ICE』を手に何故かセントラルパーク(勿論NY)を全力疾走していた。
- 90 :
- 「はぁ?何だよおまえら、何で俺が・・・」
Wジュベの双方向の熱い視線に一瞬たじろぐヤグ。だが期待に満ちた視線は止まらない。
「わかったよ!氷を削れば良いんだろ?・・・見てろよっ!!」
半分やけくそでお断りしまステップを繰り出すヤグ。
その後を寸分狂わず同じ動きでステップを踏んで続くWジュベ。
たちまち周辺に削れた氷しぶきが飛び散る。
「よし、僕たちも氷を削っていこう!」
負けじとプルが宇宙人高速ステップを駆使して、あっというまに氷しぶきを大量生産。
他のスケーター達もそれぞれのステップで北極の分厚い氷を一斉に削りにかかった。
- 91 :
- 「じゃんけんアハン」
「あいこでアハハン」
「ちょっとぉ、あの2人ってばなにやってんのよ」
「あっジョニーさん達、帰ってきたんですね。実は(ry」
「もう仕方ないわね〜カナコ達をほったらかしにしておいて……
好きなようにやらせておきなさい。それはそうと…ジャジャーン」
「あっ『ICE』。すごいっ!さすがですねっ」「噂以上に大活躍してるんですね。来てよかった!」
アモと佳菜子が尊敬の眼差しで2人のジョニ子を見つめる。
ちなみに真の功労者であるリッポンは2人を抱えて2度もクワドを飛んだ疲れで
ジョニ子の部屋別室のソファで横たわっていた。
「ふふんっアタシ達の手に掛かればちょろいもんよ」
「さて、任務も1つ完了したし、今日はこれで終わりでいいわよね。
アタシ2010年の世界を観光したいわ〜」
「あの…そう言えばこれを……」
佳奈子が封筒を差し出した。それを見て子孫ジョニ子が顔をしかめる。
「ああ、それは後でいいわ。いいってば、気にしないで。いーやっ開けなくていいんだってば。
とーにーかーく、観光に行くわよっ」
- 92 :
- 「…謎のスケパシーの正体ってこれか?!」
皆で氷を削りまくってようやく見つけた「それ」を見たトラは怪訝な顔をした。
他のスケーターも不思議そうに「それ」を見つめている。
結論からいうと「それ」は遭難して埋まった誰かでも、幽霊でもなかった。
長い間氷に埋まっていたらしく、所々損傷した箱。
中に入っていたのは掌に乗るくらいのサイズの水晶の塊のような物体だった。
そして例のスケパシーはその物体から発せられていた。
「……あれ?」
箱と謎の物体を調べていたプルが何かを見つけた。
「どうした、ジェーニャ?」
「リョーシャ…これに見覚えない?」
プルが箱の裏蓋を見せると、そこには殆ど消えかけているが文字のようなものが見える。
目を凝らしてそれを読もうとしていたヤグの表情が不意に険しくなった。
「おい、こいつは確か…!」
「そういうこと。ここは一度ロシアへ戻ったほうが良いかもね。あの人なら何か知ってるかもしれないし」
「あの人って…タラソワのところへ行くのか?」「そりゃ勿論。何か問題でも?」
「…おまえ、ホントにむかつく!」
こうして北極を後にした宇宙船は、一路ロシアのタラソワコーチの元へ向かった。
約一名機嫌の宜しくない人がいるが、細かい事は(ry
- 93 :
- 「もぅ〜遊びに行きたいの〜」
疲れはてていたリッポンだったが
あっち向いてホイを続けるランビーズを押さえ込み
観光に繰り出そうとするジョニーズを取り押さえ
エッフェル塔の真下に移動したジョニ子の部屋に全員を座らせた。
「はい、エッフェル塔が見えますよ。観光終了。
カナコの両脇に座ってるからお2人もそれで満足ですよね。
いいですか、今は一刻を争う事態が起きてるんです。
そのために未来から来たのを忘れないで下さい」
自分がしっかりしなければ誰がこの面子をまとめるんだ、
そんな思いを胸にリッポンは先程キャロルからの電話で聞いた
『ICE』の使い方をみんなに説明した。
「ワーオすごいわ」
「これは面白いねえアハン」
「使えるわ!さっきそこでこれを配ってたのよ」
「『ヨーロッパ縦断ウルトラクイズ』アハハン。飛び込み参加OKってあるね」
「この本さえあれば全問正解も夢じゃないわ」
「いやそうじゃなくて、これを持ってみんなの所へ行かないと」
「おもしろそうです!私、頑張ります」
「よしっ活躍できそうだ」
「賞金10万ユーロを目指して行くわよ〜」
「エイエイアハーン」
- 94 :
- リッポンはうとうとしながら、つい先程……オーサーから「ICE」を借り受けた時のことを回想していた。
「改まって何を言い出すかと思えば、そんなことか。いいよ、持って行きなさい」
「ありがとうございます」
薄く埃を被った箱から「ICE」を取り出す時まではニコニコしていたオーサーだったが、
それをいざリッポンに渡す段になると、突然真顔になった。
「? …ブライアン?」
「アダム。『ICE』を貸す代わりに、ひとつ頼みたいことがあるんだ。
もしも、彼女に会ったら。そして彼女が困っていたり、悲しんでいるようなら、どうか」
「ちょっとアダム! まだ終わらないのー?」
ドアの向こうからジョニー(ジョニ子なのか子孫ジョニーなのかは分からなかったが)の呼ぶ声がした。
「あ、はい! 今行きます!」
オーサーの頼みは、最後まで聞かなくとも理解できた。
任せてください、と親指を立ててみせ、リッポンは一礼してオーサーの部屋を出た。
「そうだ、アタシ素敵なカフェに行きたいわ! 曾祖伯父さまの時代のカフェはどういう感じなのかしら?」
「ちょっとジョニー、その呼び方はやめてよね。連れてってあげないわよ」
隣から聞こえてきた会話は、「ICE」とまったく関係がなさそうなものだった。
- 95 :
- 「さあ着いたわよ。巻き毛ちゃん寝てる場合じゃないわよ」
「DIVAジョニ子チーム7人一組でエントリーしまーす」
(あーあ、クイズへの出場が夢だったらよかったのになあ)
ハイヒールで全力疾走をしながら会場へ向かう後ろ姿に
リッポンは溜め息をついた。
- 96 :
- と、先頭を走っていたジョニ子がすっ転んだ「きゃああああ!」
はずみで『ICE』が宙を舞う。
「うわあああ!」慌ててダイブして本を守るアモディオ(よし!活躍した!)。
「ジョニ姐さん!気をつけて下さいよ!」「何よ!転んだ先輩をいたわる気持ちはないの!」
「ん?あれ?」
アモディオが何かに気付く。
「ねぇ、アダムちょっと…!これ…、本じゃないよ、隠し箱になってる!」
- 97 :
- 「やぁ、待たせたね!ユカ。」「遅いわよ!カート!」
ちょっとおどけ表情を見せながらユカに本を渡す。
「これが僕の持つ『ICE』だ。丁重に扱ってくれよ。」
「わかってるわ、ありがとう。お借りしますね。」
受け取った『ICE』をパラパラとめくってみるが、
「なあに、これ?何も書いてないけれど?」
「そう、この本は読み物ではないから文字は書かれていない。」
「どういうこと?」
「この本は『もう一人のカート・ブラウニング』。つまり僕の分身と思ってくれていい。」
「つまり、人間と同じように扱え。と言うことかしら?」
「まぁ、単純にはそういうことだ。ただし、行き成り『ICE』のことを聞き出そうとしても無理だよ。」
「どういう意味?」
「人間のように扱え、ということはそれと同じコミュニケーションをとれということ。
これ以上のことは僕は言えないけどユカならわかるよね。」
「・・・いろいろ厄介ね。」
「なあに、僕も手伝うよ。なんたってあれだけ多くのスケーターがいるんだからね。」
「そうね、シゴキ・・じゃなくて鍛えがいもあるもんだわ。」
ゆかさんはそういって、トロントに集まった北米と日本のスケーターたちを見てニヤリと笑った。
- 98 :
- ピーーッ♪
アンナの腕にはめられた通信機から呼び出し音が鳴った。
「なに?今の音?」
「アリョーシャからだわ。丁度良かった、こちらの状況を伝えておきましょう」
プルに答えながら通信機のボタンを押すとアンナは相手に話しかけた。
「もしもし、私よ・・・あら、サーシャなの?・・・ええ、北極で気になるものを見つけたの。今タラソワという方のところへ移動中よ」
(ああっ!サーシャさんが通信に!!だったら俺が報告したのに!)
その様子を見て密かに悔しがるバンビ。
「・・・ところで、アリョーシャはそこにいるの?ちょっと代わってくれるかしら・・・・・・え、どうかしたの?」
返答を聞いたアンナの顔色が変わった。
「何ですって?アリョーシャがいなくなった?!」
- 99 :
- その頃。トロントに着いたチーム・ジャパン+バトルは
なぜか『ICE』の調査そっちのけで滑って滑って滑り倒していた。
信成「うわすごい、大ちゃんの4F!もう試合でもバリバリ飛べるやろ!」
大輔「いや、まだまだ練習せんと。真央ちゃんの3Aも高いな〜」
真央「やっぱり一日一回はリンクで滑らないとね!」
バトル「マオは相変わらず練習の鬼だな」
一方、呆然としているのが子孫組。
ブルマ「嘘でしょ・・・これが百年前の、改良前のスケート靴なの!?
皆、こんな重い鉄のブレード付の靴でどうやってジャンプしてるのよ!」
モロゾフ「まだ僕らの時代の靴のように軽量化されていないのさ。
しかし参ったな、これじゃ満足にステップも踏めやしない」
信太「オラはノービスの時にこれでジャンプの練習してたぞ。
DBの悟空が亀の甲羅背負って修行してたのとおんなじようなもんだな。
それっ・・・あーやっぱりこの靴じゃオラも3回転が限界だな、
じいちゃんたちにオラの5A-5T-5Loを見せたかったのに」
ブルマ「なんですって、それを言うなら私の専売特許6Sを・・・」
モロゾフ「やめなさい、ここで未来の靴を使ったらこの時代の人々に怪しまれる」
ブルマ&信太「「はぁ〜い」」
大輔「じょ、女子なのに6S・・・6回転のことか?」
信成「15歳で5A-5T-5Loって・・・」
真央「百年後のフィギュアスケートって、そんなハイレベルなの!?」
今度は先祖組が呆然とする番らしい・・・・・・
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