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2012年4月創作発表151: 【邪気眼】厨二病で創作するスレ【EFB】 (242) TOP カテ一覧 スレ一覧 2ch元 削除依頼
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【邪気眼】厨二病で創作するスレ【EFB】


1 :10/08/30 〜 最終レス :12/03/18
この下らない“日常”というゲエムの中で、上なる者の“呼びかけ”が聞こえる事があるだろう?ここはその言葉を来世に書き残すフィールドだ。
その言葉は長くてもいい。永きに渡る“コトバ”は、お前の強き心の証。
その言葉は短くてもいい。かの米国の長は、短き言葉で多くを語った。
ただお前の内なる欲望をぶちまけろ!Wreak!

2 :
フッ、過去にはこんな物語も紡がれた。
振り返る為の導(みちびき)を、ここに遺しておこう。
【過去スレ】
中二病な小説設定@創発wikiまとめ
http://www26.atwiki.jp/sousaku-mite/pages/78.html
【邪気眼】中二病な小説・設定【いちおくえん】★3
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1238153118/

3 :
この地が闇に沈まぬよう、祈りを捧げる。

4 :


5 :


6 :


7 :
sage

8 :
sageてねえww

9 :
上がれ!俺のソウルよ!

10 :
フン、死からは逃れられたか。
だが本番はここからだぞ?

11 :
溢れる・・・・・・・・

12 :
風が変わったな・・・
何が?
・・・まさか!!

13 :
お前も気づいたか
そう、あいつが……!

14 :
そ、そんなはずは・・
お前には教えていなかったがあいつは既に・・・・・

15 :
ふっ……あいつの二つ名を忘れたか……?
<<天翔ける不死星鳥>>(シューティング・フェニックススター)と呼ばれた奴の事だ。
舞い戻ってきたんだろうぜ……この現実世界(アストラル・サイド)へとな!

16 :
現在・過去・未来、宇宙のあらゆるところをはじめ、全ての次元・死後の世界・
あらゆるパラレルワールド・ミクロ&マクロの世界が現実化し、またはるか昔から全生物が
見たもの・聞いたもの・言ったこと・書いたこと・夢で見たもの・想像・妄想・創作したものも、
その数だけそれぞれ世界・存在として具現化して、その全ての世界にいける手段も一瞬で行けるものから宇宙船のようなものなど無数に存在する。
もちろん、具現化した世界の現在過去未来・パラレルワールド・死後の世界も存在し、
具現化した存在が考えたり夢に見たりしたことも、それぞれ別の世界として生み出される。
またそれぞれの世界がいくつか、あるいは全て混ざり合った世界も別の世界として存在し、
これらの世界全てにも、ほかの全ての世界と行き来できる手段が無数に存在する。
また、自分で想像して生み出した世界へは、本人が願えばいつでも行くことができ、生み出した本人はその世界では全能の存在となる。

17 :
ほー。たしかに十代んときこんな時期あったな。
ただ「ちゅうにびょう」の正しい定義がまだわかんない。
ウィキしてみよう

18 :
おおおおあったぁぁぁ
冗談で検索したのにウィキにあったぁ!
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%A8%E4%BA%8C%E7%97%85

19 :
 ウ  ィ  キ  ヘ ゚  テ ゙  ィ  ア
「全にして一を知らんとする輩への導」をウィキと(ry

20 :
>>19
ウィキペディア
「粗大ごみの山」だろ、大いなるカオスだが時には一握りのコスモスを手に入れるところとかそっくる

21 :
「見ての通り、ご覧の有様だよ・・・」
そう言って農夫は野菜の中身をテレビ局のカメラに見せた
その野菜の中身は外側と違いまるで腐ったようだった「〜以上、世界各地で起きている謎の植物腐敗についてのリポートでした」
そして、スタジオでは専門家達が生物兵器を使ったテロだの、ウィルスの感性だの続けている
しかし、この議論もいつも通りに何も検出出来ない上に短期間で広範囲に蔓延している
という理由で様々な仮設は否定され締め括られるのだ
そう、誰も気付くはずがない気付ける訳が無い
もう一つの世界の戦争が影響している事には・・・

22 :
で、ここは元は設定晒しスレだったんですよね?
わからないのでこういう風に書いたんですが読みにくかったらすみません
話の内容としては
パラレルワールドで大きな戦争→こちらの世界の(なぜかw)農作物に影響
って流れです
そもそも、ついさっき見た夢の話なんで何かに影響を受けた可能性は凄く高いんですが
これからの厨二妄想に使えそうなんでメモも兼ねて書きました

23 :
無論問題ないが、まだ中二要素は薄いかなw

24 :
異界食物連鎖(パラレル・フードチェイン)とか言い出したら始まるなw

25 :
>>22
こいつは、もちっと設定詰めれば生物科学系のSFとして行けそうじゃないか?
面白そう。厨二ぽく無くなるけどwww

26 :
他のスレに投下したけど、こっちに投下したほうが面白そうなので・・・
【世界観】 
・人間の運命を操ることのできる異世界の魔人、『彼ら』のいる世界。
・『彼ら』は、現世と幽界を自由に行き来できる。
【舞台となる場所】
・現代日本の東京
【主人公】
・十七歳の男子高校生
【主人公の目的】
・とりあえず、生き延びること
・平穏な日常生活を取り戻す
【主人公にとって大切なもの】
・自分の命
【ラスボス】
・主人公の父親
【ラスボスの野望】
・自分が新世界の神となって、新たな世界を作り出す
【ラスボスが主人公と対立する理由】
・主人公の父親は『彼ら』の一員になったのだが、主人公が生き延びてしまったために、その力は完全ではなかった。
・自分の魔力を完全なものにするためには、主人公を生贄にして、その魂を魔界に捧げる必要がある。

27 :
【ストーリー開始以前に起こったこと】
・主人公の父親は、『彼ら』を呼び出すことのできる、奇妙な石を手に入れる。
・そして、『彼ら』を呼び出すことに成功。『彼ら』の一員になる代償として、自分の家族を生贄に捧げる。
【最初に起こること】
・自動車事故が起こり、母親と二人の兄が死亡、父親は行方不明、主人公は瀕死の重傷を負う。
・しかし、生死の境を彷徨っているとき、何者かとの契約により、命を取り留める。
この契約の結果、主人公は人外の力を手にする。
・そして、契約の証として、手の甲に謎の印が・・・
【それからの展開】
・主人公を抹するために、異世界から魔物が次々やってくる。
・主人公は人外の力で、魔物を倒す。
【クライマックス直前に、明らかになる秘密】
・主人公の父親は、家族の命を犠牲にして、『彼ら』の一員となったこと。
・主人公が生き延びてしまったために、父親の魔力は完全ではないこと。
・父親は、自分の魔力を完全なものにするため、主人公を抹しようとしていること。
・父親の野望は、自分が新世界の神となって、新たな世界を作り出すこと。
・主人公に人外の力を与えた者の正体は、『彼ら』に対立するもの。
 つまり、『彼ら』の目的を妨害するために、主人公に人外の力を与えた。
【クライマックス】
・父親は、東京に魔界より巨大な魔獣を召喚。
・主人公は、巨大な魔獣の体内に入ると、魔獣の本体を破壊する。
【結末】
・結局は、主人公は自分の父親を倒すことはできなかった。
・最後の闘いで、表向きは主人公は死んだことになる。しかし、主人公は不死の身体を得る。
・主人公は永遠の闘いを宣言すると、父親を追って異世界へ行く。

28 :
【主人公が得るもの、失うもの】
・主人公は、人外の力と不死の肉体、現世と幽界を自由に行き来できる能力を得る。
・その代わり、平穏な日常生活と、人間関係のすべてを失う。
【タイトル】
・未定
以上、中二病全開のプロットでしたw

29 :
 高校1年生の時友人が書いた小説を投稿します<許可済み>
       チェンジ・オブ・デスティニーWorld
            プロローグ・変わっていた世界
 「こんな世界、変わってしまえば」 誰でもそんなことを考えてしまうときはあり、それはしかたのないことなのかもしれない。
 だが、それでも人はこの世界という中で生きている、だから世界の中でそんな事を思ってもしかたがないのだ。
とわ言っても、人一人の視野で見える世界は狭い。
そんな風に一個人には毎日日々過ごしている「日常」こそ、世界と呼べるものなのかもしれない。
 そして今、そんな一個人の世界が変わってしまった事を、その者も、その者の日常に関わっている者達も知ってはいなかった・・・・。
             一の欠片 「異変」
 「・・なん・だ・・・」 ここは何処だろう・・・。
 「ん、んん・・・」起き上がるとそこは見たことも無いただ、ただ青白く光っている岩の地面となにも無い空間が広がっていた。
 「・・・・・・・」
 「いったいココは・・・」そんなことを呟いて辺りを見渡すが、見る限りなにも無く人の気配すら無い。
 「俺が・・寝ぼけているのか?」そんなことも思って顔を、叩いてみるが・・・。
 「・・・・・・・」ハッキリと目は覚めている。
 「うーん・・・」まったく、今いる所にも検討もつかずに考えていると、ふと、なにかの気配の様なものを感じ頭を上げる。
そこにはいままでで見たことも無い風をまといながら感じとれる程の力を発している小さな光があった。
 「・・・」その光を見て驚き、声も出ないでいると。
 「汝、選ばれし者、汝に我が力を与えよう。」光から声が発せられた。
 「・・・は?」訳が分らず頭の中がパニックになっているが光はそん事はつゆ知らずと、続けた。
「世界は動きだした、汝その力を手に汝の思うままに生き覚醒し立ち向かい生き残れ」
 「お、おい、いったいどういうことだよ!」
 「汝目覚めし時に理解するだろう・・・」そう言うと静かに俺の中えと消えていった。
 「う、う・・う・・・なん・な・・んだ・・・よ。」そうして、俺自身の意識も遠のいていった。
二の欠片 「いつもの一日」
 「・・・」
 「・・うぅぅん。」
 「ん、・・・ふあ〜〜・・・はぁ・・・朝か。」
 「あれは、夢だったか・・・。」にしても、変な夢だったな。あれは、いったいなんだったんだろう。
あんな夢今までに一回たりと、見たこと無かったよな。「ん〜〜〜〜〜。」などと考えながら一階へ朝食を作りに降りて行く。
 ちなみに、俺こと「風瀬 寛斗」は一人暮らしをしている。かあさんは海外で仕事をしているし、とうさんは、俺が中学に上がってすぐ、不慮の事故で亡くなた。
でも、だからといってとくに不便はしていない。
炊事などの家のことは、大抵できるし。かあさんも、極まれにだが帰ってくるから特に変わったことも無い平凡とした生活を、している訳だ。
 「ふぅ。そんじゃ、いたただきますか。」と、まあこんな感じの起きたら自分で飯を作ってのんびり食いながら、朝のひと時を過ごしている。
「はぐ、んぐんぐ・・・・ん、ごちそうさん。」
ピンポーン「おーい生きてっか」
 どうやらアイツがきたようだ「よう、生きてたか」
「おまえは、朝から元気だなー」
「んなのあたりまえだろ」と、なんとも騒がしく俺の家に訪ねてきたのは、「伊織 知加羅」だ。
「おっしゃ、早く学校行こうぜ寛斗」
こいつとは中学で知り合って高校もいっしょになったいわゆる腐れ縁でいつもテンションがすこし高めなヤツなのだ。
「おまえな、珍しくお出迎えに来てもらってなんだが今、朝飯食い終わったとこなんだがな。」
「なら早くかたずけてさっさと行こうぜ」
「なんでそんな急いでんだよ今日なんかあんのか?」
             

30 :
↑につけ足し   国語力ェ・・・・

31 :
ちょww流石ww

32 :
抑えていた人格…その人格に支配され、狂っていく人生…
抗えず、人格に語りかけるしかできない…
みたいな感じでもおk?

33 :
俺の右腕に封印されし煉獄の炎がお前を焼き尽くす!!

34 :
貴様に見切られるほど
俺の居合いは遅くはないぜ
カチャン(刀をしまう音)

35 :
 二十世紀も終わりに差し掛かる頃。
 世界のありとあらゆる場所に宇宙から大量の隕石が飛来した。
 それらのほとんどは大気との摩擦熱により塵と化したが、それでも残った巨大な破片は地球に衝突し、未曾有の災害を引き起こした。
 破片の数は確認されているだけで七つ。
 まるで前もって落ちるべき場所が決められていたかのように同質量同形状の破片は世界中に散らばっていた。
 隕石衝突の衝撃により起きた天変地異で各国の政府はその機能を失い、世界はあっという間に無法状態と化した。
 
 だが、真の“無法”は、まだ始まっていなかった。
 その“大破壊”と呼ばれた事件が起きた日を境に一部の人々が異能に目覚めたのだ。
 異能に目覚めた人々は人種や性別を問わず身体のどこかに第三の眼が発生し、
 彼らはその超常の力で無法状態の世界を瞬く間に蹂躙した。
 この異常な状況の中で能力を持たない人々は二つに分かれた。
 能力を持つ人々を敬い従いこの大破壊から人々を導く為に使わされた“天使”であり、能力は“恩寵”とする集団。
 能力を持つ人々を“悪魔”、能力を“邪眼”として嫌悪し排斥する集団。
 当然、この二つの集団は荒れ果てた世界で正面からぶつかった。
 異能側の人数が少なかったことや無能力者側にアメリカ軍が合流したこともあり戦局は常に五分五分。
 その戦争――邪眼大戦――は二十年の時を経て決着し、世界は今二つの勢力に分かれての睨み合いが続いていた。
 今まさにこの世界は大破壊と邪眼大戦の傷跡から復興し、不安定ながらも新たな秩序を作り出す。
 誰もがそう思っていたとき、宇宙から再び客人は訪れたのであった……。
とかいう電波が降りてきたんだけどこれで話書いたら需要ある?

36 :
設定補足
【異能】
 様々な能力があり秩序だって系統づけられてはいない。
 身体のどこかに眼があって物理的にありえないことできるんなら全部これ。
【異能の発現】
 これの原因については後に研究が進み、隕石から放たれるΣ-rayと呼ばれる波動が人の進化を強制的に促したことが判明する。
 隕石を擬似的に生成できる能力者の出現により模倣品が世界に出回ることで、
 異能を手に入れるきっかけが簡単に作れることになった。
 しかし模造品の隕石よりも本物の隕石の光を浴びた人々、
 更に言えば本物の隕石から放たれる光を浴びて能力を得た人々同士の子供、
 の方が能力の発現は容易で、なおかつ強力である。
【技術力】
 戦争によって進歩した。
 メタルギアぐらいだと考えていただいて結構。
【経済状況】
 一部の能力者の能力で生まれた様々な製品が経済を活発化させている。
 戦災孤児も多いし、それを売り買いする奴らも居る一方で、
 戦争の後の復興需要でもうけた人々も居たりする。
【地理】
 だいたいそのまま
 隕石のせいでクレーターが出来た土地はあるし、
 全体的に戦争などで荒廃しているが大陸の形が変わるようなことは起きていない。

37 :
既視感漂うけど書き方と振り仮名の付け方次第ではいけそう

38 :
とりあえず俺には需要ある

39 :
まあ書いてみないとわからないよね

40 :
【題名未定〜第一話「邪気眼保持者(ギフテッド)」〜】
 俺の生まれる前の話だ。
 この世界がまだ多数の都市国家(ポリス)の同盟で秩序を形成する前の話。
 その頃にはまだ国という物が存在し、俺の親父――といっても血は繋がっていないが――はその国に仕える軍人だったそうだ。
 その頃の親父はまだ人を守ると言うことに使命感を持っており、
 またそこそこに優秀だったために将来を期待された軍人だったそうだ。
 そんなある日、大人達の言うところの“大破壊”が起きる。
 世界中に隕石が降り注ぎ、それと同時に火山の噴火や津波などが発生。
 警察機能は破壊され、もはや当時の政府に政権担当能力など残っていなかったのだそうだ。
 親父の上司も軒並み死んだそうだ。
 偶然、太平洋上に出ていた親父の率いる部隊は大破壊による災害の被害を免れ、
 人部隊丸々無事で彼の故郷であるアメリカ――と呼ばれていた場所――にたどり着いたそうだ。
 食料を奪い合う人々や、女子供が虐げられる姿、更には邪眼保持者の存在を見て、
 親父は自らの信じた物――民主主義への理想――を完全に打ち砕かれた。
 それ以来、彼はその高い指揮能力や軍で作ったコネを生かして崩壊した世界で彼の国を作ることに決めた。
 俺は丁度その頃に拾われたそうだ。
 ちなみに親父の国作りは成功し、彼と彼の仲間の統治の下で百万人の人々が飢えず、また秩序を保って暮らしている。
 誰が彼を独裁者と責め立てるだろうか?
 おそらく誰も……
「スバル、おいスバル、教科書を読みなさい。」
「え、あ……すいません。しっかり話を聞いていませんでした。」
 教室の皆が物珍しそうな顔で見ている。
 そうはいっても俺だって普通の高校生、物思いにふけって教師の話を聞いていないことぐらいある。
 教師は俺の後ろのクラスメイトに教科書を読ませた。
「2004年、日本、中国、ルーマニア、オーストラリア、アメリカ、エジプト、ロシアの順番に巨大隕石が落下。
 その際の災害の結果として世界人口の5/6以上が死亡し、また邪眼の保持者による犯罪などで世界は混乱に陥りました。」
「それじゃあスバル、今の話は聞いていただろう。
 少し難しい質問をするからしっかり答えるように。
 邪眼保持者は能力の危険性によってレベルが振り分けられているが、
 その能力のレベルの振り分けの基準統一に至るまでの経緯について固有名詞も交えて詳細に答えなさい。」
 実際に邪眼保持者と何度も戦った親父からいつものように聞かされている話だ。
 特に問題はない。

41 :
「2009年に対邪眼組織カノッサ機関が当時の反邪眼を表明していた有力ポリスの同盟により結成されました。
 そして2011年に共同開発で対邪眼保持者用ロボット『珀導機(センチネル)』の導入を決定。
 邪眼保持者を一掃しにかかりました。
 しかしこの珀導機(センチネル)が一部の邪眼保持者に手も足も出ないことが判明。
 珀導機(センチネル)の効率的運用のために当時の珀導機(センチネル)でなんとか処分できる能力者を、
 邪眼保持者の使う呼び方からとって第二階梯(セカンド)と呼ぶようになりました。
 第一階梯(ファースト)と第二階梯(セカンド)の掃討まではセンチネルが人間に完全に取って代わるようになりました。」
「センチネルが人間に適わない理由は?」
「最新技術により作成されたナノマシンによる超回復、通称ヒーリングファクターが使えない点がまず一つ。
 また行動がワンパターンで……って先生、その質問歴史と関係ないです。」
「あはは、僕がマニアだからね。」
「もう……。」
 チャイムが鳴る。
 これで今日の授業は終わりだ。
 ホームルームが終わると俺はそそくさと家に帰ろうとする。
「おいスバル、今日カラオケ行かねえか?」
「スバル君あたし達と遊びましょうよ!」
「ん〜、ごめん。今日は家庭教師の先生が来るんだ。」
 級友に遊びに誘われるが今日はどうにも無理そうだ。
 級友との交流も重要だが今日の俺にはやらなくてはいけないことがあるんだ。
 親父の掲げる政治理念は哲人政治。
 俺はその政治理念を受け継ぐために学校の勉強に加えて哲学等色々勉強している。
 今日も家庭教師の先生が家に来る手筈になっていた。
 その勉強が終われば居合いの練習だ。
 彼は日本にいた頃に知り合った友人に教わって練習したらしい。
 私がラストサムライだ、と笑っていた。
 そう言う映画が昔有ったらしい。
 大破壊前の文化は現在にほとんど残っていないのでよく知らない。
 親父は友人から貰った日本刀と居合いの技術で銃弾をものともしない邪眼保持者を切りまくったというのが彼の武勇伝の一つだった。
 そう、邪眼保持者。
 邪眼保持者とは…………。
「うわっ!」
「きゃっ!」
 曲がり角に差し掛かると同時に人とぶつかる。

42 :
「済まない。」
「いやこちらこそ、う……、ぐっ右腕が!」
「怪我をさせてしまったのか?」
「さ、触るな!私に触ったら……。」
 見れば俺にぶつかった人間は俺より少し年下の少女だった。
 包帯を巻いた右腕を押さえて何か訳のわからないことを言っている。
「怪我したところにぶつかってしまったみたいだな?本当に済まない、医者に連れて行くから……」
 何気なく手をとる。
 次の瞬間だった。
「ぐあああああああああああああああああ!」
 右目に焼けた火箸を突っ込まれたかのような痛みが走る。
 脳には鼠花火を突っ込まれたような苦痛。
 俺は思わず叫んでいた。
【ようこそ、邪眼保持者(ギフテッド)の世界へ】
 頭の中に響く声、意味がわからない。
 ズリュン、という妙な音、それと同時に俺の右目が落ちる。
 尚も続く痛みに俺はあっさりと意識を手放した。

43 :
「……あれ?」
「目を覚ましたか。」
「愛善先生……。」
「私のことは親しみを込めてラブ先生と呼びなさい。」
 
 見知った天井、蒼い瞳が俺を覗く。
 ここは俺の家の俺の部屋で蒼い瞳の持ち主である彼女の名前はメアリ・愛善・クランベリー。
 大破壊の前はミスカトニック大学で哲学を専攻していた大学生である。
 今は俺やこの町の大学生に哲学を教えている。
 ちなみに日系人……の筈なのだがおもいっきり碧眼金髪である。
「貴方を女の子が運んできてくれたのよ。彼女?」
「いや……たまたまぶつかっただけで……。頭でも打ったかな?」
「医者に来て貰ったけど大丈夫だったみたいよ。
 多分勉強で疲れていたんでしょう?」
「ああ、その子にお礼を言わないと……。」
「それがその子ったらいつの間にか居なくなっていてねえ……。」
「そうですか…………。」
「まあ同じ町にいるならまたいつか出会うわよ。」
「それもそうですね。」
「じゃあ私は帰るわよ。」
「はい。」
「ところで今の学生ってベッドの下にな本とか隠さないのかしら。
 やっぱりインターネットの時代なの?」
「はい。主にネットで……って何言わせてるんですか。」
「冗談よ、それじゃあまた来週。あーそういえば台所の机の上に貴方のパパからのプレゼントが置いてあったわ。」
「なんですか?」
「なんか細長かったわ〜。」
「……ああ、新しい居合刀かな。」
「じゃ、今度こそ帰るわね。」
「はい、ありがとうございました。」
 
 ラブ先生が家のドアを開けて出ていく音。
 ふわりとおいしそうな香りが漂ってくる。
 彼女が夕飯を作っていってくれたらしい。
 俺は台所まで行って彼女の作ってくれたハンバーグとプレゼントらしい細長い箱を発見する。
 そうだ、そういえば来週は誕生日だったっけか。
 そんなことを考えながら俺はハンバーグを食べようと……窓がカタカタと音を立てて揺れた。
 俺は護身用の木刀を持って窓に近づいた。
 驚くべきことに窓のそばには先ほどの少女が立っていた。

44 :
「……おまえはさっきの!?」
「早く家に入れて!手遅れになる前に!」
 俺は迷うことなく窓を開いた。
 彼女は右腕だけじゃなく、左腕にも包帯を巻いて、その包帯は血で真っ赤に染まっていたから。
 親父もこういう時は家に入れて応急処置をしろと言うに違いないと思って。
「ありがとうスバルくん。」
「俺の名前を知っているのか?」
「有名人じゃない、貴方のお父様が。」
「ああ、まあね……。」
「単刀直入に言うわ、私と一緒にこの町から逃げましょう。
 この町において邪眼保持者の受ける扱いくらい知っているでしょう?」
「どういうことだ?まあたしかに邪眼保持者は扱いが悪いが……」
「どうもこうもないわ、貴方は邪眼保持者、我々の言葉で使徒(ギフテッド)になっちゃったのよ!
 貴方のレベルは……第三階梯(サード)、捕まったら権力者の息子でもどんな目に遭うか解らないわよ!」
「はぁ!?」
そう言った直後、我が家のドアが吹き飛んで軍服姿の親父と武装した軍人が家に入ってきた。
「スバル……こうなってしまった以上は仕方あるまいな……クソッ
 この町の市長として、お前の親として、マーク・サンダースが……!
 第三階梯の保持者である正体不明の少女とスバル・サンダースを確保する!」
「どういうことだよ親父!」
「お前だって子供じゃないんだ知っているだろう。
 この町では邪眼保持者は居るだけで拘束の対象なんだ!」
「知っているけど……!」
 大量の銃器が突きつけられる。
 皆本気だ。
 俺が何かしたら本当に撃とうとしている……!?
「あっちゃー、ちょいと遅かったかなあ……。」
 少女はつまらなさそうに呟いた。
 その場にいる全員の視線が俺と彼女に突き刺さっている。
 この異常な状況の中で、俺だけは親父からのプレゼントという細長い箱がわずかに金色の光を放っているのを視認していた。
【題名未定〜第一話「邪気眼保持者(ギフテッド)」〜】

45 :
反省点
・第一話だったせいかやりたいことがほとんどできなかった、バトルとか
・早く投下したくて元々一つの話だった物を二つに分けて見切り発車した
・急いで作ったせいで多分日本語がやばい
なんか感想とか有ったら言ってくれると嬉しかったり
続けばいいな

46 :
邪気眼と言うよりSF?

47 :
自分斜視なんだけど
もともと他人と違うって言うことが好きだったためか
素敵な邪気眼設定に使わせてもらっとりますww

48 :
【題名未定〜第二話「明日無き逃亡」〜】
「さあこちらに来い!」
 少女の腕に手錠がかかる。
 知っている、あれは能力者の能力を封じるための手錠。
 倒した能力者を拘束するために使われるのだ。
 あれがかかってしまえばもう逃げ出せない。
 彼女とてそれを知っているはずだ。
 ならばなぜ抵抗しない?
 俺を巻き込むから?
 違う、俺のために何かする義理はない。
 そもそもこの包囲を彼女だけでも突破する能力が無い。
 違う、そもそも邪眼保持者に対するこの町のセキュリティーは完璧だ。
 四方を高い防壁、地下を広大な迷宮に囲まれ、上空は最新鋭の珀導機が防備している。
 二つある門のチェックは完璧で、数十桁の暗号と防衛部隊が門を守っている。
 彼女もそんなところに入り込む邪眼保持者。
 ならばこの状況を突破できない道理もない。
 じゃあなんだ。なんなのだ。
 なぜ彼女はここから逃げ出さない。
「まさかねえ……、まさかあんたがそれだとは知らなかったのよ。」
「おい喋るな!」
「やめてやめて、もう私に戦う力はないのですお許し下さい。」
「黙れ能力者め!」
「ぶっすぞ!」
「皆さん、賤しくもこの町の平和を守る兵士なんだから子供一人によってたかってそんな……。」
「スバアアアァル!」
「な、なんだよ父さん。」
「お前も含めて能力者なんだ、余計な口を叩くな。
 それが能力の発動の合図かも知れない。
 黙っていればお前も幽閉程度で済ませてやる……。」
 銃口が更に強く突きつけられる。
 口の中まで入って来やがった。

49 :
「な、待、待てよおやひ!
 ほれはらにも……」
「今はな。今はそうだろう。
 だがいつかお前はその能力の囁きに負けて、秩序を乱すだけの欲望の固まりと化す。
 明日か、明後日か、それとも一分後か、今も既にそうなのかもしれない。
 お前は私の町を壊す。私は私の町を私の町に住む人々を邪眼保持者から守らねばならない。
 私の町なのだ、私が作り育てた私の町だ。
 民主主義の死の先に私が見つけた一つの答えだよ。」
 兵士が少女を連れて行く。
 あの長くて細い包みからは未だ金色の光が漏れだしている。
 夕映えが如く、黄昏が如く、俺の右目にはその光が映っている。
 あいつらは何も見えていないのか。
 右脚に鈍い痛み、家の中に響く乾いた発砲音。
「親父!」
「市長、ご子息に何を!?」
「保持者といえど、血が繋がっていなくても……」
「黙れぃ!」
 右足だ。
 右脚を撃ち抜かれた。
「どうした、まだ右脚を撃ち抜かれただけだぞ。
 お前は特別良い子だったからなあ……。
 許してやっていたんだぞ、これまでそこそこ我慢していたのだぞ保持者といえど。
 次は左足か?それとも腕か?
 邪眼保持者だけは我が子といえども……!」
 ふと、少女と目が合う。

50 :
「おいスバルゥ、早く助けてくれよ。」
 あっけらかんと、それはそれは暢気に、彼女は言った。
 まるで俺が助けることを既に知っているかのように。
 俺が何を出来るのかを彼女は知っているかのように。
 まだ俺ですら知らないのに。
 マジマジと見つめている。
 つぶらな瞳で。
 花のような容で。
 夕暮れの風に揺れた髪をぶら下げて。
 細く華奢な手足をつけて。
 投げやりな態度で。
 ……って俺は何を考えているんだ。
 あいつはこの町に何らかの目的を持って不法侵入した邪眼保持者……。
 そうだ。
 そこで第三の可能性が浮上する。
 こいつは試しているのだ。
 俺の能力を。
 この状況で俺は何を出来るのかを。
 会ったばかりで、街角で偶然ぶつかって、それだけの俺を。
【クク……ようやく状況を理解したか。】
 またあの声だ。意識を失う前に聞こえたあの声。

51 :
【自己紹介が遅れたな、俺はお前の能力そのもの。お前の邪眼だ。】
 何故だか解らないがその言葉が真実だと理解できた。
【お前、自分自身の言葉を疑えると思ってるのか?】 
 そんなのどうでもいい。なんで俺の所に来たんだよ。妙なことになっちまったじゃないか。 
【そんなことはどうでも良い、このままだとおめえ、親父にされちまうぜ?】
 うるさい、親父は話せば解ってくれる。
【仮にお前は大丈夫でもあのお嬢ちゃんは駄目だろうなあ?】
 あいつは犯罪者だろう。
【犯罪者なら死んでも良いのかよ?】
【あいつはこの町に入ってきただけだ。】
 邪眼を持っているくせにこの町に入ってきた時点で罪だ。
 死に値する。
【町に入っただけでかよ。鳥でさえ自由に空を飛ぶのに人間様は町にも入れてもらえない。】
 邪眼保持者は人間じゃない。
 
【あんたも含めてか?】
「一つ良いことを教えてやるよオトーサン、そいつが“予言の仔”だぜ。
 第三階梯(サード)なんかじゃ済まされない大能力者なんだけどなー。」
 なんだそれ?
 と疑問に思うまもなく親父の顔色が変わった。

52 :
「市長お待ちください!」
「その女が時間を稼ぐために言っているだけの虚言です!」
 親父の持つ銃から弾丸が吐き出される。
 俺に向けて真っ直ぐに。
 俺の眉間に向けて真っ直ぐに。
 死ぬ、このままだと死ぬ。
 でも別に良いかな、親父に迷惑かけたくないし。
 ……駄目だ、怖い。
 死ぬのは怖い。死にたくない。
 それだけは嫌だ。 
 やけにスローモーションな弾丸が俺の目と鼻の先まで歩みを進める。
【死にたくない?しかたねえなあ、俺がちぃとばかし能力の使い方を教えてやるよ。】
 身体の中からガラスが割れるような音がする。
 それと同時に世界が白黒に反転し、その中を海蛍のような蒼い光がふらふらと彷徨っている。
 その異様な光景に心奪われている間に俺は俺の身体の支配権を失っていた。
 俺の身体は周りにいた兵士をはじき飛ばすと包みを開けて中から刀を取り出す。
 
【俺の名前は……眼、能力は至ってシンプル】
 名前を上手く聞き取れない。
【名前を聞き取れない?そりゃあお前がまだ目覚めていないからさ。】
【良いか、俺の能力は空間を飛び回る時間素粒子(タキオン)を捉えて、それに衝撃を与える。】
【即ち、“他人と時間を共有しない自分だけの世界を作り出す能力”】
【お前の作り出す世界において、お前は何者にも干渉されず、お前の自由に動ける。】
【平たく言えば制限付きで時を止めるってことさ。制限時間はお前の腕前次第だ。】
【上手く時間素粒子(タキオン)に衝撃を与え続けなきゃ……】
 次の瞬間、その場にいた全員が再び動き始める。
 俺の身体も俺の思うままに動くようになっている。

53 :
【こんな感じで時間からの乖離は解除される。】
【今のお前じゃあ一秒保たないだろうぜ。】
【今みたいに無理矢理時間を止めることもできるが邪気の消耗が激しい。】
【一日に一回、五秒までだと思いな。】
【まあ今使い切っちまったけど】
 構わない、一秒止められれば十分だ。
【んたのもすぃー話だこと】
「居なくなっている!?」
「今何があった!?」
「ほーう、そういう能力か。」
「スバルお前!」
 足の痛みが薄れていく。
 これも邪眼の力だというのか?
「悪いな親父」
「……バカ息子め。」
 誰にも見えないほどわずかに親父の口角があがる。
 なぜだ?
「取り押さえろ!」
 兵士達が銃弾を撃ってくる。
 手元にフラフラと寄ってくる蒼い光の玉。
 これが時間素粒子か?
 刀の柄で殴るとそれはガラスの割れるような音と共に破壊された。

54 :
【早く銃弾の手前にある次のタキオンを斬れ!】
 銃弾を刀で弾ける筈がない。
 それに弾くにしたって直接当てないと意味が無……
【良いから早く!】
 仕方なくタキオンを斬りながら銃弾の軌道を塞ぐように刀を振るう。
 すると時間が動き始めたと同時に妙なことが起きた。
「どういうことだ?」
【時間から乖離した状態でタキオン以外の物に攻撃しようとしてもすり抜ける。】
【しかしその代わりに攻撃のエネルギーだけは残るんだ。】
【お前の斬撃の軌跡にはお前の斬撃のエネルギーが残る、まあ先にそこに物があればそれも無かったことになるけどな。】
【時間を止めて無敵モードで切りまくりなんてのは無理だ、覚えておきな。】
「じゃあなんでこの刀をつかむことが……?」
【次が来るぞ!】
 足下のタキオンを踏みつぶしながら体勢を低くする。
 タキオンを攻撃しながら行動を続けないと時間の停止は簡単に解除されてしまうようだ。
 先ほどまで俺に銃を向けていた兵士達の足下へ転がり込んだ所で時間停止は解除される。
「いつの間に足下に!?」
 鞘で彼らの足を払う。
 転んだところで再び時間停止、彼らが体勢を崩して倒れる先に斬撃を“設置”する。
 時間が再び動き始める頃には既に俺は少女の前にいる。
「助けてくれ。」
「助けてやる。」
 俺は少女の手をとって駆けだした。

55 :
「くそ……構わん、銃を許可する!」
「許可が出たぞ!撃て!撃て!」
「囲め囲め!」
 背後から追いかけてくる兵士達。
 俺は少女の手を引いて囲まれないように狭い裏道などを使って逃げる。
「ふふん、良いのかいオトーサンの所に居なくて。」
「あれじゃあ話し合いなんてできねえよ……!」
「居たぞあそこだ!」
 ヘリコプターの爆音。
 強い光が俺達を照らす。
 それを目印に数十人の兵士が俺達の居るところに集まってきた。
「くっそ……!」
 それでも俺達は走り続ける。
 しかしそんな逃走劇も終わりを告げる。
「危ない!」
 背中を押されるような衝撃。
 再び響く乾いた銃声。
 貫かれたのは俺じゃなくて……。
「おいお前!大丈夫か!」
「一人やったぞ!」
「あの女か!」
「許可は出ているがスバル君は出来るだけすなよ!」
 兵士の中に知っている声が混ざっている。
 嫌だ、やめてくれ、そんな事実認めたくない。

56 :
「スバル!スバル君!俺だ!大人しく投降してくれ!」
 優しくしてくれていた近所のお兄さん。
 そういえばあの人の就職って警備部隊だったっけか。
 こんな者に、こんな物に、邪眼保持者なんてものになってしまった俺が今更どうしろって言うんだ……。
「その必要はねえ!」
 空から届いてくる爆音。
 その時、全員が目を見張った。
 驚くべきことに空から漆黒に染められたガレオン船が降ってきたのだ。
「そこの少年少女はこの俺様が貰っていく!」
 ガレオン船はヘリコプターの機銃掃射を簡単に弾き返して逆にヘリコプターを踏みつぶす。
 俺達の真上に浮いたガレオン船からは映画に出てくるような海賊の船長の姿をした男が縄ばしごでするすると降りてきた。
「義賊ロジャー・シャンドラのお通りだ!
 退きな退きな!
 さもねえと…………」
 ガレオン船から大量の大砲が顔を出す。
 この謎の闖入者のおかげで俺達を囲む包囲がじわりじわりと後退した。

57 :
「待て!」
 親父が人の群れをかき分けて近づいてきた。
「おやおやこれはこれは市長様。」
「落ちた物じゃないか王族の末裔が盗賊とはな。」
「民主主義を棄てたメリケン野郎には言われたくないね。
 どうだい?そいつが独裁者の椅子な訳だが座り心地は?」
「そいつらを引き渡して貰う。」
「構いませんが……、貴方の大切な町は良いのですかねシチョーサマ?」
「……貴様まさか!」
「なんせ俺達の船団は金持ちから金を奪うのが大好きな奴らばっかりでしてね。
 もう既にだーいぶ町に入り込んじゃっているんじゃないかなあ?
 それこそ貴方の支持者のところとかさあ!
 良いのかな、こんな子供達の所で油売ってて!」
「ぐ……!兵を市街地に回せ!」
「交渉成立!」
 シャンドラと名乗った男は俺と倒れた少女を抱きかかえる。
 残念ながら俺に抵抗する体力は残されていなかった。
 先ほどの邪眼の連続使用が良くなかったらしい。
「それじゃあなあ!邪眼に翻弄されし哀れな箱庭の住民(コヒツジ)達よ!」
 彼は俺達を捕まえたまま縄梯子に掴まる。
 そこで俺の意識はパッタリと途絶えてしまった。
【題名未定〜第二話「明日無き逃亡」〜】

58 :
相変わらず邪気眼全然出せねえ
感想とかあったら書いていただけると嬉しいです
一日で書くなよ推敲しろよとかでも結構です

59 :
この板には珍しくハイペースな投下だなあ

60 :
【題名未定〜第三話「その男、につき」〜】
「はぁっ、はぁっ……!」
 夜も更けた町を駆ける五、六歳ほどの少女。
 それを三人の男がそれを追いかけていた。
「待て!逃げた奴隷はもうお前だけだ!逃がさないぞ!」
 少女はとある都市を支配する男の奴隷だった。
 来る日も来る日も乏しい食料で無理矢理働かされて、眠る以外に何の楽しみもない日々。
 だが彼女はそれを苦しいと思ったことはない。
 生まれたときからそれしか知らなかったから。
 
「はぁっ、はぁっ!」
 ならば彼女はなぜ逃げたのか。
 それはただ単に彼女よりも年上の――とはいっても十歳にも満たないのだが――にある日命令されたからだ。
 このまま此処にいると酷い目に遭う、貴方達だけでも逃げなさいと言われたからだ。
 結局彼女らの言うままに何人かの仲間と共にその少女は逃げ出したのだ。
「路地裏に逃げたぞ!囲め囲め!」
 少女は小さな身体を生かして道もよく知らない路地裏に逃げ込もうとする。
 ポスンと軽い音がする。

61 :
「ごごごごめんなさい!」
「いってえなあ……前ぐらいちゃんと見てください!
 ――――と思ったらうっほ、こんな夜更けに良いじゃないですか!」
「へ?」
 たしかに少女は前を見ていなかった。
 彼女にぶつかったのはは驚くほど背が高く筋骨隆々な青年だった。
 彼女が前を見ていれば彼に気づかないなんてことはなかっただろう。
 
「おいそこのガキ!」
「その娘をこっちによこしな!」
 追っ手は青年と少女を取り囲むようにして近づいてくる。
 青年は相手の様子と少女のボロボロな衣服を見て全てを察したようだった。
「そいつはこの辺りを支配するピート様の奴隷だ!」
「大人しく渡さないと痛い目見て貰うぞ!」
「痛い“眼”ねえ……。」
 やれやれ、と溜息をついて青年は少女を抱きかかえる。
 
「た、助けてください!お礼なら何でもします!」
「物わかりが良いじゃねえか!さっさとそいつをこっちに……」
 青年は少女を抱きかかえたままとことこと路地裏に向けて歩き去っていく。
 追っ手がまるで見えていないかのようだ。

62 :
「ところであなた、名前はなんて言うんです?」
「てめえどこに行く気だ!?」
 追っ手の男達の言葉は完全無視である。
「え?」
「一応僕は君の命の恩人ですよ?名前ぐらい名乗りなさい。」
「名前は……シキって呼ばれてました。」
「ふぅん、そうかそうか。シキね……、僕の名前はグレイ・グレイブ。
 仲間内ではそう……焔装埋葬(オーバーキリングレッド)って呼ばれている。
 ところでなんでもするって本当?脇のにおいもかがせてくれたりする?」
「待ちやがれ糞ガキ!」
 
 追っ手の男が青年の肩に手をかける。
 それと同時に少女は青年の手の中でビクンと震えた。
 だがその理由は追っ手の男が恐ろしかったからではない。
 シキが怯えているのは彼女の目の前で青年の額がパックリと裂けていたからだ。
 そしてその奥から真っ赤な色をした眼が覗いたからだ。
「何でしょうか。」
「そのガキを渡せって言っているんだろうが!」
「正直おっしゃる意味がわかりません。」
 そう言うが否やグレイは後ろ飛び回し蹴りで男を蹴り飛ばす。
 それを見て男の仲間が拳銃を取り出す。
「皆さんはご存じないのでしょうか?」
 青年は眼鏡の位置を直し、男の手が触れたところをまるで埃がついたのを払うようにしてパンパンと叩く。
「は全人類の宝です。あなた方のようなむさい男達が物扱いしていい存在ではありません。」
 抱きかかえていた少女を地面に降ろし、彼女を庇うような位置に立ってグレイは男達と向き合う。

63 :
「は美しい。
 あのふにふにとした二の腕、あのあどけなく希望に満ちあふれた瞳。
 そ、し、て、わずかに漂う臭いあの香り。
 どれをとっても芸術と言うほかにない人類の生み出した最高の存在ですよ。
 穿いていただくについては諸説分かれていますが個人的には純白こそ至高の輝きかと思われます。
 なぜって?
 聖書でも言っているじゃないですか。
 古い革袋に新しい葡萄酒を詰めるなって。
 生まれてまだ十年も経っていないようなにそんな色のついたなんて穿かせられますか?
 いいえ、決して穿かせてはいけませんよ。
 彼女らの心が真っ白であるかの如く彼女らのもまた白であるべきだ。
 たまに黄色く染まるのもまた堪らない……んふふ、ああごめんなさい話が逸れましたね。
 とにかくとはすばらしい存在な訳ですよ。
 愛でても良し愛でても良し愛でても良し、こんな素敵な存在この世にはそうそう居ません。
 で、あなたたちですが、なんですか?
 大の大人が小さい子供によってたかって!
 恥ずかしいとは思わないんですか?
 そのうえこの子、見てみなさい。
 このすっかり細くなってしまった二の腕!
 ぷにぷにもふにふにもふわふわもねえよ!
 この肋骨が浮き出てるお腹だってそうだ!
 には三食に加えて一日一回プリンとおいしいオレンジジュースを飲ませないといけないんだ!
 それではじめて頬擦りしたいお腹になるんだ!
 お前らか?お前らのせいなんだよな!
 あとそのピートとかってやつのせいか!
 子供をこんな目に遭わせ続けている奴なんだもんなあ!
 糞が!糞が!クソガクソガクソガクソガクソガクソガクソガ!
 てめえら全員犬畜生だよ!なんでこんな可愛い生命体を!
 てめえらみたいな犬畜生より遙か上の次元にいる存在なんだよ!
 良いか覚えておけこの世には俺ととそれ以外しかいねえ!
 てめえらみてえなそれ以外ですらない屑は!俺が手ずからぶっしてやる!
 うわあああああああああああああああああああああああ!」

64 :
 何もせずして何も言わずして彼は自分勝手に怒り狂う。
 感情の炎が荒れ狂う。
 それに伴って彼の身体からは辺りを真昼の如く照らす赤い炎が舞いあがる。
 自縄自縛の自意識過剰の自壊自爆の精神構造。
 当然グレイが長々と話している途中で男達は彼に向けて何度も銃を撃っていた。
 しかしその銃撃は悉く炎の盾の前で雲散霧消する。
 彼らにもう逃げ道は無い。
 とっくのとうに焔の壁が追っ手の男達を包み込んでいたのだから。
「気が……狂っとる。」
 
 それだけ呟いて男達は灰になった。
 灰になって、風に吹かれて、塵に消えた。
「ASH TO ASH,DUST TO DUST.
 吾が恩寵たる灰燼眼、そして吾が能力たる【そして全てはAになる(グレイブキーパー)】、
 そしてそれら全てを与えてくださいました神に感謝します。
 ――――さて、シキさんでしたね。」
「…………。」
 
 目の前で起きたあまりの出来事にシキは言葉を無くしていた。
「おや、驚かせてしまいましたか……。」 
 大丈夫ですか?
 とグレイは彼女に問いかける。
 それと同時に彼女の中で張り詰めていた緊張の糸が切れたのか、彼女は気絶してしまった。
「やれやれ……彼女が起きたらそのピートとかいうお方ともお話しにいかねばなりませんね。
 “予言の仔”を回収しに行った同志との連絡はその後で良いでしょう。」
 グレイは再びシキを抱きかかえる。
 首筋の辺りに花を近づけて思い切り息を吸う。
「うひょおおおおおおおお!たまんないぜえええええええええ!」
 
 駄目だこいつ。
【題名不定〜第三話「その男、につき」〜】

65 :
どうしてこうなった!
すぎるだろ…
最近なかなかこの手のマジキチキャラ居ないから面白いけど

66 :
構想では何話ぐらい?

67 :
読みながら思わず頷いた俺はもう駄目

68 :
一応酉つけるね
構想では三十話くらい
ただしテンション次第で幾らでもだらだら伸びる
うざかったら無視してね
少しでも興味頂けたら感想とか質問とかして頂けるとマジテンション上がります
DDFFみたいに沢山の主人公を使って話を書いていく予定です
スバル以外は個性を強く能力もアクが強い物を優先していく予定
リクエストとかあったら出来るだけ答えたいなーとか
同じ世界観で別の話書いて貰えたら面白いなーとか
その内出してる固有名詞やストーリー構想のパクリの元を書きたいなーとか思ってたり

69 :
雰囲気はアメコミっぽい気がする
キャラの灰汁の強さは一話二話の間は抑えていたのかな

70 :
三十話で絶対おわらんだろ……
それはそれでたのしみだけど

71 :
三十話で絶対おわらんだろ……
それはそれでたのしみだけど

72 :
三十話で絶対おわらんだろ……
それはそれでたのしみだけど

73 :
三十話で絶対おわらんだろ……
それはそれでたのしみだけど

74 :
面白いね
最近続き待ってる作品の一つ

75 :
【題名未定〜第四話「日下雅人と言う男・前編」〜】
「本日のロールシャックジャーナル。
 ここから西に50km行ったところにあるスラム街の顔役であるピートのアジトが全焼。
 顔役とその子分達の死体は未だ見つからず。
 事件直前にアジトの中から沢山の子供達をつれた神父服姿の男を見かけたという証言があり、
 警察では事件と事故の両面から調べを進めている。
 ピート氏は黒い噂の絶えない人物であり、今回の事件を天罰だと言う地元の人間も多い。
 ある老人は炎は巨大な十字架の形になっていたと言っていることから、
 スラムの中では救世主の出現と騒ぎになっている。」
 新聞を読んだまま、溜息をつく中年の男性。
 その右手の甲にある黄色い瞳と左手に着いたカメラのような物ががぎょろりと彼の目の前にいる人物を睨んでいた。
 
「グレイ……君は確か悪魔払いだか悪霊払いをしていたのだったよね?」
「はい、大破壊以降大量の霊的な事件が起きており一人の聖職者として……」
「君は確かその後で預言の仔の回収に行った同志【薺】と合流する予定だったね?」
「いやーそれがその途中にちょっぴりトラブルに……。」
「起こしてるんじゃないかトラブル!」
「元々は自衛の為で……」
「自衛って限度あるから!どうみてもオーバーキルだよ!
 十字の炎ってお前以外居ないから!少しこの世界に居る奴なら誰にでも解るから!」
「そうはいってもやはり小さな子供達を虐げる輩は許せませんよ。
 なんてったって【皆しの赤(オーバーキリングレッド)】ですからね。」
 男性の目の前にいる青年の名前はグレイ・グレイブ。
 彼の率いる邪眼保持者による組織の一員である。

76 :
「【皆しの赤】でも【焔装火葬】でも構わないが任務を放り出すってどういうことなんだろうなぁ?」
「いやー……。」
「グレイ兄ちゃんをいじめるな!」
「そうだそうだ!」
「おっちゃんも悪い奴だろ!」
 中年の男性はグレイが連れてきた大量の子供達を見て苦い顔をする。
 彼は子供が苦手なのだ。
 嫌いではないのだがテンションについていけないのである。
「あっはっはっは、だそうですよ日下さん。」
「笑い事じゃない。薺が消息を絶っているんだ。
 彼女が私的なコネを使って空路で移動していたのは解っているんだが……。」
「彼女ならいつもの独断専行でしょう?彼女無しに我々の組織は成り立たなかったんですし、それくらい大目に見ましょうよ。」
「グレイにーちゃんご飯たべよーぜー。」
「グレイにーちゃんお風呂入ろうよ!」
「「「グレイにーちゃーん!」」」
「グレイ、まずはこのガキどもをなんとかしろ。」
「よし、まずは皆で教会に帰るぞ。そしてお風呂だ。男の子は皆で好きなように、女の子は俺と入りなさい。」
「「「「はーい!」」」」
 中年の男性――日下雅人――はグレイブの性癖を知らない。
 だから彼が子供達に教会に帰ろうと言っても何も思わなかったし、
 その後さらっと行われた爆弾発言についてもまったく気づいていなかった。
 それよりも彼はこの後おそらく自分の所にかかってくるであろうロールシャックジャーナルの取材のことの方が憂鬱だった。
 日下は彼とグレイブのを思い出す。
 当時のグレイブは大破壊で親を亡くした子供の一人だったし、日下雅人は医者の見習いだった。
 
「雅仁……、兄ちゃんは間違ってないよな……?」
 右手の甲でキョロキョロと様々な方向を見ている黄色い眼に雅人は語りかける。
 
「……なんてな。」
 左手の甲についたカメラのような眼を見る。
「井坂先生……、真理は今でも元気ですよ。」
 壁に掛けられている写真に彼は少しばかり苦い表情を見せてみる。
 黒い白衣を着た二人の男、彼の師匠である井坂善久郎と彼、そして彼自身の妻子の映った写真。
 井坂善久郎はもうこの世には居ない。

77 :
「グレイブの奴もでかくなった……。
 あいつが世話されるんじゃなくて世話する側なんてな……。
 って、電話か。ロールシャックの奴からじゃないだろうな……?」
 少しばかりセンチメンタルな気持ちを煙草の煙で追い払うと、彼は受話器を取った。
「はい、こちら日下医院……。」
「俺だ、お前らの組織に取材をしたい。」
「待て待てウォルター。」
「安心しろ、用があるのはお前じゃない。
 グレイ神父の方だ。彼があんな義侠心に溢れた男だとは知らなかった。
 詳細は伏せた上でこの町のヒーローとして……。」
「ちょちょちょちょっと待てウォルター。」
「もう遅い、教会の前まで来ている。」
「やめてくれよウォルター・オーバーフロー」
「言っておくが俺は取材に一切の妥協はしないぞ。」
 通話が切れる。
 日下は溜息をついた。
「もう嫌だあいつら……。」
 ウォルターはロリコンという物を心底嫌っており、
 グレイはただ今達と入浴中であり、
 教会には今彼ら以外に誰も居ないと言うことを……、
 その双方と親しい日下雅人は知らない。
 
「お、電話だ。」
 彼は再び鳴った目の前の電話を取る。
「薺さんの知り合いの者ですが日下さんですかか?」
 知らない青年の声だ。
 薺にあんな若い男の知り合いが居たのか?
 と日下は不審に思う。
 なんせ彼が薺という同志に初めて会ったときから彼女は少女のような外見だったのだ。

78 :
「こちらは日下医院、私は院長の日下雅人だ。」
「俺はスバル・サンダースって言います。」
「サンダース?」
 彼は宿敵と同じ名字を持った青年に警戒をする。
 彼はスバルの父であるマークに師匠であり命の恩人でもある男をされていた。
「用件を聞かせて貰おう。」
「それが……無いんです。」
「は?」
「薺さんって人が俺を庇って頭を打ったせいで一部の記憶がなくなってて……。」
「おい待てお前らどこにいるんだ?」
「空の上です。詳しい場所は言うなって言われています。」
「……迎えに行けばいいのか?それともそっちがこちらに来るのか?」
「薺さんが日下さんとかのことは覚えているらしいんでそっちに向かいたいと思います。」
「場所は解るか?」
「えーっと……」
「おいスバル、私に代われ。」
 電話の向こうで聞き覚えのある声が聞こえる。
 どうやら彼の同志である薺の声だった。

79 :
「おい雅人、私だよ。」
「薺、記憶がないってどういうことだ。」
「うん、どうもこうも記憶がないんだ。
 だいたい……そうだね、君と出会う前の記憶はごっそり無くなってる。」
「グレイブや俺と会った時よりの記憶?私たちの計画の根幹に関わってくるものじゃないか。」
「ああ、全く駄目だよ。」
 よりによってそこ以前のの記憶か、と溜息を吐く。
 
「……じゃあとりあえず俺達は待機しておく。
 無事に帰って来いよ。」
「はーい。」
 通話は途切れた。
 
「まったく……どいつもこいつも……!」
 日下は手近にあった胃薬を飲むと近くにあったソファに寝転がって目を閉じた。
 彼は少しばかりの仮眠に入ろうとしていた。
【題名未定〜第四話「日下雅人と言う男・前編」〜】

80 :
という訳でちょいとだれる部分
この後はアクションアリ恋愛アリの退屈しない部分になる……と良いな
自分の文章力だときついかな
思ったよりも楽しみにしてくれる人がいて俺歓喜です
あちこちに愉快な固有名詞を混ぜているんでにやにやしてくれると嬉しいです
こんな駄文しか書けませんがどうぞ最後までおつきあいください
三十話で終わらないかもね

81 :
次回も日下さんの話か
群像劇みたいな感じにするのかな?

82 :
【題名未定〜第五話「日下雅人という男・後編@」〜】
 1999年、俺は志望していた大学に落ちて浪人生として勉学に時間を注ぎ込んでいた。
 とはいえ俺の故郷に予備校はなかったので都会にある親戚の家から通っていたのだが……。
 まあそれはどうでもいい。
 大事なのは俺が日下雅人ということで、ここが俺の故郷で、今が1999年5月4日と言うことだ。
 俺はたまの休日と言うことで故郷に帰って、お袋の作っていた朝食を食っていたんだ。
「にいちゃんよ、勉強の調子はどうだ?」
「うーん、国語がもうちょっと良ければなあ……」
 俺の弟は日下雅仁という名前だった。
 次男だからという親の考えから人に二を付けて仁にしたのだそうだ。
 こいつは今アメリカに留学してアメフトをやっていて、偶にこちらに帰ってくるのだ。
「一次試験で足下をすくわれたのが痛かったな。
 まあ医学部なんて浪人が半分以上だ、気を落とすんじゃない。」
 俺の父親は俺の落ちた大学の文学部で教授をやっている。
 優しくて暖かい、良い父親だ。
「三人ともお代わりする?」
「お父さんは遠慮しておこう。」
「ああ、じゃあ俺食べる。」
「俺も俺も。」
 そう言って俺と弟は立ち上がり、母さんがまだなにか作っているらしい台所に行こうとした時だった。
「――――――――え?」
 人間が本当に驚くとこういう声しか出なくなるらしい。
 叫ぶでもなく、逃げるでもなく、俺達家族は突然の地震と建物の倒壊に襲われた。
 反応することも出来ずに家の屋根がのし掛かってきた。

83 :
「…………あれ?」
 いつの間にか気を失っていたらしい。
 そうか、あれは夢なのか。
 西日で目を覚ます、すごい寝坊しちゃったかも疲れていたんだな、貴重な休日を無駄に……
 見回してみると辺りに散らばる巨大なコンクリート片。
 真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血
 真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血
 真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血
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 真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血
 真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血
 真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血
 真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血
 真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血
 真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血真っ赤な血
 コレハダレノチデスカ?
「父さん?母さん?」
 返事はない。
 見れば解る、コンクリートは偶然にも俺を避けるようにして落ちてきたのだ。
 つまり俺以外の人間に当たるようにしていやだ認めたくない呼びたくない
 ヨベバヨベバヨベバソレハカエッテコナカッタラアイツだったらひょっこりカオヲダシテクレルカモシレナイシ

84 :
「ぐうぅ……!」
 まず動こう。
 俺にのし掛かっているコンクリ片は見た目ほど重たい物じゃない。
 俺にのし掛かっているコンクリートを片手で何とか持ち上げると……
 ――――――――ゴロン
 右腕だった。
 見覚えがあった。
 日焼けしてたくましかった。
「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
 弟の腕だった。
 嫌だ、認めたくない、片手だけで全てのコンクリートをどけてその場から逃げ出そうとする。
 しかしそこで人に呼び止められた。
「おい君、その腕は……大怪我じゃないか!」
 真っ黒な白衣を着た男だった。
「何を言っているんですか?」
「右腕だよ!それが、そこに転がっているのが君の腕だね?今すぐつけられる!よく解らないが私にはそれが出来る能力があるんだ!」
 見ると、俺の右腕はコンクリートに潰されていたらしく原形もとどめずに消え去っていた。
 どうやら血が足りなくなってきたのだろう、またもや俺は意識を失った。
「…………い!……い!おい!起きたまえ!」
「あれ?」
 暖かいベッド、包帯でグルグル巻きにされた腕。
 黒い白衣の男と、彼によく似た雰囲気のする女性。
 俺と同じ年頃だろうか。

85 :
「起きたか……。まさか生存者が居るとは思わなかったよ……。
 私の名前は井坂善久郎。医者をやっていて……。」
「弟は!雅仁は!?」
 藁にもすがる思いで俺は目の前の男に尋ねた。
 男は横に首を振るばかりだった。
「腕、そうだ腕!弟の腕は!」
「……すまない。」
「え?」
 女性が包帯をほどいてくれた。
 それは間違いなく俺の弟の腕だった。
「拒否反応は起こらない。神経も直に繋がる。
 だが……。」
「嘘だ…………。」
「すまなかった……。」
 俺の、否、弟の右手をまじまじと見る。
 確かに傷一つ無く繋がっていた。
 手の甲に突然亀裂が走る。
 焼きごてを押しつけられたような痛み。
「うぐがああああああ!?」
 弟の手の甲の亀裂から、突如として黄色い瞳が現れたのだ。
 訳がわからない、こんな滅茶苦茶な状況で生きているくらいならこのまま死んでしまいたいくらいだ。
「伯父さん大変です!腹部からの出血が!」
「馬鹿な!?怪我はもう……!
 いや待てよ、あの状態であれだけ重たいコンクリート片を左手だけで押し上げて……まさか!?」
「な、なんですか井坂さん!?」
「良いか少年良く聞け。
 君が建物の倒壊に巻き込まれてから既に三日以上経っている。
 その状況で君の弟君の腕と君は生きていた。
 これはあり得ないことなんだ。」
 井坂さんは俺の着ていた服をはぎ取る。
 すると俺の臍の下、丹田とも呼ばれる場所に赤い亀裂が走っていた。
 ここにも、眼が有った。

86 :
「三日……!?」
「さらに、あの地震と同時刻、世界中で様々な災害が同時に起きているというニュースが来ている。
 その中で生き残った人間の一部が超能力を得たという報告もだ。
 ―――――邪眼が二つ有るだと!」
「超能力……?」
「目覚めた者は物理的な法則をねじ曲げて己の内に眠る無意識の才能を呼び起こされる。
 だがそれと同時に、己の中に眠る無意識の欲望とも戦わなくてはいけなくなるんだ。
 その戦いに負けた者がもう既に能力を使った犯罪を起こしているんだそうだ。」
「……そんな馬鹿な。」
「ああ、バカみたいだが現実なんだ。
 それよりも邪眼が二つ……聞いたことがないな。」
「俺にもその能力があるって言うんですか?
 あと、邪眼が二つっておかしいんですか?」
「二つの意味でその通りだ。君には能力――少なくとも怪力――があるし、邪眼が二つあるってのは異常事態だ。」
 訳がわからない。
「俺の能力って……?」
「覚醒すればその眼に教えてもらえるはずなんだが……。」
「伯父さん、そろそろ回診のお時間ですよ。」
「おっとそうだったか……。では日下君、私は少しこの病室から離れるよ。
 今世界で何が起きているか聞きたければ姪に聞いてくれ。」
「看護婦の井坂真理です。」
「えっと、よろしくお願いします……。
 予備校生の、……予備校生だった日下雅人です。」
「二人とも若いし何があっても五月蠅いことを言う気はないけど……。」
「何を言っているんですか伯父さん!」
「い、い、いいい井坂さん一体何を言っているんですか!」
「真那、言っておくけどただ今人口激減中だからな。
 俺の手伝いも良いが適当に男を捕まえないといき遅れるぞ。」
「や、やめてください伯父さん!
 私まだ大学出たばっかりなんですから!」
 なんと、俺より年上だったのか。

87 :
「二十代の一年間は泣ける程早いんだ。」
「そんなぁ……。」
「そいじゃあ次の患者見てくるね。」
「あっ!」
 井坂さんは病室を出て行った。
「あの……真理さん?」
「伯父さんが妙なこと言ってすいませんでした……。」
「いえ……。」
「弟さん、残念でした。もっと早く私たちがあの地区に行っていれば……。」
「…………。」
 こういうときに『そんなことはない、助けて貰っただけでありがたい』
 となぜに言えないんだろう。
 まだ気持ちの整理が出来ていないからなのか。
「あの、真理さんも能力を持っていたり……」
「ええ、レベルの低い予知能力です。」
「予知?」
「危ない場所が解ったりとか……。
 眼の名前は捻りがないけど【予知眼(ヨチメ)】って言って、
 能力の名前は【月燈眺(サーチライト)】
 安全な場所を照らし出すサーチライトのつもりです。」
「好きなバンドはあれですか。」
「あれですね。」
「もしかして他人に安全な場所を伝えられたりとか……。」
「私も目覚めてからそうそう日にちは経っていませんから。
 それはこれからのレベルアップ次第ってところですかね。
 他に質問はありませんか?」
「二つほどあります。」
「なんですか?」
「一つは俺金持ってないってことです。」
「もう一つは?」
「俺、医者を目指してて去年大学に落ちたばっかりなんです。
 今現在の日本って大学制度は機能しているんですか?」
「えーっと……。
 お金は貴方に良心が有るなら私たちと一緒に働いて返してくださるとありがたいです。
 大学は……政府が崩壊したみたいですし、向こう五六年は無理だと思います。」
「そんなあ……!?」
 努めて情けなさげな声を出す。
 その程度の元気があるようには見せかけたいのだ。

88 :
「家族も無くして夢もお終いかよ……。
 ――――いや、待てよ?」
 良いことを思いついた。
 このままここで働かせてもらえば……
「雅人くん危ない!」
 真理さんが俺を無理矢理ベッドの下に引きずり下ろす。
 それと同時に病室の壁が吹き飛んだ。
「おっと!まだ人がいたのか!丁度良いや食料やら金目の物やら出しな!
 さもないとこの病院っぽい建物が全部吹きとんじまうぜ!」
 壁が吹き飛んだ先から現れたのは蜘蛛のように八本の腕を持った男だった。
 どうやら壁を殴って破壊したらしい。
「能力者か!?」
「能力を使って犯罪行為をしている人です!」
「能力?やめろよやめろよこいつは神様からの【恩寵(ギフト)】だ!
 そんなつまらない呼び方するもんじゃないぜ!」
「そんなことはどうでも良いです!ここには患者さんのための食料しかありません!
 貴方たちみたいな人に渡す物は……。」
「…………あっそう。じゃあ代わりに……。」
「きゃっ!」
 蜘蛛男が真理さんに糸を吐きかける。
「女でも貰っていこうか。なかなかべっぴんさんみたいだしよぅ。
 たっぷり可愛がってやるぜぇ?」
 下卑た笑みを浮かべる男。
 下品で野蛮で腹の立つ男だ。
 今すぐこの男を殴り倒したい。
 子供の頃に戻ったかのような純粋で、無垢な暴力への衝動。
 俺の腹の眼の中で戦意の奔流が発生し、それが全身へ回っているようだった。

89 :
「や、やめてください!」
 蜘蛛男は糸でグルグル巻きにされた真理さんを小脇に抱えて病室を飛び出そうとする。
 だがそんなことは許さない。
 俺はとっさに蜘蛛男の肩をつかんで病室の中に無理矢理引きずり込んだ。
「ぎゃっ!」
「その小汚い手で真理さんに触れるな。
 この人は俺の命の恩人なんだ……!」
「このガキただの怪我人だと思ったら保持者かぁ!?」
「ああそうだ、俺は……そう、【邪眼保持者(ギフトホルダー)】だ。」
「【恩寵保持者(ギフトホルダー)】……ね。」
「駄目です雅人さん!伯父さんがもうすぐ来ますから逃げましょう!」
「いいえ逃げません。ここから逃げても逃げ切れるとは思えない。
 あの糸で貴方は簡単に掴まってしまいます。」
「貴方だって……。」
「違う。俺はこいつと戦える。
 真理さん、俺の後ろに下がっていてください。」
「馬鹿言いやがれ!お前見たところまだ右腕が効いてないみたいじゃねえか!
 その怪力も左腕だけじゃあ……」
「食われる側の獣ってのは妙な所で目敏いんだな。成る程その程度の能力で生き残れるわけだ。」
「このガキ……!」
 男は俺に向けて蜘蛛の糸を吐きかける。
 ―――――――――――――――――――――戦闘だ!
 こいつを叩き潰して良いんだ!
 こいつを殴りして良いんだ!
 内側からの闘争本能のうずきが押さえられない。
 俺の目には非常にスローに見えた蜘蛛の糸をつかみ取ってそのまま蜘蛛男を引きずり倒す。

90 :
【俺の名前は“留死眼(ルデスガン)”使い方は解るな?】
「勿論!」
 どこからか響いてくる声に高らかに応える。
 俺は頭の中に浮かぶとおりに己が腹の邪眼を起動させる。
 さあ、想起しろ。
 必要なのは集中。
 必要なのは儀礼。
 手術前の医師が如く両手を前に差し出し
 神に祈りを捧げるが如くそれを高く掲げ
 全身に躍動するエネルギーを眼に叩き込むがの如く両腕を腰に当てる。
 イメージするのは最強の自分。
 死すら押し留めた己との内なる生命力の顕現!
「―――――変身!」
 頭に生える巨大な二本の触覚。
 全身は緑色に染まった逞しい筋肉と外骨格で覆われていた。
 首からは虫の羽の意匠が施されたマント。
 右手にだけは金色のガントレットが装着されている。
 緑色の閃光と共に俺の姿は完全な化け物となっていた。
 だがそこに一切の後悔は無い。
 俺が、弟が、無意識に求めていた物、それがすなわちこれだったんだ。
「な、何者だおまえ!?」
「雅人……くん?」
 子供の頃に憧れていたヒーローになる。
 アメフトの選手、医者、形は違えど俺達兄弟の思いは一緒だった。
「【黄昏導く鉄槌(ゴルドスマッシュ)】!」
 右手のガントレットが輝きを増す、俺はそこにありったけのエネルギーを込めて男を殴りつけた。
 俺の拳は蜘蛛男を深々と貫通して、その勢いに任せて俺は遠く彼方へと男を殴り飛ばした。

91 :
「真理さん。」
「……は、はい。」
「予備校生もとい正義の味方、日下雅人……ってどうでしょう?」
「…………すごく良いと思います。」
「うわあああああああ!」
「井坂先生の声!?」
「伯父さんが危ない!?」
「まだ進入してきた奴が居たのか……。
 真理さん、危ないので着いてきてください。」
「はい。」
 俺は真理さんと共に病室を出た。
 すると病院の中央広間で井坂先生がコウモリのような姿をした男に掴まった上に、
 天井に力尽くで押さえつけられていた。
「井坂先生!」
「ひゃーっはっは!院長をこの病院の高い天井からたたき落とされたくなかったら……」
「雅人君かい!?その姿は……!」
「ちっ!なんだか知らねえがあの蜘蛛野郎しくじったのか!
 まあ良いや……こっちはこっちでもう人質を……!」
 ――――グジュ
「へ?」
「遅いね。」
 それはあっという間だった。
「な、なんだこりゃあ!?」
「私の能力である【ダイヤモンドしか砕けない】は既に発動した。」
「か、壁の中に埋まっていく!
 身動きがとれねえ!無能力者じゃなかったのか!?」
「切り札とは最後までとっておくものだよ。」
 蝙蝠男が病院の壁と一体化していく。
「あれが伯父さんの能力。
 手で触れた物同士を一つにつなぐことが出来るの。」
 あれで俺と弟の腕もつないだのか……?
 視界が霞む。
 どうやら体力の限界らしい。
「真理さん。」
「どうしたんです?」
「部屋まで運んで……。」
 どうやら変身し続けたせいで体力がどんどん減ってしまっているらしい。
 俺の意識は闇の中へと溶けていった。
【題名未定〜第五話「日下雅人という男・後編@」〜】

92 :
と言うわけで一話長くなることが確定してしまいましたとさ
彼の過去が終わったらまた別のキャラを出します
なんで変身させたかって?
最近マイブームでつい……

93 :
投下ペース早いな
書き溜めてるの?

94 :
書きためてないのよ
今日はちょっと時間無いから投下できなさそうっす

95 :
【題名未定(ネームレスワン)〜第六話「フライングダッチマン号でみる優雅な夢」〜】
「……っと、夢か。」
 夢を見ていた。
 大破壊前の世界の夢らしかった。
 俺と同じくらいの年頃の青年が主人公だった。
 頭が痛い。
 俺は今まで何をしていたんだっけ?
「やっと起き上がりなさりやがりましたかお客様。」
「はふっ!?」
 起きたと同時に俺の視界に飛び込んできたのはメイドだった。
 動きやすいように少し短くしたエプロンドレスから覗く長く美しい脚と服の様々な場所に幾つもぶら下げられた鍵。
 銀色の髪と眼帯に隠された片方しか見えない緑色の瞳が怜悧な印象を与える美人だった。
「はふっ!?とか抜かしている場合ではございませんお客様。
 薺様がただ今意識不明の重体でござりやがります。」
「薺?」
 ああ、俺を預言の仔とか言っていたあの少女か。
「ロジャー様にあなた様が起きやがったらすぐに連れてきやがれと言われております。」
「ロジャーってあの海賊の人?ていうか貴方誰?」
「自己紹介が遅れました。私の名前はステファニー・シャーンドル。
 由緒正しい王族ロージャ家に仕えるメイドでございます。」
 ステファニーと名乗ったメイドはエプロンドレスのスカートを摘むと恭しく俺に一礼をする。

96 :
「何分英語にはまだ慣れておりませんので言葉遣いがおかしくなる場合がございますが、
 どうぞお聞き流しくださりやがればこちとら幸いでございます。」
「は、はぁ……。あの、ロージャなんですか?ロジャーなんですか?」
「ロジャー様はご自分の名前が嫌いでして、ロージャ・シャーンドルという名前をロジャー・シャンドラと変えておりやがります。」
「そのロジャーって人が俺達を……。」
「詳しいことは後です。とにもかくにもお怪我も無いのでしたらさっさと一緒に来てくださいやがりませ。」
「え、はぁ……。」
 ベッドから起き上がる。
「お客様の刀はそちらに置いてやがります。
 ロージャ様はお客様に帯刀を許可なさってやがりますのでお腰に差しやがって結構です。」
「え、はぁ……。」
「こちらでございます。」
 とりあえず机に置いてあった刀を腰に差すと俺はステファニーの後ろを着いていく。
「あ、あのステファニーさん?」
「いかが致しやがりましたかお客様。」
「俺の名前はスバルと言います。名前で呼んでください。」
「了解いたしましたスバル様。」
 廊下に靴音が響く。
 会話が続かない。
 間が保たない。

97 :
「一体此処はどこなんですか?」
 とりあえず無難な質問。
「空の上、ロジャー様の船であるフライングダッチマン号でございます。」
「空の上?飛行船かなにかですか?」
「いえいえ、種も仕掛けもないガレオン船でございます。」
「じゃあなんでそんなものが……」
「ロジャー様の恩寵(ギフト)である【月を穿つ魔眼(フリーフォール)】の能力のお陰でござりやがります。」
「彼が居なければ飛ばない船……ってことですか。」
「Exactly.この船はロジャー様以外の動力源を一切持っておりません。」
「そんな……。」
「but,We don’t have to worry about it.」
 そう言って彼女は笑う。
 怖いくらいに優しく、柔らかに。
「何故だか解りやがりますか?」
 解りたくもなかった。
 
「うふふ、そんな怖い顔をなさらないでくださりやがりませ。
 王のために家来が命を懸けるのはさして珍しいことではありませんわ。
 この船はロジャー様の王国でござりやがります。」
「そうは言っても……!」
「着きやがりましたわスバル様、この扉の向こうにロジャー様がいらっしゃりやがります。」
 一概に狂っているなどと言ってはいけないのだろう。
 それは解っている。
 それは解っているがそれでも尚、納得してはいけないと思った。
 皆が皆そうなのかは解らないが少なくとも今俺の目の前に居るこのステファニーという女性は……
「いかが致しやがりましたか、ロジャー様が待ちかねてやがります。
 薺様の治療が行われている部屋もこの部屋の奥でございます。」
 余計なことを考えるのはやめよう。
 まずこの訳のわからない状況を打開するためにロジャーという男に会わなければ……。
 俺はそう思って扉を開いた。
【題名未定(ネームレスワン)〜第六話「フライングダッチマン号でみる優雅な夢」〜】

98 :
このメイドのしゃべり方どこかで見たことあるんだけど
何だったっけか

99 :
アダラパタが近いかも
ともあれ投下乙なんだぜ

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