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2013年04月ニュー速VIP+146: 魔王「私が勇者になる……だと?」 (285) TOP カテ一覧 スレ一覧 2ch元 削除依頼
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魔王「私が勇者になる……だと?」


1 :2013/04/01 〜 最終レス :2013/04/07
側近「なる、て言うかなれ、だな」
魔王「拒否する権利は」
側近「ねぇけど?」
魔王「……ああ、そう」
側近「そこ!」
魔王「は?」
側近「お前は昔からそうだ。諦め早すぎる!」
魔王「……私は、不必要なもめ事は好まない」
側近「お前何!?ねぇ、何!?」
魔王「……魔王、だが」
側近「だろ?ねぇ、魔王だろ!?」
魔王「まあ」
側近「魔王ってのは、ね!?無意味に人間滅ぼそうとしたり、世界滅ぼそうとするもんだろ!?」
魔王「知らんよ」
側近「……はあ、もう」
魔王「ため息を吐きたいのは私の方だ。私は曲がりなりにも魔王だぞ?」
側近「そうだね。日がな一日本読んだり、料理してるけど魔王だね!」
魔王「……本を読むのは良いことだ。料理だって、やっていれば上手くなる」
側近「そりゃね。最初、卵焼きだって言って消し炭持ってきたときは吃驚したがね」
魔王「最近はケークサレに凝ってるんだが」
側近「この間のほうれん草とサツマイモの奴は上手かった」
魔王「あれは自信作だ」
側近「チーズが入ってたら……って、そうじゃ無くて!」
側近「だーかーら!お前、魔王なんだから魔王らしく、ちょっとはさぁ!」

2 :
魔王「魔王らしく勇者になれ、ってのは……おかしいだろう?」
側近「敵を欺くにはまず味方からって言葉知ってるか」
魔王「……人には器と言う物がな?」
側近「哀れんだ目で見るなあああああ!何も考えなしで言ってるんじゃねぇから!」
魔王「そうなのか?……破れかぶれなのかと」
側近「お前ねぇ……」
魔王「理由があるなら聞こう。理由と言うか……策、か」
側近「お前が魔王らしくない理由は?」
魔王「……私は魔王だと言っているだろう」
側近「いや、だから……ああもう面倒臭い。とにかく、魔王軍の俺たちとしてはな?」
側近「もうちょっと、こう、威厳を見せて欲しい訳だ」
魔王「はぁ」
側近「……そりゃ、確かに?攻め込んでくる人間も居ないしな?」
側近「この、阿呆みたいに平和な世の中で、争いなんてこれっぽちもありゃしねぇ」
魔王「そうだな。人間と魔族の争いの話しも、ここ数十年聞いていないな」
側近「30と3年な」
魔王「……細かいな」
側近「そりゃ小競り合い程度はあるぜ?知能もないに等しい奴らが人間襲って食ったりさ」
魔王「人間は雑食だから不味そうだけどなぁ……肉堅そうだし」
側近「料理の話じゃないから!」

3 :
期待

4 :
紫煙

5 :
wktk

6 :
こわけしてほしいな

7 :
魔王「……すまん」
側近「まあ、なんて言うか……素直なのは良いことだがね」
側近「俺とか、お前をよく知る奴……お前の近くに居る奴はな?」
魔王「うん?」
側近「ぶっちゃけ、お前がすげぇ強いのは知ってる訳だ」
魔王「まあ……うん」
側近「それこそ、魔王の名にふさわしい……って、解ってるさ。でもな?」
魔王「うん……?」
側近「先代とお前が交代したときは、先代が勇者に敗れた訳でも」
側近「転成したらお前が魔王としてここにいましたー、でも」
側近「ないわけで?」
魔王「まあ……親父は寿命だったからなぁ」
側近「そういう事。代替わりの儀式が、親殺しって事実を」
側近「知ってるのは……古参の奴らだけだ」
側近「で、そう言う奴らは、寿命でくたばっちまったか」
側近「まあ……所謂、穏健派、って奴だ」
魔王「穏健派?」
側近「便宜上な……ま、もう解るだろうけど」
側近「言うなれば、過激派って言える奴らが居る訳だ」

8 :
魔王「過激派……」
側近「これが、さ……『人間共滅ぼすぞ!おー!』ならまだ良いわけよ」
魔王「矛先は私か?」
側近「そういう事。力で決着着けましょうや、魔王倒せば俺が時期魔王でいいじゃん?」
側近「……なんて、不届き者の集まりが、過激派」
魔王「それと私が勇者になるって話とどう繋がるんだ」
側近「まあ、実際あいつら、お前の力をなめまくってくれちゃっては居るんだが」
側近「数が、なあ……」
魔王「そんなに?」
側近「まあ、隊長クラスほぼ全員プラス、そいつらの部下山ほど?」
魔王「……うーん」
側近「正直、お前が負けるとは思わないんだが」
魔王「だったら、別に良いだろう」
側近「あーほーう!」
側近「魔王軍の実力者クラスが根こそぎ居なくなった時に」
側近「人間の方から攻め込まれたらどーなるとおもってんの!?」
魔王「いや、私一人いれば大丈夫だろう、多分」
側近「……負けるとは思わない、といっただろ?以上でも以下でもないんだぜ」

9 :
魔王「……無傷では流石にいられないか」
側近「ついでにだな。俺だって、人間とこのまま、共存だとかなれ合いとかは御免だ」
側近「御免だ、が!」
魔王「が?」
側近「このバランスの取れてる感じは良いと思ってる訳」
側近「勇者が居て、人間共が力をつけてきた訳で無く」
側近「こっちとあっちで我関せず。その点に関しては、お前の力は大きいと思ってるんだ」
魔王「……ありがとう」
側近「……俺は、正直人間は好きじゃねぇからさ」
側近「でも別に、根絶やしにまでする必要もないと思うし」
魔王「それ、親父の受け売りだろう」
側近「まあ……そうだな。産まれた時から可愛がって貰ったからな」
魔王「………」
側近「まあ、だから俺にとってもお前はとっても大事な人な訳です」
魔王「衝撃の告白」
側近「俺に同性愛の趣味はねぇよ!」
側近「とーにーかーく! ……ったく本当にお前は話逸らすの得意だな」
魔王「ありがとう」
側近「褒めてねえええええ!」

10 :
魔王「褒めてくれたのは嬉しいんだが、全く最初の話に繋がらないんだって」
側近「褒めてねぇって!……だから、ああ、何だったっけ?」
魔王「歳か?側近……」
側近「哀れんだ目を向けるな!えっと、だから!」
側近「人間側から勇者が出れば、過激派の奴らもお前をどうこう言ってる場合じゃないだろうし」
側近「緊張状態にはなるだろうが、お前が勇者であれば、魔王は倒される事はないし!」
魔王「何で?」
側近「阿呆ですか!?魔王はお前だろ!?」
魔王「え……魔王の侭で勇者になれるの?」
側近「ああああああ、もう!言い直します!勇者の振りをして旅してこい!」
魔王「なんだ。最初からそう言えば良いのに」
側近「疲れた。スゲェ疲れた。ありえねぇぐらい疲れた」
魔王「やっぱり歳か?」
側近「Rぞお前………嘘ですごめんなさい」
魔王「うん、解ってるよ。お前じゃ無理だし」
側近「笑顔で言うな。解ってるけどちょっぴり傷付く」
魔王「面倒臭い奴だねぇ」
側近「お前にだけは言われたくねええええええええええええええ!」

11 :
魔王「しかし、本物の勇者が現れたらどうするんだ?」
側近「勇者の世界は実力勝負だろ?お前に勝てる奴なんか居ないって」
側近「あんなもん、名乗ったモン勝ち。従って、お前が勇者で問題無し」
魔王「……そんな簡単に行く物か?」

12 :
ちょっと離席、ごめん
後ほど来れたら後ほど!

13 :
>>12
待ってるぞ

14 :
新作キター
期待してるよおば……ねーさん!

15 :
C

16 :
おばねーさん好きです!

17 :
拒否権は無いんだなの人?

18 :
シリアス、ホラーときて、今回はコメディかな?
バッドエンドに期待

19 :
期待

20 :
まってた

21 :
BBAきた!

22 :
アラビアンナイト系BBAきた!

23 :
おはよう!面接までー!

24 :
側近「……ちょっと聞きたいんだけど」
魔王「何?」
側近「お前、勇者って何か知ってる?」
魔王「馬鹿にするな。それぐらい知ってる」ムッ
側近「そりゃすまん……で?」
魔王「光に選ばれた伝説の勇者って奴だろ。書庫の本で読んだ」
側近「え?」
魔王「え?」
側近「……ま、まあ、お前が産まれてから、争いが起こってないし」
側近「目立った勇者が出てきてないからな。しかたないけど……」ブツブツ
魔王「ハッキリ言え」
側近「お前が読んだってのは……あー……」
魔王「魔王が世界を滅ぼそうとしたときに、光の中から颯爽と現れて」
魔王「ばったばったとモンスター共をなぎ倒して、伝説の剣で魔王を倒すんだろ?」
側近「……良し。話をしよう。取りあえずお茶の用意をさせようか」
魔王「?? ……私はコーヒーとラズベリータルトが良いな」

25 :
……
………
…………
側近「えーとりあえず」
魔王「うん」モグモグ
側近「そもそも勇者なんて称号は後付けで」
魔王「そうなのか?」
側近「考えてもみろ。『勇者だから魔王を倒す』訳じゃなくて」
側近「『魔王を倒したから勇者と呼ばれた』んだって方が自然でしょうが」
魔王「んー、どっちでも良い」
側近「そういうこと言うな……まあ、いつの間にか強い奴が出てきたら」
側近「勇者って呼ばれる様になっちゃったんだがな」
魔王「へぇ」
側近「だから、勇者の振りして旅をしろってのも本来は語弊があるが」
側近「わかりやすいかと思ったんだがな……」
魔王「ちょっと待て。って事は、勇者ってのは一杯居るのか?」
側近「そりゃ勿論」
魔王「……何で?」
側近「A村の英雄=勇者様。B国の一番強い人=勇者様、ってなってけば」
側近「ごろごろ居る事になるだろ?」
魔王「ほう」
側近「だから、お前は実力は本物なんだから」

26 :
側近「旅をして、困ってる奴を助けてる間に」
側近「自然とそう呼ばれる様になる筈だ」
魔王「……魔王が人助けをするのか?」
側近「さっきも言っただろ、この状態って結構良い筈なんだ」
側近「だから、それを保てる様にしたい訳。俺はね」
魔王「お前含め穏健派……って奴らは、だな」
側近「まぁな。そりゃ腐っても魔族だからな。血の気の多い奴も居るけれど」
側近「争いになりゃ、人間も魔族も、無駄に命を落とすことになるからなぁ」
魔王「ふむ……」
側近「そりゃ、お前が人間を滅ぼして……とか言い出したら」
側近「誰も反対はしないだろうけどな」
魔王「そうなのか?」
側近「そりゃそうだろ……お前は、魔王なんだから」
側近「俺たちの王。従うのは当然さ……そりゃ、100%全員がそうとは限らんけど」
側近「お前に威厳を見せろ、って言ったのは、だな」
魔王「うん?」

27 :
側近「なんもしないからだ」
魔王「そんな事は無いだろ」
側近「読書とか料理とかじゃないから!」
魔王「えー」
側近「頬を膨らますな……あのな?」
側近「滅ぼすわけでも、共存の道を取るわけでも、この今の我関せずの状態を保とうとも」
側近「お前は宣言の一つすらしてないだろうが!」
魔王「でも、親父が死んで私が魔王になってから」
魔王「ずっとこの状態が続いてるじゃないか。良いことだとは私も思うよ?」
魔王「だからって、それを私が『魔王として』決めてしまうのはどうかと思うんだよ」
魔王「人も魔も、それぞれの意思で自然にそういう風になれば一番良いじゃないか」
側近「そりゃもっともだけどな?でもこのまま放置しとくと」
側近「……過激派の奴らが、やばいんだって」
魔王「で、私に勇者になれ、か」
側近「まあ、そういう事だ」
魔王「しかしなぁ……人助けとか……」
側近「気負う必要は無いさ。お前なら……まあ、あれだ」
側近「普通にしてたら、それで充分だと思う」
魔王「??」

28 :
側近「争いは好まないんだろ?」
魔王「まあ、そりゃ」
側近「えーと。だからまあ、気にせず旅して来い。旅行だ、旅行」
魔王「だったら私が魔王って事を隠すだけで良いじゃないか」
側近「勇者って言われれば牽制になるって言ってんだろーが!」
魔王「上手く行くのかねぇ」
側近「俺だって動くさ……人間側の方に潜り込んで、何か企んでる奴も居るからさ」
側近「そういう不穏分子を、まあ……ちょいっと潰しては欲しいがな」
魔王「……私がやるのか?」
側近「それぐらいはやりなさい!」
魔王「んー……」メンドクサイ
側近「面倒じゃない!良いのか?お前の地位が過激派に奪われたら」
側近「……多分、全面戦争だぜ?」
魔王「それは……もっと面倒臭い」
側近「だろ?良し。じゃあ準備するぞ」
魔王「待て。まだやるとは言ってない」
側近「ここで返事を保留すると、お前はまた何時までも動かないからな」
魔王「……魔王に命令するのなんて、側近ぐらいだ」
側近「じゃ無きゃ俺がこの地位に就いてる意味無いの」

29 :
魔王「しかし……私が不在の間はどうするんだ?」
側近「瞑想中とでも言っておくさ」
魔王「うわ適当」
側近「阿呆。それで良いんだよ!」
側近「瞑想中って事は、力を貯めてるって事だろ?」
魔王「それも牽制か」
側近「そういう事。それに俺はここを動かねぇし……ってか、動けねぇし、流石に」
魔王「お前……一人で大丈夫か?」
側近「腐っても側近ですから」
魔王「私の一人旅か……」
側近「気楽で良いだろ?てか……普段、城から離れる事も無いんだし」
側近「ま、気負わず頑張ってくれよ」
魔王「うーん……」
側近「何だよ。まだ何か不満か?」
魔王「いや、何着ていこうかなーって」
側近「……そんな姿で言わないで」
魔王「何だよ。私の容姿は悪く無いはずだ」
側近「そりゃ先代魔王は男前だったからね。お前そっくりだからね。でもそうじゃなくてね!」
魔王「?」
側近「男が言う台詞じゃねぇって言いたいいんだよ!阿呆!」

30 :
朝ご飯のスコーンを作ってくる(・ω・)

31 :
乙!
いってらー

32 :
時間なくなっちまったorz
面接に出発してくる!

33 :
いてらー

34 :
スコーン(・ω・ )

35 :
スコーン!スコーン!

36 :
今ごろ上司とスコーンバッコンしてるんだろうなw
Rに弟かw

37 :
面白いけど1レスが長い

38 :
期待

39 :
面接なのに上司って何だよwww
受かってからだろ上司になるのはwww
そんですこーんばこーんしねぇよ!!
R一人で手一杯!www
取りあえず、Rに乗っ取られるまで少しだけー

40 :
期待(・ω・)スコーン

41 :
魔王「旅行に出るんだから別にそれぐらい楽しみにしたって良いだろう」
側近「……勇者って言われても不自然じゃないようにしてくれよ?」
魔王「俺の見た目は人間と変わらんから大丈夫だと思うが」
側近「服装の話!」
魔王「まあ、流石にこのままでは行かないさ。ローブじゃ動きにくいしな」
側近「当たり前だ。そんな上から下まで真っ黒じゃ、怪しすぎるわ」
魔王「何だ。黒は駄目なのか」
側近「別に駄目じゃねぇけど」
魔王「じゃあ、白金の鎧に赤いマントとかどうだ」
側近「……旅人っぽい服装じゃ駄目なの?ねぇ、駄目なの?」
魔王「鎧格好良いじゃないか」
側近「今のローブと大差無い!」
魔王「怪しくはないだろう?」
側近「悪目立ちするのは一緒だろうが!何処の国の騎士様ですか!」
魔王「注文が多いなぁ」
側近「俺が用意するから、文句言うなよ!絶対!」
魔王「拒否権は……」
側近「ありません!」

42 :
裸エプロン

43 :
……
………
…………
魔王「……これ?」
側近「これ」
魔王「確かに動きやすいけど……」
側近「勇者、として旅に出るんじゃなくて、あくまでもそう言われる様な感じで!」
魔王「どこからどう見ても旅の剣士にしか見えない……」
側近「だから、それで良いんだって何度言えば!」
魔王「あれ、側近……私の剣は?」
側近「こっち持ってけ」
魔王「なんだこれ……ただの鋼の剣じゃないか」
側近「お前のあの禍々しい剣を人前で振り回す気だったなんて流石に言わないよな?」
魔王「……言わないから、そんな泣きそうな顔するな」
側近「俺の胃に穴が開いたら責任取れよ」
魔王「私は回復魔法は使えないぞ?」
側近「そうだね!知ってる!けどそういう意味じゃなくてな!」
側近「……ああ、胃がいてぇ」

44 :
吃驚って漢字すきだね

45 :
魔王「旅に出ろって言ったのはお前なのに……」
側近「考え無しで言った訳じゃないが、こんなに苦労するとは思わなかった」
魔王「まあ、良い。バカンスだと思って楽しんでくるとするか」
側近「仕事は忘れるなよ」
魔王「仕事?」
側近「解った。もう一回一から十までぜーーーーーんぶ説明してやるから」
側近「そこ座れ。終わるまで飯抜きな」
魔王「ごめんなさい、解ってます」
側近「本当か?」
魔王「過激派沈めて来れば良いんだろ」
側近「おう……頼むぜ?」

46 :
Rに乗っ取られますorz

47 :
NTRkwks

48 :
YO!JOE!!

49 :
魔王は私なのか俺なのか

細かくてごめん
気にしないで

50 :
俺は美少女系美男子で想像してる

51 :
お母さんと呼ばせてください

52 :
乗っ取られるのはわかっとるわ、まとめて書きため出来んわだったらss速報行けよ

53 :
まとめて書き溜めなくてもいいぜ
のんびりやれや

54 :
のんびり待つよー

55 :
ゆっくりでいいぞ
スコーンBBA

56 :
>>49
ごめん、私!
気をつける!
ありがとー!
>>51
んなでっかいの産んだ覚えはないわー!!www
あとのんびり言うてくれてありがと!
頑張る!

57 :
魔王「じゃあ……行くか……っと」
魔王「どうどうと出て行ったらまずいんだったな」
側近「お。良く解ってるじゃないか」
魔王「お前は私を何だと」
側近「取りあえず、玉座の奥の間に入って内側から鍵かけて」
側近「ついでに封印していってくれ」
魔王「……そこまでするのか?」
側近「もっかい説明しましょうか、魔王様」
魔王「側近の笑顔が怖い」
側近「解ったらさっさとやれ。んで転移してけ」
魔王「どこが普通の旅なんだか……」
側近「人に見つからない様なとこに飛べよ!」
魔王「はいはい……しかしな、どこ行くかな」
側近「あ。出来れば定期的に連絡欲しいんだが」
魔王「……お前は結構、さらっと無茶言うよな」
側近「お前なら簡単だろ」
魔王「だから、お前は私を何だと」
側近「魔王以外の何だと」

58 :
魔王「……定期的に連絡って言ってもだな」
側近「ん?」
魔王「どうせ、その過激派とやらに気取られない様にとか言うんだろ」
側近「当たり前だろ」
魔王「ふむ……仕方ない」ス…
側近「何するんだよ、変なポーズして……うわッ!?」
グチャ、ズル……
側近「うああああああああああああ、おま、お前何を!!!」
魔王「はい」ポイ
側近「ちょ、なんで投げるの!」ガシ!
魔王「食え」
側近「………はぁ!?」
側近「何やってんすか、ちょ、ぬるぬるするし!」
魔王「だから、食えってば」

59 :
読みにくすぎる

60 :
側近「あのな、いきなり躊躇無く自分の目に指突っ込んで」
側近「めんたま引っ張り出して、人に放り投げてしかもそれ食えとか」
側近「何なのそれ、何の罰ゲームなの!?」
魔王「ああ、もうウルサイ」ヒョイ。グリッ
側近「ちょ、む、………ッ ぐっ……」
魔王「良いから飲み込め」
側近「げほッげほ……ッ」
魔王「これで誰からも悟られず、お前が望めば私の見た全てを」
魔王「見る事ができる……後で返せよ」
側近「……な、なんなのその、無茶苦茶なの……」
魔王「魔王だからな、私は」

61 :
お昼ご飯の用意をしてくるー

62 :
乙!
いってらー

63 :
目玉焼きつくるのかな

64 :
oh…

65 :
多分とても肉肉しい目玉焼きだな

66 :
いいなあ…俺も食いたい

67 :


68 :
い、いつまで昼飯用意してるんだ!

69 :
1さんの家ではまだ昼なんだよ(震え声

70 :
側近「見るってどうやるんだよ……」
魔王「集中すれば見れる」
側近「本当にお前は規格外だな……」
魔王「そうか? ……あ、すまん側近。眼帯かなんかくれ」
側近「治せないのかよ!」
魔王「私は治癒魔法は使えないと言っただろう」
側近「あー……ちょっとこっち向け」パァア
側近「……良し。傷は塞いだ……が、目立つな」
魔王「便利だな、お前」
側近「……お前にだけは言われたくないよ。ほら、この布でも巻いとけ」
魔王「ん……で?次は何だっけ。鍵と封印か」
側近「ああ。こっちだ」カチャ。キィ
魔王「良し、じゃあ……」
側近「待て待て待て!俺出てからじゃないと!」
魔王「え?」
側近「え、じゃネェよ!俺まで閉じ込めてどーすんの!」
魔王「あ、そうか」

71 :
側近「頼むよもう……」
魔王「んじゃ、いってきます」
側近「どこ行くか決まったか?」
魔王「南の方かな」
側近「またアバウトな」
魔王「まあ、楽しんでくるさ……じゃあな」パタン。カチャ。
側近「……なんかどっと疲れた……ッ」
側近「扉越しでもスゲェ力感じるなぁ……本当に規格外なんだから!」
側近(後は……上手くやってくれよ)
……
………
…………
シュウン……
魔王(キョロキョロ)
魔王「森の中……か。誰も居ないな」
魔王「さて……ここは何処だろうな」
??「誰!?」
魔王「ん?」

72 :
??「……どうして、こんな所にいるの」
魔王「ああ、えっと……」
魔王(さて、どうする……ん、この娘……)
??「答えて!」
魔王「……すまん、覚えて無いんだ」
??「え?」
魔王(とぼけるが勝ち)
魔王「気がついたら、ここに居た。ここは……何処だ?」
??「………」
魔王(流石に怪しいかなぁ……)
??「ここは……とある、森の外れ。人が立ち入れる場所じゃないわ」
??「……でも、貴方人じゃないわね」
魔王「……エルフの森か?」
??「!」
魔王(聞いた事があるな。地上で有り地上でない、この世の物とは思えない楽園……だったか)
魔王「私は……あー……少年、だ」
??「名前は覚えてるの?」
魔王「一応……人で無いのも自覚してるつもりだ」
??「そう……」

73 :
魔王(この娘……エルフだな。人の気とは随分違う。しかし……?)
??「エルフの森には入れないわよ。道は閉ざされた」
魔王「閉ざされた?」
??「………」
魔王「……私に聞かす話ではなさそうだな」
??「貴方も……早く、どこかに行く事ね」
??「エルフは、人に干渉する事を嫌う」
魔王「私は人では無いがな」
??「余計に、よ」
魔王「しかし……道も何も解らないんだがな」
??「随分力を持った魔族見たいじゃないの。どうにだってなるでしょう」
魔王(まあ、その通りなんだけど)
魔王「……名を聞いても?」
??「どうして私が、貴方に名乗らなくちゃいけないの」
魔王「……まあ、そうだけど」
魔王「私は名乗ったぞ?それに、先に名を聞いたのはお前……君だろう」
??「……姫よ」
魔王「姫、な。随分……具合が悪そうに見えるが。それに……なんでそんなにびしょ濡れなんだ」
姫「平気よ……逆に聞きたいわ。さっきまであんなに雨が降っていたのに」
姫「貴方はどうして濡れて無いのよ」

74 :
魔王「……なんでだろうな」
魔王(転移してきたから、とは言えないなぁ)
姫「ああ、覚えて無いんだっけ……」フラ
魔王「おい……足下ふらふらじゃないか」ガシ
姫「触らないで!……あ……ッ」クラ…
魔王「無理せず休め。そんなか細い身で、森の中を行く気か?」
魔王「……何でエルフの森に戻らない?」
姫「言ったでしょ……道は、閉ざされ……」
魔王「……すまん、喋らなくて良い」
魔王(随分辛そうだ……外傷はなさそうだが……病か?)
姫「……早く、ここから……離れ、な……きゃ……」ハァハァ
魔王(身体が随分冷えているな……仕方ない)ヒョイ
姫「きゃ……ッ 何するのよ!」
魔王「歩けないんだろう」
姫「だ、だからって……抱えないで……よ……!」
魔王「離れなきゃ行けないんだろう?」
姫「………ッ」
魔王「方向だけ教えろ」
姫「……ここから、遠ければ何処でも」
魔王「ふむ……」
魔王(魔物の気配はあまりしないが……できれば安全な方向に、だな)スタスタ
姫「……お節介。お礼は言わないわよ」
魔王「黙ってろってば」

75 :
……
………
…………
+   +
  ∧_∧  +
 (0゜・∀・)
  ワクワクテカテカ
 (0゜∪ ∪ +
 と__)__) +
…………
………
……

76 :
姫「………」
魔王(こっちか……ん、これは……)スタスタ
ザァ……!
姫「……綺麗」
魔王「ああ……」
魔王(空気も汚れて居ない……ここなら、休めるか)
魔王「ここなら魔物も来ないだろう……下ろすぞ」
姫「ん……こんな場所、あったのね」
魔王「おま……君、エルフだろう。知らなかったのか?」
姫「エルフは、エルフの森から出る事は無いわ」
魔王「……君は?」
姫「………」
魔王「まあ、良いか……少し休め。しかし……先に身体を拭いた方が良いか」
姫「……ありがとう」
魔王「礼は言わないんじゃなかったのか」
姫「気が変わったのよ」
魔王「ふぅん……」キョロキョロ
魔王(苔に……小さな花。木漏れ日が射して、木陰には爽やかな風)
魔王(……絵本の中の世界だな)
娘「………」スゥ
魔王「娘? ……眠ったか」
魔王(私は治癒魔法は使えないしな……体力に任せるしかないな)

77 :
魔王(ふむ……)スタスタ
魔王(お、これは……薬草か)プチ
魔王(こっちも……と)プチプチ
魔王「薬草の宝庫だな……素晴らしいの一言に尽きる」
魔王「これは……ふむ」プチプチ
魔王「良し、これだけあれば……」
魔王(後は枯れ木を集めて……火をつけて、と)ボッ
魔王(器になるような物は……無いか、流石に)
魔王(……この、太い枝を使うか)ボキッ
魔王(ナイフ……鋼の剣しかない)
魔王(うーん)
魔王(仕方ない、魔法で)エイッ
魔王(良し。これで湯を沸かして……)
……
………
…………
パチパチ……
娘「……?」パチ
魔王「起きたか」
娘「暖かい……これ、貴方が?」
魔王「まあ」

78 :
娘「……良い匂い」
魔王「ほら、飲め」
娘「これは?」
魔王「薬草を煎じただけだが……身体は温まるだろう」
姫「充分暖かいわ」
魔王「内側からも暖めた方が良い」
姫「……」
魔王「そんな顔をするな。変な物は入れてないさ」
姫「……」コク
姫「……美味しい!」
魔王「そりゃ良かった」
姫「どこから……こんな物持ってきたの」
魔王「まあ……魔法って奴だ」
姫「……素直なのね」
魔王「お……君には魔族だってばれてるみたいだしな」
姫「お前で良いわよ」
魔王「すまん……」
姫「魔族って言うのは随分……便利なのね」
魔王「私は規格外らしいからな」
姫「規格外?」

79 :
この時間に料理とか聞くとお腹がすく

80 :
魔王「まあ……魔族の中でも力が強い方だからな」
姫「そう……でしょうね」
魔王「わかるのか?」
姫「え?」
魔王「さっき、私を見てすぐに人間じゃないと見抜いたな」
姫「……貴方だって、エルフの森だとすぐに言い当てたじゃないの」
魔王「知識として知っていただけだ」
魔王「地上であり地上でない、この世の物とは思えない楽園」
姫「………」
魔王「本当にあるとは思わなかったが。しかし……美しい場所だ」
姫「本当のエルフの森は、もっと美しいわ」
魔王「え?」
姫「言ったでしょう。道は閉ざされた……ここは、エルフの森じゃない」
姫「エルフの森に、魔物の気配なんてしない」
魔王「……じゃあ、ここは?」
姫「………」
魔王「まあ、言いたく無ければ良い」
魔王「それを飲んだら、もう一度休め。身体に触る」
姫「もう平気よ」
魔王「……変な物も入れてないし、何もしない」
姫「魔族の言葉なんて信じられないわ」
魔王(その割には素直に飲んだくせに……)
魔王「身重の娘をどうこうする様な悪趣味じゃないよ、私は」
娘「!」
魔王「失いたくないなら、眠れ」

81 :
>>79
夜食(?)しようか迷ってる

82 :
姫「………」
魔王「見張っててやるから」
姫「………」コロンッフイッ
魔王(意地っ張りめ)クック
魔王(さて……身体は温まっただろう、が)
魔王(食事も取らさないとな……しかし、エルフって何食べるんだろうか)
魔王(大した準備もないしな……野草ぐらいしか)
ガサッ
魔王「……野兎か」ヒュンッ
ピィィッ
魔王(姫一人ぐらいなら……充分か)
魔王(血を抜いて、捌いて……と)
魔王(肉に臭みが残ると食いにくいか……香草をすり込んで)
魔王「……焼くか、煮るか」
魔王(迷うところだな)
魔王「目が覚めたら聞いてみよう」
……
………
…………

83 :
姫「!」パチッ
姫(私、寝て……少年、は?)キョロキョロ
姫(居ない……行ってしまった、のかしら)
姫「……!」
姫(血の匂い……!?)
魔王「やっと起きたか」
姫「少年!?」
魔王「なんだ……!顔が青いな。どうした?」
姫「い、いえ……血の匂い、が……」
魔王「ああ、兎を捌いたからな」
姫「……ひィッ」
魔王「何だ」
姫「……」
魔王「エルフが何を食うか解らなかったからな……煮るのが良いか?それとも焼くか?」
姫「い、いらないわよ!」
魔王「何だ、腹減ってないのか?」
姫「だって、そんな……ッ」
魔王「?」
姫「さ、さっき迄生きてたんでしょ!?殺したの!?」
魔王「……生では食えんだろう?」キョトン
姫「そう言う問題じゃなくて!」
魔王「じゃあ、なんだ」
姫「か……かわいそう、じゃないの……!」
魔王「ふむ……エルフは菜食者か?」
姫「そ、そうじゃないけど……」

84 :
魔王「ならば何を食ってきた?」
姫「そ、れは……用意、してくれたもの……」
魔王「うん。例えば?」
姫「……サラダ、とか魚とか」
魔王「うん」
姫「お肉も……食べた、けど」
魔王「なんだ、食うんじゃないか」
姫「でも!」
魔王「お前がどんな環境で育ったのかは解らんが」
魔王「今まで口にしてきただろう肉も、こいつとかわらんだろう?」
姫「そう……だけど……」
魔王「お前はこうして、目の当たりにしたことは無いんだろうが」
魔王「取れたては旨い。それに……屠った以上、食うのは礼儀だ」
姫「礼儀?」
魔王「そうだ。命に対する感謝。美味しく頂きます、ってな」
姫「……」
魔王「食わねば死ぬだけだ。それとも、エルフは食事をしなくても死なないのか?」
姫「……」
魔王「違うだろう?」
姫「……ええ」
魔王「ならば、感謝して……残さず食う。そうしないと生きられない、し」
魔王「屠った以上、その義務がある」
魔王「お前が食わないならば、私が頂くがな」ボウッ
姫「……ッ」
魔王「時間が経てば傷んでしまうからな。今日は焼く事にする」パチパチ

85 :
姫(肉の焼ける匂い……命の、焦げる匂い)
姫(可哀想……とは、思う、けれど……)
姫(礼儀。感謝……良い、匂い)
姫「……一匹だけ、なの?」
魔王「ん?ああ……お前に食わすのなら充分かと思ってな」
姫「………」
魔王「良し、もう良いか……いただきます」パクッ
姫「……」グゥ
魔王「ほら」
姫「い、いらないって……!」グゥウウウ
魔王「腹は素直だぞ」
姫「………ッ」カァ
魔王「それに、育てて行かねばならんのだろう」ホラ
姫「……ありがとう」ソロ……パクッ
魔王「旨いか?」
姫「……苦い」
魔王「あれ?焼きすぎたか?」
姫(違う……これは、命の……重み。苦み)
姫「ううん……違うの」
姫「美味しい……」ポロポロ
魔王「……泣くほど?」
姫「………」
姫(美味しく、食べてあげる事が、礼儀……)ポロポロ

86 :
魔王「うん、旨い。流石私……しかし、もう少しなぁ」ブツブツ
姫(この子……育てないと……!)
魔王「煮込んだら堅くなったかなぁ……火の調節が……」ブツブツ
姫「……ご馳走様でした」
魔王「ん、全部食ったか。お粗末様」
姫「少年」
魔王「ん……何だ?」
姫「ありがとう」
魔王「どういたしまして……で、だ」
姫「?」
魔王「何処へ行けば良いんだ?」
姫「え?」
魔王「いや、別に一緒じゃなくても良いんだが」
姫「……貴方は、本当にエルフの森を訪ねて来たのではないのね?」
魔王「違う……と、思うが」
魔王(そうだった。覚えて無いとか言ったんだ)
姫「そう……」
魔王「お前は何処へ行く気だったんだ?」
姫「私、は……」
魔王「あー……言いたく無いことは言わなくて良い、が」
姫「……行く当てなんて、無いのよ」
魔王「……え?」
姫「道は閉ざされた、って行ったでしょう?」
姫「私は……あの森を追い出されたのよ」

87 :
魔王「……ふむ」
姫「驚かないの」
魔王「状況が解らんからな。驚く事も納得する事もできん」
姫「……そう、よね」
魔王「なら、適当に行くか。離れた方が良いのだろう」
姫「え?ええ、それは、まあ」
魔王「一緒が嫌ならば適当に安全なところで別れよう」
姫「……え?」
魔王「私も特にこれと言って、どこかに行かねばならん訳でも無し」
魔王「……と、思うし」
魔王(危ない危ない)
姫「そう……」
魔王「何だ、不満か?」
姫「いえ、そういう……訳じゃ」
魔王「何だ?言いたいことはハッキリと言ってみろ」
姫「……私」
魔王「うん」
姫「どうしたら良いのか……解らない」
魔王「?」

88 :
姫「行く当てもない。何処に行けば良いのかも……解らない」
魔王「………」
姫「……何を、どうして良いのか……!私、一人じゃ……!」
魔王「子を産む気は無いのか?」
姫「……え?」
魔王「すまん、突っ込んだ事を聞くが……望んだ子ではなかったのか」
姫「………」
魔王「言いたく無ければ……」
姫「私は、禁忌を犯したの」
魔王「……禁忌?」
姫「エルフは、人に干渉する事を嫌う」
魔王「ああ、言っていたな」
姫「……森に。いえ、正確には……森の外れに、ね。人が迷い込んできたの」
魔王「エルフの森に、か」
姫「偶にあるらしいわ。心の優しい者は迷って迷って……外へ出る」
姫「心の悪しき者は……森の中で果て、肉は養分となる」
魔王「ふむ」
姫「私はそう聞かされて育った。迷い込んできた彼は……優しい人だったのでしょうね」
姫「森の中に迷い込んで、疲れ果てていた」
姫「私……森の外へ出ては行けないと言われていたけれど」
姫「外れの……そうね、さっき、貴方が居た当たり」
姫「あの当たりまでは、偶に……足を伸ばしてた」

89 :
魔王「ほう」
姫「何時もはすぐに戻れるのよ。願えば……道は開けるから」
魔王「願えば? ……便利だな」
姫「不思議な力って言うのはそういう物だと教わったわ。願う、思う力」
魔王「願えば……思いが強ければ、叶う?」
姫「そんな感じかしらね……それで」
姫「私は、倒れている彼を見つけた。そうして彼を連れて、森の中へ戻った」
魔王「歓迎されなかった……んだろうな」
姫「勿論よ。でも……私は、エルフの森の外れの小屋に彼を住まわせ、看護した」
姫「最初は物珍しさだった……話の中でしか知らなかった人間」
姫「エルフより遙かに短い命しか持たない、弱い人間……」
魔王「………」
姫「でも、彼はとても強い……心の強い人だった。優しい人だった」
魔王「では、腹の子は……」
姫「ええ。その彼の子よ。私達は、何時しか惹かれ合った」
魔王「……その、人の子は?」
姫「……雨の夜、エルフの矢に射貫かれて死んだわ」
魔王「……何?」
姫「彼を快く思わない人は多かった。それでも……少しずつ、受け入れてくれていると」
姫「思ってた……!けど……!」
魔王「ふむ……首謀者は解ったのか?」
姫「……エルフの若者の一人。何れ、私と……結ばれる筈だった人」
魔王「……嫉妬、か?」
姫「それもあるでしょうけど……エルフの長が決めただけの相手よ」
姫「私は、誰かに決められた人と、なんて……!」
魔王「ふむ……しかも相手が人間であるとなれば、か」

90 :
姫「若者はエルフの中でも強かった。私の相手には相応しい……だなんて!」
姫「勝手だわ!」
魔王「……お前は……エルフの中でも特別だった、のか?」
姫「エルフの長は……父よ」
魔王「ああ、成る程……では、その若者は次期長と言う訳か」
姫「……だからって、彼をRだなんて!」
魔王(種族の差、と言うのは……複雑なんだろうな)
魔王(魔族には……そういうのはあまりない……筈、だがなぁ)
魔王(わからん……今度側近に聞いてみるか)
姫「エルフ達は、彼を殺し、森の中に隠してしまった」
姫「……そんな事で、私があの若者を好きになんてなれる筈無いのに!」
魔王「ふむ」
姫「でも……もう、遅かったのよ」
魔王「遅かった?」
姫「そう。私のお腹には……」
魔王「……その、人の子との子供が、か」
姫「ええ……それを知った長……父は、堕胎を勧めた……と言うか」
姫「強行しようとしたわ」
魔王「………」
姫「だから、逃げ出したの」
魔王「良く逃げられたな」
姫「え?」
魔王「大事に育てられて来たのだろう事は容易に想像出来るんだが」
魔王「……彼らの行動や、堕胎の是非はともかくとして」
魔王「お前は大事な……まあ、言葉が正しいかは解らんが」

91 :
魔王「エルフの跡取り、だろう?次期長の……あー……嫁?」
魔王「世襲制であるとするなら……いや、それは違うのか。その若者が次の……」
姫「……エルフの長の座は世襲制よ。さっきは別に訂正しなかったけど」
姫「次の長は私……エルフは生涯、一人の子しか産むことは出来ない」
魔王「……そうなのか?」
姫「体力的な問題かもね。寿命は人より長いけど……」
魔王「ふむ」
姫「堕胎を強行しようとしたのは、その所為よ」
姫「それを一人とカウントするのかしないのかは解らないけど」
魔王「うーん……そこは難しい問題だな」
姫「もしカウントしないなら、私が若者と子供を作って」
姫「……次代のエルフを産まなければ、エルフの長の血は途絶えるから」
魔王「もし……生めなければ?」
姫「どっちみち、終わりね……後は滅びるだけ」
魔王「……」
姫「言ったでしょう?私は……絶対に犯してはならない禁忌を犯した」
魔王「本当に……良く逃げられたな」

92 :
姫「長は代々、森を守護し……育む者」
魔王「うん?」
姫「確かに、少しばかり……他のエルフより強い力を持っているわ」
魔王「ふむ」
姫「だから私は森に呼びかけた……通して、逃がして……ってね」
魔王「成る程……と、納得して良いのか解らんが」
姫「そして道は……閉ざされた。多分、永遠に」
魔王「何故だ?」
姫「森の意思よ……森は、滅びの道を選んだ」
魔王「……そうなのか?」
姫「推測だけど……」
魔王「他の者が長に選出される可能性は?」
姫「無いわ……多分。永遠に近い時間を、エルフ達はあの美しい森の中でだけで」
姫「過ごしてきた……何も代わらない。私達は……そうで無いと生きていけない」
魔王「ふむ……」
姫「人の子の世界へと出て行ったエルフは確かに、他にも居るわ」
魔王「そうなのか?」
姫「そうでないと、人や、貴方達が私達の存在を知る事は無いと思わない?」
魔王「うん……まあ、そうかもな」
姫「追っ手が来ないとは限らないけどね……森の中に入ることは……できないでしょうけど」
姫「出る事は……不可能とは限らないし」
魔王「でも一方通行だろう?」
姫「ええ」

93 :
姫「そんな……勇気を持つ者が居るとは思えないけれど」
魔王「可能性が0で無い限り……と、考えないとは限らないな」
姫「まあ、ね」
魔王「成る程……で、だ」
姫「?」
魔王「お前は……まだ、どうしたいのか解らないのか?」
姫「え……?」
魔王「嫌だから、それだけで……森を飛び出した訳じゃないんだろう?」
姫「……」
魔王「滅びてしまえば良いと、復讐心だけだったのか?」
姫「……」
魔王「……その、彼との子を……育てたいのではないのか」
姫「……」
魔王「殺せるか?堕胎を拒否し、そこまでして守った命を」
姫「……」
魔王「食うために屠った命を可哀想と嘆いたお前が」
姫「……」
魔王「……どうする?」
姫「でも、私……一人じゃ、何も出来ない」
魔王「……」
姫「狩りなんて出来ないし、料理だって……!」
魔王「では、諦めるのか」
姫「……ッ」

94 :
魔王「出来なければ出来る様になれば良い」
姫「そんな、簡単に言わないでよ!」
魔王「言うほど簡単ではないな、確かに。だが、難しくもないだろう?」
魔王「やるかやらないかだ。自分の為には出来なくても、その子の為になら出来ないか?」
魔王「できないのならば、諦めるしかないな」
姫「……ッ」
魔王「愛し合った人の子の、大切な命を……繋いでは行かないのか」
姫「……どう、すれば良い、のよ……ッそんな、事……ッ言われたって!」
魔王「お前、魔法は使えるんだろう?」
姫「え?」
魔王「それで取りあえずは獣を倒せないか」
姫「わ……私が!?無理よ!」
魔王「なんだ、魔法使えないのか」
姫「え、つ、使えるけど……」
魔王「ふむ。ならば可能だな……あ、治癒魔法か?ならば……」
姫「治癒魔法を使えるのは、人間の特権よ」
魔王「え?」
姫「弱くて強い人だけの特権……そう、習ったけれど」
魔王「……そうなのか?」
姫「ええ。貴方魔族だから……知らないのかもしれないけど」
魔王「いや、ああ……まあ……」
魔王(あれ……?じゃあ側近は……何故?)

95 :
魔王(まあ……良い。それは後だ)
魔王「ならば……どうにかなるじゃないか」
姫「……でも!」
魔王「腹の中の子も、腹が減るんだぞ?」
姫「う……」
魔王「後は、そうだなぁ……料理か」
姫「やったこと……無いわ」
魔王「やれば楽しいんだがな」
姫「貴方は……得意なの?」
魔王「うん。一番最初に作った卵焼きは消し炭になったが」
姫「……」クスクス
魔王「笑うな」
姫「でも……」
魔王「何だ?」
姫「……どうやって覚えれば良いのよ」
魔王「ふむ……魔法と料理ならば、私が教えよう」
姫「え?」
魔王「暫し同行してくれる事を許してくれるなら、な」
姫「……」
魔王「どちらにしろ、こんな何もない森の中ではどうにもできんだろう?」
姫「まあ……そう、だけど」
魔王「……全国を回ろうかと思う」
姫「え?」
魔王「この大陸……いや、島、か?解らんが」
魔王「色々見て回るのも良いだろう。子供だってはいそうですかと」
魔王「ぽん、と産まれる訳でなし」
姫「……」

96 :
魔王「……ついでに、私の記憶の手がかりが見つかるかもしれないしな?」
魔王(危ない……また忘れるとこだった)
魔王(この娘と……そうだな。夫婦者とでもして旅をすれば)
魔王(色々、都合も良さそうだしな)
姫「そうね……解ったわ」
魔王「うん……ありがとう」
姫「一つ……約束して?」
魔王「うん?」
姫「私に……手は出さないで」
魔王「前にも言ったが……身重の女をどうこうする趣味は無い」
姫「ふふ……信じるわ」
魔王「魔族の言う事なんて、って言われるかと思ったが」
魔王「……あっさりだな」
姫「エルフはね……嘘を吐いてはいけないの」
魔王「え?」
姫「嘘を吐くと、それが本当になるのよ」
魔王「嘘が本当になる?」
姫「そう……ああ、自分の身に関する事だけよ?」
姫「例えば……そうね。加護を偽る、とか」
魔王「……加護?」
姫「え?」
魔王「加護って……なんだ?」
姫「……し、知らないの?」
魔王「??」

97 :
姫「生ある者は必ず、何かの加護を受けているのよ」
姫「水だったり、火だったり……」
魔王「ああ、属性の事か」
姫「そう。なんだ知ってるんじゃないの」
魔王「本を読むのは好きだからな」
姫「そういうのは覚えてるの?」
魔王(ぎくっ)
魔王「じ、自分がどうしてここに居たのか覚えて無いだけだからな」
姫「ふぅん……まあ、良いわ」
姫「えっと……例えば、優れた加護を持ってるのに、持ってないって嘘を吐くと」
姫「本当にその優れた加護を失ってしまう、とかね」
魔王「優れた加護……優れた属性って、なんだ?」
姫「ああ……説明すると長いけど……」
魔王「構わん。聞かせてくれ……と、言いたいが」
魔王「移動しながらにしようか……歩けるか?」
姫「え、ええ……」
魔王「取りあえず……日が暮れる前に移動したい、が」
姫「何処に……行くの?」
魔王「それだ、問題は」
魔王(この娘を連れて転移しても良いが……私も、外に出るのは初めてだしなぁ)
魔王(地図は大体頭に入ってるつもりだが……うーん)
魔王(娘の知識も……あっても紙上での物だとすれば、私と代わらんしな)
姫「……少年?」
魔王「行きたい場所とか、あるか?」

98 :
姫「……解らない」
魔王「だよな」
姫「あ……景色の綺麗な所」
魔王「また曖昧な」
姫「だって……」
魔王「うーん……とにかく、街には行きたいな」
姫「……人ばっかりじゃないの」
魔王「そりゃそうだろう。身の回りの物も揃えないといかんだろうし」
魔王「……仕方ない。つかまれ、姫」ガシ
姫「え? ちょ……ッ」
魔王(地図……えーと、思い出せ、私……)
魔王「適当に飛ぶか」
姫「え、飛ぶって……!?」
シュゥン……ッ
……
………
…………
シュウゥ………
姫「きゃああああああッ」
魔王「ああ、ウルサイ……耳元で大きな声を出すな」
姫「ちょ、今の、何……ッ え、何、ここ……ッ!?」
魔王(さて、どの辺かなぁ……)キョロキョロ
姫「な、なん、だ……ったの……」
魔王「何、って……転移魔法?」
姫「転移魔法!?」
魔王「そうだが?」

99 :
姫「な、なに、それ……」
魔王「ちょっと静かに……」
魔王(んー……集中して、と……遠見……ああ、あっちの方向に街があるな)
姫「ちょっと!少年!」
魔王「はいはい、ちょっと待ってね」
魔王「良し、こっちだな……行くぞ」
姫「そ、そんな……闇雲に歩いたって!」
魔王「遠見したから大丈夫だ」
姫「遠見!?」
魔王「なんなんださっきから。そんなに珍しいか?」
魔王「……そりゃそうか。エルフの森で育ってるんだものな」
姫「しッ ……それは口に出さないで!」
魔王「あ……すまん」
姫「そ、そりゃ……私の知識なんて本で読んだだけだけど……」
姫「でも、貴方みたいな力……聞いた事無いわ!?」
魔王「まあ……私は規格外だからなぁ……」
姫「だからって……程があるわよ……!?」
姫「それに……貴方、何の加護を受けているの?」
魔王「ん?ああ……属性の事か?」
姫「……紫の瞳、なんて」
魔王「瞳の色が関係あるのか?」
姫「……瞳の色はね、大体その属性を表す場合が多いのよ」
魔王「ほう?」
姫「肌や髪の色は変えられても、瞳の色は変えられないでしょう」
魔王「ああ、成る程なぁ……て、事は」
魔王「姫は水の属性なんだな?」
姫「ええ……そうよ。エルフは大体、優れた加護を受けているの」
魔王「ああ、そうだ忘れてた。その優れた加護ってのは?」

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