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2012年2月エロパロ157: 【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part25【改蔵】 (551)
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【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part25【改蔵】
- 1 :10/08/07 〜 最終レス :12/02/08
- 前スレ
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part24.5【改蔵】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1264504169/
これまでに投下されたSSの保管場所
2chエロパロ板SS保管庫
ttp://sslibrary.gozaru.jp/
あぷろだ(SS保管庫付属)
http://www.degitalscope.com/~mbspro/userfiles_res/sslibrary/index.html
===スレに投下する際の注意===
・SSの最後には、投下が終わったことが分かるようにEND等をつけるか
後書き的なレスを入れてください。
・書きながら投下はルール違反です。書き終えてからの投下をお願いします。
・前書きに主要登場キャラ、話の傾向を軽く書いておいてください。
・鬱ネタ(にネタなど)、エロなし、鬼畜系、キャラ崩壊、百合801要素などは
注意書きをお願いします。
・ただし、完全に女×女や男×男のネタなら百合板、801板の該当スレで。
・過度な謙遜、自虐は荒れる原因になるので控えてください。
書き手にもルールがあるからといって必要以上に
気負わずにみんなと楽しくやっていきましょう。
- 2 :
- 過去スレ
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part24【改蔵】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1263809601/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part23【改蔵】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1258166515/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part22【改蔵】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1250611211/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part21【改蔵】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1244814980/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part19【改蔵】 (Part20)
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1231760633/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part19【改蔵】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1225406105/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part18【改蔵】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1218731031/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part17【改蔵】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1212483646/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part16【改蔵】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1208910434/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part15【改蔵】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1207085571/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part14【改蔵】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1204387966/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part13【改蔵】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1200314711/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part12【改蔵】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1196555513/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part11【改蔵】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1193976260/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part10【改蔵】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1191831526/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part9【改蔵】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1190512046/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part8【改蔵】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1189391109/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part7【改蔵】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1186778030/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part6【改蔵】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1167898222/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Partご【改蔵】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1147536510/
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part4【改蔵】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1123772506
【改蔵】久米田康司エロパロ総合 Part3【南国】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1105319280
かってに改蔵 Part2 【久米田康治総合】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1083582503/
【かってに改蔵〜天才エロ小説〜】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1035829622/
- 3 :
- >>1
スレ立て乙
- 4 :
- お盆に入ったら、マイナーカップリングで投下します
- 5 :
- 臼井くん×ことのん
- 6 :
- スレ立て乙です!
- 7 :
- スレ立て乙です!
落ちたのが残念
- 8 :
- どうも。
命倫のエロ無しあげます。
- 9 :
- 命の朝は早い。
医者という職業からいつでも万全な状態で患者と向き合わなければいけない立場から、眠気などを
残さないようになるべく早めに起きるように心がけている。
「まあ…対応する患者がいないんだけどな…」
命は昨日やって来た患者の数を思い出し、溜息をつく。
別に身近に病気の人がいないという訳ではない。
他の医院ではなかなかの数がいるらしい。
自分の所にだけ患者が来ない原因はわかっている…
自分の名前を横に書くと絶命となることから、患者が離れていくのだ。
「まあ落ち込んでてもしょうがないか…」
頭を切り替える為に白衣を着る。
プルルルルッ……
急に電話が鳴る。
「なんだ?こんな時間に…」
まだ受付でもない筈の時間になる電話に、緊急の患者かと思い慌てて受話器を取る。
「もしもし…」
「おお、命様!お久しぶりでございます」
受話器から聞き覚えのある声が聞こえる。
「なんだ時田か、一体なんの用だ?」
珍しい人物からの連絡に命は首を傾げる。
「実はですな…少しお願いしたい事が…」
「お願い?出来る限りの事なら別にいいよ」
「助かります。今日は大事な用事がありまして、どうしてもここから離れなければいけませんので
一日だけ倫様のお相手をしてください。それでは頼みましたぞ!」
「へっ!?ちょっと!用事ってそれか…」
命が言葉を言い終わる前に時田は電話を切る。
「まあ今日もあんまり忙しくならないと思うし、別にいいか…」
さり気無く悲しい事を言いながら命は倫を迎えに行った。
だがその日は命の予想を裏切った。
- 10 :
-
「それで…それはどういう意味だ」
命は倫を迎えに行く為、車を走らせ倫の家に来ていた。
ドアを開けた瞬間、目の前には看護師姿の倫が立っていた。
「あら、命お兄様。せっかくなのでお兄様のお仕事を手伝って差し上げようかと」
大体予想はしていた返答だった。
「残念だが、あまり忙しくはならないから手伝いはいらないよ。
さっさと元のに着替えろ」
「それは残念…」
倫はそう言いながらその場で服を脱いでいく。
いきなり目の前で服を脱ぎだした妹に命は顔を赤くしながら制止する。
「待て!ここで脱ごうとするな!!」
「ならお兄様、私にも手伝わせてくださいな」
「ぐっ……わかったよ…」
これ以上脱がれても色んな意味で困るので、命は倫の要求を呑む事にした。
「命先生、本当に大丈夫なんですか…?」
看護師の一人がやたらと張り切っている様子の倫を見て言う。
その質問に命は苦笑いをする。
「まあ、ああ見えてしっかりとしているから大丈夫だよ。
今日はゆっくり休んでくれ」
看護師は今日実家に帰省する予定だった。
たまたまこんな状況になってしまったが、命は予定通り休みを与える事にしたのだ。
「ありがとうございます」
お辞儀をして看護師は医院から出ていく。
「倫、頼むから大人しくしていてくれよ」
命は興味深そうに歩きまわっている倫に歩み寄って言う。
「もちろんですわお兄様!」
同意の言葉とは裏腹に倫は色んな場所を見て回る。
倫が窓の前に来た時、偶然医院に人が入ってくるのを見つける。
「お兄様、お客様ですわ」
「なんで今日に限ってこんなに早く来るかな…」
- 11 :
-
…患者一人目…
「君はここによく来るね」
やって来たのは全身包帯だらけの少女、小節あびる。
「はい…今日は転んで足を折っちゃって…」
「折れた足でよくここまで来れたな」
あびるが一人で来ているのに気付いて倫が言う。
命もそれに気付いて首を傾げる。
「何か不思議な事に、誰かに支えられているような感覚があって、ここまで来れたんですよ」
「そんな馬鹿な…」
命は不思議そうに言った。
倫はその言葉を聞いて辺りを見回す。
薄っすらと、何か人の様な物が部屋から出ていこうとしているのを見つける。
「おい、お前」
「は、はい!」
影は急に呼ばれてビクリと反応する。
「臼井君そんな所で何してるの?」
姿が見えるようになった臼井を見てあびるは首を傾げる。
「えっ…いや…あの…」
臼井の反応に倫はあびるをここまで運んだ人物が誰か気付く。
「なんだそう言う事か。お前、あびるの診察が終わるまで待っていろ。
最後まで責任とって家まで送るんだな」
「え、えーー!?」
まさかこんな事になると予想していなかった臼井は驚きに声をあげる。
「…倫、どう言う事だ?」
状況が把握できない命が倫に尋ねる。
「お兄様は別に分からなくても大丈夫ですわ」
説明が面倒臭い倫は早く診察しなさいと命に促す。
「暫くは足を動かさないようした方が良いぞ」
「はい、ありがとうございます」
あびるはお礼を言った後、医院から出ようとする。
「ほら、お前はちゃんと支えていけ!」
「わ、分かってますよ」
臼井は倫に背中を押された後、あびるに駆け寄った。
「帰りの心配はなさそうだな…」
命はその様子を見て一息つく。
「それにしても臼井君だっけ?…倫はよく気付いたな」
「意識すれば見えるものですわ」
倫は得意げに言う。
嬉しそうな倫を見て命は優しく微笑んだ。
「おっと…また誰か来たようだな…」
今日はやけに人が来るなと思いながら命は椅子から立ち上がった。
- 12 :
- …患者二人目…
息を切らしながら入って来たのは命と倫の兄である縁の息子、交だった。
「大変なんだ!!」
「何だいきなり、何があった?」
走ってやって来るくらいに元気がある様子から、どこもおかしい所は無いように見える。
「一回落ち着いて話せ」
倫がそう言って交を宥める。
「う、うん…霧ねーちゃんが風邪なんだよ」
「風邪?、それなら薬が欲しいのか?」
倫がそう言うと交は表情を輝かせる。
「くれるのか!?」
倫は頷いて命の方に振り向く。
「お兄様、代金の方は後で私が出しておくので薬を出してくださいな」
「ああ、分かった」
命は戸棚から風邪薬を出して交に渡す。
交は受け取った後、すぐに走り出した。
「ありがとな!」
「転ぶんじゃないぞ!」
倫が手を振りながら言う。
「倫、助かったよ」
命は少し驚いたように言う。
「そんな事ありませんわ、お兄様。
何度も会っている交だったから自然に対応出来たんですわ」
「それでも大したもんだよ」
命は倫の頭を優しく撫でる。
倫は少し顔を赤くしながら笑った。
- 13 :
-
…患者三人目…
「先生、別に何処もおかしい所はないと思いますよ?」
「いや私はもう駄目なんですよ!」
外から騒がしい声が聞こえてくる。
損所すぐ後、医院に入って来たのは、命の弟の望とその生徒である風浦可符香。
「望じゃないか、どうしたんだ?」
「あら、望お兄様」
望はいつも通りの暗い雰囲気を背負っていた。
「何だか最近変なんですよ!
何も無い場所で転んだり、急に物凄い事故に巻き込まれたり!」
「お前、来る場所間違ってないか…?」
命はカウンセリングにでも行けよと冷静にツッコミをする。
だがそれを無視して望は話を続ける。
とりあえず話せば気が済むだろうと命と倫は望の話を聞き流し、可符香の方を向く。
「で…何があったんだ?」
「別に、いつも通りですよ」
「まあそれもそうだな…」
倫が可符香の言葉に同意する。
すると急に可符香は不敵な笑みを見せる。
「そう…いつもの事ですよ…」
その笑み見た瞬間、命と倫の中でこの事には触れてはいけないと本能が叫んだ。
悩みを全部吐き出した望は少し楽になったらしく先程までより表情はよくなっていた。
「おや?二人とも一体どうしたんですか?そんなに顔を青くして」
「いや、何でもない!とにかくお大事に!!」
命は望に視線を合わせずに言う。
「先生、きっと気の性ですよ!」
可符香はさっきとは全く逆の天使の様な笑顔をしながら望に言う。
「そうですね、やっぱり気の性かもしれませんね」
望は可符香の笑顔を見て微笑んだ。
その後二人は入って来た時とは全く逆の表情で医院を出て行った。
「……お兄様、見なかった事にしましょう…」
「ああ…」
底知れぬ恐怖に対して二人が取った行動は、現実逃避だった。
- 14 :
-
診察受け付け終了…
「ふう…医者も大変ですわね…」
今日の仕事を終えた倫は椅子に座る。
「今日はいつもより忙しかったからな…
でもおかげで助かった。倫、ありがとう」
「そんなに褒められたら照れますわ」
倫は顔を少し赤くして言う。
命は面白い事を思いついたように笑う。
「そうだお礼に良いものやるよ」
そう言いながら命は倫に手招きする。
倫は呼ばれるまま命に近づく。
倫が目の前に来た瞬間、命は立ちあがって倫の額にキスをする。
「………………」
「…ん?倫どうした?」
何処となく不満な表情の倫に命は首を傾げる。
「お兄様、少し目を瞑ってください」
「へ?…ああ分かった…」
言われるままに命は目を瞑る。
それからすぐに唇に柔らかい何かが触れる。
「倫、今何を…!?」
命は驚いて目を開ける。
その先には真っ赤な顔をした倫の姿があった。
「私からのお礼ですわ」
「お礼って…まあ嬉しくはあったが……あっ…!」
命はつい本音を出してしまう。
「あらお兄様、前から妹とこんな事したいと思っていたんですか?」
「いや…えーと…そういう事になるのかな……?」
思い返してみればかなりまずい願望だったと命は気付く。
「お兄様、安心してください。私は命お兄様の事が一番大好きですわ」
倫は恥ずかしそうに笑いながら言った。
命は優しく微笑んで倫の頭を撫でる。
「私も倫が一番好きだよ」
一日だけのその時間は二人を固く結びつけた。
- 15 :
- 以上です。
それでは失礼します。
- 16 :
- クラスメートには高飛車な倫ちゃんが兄さん達には甘えん坊という構図がたまらん
- 17 :
- >>1
スレ立て乙
>>15
ここの兄妹はいい…
実にいいと思います
そして、17月斗
- 18 :
- GJ!
- 19 :
- 絶望的小咄『あすやろ物語』
在宅アニメ品質管理者は忙しい。
他の仕事をする暇もないほど忙しい。
2クール目を迎えた「ハートキャッチ○リキュア!」や「けい○ん!!」に加え、
秋の新番組もチェックしておかないと。
それから、声優のブログやツィッターもチェック。
もちろん、その後は2ちゃん○るで、同業者との夜を徹しての意見交換も欠かさない。
あぁ忙しい忙しい。
働けど働けど我が暮らし楽にならざり、じっと手を見る。
あー、金がねー。
そろそろ外での仕事も見つけないとなー。
でも、明日はまだ暑いから外には出たくないし。
‥よし、仕事探しは来月から始めよう。
大丈夫。自分はまだ本気を出していないだけで、仕事なんてすぐに見つけられるから。
なんて昨年も言っていた気がする、昭和八十五年夏。
この物語はフィクションであり、実在する人物、番組、巨大掲示板、「あすなろ物語」とは無関係です。
- 20 :
- 24.5-135です。
可符香ちゃんと久藤くんが教室の窓辺で……エロなしです。
設定的には格武装の話の後の出来事です。でも格武装はあんまり関係なしです。
では、どうぞ。
- 21 :
- それは何ら変わりのない、いつもの夕方のことだった。
ボクは図書委員の務めを終えてから、教室に向かっていた。
今日もまた木津さんが暴れて、後片付けが大変だったけど。いつものことだから仕方ないかな。思ったより時間がかかって、大草さんには先に帰ってもらったけど。
今日明日で読み切ろうと借りた軽い本数冊を小脇に抱えて、ボクは廊下を歩いていた。
トロイメライが流れている。夕暮れが近づいているからだ。どこまでも続く窓からオレンジ色の光の筋が幾本も漏れていて、廊下の上に光陰をつくり出している。
ボクはその中を突っ切っていく。こつ、こつという靴の音だけが響く。
この静かな世界が好きだ。ときどき、無性に恋しくなる。
そんなことを漠然と考えながら廊下を歩いていった。
もう誰もいないだろうな、と考えながら教室の引き戸に手をかけると、中から人の声が聞こえてきた。
ボクは手を止めた。この位置からだと光の反射でよく見えない。
だけど…………なんとなくわかった。歌詞で。
「〜♪〜♪〜(歌詞自重)」
ああ、彼女らしいな、と思いながらボクは戸を開けた。影がこちらを振り向く。
彼女が口を開く前に、ボクは声をかけた。
「やぁ、風浦さん」
「あ……久藤くん……」
いつもの制服姿にショートカット、そして髪留め。風浦さんは窓に座っていた。足をこちら側に投げ出し、窓枠にもたれかかっている。
短いスカートから太ももがこぼれているが、風浦さんはボクがいてもお構いなしのようだった。
- 22 :
- 「風浦さん……何をしているの?」
彼女は笑みをこぼした。
「私ですか?ポロロッカ星のことを考えていました」
「ポロロッカ星?」
「第5ポロロッカ星は今、グズグズ鉄がたくさんあるから好景気なんですよー♪」
彼女は楽しそうに話す。
「……そうなんだ」
本当は何を考えていたのか、ボクにはわかる気がする。
きっと明日からのことを考えていたんだと思う。どうやって先生をからかうか、その方法を。
「久藤くんは何をしていたんですか?」
彼女は座ったままボクに聞いてきた。ボクは彼女のいるところまで歩き、腕を組んで窓の桟に乗せた。
「図書委員の仕事。ついでに本を借りてきたんだ」
組んだ腕の隙間から本を見せる。彼女はまた笑った。
「私もその本、ずっと前に読みましたよぉー。面白い本でした」
「うん。もう半分くらい読んじゃった」
ボクと風浦さんは一緒に笑って、中身について語り合った。世間では難解と呼ぶ本なんだけどね。
他愛ない世間話やジョークを話しては、風浦さんはクスクスと笑った。
しゃべることがなくなると、2人はしばらく外を眺めていた。教室や廊下だけでなく、街も光陰が織り成す芸術に変わっている。
ふと、ボクは思いついた。
- 23 :
- 「……窓辺の少女」
風浦さんがボクの方を見たのが気配でわかった。
「ある国に1人の少女がいました。彼女はとても貧乏で……」
ボクの悪い癖かもしれない。ところかまわず即興のお話をつくって、しかもそれを語ってしまう。
結果的にはみんな感動してくれちゃうわけだけど。
「……彼女は言いました。『そんなことをしてくれなくたって、私は幸せだったのに……』彼女は自由を得たのと同時に、親しい友を大勢失ってしまったのでした。……おしまい」
風がヒュルルと吹いている。髪の毛がぱらぱらと揺れた。
風浦さんは……無表情だった。
多くのクラスメートのように涙を浮かべることはせず……またしゃくりあげることもせず……彼女は無表情だった。
凍った目だった。肌が白かった。くせのある髪が風に弄ばれている。
「ごめんね……久藤くん」
目を和らげながら彼女は自分の髪に手をかける。
「うん……いいよ」
ボクも……慣れたものだ。少しの間だけ目を閉じると、また彼女を見る。
そう。これが初めてじゃない。もうかれこれ5年も昔の話だろうか……。
ボクは新しいクラスメートを片っ端から鳴かせたことがあった。もちろん暴力的な意味合いや、性的な意味合いではない。
今でもそうだが……自分で言うのも難だけど……、ボクのつくったお話にみんな感動して泣いてくれたのだ。あの木村さんや木津さんまで号泣していた。
あの後……ボクは風浦さんにお話を聞かせた……。
彼女は既にボクの才能を知っていたようだけど……狭い学校の中だから当然と言えば当然だ。
ボクの計算では彼女を泣かせることが十分にできる物語のはずだった。
- 24 :
- しかし、風浦さんは泣かなかった。
むしろきょとんとした表情だった。ボクは少なからず衝撃を受けた。
……どうして、泣かないの?
……ごめん、久藤くん……。
ごめん。目の下を探りながら風浦さんはそう言った。彼女自身もまたショックを受けているようだった。ボクの推測が正しければ……泣けなかったことに驚いていたのだと思う。
だから、目の下を探ったんだ。涙があるはずだ、と。私は泣いているはずだ、と。もう彼女は確かめたりはしない。だけど、毎回見せる凍った目だけで十分伝わってくる。
「ごめんね……本当に」
「……大丈夫だよ」
風浦さんはもう、いつものポジティブ少女に戻っていた。
「久藤くんは……努力家ですね」
「ボク?」
思わず自分を指差す。
「そうですよぉー。何度も何度も、何百回も挑戦するするなんて、素晴らしい努力の持ち主ですよ!」
「……ありがとう、風浦さん」
そう。ボクはいつか彼女を泣かせてみせる。ボクのつくった、生涯最高のお話で。何年かかってでも。
ボクは決めたんだ。一生かかってでも、風浦さんを泣かせてみせるって。
「……人はそれを、恋と呼びます」
- 25 :
- 「え……?」
風浦さんの呟きにボクは固まった。
「今、なんて言ったの?」
「ふふ……なんでもないですよぉー」
彼女は悪戯な笑みを見せる。まったく、ボクはいつも後手に回る。結局、彼女がなんと言ったのか、今でもわからず、だ。
「結構暗くなってしまいましたよぉ。ほら、お月様が見えますよー!」
風浦さんは無邪気に空を指す。つられてボクも月を見る。
「うん……ボクにも見えるよ」
そういえば、星ってなんで丸いんだろう。いや、理屈ではわかっている。
でもときどきボクは答えのない、いや最初から答えがわかっていることを追い続けることがある。
小学生のときは「なんでリンゴはリンゴっていうの」という質問をして先生を困らせた。最終的には「どうして『あ』は『あ』っていうの」という語学的な疑問まで投げかけた。
……風浦さんへの決心はどっちなんだろう。
「久藤くん?」
考え込んでしまった。これもいけない癖だ。
「ああ、ごめんごめん。考え事を……」
そう言いながら振り返ると、視界が肌色のもので一杯になった。
「!」
ちゅ……。
確か、そんな音だった気がする。でもすぐに離れたのか、それとも一晩中そうしていたのかはわからない……。
風浦さんはゆっくりと顔を戻した。
「え……?風浦さ……?」
「えへへ……たまには久藤くんをびっくりさせるのもいいかなぁ、って」
風浦さんは無邪気に笑う。その唇がふれた部分がとても熱かった。
「でも……先生は……?」
- 26 :
- 糸色先生のことを聞くと、風浦さんは静かにこう言った。
「なぁんだ……やっぱり久藤くんにはわかってたんだ……。うん、先生のことは好きですよぉ。でも……」
黒板の方を向きながら彼女はため息をついた。
「先生は、永遠のアイドルなんですよ。触れられない、絶対にこっちを向いてくれない」
ネガティブな発言だった。彼女にそぐわない言葉だった。
「……………………私、先に帰りますね、久藤くん」
不意をつかれて、ボクはなんだか慌てた。
「ああ、うん、じゃあね。……お休み、かな」
また彼女はうふふ、と笑う。
「お休み、ですか……。……じゃあ……お休みなさい、久藤くん」
彼女は鞄をつかんですたすたと出口に向かった。ボクも、鞄に本を入れなくちゃ。自分の席に向かう。
「あ、それから……」
彼女が呼んだ。ボクは振り返る。風浦さんはまだ引き戸のところにいて、首を少しだけ傾げている。
「可符香って……呼んで」
……?よくわからないけど……。
「可符香ちゃん……?」
「……ありがとう、准くん」
可符香ちゃんはどこか寂しそうな笑顔を見せた。
そして、きびすを返して廊下を歩いて行った。
……。
何だったんだろう。今のは。
ボクは固まったまま考えた。考えた?いや、本能ではわかっているはずだ。
「か……ふ……か……可符香、か」
一生をかけてでも……来世までかかっても、ボクは彼女を泣かせてみせる。感動させてみせよう。彼女のもっと、いろんな表情を見たい。
ボクは誓いを新たにした。
- 27 :
- ……これでおしまいです。題名「窓辺の少女」
サントラがあまりにも素晴らしかったので想像力(妄想)を働かせてみたのですが……。
相変わらずエロは書けんですが、よろしくお願いします。
- 28 :
- なぜ絶望先生のエロパロスレはほとんどエロがないんだ…
いや、好きだけどね。好きだけど自慰を覚えたての猿みたいにガツガツしてる俺みたいな人が期待をこめて見たらさあ…非常に残念な気持ちになるよ…
- 29 :
- エロなしだろうが何だろうが、この過疎の時代に投下してくれるだけで感謝している
- 30 :
- そうそう、自分も文才が在れば『トゥルーマンショー』ネタで
調子に乗った望が絶望少女たちを食い散らしたり
霧とまといにレズプレイを強要したり
拘束した千里の眼前で、晴美を輪姦させたりする話を書きたいけど書けないのさー。
- 31 :
- すみません、書いてきたんですが、エロ無しです……。
内容は望カフな感じで。
ともかく、いってみます。
- 32 :
- 誰も分かっちゃくれないだとか、そんな事を嘆く心の余裕なんてもの、そもそもの最初から私の手元には存在しなかった訳で。
すれ違う人出会う人、顔をあわせて言葉を交わす人々の誰か一人にだって、私を理解する事はない。
私はそれをごく当たり前の事実として受け入れて、これまでの短い半生を過ごしてきた。
そもそも、良く良く考えてみるとそれは私だけじゃなく、他のどんな人にだってきっと当てはまる事。
公園を駆けまわる無邪気な子供とそれを心配げに、だけど優しく微笑みながら見守る母親。
昨日見たテレビの内容なんかを話題にしながら、肩を並べて歩く私達くらいの女子学生二人。
慌てた様子で携帯電話に何事かを喚き立てているサラリーマンと、その電話の向こうにいる誰かさん。
みんな思い思いの言葉を相手に投げかけて、だけどそれが相手に伝わったかどうか、それを確かめる術はない。
互いが互いにおっかなびっくり距離を図りながら、大体こんな風に思ってるのかななんて、そんな憶測を元にして生きている。
大きくなったら誰だって気付く当たり前の事。
ただ、私の場合はそれが他の人より少しだけ早かっただけで………。
それでも私は考えてしまう。
それなら、この胸を埋め尽くす、自分でも言い表せないモヤモヤとした感覚は何なのだろう?
胸を締め付けるこの寂しさは一体どこからやって来たのだろう?
お盆を過ぎたというのに降り注ぐ日差しは厳しく、道路からは陽炎が立ち上っている。
響き渡るセミの声と汗まみれになりながら行き交う人達、むせ返るほどの生命とエネルギーに満ちたこの街の片隅で、今の私は一人ぼっちだ。
行く当てもなく街をさまよう私の道連れは、いまや意識する事もなく口元に浮かぶようになったお馴染みの微笑みだけ。
カバンの一つも持たないまま、ご機嫌な笑顔の仮面を顔に貼りつけた私は一人ぼっちで道を歩いていく。
楽しそうに、嬉しそうに。
だけれども、自分の進む道の先に、ゆらりと揺れる人影を見て、私は思わず立ち止まった。
頭の上には愛用の帽子。
細い体に浴衣着た涼し気な格好。
それでも額から零れ落ちる汗を拭いながら、かなりグッタリした様子でこっちに向かって歩いてくるあの人は……
「ひぃ…ふぅ……おや、風浦さんじゃないですか?」
「先生……」
道の真中でばったりと出くわした先生は、疲れた表情を少しだけ明るくして、私に話しかけてきた。
その気弱そうな、だけども優しげな表情を見た瞬間、私の塞ぎ込んでいた私の胸の奥にさーっと風が吹き抜けたような気がした。
- 33 :
- 「方向的には風浦さんの家の方に向かっていたから、もしかしたら、とは思っていましたが、いや奇遇ですね」
一人ぼっちで歩いてきた道を、今度は先生と二人並んで歩く。
「でも、風浦さん、私と一緒に来ていいんですか?どこか行く所があったんじゃ?」
「いえ、ちょっとお散歩してただけですから、せっかくだし先生と一緒に歩かせてください」
先生はちょうど絶命先生の所に顔を見せに行く途中だったらしい。
年中閑古鳥の無く絶命先生の病院に足を運ぶのは、なかば先生の習慣になっている。
先生の目的地を聞いて私はある事を思い出した。
(そういえば、この道って、先生がいつも糸色医院に行くときに通ってる……)
先生にさまざまな悪戯を仕掛けるため、私は先生の行動パターンのかなりの部分を把握している。
たとえば、今歩いている道の事なんかがそうだ。
(もしかして、私は先生に会いたくて、こんな所まで歩いて来たのかな……?)
まさか、と私は首を横に振る。
先生は別に毎日糸色医院に通っている訳じゃないのだ。
この道を歩いていて先生と出くわすのがどれだけ低い確率なのかは誰にだって分かる事。
それでも、と私は思う。
そんな低い確率でも構わないから、先生に会おうとして、会いたくて、私はこの道を歩いていたんだろうか?
「しっかし酷暑ってのは正にこの事ですね。歩いてるだけで竈で焼かれてるみたいな気分です」
「先生も熱中症とか気をつけてくださいよ。……先生っていかにも暑さにやられちゃいそうな雰囲気ですから…」
「む、そこまで言いますか……というか」
そこで先生が急に顔を近づけてきて、私の心臓がドキンと跳ね上がる。
「あなたこそ、この暑い最中に帽子の一つもかぶらないで……」
そう言って、自分の帽子をポスン、と私の頭の上にかぶせてくれた。
「あ、ありがとうございます……でも、これだと先生の帽子が……」
「私は事前に十分水分をとってきましたから。それに、行き先は命兄さんの病院ですからね。暑さにやられたときは点滴の一つもしてもらいますよ」
額に手を当ててみると、思いがけないほど高くなっていた自分の体温に気づいた。
ここは先生の言葉にしたがって置いた方が良いのかもしれない。
ただ、先生が直接かぶせてくれた帽子の感触は、くすぐったいような嬉しいような変な感じがして、
顔を見られるのが何だか恥ずかしくなった私は、帽子を目深に被りなおして今の自分の表情を隠してしまった。
先生に見られないように。
そして、まかり間違っても通りすがったショウウインドウなんかに映った自分の顔を、私自身が見てしまわない為に。
そうして俯いてしまった私はふと気がつく。
やはり先生の忠告通り暑さにやられていたのかもしれない。
いつもより随分遅くなっていた自分の歩調。
そして、そんな私に合わせて、同じくスピードを落とした先生の足取りに。
「先生、あの……」
「どうしました、風浦さん?」
「いえ、何でもないです」
「な、何か不気味ですね。また何か企んでます?」
急かすでもなく、この炎天下をのんびりとしたスピードで、私の隣を歩く先生。
思わずその事について聞いてみようかと声を掛けた私だったけど、返ってきた先生の声があまりにいつもと変わりが無くて、言い出しそびれてしまう。
多分、先生にとってはなんて事のない、ごく普通の気遣いなのだろう。
- 34 :
- へたれで臆病、絶望したなんて叫びながら、その実みんなに構ってほしくて仕方がない厄介な大人。
だけど、先生は優しい。
それこそ、馬鹿みたいに。
無論、世の中優しければいいってものではなくて、先生の場合特に無闇やたらに振りまいたソレが、自身を囲む女性の包囲網を作り上げてしまってるわけで。
倫ちゃんが語ったところの『やんちゃ』だった頃の先生の様子が目に浮かぶというものだ。
それでも………。
(それでも、たぶん……先生の優しさに救われた人はいた……)
個性の強すぎるメンバーが集まった2のへ、そこで起こる騒動を先生は泣き言を言いながらも、ちゃんと受け止めてくれた。
先生はたぶん、私達のクラスのかすがいみたいな物なんだと思う。
いつでもちゃんと先生がそこにいてくれるから、みんな安心してあの教室にいる事ができる。
きっと、私も同じなんだと思う。
チラリ、帽子の陰から先生の横顔を垣間見る。
汗だくの額を拭って、グッタリとした表情を浮かべた先生。
その視線が、不意に先生を見上げる私の方に向けられた。
目を逸らす暇もなく交差する視線と視線。
「あ……」
「風浦さん……?」
何も言葉が浮かんでこなかった。
真っ白な頭で呆然と見上げるばかりの私に、先生は苦笑を浮かべて
「今日はつくづくあなたらしくないですね。調子が悪いなら言ってくださいよ」
またひとつ、優しく語りかける。
その表情が何だか眩しくて、目を伏せた私は、先生に会う前つらつらと考えていた事をもう一度思い出す。
人と人は理解し合えない。
早くからそれを悟った私は、一人きりの心を抱えたままずっと生きてきた。
少しばかり人よりハードな人生を送ってきた私には、きっとそれは必要な事だったし、最善の選択だった筈だ。
だけど、それなら何故、今、私の心はこんなにも揺れ動いているのだろう?
先生の傍らに、もう少しだけ近づきたいと、そんな事を思ってしまうのは何故だろう?
その時、戸惑う私の手の平を、先生の手がぎゅっと握りしめた。
「せ、先生……?」
「今日のあなたは何だか見てて心配ですから、失礼ですけど手、繋がせてもらいますよ。せっかくですから、命兄さんにもちょっと診てもらいましょう」
そう言って、私の手を引っ張って歩き出す。
さっきよりもずっと近い距離で、先生の指先の優しさを感じながら、私はついて行く。
「先生、ありがとうございます……」
「いえ、こっちこそ、風浦さんがいてくれて、随分助かってますから」
「えっ?」
おずおずと口を開いた私の言葉、それに対する先生の答えは思いも掛けないものだった。
「助かった……って?」
「言葉通りですよ。今の学校に、2のへに、あなたがいてくれて良かったって、そう思ってます。まあ、酷い目にも随分遭いましたけど」
先生はチラリ、私の方に視線を向けながら言葉を続ける。
「いつも誰かが傍らにいてくれる事、一緒に歩いてくれる人がいる事、そういうのってやっぱり大事な事なんです。
変なあだ名をつけられたり、怪しい儀式をしたり、赴任当初から大変でしたけど、あなたが居てくれてとても心強かった」
先生の言葉を聞く内に、私はだんだんと自分の胸の内のモヤモヤの、その理由が分かってきたような気がした。
人と人が分かり合うなんて、遠い夢物語。
それは確かにそうかもしれない。
だけど、それよりもっと大事な事があった。
理解出来ないかもしれない、分かり合えないかもしれない、それでも人は誰かの側にいたくてその手を伸ばす。
『理解する事』じゃなくて『理解しようとする事』。
誤解も間違いも含めて、その人に向けられた心のベクトル、それはきっと何よりも強いエネルギーに変わる。
『あなたの事を想っています』、私が欲しかったのはそんな先生の言葉だったのだろう。
そして、その想いは先生と私の間で期せずして交差していた。
私は先生の手の平をきゅっと握りしめてみた。
すると、少し間を置いて、それに応えるように先生の手の平も握り返してくる。
あなたの事を見ています、あなたの声が聞こえます、それはそんな心のサイン。
「それじゃあ、行きましょう、風浦さん」
「はい、先生」
優しく柔らかい、先生の手の平を何よりも心強く感じながら、私は入道雲のかかる空の下を歩いていった。
- 35 :
- 以上でおしまいです。
失礼いたしました。
- 36 :
- SS初投稿になります。
芽留メインの話です。
話の元ネタは第二十二週の前巻のあらすじですが、かなり大幅にアレンジしています。
微エロですが、直接的なエロ描写はありません。
では、投稿します。
- 37 :
- 気がつくと、音無芽留は森の中にいた。
(えっ、一体ここはどこだ・・・?なんでこんな森にいるんだ・・・?)
芽留は手に持っていた二つ折りのケータイを開いて電波を確認したが、案の定、圏外であった。
一応辺りを見回すが、どこを向いても空に向かって伸びている木ばかりで、人っ子一人いやしない。
(まずいぞ・・・、オレ、迷子になったのか?)
芽留は急いで出口を探そうと、森の中を歩きだした。
しかし、いくら歩いても出口は一向に見つからない。
(くっそ〜、全然見つかんね〜!!出口は一体どこなんだよ、も〜!!)
そうこうしながら歩いていると、一軒の木造の家が芽留の眼前に現れた。
(おおっ、こんなところに家があるなんてラッキー!!
なんで森の中に家があるのはは分からねーけど、この家に住んでる奴に訊けば何か分かるだろう。
ついでに出口がどこにあるかも教えてくれたらいいな)
そう思いながら芽留は、木造の家の扉を開けた。
家の中には、禿げた頭の人面ウサギが、他の人面ウサギ三人と一緒にお茶会をしていた。
テーブルの上にはティーカップに注がれたお茶と、器に入ったクッキーがある。
人面ウサギ達は芽留の方へ顔を向けた。
「おや、お客様ですか」
「しかも、人間の女の子とは珍しい」
「君、名前は何て言うんだい?」
人面ウサギの一人に名前を訊かれて、芽留はケータイを開いた。
ケータイは未だ圏外であった。
仕方がないので、メールに自分の名前を打って、それをウサギ達に見せた。
『オレの名前は音無芽留だ』
「ねむ・める、ですか?」
「いやいや、あれはおとなし・めると呼ぶんですよ」
禿げ頭の人面ウサギが他のウサギに読みを教えた。
どうやら、日本語の分かるウサギ達のようだ。
芽留は丁度いいと思い、ウサギ達にこう訊いた。
『なあ、一体この森はどこなんだ?オレ、道に迷っているんだ。出口を知ってたら教えてくれないか?』
「どこの森かですって?あなた、この森がどこか知らずにここに来たんですか?」
『オレだって来たくて来たわけじゃねえよ!気が付いたら森の中にいて、ケータイも圏外で、誰にもメールを送れないんだよ』
「そうですか。ではこの森のことについて教えてあげましょう」
禿げ頭の人面ウサギは紳士的な口調で芽留に教えた。
「この森は『兎の森』といいまして、我々のような紳士のウサギが住んでいる、とても平和な森です」
お前らの外見は紳士じゃねーよ、どう見てもむさくるしいオッサンだよと、芽留は心の中で呟いた。
禿げ頭の人面ウサギは話を続ける。
「この森は他の動物や人間が訪れることは滅多にないのですが、この森にやってきたのは貴方が初めてです」
『この森から出られる方法はないのか、教えてくれ?』
と、芽留はさらに禿げ頭のウサギに訊いた。
「う〜ん、無いことは無いのですが、ただで教えるわけにはいきませんね」
『ど、どうしてだよ!?オレは早くここから出たいんだよ!!』
芽留のこの言葉に、他の人面ウサギが口を開いた。
「だって、もし貴方がここから出て、この森のことを他の誰かに喋られてしまったら、人間がこの森を探そうとするかもしれないでしょう?」
「もしこの森が見つかってしまえば、わんさかと人間がここへ入り、心ない者達が森を汚し、我々を新種のウサギとして研究の対象とするでしょう」
「この森の平和を守るためには、貴方をここから出すわけにはいかないのです」
『そ、そんな!そこをなんとか頼むよ!!この森のことは絶対に誰もしゃべらないから!お願いだ!!』
芽留は目に涙をためながら懇願した。
禿げ頭の人面ウサギは顎に手を当てながら数分考えると、芽留にこう言った。
「わかりました。貴方がここまで言うのなら、この森から出る方法を教えましょう」
『本当か!?恩に着るぜ!!』
禿げ頭の人面ウサギは「ただし」と付け加える。
「それにはまず条件があります」
『じょ、条件ってなんだ?』
「それは、我々のお茶会に花を添える『ウサギ』になってもらうことです」
禿げ頭の人面ウサギはそう言って、パチン、と指を鳴らした。
- 38 :
- その瞬間、芽留の胸に違和感が走る。
芽留は赤面しながら両胸を押さえた。
(な、なんだ・・・?胸がスースーする・・・)
芽留はその発展途上の胸を両手でさすった。
(ブ、ブラが無い!)
『て、てめえ、一体何をした!』と芽留はケータイの文字を打とうとしたが、芽留の下着にさらなる変化が襲った。
(ひゃっ!ぱ、パンツが勝手に食い込んでくる・・・!!)
芽留が穿いていた白のパンツは段々とハイレグになっていき、ティーバックパンツに変化した。
(いた、い・・・!)
変化はまだ終わらない。
芽留がティーバックの食い込みの痛さに太ももを擦り合わせていると、そのすべすべとした太ももが、ざらざらと音を立てる。
(こ、この感触って、まさか・・・!)
芽留は慌ててワンピースの裾を上げると、そこには、ベージュのタイツに包まれた自分の下半身があった。
タイツの下のティーバックが、彼女の股間をいやらしく表現する。
芽留は激しく赤面するが、服の変化は待ってはくれなかった。
両指でつまんでいたひざ下まであるワンピースの裾が、急激に太ももの近くまで短くなる。
途端、ワンピースが空気を抜いたかのように、芽留の幼い体にピタッとくっついた。
(こ、今度は何だ・・・!?)
芽留は目をぱちぱちとさせながら、服の変化に戸惑う。
白のワンピースは黒に変わり、裾の部分が股間の部分で一つに合わさり、ティーバックの時と同じように、ぐぐぐっとハイレグ状になった。
履いていた白いシューズも黒に変色し、ぐいっとかかとの部分を押し上げる。
(う、うわわっ!)
かかとを押し上げられて、芽留はバランスを崩す。
白いシューズは、黒のハイヒールへと変貌していた。
服の変化はさらに続く。
肩と背中の部分が露出し、首と両手首に詰襟とカフスが巻かれ、
頭にはウサギの耳のカチューシャがぐんぐんと伸び、お尻と背中の間に白いポンポンが現れる。
その様は本物のウサギと耳としっぽが生えてきたように思わせる。
カチューシャとポンポンが現れたところで、服の変化は終わった。
芽留の着ている白いワンピースは、バニースーツとなってしまった。
- 39 :
- 芽留は変わり果てた自分の姿に呆然とする。
(も、もしかしてオレは、バニーガールになったのか!?)
「う〜ん、我ながら素晴らしい!どこからどう見てもバニーガールだ」
「幼いながらも、なかなか似合っておりますよ」
「こんな愛らしいバニーは見たことがない!」
人面ウサギ達は芽留のバニー姿をほめると、
「では、さっそくお茶を酌んでもらいましょうか」
と、カップに入ってあったお茶をぐいっと飲み干した。
人面ウサギ達はテーブルに空になったカップを置いた。
「では、芽留さん。そのポットで我々のカップにお茶を淹れてください」
禿げ頭の人面ウサギはテーブルに置いてあるポットに指差しして芽留に言った。
芽留は心の中で歯ぎしりをした。
(くっそ〜。よくもオレをこんな恥ずかしい格好にしやがったな〜!
今すぐにでもぶん殴りたいが、もし殴ったら、森の出方を教えてもらえないかもしれない。
仕方ない。こいつらのお茶淹れをしてやるとするか)
芽留はテーブルに置いてあるポットの取っ手を持つと、禿げ頭の人面ウサギのカップにお茶を注いだ。
お茶を注ぎ終わり、芽留が他の人面ウサギの座っている椅子へ行こうとした瞬間、禿げ頭の人面ウサギは、芽留の胸をさわっとなでた。
あまりの突然の出来事に芽留はびくっと反応する。
「うむ。まだ育ってないなだらかな胸だ」
禿げ頭の人面ウサギはにやりと笑う。
芽留は顔を赤くしながら、禿げ頭の人面ウサギを睨みつける。
(っ・・・!何胸触ってやがんだこのハゲウサギ!!)
芽留はケータイにそう打ちたかった。
が、人面ウサギ達の機嫌を損ねては、森の出方を教えてもらえなくなる。
ここは我慢だ我慢、と、芽留は心の中で呟いた。
芽留は禿げ頭の人面ウサギのお茶を淹れ終わると、他の人面ウサギの下へ行った。
きっと他の人面ウサギはセクハラまがいのようなことはしないだろう。
芽留はそう思っていた。
が、他の人面ウサギ達も禿げた頭の人面ウサギ同様、バニースーツに身を包んだ芽留の肢体に触れた。
一人は露出した背中を、もう一人はくびれはじめた幼いウエストを。
最後の一人に至っては、タイツに包まれた太ももとお尻を触った後、お尻の部分に生えている丸い尻尾をくいくいっと引っ張った。
この最後の一人がした行動に対しては、他のウサギが文句を言った。
「おいおい。我々は彼女の身体の一部分しか触ってないのに、君だけお尻と太ももの二か所を触るなんてずるいぞ」
「しかも、最後の尻尾の部分を掴むのは、もっとずるい!」
「いやぁ、すまないすまない。つい可愛らしくてね〜」
もちろん、羨望の思いを込めての文句であるが。
芽留はウサギ達のこの会話に恐怖心を覚えた。
もしかしたら自分は、この気持ちの悪いウサギ達に犯されるのではないかと。
芽留が恐怖に満ちた表情をしながら思っていると、禿げ頭の人面ウサギが芽留の顔を見て、こう言った。
「もしかして、君、こう思っているのではないかね?『自分はもしかして我々に凌辱されるのではないか』と」
(や、やばい!!思っていることが顔に出てた!!)
芽留の背中に怖気が走るが、禿げ頭のウサギはにこやかにほほ笑んで言った。
「安心したまえ。我々は淑女に対してそんな破廉恥なことは行わないよ。
我々は淑女の肢体を触ることが好きであって、決して凌辱することが好きなのではない」
何せ、我々は紳士なのだからね、と、禿げ頭のウサギは締めくくった。
(レイプすることが破廉恥だっつーんなら、女の身体をいやらしく触るのは破廉恥じゃねーのか?
紳士は紳士でも、変態紳士かよ)
芽留が心の中でそう突っ込みを入れると、四人のウサギは、カップに注がれたお茶を一気に飲み干し、空になったカップをテーブルに置く。
「では、おかわりを頼むよ」
禿げ頭のウサギは言う。
芽留は「仕方ない。これも森から出るためだ」と思いながらカップにお茶を注ぎ、そして、変態紳士のウサギ達にその幼い肢体を触られた。
- 40 :
- 数十分後、芽留は床でぺたんと座りながら涙を流していた。
ウサギ達によって、自分の身体をいやらしく触られたからだ。
(くぅ・・・っ、こんな屈辱は初めてだ!!
けれど、よく耐えたぞ、オレ!!なにせ、ポットの中のお茶は全部無くなったんだからな!)
テーブルに置かれたポットは、お茶が無くなっていた。
四人のウサギ達も芽留の身体を存分に触ったことで、満足げな顔をしている。
禿げ頭のウサギはほほ笑みながら言う。
「いや〜、こんなに楽しいお茶会は初めてだ。
人間のバニーガールの身体をいっぱい触ることができたのだからね」
禿げ頭のウサギに続いて、他のウサギを口を開いた。
「今まではバニーガールを妄想しながらのお茶会だったからね」
「実際に本物のバニーガールを拝めるなんて、今まで生きてきた中で最高のイベントだよ」
「素晴らしい。いや〜本当に素晴らしい」
芽留は「満足げな顔をしてないで、早く出口を教えろよ」と思いながら、四人のウサギ達を見つめていた。
すると、禿げ頭のウサギは芽留の方に顔を向け、
「芽留さん。我々のお茶会に花を添える役目を果たしてくださり、本当にありがとうございました。
では、約束通りこの森の出方を教えてあげましょう」
と言った。
(やった!これで外に出られる!!)
と、芽留がガッツポーズをすると、「あ、そうだ」と禿げ頭のウサギが何かに気づいたかのように言った。
『な、なんだ?まだ何かしろとでも言うのか?
言っとくが、もう一回お茶酌みしてくれなんて言う頼みは、お断りだからな!
もしそんな頼みごとを言ったら、無理矢理にでも出口の場所を吐かせてもらうぞ!!』
芽留はそう書いたメールの画面を禿げ頭のウサギに見せた。
「いえいえ。貴方の服を元に戻さなければと思いましてね。
外に出る時、そのバニー姿では周りの人に笑われてしまうでしょう?」
言って、禿げ頭のウサギはパチンと指を鳴らした。
途端、バニースーツは、白いワンピースへと瞬時に戻った。
『おおっ、服が戻った!ありがとうな、おっさん!!』
「いえいえ。どういたしまして。では、この森の出方を教えてあげましょう」
禿げ頭のウサギは、胸ポケットの中にしまってあった用紙を取り出し、ペンでそれに何かを書くと、それを芽留に渡した。
用紙には、森を出る方法が日本語で書かれてあった。
「この家を出たら、数メートル先にある右方向の矢印が描かれてある看板までまっすぐ進みます。
そして看板通り右へ進むと、大きな切り株があるので、そこに座り目を閉じて、外に出たいと念じるのです。
そして、三分後に目を開ければこの森から出られます。
もし忘れてしまったら、この用紙を見て思い出すといいでしょう」
『おお、わざわざすまねえな。でも、どうして森の出方を知ってるんだ?』
「いや、私達も時々他の森へ行く時にこの方法で行くんですよ。
あなたもこの方法で行けば、外へ戻ることができるでしょう」
『おう、わかった。色々とありがとうな、おっさん。それじゃあな!』
芽留が家を出ようとすると、禿げた頭のウサギが「ちょっとお待ちを」と彼女を引きとめた。
「お土産に、お茶会の時に余ったクッキーを渡します。お家に帰って食べるといいですよ。」
『おおっ、わざわざお土産をよこすなんて、オッサン意外に良い奴だな。ありがとうな』
「いえいえ、それほどでもありませんよ。では、お気をつけて!」
『おう。それじゃあな、おっさん!』
芽留は禿げ頭のウサギが渡したクッキーの包みを受け取ると、笑顔でウサギ達の家を出た。
- 41 :
- さて、芽留は禿げ頭のウサギの書いた用紙通り、右矢印の看板のあるところまでまっすぐ歩き、看板に辿り着くとそこを右へ曲がった。
しばらくすると、禿げ頭のウサギの言った通り、大きな切り株があった。
(おお、大きな切り株だ!これで外に出られるぞ!!)
芽留は駆け足で切り株の前に着くと、言われた通りに切り株に座って目を閉じ、「外に出たい」と念じた。
そして、三分が経過してから芽留はそっと目を開けた。
禿げ頭のウサギが言った通り、芽留は森から脱出することができた。
芽留が座っている場所は、町の駄菓子屋のベンチだ。
芽留は急いでケータイを開き、アンテナを確認した。
アンテナはきちんと三本揃っている。
(やった!外に出られた!!)
芽留はベンチの上で外に出られたことを喜んだ。
と、そこへ、大草麻菜実がやって来た。
麻菜実は白い半そでのTシャツに青のジーパンを着ており、片手に買い物袋を下げていた。
おそらく、主婦の仕事の途中なのだろう。
「あら、芽留ちゃん。駄菓子屋のベンチでそんなに喜んで、何かいいことあったの?」
『おう、麻菜実か!実はな・・・』
芽留はそう言いかけて、ウサギ達が森のことを言われては困ると言っていたことを思い出し、
『い、いやな。今までクリアできなかったケータイのゲームがやっとクリアできたんだよ!』
と言ってごまかした。
麻菜実は「ふーん。でも、ケータイのゲームをしてた様には見えなかったけど」と頬に人差し指を差しながら言った。
芽留は麻菜実が疑っているのを見ると、なんとかして麻菜実の気をそらせようと、禿げ頭のウサギから渡されたクッキーの包みを取り出した。
『そ、そうだ、クッキー一個食うか?』
芽留は包みを広げると、クッキーを一枚取り出し、それを麻菜実に渡した。
「あら、本当に良いの?ありがとう」
麻菜実は芽留から渡されたクッキーをおいしそうに食べた。
と、そこへ、ピンクの半そでのTシャツとクリーム色の半ズボンという格好をした日塔奈美も現れた。
「あ、大草さんに芽留ちゃん!」
『おっ、普通か!良いところに来たな!』
「普通っていうな〜!」
『まあまあ、固いこと言うなよ。実は近所の人に貰ったクッキーをおすそ分けしようと思ってよ、お前も食うか?
大草には一枚あげたんだよ』
「本当!ありがと芽留ちゃん!」
奈美は芽留からクッキーを一枚貰い、うれしそうにサクサクと食べた。
「おいし〜!こんなクッキー初めて食べたよ〜!」
「本当ね〜。ほっぺたが落ちそう」
『へ〜、そんなに美味いのか。オレも一個食ってみるか』
芽留はクッキーを一枚取ると、それを口の中へ運ぶ。
(おお、なかなか美味いじゃねえか!こんなクッキーは今まで食べたことがねえぞ!
森の中を迷ったり、バニーガールにされたり、体を触られたり、散々な目にあったけど、
こんな美味いクッキーが食えたんだから、終わりよければすべて良しとするか)
芽留はそう思っていたが、残念ながら、「終わりよければすべて良し」にはならなかった。
- 42 :
- 麻菜実と奈美は突然、胸を押さえ出した。
芽留は二人のこの行動に首を傾げた。
『どうしたんだ二人とも?胸なんか押さえて』
「む、胸のあたりが、変・・・」
「な、なんか、スースーする・・・」
芽留は目を凝らして麻菜実の押さえられていない側の胸の方を見てみると、乳首の先がピンと立って影を作っていた。
『もしかして、ブラを付けてないのか?二人ともうっかりしてて、付けるのを忘れたんじゃねえのか?』と、芽留がメールを打とうとした瞬間であった。
二人は同時にお尻を押さえ、内太ももをすりすりと擦り合わせた。
「ひゃっ!お尻までスースーする・・・!!」
「やだ!勝手に食い込んでくる!!どうなってるの!?」
芽留は二人のこの言葉を聴いて、自分が森の中の家でバニーガールの姿に変身する際、パンツがティーバックになったことを思い出した。
(も、もしかして、二人のパンツがティーバックになっているのか!?)
この瞬間、芽留は脳裏に嫌な展開が思い浮かんだ。
(もしかして、このクッキーは・・・!!)
芽留がそう思った時には遅すぎた。
彼女の着てるワンピースも、変化が始まっていたからである。
麻菜実の穿いているジーパンと、奈美の穿いている半ズボンは、下半身にシワ無くぴったりと吸いつき、黒い穴が空いていく。
(特に奈美の半ズボンはぴったりと吸いつく前に、その裾が足首まで伸びていった)
二人の穿くズボンは、網タイツへと変化した。
網タイツで包まれた股間の部分は、ティーバックとなったパンツが透けて見える。
「いやぁっ!!何これえっ!?」
「し、下着が見えちゃうっ!!」
二人の服の変化はまだ続く。
二人の着ていたTシャツの裾はぐんぐんと伸びていき、股間の部分で一体化する。
同時に、麻菜実のシャツの色は緑に、奈美のシャツの色は赤へと変化し、袖の部分は消滅し、肩と背中の部分が露出する。
Tシャツは二人の丸い胸をぐいっと締め付け、妖しい光沢を放つレオタードとなった。
二人の首回りと両手首には詰襟とカフスが巻かれ、頭からウサギの耳のカチューシャがぐんぐんと伸び始め、お尻の部分からぴょこんっ、と白いポンポンが現れた。
麻菜実の持っていた買い物袋は、チョコレートのようにドロドロと溶け、銀色の盆とグラスに入った野菜スティックへと早変わりした。
最後に靴がその形状を変えハイヒールとなる。
二人は艶やかな緑と赤のバニーガールへと変身した。
「い、いやぁ・・・、お野菜が・・・」
「こんな格好、恥ずかしいよ・・・」
二人は赤面しながら網タイツに包まれた脚を、もじもじと恥ずかしそうに擦り合わせる。
芽留はバニーとなった二人を見て、『まずいことになった』と思った。
おそらくあのクッキーは、食べた女性をバニーガールにする能力があるのだろう。
でなければ、二人が自分の目の前でバニーになるわけがない。
(あの禿げウサギめ!とんでもねぇクッキーをよこしやがって!やっぱりあいつらはただの変態紳士だ!)
芽留は心の中で禿げ頭のウサギを罵るが、その時には彼女もバニー姿になっていた。
(畜生・・・。またバニーガールになっちまった・・・)
芽留が自分の身体を包むバニースーツを見てため息をつくと、麻菜実と奈美は芽留を見て、
「芽留ちゃんまでバニーに、一体どういうこと?」
「もしかして私達、未だない超常現象に出くわしたんじゃ・・・」
と言った。
芽留は真相をメールに打とうとしたが、言ったところで二人は信じてくれないと思い、打つのをやめた。
(くっそ〜!あの変態ウサギ共!!覚えてろよ〜!!また会えたらボコボコにしてやるからな!!)
芽留は心の中でそう叫んだ。
- 43 :
- 「音無さんは無事森を抜けることができましたかね?」
「あなたが出方を用紙に書いて教えてあげたじゃありませんか。きっと無事に脱出していますよ」
「それもそうですね」
「ところで、君が彼女に渡したクッキーだが、あれは確か人間の女性が食べると、たちまちバニーガールになってしまう代物だったはずでは?
本当に渡して大丈夫だったのか?もし外で食べてバニーになってしまったら、周りの人間からへんな目で見られることになるぞ」
「その心配はありませんよ。あのクッキーの能力は数時間たてば効果が切れるはずですし、彼女はきっと家に帰って食べたことでしょう。
家の中ならばバニーになっても部屋にいればいいだけの話ですしね」
「なるほど。そこまで考えているとは頭が下がりますな」
「全くですな」
「はっはっはっはっはっは・・・」
四人のウサギ達はそう談笑した。
しかし、ウサギ達は知らない。
芽留が外でクッキーを食べたこと。
そして、芽留がそのクッキーを二人のクラスメイトに上げてしまったことを。
後日、森から東京へ観光旅行しにやって来たウサギの紳士達は偶然にも芽留と再会し、そして、芽留に痛い目にあわされることになるのだが、それはまた別の話である。
- 44 :
- 以上、終わりです。
今回はこれで失礼します。
- 45 :
- とてもおもしろかったです
GJ!
- 46 :
- 桃毛です。
仕事が不規則に出張だったり色々他のものに浮気していたのでここに来るのはかなり久しぶりになります。
スレもあたらしくなっちゃって、まあ。
そんなわけで最近書いたものを投稿します。
今回のヒロインは大草麻菜実さんです。いや、前回もそうだったですが…相方は先生に頑張ってもらいました。
前回書いたものとは何のつながりもありません。
エロはありです。原作エピソードともとくに関連はなく、大草さんバイトネタででっちあげました。
では以下よりどうぞ、
『匣の中のやさしい場所』
- 47 :
-
『 匣の中のやさしい場所 』
そこは三畳にも満たなそうな小箱のような和室だった。
障子はあるが締め切られており、中は薄暗い。
部屋の片隅に置行灯があり、その居るものを癒すような暖色系の微かなあかりが、部屋を柔らかく照らしている。
そんな空間に、男のかぼそい喘ぎ声が上がっていた。
「ぅ…あぁ…っ…!お、大草…さんっ…そこ、は…」
男性としては華奢な身体を着物に包んだその男は肩をふるわせ、身をもみねじりながら必で何かに耐えている。
その畳に這いずる男の体を見下ろした女が、手にした棒状のモノをくねくね動かしていた。
それは男のからだの敏感な穴に深々と埋め込まれ、その肉の内側を責め立てているように見えた。
「動いちゃダメですよ…?ヘンな所まで入っちゃったら、痛いですからね?力を入れないで…」
「は、はい…くぅっ!が、我慢…してみま、す…」
きゅう、と手を握る男のしぐさがいっそ可愛らしい。思わず女はにっこり微笑んでいた。
「よしよし」
そう言いながら大草と呼ばれた女の手の動きは細かく巧みだった。
横の壁をくりくりとこねまわしたかと思えば入り口を小突いてみたり―。
穴の周囲をするする棒の先端で引っ掻き回してみたり―。
かと思えば、いきなり穴の奥まで棒を突っ込んで、くりくり暴れさせたりするのだ。
棒が体に出し入れされるそのつど、男の体はよじれ、ふるえ、歯を食いしばってのたうちまわりそうになるのを堪えている。
その顔は桜色に染まり、羞恥に歪んでいたが―。
目はうつろに潤み、えも言われぬような快感に耐えているのは一目瞭然だった。
女は手にした棒を男の穴の奥の曲がった部分に引っ掛けるようにすると、ゆっくり引っ掻くようにそれを引き抜いてゆく。
「これで最後ですからね…わ…すごいですよ、先生?こんなになって」
―ごりごりっ!
目標物を捉え引き摺り出すようなその動きに、先生と呼ばれた男はたまらず情けない声をだしてのけぞった。
「あ、わっ、…あぁ…あぁあっ…」
女がくすりと笑う。
ぷるぷる痙攣する男の腰をたしなめるようにぽんと叩くと、まるで女性のように細やかで綺麗なその髪を漉き、頭を撫でてやる。
そんな一刹那の優しいそぶりに男が安堵したかと見えた瞬間―。
その手にした棒を、男の体から一気に引き抜いた。
「ぅわ、ぁああああああっ!」
びくん、と男が身体を強ばらせたのも、同時だった。
身体の中から何か汚れたものを搾り出され、否、掻き出された男は、双眸をとろんと恍惚にくらませながらまぶたを閉じていった。
- 48 :
-
「いや〜…すみません…。年甲斐もなく声まで上げてしまって」
着物に袴の男―糸色望は頭をかきながら起き上がると女に向き直り、はにかんだ笑みで見つめた。
和服に前掛けの女―大草麻菜実は棒を拭いながら、少し得意そうに、しかし何処か照れくさそうに笑う。
普段ふたりは東京府小石川区の某高校の担任教師とその生徒の間柄だった。
「私、上手だって評判いいんですよ。でも、先生あんなに震えちゃって…ちょっと可愛かったです」
「それにしても…世の中にはこんな仕事もあるんですね。まあ自分でも意外でしたよ、
『耳かき』してもらうのがこんなに気持ちいいものだとは」
そう、ここは大草麻菜実のアルバイト先。
小石川区某所、とある雑居ビルにある『ひざまくら耳かき店』なのだ。
ここは悩み多く疲れのたまるある種の男性たちのための癒し空間。
無機質な雑居ビルの中でここは和風の内装がなされ、清雅な雰囲気で満たされていた。
お隣りの区にゆけばメイドさんやら巫女さんやらのマッサージ店や猫カフェなど、
そのような店はいくらでもあったが、ここ小石川区では珍しい。
時には生命の危険すらある教師生活を送る望は、ふと思い出したように自分に異様に過保護になる時がある。
ストレスストレス、癒し癒しと強迫観念のようなものに取り憑かれ、結果発見したのがこの店だったというわけだ。
…そこで教え子が働いていた、というのは偶然かはたまた神の悪意か。
望の耳垢を拭いたティッシュを始末し、商売道具の棒――耳かきを綺麗にしてしまうと、
麻菜実は先程まで望の頭をのせていた太ももの上の手ぬぐいをたたむ。
「じゃあお茶をお出ししますね。まだ時間、ありますからゆっくりしていってください」
耳かきのあとお茶と和菓子が出て、店員としばし会話を楽しむことができるようになっている。
「はい大草さ…いや、ここではマナさん、でしたか。空いているというので指名したらあなたが出てくるとは…驚きましたよ」
この店はひざまくらで耳かきをしてくれる女性店員を指名することができた。
望が頼もうとした娘は皆客についており、空いている娘はマナ―麻菜実ひとりだった。
まだ採用したてであるので写真が用意されていないんですが、いい娘ですよ―という受付の説明を受けて、
望はマナというその娘を頼んだのだった。それが蓋を開ければこのとおり。
「最初、『マナ』じゃなくて『ナミ』にされそうになったんですよ、私」
「おやおや。それじゃあ日塔さんと同じになってしまいますよね」
「ええ。だから『マナ』のほうに―」
そんな他愛もない会話を交わしながら麻菜実の淹れてくれたお茶をすすり、塩羊羹をつまむ。
望はゆったりした時間に疲れが溶けていくのを感じていたが、どうも麻菜実と顔を合わせられない。
彼の視線は麻菜実の肩や袖のあたりをうろついている。
誰にも聞かせたことがない声をあげて身悶えするのを目の当たりにされたから、ということもあるが―。
淡いあかりに浮かぶ着物姿の麻菜実が、あまりに艶かしかったからだ。
大人びた化粧はとても自然で、高校生という実年齢を感じさせない。
後ろに纏められた髪のほつれたうなじの曲線になんとも言えないあえかな気配がただよっていた。
だがその肩にはうっすらと疲れが浮かんでいる。
望は麻菜実が様々な場所で年齢を偽ってまで働く、その理由を知っているだけにある種の切なさも抱いてそれを見ている。
人妻でもある彼女と、その夫の抱えた借金―。やりくりに四苦八苦する良妻は、必ずしも報われているとは言えない状態だった。
むろん、麻菜実のアルバイトはここだけではないのだろう。
「いろいろあるでしょうが…贔屓のいいお客さんがたくさん付くといいですね」
「ええ…ここ、完全歩合制ですから…頑張らないと」
「それは…」
出勤しただけでは給与は発生せず、こなした客の落とした金銭のうち一定割合が、麻菜実の取り分になるという事だった。
「それに…」
麻菜実がわずかに眉をひそめた。
「いいお客さんばかり、というわけでもないですから…」
「うっ…」
- 49 :
-
そうなのだ。
もちそん大抵の客は店の定めるサービスの範囲を守る『よく訓練された紳士たち』であるが―。
男性客と一対一、この小箱のような部屋で向き合わねばならない彼女たちは、時として質の良くない客に出くわすこともあるのだ。
今のご時世、一見普通の成人男性が内心にどんな狂気を溜め込んでいるかわかったものではない。
望は、どう返していいか一瞬口をつぐんでしまう。
「あ…お、大草さん…。大変、でしょうが…」
「…でも」
ぱっ、と麻菜実のポニーテールが跳ねる。
望に向きあってにっこり笑う。
「今日は嬉しかったですよ。まさか先生が来るなんて」
それは望の胸に、じんわりにじんで来る笑顔だった。
返答し難いような事を言ってしまって望に良くない想像や余計な心配を抱かせてしまった事を詫びるような、
その眉根のあたりに浮かぶ微かな申し訳なさと気づかいを、望は敏感に感じ取る。
麻菜実は明るく感謝を述べることで望の心配を払拭しようとしてくれているのだ。
そんな心の機微は、普段人の顔色をうかがって生きている彼ならずとも充分人の心に届くものだろう。
望も、麻菜実に微かな笑みを返していた。
「普段来るお客さんは、こんなふうにして、あなたに癒されるのでしょうね」
客にただ店のマニュアルに則ってサービスを提供したところでそれは単純作業でしかない。
人の心を癒すのは、やはり人の心、なのだった。
逆に望に返されて、頬を薄く染めた麻菜実を横目に見ながら、しかし望は考えていた。
とりとめのない会話の中で麻菜実は時折、眼をこすり小さくあくびを噛みしていた。
それはもちろん客の望が退屈な男だから、というものではなく、連日の学業、主婦業、そして労働による疲れに相違あるまい。
狭いこの部屋と薄暗い明かり、そして担任との会話が、かえって彼女をリラックスさせてしまったのかも知れない。
望は考える。
彼女は疲れた男たちに癒しを与える。与え続ける。
――では、彼女の疲れは誰が癒すというのだろう?
「…よし」
そうつぶやくと、望はすっくと立ち上がっていた。
「大草さん、ちょっと待っていて下さい」
「えっ?先生、時間はあとちょっと…」
手荷物も置き去りに、望は障子を引くと廊下に出、足早に歩んでいってしまった。
やがて戻ってきた望は麻菜実の隣に座ると照れくさそうに口を開いた。
「フロントに頼んできました。あなたの今日の出勤時間終了までの、ええと、コマ数ですか。
終りまで全部、私が買わせて貰いましたから―」
「えっ!」
「大草さん、お疲れのようでしたから…。六十分のナントカコースを、ひい、ふう、み…まぁ仮眠には充分な時間だと思いますよ」
「あ…」
麻菜実は時々自分がうつらうつらしていた事を思い出した。
確かに疲れは溜まっていた。今日だってこのあと家に戻って家事をした後に夜のアルバイトもある。
だがその羞恥の感情は一瞬で掻き消え、この普段は頼りない担任からの思いがけない気づかいに胸が熱くなってくる。
それに歩合制であるこの店では、麻菜実は望に一日の勤務で望みうる限度額のお金をもらったも同然なのだ。
目尻にちょっぴり浮かんだ涙を指でぬぐう。
「毎日いろいろ大変でしょうが…若いから身体が持つのかも知れませんけど、時には休んでください。
大草さんには癒しが必要ですよ。なに、さっきのお返しです。私は失礼しますが、あとは時間までここでゆっくり―」
望は顎を掻いて照れながらカバンを手にすると帽子を引っ掛け、立ち上がろうと膝を立てた。
その袖に、麻菜実の手が触れている。指先は、触れたものを掴むか掴まないか、ためらうように震えていた。
「えっと…大草さん?」
「…」
顔を伏せた麻菜実の表情はうかがい知れない。
ただ、その耳が赤く染まっていた。
- 50 :
-
望は畳に正座している。
その太股の合わせ目の上には麻菜実の頭がのせられている。
先ほどとは逆に、今度は望の膝枕に麻菜実がその身を委ねているのだった。
麻菜実はポニーテールが崩れてしまわないように横臥していた。
柔らかい頬が望の太股に押し付けられ、手が望の膝を抱くように置かれている。
望は動けない。
動けないから、先刻の事を反芻していた。
さっき望の袖を掴んだ麻菜実の手にはどのような力も入れられていなかった。
だがそれだけで望は一歩も動けなくなってしまった。
望の動きを止めたもの、それは恐怖か戦慄か。
そんなある種の啓示めいたものが望の葛藤を換気する。
考えるうち、膝から力が抜けていた。
そして腰をおろし、その場に座り込んでしまったのだ――まるでそこに、吸い込まれるように。
それとほとんど同時に、正座したその望の腿の上に、ころりと麻菜実が横たわってきたのだった。
狭い小部屋の、静寂が重い。
正座した望は動けない。その膝に頭を預けた麻菜実も、一言も発しない。
望が見下ろす麻菜実の横顔、その目は閉じられているが眠っているかは望にはわからなかった。
茶をすすって談笑していた先刻とは激変したこの現状に、望の精神も麻痺気味だった。
普段は自己保身と危機回避のため、異常事態に際して忙しく働くはずの頭脳が、どういうわけかさっぱり働かない。
望はただひとつ自由に動かせる眼をそろりと動かしてみる。
麻菜実の横顔から、首―そしてからだへ。
合わせられた襟の付け根に微かに覗く鎖骨の丸み。
その下で布地の内に包まれているであろうふくらみ。渋い色合いの帯。
前掛けをかけた腰回りの、着物の上からもわかるまるみのある肉置き。
そこから伸びるふともも。わずかに割れた裾から、足袋に包まれた小さい足がのぞいている。
その足袋と裾の間の、足首の肌色。
―肌色。
その肌をみたとき、ぞろりと望の背筋を走り抜けるものがあった。
それはつい先程まで頭をあずけていた前掛けと着物の布地の下の麻菜実の太股に、その肌色はつながっている、という閃きだった。
そして、肌色は腰、腹から胸乳を経て、すぐ眼下のかぼそい首、横顔へと―。
高校生である教え子のその柔らかい肌は、しかし男を知らない肌ではないのだ。
彼女は人妻なのだ。
麻菜実の日常の端々から夫婦仲は今はあまり上手くいってはいないようだとうすうす感じられるが―。
彼女のからだはそれでも時々は、その夫に開かれているだろう。
他の肌色と絡み合い、混じり合う肌色の麻菜実の姿――そんな妄念が一瞬、望の脳裏をよぎった。
そして一瞬、二瞬が過ぎて、その妄念の中で麻菜実を組み敷いている男の顔は、いつの間にか自分の顔になっている。
自分の顔――そうそれは、教師が生徒を、独身の自分が人妻を犯しているという極彩色の背徳図だった。
その時突然、望は何かにぶつかったように反射的に我に返った。
いま自分はこの健気な教え子の身体を舐め回すように観て――視姦していたのだ、と気づいたからだった。
おのれの頬にこの教え子の太股の肉の感触がふいによみがえる。
それと同時に、胸にのたくる疼きを自覚していた。
――疼く。
疼きは血流となって下腹に凝り、いつの間にか股間の布地を押し上げている。
望は自分の身体の状態に気づいてぬほど驚いた。絶望した、などといういつもの台詞すら浮かんでこない。
硬くなってもう収まらない肉棒が、布地越しに麻菜実の頭頂に触れそうになっていたからだった。
- 51 :
-
望は狼狽しながら何とか肉棒の位置をずらそうとしてみたり、昂ぶりを収めようとしてみたが、すべては無駄な努力だ。
だいいち麻菜実に気取られてしまうし、もし彼女が眠っているとしたらそれを妨げてしまう。
(お、教え子に一瞬とは言え欲情するなんて!それなのに身動き取れないこの状況、あぁあ…八方塞がりです!)
などと、望が悶々としながら心のなかで嘆いたそのとき。
「…先生」
「はいぃっ!」
麻菜実の声が、望の膝枕から上がった。やはり眠ってはいなかったらしい。
「ありがとうございます…甘えてしまって…私」
「い、いいいいや、いいんですよ、わ私が、そうしたかっただけですから」
「…!」
望はいま自分が発した少女にある種の誤解を抱かせてしまいかねない台詞に気づいていない。
少女の胸はその一言で波打っていたのに―。
麻菜実の手が、望の膝をきゅう、と掴んだ。
しばしの沈黙。
それは少女が何かを言うために必要だった心の力を溜める時間だった。
そして男にとっては―。
望は膝を掴んだ麻菜実の手から伝わってくる覚悟のようなものを感じ取り、
この後にやってくるものが何なのか、自らの『やんちゃな時代』の経験から思い至る。
恐怖と混乱の予感―、そう、ちょうど大波が来る前に波が引きあらわになった海底を見ているような、そんな時間だった。
膝の上の麻菜実の頭が、やけに重い。
その重さが、すっと膝を離れた。
麻菜実は望の膝についた手を支えに上体を起こし、望の胸に自分の胸をぴったりと押し当てていた。
鼻梁が、望の顎に触れている。
望は少女のまとう薫りにとらわれたように、身じろぎひとつできない。
互いの心臓の鼓動だけが、合わさった胸と胸を叩いている。
――それがどれくらい続いただろう。
やがて、麻菜実の唇が開いた。
「さっき、先生が立ち上がった時。先生の顔、見れませんでした。…とても、とても…怖くて」
望の身体は動かないが、心は忙しく働いている。
(私もとても恐ろしかった。眼を合わせたら、座ってしまいそうで)
「先生の顔を見た瞬間、先生がこの部屋から出ていってしまうかもしれない、と思って」
(…でも、私がこの部屋をもし出て行ったとしたら、この部屋に残ったあなたはどうするのか?
あなたを傷つけてしまいはしないか?
…私はそれも恐ろしくて。それで結局、座ってしまいました…)
ふるり、麻菜実が震えた。
望は何人かの教え子たちから向けられる恋慕の情を自覚してはいたが、面と向かって思いを告げられた事はそうない。
ふだん行動や態度で好意を伝えてはくるものの、ただ数文字で済むある一言を、少女たちはまるで示し合わせたかのように口にしない。
それは少女たちも、『その言葉』を告げてしまうことで賑やかながらそれなりに安定した日常が壊れてしまうかも知れない、
と無意識裡に恐怖を覚えているからかも知れない。
だが、ここは黒板を背に教卓越しに向かい合ういつもの日常ではなかった。
一対一で向かい合うしか無い、小箱のような部屋だった。
「何か言うのが怖くて。口を開いた瞬間、…言ってはいけない言葉を、言ってしまいそうで。
だんなも――いるのに、先生の生徒なのに、私…」
(ええ、ええ、私も恐ろしいですよ、それに直面するのが。そんな瞬間が来るかも知れないことが。けれど、ああ、でもですね大草さん。
わかるんですよ、予感というか。いえこれは、チキンな私の本能というやつですね…。
あなたはきっとその恐怖の瞬間を。いま、…ここで)
麻菜実の手が望の袷の襟をつかむ。それはまるですがるように。
「でも、今は言わないでいる事のほうが、怖くて。苦しくて」
麻菜実はついに顔を上げ、望を濡れた瞳で見上げた。
瞳の奥からやってくるもの―望にはそれが何か、もうわかっている。
(ああああ、来た。逃げたい。でも、逃げてしまったあとも怖い!さっきと同じ八方塞がりです!
絶望した!ただひたすら絶望したぁああ!)
「先生、私。先生のことが――」
- 52 :
- 麻菜実が発音できたのはそこまでだった。
望の唇が麻菜実のそれをふさいでしまったから―。
口づけは追い詰められた望の唯一の逃げ道だったのかも知れない。
先日のスキ魔の件とは異なり、もう逃げ場は前方にしか無かった。
確かにこの場合、彼の日常を崩壊させる、たった数文字の少女の真心を聞かずに済んだ。
しかし彼はこの行為が少女の思いに応えた形になってしまっていることにすぐに気付く。
思えばなんと間の抜けた逃避行動か。
(し…しまったぁぁぁっ!恐怖のあまり私はなんて事を!で、ですが今更大草さんに何といえばこの場を逃れられるのか…)
そんな望の内心の狼狽をよそに、触れ合った唇から言葉として音にならなかった麻菜実の感情が、望の肉のうちに注ぎ込まれてくる。
驚きと歓喜に満ちた少女の気配が唇越しに踊っているのがわかった。
そうして挿し入れられてきた麻菜実の舌が望のそれに絡みついてきた。
麻菜実はもうスイッチが入った女の眼をして、望の唇をむさぼるのに夢中になっていた。
唾液の糸を引いていったん顔を離すと、麻菜実は頬を桜色に染め上げて笑顔をほころばせた。
「ん…んん…ぷぁ…先生、嬉しいです…」
「お、大草さん、落ち着い…」
麻菜実の一方の手が望の袴の帯に伸びていた。するするとそのあたりを撫でまわしながら、望の耳元でささやく。
「…先生、さっき大きくしていましたよね…?私、気づいていました」
「…うっ!」
望の背に、嫌な汗がどっと吹き出した。
「それも、嬉しいです…枯れ果てたとか言われている先生が、私であんなになってくれるなんて」
(うわぁぁぁぁああ!)
望は先刻の予感の通り大混乱だ。
羞恥と後ろめたさと、そして麻菜実の普段とのあまりの変貌ぶりにもう何が何だかわからない。
「誰にも言いませんから…癒して、くれるんですよね…?」
微笑む麻菜実の濡れた瞳には、どんな少女でも持っている女の魔性がきらきら光っている。
この小部屋はいつの間にか、狙った獲物は逃さない、恋する乙女の戦場に変わっていたのだった。
面と向かった望はもう糸に絡め取られた獲物の気分で、この場を逃れ去るのはもはや不可能と諦めをつけるほかなかった。
(いったい何でどうしてこんな事に…初めはただの好意だったはずなんですが…あーもう!こうなりゃヤケです!)
麻菜実を満足させて、事を済ませればこの部屋から出ていけるだろう、そう見当をつけて開き直ることにした。
苦労して寝かしつけていた、自分の中の獣のスイッチをしっかりと押す。
望は唇をわずかに出した舌で湿らせると、麻菜実の腰を抱き寄せた。
「ええ…たっぷり、癒してあげますよ…」
少々演技過多だが、この場合仕方がない。
- 53 :
-
望は麻菜実の身体を膝の上にのせ、くるりと回すと、背中側から抱きすくめる。
首筋に唇を這わせながら、両手で麻菜実の着物の襟をかき開いた。
ふるりとこぼれだしたまるく豊かな乳房が、薄明かりにほの白く光った。
「大きいですね…大草さん。それに…とても綺麗です」
「や…」
麻菜実の耳元でささやきながら、望は両手でその白い乳房をそろそろなでまわし、揉みまわす。
「ん…んぅ…」
張りのある柔らかなものが望の手のひらの上で形を変えるたび、短いあえぎが虚空に吐き出される。
身をよじる麻菜実の反応を楽しみつつ、今度は指をぷっくり起き上がった乳首に伸ばし、つまみあげた。
「ひゃあっ!」
「声が、大きいですよ。あなたはここで寝ている事になっているんですから―」
「は、はい先生…で、でも」
幸いこの店の個々の部屋は防音がしっかりしているらしい。よほど大げさに声をあげない限り大丈夫だろう。
望はつまんだ乳首を指の腹で転がし、しごきあげてやる。
手首にかかるたっぷりと重い乳房の感触がたまらない。ふるえる麻菜実の耳たぶを甘噛みしながらくすりと笑った。
「あったかいですよ…大きくて柔らかくて…ここに大草さんの母性が詰まっているんですね…」
「んあっ!せ、先生、何をいってるんですっ…」
麻菜実は自分の眼下で望の指に弄ばれる柔肉を見せつけられ、それでも声を上げるのを必で押しす。
そうしていると、急にその乳房が麻菜実の喉元に持ち上げられてきた。
「きゃ…」
「ほら、自分でも舐めて下さい。見ててあげますから…」
「そ、そんなこと…」
望の手指で押し上げられた両の乳首が麻菜実の口元に突きつけられている。
麻菜実は観念したように首をすくめ、舌をいっぱいにのばすとおずおずとその乳首の間に差し入れた。
「んんぁ…ぷぁあ…やだ…恥ずか―」
自分の舌先に触れる自分の敏感な部位が、麻菜実に今まで感じたことのない快感を送り込んでくる。
「眼を閉じて…しっかり味わってくださいね…」
意地悪な望の声が頭の後ろに聞こえ、麻菜実は言われるまま眼をつむり、押し込まれてくる自分の乳首を舐めしゃぶった。
舌先をすぼめ、片方づつちゅうちゅうと吸い上げ、ねぶりあげる。
喉の奥に湧き上がりそうになる嬌声を必で抑えながら、しかし快感を文字通り吸い上げる為に麻菜実は夢中で舌先を動かし続けた。
望は片腕で双乳を抱え、お留守になっている麻菜実の手をそこに導いて支えさせると、空いた手を麻菜実の帯の下へと伸ばす。
柔らかい太股を撫でまわしながら前掛けをまくりあげ、着物の合わせ目をなぞり、そこからするりと手を滑り込ませた。
- 54 :
-
麻菜実の太股の間はもうすっかり熱くなっている。
望は手のひらと甲とに吸いつくようなむっちりした腿肉の感触を味わいながら足の付け根に指先を這い寄らせてゆく。
そのだいぶ手前で―。
「わぁ…すごいですよ大草さん…。こんな所まで、じっとり湿って」
「んぅいぃ…それはぁ…先生が、いじめるからぁっ…」
まだ自分の乳首を口に含んで転がしている麻菜実が苦労して応えるが、望は礼儀正しくそれを無視する。
遠慮無く太股の根っこに指をつっこむと、薄衣の布地を探り当てた。
「ぐっしょり…ですよ?着物は制服ですよね…こんなんじゃヘンな染みが出来てしまうのではないですか…?
裏地にも糸、ひいてますよ?」
望の肩の上で、麻菜実のポニーテールがふるふる揺れた。
「先生の…先生のせいで…熱くなって…」
「脱ぎ脱ぎ…しますか?」
「…はい、先生、ぬが…せて」
教え子の懇願とあらば仕方がないとばかり、望はいったん手を抜いて帯下の裾を左右に大きくさばく。
太股が付け根まであらわになり、望はその外側から麻菜実のショーツに指をかけるとゆっくりとひきおろした。
さすがに顎と手が疲れたか、自分の乳房への愛撫をやめた麻菜実は涎を口の端から垂らしながらぐったりしている。
その眼下には裾がひろがった着物から覗いた両の太股に、濡れそぼった下着がまとわりついていた。
望の誘導に従って片足を下着から引き抜くと、もうぐしゃぐしゃの自分の秘部が空気にさらされていると理解する。
そこから脳に沸き上がってくる疼きがもどかしくて、麻菜実は太股をすりあわせた。
麻菜実の頭は、望がそこに触れてくれる、その期待でいっぱいになっていた。
望の一方の手が麻菜実の乳房を鷲掴みにすると同時に、もう一方の手が秘部に伸びてきた。
あっさり割れ目を探り当てると、さっそく入り口をすりあげ、こね回しだした。
「きゃあぁっ!んぁぁあっ…」
麻菜実は声を押えきれずに、舌をまるで犬のように伸ばしてあえいだ。
(先生の指が…私のあそこに…)
夫の帰らない一人の夜、幾度も望を想ってそこを慰めたことを思い出す。
麻菜実はいまやあぐらをかいた望に抱き抱えられているからだを、妄想が現実になった歓びでいっぱいに震わせた。
その望の指と指が肉の蕾を挟み込み、細かい動きでしごきあげてくる。
すっかり水びたしの肉唇は、狭い部屋に粘液質の音をあげながらひくひく収縮し、暴れる指に吸いついてゆく。
ぷるぷると柔らかな肉がひきつるたび、麻菜実は顎を撥ねあげ、のけぞり、身をもみねじった。
「せんっせ…もうだ、め…」
連動して動く望の手指が舌が唇が、麻菜実のからだを這い回るそのつど、麻菜実は耐えかねたように嬌声をひびかせた。
微笑んだ望が麻菜実の頭をあおのけ、唇を合わせる―。
その手指が麻菜実の割れ目に食い込んだとき、麻菜実の背をぞくりと大きな波が走り抜けていった。
「んぃっ…あぁぁあああああっ!」
- 55 :
-
絶頂感にぐったりした麻菜実は、唇を割ってきた望の指に気だるげに舌をまきつかせている。
(先生に…イカされちゃった…)
とろんと惚けた頭の隅でそれでも物足りない、もっと欲しいという欲望がみるみる育ってくる。
そう、まだ熱の引かない、どろどろに溶けた部分の一番奥に―。
「大草さん…可愛かったですよ」
「ひぇん…ひぇ」
望の指をしゃぶっているため、麻菜実は間の抜けた声で応える。
「でも、もっと欲しいんですよね?もっと癒されたいんですよね?」
「ふぁい…」
「じゃあ、手を付いてください…」
ぐいと背中を押された勢いのまま麻菜実は前方の畳に両手を付いた。望の手が腰の下に入り、お尻を持ち上げられる。
ちょうど四つん這いの格好だ。
「せんせ…うしろから…?」
麻菜実がそのままじっとしていると、するすると衣擦れの音が聞こえた。
望が袴を脱ぎ帯を解いているのだ、そう悟ると下腹が期待感で痺れてきた。
「おや?お尻が着物で見えませんね…。ねえ、大草さん?まくりあげて見えるようにしてくれませんか?」
望の無情な声がした。
「…え?」
そういえばそうだった。麻菜実の着物は襟から乳房がこぼれ裾は開いて乱れていたが、それは前面のこと。
帯は少々緩んではいたがお尻は依然、布地に覆われているのだ。
「そんな…そんなこと」
「いらないんですか?」
なんだかねちねちとした、鳥が獲物をついばむような望の物言いはどうだ。
やけくそなどと言っていたわりに教え子の身体を弄ぶうち、スイッチを入れた獣のサガというやつがいよいよ活性化してきたらしい―
男にはよくあることだが。
望は自分も身体を倒し手を付くと、麻菜実の耳元でささやく。
「さ、はやく…私も早く、大草さんの中に入りたいんです」
「…はい」
――普段の望とは違う望。それを、今は自分だけが知っている。現在進行形で体感している。
麻菜実はそう思うと望の意地悪な要求を受けていることにも倒錯的な快感をおぼえた。
そして浮かぶ、いわば恋敵ともいえる級友たちの顔。それを出し抜いた女としての優越感もあった。
麻菜実は畳に頬をついて肩で身体を支えると、尻を高く突き上げた格好のまま手を裾にのばす。
羞恥に震えながら、ゆっくりそれをまくりあげ、望の眼下に白い桃のような尻を晒し上げた。
その真ん中のやや下側に、肉壺が濡れて光っていた。
- 56 :
-
望の手が白い尻肉を掴んだ。
望の熱い肉棒が、入り口にあてがわれる―麻菜実はそれだけで腰をふるわせ、気が遠くなりそうになった。
「じゃ、大草さん」
「はい…」
「ゆっくり、いきますね…」
あてがわれた先端が、ゆっくり麻菜実の中に侵入してゆく――ゆっくり、ゆっくり。
「ぁあ…ぁ…ああぁ…ぁぁ…」
長く尾をひくあえぎを漏らしながら、麻菜実は背骨をうねらせた。
(先生の…入ってきた…ゆっくり少しずつ…私の、なかに…っ)
望はそのまま一気に奥まで貫いてしまいたい思いにかられながら、それでも緩慢に腰を突き出してゆく。
亀頭のえらが押しのける麻菜実の肉襞一枚一枚――それが彼女が身をよじるたび微妙にうねり、肉棒に快感を与えてくる。
「あなたの中、気持ちいいですよ…いっぱい、大草さんに包まれているようで」
「せん、せぇ…」
細い肩の向こうでポニーテールがいやいやするように揺れ、振り返った涙目の麻菜実が荒い息を吐いていた。
「ああ…ここが大草さんの…」
「んぅうっ…先生、おく…来た…」
麻菜実の肉をかき分けるうち、いつの間にか子宮にまで届いていたらしい――
帯に回した手で麻菜実の下腹を撫でさすると、望の入ったぶん、うっすら盛り上がっているのがわかった。
望はもう我慢出来なくなった。そこから腰を引くと、麻菜実の脳の裏側まで届けとばかり一気に肉棒を奥まで突き込む。
互いの腰と尻が当たり、ぴしゃりと音が上がった。ふるりと痙攣した麻菜実の肉壷が、望を食い締める。
「きゃ、あぁっ!せんせ、いきなり…っ」
「いま、また軽くイキましたね―。そんなに欲しかったんですか?」
「いやぁ、あっあ…っ」
普段のチキンぶりは何処へ行ったのか、意地悪く笑った望は腰をいっそう激しく動かし、麻菜実の肉襞を突き回した。
両手を麻菜実の腰骨に据え、肉棒を出入りさせるたび臀部を微妙に動かして肉壺の内壁をうねらせ、変化させる。
ひと突きごとに変わる肉の感覚が、麻菜実と望、ふたりの脳髄に多様な快感をもたらしてくる。
吹きこぼれた麻菜実の雫が畳に染みを作っては消えてゆく。
「ほら、大草さんも腰を自分で動かしてみてください。大きくなくて良いですよ、小さく細かく―」
「は、はいぃっ…!」
麻菜実は上体を畳にはいつくばらせながら、望に言われるまま腰をひねくりだした。
望の肉棒の動きに合わせてお尻を小さく不規則にうねらせるその都度、
今まで抉られたことのない部分をほじくられ、突かれ、こねくり回される。
そしてその動きを上から望に見られていると思うたび、激しい官能が脳髄を灼くのだった。
- 57 :
-
二人が腰を使ううち麻菜実の帯下までまくり上げた裾がずり落ち、肉のぶつかる音は上がらなくなっている。
ただ湿った音と麻菜実のあえぎが、狭い部屋を満たしていた。
麻菜実はもう腰を高く保っていることも出来ず、その腰を抱え寄せた望の太股の上に乗せられている。
と、望が肉棒を引き抜いた。麻菜実の身体をころりと裏返し仰向けにさせるとその上に覆いかぶさる。
肉棒を麻菜実にあてがったまま、ほんの一瞬動きを止めた。
「先生…?」
望の手が麻菜実の頬に触れ、その眼が麻菜実の瞳を覗き込んだ。
(私はひょっとして、こうなることがわかっていたのではないでしょうか?フロントに話をつけた時から、
部屋に戻ったら大草さんとこうなるかも知れないと。動転してはしまいましたが、そもそもどうして
この娘を助けたい、と思ったのか。…それは、あるいは、私の中に―)
それはさっきまで自分の中に荒れ狂っていたものが休んだほんの一瞬のこと。
麻菜実の手が下から伸び、望の袖を掴んでいた。
「先生、ください、奥まで…いっぱい…いっぱい…」
頬を染めた教え子の哀願に、望の理性はまたどこかに行ってしまった。
「お、大草さん…。…ええ、いっぱいあげますよ」
望はそう言うと上体を起こし、麻菜実の膣中に肉棒を突き入れる。
腰を抱え、また激しく責め始めた。
肉棒が抜けるほど腰を引き、子宮を押し潰そうとでもするかのように深々と打ち込む事を繰り返す。
「ん、ぁあっ!先生、せんせい、もっと…いっぱい…っ!」
たちまち上がる麻菜実の反応に、望は再び身体も心も熱くなってくる。
麻菜実は先ほどの体位で味を占めたのか望の抽送に合わせて腰を微妙にひねり、身をよじりながら望を迎え入れる。
はしたない顔で乱れる教え子を眼下に見下ろしながら、望は先程浮かんだ思いを忘れるように、夢中で腰を動かした。
「ああぁっ!せんせいっ!せんせぇえっ!」
麻菜実はもう大声を上げてはいけないことなどすっかり忘れ去り、感じるままに声を上げていた。
望もそんな事はどうでもよくなっていた。
彼にはわかっていた。
――この大草麻菜実という少女は優しさの量が大きいゆえに、その源として愛しいものから愛されなくてはならないのだ。
優しさも母性も、愛されればこそ―無償ではないのだ。過去に満たされたはずの彼女の中は、今は乾いて飢えていた。
彼女は愛して、愛されたかったのだ。彼女はそうして私を見た。
その私とこうすることで、彼女は、明日からまた大草麻菜実でいられるのだ――。
だから。
望はこの少女の肉壷を、思うさま責めさいなみ、犯しに犯す。
麻菜実が望むように。…望が、望むように。
つい先刻望が妄念した背徳図は今や現実になっていた。
彼は人妻でもある教え子に肉棒を突き立て、その教え子は官能にあえいでいるのだ。
望は麻菜美の襟に手を突っ込むと薄く浮かんだ肋をさすり、律動に弾む双乳をもみくちゃにする。
薄桃のその先端にくちづけて吸い上げ、舐めしゃぶった。たゆんと揺れる胸から麻菜実の鼓動が響いてくる。
望の肉棒を包む肉壷が一突きごとに収縮し、昂ぶりと官能をともにする歓びがおたがいの中に満ちてゆく。
麻菜実の両足が持ち上がり、望の腰の後ろで組み合わされた。
深く深く、一番奥底まで欲しい――望を見上げる眼が、そう訴えている。
その願いを汲みとって、望はこれが最後とばかりに腰を突き入れてやる―。
麻菜実は何処かに消し飛んでしまいそうな意識をつなぎとめながら、思っていた。
(気持ちいい…恥ずかしいのに…なのに…あったかくて…)
――今の夫との行為は、こんなに良かっただろうか。…いや。きっとそれは、もう私の心があの人から離れてしまっているから。
先生とするのがこんなに気持ちいいのは、私の気持ちが先生に向いているから――
簡単なことだった。女は、想う人に抱かれるのが一番幸せなのだ。
望の唇が近づいてくる。
麻菜実はそれに吸い付こうと頭を起こしながら、小さく小さくつぶやいていた。
「…先生…好き…」
そのつぶやきは、望にはきっと聞こえなかっただろうが―。
くちづけながら、望は麻菜実の一番奥に精を放っていた。
麻菜実は脳天まで絶頂感に貫かれながら、歓喜のあえぎを望の唇の中に注ぎこみ、満ち足りた顔で眼を閉じていった。
- 58 :
- 小箱のような部屋の中に、静かな寝息が上がっていた。
寝入った麻菜実の衣服を整えてやった望は己の荷物と帽子を抱えると、抜き足差し足で部屋をあとにした。
廊下を一歩二歩あゆんで足を止めた望は、そっと振り返る。
一刻も早く逃げ出したかったはずのその部屋を、今は名残惜しい思いで顧みる自分が不思議だった。
その心もちを楽しむように眼を細めると、出口に向かって足を進めだす。
その向こうにはいつもの日常が広がっている。
それから数日。
望も麻菜実も、とくに先日の二人だけの時間のことは意識せずに日常を過ごしていた。
だがとある日の放課後に麻菜実が望の教卓にやって来た。
「あの、先生」
「…なんでしょうか、大草さん」
「私、あのバイト、クビになってしまいました」
麻菜実はにっこり笑って報告する。望は少々面食らった。
「それは…」
「先生との…その…あのこと、やっぱり他の部屋に聞こえてたみたいで」
「うっ…!そ、それは、また、何と言うか……すみま…」
「でも、いいんです。お給料は、ちゃんと貰えましたし―。先生、あとこれを」
麻菜実はそう言うと、なにか折りたたんだ紙を望に握らせた。
そして小部屋の秘め事の時と同じように、濡れた瞳を光らせて微笑んだ。
「私、月曜と金曜、出てますから」
望は手の中の紙を広げてみる――その紙は『耳かきリラクゼーション・アロマ・マッサージ云々』にはじまり、
店名や営業時間、所在地が記されたチラシだった。先日の店とは違う。
望が顔を上げると、麻菜美の姿は消えていた。
望はチラシを丁寧にたたむと、袂にしまった。
金曜日。
糸色望は勤務を終えると住居の宿直室にも帰らず、真っ直ぐ校門を出ていた。
足早に歩みながら件のチラシを握り締め、望は考えていた。
――ひょっとすると、自分はとらわれてしまったのかも知れない。
日常のはざま、日々の喧騒を離れた狭い小さな匣の中にひそむ、非日常の魔性に。
あるいはその中にたたずむ、あのやさしい少女に――
そうして糸色望は匣に通う。大草麻菜実は匣の中でひっそりと待っている。
その匣の中のやさしい場所は、二人しか知らない。
『匣の中のやさしい場所』 了
- 59 :
- 『匣の中のやさしい場所』
以上でおしまいです。
うーん…久しぶりだとやっぱり色々と。まぁ…ぼちぼち頑張ります。
自分の場合テーマ、タイトル、ラストシーンが決まらないとダメなので、いま書けそうなキャラはというと…。
まとい&霧、あと知恵先生と可符香あたりでしょうかね。
でもまぁ可符香だけは長くなるし絶望SSを書くのをやめる時に最後に書く予定ですのでまだ先ですが。
つぎは誰にしようかな…。
- 60 :
- GJ
先生に膝枕させる大草さん可愛かったです
次に働いてる場所を教えたりしたことなんかもニヤけました
あと、これほど読みたいと思わない可符香のSSは珍しいですね
- 61 :
- GJ
貴方の大草さんはいつもとても可愛いです。
私も>>60さんの意見に賛成ですよ、桃毛さん。
- 62 :
- 面白かったー。
61の「貴方の大草さんはいつもとても可愛いです。」という発言を見て前の作品を読みたくなったけど、
トラウマをほじくり返されるのはゴメン、というダブルバインド。
どうしよう。
- 63 :
- また賑わってきて嬉しいな
一つの時代が終わり職人たちは去ったが
また新たな職人たちが新しい時代を築いていく・・・
- 64 :
- 膝まくらの辺りで悶えんだ
- 65 :
- これはいいものだ
- 66 :
- やたー!桃毛さんだーっ!!
またしても素敵な大草さんをありがとうです!!
しっかりと楽しませていただきました!
さて、私も一本また書いてきました。
例によって望カフなわけですが。
ともかく、いってみます。
- 67 :
- 窓の外から聞こえる車の音や動物の鳴き声、隣の部屋の住人の生活音。
そんな無数の音達が一人ぼっちの部屋の静けさを余計に強く感じさせるそんな夜。
私は携帯を片手にアパートのベランダに出る。
それから、『あの人』の電話の番号を液晶に表示させる。
そのまましばらく、闇の中に煌々と光る画面と、そこに映し出された名前をじっと見つめる。
通話ボタンに指をかけたまま、少しだけ悩む私。
かけるべきだろうか?
かけないでいるべきだろうか?
電話の向こうから聞こえてくるあの人の声は、きっと私を安心させてくれるだろうけれど、
その居心地の良さに溺れてしまう事が私には何だか少し恐ろしかった。
躊躇う事十数秒、結局私はボタンを押した。
耳元に響くコール音と一緒に心臓が少しずつ鼓動を早めているのが分かる。
ちゃんと出てくれるだろうか?
いつの間にか携帯をぎゅっと握りしめている自分に気付く。
やがて、短くて長いその時間が過ぎ去った後、その人の声が電話越しに聞こえてきた。
『もしもし、こんばんは、風浦さん』
「こんばんは、先生」
お馴染みのその声を聞いただけで明るくなる自分の声に、我ながら現金だなと苦笑を一つ。
そんな自分の感情を悟られぬよう、なるべくいつも通りの声を装って、私は先生に話しかける。
「今夜は月が綺麗ですよ、先生。空の真上で大きな鏡みたいに輝いてるのが見えます」
『ああ、ちょうど私も見てた所ですよ。今日は本当によく晴れましたからね』
「はい。月の右下には虹色に輝くポロロッカの星も見えるし」
『いえ…あの、私の目にはちょっとそういうアレは確認出来ないのですが』
「そこから飛来するポロロッカの宇宙船の大編隊も!!」
『いや、風浦さん、ちょっと落ち着いてくださいって!!!』
と、その時、雲一つ無い夜空を横一文字に切り裂いていく光が一つ。
『あ……私にも見えました。何か飛んでいきました』
「ふふふ、既に数多くのポロロッカの人々が地球にやって来ているのです」
『ちょ…マジですか?マジなのですかー!!?』
すっかり私のペースに乗せられて慌てふためく先生の様子に、クスリと小さな笑い声を漏らす。
残念ながらさっきの光は宇宙船のソレではない。
衛星軌道を周回する人の手で創りだされたお星様、人工衛星の光だ。
それを見越してアドリブをしただけなのだけれど、流石先生、こういう時の反応は段違いだ。
予想以上の先生のリアクション、ここはもう一押ししない方が失礼というものだろう。
「ほら、先生の後ろにもポロロッカ星人が……」
『ひ…ひぃいいいいいい!!?』
電話越しに聞こえる悲鳴とドタバタと騒がしい音だけで、今の先生の様子が目に浮かぶようだ。
『ああ!ポロロッカが…ポロロッカがーっ!!!』
(ちょっと先生、落ち着いてよ)
『これが落ち着いてられますか、小森さん!!ひぃいい…窓にっ!窓にっ!!』
(アレは先生のお兄さん達でしょ?今日遊びに来るって先生が言ってたんだよ?)
(おい、望、今日は一体どうしたんだ?)
(なんだぁ、望、ずいぶん騒がしいじゃないか?)
(なっさけないなぁ、ノゾム!)
先生の声に重なって聞こえる宿直室に集まったみんなの笑い声。
今日はどうやら絶景先生と絶命先生もいるらしい。
私は少しだけ眼を閉じて、その賑やかな光景の中にいる自分の姿を想像する。
それが出来るなら、それ以上の幸せなんて無いのに。
でも、私が今ここでこうして一人ぼっちでいる事も、2のへの皆にすらどこかで一線を引いて心を閉ざしているのも、全部自分で選んだ事。
先生もみんなも、私をのけ者になんかしないって、きちんと分かっているのに。
その一歩を踏み出す事が出来ない私の居場所は、やっぱりこの一人ぼっちのアパートだけだ。
『はぁはぁ、ふ、風浦さん担ぎましたね!!あなたが宇宙船だって言ってたの、人工衛星の光だそうじゃないですか!!』
「おお、さすが先生、鋭いです!」
『うう…いつもいつもあなたは、そうやって人をからかって……』
ようやく騙されていた事に気づいた先生が恨めしそうな声で語りかけてくる。
だけど、どんなに私に文句を言っても、電話を切ったりしないんですね。
怒って呆れて、痛い目に遭わされても、こんな私にどこまでも付き合ってくれる。
私、先生のそういう所、大好きなんですよ。
- 68 :
- 「えへへ…楽しいですね、先生」
『私はぜんぜん楽しかないですよ!というかですね!あなたはいい加減、もうちょっと人の気持ちってものを…』
「でも、私が楽しいのは本当の事ですから……」
『……?…風浦さん、どうしたんで……ザザッ…あれ?また携帯の調子が…ザザザッ…ザーッ…風浦さん、聞こえてますか?風浦さん!』
その時、突然先生の言葉を遮るようにスピーカーから聞こえてきた雑音。
どうやら、今日の電話はそろそろお終いみたいだ。
『風浦さん!…風浦さ…ザザッ…ザーッ』
先生の携帯電話はとても古い。
もう何年使ってるか分からないくらいの年代物で、すっかり故障しやすくなっている上、メーカーに部品の在庫もあまり残っていないような有様だ。
バッテリーはすぐに切れるし、ボタンが反応しない事なんてザラにある。
そして今日みたいに突然通話が途切れてしまう事だって、頻繁に起こってしまう。
「おやすみなさい、先生」
もう繋がっていないだろう電話口にそれだけ呟いてから、私は通話を切った。
これでいい。
もし、ずっと好きなように、先生と話し続ける事が出来たなら、きっと私はその居心地の良さに溺れてしまう。
私が決めて、私が選んだ居場所は、一人ぼっちのこの部屋なのだから、そんなわがままは許されない。
先生の声を聞いて、笑顔を分かち合う。
それだけで私は十分に幸せなんだから。
それ以上を望んだりするのは、きっと贅沢というものだ。
私は再びベランダから室内に戻って、静かな部屋の中に周囲から響いてくる様々な音に耳を傾ける。
「なんだか、さっきよりちょっと寂しいかな?」
ベッドの上に寝転がっていると、あっという間に時間は過ぎていく。
だけど、私の耳に届く音はさっきからあまり変化が無いようだ。
窓の外から聞こえる車の音や動物の鳴き声、隣の部屋の住人の生活音。
それから、あまり油をさしてもらってないらしい自転車のギコギコとチェーンの軋む音。
それを漕いでる男の人の、ゼエゼエと苦しそうな声。
誰かに……そう、私の知ってる誰かにとってもよく似た、そんな声。
「ひぃ…ひぃ……私ももう年ですねぇ。全力で漕ぐと流石に疲れます……」
「え……っ!?」
そこで、耳に届いた声を聞いて、私はベッドから跳ね起きた。
慌ててベランダに飛び出したけれど、そこに自転車の姿はなく、代わりにアパートの階段を登る誰かの足音が背後から聞こえてきた。
まさか……そんな気持ちで振り返る。
やがて足音は立ち止まった、他でもない私の部屋の前で……。
ピンポーンと鳴り響いたチャイムの音に急かされるように、私は玄関へと向かう。
それから、鍵を開ける時間ももどかしくドアを開くと、その向こうには思った通りの人の姿があった。
- 69 :
- 「先生………」
「はぁはぁ…ひぃひぃ……いや、あんまり無理はするもんじゃないですね、風浦さん……」
貧弱な体でどれだけ急いで自転車を漕いできたものやら、汗まみれで肩で息をする先生が苦笑を浮かべて私を見下ろしていた。
私はそんな目の前の光景が信じられず、思ったままの言葉を口にする。
「どうして……?」
「どうしても何も…ぜぇぜぇ…ひぃひぃ…通話が途切れる直前の風浦さん、なんか様子がおかしかったじゃないですか…」
「それだけの為に…来てくれたんですか?」
「『それだけ』なんて言うほど軽くはないと思いますが、まあ、そういう事です」
「勘違いかも知れないのに…」
「私がどれだけあなたに苦労させられてきたと思ってるんです!それぐらい、嫌でも分かりますよ」
言いながら、先生の手の平が優しく頬に触れた。もう限界だった。知らず知らずの内にふらついた体が前に倒れて、私はちょうど先生のみぞおちの辺りに顔を埋めるようにして先生にすがり付いてしまった。
先生はそれに特段動じる様子もなく、ただそっと手の平を私の両肩に添えた。
「別に……」
「……?」
「別に……大した事じゃなかったんですよ?いつもの事だったんです。ほんの少し寂しかっただけなんです。……わざわざ先生が来る事なんてなかったんですよ?」
「それはすみませんでした…」
先生の一言一言が、肩に触れた手が、私の心を安心させていく。
ああ、このままじゃ駄目なのに。このままじゃ、私はこの場所から、先生のそばから動けなくなってしまうのに。
「で、その『ほんの少し寂しい』はどうにかなりましたか?」
「…………はい」
「それは良かったです」
「でも……」
放っておけばいつまでもこのままで居てしまいそうな自分を奮い立たせて、私は顔を上げる。
見下ろす先生の顔と真っ向から見つめ合う。言わなければいけない。伝えなければいけない。全部、私の選んだ事なんだから。私にはそうする責任があるんだから。
「でも、やっぱり先生がここまでする事なかったんですよ。私が一人でいるのも、私が寂しいって感じるのも、全部私が決めた事なんですから…」
「そうかもしれませんね。……でも、私も風浦さんの電話を聞いて、風浦さんの所に行こうって決めちゃいましたし」
「う………」
こんなの反則だ。たぶん、いつになく難しい顔をしてる筈の私に、ちょっと気圧されながらも、それでも先生は笑って答える。
私はそれに上手く言い返す事ができない。
「これからも来ます。行きます。あなたを放っておくの、やっぱり嫌ですから。それに……」
「あ……」
「一度決めたからって、それに縛られる必要もないんですよ。寂しいなら言ってください、私のとこに来て下さい。その方が私も嬉しいです」
先生の手の平が、私の手をそっと握る。こっちへ来いって促すみたいに、私の手を引っ張る。
扉の向こうへ、先生の側へ、私を導く。
「さあ、風浦さん…」
「先生……」
最初から分かってた事だった。自分で決めたから、なんて都合のいい言い訳だ。自分で自分を縛り付けて、動き出さない理由をでっち上げていただけ。
先生は今も目の前で、私の事を待っている。それなら、私ももう一度決めるしかない。
「ありがとうございます、先生……」
にっこりと、たぶん、今日初めての素直な笑顔を先生に向ける。
細く繊細な指先、優しい手の平をきゅっと握る。
そして……。
「えいっ!!」
「おわっ!?ふ、風浦さん!!?」
バタン。先生の手を思い切り引っ張って、アパートの部屋の中へ。
「決めました。どうせ先生と一緒なら、今は二人きりがいいです」
「そうきましたか……流石です」
呆れたような、困ったような先生の笑顔に、私はクスクスと笑い声を漏らす。
「あれ?以外に動揺しませんね?」
「そりゃあ、あなたと一緒にいて、これぐらいでいちいち驚いていたらキリがないですから」
「なるほど、そこで下手に隙を見せないのが男女のべつまくなしのヤンチャ生活を支えた秘訣ですか!」
「む…ぐぅうう……」
軽口と冗談に高鳴る鼓動を紛らせながら、私は一歩前へ。先生の間近に寄り添って、もう一度、あの優しい顔を見つめる。
「すみません。ありがとう。先生が来てくれて、やっぱり嬉しかった。だから、私……」
先生の背中にそっと手を回す。まぶたを閉じて唇をそっと差し出すと、私の肩を同じように優しく抱きしめる先生の腕の感触が分かった。
「風浦さん……ずっと一緒にいますから」
「はい……」
それから、唇に触れたぬくもりと、その幸せの中に私は心も体も委ねていった。
- 70 :
- そのまま、二人で幾度キスを繰り返した事だろう。
頭がぽうっと熱っぽくなって、胸の鼓動はどんどん早くなって、私はその行為を止める事が出来なくなる。
「…っはぁ…あ……先生…」
「…風浦…さん……」
ふと気付いて、先生の顔をまじまじと見ると、こちらも頬を紅潮させてとてもドキドキしている様子だ。
胸に耳を当てると、私に負けないぐらいの速さで脈打つ先生の心臓の音が確かに聞こえた。
「ドキドキしてるんですね、先生……」
「あ、あなただって同じじゃないですか」
「そりゃあそうですけど、ほら、先生は色々と百戦錬磨な経歴をお持ちなわけだし」
「だーっ!!そのネタはなしです!なしですからっ!!」
私に散々いじられた先生はバツが悪そうに頭をかきながら
「……だって、あの頃はこんな気持ちになる事なんて無かったですから」
そんな事を言った。
「と言っても、我が身の不実が招いた事ですから、自業自得です。
あの頃出会った誰か一人とでも、真っ向から向き合っていれば、色々と事情は違ってきたんでしょうけどね…」
それから先生は私をじっと見つめて
「今更、風浦さんを相手に同じつてを踏む訳にはいきません」
「……大丈夫ですよ。ここまで駆けつけて、私の手を握ってくれたのは先生じゃないですか」
不安げな先生の顔に私は微笑む。
「心配いりません。先生と私なら、きっと……」
「風浦さん……」
再度、重ね合わさる私と先生の唇。
そして、そのまま先生の手の平は、私の服をずらして素肌にそっと触れた。
「あっ……」
先生の熱が、指先の感触が、肌の上を滑っていく。
同時に耳たぶと首筋に落とされたキスに、体がビクンと震えた。
「せんせ……」
「綺麗ですよ、風浦さん……」
先生の指先の導くまま、スカートを脱がされ、ブラをずらされて、次第に生まれたままの姿に近づいていく私。
高鳴る心臓の上、外気に触れて敏感になった私の胸を包みこむように先生の手の平が触れる。
「ひあ…ああ…くっ!…ああ……」
溶けていく。
先生の指先が私の乳房を優しく揉んで、脇腹やおへその辺りをそっと撫でて、その度に高まる熱が内側から私を溶かしていく。
呼吸はどんどん荒くなって、触れられる度に漏れ出る声はだんだん押さえがきかなくなっていく。
ビリビリと全身を駆け抜ける甘い痺れの中で、私は宙に投げ出されたような浮遊感を何度も味わった。
今まで味わったことのない感覚の坩堝。
それでも私が怯えずにいられたのは、きっと自分の全てを託せる存在が傍にいたからなんだろう。
- 71 :
- 「風浦さん…だいじょうぶですか?」
「…はい…だから……せんせ…もっと…触ってください……っ!!」
瞳の端から涙を滲ませながら、私は先生の名を呼ぶ。
先生に揉まれた胸はまるで内側に熱い芯を持ったみたいに、ジンジンと私に絶え間ない刺激を伝えてくる。
心も体も全てが熱に包まれて、私はその灼熱の中で水を求めるように、ただひたすらに先生を求めた。
「はぅっ…ひぃ…くああっ!…あっ…せんせ……せんせい…っ!!!」
先生の指先が私の太ももの内側をなぞる。
ビクビクと細かく反応する私の様子を伺いながら、やがてそれは私の一番敏感な場所に到達する。
「風浦さん、いいですか……?」
「はい…今は先生に…私のぜんぶに触れてほしいから……」
コクリ、小さく肯いた私の顔を見てから、先生の指先がその場所に触れた。
「…うぁ…ああっ…ひっ…ああああっ!!」
瞬間、体を駆け上ってきた甘い痺れに、私は声を上げて体を反らせた。
二度、三度、ショーツの上から撫でた後、ついにその内側へと入っていく先生の指先。
恥ずかしさと、快感と、先生に全てを委ねている実感。
そんなものがぐるぐると渦巻いて、その最中に私は何度も先生の名を呼んだ。
「…せんせ…っ!!…ああっ!…せんせい―――っ!!!!」
やがて、理性や思考力といったものはその熱の中に溶けて消えて、私はただただ先生の与える刺激を甘受するようになっていく。
もっと強く、もっと熱く、お互いを感じていたい。
限度を知らず高まる私と先生のその気持ちは、ついに行為を次の段階へと推し進める。
「風浦さん……私は風浦さんと……」
「きてください…先生…私もおんなじ気持ちです……」
潤んだ瞳で互いを見交わし、熱く強いくちづけをもう一度。
それから、ベッドの上に横たえられた私のあの場所に、大きくなった先生のモノが押し当てられた。
「いきますよ、風浦さん……」
「はい……」
互いにコクリと小さく頷き交わしてから、先生のモノがゆっくりと私の中に進入を開始した。
肉と肉、粘膜と粘膜、お互いの最も原始的で、どこよりも生物の本能を色濃く反映させたその部分がこすれ合い、繋がり合う。
駆け抜ける熱と刺激の坩堝の中で必に先生の背中にしがみついた私を、先生もぎゅっと抱きしめてくれた。
「ひあっ!!…あああっ!!…せんせいっ!!…せんせいぃいいいいいっっっ!!!!」
何度も何度も、先生の分身が私の中を行き来して、迸る熱と快感が下腹部全体を埋め尽くしていく。
まるでそこから先生と私の二人が融け合って、一つになっていこうとしているかのように、その感覚は次第に強さを増していく。
- 72 :
- 「せんせい…このまま、わたしとせんせい、ひとつになって…とけあって……っ!!」
「ええ。ずっとこのまま一緒に!!風浦さんと強くつながったまま……っ!!」
私も先生も無我夢中のまま、数えきれないくらいのキスを交わした。
互いの体の輪郭が曖昧になって、湧き上がる熱情の中で心までが溶け合っていく。
強く突き上げられて、ただひたすらに先生の名前を呼んで、私は先生の腕の中どこまでもその熱に酔い痴れた。
「せんせいっ!せんせいぃいいっ!!!…ああっ…好きですっ!!…好きぃいいいいいっ!!!」
「私も…私も好きですっ!!…大好きですよ、風浦さん!!!」
感情のままに放たれる言葉と言葉。
自分の素直な気持ちを先生にぶつけられる事が、そして先生がそれに応えてくれる事が嬉しかった。
嘘も誤魔化しも全て脱ぎ捨てた行為の中で、私達はどんどんヒートアップしていく。
「くっ…風浦さんっ!!!」
「ああ…せんせ……私、もうっ!!!」
やがて、熱と感情の高ぶりはそのクライマックスに向かって加速し始める。
強く抱いて、抱きしめられて、繋がり合った部分で感じる熱と快楽にその身をゆだねる。
心も体も、まるで破裂寸前の風船みたいにギリギリなのに、私も先生も、お互いを求める事を止められなかった。
繋がり合った部分から何度も全身を貫くような快感が電流の如く突き抜けていく。
「ひはっ…ああああっ…ふあああああああっっっ!!!!」
その度にビクンと震える私の小さな体を、先生の腕がしっかりと抱きしめてくれる。
それが嬉しくて、心の底から嬉しくて、私はさらに行為に没入していった。
もうきっと私は先生なしに、先生は私なしにいられない。
心と体を深くつなげ合った行為の最中、私は、そして多分先生も、それを強く感じていた。
そして、止まらない熱と感情の奔流の中で、私と先生はついに限界を迎える。
「風浦さん…愛していますっ!!風浦さんっ!!!」
「あああああああああっ!!!!…せんせ…わたしも…わたしもすきぃ!!!せんせいっ!!!せんせいぃいいいいいっ!!!!」
ビリビリと駆け抜ける快感の衝撃に一瞬意識を持ち去られながら、私と先生は抱き合ったまま達してしまった。
一気に力が抜けて崩れ落ちそうになった体を先生に抱きしめられたまま、私は全身を駆け抜けた衝撃の余韻に浸っていた。
その間、先生も私もどちらも言葉を発する事はなかった。
お互い、乱れた呼吸を整えるだけで精一杯だったからだ。
だけど、不安は感じなかった。
目を閉じれば、あの時手の平をさし出してくれた先生の姿が蘇る。
あの笑顔が心にあるなら、きっと大丈夫。
ふと、顔を上げると、私を見下ろす先生の、いつもどおりの困ったような笑顔が見えた。
私はそんな先生にそっと微笑み返し、今度は自分からその唇にそっと口付ける。
私が決めた、私の居るべき場所。
それを確かめるために、今度は私から踏み出した、先生への一歩。
もう絶対に無くしたりしない、この気持ちを胸に刻み込む。
そして、そんな私に応えるように、先生も私の体を抱きしめるその腕にぎゅっと力を込めてくれたのだった。
ずっと変わることのない、私の居場所。
それはいつも、ここにある。
- 73 :
- 以上でお終いです。
失礼いたしました。
- 74 :
- 「やたー!桃毛さんだーっ!! 」に萌えて
騙されやすい先生に萌えて
先生をからかう可符香に萌えた
- 75 :
- 俺も「やたー!桃毛さんだーっ!! 」にやられた
相変わらず先生はナイスガイだな
- 76 :
- >>59
>>73
gj
- 77 :
- GJ
先生ってなんだかんだで体力あるよなぁ
そして俺も「やたー!桃毛さんだーっ!!」に(ry
- 78 :
- 先週の話はいいネタになりそう
- 79 :
- 加賀さんのエロさが驚異的だった
- 80 :
- 過疎った頃にこそっと登場する事に定評がなくもない雛嬢参上です
このスレ、266さんの神小説だけで見事なバランスを保っていますが、
そのバランス、崩させていただきます!……すいません
エロが無くてすいません!、糖分控えめですいません!
キャラ崩壊していてすいません!、投下しますすいません!!
- 81 :
- 「絶望できる題材は……」
「どうかしましたか?」
現在、望は学校の近所にあるスーパーで夕飯のオカズを買いに行っているのだが、
頼まれていた物がある所から、特に関係の無い所まで色々な所を無駄に右往左往しており、
みかねたまといが背後からメモ用紙を持って話しかけるが、買う物を忘れたわけでは無いらしい。
「いえ、その……最近、絶望してませんし?」
どうやら、何か絶望できる物が無いか探していたらしく、望は恥ずかしそうに視線を泳がせる。
絶望する事が無いのならそれで良いのではと尋ねてみると、
それをやらないと絶望先生の名が廃る、とのこと。
「名が廃るって……先生、その呼ばれ方嫌がってたじゃないですか」
「……そうでした、なら問題ありませんね」
自分が指摘するなりさらっと意見を変えて上機嫌で買い物に戻る望を見て、
(この人、私がついてないとダメな気がする……)と更に固く決心するまといであった。
望が買い物を終え店を出ると、遠くのほうに見覚えのある小さな影が見える、
その影は、望を視界に捕らえると、パタパタと駆け寄ってきた。
「糸色先生、こんにちはー!」
「奇遇ですね、こんにちは」
片手にレジ袋を下げ、短い髪を棚引かせながら
駆け寄って来た可符香も先ほど買い物を終えた所なのだろう……が、
普段突拍子も無い行動が多い彼女に振り回されてきた望のこと、
ついつい不審物でも入ってるのではないかと中身を勘繰ってしまう。
「……風浦さん、そ、その袋、何が入っているのですか……?」
「……本当に知りたいですか?」
瞳を濁らせ、薄く笑みを浮かべて見上げてくる可符香に恐怖を覚え、
「い、いえ!、やっぱり結構ですごめんなさい!!」と涙目で下がる望。
「それならいいんです、先生は何をお買い求めに?」
「私ですか……面白い物は入っていませんが」
望が手に下げているレジ袋には、ニンジン・ジャガイモ・鶏肉……
確かに極々普通の食材だが、それを見た可符香が一瞬何か複雑な表情になったのを
観察力に長けたまといは見逃さず、気配を消してそうっと背後から可符香の袋を覗き見ると、
――中には、ニンジンや牛肉、ジャガイモ等、殆ど望と同じような物が詰まっていた――
「?、常月さん?、どうかしましたか?」
「え?、わっ、まといちゃん!?」
まといが固まっていると、望がそれに気がついたようで不思議そうに尋ねてくる、
可符香もいつの間にか自分の背後に居たまといに気がつき、
気まずそうにレジ袋を隠すと、心配そうにまといを見つめる。
- 82 :
-
――どうやら先ほどのは完全にハッタリだったようだ――
まといは溜息を一つついて、望の質問に「いえ、何も」と答える。
……武士の情けとでも言おうか、それに近い感情からの行動である。
「先生の家、今日はカレーなんですか?」
「はい、小森さんの作るカレーは美味しいんですよー、今度作り方を習ってみましょうか……」
「……や、先生が料理上手になってどうするんですか」
「料理上手の方が良いお嫁さんになれると思って、ふつつかものですが――」
「嫁ぐんですか!?」
「いえ、冗談です」
予想外の返答に思わず大々的につっこんでしまった可符香だったが、
くすくすと笑う望を見て我に返ると、何となくいたたまれない気分になってくる。
「……はぁ、もういいです」
「え?、な、何か悪いことしましたか?……むぅ、本気で嫁いだ方がよろしいですか?」
「そこじゃないですから!、晴海ちゃんは喜ぶと思いますが……」
必ず一歩以上ずれて返答してくる望に、呆れるを通り越して疲れ気味な可符香だが、
そんな二人にまといから「あ、そういえば……」と横槍が入る。
「最近、小森さんのマイブームでデトックス料理が多めね……ちょっと毒が抜けてるかも」
「デトックスって……えっなにそれこわい……」
「……貴方、そんなネタに走る性格だったっけ……?」
デトックスには本来体から毒素等悪い物を抜く効果という意味の筈だったが、
望の場合心の毒素が抜けてるというか、寧違う物が入ってるというか……。
何にしても、健康食一つでこれはちょっと怖い……いや、結構怖い。
それでついネタ発言に走ってしまった可符香だった。
……が、毒が抜けてくすくすと笑みを浮かべる望を見ていると、
何だか悪戯心が沸いて来たので、さりげなく気づかれぬよう携帯を構え――
- 83 :
-
――カシャッ――
突然のシャッター音。 それに驚いた望が、おどおどと可符香を見下ろしてきたので、
ここぞとばかりに可符香は悪戯が成功した子供の様な顔で、
「びっくりしました?、これでおあいこですよ」と言って携帯の画面を見せる。
「……何か、間抜けな顔に写っちゃってますね……恥ずかしいです」
「可愛く写ってますよ?」
「私これでもれっきとした男性なので、可愛いって言われても……」
困ったように可符香をみつめる望だが、ふと自分がおつかい帰りで、
袋の中に鶏肉等の生物が入っていることを思い出す。
「っと、そろそろ帰らないと……生物が傷んでしまいますね、常月さーん」
「あ、はい!」
こっそりと望を激写していたデジカメを覗きこんで一人にやついていたまといだったが、
望に呼ばれると慌ててカメラを隠し、ぴっとりと後ろについていく。
「それでは、また学校で会いましょうね、風浦さん」
「……はい!」
――いつもと感じは違うけれど、ふわふわした感じの先生も悪くないかなー
と、一瞬思ってしまった自分に気が付くが、あの笑顔をみたら仕方ないと妥協しつつ、
先程撮影した毒が抜けた望の写メをこっそりと『大切』フォルダに保存すると、
鼻歌を歌いながら帰路に着く可符香であった――。
糸冬れ
- 84 :
- 以上、久しぶりなhinaでした(`・ω・´)
可符香が好きです、でもまといちゃんも大好きです。
というか絶望先生の女の子は皆好きです。
- 85 :
- >>80
君が266のファンだということはよくわかった
だが気になったのはSSよりもコメント
「このスレ、266さんの神小説だけで見事なバランスを保っていますが、
そのバランス、崩させていただきます!……すいません」
上記の一文はいただけない 「神小説だけ」で「見事なバランス」だって? では、それに対比するものは?
この文脈だと「イマイチなほかの職人のSSと266の神小説が釣り合って良いスレになっていますが、
私の駄文を投稿することによってスレの質が悪いほうに傾いてしまいます すみません」
と受け取れるよ
問題は過度の謙遜と、ほかの職人を軽んずるようにとれる表現
こりゃ266以外の職人に失礼でしょ 数は減ったけど何人かは書いてくれてんのにさ
266だってこんな誉められ方は嬉しくないだろうさ
266本人にだって好みの他の職人やSSがあるだろうからね
特定の職人を神と呼ぶのは君個人の趣味嗜好だから文句はないけど、
自分の好きなものを讃えるためにそのほかのもの全てを軽んじ蔑ろにする表現を使うのは
とても卑しいことだよ 軽蔑と憐れみを禁じえない
加賀さんにあやかって「すいません」を連呼するより、彼女の思慮深さや礼儀正しさを学んだほうがいい
ゆきすぎない程度にね
あとSSそのものはキャラの空気が出ていて悪くなかったよ 乙
- 86 :
- SS以外は三行でまとめろや
- 87 :
- 准千里不足
- 88 :
- ことのん×万世橋の方が足りない
- 89 :
- >>85
読み返した所、確かに自分の発言と文の推敲に不備がありました……
『266さん』の名前が出てしまったのは、このスレで最も多く見つかる職人様だからです。
266さん、スレの皆さん本当に申し訳ありませんでした。
『様々な職人さん達の書く素晴らしいエロ小説で保たれているスレに
過疎とは言えエロ無しで投下してしまってよろしいのでしょうか』
と置き換えてお読みください。この件で私はもうここからは追放されてしまうでしょうが、
ひっそりとROMで覗かせていただきます(`・ω・´)それでは長文失礼致しました。
- 90 :
- >>89
あんまり深く気にしなくていいと思うよ。これからも思いついたらドンドン投下して欲しいしさ。
>>88
濃すぎるだろw
- 91 :
- 24.5-135です。28さんの指摘を受けて、今回は初のエロに挑戦してみました。
望×真夜+可符香、エロ、尻責めアリです。書いてみたらなんかアレになってしまいました。
正直、どういう反応が返ってくるのか全くわからないのですが、投稿を開始します。
- 92 :
- 起きてすぐに糸色望が見たのは灰色の天井だった。
体が、特に四肢がけだるかった。一旦開けた目を閉じてまた寝ようとしたが、いやに寒かった。さっきまであんなに暑かったはずなのに、と思いながら毛布を引き寄せようとして異変にようやっと気づく。
右手が固定されている。……左腕も動かない。もしやと思い足を動かすとギシギシという音しか鳴らなかった。よくよく腕を見てみると丈夫なロープで手首を縛ってある。恐らくは足首もそうなんだろう。
足首を見ようと少し体を起こし、更なる異変を発見して望は絶望した。
素っ裸である。着物もふんどしも足袋も、何も身につけていない。最悪なことに、望の絶棒は直立不動の姿勢をとっている。
よく見ると手のロープは望が持っていた、よく磨かれたロープだった。これでは首を吊って現実逃避することも不可能だ。もっとも吊ることは珍しくなっていたが。
−いや、それよりなんとか鎮めないと、嫌な予感がします……お鎮まりください、お鎮まりください−
望は顔をしかめて念を送ったが、絶棒はあくまでもこの部屋の警備を務める心構えのようだった。
−そうだ、ここはいったいどこなんだ−
望が周囲を見渡す前に、部屋のどこかでドアが開いた。
「あら先生、お目覚めですか?」
案の定、風浦可符香であった。制服を着て、いつもの笑顔のまま縛り付けられた望の右手にまわると、姿勢を低くして望の顔を覗き込んだ。
「いったい何のつもりなんですか!」
「いやだなぁ、先生。ここはさよなら絶望先生のエロパロスレじゃないですか」
にぱぁと無垢な笑顔を見て、望はこれからどうなるかを察知した。首ごと目線をそらしながら精一杯の反撃を繰り出す。双方、望の裸についてはスルーライフ。
「そんな、一言で簡単に片づけないでください!先生、もう怒りますよ!私を陵辱する気なんでしょう、どうせ!!」と絶望をピクピクさせながら唸った。
「さすが察しがいいですね。でも説得力ないですよ」
「ほっとけ畜生が!」
「先生、言葉使いが」
「だいたい、なんで私を縛り付けているんですか!もっとロマンチックなやり方だってあるでしょう、貴女の趣味ですか!?」
部屋に声が響いた。目を逸らしたままガーガーとまくしたてる望に対して、可符香はまったく動じることなく笑った。
「いやだなぁ、私の趣味じゃないですよ。ねっ」
「へ……まだだれか……?」
- 93 :
- ぬっ、とベッドの左側に現れたのは三珠真夜だった。
「証拠過多……!」
可符香と同じように制服を着た真夜は頬を赤らめて望の目をジーッと見つめている。望は慌てて可符香の方を見た。
「エロパロスレなのにエロが書けないと、ニーズに答えられないじゃないですか♪」
「パロだけでもいいでしょパロでも!」
「でも皆さんエロもパロも書ける屈強な作者さんばかりですから、生存競争に負けてしまいますよ」
「135はどうでもいいとして、なんで三珠さんなんですか」
「そりゃあ、真夜ちゃんのエロSSは保管庫にもあまりないですし……万が一失敗しても貴重な真夜ちゃんのエロなのであらゆる方面で重宝されます!」
ヴヴヴヴヴヴヴヴ……。望が左を見ると、真夜が太いバイブを持っていた。
「あの、ちょっと……?」
望は青ざめながらまた可符香を見るが、彼女はただ一言、「少なくとも1つ目の保管庫の中盤辺りで開発済みだから大丈夫です!」と笑っただけだった。
「……」
望は頭を抱えたかった。
ベッドの上に這い上がると、真夜は自分の顔を望の顔に限りなく近づけた。望は避けようとちまちま努力したが、微かに乱れている吐息を聞いているとなんだかアレである。
「三珠さん、そこまでにしましょう!親は泣いていますよーッ」
ひやり、と顔の右側が冷たくなった。真夜は左手で望の頬に触れて、すりすりと肌の感触を味わっている。
(もしかすると、三珠さんは普通の情事の方が好きなんでしょうか?それなら助かりますが……)
残念ながら裸にされて縛られている時点でアブノーマルである。真夜はそのまま望に唇を重ねた。
不慣れなようだ。どうすればいいのか、よくわからないといった感じである。ちょっと合わせては離し、上目遣いで望を見つめている。
「ん……ちゅ…………ぁ……」
だんだん慣れてくるとより長く、より熱っぽいキスになっていった。望の首の後ろにぎこちなく廻していた手も、しっかり固定されていく。
(ま、まぁ……悪くはないですね……)
「んぁ……ちゅ、はぅ……」
少女の口から淫らな吐息が漏れていく。熱烈なキスを続けながら、真夜の右手はいつしか胸を弄っていた。左手は望の腹を通って股間へと伸びていく。
「んっ……ん、ちゅぅ……、んはぁ……」
糊付けを剥がすと、真夜は望の絶棒をまじまじと見つめた。まぁ、剥けてないとか剥けてるとかは想像にお任せしよう。細い指でちょんちょんとつついては反応を楽しんでいるようだったが、真夜はバイブを手にした。今は振動していない。まだ。
- 94 :
- 「……あの……まさか……本気」
「真夜ちゃんは本気ですよー」
すっかりその存在を忘れていた可符香が気楽に言った。人差し指をペロリと舐めている真夜。絶棒の位置まで下がると、舐めていない指でアナルを広げていく。
「い、いや、普通に手コキでお願いします……」
懇願するように目で訴えると、真夜は頬を赤らめた。そして、おもむろに腕を動かした。
ズブっ。
「ぐぁッ!?」
思わず望の体が反り返った。
「やっぱり、開発済みだったんですねぇ」
可符香はただ微笑むだけだった。尻が締まるというか、異物感がひどい。
真夜はいつも犬にしているように、バイブを前後に動かし始める。それに合わせて望の体はビクッと痙攣する。
「こばッ……あッつ……くっあ!」
腕を動かして感覚を逃がそうとするが、縛られているために逆に余韻が強く残った。
「といっあッ、うか、貴女、何かっ、私に薬ぃうッ、飲ませ、ましたねぇっ!」
「あ、ばれちゃいましたか。さっきまだ先生が寝ているとき、おしりの穴に錠剤を」
「ぅしてッ、尻、かッ!?」
「真夜ちゃんの趣味だそうです!先生、かわいい声ですねー」
「っぅあっ!」
絶棒には目もくれず、真夜はバイヴのスイッチを入れた。次の瞬間、四肢がピンと張り、背筋に電撃が走った。
「ぅぁぁぁぁぁぁッ!」
作動音に混じって、濡れた女性器を弄るような卑猥な水音が望の下半身から漏れた。じたばたする望を見て可符香は愛おしそうにため息をつく。
「イッちゃいました、先生?」
「ちょ、わッ、止め!ッ止めてッッッッッッァ!」
呆気なく望は頂点に達したが、真夜は四つん這いになってさらに激しくバイヴを前後させる。
「いやッ、や、くっあぁ!ぁッ、ッッッッッッッッッッ!」
絶棒の先から汁が垂れるが、まだ射精したわけではない。真夜は無理やりバイブを望の奥に突っ込むと(ぁッッ!らめぇッッ!!)、どこからともなくベルトを2本持ち出して器用に固定した。
- 95 :
- 真夜はまだ制服を着たままだった。そのスカートの中に手を入れると、白い下着をするりと下げる。顔が真っ赤になった。
「……ぇ、……」
何も考えられない快感の中で、望は真夜が何か言ったように感じた。考える余裕はなかったけど。
絶棒をつかむ真夜を見て、可符香がベッドに上がった。「駄目よ、真夜ちゃん」と言いながら、可符香は真夜を羽交い締めにする。
「……なぁに?」
答える代わりに、可符香の指が真夜のスカートの中に消えた。
「!?」
「やっぱり。まだもう少し濡れないと、辛いよ?」
くちゅ、くちゅ……。首筋に舌を這わせながら、可符香は真夜の重要部に指で刺激を与える。
「や、可符……ん……!」
真夜は抵抗しようともがいたが、だんだん耳が赤くなっていく。可符香の手が制服の上から真夜の胸を優しく撫でた。
「あっ、やぁ!ぁ、ぁっ!!」
「ここが感じるの?」
5本の指が真夜の中を掻き回すと、真夜はまたもがいた。抵抗するためではなく、快感を逃すために痙攣している。足はピンと伸びきり、頭は可符香に預けていた。
「っ!いいっ!あッ!ふぁっ!」
「ここなの?」
「いっ!違う、ああ!下、したぁ!」
可符香は少しずつ攻め方を変えていくが、肉芽には触れず焦らしておいた。真夜が可符香の手を押さえたが、気にも留めず攻勢をかける。
「おねがい、可符ぅ、可符香ちゃん!した、した!」
ふふと笑って、可符香はわざと愛撫を浅くする。処女膜が無いのは自分で突き破ったからかしら?
頭が右に、左に揺れる。急に中が痙攣して、真夜の絶頂が近いことを知らせる。
「ッッッッッッぁああ!!やあぁぁぁぁぁぁぁぁっあっあっあっ!!」
最後に肉芽を思いっきり潰すと、真夜は悲鳴をあげて絶頂に達した。
「はぁぁぁぁぁぁっっっっっうううぅぅぅっっっっっっっっっ!!」
華奢な体から急に力が抜けて、真夜は可符香に寄りかかった。
はっはと息が荒く、いつもの真夜からは想像できないような惚けた顔をして、よだれまで垂らしている。
「ぁ……ぁ……可符……ちゃ……」
「気持ちよかった?」
真夜は何度も頷いた。
「あ、そういえば先生」
- 96 :
- 望はバイブを突っ込まれたまま放置されていた。知らない間に何回か昇天したらしく絶棒から常に汁が垂れていて、水たまりを作っている。
「はやっ、これ、抜いぇっ、くっ!!」
思わず可符香の顔がほころんだ。
「あらやだ、先生ったらだらしないですねー。口をそんなに大きく開けちゃって〜」
望の足をぺしぺし叩くと、その度にビクッと痙攣した。
「いやだなあ、これで感じているんですか?」
望の絶棒は爆発寸前だったが、何度も昇天している。しかもその昇天方法がアナル責めである、あーなるのも仕方がない。
「真夜ちゃん、もういいよ♪」
まだ少し余韻が残ったまま、真夜は操られるように望の絶棒の上に体を持っていく。二人の股間はスカートで隠された。真夜は体を下ろしていく。
「はぁ……ぁ……んッ……!」
望の腹に手を置いて、体を前後左右に動かす。くちゅりくちゅくちゅ、徐々に絶棒が真夜を浸食していく。
「ちょ、ちょっと待っああああ!!」
わずかな刺激で望は盛大に噴射してしまう。感動的なほど早漏化が進行している。
真夜も熱いものを中に感じながら、さらに絶棒を迎え入れていく。思わず艶のある声が漏れ、目を堅くつぶった。
「ぁっ!ん、んーッ!」
絶棒は根元まで入った。あとは真夜が動くだけである。
「せんせ!せんせい!せんせい、気持ちいい!いいよ、せんせぇ!」
びっくりするほど真夜は饒舌になっていた。快感に喘ぎながら真夜は体を上下させる。最初はゆっくりと、だんだん激しく。
「んっ、んっ!ぅん、やぁっ、ひあっ、あっ、あぁッ!」
「ちょ、ほんッ、かんべッぇ、くだあああああ!」
またもや望は昇天する。
真夜が快感に捕らわれている隙に、可符香はベルトをはずし、バイブを引き抜いた。
「せんせぇ、いぃ、ぁぅ、すごくいいッ!はあっ、あぁ、んぁ!」
ぱんぱん、くちゅくちゅ。バイブをはずしたにもかかわらず、望は全く気づいていない。
「みたまさんっ、抜いて、やめてっ!」
支離滅裂な叫びをあげる望。実のところ気持ちいいのだが、わずかに残った理性が反発している。夜の愛液と肉壁が絶棒をきつく搾り、だんだん絶頂へと近づいていくと、その理性も消え去った。
「せん、せぇぇぇ!」
「で、出る!!出ます!!」
真夜の重要部が不規則に痙攣して、絶棒をさらに締め付ける。可符香によって感度を高められた真夜はもうもたない。
「ひぁぁあッ!やあぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっ!!」
真夜が果てると同時に、望もまた放出する。
真夜は熱いものを感じながら望に胸を預けた。
- 97 :
- 「はぁ、はぁ、ぁぁ、はぁ……」
吐息が望の顔にかかる。心底幸せそうな顔で、真夜は嬉しかった。
「嗚呼……先生、もう生きていけないです……また生徒に出してしまった……」
真夜の髪の毛が望の顎をくすぐる。なんだかいい香りがした。繋がったままの重要部からは愛液と望の分身たちが絡まりながら流れ出ている。望は絶望感と虚脱感に襲われながらも、快感と幸福感を拭えなかった。
「風浦さん……これで解放ですよね」
可符香はんー?と考えていたが、すぐに答えを出した。
「先生、私もいいですか?」
「は?」
「ありゃりゃ、真夜ちゃんたら寝ちゃってますね」
確かに真夜はすーすーと寝息をたてている。寝顔がとても可愛……、じゃなくて、「私も」ってナンデスカ?
可符香は真夜を抱っこすると、望の脇に寝かせた。自分のスカートに手を入れると「まだダメですね」と言いながら濡れたままのバイブを掴んだ。
「あ、あの」
「真夜ちゃんを見ていたら私もヤッちゃいたくなりました♪」
「2回戦目ですか!?」
「いやだなあ、まだ枯れ果てていないことがわかっちゃったんですからね?」
縦線で埋め尽くされた望の顔を見て可符香は舌を出した。
「先生が枯れ果てるまで、あとどれくらいかなぁ」
- 98 :
- いろんな意味で終了。題名「許せ実験台N」
思ったよりえろい部分がうまく書けず、短めになってしまいました。
書くに当たって実際に自分で試してみた、なんてことはありません。ありませんから!
Hinaさん
よいSSでした。こういう感じのものを私も書きたいと思うのですが、なかなか難しいものですから。
- 99 :
- >>98
視点や主語がわかりづらいところはあったけどおおむねGJだと思いますよ
初めてのエロSSでいきなり先生を拘束あにゃる責めなんて・・・恐ろしい子!
>>89
うっかりワンミスで首を刎ねようなんて奴のことは気にせずに
また好きなもんを書けばいいんでないの?
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