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2013年03月Leaf・key556: 葉鍵的 SS コンペスレ 19 (250) TOP カテ一覧 スレ一覧 Pink元 削除依頼

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葉鍵的 SS コンペスレ 19


1 :2007/12/28 〜 最終レス :2012/07/13
ここは、期限内に与えられたテーマに沿った SS を書くスレです。
他人と腕を競いあうもよし、ネタで盛り上げるのもよし、テーマに沿っていれば何でも(・∀・)イイ!!
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん参加してみましょう。
このスレを育てるのは、あなたが紡ぐ言葉です。
・期間の設定や細かい変更点は告知のなかで発表します。
・テーマはこのスレの話し合いで決定され、開催ごとに毎回変更されます。
・その他、ルールや投稿方法、過去スレや関連スレは >>2-10 あたりに。
【前スレ】
葉鍵的 SS コンペスレ 18
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1186409866

2 :
【過去スレ】
葉鍵的 SS コンペスレ 17
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1147042412/
葉鍵的 SS コンペスレ 16
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1111965395/
葉鍵的 SS コンペスレ 15
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1098663567/
葉鍵的SSコンペスレ14,1
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1090080634/
葉鍵的 SS コンペスレ 14
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1088419628/
葉鍵的 SS コンペスレ 13.1
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1076/10761/1076161379.html
葉鍵的 SS コンペスレ 13
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1075/10752/1075290880.html
葉鍵的 SS コンペスレ 12
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1069/10690/1069068271.html
葉鍵的 SS コンペスレ 11
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1063/10639/1063900069.html
葉鍵的 SS コンペスレ 10
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1058/10587/1058785979.html
葉鍵的 SS コンペスレ 9
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1054/10540/1054075821.html
葉鍵的 SS コンペスレ 8
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1049/10491/1049154107.html

3 :
葉鍵的 SS コンペスレ 7
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1045/10459/1045985789.html
葉鍵的 SS コンペスレ 6
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1040/10406/1040605036.html
葉鍵的 SS コンペスレ 5
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1035/10359/1035975262.html
葉鍵的 SS コンペスレ 4
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1031/10311/1031179074.html
葉鍵的 SS コンペスレ 3
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1028/10288/1028847595.html
葉鍵的 SS コンペスレ 2
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1025/10257/1025740724.html
葉鍵的 SS コンペスレ
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1020/10204/1020433927.html
葉鍵的 SS 職人選手権(SS 投稿スレ内で行ったもの(189〜))
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1014/10145/1014537214.html
葉鍵的 SS コンペスレ保管所
http://sscompe.at.infoseek.co.jp/

4 :
【注意】
※必ず名無しで投稿して下さい(誰だか判らなければ良い)。
※特に、普段トリップをつけている方はご注意を。
(そのトリップと違うトリップなら構いません)
それ以外の手順は SS 投稿スレに準じます(以下に転載)。
|【投稿の手順】

|1:まず、投稿する旨を告知するカキコをすると良い。
| 「今から SS 投稿します。なお、××な内容です」など。
| 鬼畜・陵辱・スカなどのジャンルでは特に。読むのを嫌がる人もいます。
| (時間帯・スレの状態・信念・その他で省略可)
|2:書いた SS を 30 行程度で何分割かしてひとつずつ sage で書き込む。
| (名前欄に、タイトルと通しナンバーを入れると分かりやすい)
|3:最後に sage で作者名・タイトル・あとがきなどと共に、
| アップしたところをリダイレクトする(>>1-2みたいな感じ)と トッテモ(・∀・)イインチョ!

5 :
【よくあるかも知れない質問】
Q.複数の作品を投下するのは OK ですか?
A.構いません。期間内でテーマに沿っていればいくつでも結構です。
Q.もうすぐ完成するから、締め切りを伸ばしなさい(`□´)くわっ
A.終了間際の混雑などを考え、締め切りは延長される可能性もあります。
その際は、一言その旨をこのスレに書き込んでください。
ただし、完成まであまりにも時間がかかりそうな場合はその限りではありません。
Q.締め切りが過ぎてから完成したんだけど、ここに投稿していい?
A.締め切りを過ぎたものについては、葉鍵的 SS Training Room や
内容に見合った別の SS 関連スレに投稿してください。
このスレは、決められたテーマと期間の両方を満たす SS を対象にしています。
Q.気に入った SS があったけど、みんな名無しだから作者がわからない。
A.締め切り後にこのスレで訊いてみましょう。教えてくれるかも知れません。
Q.投稿した投稿作品がリアルリアリティに汚染されてます。
A.ときには厳しい意見が付くこともありますが、別にあなたが憎いわけじゃありません。
良い感想職人さんはちゃんと理由も書いてくれますから、次回に役立てて下さい。

6 :
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレは投稿期間を終え、感想期間に入っています。
今回投稿された作品は、
http://nippoudairi.2-d.jp/hakagi_ita/071226/html/1186409866.html
こちらの保管庫の209から212、『はじまりの三月』(toheart/琴音)
になります。
感想期間は12月末を予定していましたが、スレが無くなっていた時間、年末年始を
考えて 1 月 3 日 の午前 0:00 までとさせて頂きたいと思います。
時間がありましたら是非ともお願いします。

7 :
色々、乙

8 :
じゃあ感想書きます。
>>209-212『はじまりの三月』(toheart/琴音)
なんとなく理解しにくかったというか、読者感情的に腑に落ちなかったというか。
このSSは春から長距離恋愛の関係になる二人の信頼を描いた物語、だと解釈していいのかな?
春から多分遠距離恋愛になるだろうというのに、二人は随分落ち着いてるみたいだけど。
二人の仲の良さに随分落ち着いた様子が見られるので、二人がそれだけの信頼関係を築くことができたのかな、となんとなく想像はしたんだけど……
その状況に至る経緯、というのが全く見えないと読者感情的になんだか不自然に受け取ってしまうかな。
或いは俺の解釈が間違ってるのかな?
その辺はもっと分かりやすくして欲しかったと思う。

9 :
『はじまりの三月』(ToHeart/琴音)
ttp://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1186409866/209-212n
やー、一息のセリフとリアクションを重ねる自然なダイアログがいいですね。
エンディングからさらに進んだ、現在の二人の距離がよくわかります。
回想の引き金の入れ方(割れるコップ)も、キャラの性格を把握した話題転換
(シリアスな回想→間接キス)も、流れが自然で嫌味がない。すごく上手だと思いました。
背景の説明不足という意見もありますが、これはハッピーエンドの後日談ですし、
ゲームの体験を共有した読み手の想像力を信頼すればよいわけで、原作の設定を
踏んでその方向を維持する限りにおいて、よけいな説明は不要ではないかなと思います。
浩之の姿勢が原作と変わったところ(受験勉強に集中した)は、きちんと書かれてますし。
そして、遠距離恋愛なんて、あっという間です。琴音ちゃんはきっと成績優秀で、A大は余裕ですよw
ではでは。あったかいお話をありがとう。どうぞこれからもたくさん作品を寄せてください。

10 :
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレは投稿期間を終え、感想期間に入っています。
今回投稿された作品は、
http://nippoudairi.2-d.jp/hakagi_ita/071226/html/1186409866.html
こちらの保管庫の209から212、『はじまりの三月』(toheart/琴音)
になります。
感想期間は 1 月 3 日の午前 0:00 までとなっていますので、
まだの方は是非お願いいたします。

11 :
【告知】
本日0時をもちまして、感想期間を終了させていただきます。
投稿された書き手の皆さん、感想をつけてくださった読み手の皆さん、
そして生温かく見守ってくれていた ROM の皆さん、どうもご苦労様でした。
引き続きこのスレでは、今回の運営への意見、書き手の挨拶、
次々回のテーマの決定などを行いたいと思います。
上記のもの以外にも感想期間に間に合わなかった感想や意見が
ありましたら、書きこんでください。
※次回のテーマは『電話』で、開催は 1 月 10 日からを予定しております。
※今回決めるのは次々回のテーマです。お間違いのないように。

12 :


13 :
どうもどうも、
ttp://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1186409866/209-212n
の作者です。
物語性があるものなんて普段、書くことが無いので(仕事でちょっと筆は取るんですが)
文章は堅いし、どうも内に篭りがちな文章になってしまったし、やっぱ難しいですね。
>8
どうも読んでいただき有難うございます。
なんかやけに落ち着いてるし、まあ最初からのんたりんしてるわ
オチもないわでどういうこっちゃ、と。おっしゃるとおりだ。笑
言っちゃえば二人がファミレスでぼーっとしてる様子の中で、
会話からなんとなく情景が図れるかな?という…
つかみどころがなくてすみませんw
参考になります。
>9
どうも読んでいただき有難うございます。
上手なんて・・・><実際のところ酷いもんです。
えーっと、一々せりふのたんびに行動をはさまないと
語り手の視点が強すぎるかなーと思ってちょっとくどめにやってみましたが、
浩之の動きは興味ないだろー、と大幅にカットして琴音ちゃんばっかり動かしてますw
あとは、二人とも性格が変わり過ぎない程度にちっと大人にさせてみましたが、
そこらへんが説明というか状況的に少し突然すぎかなーとも思ってます。
ついでに、琴音ちゃんはもっと上の大学に行くでしょうかねえ。笑

デワ。感想批評罵倒他ありましたら是非ー。

14 :
>>13
ふむふむ。ダイアログのテクはありがたく頂戴します。それで、
> 状況的に少し突然すぎかなー
そんなことないですよ。
> 春休みに二人きりで旅行するための計画を立てる、はずだったが、
これで二人の仲がかなり進んでいるのは十分にわかります。
わたしなどこの一文を見て、机を返しそうになりました。
> ついでに、琴音ちゃんはもっと上の大学に行くでしょうかねえ。笑
ありえると思います。だって、成績に関しては値踏みしてますもん。浩之を。
かなーり優秀でしょう。んで、某国立女子大とかね。地元? ですし。
でもこの場合、恋仲の浩之の存在が琴音ちゃんの枷になるわけですよね。
予定調和の甘々より面白くなりますかね。あとは、頑固なおじいさま投入とかw
ではでは。レスいただきどうもありがとうございました。

15 :
【告知】
現在総括期間になっています。
総括期間は 1 月 10 日の午前 0:00 までとなっていますので、
運営への意見、追加の感想、次々回のテーマ投票などは
それまでにお願いします。

16 :
今年もここが安泰でありますように。

17 :
もう波風立つほど人が来ないから、大丈夫でしょう。

18 :
今回お題決めで盛りあがったけど全然投稿なかったんだな

19 :
まあまずちょっとした文章でもいいから感想がもっと増えたらいいんじゃない?
匿名のコンペは率直な意見がもらえるのが貴重な利点だし、
ほんわかしててよかったーとか文章が読みづらかったとかでもいいからもっと感想あったほうが
良いと思う。

20 :
次回のテーマって何だっけ?

21 :
>>20
投票がなくてまだ決まっていません…
あと数時間しかありませんが、是非とも応募お願いします。

22 :
ああ、結局次回のテーマが…
あんまりいいアイディア無いけど、『宝くじが当たったら』とか…限定しすぎか?
『無人島で遭難』とか『あのキャラが××の世界にいたら』とか…

23 :
【告知】
第七十回投稿テーマ:『電話』
投稿期間: 1 月 10 日の午前 0:00 から 1 月 24 日の午前 0:00 まで。
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん投稿してみましょう。
面白い作品だったら、感想がたくさんついてきて(・∀・)イイ!!
もちろん、その逆もあるだろうけど……(;´Д`)
※投稿される方は >>4-6 にある投稿ルール、FAQ をよく読んでください。
※特に重要なのが
・テーマに沿った SS を*匿名*で投稿する
・投稿期間中は作品に対して一切感想をつけない
の二点です。他の各種 SS スレとは異なりますのでご注意を。
それでは、投稿開始っ!

24 :
次回(電話の次)のテーマですが、前スレで応募のあった
「バレンタイン」にしてみようと思います。
>>22氏から推薦頂きました単独の題材ではないシチュエーションを
テーマとするのも面白そうなのですが、新しい試みとなってしまうので、
投稿者ではない司会役の私が決めてしまうのも心苦しく、次回の総括期間の
議題の一つに組み込もうかと考えています。
せっかく応募くださったのにスイマセン…

25 :
投下します。
雫で
「僕は電話をかけない」
ヨロシクお願いします。

26 :
唐突だが、僕は電話をかけない。たった一つ例外を除いてすべて受身である。
さらに加えて言えば、毎日ひっきりなしに着信がついている。
用件のたいがいは飲み会やレポート関係である。たいていの大学生なんてそんなものだろう。
レポートのでっちあげにコンパの無難な頭数、確実な代返などとろくでもない用事は山ほどある。
それを全部断らずに遂行しているのも、人間関係のほとんどを”顧客”として考えているからこそである。
美術大学なんてものに入っても僕の根っこは変わってなぞいないのだが、周囲はそう受け取らないらしい。
一様に、髪を脱色して香水を付けるようになった僕の変化に驚きの反応を示す。実の親でさえも、馬面揃いの親類もその例に外れなかった。
だが、たった一つの例外たる沙織ちゃんにとっては僕は周りが言うほどに変化していないらしい。
そして、僕の彼女に対しての感想も大体似たようなものだと思う……というか思いたい。
たとえ彼女が映画のデミムーアのようなショートカットにされて、自慢の栗毛を黒く染め直されていてもそれは変わらないのだと。
「なんていうかお疲れだよね〜。最近の祐くんったら…」
似たような…というか佃煮のようにカップルがひしめく中央線端のターミナル駅の中にある適当な喫茶店。そこにいるのはデミムーアとヨン様くずれ。
言うまでもなくヨン様崩れのほうが僕である。そして寸足らずのヨン様スタイルの僕にしなだれかかるスイートハートこそが沙織ちゃんである。
配置としては通路側に沙織ちゃん、そして壁側に僕。フツーは逆のはずなのだが、なんか僕たちにとってはそれは適用されないらしい。
はっきりいって目立って仕方ないとは思うが、他の客はたぶん自分の世界に夢中であるので問題ないだろう。

27 :
「そう?そう思われるんじゃあまだまだ修行が足りないかな?」
そう強がってみるものの、たいがい僕は疲れている。能力以上の大学にしがみついている上での必然というやつだ。
だがしかし、一端の体育会系大学に奨学生で入り、寮生活を送っている沙織ちゃんのほうがもっと気が休まらないだろう。
そこの体育会は一種の全体主義的な色合いがあり、精神的ストレスは並の女子大生の比較にならないほどと思われる。
ちなみに今日の彼女の格好は宝塚も真っ青のスーツ姿。彼女なりにお洒落に苦心している姿が連想されてほほえましい。
そして何気なくもたれかかっている先はオータムスタイルの茶色いセーターを着たヨン様くずれこと僕である。
ちなみに下はカジュアルスタイルのスラックスだ。こういう奴はある程度の色さえあればそれなりに上に合わせることができる。
「もー、修行って何よぉ〜」
そう言いながら沙織ちゃんが一段と寄りかかってくる。胸の感触も高校の時以上。これで痩せたとはにわかに信じがたい。
もっとも彼女曰くそこの生活は節制と自己鍛錬の毎日であり、だからこそ間口も広く、脱落者も多いのだという。
そして、数少ない彼女の休みの殆どは僕と逢うことに費やされ、そして僕もそれを充実させるためにあらゆる手段を使う。
佃煮に男子の本懐たる逢瀬を邪魔されるなんざまっぴらごめんだ。そしてそういうときに限って電話は来る。

28 :
”ズギューン”
銃声と悪趣味なパイプオルガン。賛美歌の13番だっていうから悪趣味でないことには話しにならないのかもしれないけど。
僕は無表情で電話の液晶窓を見る。右手に電話、左側に沙織ちゃんといった具合だ。
「学校の先輩だね…ちょっと話してくる」
自分でも不機嫌な顔になるのがわかるが、彼女はそれもゾクゾクするという。
恋すれば万事盲目。トイレに立つ姿にさえも様になると彼女は言う。
そして僕も彼女に対してそう思っているし、彼女もそれを知っているのは日ごろの心がけのなせる業。
僕は彼女以外に自分から電話をかけない。そして用件にはほぼ確実に応える。
レポートの作成手伝いにも、コンパの頭数にもだ。僕は便利な引き立て役であるが貸しは絶対に忘れず、借りはすぐに返す。
血も涙も佃煮には必要ないだろうし、そういう厳しさも彼女との時間を守るためには必要だ。
電話の相手は先輩の友達の友達の友達だということだ。名うてのプレイボーイといえば聞こえがいいが、ようするに下衆である。
その男は目つきの悪さとは逆に細かさと才能を発揮し、数々の浮名を流してきたという。
その中には僕の親類の飼い主たるお嬢様もいたというが、そういうことはどうでもいいことだ。
ちなみに、その親類と僕が殴りあいの喧嘩をやらかした次の日のデートのときには、沙織ちゃんは親身になって看病してくれた。
喧嘩の原因は、僕が髪を脱色したことにある。そして、その理由には見向きもしない。だがそれでいい。
今日も学校の先輩の付き添いで僕もコンパに出席 ということらしい。誘いがくるのは便利だと思われているから ということでいいだろう。
佃煮がいくら増えようが知ったことじゃない。一夫多妻万歳、だが僕らの邪魔はするな。そういうことだ。

29 :
戻ってきて彼女の耳元にこう囁く。
「オトコの修行って奴だよ。悪いけどいつものとこで落ち合えるかな?」
 高校の時の知り合いからすれば耳を疑うような言葉だろう
高校の時の彼女なら鉄拳が5,6発飛んできてもおかしくない発言ではあるが、今の彼女は事情は全部承知の上だ。つまり芸術の世界はそういうことばかりだと。
彼女はこれから僕のアパートに戻り、僕の手料理を食べながら僕の日記を見るだろう。文章を読むことが苦手な彼女に提案した、変則交換日記ではある。
それにとどまらず、僕は色々な形で彼女との隙間を埋めている。僕だから出来ることであり、誰にでも出来ることではない。
無難な雑魚その1。引き立て役。上等である。僕は彼女だけのヒーローでいればいいし。僕にとっても彼女は替えがきかない。
現在夜の5時半。東京の夜の7時に僕は飛び込んでいくことになる。そして歌舞伎町の適当なところで彼女と時化込むことになるだろう。
夜の12時に魔法が解けるのはシンデレラだが、虚勢という魔法が解けるのは二人の場合には僕ということになる。
歌舞伎町というと危険かと思われるかもしれないが、彼女は下手すると人が出るくらいにビルドアップを遂げている。さらに加えて日々のストレスから来る凄みだ。
夜道で彼女を襲おうなんて考える奴はこの僕以外にはありえないのだ。そしてその戦闘能力も遺伝であることも僕以外のオトコは知りえないだろう。
その事を知ることになった切っ掛けがある。それはうちの高校が高校二年のときのインターハイにおいて全国出場を決め、予選を敗退したときに遡る。
学校ではがぜん女子バレーを応援しようみたいな雰囲気が高まり、学校経由で彼女に大学からの誘いが来るようになった。
僕は進路を無難な道にするか、それとも一発にかけるかに決めあぐねていた頃でもある。

30 :
そして2年のときの秋口に、彼女から”家を出たいので大学の推薦に行きたい”という相談を受けた。
その時は僕は応援することを約束はしたが。正直男として複雑だったのも確かである。何故なら彼女の家庭環境が複雑であることをその時まで知らなかったのだから。
運が悪ければロミオとジュリエット、ハムレットとオフェーリア、オセローとデズデモーナの仲間入りだ。
そこで僕は、彼女の秘密ってやつを調査することを決意した。彼女の住所は連絡網から調べだしてある。あとは日取りを選んで抜き打ちで見に行くのみ。
その時点では、僕は彼女と知り合ったとき以上の非日常に巻き込まれることになることを予想すらしていなかった訳だが。
なんていうか、僕はバレー部のマネージャーの真似事をなしくずしにやっていた。
だからこそ沙織ちゃんが部活で遠征し、なおかつ僕にお呼びがかからない日時を知ることができたのである。
まず彼女の家の住所はE市駅前の繁華街にある場所だった。その瞬間まで、間抜けなことに僕は繁華街がその場所にあるということさえ忘れていたのだ。
思えばその瞬間から嫌な予感はしていた。僕の全部の細胞がここから逃げ出したがっていた。
夜の校舎での事件とはまた違った恐怖の気配と、彼女の真実を知りたいという欲求。
その瞬間、なぜか人の流れがひどくゆっくりに見えた。そしてその人の流れが分かれてそれぞれの建物に消えていく。
その建物の1つに何故か目が留まる。その建物の入り口の脇に視線を移すと、そこには黒いシーサーがいた。

31 :
花崗岩だろうかなんだろうか、とにかく黒光りするシーサーの石像だ。たぶん狛犬ではない・・・はずだ。
何故なら沙織ちゃんと遠くに遊びに行ったとき、沙織ちゃんがシーサーの縫いぐるみをクレーンゲームで手に入れるために立ち往生。スケジュールが狂ったことがあったからだ。
そこで僕はふと思い当たり、メモ帳と地図を取り出す。沙織ちゃんの家の住所はここらへんのようだ。
もしやという直感、そして悪寒。建物の中に入ろうとしても足がすくんで動かない。せめてもの手がかりをと、あたりを見回す。
『おきなわアットホームリゾート いちゃりば・ちょーでー』
大きさ…というより、建物はファミレスを流用したようなものだ。中のウェイトレスさんというか店員さんは皆竜宮城の乙姫っぽい衣装である。
ただのファミレスでなくなんらかの仕掛けがあるものかと思ったが、客も多いというだけで老若男女いろいろ。傾向が掴めない。
そこで、鈍い音が5、6発。次の瞬間、柄の悪そうなお兄ちゃんたちが倒れ込んでいた。
何か揉め事でもあったのだろうかと奥を見た瞬間、僕は呆気に取られた。
「パーパ?またアシバァがウチのバイ邪魔したけえ、イワして裏に置いておくよぉ?」
 広島弁で彼らを伸したと思しき店員が、どこかに電話をかけていたのが見えた。
その店員はその時点では店員の中で非常に恰幅がよかった。たとえて言うならば”乙姫コスプレをしたみすず”。
僕が一時期ハマったゲームのボスのうちの一人で、現代版女オークといえば説明しやすいだろうか。
そしてそれに加えてそのオークの声はどことなく沙織ちゃんに似ていた。
それよりも、さっきの言葉は広島弁?沖縄弁ではなかったはずだ。そんなことはどうでもいいのだけれど。


32 :
「てーげーにしっしんさぁ、香織ねぇねぇ」
 客の一人で、明らかにお迎えがきそうな爺さんがそのオークに声をかける。同じ老人でも親戚のあの老人共とはえらい違いだ。
「はいはい、こん子たちがテーゲーにしよったらテーゲーにしたるけん」
 そのオークはガタイの良く見える二人の犠牲者を片手にそれぞれ抱え上げて奥に引っ込む。
もっとその声の主をよく見たいと思った僕はあたりを見回し、その店の裏に回る道に走り出した。
 そして店の裏ではさっきの女オークが、強面の中年男性と和気藹々の会話をしていた。さっきの女オークで間違いはないだろう。
強面の男がオークに話しかける。
「で、どっちからサチにクルサイヤ?」
「タカラの爺様がテーゲーいうてたけえ、テーゲーでええけえの」
「ハイサイ」
 男が荷物を積み込むようにして男たちを詰め込んだところで僕はそこから逃げ出した。
男のほうの顔は、よく覚えていない。野郎の顔なんて興味ないし、怖いアレが沙織ちゃんのパパだとは考えたくもない。もっと別の可能性だってあるはずだ。
でも、真実が憶測どおりだろうとなんだろうと、同じ町内で沖縄っぽい嗜好を持つ集まりだ。彼女と浅からぬゆかりがあるにちがいない。
後で調べると、E市の繁華街はチャイナタウンと同じように、沖縄の一部からの移民が多かったそうだ。
僕はいつも沙織ちゃん過ぎた彼女だと思っていた。そしてそのことが僕を変える切っ掛けとなったのである。


33 :
劣等感を抱いている場合ではない。のんべんだらりと過ごしている間にももうひとつの非日常がにじりよってくる。
人間の絶望的な一面。ショービズという名前の地獄。愛する彼女を生み出した地獄。
彼女が地獄生まれの天女だと分かってもなお、僕のなかには逃げるという選択肢は存在しなかった。
彼女のルーツが広島だろうが沖縄だろうが地獄だろうが、僕は彼女を誰からも奪えないように進化してやる。
そういつもそう考えるようになった僕はマネージャーとしての自分が出来る限りの手を尽くした。
そして、彼女は3年のときに全国大会で去年以上の活躍を見せた。うちの学校は準決勝まで進出、彼女は望みどおりの道に進むことができたはずだ。
一方、僕はそんな日々の中で必に考えた末、今の道を決めた。あの恐怖と決意がなければ不可能だったに違いないと思っている。
新宿につくと彼女からメールが届いた。
「K寺のおうちでご飯いただいてます、後が楽しみv」
 どうでもいい話だが、彼女からの着信音は僕が自分で打ち込んである。
どこをどう探しても見つからなかったから、自分でつくった。誰のためでもない自分と彼女のためのシロモノなので電話が壊れたらまた作り直しだ。
バックアップはとらない。壊れたら壊れたで思い出になる。買い換えたら買い換えても思い出になる。他人もメモリアルとして古い携帯電話を使ってるらしいし。
買い換えたら、その瞬間の僕に相応しいに新しくなった同じ曲で彼女の知らせを教えてくれるだろう。
携帯電話が4音から64音になったのと同じような感じで、僕も進化していく。

僕は電話をかけない
だから約束しないし
大事な用事は誰か
僕のベルを鳴らす
だけど すぐに 君と話し合えるよ
会いに 行くよ 同じ空の下
誰にも聞こえないように小さく歌う。今彼女は僕の日記でも読んでいるのだろう。
僕の悪戦苦闘の記憶、愛の証拠、ラブのあかしってやつを。今日の夜も長くなりそうだとため息をつく。
ふと彼女からもらったシーサーのストラップを見ると、彼女のように瞬きをしたような気がした。


34 :
以上です。
途中で連続投稿規制がかかったので立ち上げなおしました。
お騒がせいたしました。

35 :
>>34
乙。
とても良かったと思うけど、ちょっと読み辛い。
一行が長すぎ。改行をもっと多くして。
一般人に馴染みのない単語や表現が多すぎ。お堅い文学的な小説ならそれでいいけど、
明るいラブラブ短編モノで、これはちょっと。(デズデモーナって何?)
方言いれるなら注釈も入れて。何書いてあるのか分かりません。
それだけで読む気がなくなります。
良いストーリーだけど、マイナス面がそれを上回っているように思います。
書けない自分を棚に置いて、言いたいことを書いてすまんです。
でも、素人だからこそ、素直に感じた欠点を書かせていただきました。
また、頑張ってください。

36 :
>>35
今後はスレのルールを守ってくれ。
・投稿期間中は作品に対して一切感想をつけない。

37 :
>>36
あ、ごめんなさい。

38 :
投稿します。
元ネタ:CLANNADなど
題名:「芳野祐介は公子のことを思うと電話でHなことをしちゃうの」


39 :
ガゴゴゴゴゴゴゴ…ガゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…。
芳野祐介の住まう部屋、六畳一間のボロアパートのちゃぶ台の上で、
芳野祐介のPHS(※)が震える。
パシャッ、ピッ。
「あぁ、俺だが…。わかった。今すぐいく」
2月14日、午前1時。
芳野祐介はダークブルーのツィードジャケットをバサリと羽織り、
真夜中の街へと繰り出した。
深夜のファミレスの一番奥の席。そこにジョニーが座っていた。
モシャモシャとサラダバーを貪りながら。
「Ooooh!ヨシノサンおそイYO〜〜〜なにシテタノ〜?」
グッチャグッチャ、ムシャムチャ。

40 :
「寝てた…。それより、どうしたんだ、一体。こんな時間に呼び出したりして」
コーヒーを注文する祐介。
「Woooh[うーーっ]、ソンナにアングリーニナラナイで、シヌワヨ?」
ジョニーは軽くおどけながら、懐から出した小さな包みを祐介のお冷の側に、ずい、と突き出した。
そして―洪笑。
「ヒーーッハッハッハッハッハッ!」
ジョニーはバンババンッ!と怪傑ババーンのように机を叩きながら爆笑した。
「よく話が見えないのだが」
半分眠りかけた意識の奥でジョニーに対する軽い意を覚える祐介。
「これ、ホワイトスノーね。アフガン直送上物SNOW。ドゥーユーアンダースタン?
ギャヒーーーーッッハッハッハ!!HAHAHAHA」
明らかに異常なジョニーの笑い声に、訝しげにチラリと二人のほうを一瞥する他の客。
その中には、駅前のピンサロで働いている藤林杏も含まれていた。
が。

41 :

そんな他人の視線などどうでもよかった。祐介にとっては。
元・ジャンキーの芳野祐介、そう、あの元・ドラッグ漬け歌手芳野祐介にとっては。
「…他に用がないなら、俺はもう帰るが」
まだ見ぬコーヒーを尻目に立ち上がる祐介。
そう、一刻も早く、ヘロインの包みの前から立ち去らねば。
この忌まわしい麻薬から、その実、高校時代から手を出していたヘロインの前から。
彼はそう思った。
しかし。
「祐介サン…無理ハ身体にヨクナE。もっと自分ニ正直ニオープンユァバディァンソォゥ?ライ?」
ジョニーの唇の間から、凄まじいほどの笑みを作るニガーの真っ赤な唇の間から、
アイボリーの、もといミカンの食べすぎで真黄色になったジョニーの歯がゾロリと覗いていた。
そして、光った。ピカリと光ったのだ。
まるで、祐介の心の奥底に潜む欲望、衝動を照らし出すように。
――あの日々をもう一度。あのドロドロに溶けた日々をもう一度。

42 :

何れにせよ。
芳野祐介は、公衆電話の通報用ボタンを押そうとした。その瞬間。
ブブブブブブ…。
ジャケットの懐の携帯が震えた。反射的に取り出し、相手を確認した。
名前には見覚えがあった。
たしかに、祐介の携帯に登録してある相手だった。
伊吹公子。
ディスプレイにはそう表示されていた。
「うぐぅ〜〜〜っっ!」
獣じみたうめき声を挙げながら、応じてしまった。
警察に通報することも忘れて。

43 :

「公子がっ!?gyびjがっ?!本当に公子がっはっ!?なのかっ!」
興奮のあまり、思わずファミレスの入り口の扉にバーーン!とぶつかりながら
グチャグチャとまくしたてる祐介。
ブツッ。通話時間2秒。
んだ者から電話がかかってくるはずがない、
そもそも、何故いままで公子の携帯が生きているのか、
公子はんだのに携帯は生きている、
しかし、公子から電話がかかってきた、んだはずの公子から。
この理不尽はいかに処すべきか―
祐介の頭のなかはグチャグチャであった。
そう、まるで、ヘロインに溺れていたあの日々のように!
そして―
「ヒャーーーッハッハッハッハッハッハ!!YOUAREくーる!
ぶぅわーいミミニャミ!GYAHA−−−−ッッ!!」

44 :

響くジョニーの笑い声。雛ちゃんの歌声ならぬ、ジョニちゃんの笑い声。
振り向くと、いつの間にか後ろに立っていた。ジョニーが。
そして、手の中でもてあそんでいた。見慣れたあの、携帯を。
そう、んだ伊吹公子、連続人で指名手配されていた相沢祐一によって強姦された
伊吹公子の携帯を!!
「あがが…」
アゴがはずれんばかりに愕然としている祐介の肩を、ポンポンと、
裏表で白黒ツートンカラーの手のひらで優しく叩くジョニー。小さな手のひらならぬ、大きな手のひらで。
雨の日、そっと、祐介に自分の傘を差し出した時と同じ穏やかな笑みをたたえながら肩を叩くジョニー。
「イッツァジョーク、メーーン?」
COJICOJIに登場するジョニーくんのように悲しくおどけてみせるジョニー。
芳野祐介は、怒り、絶望、ショック、そして空腹のあまり、彼の足元にドサリと倒れた。

45 :

(ソーリー、ユウスケ。でも、これも君のためなのだ。俺は君のためならねる、なんだってする)
そんなことを内心(英語で)思いながらジョニーは、駆けつけてくる店員たちを適当にごまかし、
外においてある黒いミニバンの中に気絶した祐介をそっと放り込んだ。
そして、一路、新宿へと向かった。区役所跡にあるあの病院へと。
ミュージシャンとしての挫折、ヘロイン、公子の、風子というお荷物―
すべての重荷から、彼を、愛すべき芳野祐介を解放してやるために。
(ふっ、これでいいのさ。俺なんかを愛しちゃいけないのさ)
心の中でクールにつぶやき、ジョニーはアクセルを強く踏み込んだ。
そして、実は盗んだミニバンでアスファルトきりつけながら暗闇走り抜けた。

46 :

それから一週間後。
新宿区。
「先生、一つ、お聞きしてもいいですか」
「なんだね」
白い医師は極上の微笑をたたえながら、ベッドの上に横たわる患者に応じた。
「んだものが生き返ることはあるのでしょうか。そして、愛する者のもとへ帰ってくるのでしょうか」
公子の携帯を固く握り締めながら祐介は問うた。
しばしの沈黙の後――
「眠れぬ夜を、過ごすが良い」
そう答え、白い医師、否、白い美影身は病室を後にした。
まだ、午後3時だった。

47 :

それから1時間ものあいだ、祐介は公子の携帯とにらめっこを続け、
その後、テレビをつけた。
理由は、ただ、暇だったからであった。先ほどの質問についてはどうでもよくなっていた。
ポルノチャンネルではメロドラマがやっていた。
「この白い尻は誰のものだ?あぁ?この白くてまぁるいデカイ尻はよ!」
「貴方のものよ、貴方のものよ!」
AV女優「水瀬亜樹子」がケツを振っていた。相手役は眠り屋ケンちゃんこと「片瀬健璽」だった。
祐介のチンコが勃った。
そして祐介は公子の携帯を肉棒にあてがい、グチュグチュとこすりつけ始めた。
これぞ、魔技「電コキ」である。
2こすりで、芳野は精を放った。
同人誌『膣をキュッ!とね』でヌイたとき以来の快挙であった。

48 :

青い光の降り注ぐ院長室で、白い医師はその様子を伺っていた。
空中に輝くホログラムスクリーンで。
呪歌「だんご大家族」を静かに口ずさみ、愛するせんべい屋に用もないのに
電話をかけよるべきか否か、迷いながら。

―同時刻:
藤林杏(20)は勤め先のピンサロで春原陽平(20)のチンポをしゃぶっていた。
サービス料は30分4000円なり。
「うっ!」
ドピュッ!
ユーロビートがアホのように鳴り響く暗いピンサロのブースの中で、
春原陽平が藤林杏に口内発射した。妹の芽衣にメールを打ちながら。
〜終わり〜

49 :
立ち上がり、お冷を一気にあおって、なんと喉チンコのすぐそこまでせり上がって来たその欲望を流し込み、
「…自首するつもりはないんだな?なんなら、付き添ってもいいんだぞ?」
冷静を装い、余裕を見せ、ジョニーを諭すフリをする祐介。
「モチロンデゴザルyO。バザールデゴザール・ギャハッ(はぁと)」
またしても、机をバンババンッ!とリズミカルに叩き、笑い転げるジョニー。
そのリズム感は彼に流れるニグロの血がなせるものか。
(だめだ…。こいつ、なんとかしないと…)
明らかにラリっているジョニーと、ぽつねんとテーブルの上におかれている
ヘロインの包みを放置し、ファミレスの入り口の公衆電話へと向かう祐介。
携帯から連絡しては、匿名の通報ができないからである。
自分もかかわりを疑われては困る。
公子がんでから半年。
未だ、病院で昏睡状態のまま眠りこける風子の介護ができるのは祐介だけなのである。
(とにかく、ジョニーをぶち込み、なおかつ自分は一切の無関係を貫く)
そんな虫のいいことを考えているのである、芳野祐介は。
思えば、そんな浅慮、そんな浅薄さが、彼をヘロインマスターへの道へと誘ったのかもしれない。

50 :
>>49は、4/11です。

51 :
【告知】
現在、葉鍵的SSコンペスレでは投稿を募集しています。
今回のテーマは『電話』で、締め切りは 1 月 24 日の午前 0:00 です。
テーマを見て思いついたネタがあれば、ぜひ投稿してください。
また、次回のテーマは『バレンタイン』で、開催時期は 2 月中旬になる予定です。
「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの
執筆に力を注いでもらっても構いません。

52 :
【告知】
現在、葉鍵的SSコンペスレでは投稿を募集しています。
今回のテーマは『電話』で、締め切りは 1 月 24 日の午前 0:00 です。
テーマを見て思いついたネタがあれば、ぜひ投稿してください。
また、次回のテーマは『バレンタイン』で、開催時期は 2 月中旬になる予定です。
「一週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの
執筆に力を注いでもらっても構いません。

53 :
【告知】
締め切りまで残り一日となりました。
そろそろラストスパートをかけていきましょう。
今回のテーマは『電話』で、締め切りは 1 月 24 日の午前 0:00 です。
また、次回のテーマは『バレンタイン』で、開催時期は 2 月中旬になる予定です。
「残り1日じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの
執筆に力を注いでもらっても構いません。

54 :
これから投稿します。
凄く久しぶりなので、リハビリかねて。
ネタはうたわれるもの。
タイトルは「ただあなたがいれば」

55 :
…すいません。
なんか書き込めないみたいなので、いったん中断します。

56 :
【告知】
締め切りまで残り数時間となりました。
最後の追い込み、がんばっていきましょう。
今回のテーマは『電話』で、締め切りは 1 月 24 日の午前 0:00 です。
締め切りを越えて投稿をしそうな方は、前もってお知らせください。
よほどの事がない限りは善処させて頂きます。
>>55
もし規制で書き込めないようでしたら
ttp://kita-kao.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/sscompe/index2.html
こちらの「臨時投稿スレ」に投稿頂けましたら投稿作として扱わせて頂きますので、
宜しくお願いします。

57 :
【告知】
ただ今をもって、投稿期間を終了させていただきます。
参加された書き手の皆様、どうもご苦労さまでした。
それでは、これから感想期間に入ります。
投稿された SS について感想、討論などをご自由に行ってください。
期限は 1 月 31 日の午前 0:00 までとさせていただきます。
以下が、今回投稿された作品の一覧です。
>>26-33『僕は電話をかけない』(雫)
>>39-49『芳野祐介は公子のことを思うと電話でHなことをしちゃうの』(CLANNAD)

58 :
すみません。携帯から失礼します。時間オーバーしちゃいました。
臨時スレに投稿させてもらいました。


59 :
感想いきます。
『僕は電話をかけない』(雫)
大学生の祐くんと沙織ちゃん……悪くはないのだけど、今ひとつしっくり来ませんでした。
あの祐くんが普通に学生してる姿が想像しにくくて、物語の流れに同調出来なかった感じです。
「佃煮」と言う表現を連発するなど、周囲の存在を明らかに自分とは異なるものとして捉えている点は祐くんらしさを出そうとしているのかも知れないですが、
何だかただ見下ろし視点でいるようにしか見えなくて、「こんなひどいヤツだったっけ?」と言う印象が拭えませんでした。
後半の沙織ちゃんの家庭の事情については、とってつけたような感じがしてしまい、「これは何の話だろう?」と言うのが正直な感想です。
電話に対して徹底してる祐くんの姿勢が一つの柱であると思うのですが、沙織ちゃんに関する部分が本筋とは直接結びつかず、また読んで納得できるだけの内容でもありませんでした。
一貫したこだわりがあった作品だとは思いますが、肝心の主題となる部分が希薄になってしまったような気がします。

『芳野祐介は公子のことを思うと電話でHなことをしちゃうの』(CLANNAD)
アシッド? ジャンキー? 何か理解できない音楽を延々と聞かされたような感覚で、よく分からない作品でした。
んだ人からの電話と言う素材をCLANNADの奇跡な話でまとめずに、ただ単にイカレタ野郎の妄想みたいな感じにまとめているのは、それを狙った結果なんでしょうか。
ともあれ、全体を通して、イカレタ奴ら(登場人物がみんなイカレテル)の話にまとまっている点は良かったと思います。

60 :
感想続き。
『ただあなたがいれば』(うたわれるもの)
糸電話に大騒ぎする様にとても生き生きとした感じが出ていて、ふと自分のいた時代に思い至り温度差を実感するあたり、(それがお約束とは言え)読んでてほっとする、そんな感じでした。
発掘された携帯電話と糸電話、そんな器械がない世界での人と人のつながり。そう言ったものが短い作品の中に綺麗にまとまっていて、とても良かったです。
本筋とは直接関係ないけど気になったのは、携帯電話が発掘されたときに、リチウムイオン電池はどうなっていたんだろう?と言う点でした。や、本当にどうでもいいことなんですが。
投稿と締め切り(告知)時間とがやや微妙な感じですが、この作品を今回の優秀作品として推したいと思います。
可能であるなら、進行役(◆jDSrDt4dys)の方がこちらに代理アップするなどしていただいた方が、(この作品も一緒に残るので)良いのではないかと……。

61 :
>>58
了解です。
予め連絡をもらっていましたので、投稿作に含めさせて頂きます。
それではあらためまして、ただいま感想期間になっています。
投稿された SS について感想、討論などをご自由に行ってください。
期限は 1 月 31 日の午前 0:00 までとさせていただきます。
以下が、今回投稿された作品の一覧です。
>>26-33『僕は電話をかけない』(雫)
>>39-49『芳野祐介は公子のことを思うと電話でHなことをしちゃうの』(CLANNAD)
http://kita-kao.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/test/read.cgi?bbs=sscompe&key=1114383443
『ただあなたがいれば』(うたわれるもの)

62 :
自分も久しぶりに感想とか書いてみたり。
『僕は電話をかけない』(雫)
全体的にダークな感じですが、オリジナルの雫と違って、倦怠感の漂うダークさって印象です。
沖縄の方言(?)はよくわからなかったです……ちょっと説明がクドいかな?
後日談的な一場面としては、ほどよくまとまっていたと思います。

『芳野祐介は公子のことを思うと電話でHなことをしちゃうの』(CLANNAD)
何となくサイケデリックな風景が浮かぶ。狂い系というのでしょーか。
同じダークでも、こちらは弾けるタイプですね。
文自体はテンポが良くて読み易く、さらっと最後までいけました。

63 :
>『僕は電話をかけない』(雫)
なんか色々と壊れた感じがするなぁ。
原作からしてそんな雰囲気だけど、このSSのがさらに厭世的ってか退廃的なムードが漂ってるってか。
てかこの祐くん、学生時代よりさらにヒネた考えになってない?w
>『芳野祐介は公子のことを思うと電話でHなことをしちゃうの』(CLANNAD)
いつも頑張りますなー
>『ただあなたがいれば』(うたわれるもの)
糸電話ネタは想定の範囲内だけどこの発想はなかったw
単なるドタバタコメディで終わらせてない所がミソ。
最終的に仲間内の結びつき、人と人との絆に帰結させてる所とか。
自分も電話やmailに頼らずにたまには直接会って話しをしないとなー、と色々考えさせられた。

最優秀作は『ただあなたがいれば』で。

64 :
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレは投稿期間を終え、感想期間に入っています。
今回投稿された作品は、>>61となっています。
感想期間は 1 月 31 日の午前 0:00 までとなっていますので、
まだの方は是非お願いいたします。

65 :
時間切れが近いから慌てて感想を書く。
>>26-33『僕は電話をかけない』(雫)
うーん、なんだか読んでてよく分からなくなってきた。
僕は電話をかけないという読み出しは、テーマとしてとてもいいと思ったのだけど。
途中でちょっと素直な気持ちで読めなくなってきたような。
主人公の発言に、ある意味での祐介らしさというのが感じられてその点は結構面白かった。
ただそれ以外に雫本編とのつながりを感じないように思う。
だから初見で興味深さを感じたんだけど、読んでるうちに自分が何を読んでるのかわからなくなってきた気がするな。

>>39-49『芳野祐介は公子のことを思うと電話でHなことをしちゃうの』(CLANNAD)
正直に言って意味が分からない。
これに類するSSもあまり見たことが無いので、客観評価さえ出来そうに無いな。
http://kita-kao.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/test/read.cgi?bbs=sscompe&key=1114383443
『ただあなたがいれば』(うたわれるもの)
うん、いいんじゃないかな。
みんなで糸電話するシーンを思い浮かべるだけでもなんだかほのぼのとした気持ちになれるね。
仲間が集まって騒いでいる情景が素直に浮かび上がってくるような表現が出来ているように思う。
ハクオロが自分が古代人だった頃の知識を随分正確に記憶してるみたいだけど、そういう設定だったかな? とは思った。
それほど大きな違和感ではないけどね。
俺もこの作品を最優秀に推しておこう。

66 :
【告知】
ただ今をもちまして、感想期間を終了させていただきます。
投稿された書き手の皆さん、感想をつけてくださった読み手の皆さん、
そして生温かく見守ってくれていた ROM の皆さん、どうもご苦労様でした。
引き続きこのスレでは、今回の運営への意見、書き手の挨拶、
次々回のテーマの決定などを行いたいと思います。
上記のものやそれ以外にも意見が何かありましたら、書きこんでください。
※次回のテーマは『バレンタイン』に決定しており、開催時期は 2 月中旬になる予定です。
※今回決めるのは次々回のテーマです。お間違いのないように。

67 :
感想の中で、評価が高かった作品は以下のとおりです。
『ただあなたがいれば』 >>60 >>63 >>65
ということで、第七十回の最優秀作品は『ただあなたがいれば』になります。
おめでとうございます。

68 :
『ただあなたがいれば』の作者です。
SSを書く事自体かなり久しぶりだった上に、投稿に失敗したりでかなりドキドキしてしまってました。
その割に暖かい評価を貰えて嬉しい限りです。
>>60さん
感想ありがとうございます。
自分はギャップ萌えな性質なので、対比構造を持ち込むのが好きなんですよね。
壊れた電子機器と動くアナログ電話、モノで繋がる商人たちと心で繋がるハクオロ一行、みたいな。
その部分が上手く伝わっていたら嬉しいです。
あ、電池は多分電話の中で融けて、酷い事になってるんでしょうね。
現代からの経過時間を考えると、基盤も電池も原型は留めてない気がします。
>>63さん
感想ありがとうございます。
うたわれ、という題材そのものも、ちょっといい話風にまとめるのに適してるんですよね。
そういう意味では、題材の良さに便乗した構成ってことで、ちょっとズルいかな、と思っていたり。
>>65さん
指摘どおり、ハクオロが現代人である、と意識するシーンって、うたわれにほとんど無いですよね。
携帯電話を思い出すのにハクオロが一苦労する、というシーンも最初はあったのですが、
テンポが悪くなったので省いちゃいました。
本編のハクオロは、現代人というそぶりすら感じさせない辺り、さすがですよね。

それでは最後に、読んで下さった方、感想を書いていただけた方、本当にありがとうございました。

69 :
色々あったけど最近には珍しく賑やかな投稿、感想期間だったな

70 :
>>68
美凪「進呈…」

つ[お米券]

71 :
【告知】
現在総括期間になっています。
総括期間は 2 月 7 日の午前 0:00 までとなっていますので、
運営への意見、追加の感想、次々回のテーマ投票などは
それまでにお願いします。
※あと22氏から提案のありましたシチュエーション系の題材に
ついての意見もよろしくお願いします。

72 :
シチュ系といえば、昔は「夏だ!外でエッチだ!」とか「えっちのある生活」とかあった……って全部エロ系かよ!!
アイディアが出ない時は、状況が限定されるシチュまで指定されると楽だけど、
他に書きたいものがあるときは逆に面倒になるような。
例にあったが『無人島で遭難』よりは『無人島』とかの方がいいかもね。

73 :
『宝くじが当たったら』は宝くじは未成年だと保護者同伴でないと買えないのがネックだなw
>>38の書き手の挨拶に期待sage

74 :
国崎なら多分買える! ……物理的にどうかは置いておいて。
しかしオチが付けづらそうだな。
ハズレ以外にどんなオチがあるんだ。

75 :
いつも頑張ってる人はいい加減にスルーてか
評価外にしていいんじゃないのか?
次々回のテーマは『卒業式前夜』で。
別にシチュ系でも構わない。俺が書くわけじゃないしw

76 :
>>評価外
まあその辺は感想書く人の自由かと。もともと全員感想は義務じゃないし。
:次々回テーマ
シチュっていうんだったら、『ファーストキス』
とか『初デート』とかそういうのが浮かぶかな。
微妙にシチュとは違うか??

77 :
ファーストキス、初デート共にほとんどの葉鍵ヒロインは
ゲームプレイ中に初めてを経験してるのがやりにくい所w
だがそれをあえてヒロイン視点から見るとかもできるんで、
「ファーストキス」に一票投じとく

78 :
【告知】
第七十一回投稿テーマ:『バレンタイン』
投稿期間: 2 月 7 日の午前 0:00 から 2 月 21 日の午前 0:00 まで。
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん投稿してみましょう。
面白い作品だったら、感想がたくさんついてきて(・∀・)イイ!!
もちろん、その逆もあるだろうけど……(;´Д`)
※投稿される方は >>4-6 にある投稿ルール、FAQ をよく読んでください。
※特に重要なのが
・テーマに沿った SS を*匿名*で投稿する
・投稿期間中は作品に対して一切感想をつけない
の二点です。他の各種 SS スレとは異なりますのでご注意を。
それでは、投稿開始っ!

79 :
皆さんの意見を見ているとシチュエーション題材は「有り」、と言うかそもそも昔から有ったようなので、
今回からシチュ系の題材もテーマとして受けつけようと思います。
それを踏まえて次回のテーマですが、>>76-77で『ファーストキス』が二票獲得していましたので、
第七十二回のテーマは『ファーストキス』で決定したいと思います。

80 :
【告知】
現在、葉鍵的SSコンペスレでは投稿を募集しています。
今回のテーマは『バレンタイン』で、締め切りは 2 月 21 日の午前 0:00 です。
テーマを見て思いついたネタがあれば、ぜひ投稿してください。
また、次回のテーマは『ファーストキス』で、開催時期は 3 月中旬になる予定です。
「あと一週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの
執筆に力を注いでもらっても構いません。

81 :
【告知】
締め切りまで残り一日弱となりました。
そろそろラストスパートをかけていきましょう。
今回のテーマは『バレンタイン』で、締め切りは 2 月 21 日の午前 0:00 です。
また、次回のテーマは『ファーストキス』で、開催時期は 3 月中旬になる予定です。
「残り1日じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの
執筆に力を注いでもらっても構いません。

82 :
投稿開始します。
元ネタ:Kanon、栞×祐一
題名:「幸せ」と「辛さ」は似ているけれど

83 :
「さて、お次の話題はこれっっ!ジャジャーーン!『口だけ頭』!」
(ドッッ(笑))
くだらない朝のワイドショーがやっていた。
雨戸も締め切った部屋の中で栞はそれを茫と眺めていた。
ベッドの上で全裸で体育座りをしながら。
少し寒いと感じていはいたが、これから祐一に会い、昨日一日かかって
作りあげた手作りチョコを渡せると考えただけで、栞はなにか暖かい
気持ちになっていた。
「…実はですね、こちらのおばあちゃんが目撃したと…」
「…非科学的ですよー、そんな生物ありえませんってば…」
CMに入ったので、栞はケホケホと軽く咳き込みながら着替え、
テレビを付けっぱなしにしたまま、手作りのミルクチョコを手に、
祐一と待ち合わせの商店街へと出かけた。
その日は2月14日、楽しい楽しいバレンタイン。
しかし天気は曇っていた。

84 :
「よぉ、栞」
祐一はたいやきをほお張りながら、ベンチの上にふんぞり返っていた。
「こんにちわ、祐一さん」
栞と祐一は手をつなぎ商店街へと繰り出した。
栞の奇跡の回復から2年。祐一は相変わらずであった。
高校卒業後、進学もせず、予備校にもいかず、水瀬家に寄生しながらのフリーター生活。
具体的にはブラックな調査会社の雑用係、あゆの家庭教師、コンビニのバイトなどを
転々としていた。
一方、栞は高校に通い、普通の、どこにでもいる少女の生活を営んでいた。
なんの、変哲もない暮らしを。
「ってなわけで、本当にあゆはダメなんだよなあ。あれじゃあ高校いけないぜ」
栞と祐一はファミリーレストランで早い昼食をとっていた。
「祐一さんの教え方が悪いんですよ、きっと」
栞は「苦瓜のサラダ」、祐一は「柿グラタン」。
「そんなこという人嫌いですぅ」
「うふふ、似てないですよ、今日も」
「うぐぅ」

85 :
二人の座るテーブルは表に面した窓ガラスの側で、曇り空の下、
北川がティッシュ配りをしているのが見えていたが、二人は気がつかずに昼食を終えた。
北川は、というと、彼は前年の夏に父親が母親を害してからというもの、全くツいていなかった。
心無いマスコミとその報道にもみくちゃにされ、北川は心の均衡を崩した。
大学も秋には自主退学し、酒と賭け事に溺れ、年明けからやっと、バイトをしはじめたのである。
しかし、それもティッシュ配りのような単純なものであり、もっぱら、
彼は彼の最も憎むべき存在である父親の残したわずかばかりの金を食いつぶすという、
お先真っ暗の生活を送っていた。
そう、バレンタインの日も、ティッシュ配り。
彼にチョコを渡す人間など誰一人としていない。
しかし、寒い曇り空の下、北川の目は輝いていた。
北川は笑っていた。
なぜなら、彼は去年みたあのドラマをつい先日再放送でみてしまったからだ。
そして、あのドラマのヒロインの台詞を心の礎とし、頑張ろうと決心したからである。
「そろそろ、いくか」
「そうですね…ケホッ、ケホッ」
伝票を持って立ち上がる祐一の側で栞は咳き込んだが、祐一はなにも
なかったかのようにレジのほうへと向かい、栞はストールをひっつかんで
その後を追った。

86 :
「ファイ、オー!」
(ザッザッ、ザッザッ)
「ファイ、オーー!」
(ザッザッ、ザッザッ)
栞と祐一が商店街のはずれのはずれにある小さなラブホテルで一戦交えている同時刻、
名雪は大学のグラウンドで早い午後の部活練習に精を出していた。
高校卒業後、名雪は地元の三流私立大学の
「人類コミュニケーション情報文化学部」に通うこととなった。
あからさまなくらいに人集めのためだけのいい加減な学部であることは間違いなかったが、
名雪はそこで学ぶことに決めた。
ただ単に実家から徒歩20分という地理的好条件だけがその理由であった。
実際、名雪は講義にはろくに出席せず、もっぱら他人のノートを写したりカンペ作りに
励んで勉学生活を乗り切っていた。
「勉強するくらいなら、私は走ってるほうがいいんだよ〜」
成績について祐一にバカにされるといつもそのように答え、大学生になってからの好物である
あんまんをぱくつく名雪であった。
そして、あんまんをほお張るときの名雪の笑顔は輝いていた。
とてつもないくらいに、まるで、命の源を与えられたあわれな下僕の浮かべる表情のように。

87 :
「ゴホッゴホッッ!!」
「おい、風邪か?インフルエンザじゃないのかあ?」
さすがに、栞が透明な湯船につかりながら咳き込むと祐一も一応心配そうに訪ねた。
(うつされちゃあ、かなわんぜ…)
「多分風邪だとおもいます。早めの風邪にはパブロンです」
「なんだよ、それ。ははっ」
(ワシャワシャ)
栞が湯船につかっている側で、祐一は陰毛をもじょもじょとかきむしるように
股間を洗っていた。
そして、チュルン!と、泡でぬるった指先を股間の前面から尻穴のほうへと滑らせ、
陰嚢、尻穴とその周辺に生い茂るケツ毛や陰毛を洗っていた。
が。
「おうっっ!?」
勢いあまり、指先が尻穴につぷぷと突き刺さり、鋭い痛みに襲われるのであった。
栞は先ほどの咳と共に喉の奥に絡まった何かをごくりと飲み込みながら、そんな
祐一の痴態を楽しげに眺めていた。

88 :
午後4時。
ラブホテルからでて喫茶店で一服している最中、栞は祐一に手作りチョコを渡した。
「ありがとうな、栞。俺、てっきりもらえないんじゃないかって…」
「そんなことないですよー」
「ああ」
栞も祐一も、とても幸せそうな笑みをうかべ、その日別れるまでの短い時間を楽しんだ。

「きーーーーっ!この泥棒ネコッッ!大地様から離れなさい!!」
「やーだね、だーれが離れるもんか、なーー、大地ぃ〜」
「だーーっ、くっつくなよアエコ!」
「まーたリョウカお姉さまたちやってるよ〜」
雨戸も締め切り、電気もついていない栞の部屋の中で、煌々と光を漏らすテレビの中では
栞の大好きなドラマが流れていた。
二人のメインヒロインに、その他多数のサブヒロインたち。
彼女たちが、本人の気持ちは無視しながら男を奪い合うというドラマだ。
サブヒロインの一人はメインヒロイン以上に人気が高く、
彼女を主人公にしたメディアミックス作品(全26話)まででた、有名なドラマ。
いずれにせよ、先月からCSで再放送がはじまり、栞はそれを楽しみにしていた。

89 :
祐一と別れ、遅い夕食をとった後、部屋にこもった栞はそれを半分眠りながら眺めていたが、
突如、激しい痛みに襲われた。
「ゲホッ!ガハッゲォッッ!ゴッゴッ!!」
そして、激しい咳と嘔吐。
ベッドのうえで四つんばいになりながら痛みに堪える栞。
膿、痰、唾液、胃の内容物、そして血液のまじった汁がシーツのうえに広がった。
「ぎぎぎ……」
ドチャッ!とその吐しゃ物の水溜りに顔から斃れこんだ栞。
鼻の穴から胃酸臭い汁が入り込んできた。
(私…やっぱり、もう…)
そう、栞は昨年の秋から例の病を再発していた。
2年前の回復が医学的・科学的に原因不明ならば、再発も同様であった。
日に日にやせ衰える身体。
アイスクリームやジャンボピザなどを無理して摂取し、必になってそれを隠そうとした栞。
実際、祐一は再発のことは気が付いていなかったし、栞も再発について祐一に知らせようとはしなかった。
何故ならば。
認めたくなかったからである。例の病が再発し、自分をが蝕んでいることを。
しかし、もはやそれも限界であった。
2月に入ってから、毎晩のように栞は激痛と吐き気、そして吐血に苦しんでいた。
両親の入院の薦めも断った。
これもまた、現実逃避の一環であった。
しかし、しかし。

90 :
(痛いよ…お姉ちゃん…。楽になりたいよ…)
顔に血と膿のまじったゲロをこびりつかせながら、栞は香里の遺影に顔を向けた。
ベッドの上で全裸で、うつ伏せになりながら。
(お姉ちゃん…私、来年も再来年も祐一さんにチョコ渡したいよ…)

美坂香里は昨年の8月20日、海水浴中に謎の水を遂げていた。
(でも、こんなんじゃだめだよ、もうだめだよ…)
栞はズダッ!とベッドの上から転がり落ち、ずるずると香里の遺影のほうへと這った。
吐瀉物でぬめった手で遺影を掴み、バダッとカーペットのうえに斃れこんだ。
そして、めそめそと泣き始めた。もちろん全裸で。
(お姉ちゃん、お姉ちゃん…)
「…が私に…」
(…え)
ヒロインの台詞がテレビから流れてきた。

91 :
「笑顔が私に元気をくれる!」
(!!)
そう、2年前。
リストカットを思いとどまらせた祐一とあゆの笑顔。
ヒロインの台詞。
それが、再放送で流れていた。CATVの日本ドラマ専門チャンネルで。
(……)
ふと、抱きしめていた香里の遺影を眺めた栞。
香里は笑っていた。笑顔でいた。
2年前の、祐一とあゆの笑顔のように。
(そうだね…私、なにしてるんだろうね…祐一さんの笑顔、もっと、見ていたいよね)
その控えめな胸をぷるぷると震わせながらよろよろと起き上がり、栞はとりあえず
痛みが引いたことを確認し、のろのろと服を着た。
(だから…うん、だから…)
そして、明日からさっそく入院と本格的な治療の手続きをしよう、と親の伝えに部屋をでた。
(手遅れかもしれないけど…最後まで笑顔で頑張りたいよね…)
階段を下りる栞の顔は真っ青であったが、同時に強烈なまでの笑みに彩られていた。
そう、生きる覚悟を決めた戦士の笑顔に。
本来、牙を剥くという攻撃的な行為である笑顔に!

92 :
同時刻―
「今日は遅かったですね、祐一さん」
「ええ、栞と遊んだんで…」
「そうだったんですか。それはよかったですね」
秋子は祐一の股間をシャワーで流しながら微笑んだ。
祐一も、射精したばかりの感覚をむず痒いと感じながらも微笑み返した。
「ということは、チョコをもらったんですね、栞ちゃんから」
「ええ、手作りのミルクチョコらしいんですよ」
「まあ。名雪もミルクチョコだったんですよね?」
「ええ、今朝もらったんですけど、なんか流行ってるんですかね、ミルクチョコ。
なんか、舞やあゆや佐佑理さんからもらったチョコもみんなミルク系なんですよ」
「あらあら、祐一さん相変わらずモテモテですね。いいんですか?こんなところに来て」
「へへっ、やっぱりテクニックは本職の秋子さんじゃないとダメですよ」
「うふふ、でも、お小遣い足りてるんですか?」
「まあ、それはなんとかー。『赤なまこ』通いは俺のライフワークということで」
身体を流してもらい終えた祐一は、ぶるんっ!と自慢のイチモツを振るわせながら、
ソープランドの個室の鏡に映る自分の顔をみた。
それは、まぎれもなく、幸せにほころぶ笑顔であった。

93 :
以上です。
途中、規制にかかってしまいました。
ご迷惑をおかけしました。

94 :
【告知】
締め切りまで残り数時間となりました。
最後の追い込み、がんばっていきましょう。
今回のテーマは『バレンタイン』で、締め切りは 2 月 21 日の午前 0:00 です。
締め切りを越えて投稿をしそうな方は、前もってお知らせください。
よほどの事がない限りは善処させて頂きます。

95 :
今から投下してみます。
タイトルは「あまさひかえめ」、題材は「ONE」です。

96 :
 悲喜こもごものバレンタイン。
 その前半戦を終え、勝ち組と負け組が明らかになった教室内に激震が走った。
『あの里村が本命チョコを準備している』
 証言者は南。なんでもいつ自分にくれるのかと茜を見ているうちに気がついたそうだ。
 鞄の隙間から見ただけだが、箱の大きさ、ラッピングの気合の入れようから考えて、本命チョコなのは確実だと周囲の者に語っている。
 引き続き妄想を語る南を尻目に、辺りにいた男子は考える。
 情報の信憑性は高い。あの南が里村のことで間違えるはずがない。
 となると誰に渡すのか?
「このクラスの男子かもしれないよ?」
 急に聞こえた少女の声に、慌てふためく男性陣。
「こんにちはっ。茜のチョコのことだよね?」
 騒いでいた男子はお互いを肘で突付きあっていたが、目を輝かせる詩子に諦めたように頷いた。
 ちなみに南はまだ妄想を語っている。今三人目の子供が七五三を迎えた所だ。
「そんなに気になるなら、聞いてきてあげよっか?」
 マジですか?言葉は出ずともそれ以上に雄弁な表情の男たち。
 詩子はそれをなだめるように手を振ると、その指をわっかの形にして微笑んだ。

97 :
「あっかね〜、元気だった?」
「…詩子はいつも元気ですね」
「そう褒められると照れちゃうな〜。あそうだ、これ、バレンタインのチョコレート」
「…チョコバットですか。ありがとうございます」
「すっごい素の反応だね〜。本当はこっち、詩子さん特性チョコエッグだよっ」
「…相変わらず無駄に凝っていますね。ありがとうございます」
「中を開けたら二度ビックリだよっ。…ところで茜は?」
「…チョコは自分から催促するものではありません」
「そう言いながらも作ってきてくれてる茜はいい人だねっ。わ、ガトーショコラ?」
「はい。詩子が以前あまり甘いものは苦手だと言っていたのを思い出して…」
「うん、これ大好き。茜、ありがとっ」
「い、いえ。前から作ってみたかっただけだから…」
 この様子を見ていた男性陣。焦れていたのかといえば、そうでもない。
 ニヤニヤと相好を緩めるものがほとんどで、中には「百合だ、百合」と息を荒げる猛者もいた。
 もっとも、娘の結婚式のスピーチに突入した南に敵う者はいなかったが。
「ところで茜、これ以外にもチョコレートを持ってきてるんだよねっ」
「…はい」
「それって本命チョコなの?」
 ストレートな詩子の一言に、辺りの空気が一変した。

98 :
「……はい」
 ざわっ
「もしかしてこの学校のひと?」
「……はい」
 ざわっざわっ
「ひょっとしてこのクラスのひと?」
「……はい」
 ざわっざわっざわっ
 もはや騒ぎは男子だけにとどまらず、クラス全体へと波及していた。
 聞いた詩子もそこまでの答えを予想していなかったのだろう。
 いつになく緊張した面持ちで後を続けた。
「じゃあこの中に、いる?」
「……秘密です」

99 :
 一斉に溜め息がひびく教室内。
 しかしなまじ名前を伏せたせいか、それまでにない熱を込めた視線が茜に送られた。
 それを受けてなお表情を変えない里村茜。
 まさに難攻不落。学園が誇る小田原嬢、ここに健在である。
 一方、その中で詩子だけが、最後の一言にこめられた気持ちの揺れを感じ取っていた。
(怒り? 苛立ち? ううん、違う。あれは…悲しみ?)
 詩子が帰り、授業が終わり、皆の期待を背に教室を出る茜。
 街はバレンタインムード一色。
 あちらで指を絡めているのは今日生まれたばかりのカップルだろうか。
 その中を無表情に、しかしいつもより若干早足で歩いていく茜。
 家に帰りつくなり階段を上がり、自室の扉を開けて即ベッドに倒れこんだ。
「浩平、遅刻です。ワッフルだけでは許してあげません…」
 後に続くは嗚咽。
 孤独の城の中、ベッドの軋む音だけがいつまでも鳴り響いていた。

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