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2013年03月アニキャラ総合502: 【ひぐらし】雛見沢にルルーシュを閉じ込めてみた【ギアス】 (721) TOP カテ一覧 スレ一覧 2ch元 削除依頼
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【ひぐらし】雛見沢にルルーシュを閉じ込めてみた【ギアス】


1 :2008/12/27 〜 最終レス :2013/03/10
ひぐらしとコードギアスのクロスオーバーSSです。
荒らし、禁止。
支援、熱望。
感想があると涙を流して喜びます。
嬉しさのあまり執筆速度が上がるかもしれません。

2 :

 終わりたくないのですね、あなたは。
 生きて未来を欲しますか?
 力があれば生きられますか?
 ならば契約を交わしましょう。
 あなたには僕の願いを一つだけ叶えてもらう。
 その代価としてあなたに力を与えましょう。
 契約すれば、あなたは人の世に生きながら人とは違う理で生きることになる。
 異なる摂理、異なる時間、異なる命。
 王の力はあなたを孤独にする。

 その覚悟があなたにはありますか?

 [雛見沢にルルーシュ・ランペルージを閉じ込めてみた / ひぐらしのなくギアス]


3 :
【1】
「――お、」
 ……。
「……様……」
 ………。
「――……お兄様……」
 …………。
「お兄様、着きましたよ」
「ん……。……ここは……」
 妹のナナリーの声で目が覚めた。
 周囲を見回し、すぐに自分が置かれている状況を確認する。
 どうやら俺は電車の座席に座ったまま眠り込んでしまっていたようだ。
 思考が鈍い、日頃の疲れがたまっているのだろう。
 隣には心配そうにこちらを窺うナナリーがいる。
 ……そうだ、今は東京租界からの帰り道だった。
 久しぶりにスザクや会長に会いに行って、ナナリーを彼らに預けている間に黒の騎士団の作戦指示をしに行ったんだ……。
 つい先月まで住んでいたにも関わらず、東京租界の賑やかさに圧倒された。
 高層ビルに何車線もの道路。
 たくさんのブリタニア人。
 ブリタニア軍人の使用する高性能ナイトメアフレーム。
 駅前での騒々しいクロヴィスの演説すらも今では懐かしかった。
 今、住んでいる土地にはそんな賑やかなものはない。
 あるのはセミの声と清流のせせらぎ。そして、ひぐらしの声。
 そんな静けさに寂しさでなく、安らぎを感じ始めたのは最近だ。
 現在、俺とナナリーは東京租界から離れた所で暮らしている。
 ギフの山奥にある寒村、シシボネゲットー・ヒナミザワヴィレッジ。
 そこが俺たちが隠れ住まう場所だ。 
 どうしてそんな場所に住むことになったかというと話は長くなるが……
 あれは心を読む能力者『マオ』が起こしたナナリー誘拐事件が解決して数日経ったある日のことだった――。

4 :
スレ立て&投下乙!
時系列的にはマオ戦の後で、こっちはナナリーが一緒か。
来ることになった理由や今後の展開に期待。

5 :
その日の早朝、俺はミレイ会長に呼び出されて生徒会室を訪れた。
そこでとんでもない話を聞かされる。
「……えっ? 会長、今なんて言いました?」
俺は想定外のミレイ会長の言葉に、思わず聞き返してしまった。
「だから、ごめんなさい。……貴方とナナちゃんを匿うことはもう出来ないわ」
「そんな、どうしてです?」
今頃になって何故。それは当然の疑問だった。
幼い頃、ブリタニア皇族であった俺と妹のナナリーは父親である皇帝シャルルにエリア11へ捨てられた。
しばらくして戦争で死んだことにされていたが、もし俺たち二人が生きている事実が知られていれば、間違いなく政治の道具に使われていただろう。
そんな俺たちを不憫に思って匿ってくれたのがアッシュフォード学園であり、ミレイ会長の家族だったはずだ。
「……ごめんなさい、ルルーシュ。前にアッシュフォード家が衰退しているって話をしたことがあったわね?」
「ええ。でも学園が経営できなくなるほど落ちぶれているとは思えないですが」
少し失礼な言い方だが、気にしている余裕はなかった。
「違うの。今までアッシュフォード学園が安定しているように見えたのはこの学園に通う一部の生徒がいたおかげなのよ」
「それはつまりどういうことですか」
「最近学園に来る生徒が減ったと思わない?」
「ま、まさかっ!」
一部の生徒のおかげ……減った生徒数――その二つの点から導かれる結論は……。
「そう、この学園は一部貴族の親が出した助成金のおかげで何とか経営できていたの。
けれど最近のエリア11は日本解放戦線や黒の騎士団といったテロ組織の動きが活発だし、クロヴィス殿下だって暗殺されたでしょう?
それで生徒たちは次々とブリタニアの学園に転入していってしまったというわけ」
「……ぐ……そんな馬鹿なことが……」
アッシュフォード学園は助成金がなければ資金繰りが厳しいらしい。
助成金を得ることが出来ない以上、アッシュフォード家は学園を潰すか売り渡すの二択しかないのだそうだ。
潰れてしまえば無論のこと、俺とナナリーは学園を出ていかなければならず、売り渡すことになれば理事がアッシュフォード家から別の貴族の家へと移り、俺たちの素性がばれてしまうため、この場合も出て行かざるを得ない。
くっ……アッシュフォード学園を全面的に信頼していたが甘かった。
コーネリアの動向よりもアッシュフォード学園の経営状況に目を向けるべきだったか!
しかし今更もう遅い。25通りの手を考えたが、全て手詰まり。くそ、どうすればいい……?
そこに俺の親友が扉を開けて入ってきた。
「どうしたんだい、二人とも深刻そうな顔をして?」
彼は枢木スザク。日本人だが、幼少の頃から仲が良い俺の一番の友だ。
「スザク……」
「スザク君……」
俺とミレイ会長は顔を見合わせて頷き合うと、藁にも縋る思いで事情を打ち明けた。
スザクは事情を聞くと、本当に残念そうに呟くように言った。
「そうなんだ、寂しくなるね……」
「まだそうと決まったわけじゃないわ。私もまだ転校するべきか迷っている生徒を何とか説得してみる。
だけど、最悪のケースは覚悟して欲しいの」
「え、ええ、分かりました……」
「ルルーシュ、君はこれからどうするんだ?」
ミレイ会長の家は……無理か。まだ未成年の少年である俺を娘のいる家に住まわせれば、アッシュフォード家に良からぬ色々と噂が立つ。
さすがにそこまで迷惑はかけられない。
「しばらくはリヴァルの家に世話になることもできると思うがもって三日だろう。……その後は考えていない」
「そうか。ならさ、僕に任せてくれないか?」
「なに?」
「学園は僕にはどうすることも出来ないけど……君とナナリーの住む場所ぐらいの当てはあるんだ」
「本当かスザク! 頼む、紹介してくれ!」
「ああ、もちろんさ」
俺はスザクの提案を喜んで受け入れ、すぐに荷物をまとめてナナリーと学園を後にした。
だが、この時はまさかゲットー、それも山奥の寒村に移り住むことになろうとは思いもしなかった。
知っての通り、ゲットーに住むほとんどの日本人はブリタニア人を憎んでいる。
そんな中に俺とナナリーが? どう考えてもありえない。俺は心底そう思った。
普通に考えればナナリーに廃墟生活などできないことが分かるはず。
この時ばかりは俺もスザクの正気を疑ったものだ。もっとも、それは俺の杞憂だったわけだが――……。
「お兄様、早くしないと扉が閉まってしまいます」
「あ、ああ、すまない。急ごう」
ナナリーをおぶると足早に電車を降りた。

6 :
文字数エラーの関係でスペース減らしたけど、見づらいな……。
次は戻します。
>>4
支援サンクス。
自分のは鬼隠し編をベースに皆殺し編を組み込んで惨劇回避する予定。
世界観はコードギアス準拠です。

7 :
 東京租界から電車を乗り継ぎ数時間後の外の風景は、東京租界と同じ時代であることを疑わせるほど技術の進歩というものが見られない。
 その”何も無さ”に最初は呆気に取られたものだ。 
 駅を出ると、ここからさらに車で山道を超えなければならない。もちろん俺は車など持っていないが、迎えが来る手筈となっているので別段問題はない。
「あ、お待たせルル、ナナちゃん!」
 少女が小走りに近寄ってくる。
 彼女の名前は園崎魅音。スザクの知り合いで、俺の一年先輩だ。
 魅音は俺をルルと呼ぶ。そんな時いつも彼女の前に俺のことをそう呼んでくれたシャーリーのことを考えてしまう。
 シャーリーは大切な仲間だ。いや、今は”だった”と言うべきか……。ルルという呼び方は、とにかく彼女を思い出すことになりつらい。
 魅音に止めるように言ったこともあったが、やつは空気を読まない。俺はしばらくして諦めた。
 慣れてしまったのか今はもう、そう呼ばれることにあまり抵抗を感じなくなっていた。
「ごめんごめん、待った?」
「いや、定刻通りだ」
「そりゃよかった」
「魅音さん、こんにちはです」
 ナナリーが挨拶をすると、魅音は冗談で返す。
「おお、ナナちゃんお久しぶり! 200年ぶりだっけぇ?」
「うふふ、200年も経ってたら私もう死んじゃってますよ」
「あはは、違いないね」
「たった二日でオーバーだな魅音」
「そうかい? ま、とりあえず車に乗りなよ。土産話は道中聞くからさ」
 そうだな、村まで一時間ぐらいかかる。その時に話すのも良い時間つぶしになるだろう。
 ナナリーを車に乗せ、自分も車に乗り込むと、車は急発進して雛見沢(ヒナミザワヴィレッジ)へと向かった。 

8 :
【2】
 二日ぶりの雛見沢の朝。今日はいつもより早く起床できた。昨日電車の中で熟睡したせいだろう。
 夏を迎えても、雛見沢の朝は寝苦しくはなかった。むしろ少し肌寒いくらいだ。
「……ふぅ」
 伸びをして布団から出ると学生服に着替える。
 ここは魅音の手配してくれた日本家屋の二階、俺の部屋。ベッドはなく、畳の上に布団を敷いて寝ている。
 そんなことは幼少の頃スザクの家で世話になって以来のことだったので、最初のうちは寝つきが悪かった。
 布団を片付けて押入れに仕舞う。
 ナナリーはもう起きているだろうか。階下へ降りる前に廊下を挟んだ隣にある部屋で寝ているナナリーに声をかける。
「ナナリー、起きてるか? 入るよ」
「はい、お兄様」
 引き戸を開けて中に入ると、すでにメイドの咲世子がナナリーの仕度を整えていた。
「おはようございます、ルルーシュ様」
「おはようございます、お兄様」
「ああ、おはよう、ナナリー。咲世子さん」
 ナナリーの笑顔につられて自分の顔が綻ぶのが分かる。
「ではルルーシュ様、用意が出来ましたら一階にお越しください」
 咲世子が一礼して部屋を出て行く。朝ごはんの用意をしてくれるのだろう。たまには代わりに作ってやるとも良いかもしれないと思う。
 ベッドに腰掛けたナナリーに向き直る。
「今日は早いな」
「はい、二日ぶりの学校がなんだか待ち遠しくて。そう言うお兄様も今日は早かったですね?」
「ああ、昨日早く寝たからね。さあ、咲世子さんが待ってる。行こうか」
「はい」
 ナナリーをおぶって階段を降りると、洗面所で顔を洗ってからダイニングに向かった。
 朝食をゆっくりと摂っていると、もう家を出なければならない時刻だ。アッシュフォード学園に通っていた頃は学園に住まいがあって登下校などしなかったから、こういううっかりをよくする。まだここの生活に完全に慣れていない証拠だ。
「ナナリー、後三分で家を出ないとまずい」
「あ、もうそんな時間ですか」
「レナを待たせるのも悪いからな、急ごう」
「そうですね」
 レナは雛見沢村に住む俺と同い年の少女。この村での生活はレナに教わった。
 甲斐甲斐しく、容姿はとても愛らしいので、男なら誰しもが惚れる理想の女と言えよう。もっとも、可愛いものを見ると若干粗暴になる、ただ一点を除けばだが。
「行って来ます、咲世子さん」
 ナナリーを車椅子に座らせ、咲世子に声をかけてから家を出た。

9 :

 家から少し歩いた所にあるいつもの待ち合わせ場所にレナの姿を発見する。
 レナと目が合い、あちらも俺たちに気づいたようだ。
「ルルーシュく〜ん! おっはよ〜っ!」
「おはよう、レナ」
「おはようございます、レナさん」
 朝の挨拶を交わす。
「二人とも今日は早いんだねぇ」
「ああ。通常より1分25秒も早く家を出たから当然だ」
「へぇ……。ずいぶん細かいんだね」
「ただの癖だ。気にしないでくれ」
「うん、分かったんだよ」
 レナに苦笑されてしまった……。
「フフ、お兄様はレナさんに会いたくて早くに目が覚めてしまったみたいですよ?」
 朝っぱらからナナリーがとんでもないことを口走る。
「ちょ、おま、ナナリー! いきなり何を言っている?!」
「は、はぅ……。ルルーシュくん、そうなの?」
 レナはすっかり顔を高潮させている。そんな顔をされると俺まで恥ずかしくなってくるじゃないか。
「ち、違う! 間違っているぞ竜宮レナ! そうではない!」
「え、違うの……?」
 今度はちょっと残念そうな顔をしたので、俺は狼狽する。
「いや、待て! 違うというのは語弊があって、あくまで表現上の問題でだな!」
 隣でナナリーがクスクスと笑っている。少し意地悪そうな笑顔だ。
 ここに住むようになって(特に魅音のせいで)、ナナリーに悪い影響が出ているような気がしてならない。ナナリーが元気で笑っているのはいいことなのだが、釈然としないのは何故だろうか。
「ねぇ。それで、表現上の問題ってどういう意味なのかな、かな?」
 頬を赤らめたまま上目遣いに聞いてくる。
 う……それは……。
「……み、魅音が待っている、急ごう!」
「あ、待ってよルルーシュくん!」
 俺はレナとの間にできた微妙な空気から逃げるようにナナリーの車椅子を押して先を急いだ。


10 :
投下乙!
次回で部活メンバーが揃いそうだ。
圭一不在ぽいけど。

11 :
コメありがとう。
圭一はルルーシュがいると空気になるので最初から存在しないことにしましたが、
次辺りで部活メンバーは揃うと思います。
今20Kbくらい書き溜めてますが、ある程度書いたら投下していく形で、小出ししていきたいと思います。
長くなると思うけど、支援よろしく。

12 :
>>11いや、死んで知的障害者。

13 :
乙ー。長く頑張って。

14 :

 通学路の途中、水車小屋前で魅音と合流してから学校へと向かう。いつも遅刻ぎりぎりに待ち合わせ場所に来る魅音だったが、今日は珍しく先に待っていた。
 俺のために一時間前から待ってたと言うが、いつもの冗談だろう。久しぶりにそんな軽口を聞いて俺は苦笑せざるを得なかった。
 一応こんなのでも学校ではクラスのリーダー役である。
 
 雛見沢分校に到着する。
 ここはイレブン――日本人が立てた学校。とはいっても営林署を間借りしているだけのようで、生徒数はあまり多くない。
 教室は一つしかなく、俺と同じ位の年の生徒はレナと魅音しかいないのが現状だが、このご時世、日本人に教育を受ける場があるだけでも十分すごいことだと思う。
 雛見沢は戦略的価値の無い古びた寒村だ。だから、ブリタニアによる日本侵攻でもあまり被害を受けなかった。
 ほとんどの家庭が自給自足だった故に、東京租界で職を得るためにブリタニア人に服従する人間も少ない。
 ブリタニア人に虐げられる人がいないから、俺たちにも優しく接してくれる。それが行き場の無い俺たちにはありがたかった。
 昇降口から教室へ向かう廊下で数人の子供とすれ違う。朝っぱらからはしゃぎ回って賑やかなものだ。俺の胸ぐらいまでしか背丈が無いが、彼らも同級生である。
 不意に先を歩いていた魅音が俺に先頭を譲ってきた。
「お先にどうぞ、ルルーシュ大先生。くく」
 教室の引き戸の前で魅音はニヤリと笑う。
「フッ、なるほどな」
「え、どうかしましたか?」
 ナナリーが不思議そうに首をかしげた。
「沙都子だよ、ナナリー」
「あ……すっかり忘れていました」
 ナナリーは得心がいって、ぽんと両手を合わせた。
 沙都子とは同級生の生意気な小娘のことだ。トラップ作りがライフワークだそうで、よく俺に対して辛辣な罠を仕掛けてくる。
 それも忘れた頃にやってくるものだから尚更性質が悪い。
「レナ、悪いがナナリーを後方に避難させてくれないか」
「う、うん。分かったんだよ」
 すでにやつのトラップの対策は済んでいる。今日こそ目に物見せてやるとしよう。

15 :

 レナがナナリーを連れて後に下がるのを確認すると、俺は教室の引き戸越しに沙都子に言った。
「君にしては見え見えの罠じゃないか。引き戸の上のほうで黒板消しが目立っているようだが?」
 フッ、俺はナナリーのように雛見沢を二日離れただけで警戒を解くほどお人よしではない。手を抜いたか、沙都子?
 扉を挟んだ教室の中から笑い声が聞こえる。そうしていられるのも今のうちだ。
「お見事、さすがルルだね! 今回はルルのほうに軍配が上がったかな?」
 魅音が調子よく褒め称えるが、俺は表情を変えない。なぜならまだ勝負はついていないからだ。
 沙都子の過去のトラップデータと照合すると、到底これだけとは思えない。
 ちなみにそのデータは、転校初日から罠の被害に遭い続けた俺が、研究に研究を重ね開発した対沙都子トラップ設置行動予測プログラムによって基づく。
「沙都子、お前のその心理誘導と精巧な罠はたしかに驚異的だ。――だが、お前の罠にはある一定のパターンがある」
 まず最初のアタック(罠)は囮、複数の罠をうまく連動させ、次なる罠へと誘うための誘導。
 罠により目標の視線を一箇所に固定させ、その死角となる場所に罠を仕掛ける。だがそこに本命トラップを仕掛けることは絶対にない。
 そして、うまく相手を誘導し逃げ道を完全封鎖できた場合に限り、本命トラップを発動するのである。
 それはつまり言い換えれば、誘導さえ断ち切ることができれば沙都子の罠は道端の小石となんら変わらない性能となることを意味する。
 まず黒板消しを解除する。
「やはりな」
 引き戸の取っ手に視線を移すと、そこにはガムテープで画鋲が取り付けられていた。
 画鋲を避けて引き戸に手を触れる。
「おっと……フフ、危ない危ない」
 引き戸の下部には縄跳びが張ってある。
 まったく大したやつだ。後十歳年齢があったなら黒の騎士団作戦参謀補佐に引き入れている所だ。
 引き戸を開け、縄跳びを避けて教室に入る。
「チェックだ、沙都子」
「んがっ……?!」
 今回のトラップは沙都子にとって会心の出来だった模様。俺に破られたのが相当にショックだったみたいだ。沙都子は驚きから目を丸くして呆然としている。
 床に視線を移すと、硯が置かれ、墨が並々と注がれている。どうやらこれが本命トラップのようだ。
「う、腕を上げましたわね……ルルーシュさん」
「フッ、光栄だよ。ありがとう」
 してやったり顔で見下ろすと、沙都子は悔しそうに唇を噛んだ。
 ふはは、良い気分だ。
「みぃ、ルルーシュが大人気ないのです」
「ああ、梨花か。おはよう」
「ルルーシュ、おはようなのです」
 梨花は沙都子の親友だ。俺とスザクの関係に近く、性格は正反対だが自然と馬が合うらしい。
 沙都子が梨花に泣きついた。
「梨花ぁー、ルルーシュさんが馬鹿にしたぁ!」
「よしよし、次回は油断したルルーシュをボクがトラップの前に突き飛ばして上げますですよ」
「ちょっと待て」
 そんなやりとりを交えながら、俺たちは沙都子のトラップの後片付けを皆でやる。
 トラップの痕跡が跡形もなくなった頃、担任の知恵留美子が教室に入ってきた。
「皆さん、席についてください。出席を取りますよ」
 同級生の子供たちが慌てて席に着く。魅音たちも彼らに習い自分の席に向かった。
 俺の席はレナの右隣。後には魅音がいてその左隣にはナナリーの席がある。ナナリーを車椅子から降ろし、席に座らせると自分も着席した。


16 :
 

17 :
支援保守

18 :
GJ!支援保守

19 :
久しぶりでトリが消滅してた…。
不定期ですまそ。支援さんくす

20 :

 授業が始まると留美子はほとんど低学年の生徒にかかりきりになる。
 なぜなら、この学校の教室は学年混在なので黒板で一つの勉強を教えるわけにはいかず、個別に教える分時間がかかるからだ。
 その間俺たち上級生は放置されるわけだが、日頃から授業中に居眠りをしている俺にとっては願ったり叶ったりだった。
 ――はずなのだが……遺憾にも魅音によって邪魔をされた。
「ねぇねぇ、ルル。ブリタニアで流行ってるゲーム教えてよ」
「すまない魅音、睡眠の邪魔をしないでくれないか?」
「はぁ? 何言ってんの。授業中に寝るなんて学級委員の私が許すわけないじゃん」
「ならお前、私語は許されるのか」
「ねぇ、ルルってば〜。良いじゃん良いじゃん」
「おい、ちゃんと人の話を聞け」
「ねー、意地悪しないでおーしーえーてーよー」
 こ、こいつ。いつになくめんどくさいぞ……。ギアスを使って黙らせるか?
 ……馬鹿か、落ち着け俺。そんなくだらない理由にギアスを使っていたらきりがない。
 ギアスとは俺の持つ特殊能力のこと。一度だけ他人に命令を強制出来る絶対遵守の力だ。
 便利な力だが、無論それ相応にリスクはある。仮に俺が『R』とギアスで命じれば、その人間は死ぬ。前述の通り命令は一度きりで、取り消しは出来ない。使い方を誤れば恐ろしいことになる。
 他にも、能力が常時開放されたままとなるギアスの暴走が挙げられる。できれば使わないに越したことはない。
 ギアスは元々、謎の少女C.C.(シーツー)との契約によってもたらされた。思えばこの力を手にしてから俺のブリタニアへの反逆が始まったのだ。
「ねーねー。ルル、聞いてる?」
「魅ぃちゃん、少しそっとしといてあげようよ」
 レナが助け舟を出してくれる。さすがはレナ、よく気が利く。その点魅音は駄目だ。やつの空気の読めなさは咲世子の天然と同じくらい扱いに困る。
「ルルーシュくん本当に眠そうだよ」
「えー……。ん、仕方ないなあ……」
 魅音は不服そうだったが、レナに諭されて諦めてくれたようだ。
「レナ、恩に着る」
「どういたしましてかな。気分悪いの?」
「いや、少し眠いだけだ。今日早起きしたせいかも知れないな」
「そっか。じゃあ先生に気づかれないように寝るんだよ?」
「それについては問題ない。居眠りは俺の得意技だからな」
「ちょっとそれは自慢にならないと思うな、思うな」
「そうか?」
 レナは苦笑していたが、俺は至って真面目だった。

21 :
GJ!支援保守

22 :
保守

23 :

 俺は再び居眠りに入る前に、拗ねた魅音に声をかける。
「悪いな魅音。そういうわけだから授業中は少し静かにしてくれないか」
「はいはい。ふんだ、つまんねーやつぅ」
 魅音に恨まれると後が怖い。俺は魅音のご機嫌取りをしておくことにした。
「その代わりと言ってはなんだが、後でトランプを使ったブリタニアのゲームを教えてやる。ルールを覚えて放課後に皆でやると良い」
「あれ? ルル、おじさんたちが放課後何やってるか知ってたの?」
「ああ、まあな。いつも放課後の教室に残ってレナと沙都子と梨花を集めてゲームをやっているだろう?」
「うん。そだけどそうゆうことじゃなくて、どうして見てたの?」
「それは……」
 前にいた学園で生徒会のメンバーと似たように盛り上がったことがあった。その頃と魅音の部活が重なって見えたからなんて、恥ずかしくて言えないな……。
 だが、魅音は俺の心を見透かしたかのように一人納得したように言った。
「へぇ、そうなんだ〜。ルルって見た感じインドア派だし、もしかしたらとは思ってたんだけど……よし! ならさ、これからはルルも一緒に部活やろうよ!」
「え、あ、いや、俺は……」
 困ったな。俺には黒の騎士団があるし、ナナリーだって……。しかし黒の騎士団の活動はとりあえず今までのように藤堂に任せておけば心配は……ナナリーのほうも……。だが……。
 俺の中でゼロとしての自分とルルーシュ・ランペルージとしての自分が入り混じる。俺は自分が今どうしたいのか分からなくなっていた。
「もちろんナナちゃんも加えてさ。ねぇ、ナナちゃんはどう?」
 魅音は興奮した様子で隣にいるナナリーに聞く。
「はい、楽しそうですね。お邪魔じゃなければ皆さんと一緒に遊べたら楽しいと思います」
「邪魔なんかじゃないよ。レナもナナリーちゃんと一緒に部活したいな、したいな」
 俺たちの入部にレナが嬉しそうに賛成した。
「はいじゃあ二人とも入部決定!」
「ちょ、待っ! 俺はまだ入部するとは一度も――痛っ」
 抗議の途中で誰かに後頭部を叩かれる。
 振り返ると留美子が教科書を丸めて仁王立ちしていた。
「知恵、先生……」
「ルルーシュ君。授業中にお喋りはいけませんよ」
「え、あの、話を始めたのは私ではなく、」
 魅音なんですが。と言い終わる前に留美子の叱責を浴びる。
「言い訳しない! 授業中廊下に立ちますか?」
「いえ、すみませんでした……」
 こうして俺は留美子の邪魔により、魅音に食って掛かる絶好の機会を逃した。授業が終わると沙都子と梨花にも歓迎され、なし崩し的に魅音の部活に入部することになるのだった。


24 :

 最初の授業で私語を喋っていたのがいけなかったのか、午前中の授業はずっと留美子の眼が光っていた。俺は私語どころか居眠りさえ出来ない状況に陥っており、少し不機嫌な状態だった。
 ところが昼食の時間となるとそんな気分もすぐに吹き飛んだ。
 このクラスでも食事の時は各々のグループがある。学園の頃の俺はスザクたち生徒会のメンバーと食べていたが、この学校では魅音たちと食事を共にしている。
「「いっただきまーす!!」」
 魅音たちの声が教室に響く。なぜ教室中に響き渡るような大きな声で言うのか最初のうちは分からなかったが、もうなんとなくだが理解している。
 しかし生徒会で慣れているとはいえ、女の子が多いグループというのはどうしてこうかしましいのだろう。まあ、そんな賑やかさも今では心地良いと思っているのだが。
 おかずを入った弁当箱を中央に集めて皆で自由につつく。これも最初は抵抗があったが今では慣れた。
「あらルルーシュさん、余裕ですわね。箸が止まってますわよ?」
「沙都子、食事はゆっくり食べるものだろう」
「くくく、ルルはいつもそうやって余裕を気取ってるから腹三分目で食事を終えることになるわけだよ?」
「おーっほっほっほ! ざまあないですわね!」
「うるさい。俺は少食なんだよ」
「皆、仲良く食べようよ。そのほうが絶対おいしいんだよ、だよ」
 レナが仲裁に入ってその場を収める。
「……そうだな。レナの言う通りかもしれない」
 ここの食事は正直な話、学園のものより格段に質素だが、それを感じさせないのはきっと食事を皆で共有しているおかげなのだろうな。
「そうやってる話をうまく纏めているうちにボクが全部平らげてしまうのでした、ちゃんちゃん」
 脇で梨花が勝手なことを言っていたが、皆それからは仲良く昼食を済ませた。


25 :
支援さんくす。全然話が進まなくてすまん

26 :
>>25
今回もGJ!

27 :
保守

28 :
今ちょこちょこ書いてる。
やっと日常(ギャグパート)終了まで書き終わったが、非日常どうすっかな…。
鉄平の出し方で迷ってる。故に投下遅れるかも

29 :
>>28
wktk!

30 :

【3】
 午後の授業が終わり帰宅しようとしていると、両側からレナと魅音に腕を押さえつけられる。
「一体なんのつもりだ」
「あんたこそどこ行くつもり?」
「どこって、家に帰ろうとしていたに決まっているじゃないか」
「駄目だよ、ルルーシュくんは今日から一緒に部活やるんだよ、だよ」
 そういえばそんなことになっていたな。半ばなし崩し的に。
 聞く所によると、部活とは『複雑化する社会に対応するため、活動毎に提案されるさまざまな条件下、時には順境。あるいは逆境からいかにして脱出するかを模索すること』を目的にして魅音より発足されたスリリングかつシビアな部活動のことだそうだ。
 平たく言うと放課後にゲームをやってスコアを競い合う集まりらしい。
「授業中に約束したの忘れちゃったかな、かな?」
「約束はしてないが、そうだな。やってもいいぞ」
「ホント?!」
「さすがルル! そうこなくっちゃ!」
 レナと魅音の表情が嬉々としたものに変わる。
「ただし、一つだけ問題がある。分かっていると思うが、ナナリーはその、目が見えない。どうやって遊ぶんだ? その問題がクリアされない限り俺が入部に応じることはないぞ」
 仮に俺が楽しくてもナナリーがつまらないと感じているなら、魅音の部活には何の価値も見出せないからな。
 魅音たちがこの問題を解決できないのであれば、悪いが断ろうと思った。
「だったらルルがナナちゃんの目になれば良いじゃん」
「なんだと?」
「ルルが目で見た情報をナナちゃんに伝えて二人で協力すれば良いんだよ。おじさんたちは歴戦の兵だからね、ルルたちが協力すれば丁度良いゲームバランスになると思うよ」
 ふ、なるほど。そう来たか。
「面白い。ナナリーはそれでいいか?」
「はい、お兄様。それなら私も皆さんと遊べますね」
「なら決定でございますね。準備が出来たらすぐに始めましてよ!」
 沙都子はもう待ちきれないようだ。まったく、落ち着きのないやつ。
 その隣から梨花が魅音に訊ねた。
「みぃ、ところで今日は何をするのですか?」
「そうだねぇ。ジジ抜き……ってのはどう?」
「それはいいですわねぇ!」
 魅音と沙都子が不敵な笑みを浮かべる。開始早々嫌な予感した。
「頑張りましょうね、お兄様」
「ああ、そうだな」
 俺の杞憂であると良いのだが……。

31 :
GJ!保守

32 :
投下乙!今後の展開にも期待

33 :
支援さんくす。
ところで参考までに聞きたいのだが、2chスレ的にはラストはどんなオチが良いと思う?
構想の段階ではハッピーエンド・バッドエンド両方考えてはいるのだが。

34 :
>>33
2ch的というか自分の願望だけど両方投下して欲しい。
ま、一番は作者が決める事だとおも


35 :
>>33
遅レスながら、自分はハッピーエンド希望。

36 :
>>34>>35
放置ですまんかった。レス感謝。
両方投下はクオリティが心配なので止めておくよ。
とりあえずはハッピーエンドで考えとくことにする。この先どうなるかは分からんが。


37 :

 魅音がロッカーからトランプを取り出して戻ってきた。
「さて始めるよ。最初に言っておくけど、いい加減なプレイなんかしたら許さないんだからね?」
「愚問だな。当然やるからには必ず勝つ」
「おお、威勢が良いねぇ。でも果たして最後まで持つかな?」
 魅音が簡単にジジ抜きのルール説明を始める。
 どうやらジジ抜きは、ゲーム名こそ違うが俺の知っているゲームと同じもののようだ。基本手順はオールドメイド(※こちらではババ抜きと呼ばれる。)と同じ。
 違うのはジョーカーが入っていない代わりに最初に無作為にカードを一枚取り除いておくこと。
 つまり、その対になるカードがジョーカー代わりとなるのだ。とりあえずルール面で不利にはなることはないだろう。
「まずは一枚抜かないとね」
 山札からカードを抜き取ろうとする魅音の手を沙都子が止める。
「その前に、魅音さん。大切なことをお忘れになってましてよ?」
「ん、なんだっけ?」
「みぃ、今日の罰ゲームをまだ決めてないのです」
「あ、そうか。おじさんとしたことがすっかり忘れてたよ。いや、失敬」
「待て、罰ゲームとは何だ」
「罰ゲームは罰ゲームなんだよ」
 不思議に思う俺にレナは当たり前のことを言う。いや、そうじゃなく。
 要領を得ない言葉を返したレナの代わりに沙都子と梨花が答えてくれた。
「罰ゲームというのは、これから行うジジ抜きの総合のスコアが一番低い人に与えられるものでしてよ。いつも前もって決めて置きますのよ」
「先に楽しみが決めておかないと決着がついたと時もめますし、楽しみも半減なのですよ」
「ふん、なるほどな」
 俺が納得したのを確認すると、魅音は罰ゲームの内容を発表した。
「じゃあ、今日の罰ゲームはビリが一つだけ勝者の命令を聞くこと。これでおーけい?」
 まるでギアス能力だなと内心苦笑。
「ああ、俺は別に構わないが。ナナリーはどうだ?」
「私もそれでいいと思います」
 ナナリーが罰ゲームの内容を了承し、残りの三人も異議はないようだ。
「よし。それじゃ気を取り直して一枚抜くよ」
 魅音が山札からカードを一枚抜き、裏返しのまま机の中央に置いたカードケースにしまった。皆はそのカードをじっと凝視している。
「フッ、そんなに見ても伏せたカードは透けて来ないだろう?」
 冗談で言ったつもりだったのだが、俺とナナリーを除く皆は真剣そのもので、カードの裏面を見るのを止めようとしなかった。
 まるで、そうすれば本当に伏せられたカードの中身が分かるような……。
「はは……まさか、な」
「どうかしましたか、お兄様?」
 ナナリーが不思議そうに首を傾げる。目の不自由なナナリーには眼前で繰り広げられている奇妙な情景が見えないのだ。
「いや、何でもないよ」
 そう言いながら、俺はぎこちない笑顔を浮かべる。
 よく見ると、このトランプはかなりの傷物。皆がその傷を見分けてカードを識別している可能性は決して少なくないだろうな。
「じゃあ最初はルルから。時計回りに引いてって」
「分かった。ナナリー、隣にレナがいるから一枚引いてくれないか」
 こうなったら仕方がない。自分が取れる最善を行うしかないな。
「はい、分かりました。えっと……」
 ナナリーが手探りでレナの手札からカードを引き抜く。
 これが俺たちの始めての部活。もしかしたら、ここが俺のターニングポイントだったのかもしれない。

38 :

 案の定、魅音たちはカードを見分けていた。
 俺も少しずつカードを覚えていたのだが、最後まで魅音たちの暗記総量に追いつくことはなかった。結果、俺とナナリーはビリとなり、罰ゲームを受ける運びとなった。
 後もう少しカードを覚える暇があったなら、今まで覚えたカードからカード毎のジジである確率を割り出すことも可能だったのだが……。
「お兄様、負けてしまいましたね」
「そうだな、俺たちの負けだ。だがナナリーはよくやったさ」
 頭を撫でてやると、ナナリーは恥ずかしそうに俯き呟くように言った。
「お、お兄様。……皆さんが見ています……」
「ふっ。そうだったな、すまん」
 可愛いやつだ。ナナリーにはまだまだ俺がいてやらないと駄目だな。
「――それで、魅音。罰ゲームとやらはなんだ?」
 俺は足を組み、余裕を気取りながら勝者の魅音に聞いた。
「おお、殊勝だねルル。てっきり『こんな不公平な勝負は無効だ』と突っかかってくると思ったのに」
「ふん、勝負というものは元々公平なものなどではないからな。知力、経験、備え。いつでもこの三つを他より持っている人間が勝つ。
今回は俺たちの側に経験と備えが足りなかった、ただそれだけのこと。文句なんか何もないさ」
「ふーん、さすがルル。でもいくら殊勝でも罰ゲームは受けてもらうからね。勝者はおじさんだから、おじさんの命令を一個聞いてもらうよ?」
「いいだろう。受けよう、その罰ゲーム!」
「梨花、聞きました? 命知らずですわねー」
「なのですよー☆」
「さあ、それはどうかな?」
 余裕を保つ俺の傍らでレナが心配そうな顔をした。
「本当にいいの? 今回ぐらいは頼めば魅ぃちゃんも罰ゲームを免除してくれると思うよ?」
「心配は無用だ。こういうのには慣れているからな」 
 ふん、所詮は学校の部活。罰ゲームと言っても顔に落書きしたり、かばん持ちをさせられたり、その程度だろう。
 魅音程度が常日頃からミレイ会長に鍛えられた俺を苦しませることなどできるわけがないのが道理。
「じゃあはいこれ」
 魅音がロッカーをまさぐった後、振り返る。
 魅音の手には純白の薄い布。魅音はそれを俺に放り投げる。受け取るとふわりと軽かった。
「ん……なんだこれは?」
「何って、分かんない? ウェディングドレス」
 なるほど、広げてみるとたしかにそれだ。
「ふむ。それでこれをどうするつもりだ魅音?」
「何カマトトぶってるの。着るんだよ」
「……ああ、なるほど。ナナリーが」
「いや、そろそろ現実を見ようよ。ルルが着るんだよ」
「……ふむ」
 数秒思案した結果、俺は教室を飛び出して脱兎の如く逃走を開始した。
「あっルルーシュさんが逃げましたわ!」
「な、何ぃ?! 追えーっ、絶対に逃がすな捕まえろー!!」
 俺が抜け出た教室では魅音が何やらわめき散らしているようだが、知ったことか。

39 :
投下乙!
ルルーシュの体力だと逃げ切れそうにもないなw

40 :
GJ!投下乙!
でも最後が切れてるのはワザと?

41 :
>>30
ルルーシュは圭一より体力ないんだろうなと思う。
俺の中だと完全にヘタレですw
>>40
「知ったことか」の前の読点だったらフィーリングで打ったからさして意味はない。
つか、正直読点の遣い方をよく知らないんだw
コメサンクス。
次は投下分の半分ほど書けたら投下するよ。

42 :
>>41
読点じゃなくてレスの最期だよ

43 :
>>41
ごめん
専ブラのせいだった

44 :

「……やってられるか」
 あんなおぞましい物を俺に着せようなんて、魅音の冗談も大概にしろと言いたい。そもそもこんな山奥の廃村で、何故ウェディングドレスなどこうも気軽に出てくる? ありえん。
 いや、今回は完全に俺の誤算だ。あんな衣装が出てきたのも、魅音にああいうコスチュームプレイの趣味があったこともすべて。だがミレイ会長と並ぶ異常性癖の持ち主が、まさか同じ時代にこの世に生を受けているとはいくら神でも思わないだろう。
 何にせよ、あんなものを着せられたら俺が終わる。今まで俺が築き上げてきた地位が足元から瓦解する! なんとしても今日を逃げ切らねば……。
「ヘイ、少年」
「おわっ! み、魅音?!」
 いつの間にか魅音に追いついつかれていたようだ。俺は彼女と並走する形で廊下を走る。
「息荒いけどどったの? まさかこれが全力疾走なわけ?」
「……う、うるさい!」
 くそっ、こいつの身体能力はスザク級か!
 魅音は喋りながら走っているというのに息一つ乱してはいない。それに比べて俺の限界は近い。もって後5分……いや、自分に嘘はつけないな。後5秒だ……それまでに何か手を打たなければ。
 俺の横から半ば呆れるように魅音が言った。
「まったく、都会のもやしっ子はこれだからなぁ。ほらほら、もう捕まえちゃうよぉ?」
「そうは、させるか!」
 俺は急に方向転換し、脇の空き部屋に逃げ込む。もはやあの手しかない。
 一方魅音は入り口付近で立ち止まると、そこで不敵な笑いを浮かべた。
 それはなぜか。この部屋には出入口が一つしかなく、加えて人の通れるほどの窓がただ一つもないからだ。俺は実質、袋の鼠になったわけである。
「くっくっく、追いかけっこはもうおしまい?」
「はぁ……はぁ………ふぅ……」
 魅音の動きに気をつけ、間合いを開けながら肩で息をする。その間魅音は襲いかかってくることはなかったが、それがやつの驕りだった。
「ふ、ははは」
 俺は呼吸を整え終えると魅音に笑い返す。
「あれ、もしかして追い詰められてどうにかなっちゃった?」
「ふん……。どうにもなっちゃいないさ」
 俺の余裕な様子に魅音は怪訝な顔をした。
「じゃあ、どうしてなのさ」
 さすがは魅音、俺の態度から何かを感じ取ったようだ。瞳に警戒心がありありと映っている。
 だがそれも無駄なことだ。
「そうだな、お前には俺が何故笑っているのか教えてやろう。……身をもってな!」
 空き部屋の隅にあるワイヤーを思いっきり引き抜く。その瞬間部屋中に煙幕が充満し、魅音の周囲でカンシャク玉が爆発する。
「ふぇぇっ?! 何々?!」
 魅音は突然の事態にパニックを起こしている模様。
 続いて視界を遮られた魅音の頭上に金ダライ十連トラップが襲い掛かり、それと時を同じくして動揺した彼女の足首に足枷がなされる。
 突如現れた足枷が魅音に回避行動を許さず、全ての金ダライは彼女の頭に吸い寄せられるように直撃した。連続した金属音が辺りに鳴り響いた後、魅音はようやく気絶し、その場に倒れた。
「ふはは……。やれる、やれるじゃないか」 
 魅音を襲った一見ポルターガイストのような怪現象はトラップによるもの。だが使用者は沙都子じゃない、俺だ。
 無論、俺が沙都子の真似をしてトラップを作っても今の10%の効果も得られない。だが、沙都子のトラップをそのまま拝借すればこの通りだ。
 今俺は沙都子のトラップを利用し、彼女と同等もしくはそれ以上の戦果を出すことに成功したのだ。
 俺は倒れた魅音を横目で見ながら、軽い足取りでその脇を通って空き部屋を出た。

45 :

 廊下に出ると沙都子とばったりと出くわした。沙都子は空き部屋の惨状を見て、悲鳴に近い声を上げた。
「あーっ、やっぱり! どうして許可なく私のトラップを勝手に使いますのー?!」
「ああ、すまない。ちょっと借りた」
「むがーっ、よくもぬけぬけとぉ! 許しませんでしてよルルーシュさん! これでも食らいあそばせ!」
 沙都子が天井から下がっているワイアーを引き抜くと、彼女を避けて前方からペットボトルロケットが数発発射される。
「ぬるい! そんな直情的なトラップで!」
 一時後退し、魅音の倒れている空き部屋に避難する。
 本来ならここで、空き部屋にあるトラップを使ってターゲットを追い詰めるのだろうが、すでにその場にあるトラップは俺の使用済み。攻撃能力は完全に消失しており、危険は蚊ほどもない。
「くぅ、ちょこまかとぉ」
 俺は空き部屋から顔を出し、苦虫を噛み潰したような顔をした沙都子に言ってやる。
「お前に一つ教えてやろう」
「な、なんですの……?」
「沙都子。トラップのないお前など、ただの似非お嬢に過ぎないんだよ」
「ル、ルルーシュさんの馬鹿ぁ! 似非じゃないもん似非じゃないもん! わぁぁぁん!」
 沙都子は痛い所を疲れたらしく、声を出して泣き始めた。
 勝った!
 俺は戦意を喪失した沙都子の脇を通って玄関に向かう。少し可哀相だと思ったが、自分のプライドの方が大事だ。悪いな、沙都子。
 玄関には梨花が待ち受けていた。想定していただけに動揺はない。
「ふん、次はお前か」
「なのですよ。そしてルルーシュ、学校から脱出するには靴が必要というその行儀の良さが貴方の命取りとなるのですよ、にぱにぱ」
「ふっ、果たしてそうかな。魅音と沙都子はもう葬った。お前一人に何が出来る?」
「一人じゃないのですよ。レナ?」
 梨花の視線の先にレナを発見する。
「そうか、レナがいたか」
「は、はぅぅ……」
 レナは下駄箱の影に半身を隠して俺を窺っている。
「レナも俺を捕まえようとしているのか?」
 ふるふるとレナは顔を横に振った。なるほど、レナは敵ではないようだ。
「梨花ちゃん、もう許して上げようよ。たしかに罰ゲームが決まってから逃げるのは褒められたことじゃないけど、いかさまジジ抜きを使った私たちも悪いよ。ね?」
「みぃ。それは本心なのですか?」
「え?」
 レナがきょとんとする。
「本当にレナはルルーシュの花嫁さん姿を見たくはないのですか?」
「は、はぅ……」
 まずい、なにやら雲行きが怪しくなってきた気が……。
「はぅ……お嫁さん……いいよぅ本当いいよぅ、はぅぅ……」
「よせレナ! 梨花の怪しげな言葉に惑わされるな!」
「みぃ、怪しげとは失礼なのです。さあレナ、早くルルーシュを捕まえるのです」
「う、うん……。でもルルーシュくんにも人権があるし……うーん」
 助かった。まだ今のレナにも僅かに理性というものが存在しているようだ。
「そうだレナ、いいぞ。自分がされて嫌なことは人にやってはいけない、それは分かるな?」
 レナは俺の言葉を聞き、ハッと我に返った。
「はぅ、もちろんなんだよ!」
「それでいい。偉いぞレナ」
 説得に成功し、俺は胸を撫で下ろした。
「ボクの完璧なレナ繰りがやぶれるなんて、くそーなのです……」
 ついに梨花も負けを認めて床に崩れ去った。
 ふっ、詰めが甘いな。梨花を見下ろし、ほくそ笑む。
 魅音、沙都子に続き、梨花も無力化した。これでもはや俺に立ちふさがる敵勢力はいない。安心してナナリーを迎えにいけるというものだ。
「レナ、ナナリーを連れて一緒に帰ろう」
「え、魅ぃちゃんたちはどうするの?」
「ほうっておけばいいさ。勝手に立ち直って帰宅するだろ」
「そういえばそうだね! ほうっておこ!」
 自分から言い出しておいて『なかなかレナも酷いやつだな』と勝手なことを思う俺だった。

46 :
GJwww乙!

47 :
どうも、乙です
私の、「ルルーシュが、雛見沢にスザクと飛ばされました。」が復活しました
見てくれたら助かります

48 :
>>45
GJ!一レスの文字数を減らすた方がいいと思う

49 :
スマン、仕事とうみねこで忙しくてすっかり忘れてたwww
ま、あんまり見てくれている人がいないっぽいのが救いか…
>>48
これでも一レスの文字数減らしているんだがな…。
2ch使いづれぇ…OTL
うpはも少し待って。

50 :
>>49
待ってるよ〜

51 :
>>49
切るところは例えば≫45なら「玄関には梨花が待ち構えていた」ぐらいかな
連レススマソ

52 :
じゃあ出来る限り文字数減らして投下しますか。
仕事で更新遅くなるがスマン

53 :
【4】
 魅音らとの戦いが終わり、教室へと凱旋する。
 そこには一人置いてけぼりにされた可哀相なナナリーがいた。
「ナナリー。ごめんな、待たせた」
「あ、お兄様。私は平気ですけど、お兄様が逃げ出して皆さん怒ってましたよ?」
「そうだな。だいぶ手間取ったよ」
「魅音さんたちはどうしたのですか?」
「ああ、説得したらちゃんと聞き入れてくれて先に帰ったみたいだな。だから罰ゲームはなしだよ」
「え、本当ですか?」
「ああ、本当さ。嘘はつかないよ。ナナリー、お前だけには」
 そっと頭を撫でてやると、ナナリーは少しくすぐったそうに微笑を浮かべた。
「そうですか。でも私、本当は少し罰ゲームを受けてみたかったです」
「ふっ、馬鹿なことを言うな。しかし、お前の花嫁姿なら俺も見てみたい気もするがな」
「ふふ、私はお兄様のウェディングドレス姿のほうが見たいです。ああ、そういえばこんなのがありましたね」
「ん、なんだ?」
 ナナリーはさもおかしそうにクスクス笑いながら、自分の手帳に挟まった一枚の写真を取り出した。
 俺はその写真を見て動揺する。そこにはなんと俺の女装姿がはっきりと写っているではないか。
「ば、馬鹿な! なぜお前がそんなものを?!」
「ふふ、ミレイさんにもらったんです。目が見えるようになったらお兄様の女装姿を最初に見てあげなさいって」
「くそ、忌々しい会長め……まあいい。とにかくそれを俺に返してくれ」
「ふふ、駄目です。……あっ」
 ナナリーから問題の写真を強引に奪い取る。
「フッ、許せナナリー。この写真は存在することすら許されない下劣で低俗なものだ。破いて燃やしてしまわなければならないのだよ」
 ひょいと、今度は俺の手から写真が奪い去られる。
「な゛っ……!」
 振り返ると、眼を怪しく輝かせながら俺の写真を凝視するレナの姿があった……。

54 :

「はぅぅぅ……ルルーシュくん女装……お嫁さん……お持ち帰り……」
 レナから妙なオーラが噴出している。本格的にまずい状況である。俺は再び敵性勢力へと変貌しつつあるレナの説得を試みた。
「ま、待てレナ! 自分がされて嫌なことは人にやってはいけない、そうだろう?!」
「そうだね、その通りだよルルーシュくん」
「そうだろう、ならばその写真を俺に返却し、もう今日は帰路に着こうじゃないか! ああ、それが一番いい!」
 レナは分かってくれた。……そのはずなのに、レナは少しずつ俺に対して間合いを詰めながら写真を胸ポケットに大切そうに仕舞い込んだ。
 あああ、なんて恐ろしい捕食者の眼。
 食われる。俺は本気でそう思った。それでも矮小なる被食者である俺には説得を続けるほか手はなかった。
「れ、レナ……俺の言っていることが分かるだろう?」
 レナが間合いを詰めるのに合わせて後ろに後退する。
「うん、ルルーシュくんの言いたいことは分かるよ。でもね、ルルーシュくん。レナは思うんだ」
「な、にを……」
「自分がされて嫌なことは人にやってはいけないよね。でも、自分がされて嬉しいことは率先して人にやっていくべきなんだよ」
「は、はは、それは良い心がけだ。本当に素晴らしいな……いや、ちょっと待て! おそらくそれは違うっ、間違っているぞ竜宮レナ!」
 だがレナは待たない。
 間合いは完全に詰められ、後に下がろうにも背後にはもう黒板が迫っている。絶体絶命の大ピンチ。
 咄嗟に廊下に面した左側へと逃げる。ナナリーに構っている時間はない。俺は一人教室の出入口へと駆けた。
 だが出入口に到達することなく、俺の身体は床に倒れこんだ。
「あはははは。逃がさないんだよ、だよ」
「れ、レナ……一体何、を……」
 首筋に鋭い痛みが走る。
 そうか、俺はレナに攻撃されて……。
「レナはウェディングドレスを着て花嫁さんになりたいよ。だからね、今日はルルーシュくんに着せてあげるの。あはははは。お持ち帰りなんだよ、ルルーシュくん」
 そんなレナの言い分を聞きながら、俺の意識は闇へと転がり落ちていった……。

55 :
GJ!
ルルーシュwww

56 :
保守

57 :
すいません、アドバイスお願いします
どうすれば、そんなに、文章うまくなるんでしょうか?
同じようなもの書いているのがいけないのでしょうか?

58 :
一度見てもらえますか?
「ルルーシュが、雛見沢にスザクと飛ばされました」
です。宜しくお願いします

59 :
>>57
お褒めの言葉、ありがとう。
感謝しるしに批評まがいのレスを一つ。
自分がうまいとは思わないけど、それなりに書けるようになるにはやっぱり慣れが必要だと思う。
あのストーリーの進め方だが、全体的に急ぎすぎな気がしなくもないな。
2chとかだと人気なト書きだが、シリアス展開を書くには若干不向き。
それとルルーシュらしさを出すためには心理描写を多く取り入れるべきなのだが、ここでもト書きは相性悪いんだよな。
(ただ地の文(会話文以外)を取り入れると、読み手が読むのが面倒と感じる節があるので考えものだが。)
所々に、情景を会話文で説明しようとする傾向が見られるな。
会話文での情景描写は必要最低限でとどめたほうが良い。おそらく読み手は説明口調が目に付いているはずだ。
ト書きにおいて、会話文を説明口調にするぐらいなら情景描写は止めといたほうが良いと思う。
ついでに言うと、ここに直書きではなく一度メモ帳などに書き込んで誤字とかチェックするといいよ。
以上

多分次のうpはあさってぐらいに出来るかな……。



60 :
有難う御座いました!
今後の参考にさせていただきます・・・・と言っても
そろそろ終わりですけどね(TAT)
オマケで頑張ってみますよ

61 :
>>59
半裸でまっとく

62 :
「……ん、ここは……?」
 俺は意識を取り戻し、薄っすらと目を開けた。視界が白くぼやけてまだよく見えない。
 机に寝かされているのだろうか。背中がひんやりと心地良い。
 視線の先に魅音が映った。魅音が俺を微妙な表情で見下ろしている。
「……魅音?」
「ルル、あんた……」
 魅音は手を口元に当て、呆然とこちらを窺っている。
「なんだ、俺がどうかし……ん?」
 何気なく両の手を見ると、自分が手袋を着用している現状に気がつく。
 白い手袋。よく見ると全体的に服装が白い気がする、が……ま、まさか。
 俺は自分自身に降りかかった災いを思い出して青くなった。
「沙都子、それを貸せ……」
「あっ」
 机から起き上がると、近くにいた沙都子の持つ手鏡を強引に奪い取る。
「ぐっ……!」
 鏡を見て俺はさらに青くなった。
 そこには口に出すのもおぞましい姿の俺がいたのだ。
 

63 :

 ナナリーを除く女性陣は何が良いのか、俺を眺めて感嘆の息を漏らしている。
「ルル、あんたすごいよ……」
「はぅぅ、ルルーシュくん本当に綺麗なんだよ、だよ」
「ですわね。女装姿をからかってやろうと思ってたのでございますが、これは……」
「レナがお持ち帰りを躊躇するほど綺麗なのですよ」
 褒められているのだろうが全然嬉しくない……。
「あのさ、ルル」
「……なんだ。先に言っておくが慰めは不要だぞ」
 慰めの言葉などかけられたら、自分が余計惨めに思えてくるからな。
「いや、そうじゃなくてさ。あんた、その花嫁姿で来春のミス雛見沢コンテスト出なよ……私ら差し置いて絶対優勝するから」
「冗談言うな……」
「いや本気なんだけど」
「尚更止めてくれ……」
 来春は強制的に出場させられるのだろうか……。ありえるから怖い。
「ふふ、たしかにお兄様なら優勝出来そうですね」
 と罰ゲームのメンズスーツを身に纏ったナナリー。
「く、お前までそんなことを……」
 兄の威厳もあったものではない。
 俺はすべての元凶である魅音をキッと睨みつけた。
「魅音、そろそろ良いだろう。俺は罰ゲームとして十分な屈辱を受けた。もう着替えさせてもらう」
「へぇ、敗者が勝手に罰ゲームの期間を決めちゃうんだ?」
「貴様! これ以上何をさせるつもりだ?!」
 魅音が嫌らしい笑みを浮かべながら言った。
「帰宅するまでその格好でいてもらう」
「な、何だと?! この格好で家まで? 馬鹿を言うな!」
「ふーん、そっかぁ」
 魅音は俺がそういう反応を示すことが分かっていたようで、腹立たしいことに馬鹿にした表情で続けた。
「やっぱりブリタニアの坊ちゃんには難しかったね。はいはい、もう止めていいよ。でも残念だなあ、ルルはもっと骨のあるやつだと思ってたんだけどなあ?」
「ぐっ、貴様…………いいだろう! やってやる、やってやるぞ!」
「おーっ、さすがルル! おじさんの眼はやはり正しかったよ、くっくっく!」
 魅音が尚嫌らしい笑みを浮べたまま、俺に拍手で賛辞を送ってくる。
 馬鹿にされたままは癪だったのでつい売り言葉に買い言葉で乗ってしまったが、これで本当によかったんだろうか……。

64 :
面白いけどwww話進まんwww

65 :
>>64
すまんw俺も実は書いてて苦痛だったw
けど逆パートすっ飛ばして即惨劇だとひぐらしらしくないと思ってな。
もうすぐ非日常入るんで我慢してくれると嬉しい

66 :
>>65
wktk

67 :
gj!
おもしろかった

68 :
なんという良スレ・・・スレタイをみただけでワクワクしてしまった・・・

69 :
 罰ゲーム衣装のままの下校。
 俺は学校を出るとナナリーをレナに任せて、村人に見られないようレナや魅音の影に隠れながら、夕暮れ刻の帰り道を歩いた。
 木陰が人に見え、びくついた所を魅音に笑われる。屈辱だ。
 たしかに自分でも格好が悪いと思うが、魅音は少し人の気持ちとかを考えたほうがいい。さもないと、いずれ些細な事象から惨劇へと発展しかねない。
 水車小屋で魅音と別れ、やっと冷やかす人間がいなくなりせいせいする。
 しばらくしてレナとの分かれ道に差し掛かる。ここまで来れば家まで後半分といった所だ。
 レナは去り際に『魅ぃちゃんのことを許してやってね』と申し訳なさそうに言っていた。レナがそんな顔をする必要はないのに……。
 レナという少女は本当に良いやつだ。俺はすっかり彼女に毒気を抜かれてしまったようだ。
 ……そうだな、魅音だって同じリスクを背負っていた。引き返すチャンスも与えてくれた。だから恨むのはお門違いだよな。
 ナナリーと一緒に軽く手を振って笑顔でレナを見送る。
 騒がしい仲間がいなくなり、ナナリーと二人きりとなった。
「お兄様、今日は楽しかったですね」
「そうだな。たまには良いかもしれない……が、もうこの衣装は勘弁願いたいな」
「ふふ、私の目が見えるようになったらまた着てくださいね」
「それは駄目だ。せっかく治ったナナリーの目が潰れてしまう」
「そんなことないですよ、ふふふ」
 ナナリーは口元に手を当てて、さもおかしそうに笑った。
「おいおい、笑いすぎだ」
「だって、お兄様が。くすくす」
 ころころと笑うナナリーに感化されて俺も笑ってしまう。
 こんなに日常がいつまでも続くと良いのに……俺は切にそう思った。
 笑いが一段落着いた頃、ようやく雛見沢の我が家に到着した。

70 :

 誰にも見られずに家に到着できたことで気が緩み、咲世子の存在をすっかり失念していた。玄関に入った所で彼女と遭遇、痴態を見られてしまった。こんなケアレスミスをするとは今日の俺はどうかしている。
 だがもう階段を上がりきり、俺の部屋の前。これ以上の恥の上塗りはないはずだ。
 そういえば、なぜか咲世子がしつこく俺を一階に引き止めようとしていたな。鼻血を出していたが大丈夫だろうか。
「……いや。人の心配よりまずは自分だな」
 自室の引き戸を開ける。
 ふはは、これでこの衣装ともおさらばというものだ。
「おい、遅かったなルルーシュ」
「なっ……C.C.(シーツー)?!」
 誰もいないはずの扉の向こうにはC.C.の姿があった。想定外の事態に目が点になる。
「お、お前がどうしてここにいるっ?!」
「お前こそどうしたんだ? その格好は」
 C.C.はこれ見よがしにあざ笑う。
 やつは俺の布団を勝手に敷き、その上に寝転がりながらピザを食べていた。

71 :
支援サンクス。
不定期だけど生きてます。

72 :
C.C.の登場でワクワクしっぱなしですwww

73 :
続き楽しみ

74 :
>>72>>73
支援サンクス。
お前らがいる限り書き続けるぜ

75 :


 C.C.の我が物顔でくつろいでいる様に腹が立って仕方がない。
「そんなことはどうでもいい、答えろ!」
 俺はウィッグと手袋を外し、怒りに任せてC.C.に向かって投げつけた。ところがやつはだらけきった姿勢にも関わらず華麗に避けた。
「お前からここの暮らしを耳にして少し興味がわいた、じゃ理由としては薄いか? ……んぐんぐ」
 とピザを一ピース飲み込みながらやつは答える。その態度にさらに怒りが増大した。
「そういうことではない!」
「おいおい、いいのか? 日本家屋は音を良く通すのだがな」
「……っ!」
 階下にナナリーたちがいることを思い出し、声量を抑えて言った。
「お前にはゼロの影武者を任せていたはずだ」
「分かってるさ、私も馬鹿じゃない。代理を立てておいたから安心しろ」
「そうか、ならいい。…………いや待て。一体誰に代役を頼んだ?」
「玉城だ」
「はぁっ?! 玉城だと?! よりにもよって?! 今すぐ東京租界へ帰れ、この馬鹿!」
 玉城とはレジスタンス時代のカレンの仲間だ。カレンと共に黒の騎士団に入団してきたが、リヴァルを100倍に濃縮したようなお調子者でよく作戦でへまをして騎士団全体に迷惑をかける。まったくもって厄介この上ない人間だ。
 あいつにゼロをやらせようものなら、最速三日で黒の騎士団は解散を余儀なくされるに違いない。
「なぜだ? 玉城なら面白がってやってくれているぞ」
 C.C.は不思議そうに首を傾げる。コイツ本当に分かってないぞ……。
「面白がってやっているからまずいんだよ!」
「ルルーシュ、落ち着け。また声が大きくなっているぞ」
「……っ! とにかくすぐに租界に戻ってくれ」
「嫌だと言ったら?」
「お前……!」
 C.C.は俺をからかい満足したのか、ケタケタと笑いながら布団から出た。
「しょうがないな。まったく、お前は私がいないと何も出来ないのだな」
「ぐっ……」
 俺は今にも堪忍袋の尾が切れそうだったがどうにか我慢した。

76 :

「さて、では従順な私は素直に租界に戻るとしよう。ここは居心地は良いのだがピザの調達が難しいんだ。じゃあな」
「ああ、早く行ってしまえ!」
 C.C.はわざと俺の神経を逆撫でするような言葉を残し、部屋を出て行く。なんて女だ。
「そうだ、ルルーシュ」
 そして罰ゲーム衣装を脱ぎ捨て私服に着替え終えた頃、C.C.が部屋に舞い戻ってきた。何事もなかったように戻って来れるコイツの無神経さが分からない。
「何か忘れ物か、C.C.?」
「ああ、お前に一つ伝えたいことがあってな」
「そうか。だが俺はもう大分腸が煮えくり返っているのだが?」
「まあそう言うな。お前にとって有益な情報だ」
「言ってみろ」
 これでまた冗談でも口にしようものなら、俺はコイツを殴ってしまうかもしれない。
 C.C.は急に真顔になって押し黙った。
「どうした?」
 俺が先を促すと、しばらくしてC.C.は重い口を開いた。
「……この村に私と同等の存在が居る」
「それはどういうことだ?」
「私と同じく他者にギアスを発現させる存在が居ると言ったほうがいいだろうか」
 そんな大事なことを今頃になってこいつは……。
「なぜ黙っていた?」
「そう睨むな。黙っていたわけじゃない。ただ、最近知り得た情報なだけだ」
 だろうな。コイツは俺の共犯者だ。俺に害のある隠し事などするはずがないし、する必要がない。
「そうか、それで?」
「そいつの名はO.O.(オーツー)。別段そいつ自体が危険というわけではないが、ギアス能力者のほうは分からない」
「つまり、ギアス能力者が敵として現れるかもしれないから気をつけろということか」
「そういうことだ。話が早くて助かる」
「分かった、十分気をつけよう」
「ああ、簡単に殺されてくれるなよ。お前に死んでもらっては私が困るからな」
 そう言うと今度こそ本当にC.C.は帰っていった。
「この村にギアス能力者か……」
 自分以外の能力者は今のところマオしか出会っていない。最悪のケースしかないというのはつらいな。
 R頭にギアス戦になるという可能性も十分考えておくべきだろう。

77 :
O2って、オヤシロ様=羽入のことかな

78 :
OOishiだろ

79 :
黒幕だった鷹野の場合もありえる。
そして、支援age

80 :
>>77>>78>>79
レスありがとう。
だがギアスユーザーたちについてはノーコメントでw
大体予想がつくと思うけどな
ちょっと続きは待ってくれ。
書けてはいるんだが、後々の展開に齟齬が出ないように考え中なんだ。

81 :
頑張れ!応援してる。
なんか結構いい感じだから期待。

82 :
【5】
 朝、小鳥のさえずりを聞きながら目が覚めた。
 頭がずっしりと重く感じる。起き上がろうとすると身体もだるい。
 昨日やけにミスが多いと思っていたら、風邪をひいていたようだ。
 日本では夏風邪をひくのは馬鹿だと言われているらしい。次に学校に行った時を思うと気が重い。またそれをネタに魅音にからかわれるんだろうな。
 自分で言うのもなんだが俺は体があまり強くない。スザクまでとはいかぬまでも、少しは身体を鍛えたいとは思っているのだが……いつも長続きしないのは何故だ?
 無論俺がヘタレだからという回答は却下だ。俺はそんな軟弱ではない。
「医者に行くべきか……だが面倒だな……」
 しかしこのまま寝ていても、俺の治癒能力では完全回復までに時間がかかりそうだ。やはり素直に医者に行って薬をもらって来るとしよう。
 雛見沢には、租界から離れたゲットー地域にも関わらず高度な医療施設があったはずだ。確か入江診療所。場所は……大丈夫。雛見沢の地形はすでに頭に入っている。
 隣の部屋に行き、ナナリーに声をかけてから出かけることにした。
「ナナリー、すまない。どうやら風邪を引いてしまったようだ」
「お兄様。まあ、大丈夫なのですか?」
「ああ、風邪気味なだけだよ。少し休めば平気なはずだ」
 ナナリーに対して見栄を張る自分がおかしくて苦笑する。
「そういう訳だから今日俺は大事をとって学校を休むが、お前はどうする?」
「では私も休みます。私だけ学校に行って楽しんではお兄様に悪いですから」
「はは、そんな気遣いは不要だよ。行って来い、咲世子さんに送ってもらうよう頼んでおこう」
「そうですか。では安静にしていてくださいね」
「ああ、そうしよう」
 ナナリーの部屋を出て階下へ向かう。キッチンで朝食を作っている咲世子に声をかけて家を出た。 

83 :

 入江診療所に到着する頃には、俺の病状は著しく悪化していた。
 だいぶ息が荒くなっている。こんなことなら無理せず咲世子に付き添ってもらえばよかったかもしれない。自分の軟な体が憎い。
 扉を倒れ込むようにして押し開け、診療所内に入る。
 内部は租界のと比べるとそんなに大きくはなかったが、ゲットーにある医療施設としては立派過ぎるくらい清潔そうだった。
 日本人相手にどこで利益を出しているのだろうか、とどうでもいいことを不思議に思ってしまう。風邪のせいだな。
 待合室で自分の番を待っていると、自分の名が呼ばれた。席を立ち、診察室に入る。室内で待っていた医者は入江だった。
「お久しぶりですね。今日はどうされました、ランペルージさん?」
 入江はうちの学校の保険医も兼任しているのでお互いに良く知っていたが、世間話などしたくはないし、今は無駄な動作を取れる健康状態ではないので質問に応えるのみに抑えることにする。
「はい。熱があって体がだるいのですが、風邪でしょうか」
「そうですねー。とりあえず脈を取りましょうか」
「はい」
 手を入江に差し出す。
「うーん、すべすべのお肌ですねー……ハアハア」
 こういう変なところがなければいかにも好青年なのに惜しい男だ。
「ちょっと、先生。ちゃんと診断してください」
「そんな、心外ですね。ちゃんとやっています。では次はこちらの検査着に着替えてください」
「もろメイド服じゃないですか」
「あれ、ばれちゃいました?」
「時間の無駄しました。失礼します」
 席を立とうとすると慌てて入江が制した。
「わ、待ってください、冗談ですよ! 診察は真面目にやってますから!」
「ならいいのですが、今度ふざけたら本当に帰らせてもらいますから」
「分かりました、分かりました。もう言いませんよ」
 入江が苦笑した。苦笑したいのはこっちのほうだ。
 触診をされた後、俺は入江から体温計を受け取り熱を測った。
「で、診察の結果はどうですか」
「んー、風邪ですね。薬出しておきますので食後30分に飲んで、それからがっつり寝てください」
「分かりました。では失礼します」
 無駄にとどまるとロクなことがなさそうなので、俺は素早く席を立って診察室を出た。

84 :
ルルーシュだけじゃなくて生徒会メンバー全員を雛見沢に移住させたいな
シャーリーは魅音と詩音と恋バナで仲良くなって、
レナはなんかスザクとアーサーと仲良くなりそう。

85 :
なんか東京とキョウトがつながってそうですね

86 :
期待
でもいつもの事ながら一度の投下量が少な過ぎるんだぜ・・・

87 :
投稿ペースは読み手にあわせているつもりだったんだが。
自分の都合ももちろんあるが、あまり一回の分量増やすと読む気なくすと思ってな。
まだ書き溜めてあるから一気に投稿することも出来るが、物語が破綻する可能性が若干増える。
それでも良いんだったら投稿量増やすよ。


88 :
>>87
書き手の投下しやすいペースで良いとおもったんだけど。
流石に2レスはどうかな・・・
長くても良いと思うぜ。それだけの面白さが有るんだからさ。

89 :

 会計を終えて帰ろうとしていると、不意に看護婦から声をかけられた。
「あら、あなた。ルルーシュ・ランペルージ君?」
「はい? そうですが何か」
「やっぱり貴方が噂のブリタニアの学生さんなのね」
「ええ、まあ……。あなたは?」
「私は鷹野三四よ。ここで働いているの、よろしくね」
「僕に何か御用ですか?」
「いいえ、特に用はないのだけど。雛見沢にブリタニアの兄弟が住んでるって話を聞いてたからどんな酔狂な子かなと気になってただけよ、くすくす」
 三四はおかしそうに笑う。俺は少しむっとした。
 この、人を見下すような態度……見ていて腹が立つ。もっとも十中八九同属嫌悪だろうが。
 もちろん表情には出さないようにする。
 ふっ、揺さぶって詮索するつもりだろうがさせるものか。知らない人間からそういった疑問を投げかけられるのは想定済みだ。
「そうですか。でも別に酔狂ってわけじゃないですよ。日本の自然が好きなブリタニア人はたくさんいます。古手神社から見下ろす雛見沢の景色は本当に綺麗ですよね」
「ふーん、そうなの」
 三四がつまらなそうに相槌を打つ。あまり俺の話を信じていないようだ。
 三四は俺から真実を引き出すことが無理そうだと理解し、信じた素振りをした。
「あの、まだ何か?」
「いいえ、引き止めた悪かったわね」
 それでいい。気が済んだのなら黙って質問を終えろ。
「じゃあ失礼します」
「ちょっと待って。でもおかしくない?」
 三四に引き止められる。何がおかしいというのだ。
「なにが、ですか?」
「自然が好きなだけなら、他のブリタニア人のように観光で来れば良いのに、貴方たちはどうしてここに住む気になったのかしら?」
 こいつ……。俺たちに何か知られたくない素性があることに薄々感づいているのか……?
「僕には日本人の友達がいましてね。ゲットーに住むのはそんな抵抗はないんです。それに、ここは他のゲットーと違って住みやすいですしね」
 咄嗟に切り替えす。だがこれ以上はギアスを使う必要性が出てくる。無駄には使いたくはない、早く消えてくれ。
 三四が俺の言うことに同意した。
「そうね。ここは多分、君の言う通り租界の次に暮らしやすいんじゃないかしら。けれど、本当にここは"住みやすい所"なのかしらね、くすくす」
「……それはどういうことですか」
「くすくすくすくす!」
 三四の小馬鹿にするような笑い声。それは先ほどの同属嫌悪から来るものとはまた違った不快感があり、言いようもない禍々しさと邪悪さを合わせ持っていた。
「……一体、何だと言うんです?」
 俺が再び訊ねると三四はゆっくりと口を開いた。
「雛見沢連続怪死事件。聞いたことはなぁい?」
 例えようのない不安が俺をねっとりと包み込んだ。

90 :
 診療所から帰宅すると、家の電話からスザクにいの一番で電話をかけた。
「もしもし?」
 スザクの声がする。携帯にかけたのだから本人が出るのは当然だが。
「もしもし、俺だ」
「ルルーシュ? どうしたんだい?」
「どうしたじゃない、この馬鹿」 
 俺は鷹野から聞かされた話をスザクに聞かせる。
 雛見沢で毎年起こる凄惨な殺人事件――
 毎年綿流しの祭の日に起こり、一人が死に一人が消える謎――
 偶然だと噂されながら、けれど確実に起きた怪奇――
 雛見沢連続怪死事件。通称"オヤシロ様の祟り"のことを。
 スザクは俺が話すのを静かに聴いていた。俺はスザクが真剣に聞いているものと判断し、先を続ける。
「すでに四年連続で発生しているらしい。そして今年で五年目。後一週間で綿流しの祭。その日誰かが謎の死を遂げ、誰かが消失する可能性がある。お前はそれを知らなかったのか?」
 知らないだろう。知っていたら、スザクはナナリーをこんな危険な場所に近づけさせないはずだ。
 だがスザクの返答は俺が思っていたのとは違うものだった。
「知っていたよ、ルルーシュ」
「なんだと?! どういうつもりだスザク!」
 俺は思わず激昂する。一番信頼していた友に裏切られたんだ。腹も立つというものだ。
 スザクが慌てて弁明した。
「ルルーシュ、少し落ち着いて僕の話を聞いてくれ。確かに僕は連続怪死事件の噂を知っていながら、君たちをここに住むよう促した。けれど、それには理由があるんだ」
「どういうことだ。もったいぶらず話せ」
「君も気づいていると思うけど、連続怪死事件の被害者は少しずつ村の仇敵という関係から離れていき、動機が希薄になってきている。今年は余所者という理由だけで殺されてもおかしくないんだ」
「お前、ふざけているのか? だったら日本人でもない余所者の俺とナナリーが一番危ないということになるが、分かって言っているんだろうな?」
「ああ、分かっているよ。けどそれは言い返せば、雛見沢がブリタニア人の近づけない絶対の聖域となることを意味する。事実、ブリタニアの警察官は雛見沢にただ一人も巡回には来ない」
 そういえばそうだ。雛見沢では一度もブリタニア人やナイトポリスを見たことがない。
 こんな辺境に警察を巡回させる暇はないのだろうと思っていたのだが、そういう事情も隠されていたのか。
 確かにブリタニア人が恐れて近づかない場所ならば、俺たちの素性もばれにくい。
「連続怪死事件について話さなかったのは悪かったと思ってるよ。けれど、それは君たちに余計な心配をかけないためだったんだ」
「お前の言い分は分かった。だが、今年の祟りで俺たちが被害に遭う可能性は著しく高い。もしナナリーが危険な目にあったらどう責任を取るつもりだったんだ」
「その場合、今年の祟りは起こらない」
「どういうことだ?」
「僕は秘密裏に君たちを護衛するつもりでいたんだ」

91 :

 スザクとの電話を終えると汗を拭き取りながら自室に戻った。スザクの護衛がつくということが分かっても、どうしても不安だけは拭えなかった。 
 一人が謎の死を遂げ、一人が消えるオヤシロ様の祟り。被害者の数は常に偶数。最小の偶数は2。
 何度考えようと、今年の被害者は日本人ですらない他所者の――……俺とナナリーの可能性が高く思える。
「……馬鹿な、そんな理由で祟られてたまるか」
 どろりとまとわりつくような疑念を吹き飛ばそうと頭を思い切り振るが、それが引き金となって鈍重な痛みが頭を支配する。
 まずは体調を万全にしよう。それが最優先。
 洗面台に行って薬を飲んだ。飲んですぐ効くはずはないが、少し身体が楽になったような気がする。
 プラシーボ効果様々というやつか。人間の身体というものはつくづく便利に出来ているものだ。どうせならこの勢いで明日には完治したいものだ。鏡の前で一人苦笑した。
 スザクを信じないわけではないが、今日ぐっすりと寝て風邪が治ったなら、明日は怪死事件について調べてみよう。
 ギアス能力者、コーネリア、日本解放戦線……問題は山済みだが、今は後回しにするしかないだろう。
 俺は着替えると布団に入って目を瞑った。
 ――タイムリミット;オヤシロ様の祟り発生まで後7日。

92 :
コメありがとう。
要望があったんで今回から三レスに増やすよ。
でもこれ以上の増加は推敲の関係で無理だ。勘弁してくれ

93 :
>ブリタニアの兄弟
早々に誤字発見すまん。兄妹な

94 :
どうでも良いけど、ひぐらしの原作的には ○オヤシロさま ×オヤシロ様
まあ、原作でも一箇所誤字かなんかで漢字になってたけど、基本的に人名+さまの「さま」は平仮名になってる。
期待してるからこそちょっとだけ気になったこと言ってみた。
楽しみにしてるから投下頑張って。

95 :
wktkが止まらねえぜ・・・

96 :
保守

97 :
いい感じですね。保守しますよ!
細かいんですが質問です。
ブリタニアの警官が来ないのは、本当に祟りに遭いたくないだけなのですか?
もし、裏があるなら、すごいと思うのですが・・・・

98 :
>>97
そーゆー質問は場合によってはネタバレになるかもなんだぜ

99 :
>>98
確かに・・・・・すんません
ついでに
私のスレで短編集的なもの作ったので・・スレのほうでコメントいただければ
http://changi.2ch.net/testread.cgi/anichara/1222337884/

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