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2013年04月創作発表65: 【なりきりリレー小説】ローファンタジー世界で冒険!2 (242) TOP カテ一覧 スレ一覧 2ch元 削除依頼
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【なりきりリレー小説】ローファンタジー世界で冒険!2


1 :2012/11/29 〜 最終レス :2013/03/31
有り得ないけどどこかにあるかもしれないもう一つの地球――
これは、科学と魔法の混在する不思議な世界で紡がれる、脚本無き冒険活劇。
可能性は無限大! 主人公は君自身!
物語の世界を駆け抜け、誰も見た事のない伝説を紡ごう!
詳しくはこちら
いやはての書庫〜ローファンタジー世界で冒険!まとめwiki
http://www48.atwiki.jp/lowfantasy/pages/1.html

2 :
天地海の神々を祀った三主教の中心地、エヴァンジェル。
ローファンタジア壊滅で全土に広がる不安を払うかのように、この聖都は新教皇の即位に沸いていた。
即位の儀が執り行われる大広場。
教皇はエヴァンジェルに奇跡が具象する事を高らかに述べ、災いの黒き種子を砕く。
波紋のように広がる静寂。動揺。恐怖。
そして、地上は三主の降臨を許す。
伝承に描かれる姿ではなく、恐るべき破壊の権化として。
人々の崇める三神は懼れが創り出した偶像であり、破壊者こそが真なる神の本質だったのだ。
教皇の真意は彼らを召喚し、それを討たせる為に人類の力と思想を一つにする事。
例え、悪の誹りを受けようとも。
世界を守る為に悪たらんとする者。街を守る為に戦う者。
この世界の人々。外界からの来訪者。
様々な思惑が交錯する中、戦端は開かれた――――。

3 :
>「si! yara tufary tereya 《謳え 創世の詩を》
>cety durtia lofida 《与えられた命》
>shenna sado passe rosaty ya! 《熱き想いと共に燃やして》
>tir asce tu arreta sutyfan amole 《我等を包む全てに愛を奏でよう》
>aa- miseley oh- san affara ha- 《嗚呼 祈れよ 光あれ》」
響き渡る創世の歌、その音はエヴァンジェルの外まで朗々と響き渡っていく。
地に倒れ伏すゲッツは、友の声を聞き、砕けていく肉体に力を込め、圧力に反逆する事を選択した。
爪を地面に突き立て、罅の入っていく鱗に、骨格に炉心からの魔力を込めて、立ち上がる。
「……っは、ははは――、やってくれるぜこの野郎。
 てめぇも最ッ高に馬鹿野郎だなァ、ああオイ! くっそ、畜生、マジかよ、おいおいおい――!
 こんなん見せられたらヨォ、俺も全力出すっきゃねぇじゃねえか、逝くぜオラァ!」
肺から空気を叩きだし、咆哮のようなクワイアをフォルテの歌に合わせて。
金髪銀腕赤鱗の竜人は、翼を生やして天に舞い上がった。
胸元に刻まれた、fの字の様な十字の傷跡からは、紅い光が漏れ出している。
>だからもう一回、信じてみよう? あなた達が信じた神を!」
歌声により、市民達は彼らの持っていた、敬虔な信仰心を取り戻し始めた。
そう、幾ら醜悪な姿を目の前にさらされようとも、宗教画が存在せずとも。
彼らの心には、神の御姿がきっと描かれていて。その姿を思い浮かべ信じることが出来たなら――。
きっと、こんな絶望など、希望の前には意味を成さない。
「――俺たちの神は、俺の故郷の地に恵みを与えて下さった!」
「生まれは海だったけどヨォ、魚取らせてくれたのは、神様のおかげだったんだよ!」
「俺たちの生きる土地を作ったのは――お前らバケモンじゃない! 俺たちの神は、三主様だ!」
「我らが主、天空の描き手たるイウムよ! 空を晴らし、我らと共に今一度お歩みください――」
「おでは、土から生まれて土へ帰るんだな。おでは、おでのかみさまは、ギイル様なんだな!」
「恵みの雨を。荒廃した世界に、愛を。――もう、これ以上命を失わせないで、海神ツルア様――――」
>「ラサ・アピシアト・ディ・ツルア(聖なる海の主、穏やかな海を司るツルアよ)。
> レザ・イディウス・ディ・ツルア(邪なる海の主、荒らぶる海を司るツルアよ)。
> セイラーン・アヴ・イーニュ(我が祈りに応え、どうか怒りを鎮めたまえ)。
> セイル・アヴィシーム・エルタウ・エルタウ・エルタウ(我らを嘆きの海へ連れて行くのは、思い止まって下さい)」
人々の叫び、祈り。
性別、種族、年齢。それらを調節した、無心の思い、熱心の思い、献身の思い。
それらが、荒ぶる神の魂を鎮め、そして抑えこみ始めた。
とある東方の国では、邪神すらも神殿を作り、祀り上げる習慣があると聞く。
それは、荒ぶる神を奉る事で、神の脅威を沈めようとする所から生まれた習慣だ。
祈り。
これ以上暴れないでくれ、貴方は本当は優しい者だろう。
祈りを捧げます、貴方を讃えます、貴方を鎮めます。
祈りの声を認識する、脳髄という器官をドローンは持っていなかったが、徐々に彼らは動きが鈍り始めた。

4 :
そして、都市区画の端。特に地上を歩むドローンが多い所。そこでエスペラントが戦っていたのだが、戦況は大きく変わりつつ有った。
>『<ヴォルテックス>イグジストッ!』
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!」
エスペラントの唱えた呪文によって生まれた圧力によって、動きを一瞬止める三柱の神の化身達。
だが、彼らの体から無色のマナが吹き出し、直後に叫びと同時に解き放たれた。
轟音、そして彼らの周囲の空間が、ごっそりと削り取られ彼らによって捕食され、術の拘束も粉砕される。
――滅殺。
それが、バイトの持つ最強の力。
肉体の一部をマナへ変換する事で、あらゆる物体、事象を対消滅させると言う絶対攻撃と絶対防御の技。
だが、この技は使用する度にこの世界に現出しているバイトの本体が弱体化していくという諸刃の剣でもある。
ディラックの海に何体かのバイトは帰って行き、その勢力は、本当に僅かにだが、減らされていた。
>「任された―此処で奮闘せねば僕が来た意味はない
>宇理炎・鉄の火!!」
そして、そこに追加で叩きこまれた絶対の焔。
地上のドローンに燃え移ったその焔は、一気に燃え広がり彼らを焼却。
滅殺によって相殺しあうも、永遠に燃え続ける火炎と、祈りに因る弱体化の前には、彼らも溜まったものではない。
次第に彼らは、本来居た次元にその体を溶かし込み、逃げ出し始めていた。地上に残るドローンはあと僅か。
しかし、そのドローンは地面に沈み込むと同時に、周囲の空間を侵食。だがしかし、エスペラントの火炎はそれを逃すこと無く、止めを刺した。
一方、エヴァンジェル上空のアサキムはと言えば、単純な飽和火力による殲滅をしていた。
>「乱れ撃つ!」
単純だが強力な攻撃に、滅殺による対処も次第に効かなくなっていき、何体かがディラックの海に押し返されていく。
触手を引きちぎられ、網目の隙を塗ってコアを打ち砕かれる。
そして、僅かな間を置いて、統括する機能を持っていたドローンが、ロンギヌスの槍に貫かれた。
声にならない雄叫びを響かせ、統括級ドローンは空に溶けこみ消えていき、彼らの従えるドローンも消えて行く。

5 :
残るのは、水路に満ちるギェリムのドローン。
彼らもまた、力を弱めていき、徐々に動きが停滞しつつあった。
それでも、彼らは知らぬ世界に現れ、肉体を維持するためには存在を喰らい、飲み込まなければ存続していられない。
逃げ惑う人々に対して襲いかかる触手。だが、そこに真紅の刃が突き立ち触手を引きちぎった。
「……あいつらみてぇに、すっげー事を余裕でできる生きもんじゃあねえけどよォ。
 今の状態なら、俺だってなんとかなるさ。あいつの歌が聞こえて、俺の誇りが胸にあって、そしてここに戦う理由がある!
 だったら、今の俺は、闘う俺の信仰は、神になりてえ俺の思いは! ――届くッ!」
天空からドローンを見下ろしていたのは、ゲッツ=ベーレンドルフ。
背中から伸びるのは、鋼の羽ではなく、真紅の光によって形作られる剣の翼。
胸元に刻まれたfの文字を象る傷からは、真紅の血にも酷似した色の光が漏れだし、ゲッツはそこに右手を伸ばし、光を強く握り締める。
「偽神だがな――一瞬なら、てめえらに届く必殺を見せてやる。
 見逃すなよ吟遊詩人! こっから叩きこむ奴見逃したら、一生損するっつーか、語る山場消えっからな!」
空中で声を張り上げて、直後ゲッツは胸元の光を引きぬいた。
溢れだしたのは、文字通り、力と呼称する以外にありえない暴力的な光の奔流だった。
それを手の元に集め、圧縮し、掌握し、そして握縮する。
「――竜刃昇華、滅咆」
息を大きく吸い込み、空中から異形を睥睨する。
そして、口を開き、次の瞬間。水路にあふれる異形たちは粉々に粉砕され、消え去っていく。
何が起きたのか。言うなれば、それは竜の咆哮、竜の吐息。――そう、ブレスだ。
赤い光を伴った衝撃は、次々と水路や通路にあふれる異形の化身達に叩きこまれ、不思議なことに滅殺を受けずに粉砕されていく。
数秒。ほんの1,2秒の咆哮の後に、ゲッツはその翼を消して、地上に落下し、気絶するのであった。
そう、強すぎる力の反動で、体と精神が耐え切れなかったようだ。いくらでも強く慣れるとはいえど、生命としての限界値は有る。
その限界値が、今のゲッツの越えるべき壁であり、修行で立ち向かうべき事象なのだろう。

6 :
神の化身。人々が認められず、人々が向き合うことを恐れた真の神の姿。
それを再度認め、そして祈り、そして向かい。今ここに、人は一つの絶望を乗り越えた。
ローファンタジアの再現は、起きなかったのである。
しかし、一陣の風が吹く。静寂と、一時の平和を乱すような、不穏な風が。
……まだ、総ては終わっていない。いや、ここから全てが始まるのだ。そんな予感が、この地には満ちていた。
そして、一方。
中央広場でフォルテと退治する教皇は、表情を動かすこと無く、ただそこに佇みその光景を観察していた。
人々が己の試練を乗り越え、絶望と対峙し、滅びを退治した光景を見て。男は一言。美しいとだけ、呟く。
その一言に、どれだけの感慨が有ったのかは、きっと彼以外には分からない。
「――フォルテ・スタッカート。
 言ったな、貴様は。ずっと孤独のままだと、それでいいのかと。
 ……ああ、良い。それで構わん、少なくとも、こうして人の可能性を見られただけ、私が命をここで掛けた甲斐が有ったものだ」
教皇は、神の化身を無数に召喚し、大量の滅びの種の力を使い潰して尚正気を保った代償に、肉体がその場で朽ちつつ有った。
初めて、教皇は口元に笑みを浮かべ、フォルテの歌を鼻歌でトレースした。
いい歌だ、と一言呟き。空を見上げる。己の信じていた神の真の姿を知り、絶望の未来に立ち向かう人々をまとめ上げるために、悪を背負おうとした己の人生を、振り返る。
「かつて滅ぼされた、絶対の力を持つ海竜。黄昏の全竜の名を覚えておけ。
 魔王が、この世界にまた現れる。頂天魔のそれとは異なる意志によって。
 ……組織の名は、レヴィアタ――――――」
何かを言い残して、教皇は消えていった。
残ったのは、幾つかの黒い球と、真裏派のロザリオだけ。
淀んだ空は、いつの間にか晴れ渡り、雲の裂け目からは、陽の光が差し込み聖都エヴァンジェルを照らしていた。
あなた達は、勝ったのだ。不穏の気配は残っているものの、今はその勝利に酔い、今後の困難を忘れて喜ぶべきだろう。
――世界の滅びは、ひとまず収束したのである!
広場に、街道に、民家に、孤児院に、教会に、聖堂に。
人々の雄叫びが、喜びの声が。賛美歌として鳴り響く、響き広がっていく。
生きているという喜び、明日が有るという喜び、絶望を吹き払う奇跡を知った喜び。
人々の叫びは、次第に歌詞も無き歌となって、聖都に響きわたっていた――。

7 :
遥か昔、国々が戦争によって領土を奪い合っていた時代――国に仕える精霊楽師の紡ぐ歌が勝敗の鍵を握っていたという。
勇気付け、団結させ、勝利への希望を与える。洗脳し、扇動し、絶望的な戦いに駆り立てる。どちらも同じ事だ。
そして今、歌は予想以上の効果を発揮し、人々の持っていた信仰心を呼び覚ました。
その影響は波紋のように広がり、人々は三主神に一心に祈りを捧げはじめる。
不意に昔父さんに言われた言葉が思い出された。
―― 呪歌は使い方によっては直接的な暴力よりもずっと多くの人を死に至らしめる危険な力だ。その事を忘れてはいけないよ。
ああ、こういう事か。
今初めてその意味を分かった気がする。でも、これでいいんだよね? 正しく使えてるよね? 父さん――
「響きあい谺する 遥かな神々の詩 導く天啓よ 我等 照らしたまえ
溶けては重なりゆく 優しき光の波動 授かりし命を 喜びで満たさん
謳え 創世の詩 神の御手に身を委ね 太陽と大地に 此の詩を捧げん」
>「偽神だがな――一瞬なら、てめえらに届く必殺を見せてやる。
 見逃すなよ吟遊詩人! こっから叩きこむ奴見逃したら、一生損するっつーか、語る山場消えっからな!」
「いいからさっさとやれ―――ッ!! 何のために歌ってると思ってんだ。
オレはお前が絶望を打ち砕く瞬間を見るのが大好きなのさ!」
>「――竜刃昇華、滅咆」
赤い光の奔流が、絶望を打ち砕く。
かくして、オレの勇者様は――異界の神の使いをぶっとばしたのでした。
それを見届けたオレは、ウザいドヤ顔で教皇の方を見た。
すっかり忘れられてたけど教皇自体も結構強かったような気がする。何気にピンチじゃ……
>「――フォルテ・スタッカート。
 言ったな、貴様は。ずっと孤独のままだと、それでいいのかと。
 ……ああ、良い。それで構わん、少なくとも、こうして人の可能性を見られただけ、私が命をここで掛けた甲斐が有ったものだ」
「お前……!」
感慨深げにそう言う教皇の体は風化しつつあった。
>「かつて滅ぼされた、絶対の力を持つ海竜。黄昏の全竜の名を覚えておけ。
 魔王が、この世界にまた現れる。頂天魔のそれとは異なる意志によって。
 ……組織の名は、レヴィアタ――――――」
「どういう意味だ!? 待って! まだ消えては……」
伸ばした手は、虚空を掻いた。教皇は、吹き抜けた一陣の風に消えた。
手段はどうあれ、世界を救おうとした気持ちだけは本物だった。
「確かにお前は悪だ。とてつもない悪だ。でも……絶対悪になんてしてやるものか。
絶対悪を名乗っていいのは死んだら気持ちが晴れ晴れするような奴だけなんだよ」

8 :
壇上から飛び降り、気絶しているゲッツの元に虹色の羽を震わせて降り立つ。
「教皇の馬鹿野郎は死んだよ。本当にどうしようもない馬鹿だった。
なあゲッツ、オレ達勝ったんだよ。寝てないで早くボルツさんに報告してやろうぜ!」
新しい時代の始まりを告げるかのように、陽光が降り注ぐ。
気が付いたら歌っていた。
人々を団結させるために命を散らした第309代教皇と、それに応えて見せた人々に捧ぐ歌を――。
「Ding dong ding dong おなじこと 共に祈る喜び
Ding dong ding dong dang ding dong 終わらない夢を見よう
君といる不思議を 手探りの未来を 哀しみや歓びが 彩るのなら
僕が伝えられるモノは どれくらいだろう 押し込めた せつなさが胸をゆらすよ
Ding dong ding dong信じ合い 生まれてくる奇跡を
Ding dong ding dong dang ding dong終わらない夢を見よう」
「……あら?」
周囲の異様な状況に気付いて歌を止める。
信徒達が周りを取り囲んで跪いているではないか。
「新教皇様に万歳!」
「第310代教皇にはあなた達こそがふさわしい!」
「ささ、就任の挨拶を!」
信心深い人は、プラスに作用する魔法の恩恵を受けやすい傾向がある。
敬虔な信仰心を持つこの街の人々には、呪歌が効きすぎたようだ。
「いやいやいや、思いっきり異教の関係者ですから! ゲッツ、起きろよ!」
「いえ、もうこの際寝たままでも」
「サイン下さい!」
聞く耳持たない人々によってもみくちゃにされる。
「たっ助けてーーーーーーーーーー!!」
異界の神に打ち勝っても、結局いつも通り情けない叫び声が響き渡るのであった。

9 :
「終わった。か、」
ひと、災難終えた、そう思うとなんだか落ち着く。しかし、この現実を見ると。
「あれ、アヤカがいない。」
近くを探すと
「うっ、う。うわぁぁぁぁ。」
アヤカが、発狂しながら、アサキムに襲いかかってくる。
アサキムは、こういう突撃は何度も見たので、スルーした。
が、その突撃先は、フォルテとゲッツのいる場所だった。
どうなる!

10 :
街の通りという通り、路地の狭隘と清閑な公園、まだ賑わいの気配を残した市場、信仰の結晶たる大聖堂。
至る所で守勢に立たされていた人類が反攻に転じ、神造の生物兵器であるドローン・トークンを駆逐する。
蠢く触手が斬られ、灰色の肉塊は散弾で吹き飛ばされ、這い寄る粘液は火炎で焼かれ、その全ては消滅の途に。
烈しい戦いが終われば、たちまち陽性の喧騒が広がって行く。
往来には歓喜と安堵が溢れ、酒場からは打ち鳴らされる祝杯の音が。
「街を守った英雄たちに栄誉の杯を! 今日はうちの葡萄酒の樽を全部開けてやるぞ!」
「おー、いつもケチなマスターにしては珍しいな。雪でも降るんじゃねーか」
宴の中にはパン屋の少女の姿もあった。
逸早く日常の中に戻ったリンセルは、いつものようにパンを運ぶ。
焼き立てのブレッドにクロワッサン、果物と粉砂糖で飾り付けた菓子パンの数々を。
「世界で一番美味しいロルサンジュのパンもどうぞ!
 さっき焼き上げたばかりのものを運んで来ましたから、まだ温かいですよ〜」
リンセルはあちこちの宴の席にパンを届けつつ、何かを探すようにして人の集まりを目で追う。
そして、人の集まりから目を切る度に、目当てのものが見つからなかったのか小さく溜息を吐く。
(さっきの村のパン屋はどこにもいないわね。別に……競合相手の心配なんてしてないけど)
教皇や神裏派、三神顕現の近くに居合わせた民衆。
壁を溶かされて内部を露わにした建物や、朱に濁った水路や、積み木のように崩された城壁。
街が受けた人的・経済的被害は決して少なくない。
新しい教皇の選出にも、また時間が掛かるだろう。
リンセルに待っているのは新しいパンのアイデアに試行錯誤して、小麦粉を練り、焼き上げ、出来あがったものを売る日々。
今回、エヴァンジェルが失ったものを取り戻す戦いが始まるのだ。

11 :
命賭けの死闘は終る
それはこの都市の全ての住人達の祈り、そして人々を守ろうとした派閥を超えて戦った聖堂騎士団の奮闘
その身を省みずに神だろうと刃向かい戦ったゲッツ、アサキム
皆の思いと共に呪い歌を謳ったフォルテ
この場に居る誰かが欠けていればもしかすればこの都市は愚か他の領域にも被害は及んでいたかもしれない
恒久戦士としては最低限の被害にする事が出来たと言っても良い。エスペラント個人の感情としても神の欠片とは言え
この都市が丸ごと全てが吹き飛んでもおかしくなかったことに大いに安堵する。
「大勢の人間が死ななくて良かった、もう泣き叫ぶ子供や親の姿は見たくないから
―本来ならばこの程度で済む筈がない、やはりフォルテとゲッツはこの世界にとって―――」
その先からは口にはしなかった最早口にするまでもなくそれはこの結果を見れば明らかであるからだ
やはりあの二人はこの世界に置ける重要な立ち位置にいる事に間違いない
そう感じられずに居られないのだ。
だが物思いに耽っている時間は無く、ある事を思い出す
「ッ!大聖堂に向かわせた静葉は大変な事になっているかもしれん!」
あの神の声を聞いて普通の状態で居られる事は例え突然変異した人間でも耐えられる訳が無く
大聖堂の内部に大急ぎで入り、常人では考えられない速さで大聖堂内部を隅々まで調べていく
そんな中、まるで道案内をするが如く明らかに聖堂騎士団とは思えないほどの私服を着た連中が倒れていた。
それは間違いなくR夢ファミリーの構成員に違いなかった。
どうも嫌な予感がすると急ぎ足で後を辿ると奥まったある小部屋で死体が止まっていた
次の瞬間、小部屋の部屋からいきなり扉を吹き飛ばされる勢いのまま何かがエスペラントにぶつかりそうになり
距離を取って回避をすると一人の男が出てくる。それは圧倒的に普通の人間でも強者とも格が違う
神の如きオーラを纏う黒すぎる肌の青年が居た。それは先ほどの神の言葉には微塵も影響は受けていないようで
それはエスペラントも知っているような、本来ならば伝説クラスの実在すら疑われていた者だった。
「はい、パパパっと終わり!うん?まだこんな所に誰か居たの?
まっいっか、目的の物とうちのTNOKも回収できたし」
「貴様はGO…R夢ファミリーの信奉する神…」
突然現れたR夢ファミリーを統率するボス以上の存在が出て来た事に関して緊張が走る
あんな状態でも未だに平然とした様子を見せられるのはGOのような神に等しい者等だろう
「ああ君ね、最近チョロチョロ回って俺達の邪魔している連中ってのは
でも俺も案外やること多くてさだから此処でお別れって事でハイ、ヨロシクゥ!」
「ま、待て!!」
だがそんな事を言っている内に片手には谷岡、もう片方には何やらケースらしき物を持って忽然と姿を消す
此処で本来であればまずは見える事すらありえない存在が来なければならないことがあったのだろうか。
「……一体何があったんだ?」
そんな呟きを口にすると首に向かって八方手裏剣が向かってくるので避けると
其処にはまるで快楽殺人鬼のような笑みを浮かべた鬼のような静葉が立っていた

12 :
神の言葉により彼女はもがき苦しむ内に発狂という形で血筋的に脈々と続いてきた
忍者いや人外問わず抹殺してきた暗殺者と異能者の力や殺人DNAの血が本来の形で目覚めたのだろう
其処に意識は無く、目に入る全てを無意識的にRという自己防衛本能によって動く殺人人形と化していた。
そして今目には行ったエスペラントも例外ではない、感じた気配が強大だからこそ
尚その動きは既に常人の域では出しえぬ速度で、片手にはクナイをありえない速さでけん制するように投げて
もう片手には切れ味の鋭い呪殺の力が込められた小太刀を鼻先まで静葉は近づけて来る。
しかし其処に一歩も動じず動こうともしないエスペラントに対して刃の接触直前で止まる。
「…………」
「もう良いんだ、僕が来たから…だからもう良いんだよ静葉」
ゆっくりと優しく包み込むように静葉の身体を抱きしめるエスペラント。
彼に取っては所詮は偽りの肉体の温もりだったが、彼女にとっては不思議な物で
エスペラント―ビャク・ネイムレイスという個人の想いを感じ取れる手段の一つであった。
目が爛々と鬼のように真っ赤に輝いていた光は次第に薄れていき、突き立てようとしていた小太刀を
床に落として愛しい主の肉体に手を廻した。自身を闇から救ってくれたあの伸ばした手で感じた
とても暖かい温もりと一緒だった
「(また…闇から救い出してくれましたね主様)」
無意識的な防衛本能により殺戮を繰り返すために一族からは半ば危険な存在と見られていた
そのためにくの一としての性の技術は何一つ教えてもらえなかった、なぜならば抱かれるその瞬間に好きでもない
相手の男を危機意識が働き殺してしまうからだった。故に戦闘の才は類稀でも例え恋愛を経て結婚したとしても
子を残すことでさえ出来ないだろうとさえ言われていた彼女であったが
一族が全滅した後でも不思議な事に心の底から愛する人とR、沢山の子供を生むことが出来た彼女は
とても幸せになることが出来た。彼女にとっては何物にも変えがたい物をくれた主は奇跡の存在であり
天から賜った運命の相手だと更に確信し、感謝していた。
そこから崇拝に近い感情も一人の女として深く愛する感情来ているのであった。
それから二人は何かが倒れる音を聞いて反応するが
物音の正体は気絶し倒れたリーフであり、とりあえずは目標の物を発見した事により
エスペラントは彼女を抱き抱えて大聖堂から静葉と共に出るのであった。

13 :
>「教皇の馬鹿野郎は死んだよ。本当にどうしようもない馬鹿だった。
>なあゲッツ、オレ達勝ったんだよ。寝てないで早くボルツさんに報告してやろうぜ!」
「流石に、糞疲れたァ。
 ちょいと、寝かせろよ……ォ」
自分の咆哮で引き裂いた地面の隙間にめり込むようにした異常な体勢ですやすやと寝始めるゲッツ。
この男、先程まで化物と本気で殺し合いをした上で、微妙に神域にたどり着いたというのに数秒後にはこれである。
シリアスを長時間維持すると死んでしまう病気にでもかかっているのだろうか。
だが、周りの歓喜の声と、耳朶を叩くフォルテの歌の前で、ゲッツは珍しく口元を緩めて、穏やかな表情を浮かべていた。
ゲッツが血みどろの戦いを続け、英雄を目指すのは、ひとえに戦いの先にこの様な光景を作るためでもある。
欲しいのは、喜びと称賛であって、怨嗟や憎しみの為に戦っているわけではない。
この戦いの結果は、ある意味ゲッツが望んでいた戦いだった、と言えるだろうか。
>「いやいやいや、思いっきり異教の関係者ですから! ゲッツ、起きろよ!」
フォルテの声もいざ知らず、そのまま眠りの深きに飲まれていたゲッツだが、状況が変わる。
溢れだす殺気、怒気、覇気を感じたのである。
半ばまで地面に埋まっているゲッツが、突如地面を粉砕しながら起き上がり、フォルテを空中にぶん投げた。
>「たっ助けてーーーーーーーーーー!!」
>「うっ、う。うわぁぁぁぁ。」
周りの民衆たちを轢きながら迫っていく、アヤカ。
それを見て、なんとも言えない表情を浮かべる寝起きのゲッツ。
だが、この戦いで身につけた経験は、ゲッツを確実に成長させていた。
「い、い、加減に、しろやァ――!」
ゲッツの咆哮に魔力が加わり、ついでに凄まじい勢いのアヤカが迫る相乗効果で、誰一人怪我はしないが人々が次々と吹き飛ばされていく。
吹き飛ばされていく人々を他の人々が受け止めれば、そこで笑い話と酒を酌み交わす宴会が始まる。
積み重なる無数の現実の壁が有っても、この瞬間だけは人々も全てを忘れて楽しみたかったのである。
そして、アヤカのパンチをまたゲッツは受ける。
ずどん、と砲撃音の様な轟音が周囲に響き渡るも、直後。
ゲッツはその勢いを真正面から受け止めることなく、おとなしく後ろに吹き飛ばされた。
同時に、背中から鋼の翼を呼び出して空中で宙返りして、飛翔。
天高く放り投げたフォルテの首根っこを掴んで、肩に担ぎあげた。
頭上でなにやら騒いでいるフォルテを見上げて、いい笑顔を浮かべたゲッツは。
「な、助けてやったろ?」
と、寝起きで生あくびをしながら言うのであった。
そして、悪ィ、ちょいと一人で行きたい所が有ると一言言うゲッツ。
一旦フォルテを静かな所に下ろすとウ・ボイに向かって飛び去っていくのだった。
己の師と、己の守った街を見るために、天高くから、街を見下ろして――。

14 :
静かにボルツの店の前に舞い降りた、ゲッツ。
店の周囲が閑散としているのは、中央に人々が集まっているからか。
店の戸を無言で開ければ、カウンターにはいつも通りにバーコートを着たダンディな店主が居る。
「……よ、ボルツのおっさん。帰ってきたぜ」
「ああ、ゲッツ君。
 私の依頼を達成してくれて、感謝しているとも。
 ――駆けつけ一杯、飲んでいくと良い」
作っていたのは、ゲッツのアースクエイク。
最初からここに来ると分かっていたのか、ボルツは作りたてのそれをカウンターに置く。
近づけば、隠し切れない血の匂いがして、ボルツの息が荒い事も分かる。
「死ぬのか、隊長」
「死ぬねえ、部下」
互いに、互いのことを理解している故の、静かな会話。
ゲッツは、それ以上何も言わずにアースクエイクを一息に飲み干し、立ち上がる。
にぃ、と犬歯をむき出しに獣の笑みを浮かべて、皺だらけの老兵と鱗だらけの新兵は拳を合わせる。
無言でゲッツは背を向けて、店の外へと歩き去っていくのだった。最後に一言。
「――ウ・ボイ、ウ・ボイ」
戦へ、戦へ。
師の教えを背負って、己は己の力を発揮する場所へ行く。
それこそが、死にゆく師の為の手向けである。そうゲッツは決めて、振り返らないこととした。
>「街を守った英雄たちに栄誉の杯を! 今日はうちの葡萄酒の樽を全部開けてやるぞ!」
「戦へ、戦へ!
 兄弟よ、剣を抜け
 われらの死に様を敵に知らしめよ」
>「おー、いつもケチなマスターにしては珍しいな。雪でも降るんじゃねーか」
唯一、ゲッツがまともに覚えた歌。
師が日々口ずさんでいた、勇壮なメロディと歌詞が、下手ながらも豪壮な声によって響いていく。
賑やかさの前でも、どこか荘厳なその声は、その気高い意志は人々の心に聞こえていくだろう。
ゲッツの胸の鼓動が、フォルテの持つモナーを鼓動させているだろうか。
「われらの街は既に火の中
 その熱はここまで伝わりくる
 敵の咆哮が響き
 彼らの怒りは絶頂に達す!」
>「世界で一番美味しいロルサンジュのパンもどうぞ!
> さっき焼き上げたばかりのものを運んで来ましたから、まだ温かいですよ〜」
師とともに歩んだ戦場と、ここから歩き出す戦場。
それを心に描いて、只々歓喜の輪の中へと歩みを進めていく。
歌いながら、哭くことはなく、只々笑って、そして笑いながら。
「われらの胸はその炎のごとく燃え盛り
 敵の咆哮は剣の音に打ち消される!
 諸君、ズリンスキにキスを
 兄弟たちが交わすキスのように!
 ズリンスキの門へ
 真の英雄たちよ!」
(――ま、気障だが偶にァ悪くねェ、か)

15 :
己の知る真の英雄の証は、己の懐の中の剣がそれだ。
師を背負い、ゲッツは歩き。
歩いて歩いて、フォルテの元へとたどり着き。
「なァんかよ、楽しそうな歌とか、ねぇか。
 死人も怪我人も、そんなの忘れて踊りだしちまうような、よ」
にかり、といつもの様に竜人は笑う。そして、求めていた。
己には謳えぬ、心を踊らせるような歓喜のメロディを、そう――歓喜の歌を歌おうと。
歌が下手な竜人は、あろうことか吟遊詩人にデュエットのお誘いをするのであった。

16 :
「こーらー! ナマモノにつき取扱い注意だと……」
>「な、助けてやったろ?」
宙を舞っていたオレは、気が付くと定位置におさまっていた。
実にいい笑顔を向けてくるゲッツにいい笑顔を返す。
一人で行きたいところがあるという。
「……そっか」
敢えて聞かない、こいつがこんな事を言いだすという事は、何かを予感しているのだろう。
空を見上げると、白いものが舞い落ちて来ていた。
「二人歩く速度少し落としながらいくつものきらめきを瞳に移すと
君は僕の指に冷えた指をからめ この街に降り出した雪を知らせる〜♪」
自然と足が大聖堂の方へ向かっていた。
この戦いで命を落とした人々に、何もできないけれどせめて祈りを捧げよう。
「Ding dong ding dong 同じ時 感じあえる奇跡を
Ding dong ding dong dang ding dong終わらない夢を見よう」
「珍しくあっちも歌ってるモナ」
確かに遠くからアイツの声が聞こえる。モナーが、共に謳うように共鳴している。
モナーがオレ以外の声に反応している。何故だ!?
大聖堂まで行くと、リーフを抱いたエスペラントさんと静葉さんに出くわした。
「ありがとう! あいつボルツさんとの約束守れたよ!」
何かがあったのか、静葉さんがエスペラントさんを見る目はいつもに増して只の主従関係ではなく……
思わず静葉さんに前から思っていた事を聞いてみる。
「ねえねえ、ぶっちゃけ好きなんでしょ!?」
そこでタイミングよくリーフが目を覚まし、立ち上がる。
「今更何を言ってるんですかフォルテさん。そこは公式設定ですよ公式設定!
……はっ、これはいけませんお邪魔してしまいました。助けて戴いてありがとうございます。
是非お礼をと思うのですが……。
……そうだ! 折角大聖堂なんだからこのアツアツカップルのために結婚式をあげましょう!」
そう言ってリーフは適当に鐘を鳴らす。
「あはははは! そんな無茶な! ……その話乗ったぁあああああああああああ!!
パン屋さんパン屋さん、パンケーキ一丁お願い!」
残された者が前を向いて生きていく事こそが最大の弔いかもしれない――
と言えば聞こえはいいが、ただ歌って騒ぎたいだけだろと言われればそうかもしれない。
向こうでパンを売っている少女に、初めての共同作業用のパンをオーダーする。
ケーキがなければパンを切ればいいじゃない。
そこにこれまたタイミング良くゲッツが到着する。

17 :
>「なァんかよ、楽しそうな歌とか、ねぇか。
 死人も怪我人も、そんなの忘れて踊りだしちまうような、よ」
「丁度いいところに来たゲッツ!
二人の新たな門出を祝福する最高に幸せな歌を歌おうか!」
モナーが分裂し、片方がエレキギター、片方がキーボードになる。
ギターの方をゲッツに押し付ける。
「お前ビジュアル的にこっちな。ひけない? 適当にひく振りしときゃいいんだよ、形だ形!」
自分で言うのも何だけどかなりこうするとかなりビジュアル系バンドっぽくね!?
鳴り響く鐘の音に被せるように歌い始める。
「おめでとう 笑顔がゆれて ゆるやかに流れる奏鳴曲(ソナタ) ふたりとも ずいぶん大人に見えるよ
長いこと 友だち同士 何回も ケンカしてたね 気がつけば ふたり想い出が重なる」
「男とか 女とかじゃなく 何でも話せる ふたりだったね
短いようで 長い道を 旅してふたり ここに立ってる」
「高らかに鳴り響く 鐘の音は 晴れやかな今日が ゴールじゃなくて
お互いの胸の奥 響きあう これからも続く 長い旅をつげる 勇気の鐘」
“勇気の鐘”――世界を救う旅の果てに結ばれたとある勇者と魔法使いの伝説を題材にした歌。
しかし超人捕まえて”ずいぶん大人に見えるよ”はないわな! ゴメンよ!
「夢をみる ふたりいっしょに ひとりでは たどりつけない 邪魔なのは 後悔とうすいプライド
彼の目に 汗がにじんで うつむいて 弱音吐くなら その頬を 泣いてでもたたいてあげて
瞬間だけの なぐさめなんて 中途半端な 優しさに似てる はるか彼方に 昇る太陽 顔をあげてなきゃ 瞳がくもる」
「いつまでも鐘の音が 響くように 深呼吸で心に 風送ろう
だけどもしふたり めげたりしたら 一番乗りで 待っていてあげたい 勇気の丘」
「なだらかなレンガの 階段を 腕を組みふたり 登りはじめる
お互いに夢を かかえあえたら 夢に近づくたび クレッシェンドする 勇気の鐘」
ライスシャワーが降り注ぎ、二人の前途を祝福する人々の歓声が響き渡る。
これからどんな困難が待ち受けているか分からないけど、こいつらとなら何だって乗り越えられる、そんな気がした。

18 :
「ふい、良かった。」
少し安心し、アヤカにボディーブローをかまし、大人しくさせ。
ウ ホイに向かう。
そこには、テンションハイになる二人がいて。
「明日か、明後日、行くからね。天と、人間界の狭間。」
そういうと、大人しく酒を飲むことにした

19 :
後、此処で、代理投稿してもらった人 感謝します

20 :
大聖堂から出た二人は間も無くフォルテ達と遭遇する
そんな中、静葉のエスペラントに対する明らかな普段とは違う目に対して
目敏く反応し
>「ありがとう! あいつボルツさんとの約束守れたよ!」
>「ねえねえ、ぶっちゃけ好きなんでしょ!?」
>「今更何を言ってるんですかフォルテさん。そこは公式設定ですよ公式設定!
……はっ、これはいけませんお邪魔してしまいました。助けて戴いてありがとうございます。
是非お礼をと思うのですが……。
……そうだ! 折角大聖堂なんだからこのアツアツカップルのために結婚式をあげましょう!」
そこで見計らったが如く途中で起き上がるリーフは何をトチ狂ったのか結婚式を挙げようとまで
言い始めるのであった。
だがエスペラントは明らかに先ほどとは様子が変わり、元気なく二人に対して
何かを言おうとするもいろいろとその場である物で用意を始める
>「あはははは! そんな無茶な! ……その話乗ったぁあああああああああああ!!
パン屋さんパン屋さん、パンケーキ一丁お願い!」
>「丁度いいところに来たゲッツ!
二人の新たな門出を祝福する最高に幸せな歌を歌おうか!」
「(僕はこんな歓迎を受けるほどの全うな人間じゃない…
寧ろ最低な人間だ、幾ら受け入れてもらったとはいえ本来ならば選ばなければない
そうでありながらも二人の女性の内一人も選べず、二人の大切な人を持つことなど許されるはずなど…)」
エスペラントはかつては今の姿には考えられないほど、恒久戦士として人では無い者、世界を維持するだけの奴隷にされ
愛する女性すらも救えなかった事により荒れていた時期があった。
酒、女etc…なんでもやった、だがそれでも何をしても収まらず満たされなかった。
その時、彼がそれから立ち直るのがある女性とのRが切っ掛けなのはまた別の話である。
彼が立ち直り、その後はただただ多世界を守るために戦い続けた事により後の戦友となるテイル達や
その世界ではただの不審者に違いない自身を家族同然に想ってくれた第二の家族の人達により世界を守る意義を見つけ
エスペラントはこの時点で本来の性格を取り戻す。
負けられぬ理由と例え化け物だと言われても自身を救ってくれた大切な人達の世界を守りたいという
信念を持った多元円環世界での組み換えの際に、救えなかった最愛の人と再会する。
その姿は本来の彼女の面影など何処にもない、その黒い災厄その物に成り果てたとしても
エスペラント=ビャク・ネイムレイスへの愛は決して失われていなかった
極限の状況でありながら、其処で彼は真実の愛を見ることが出来たのだ。
その後でもう一人の最愛の人である静葉とも再会し、その愛情は本物なのだと理解している。
だが人の暗黒面を余りにも戦い続けた過程で見すぎたのだ。
その心の片隅では真実の愛はあるのだと理解もしているその目でも見た
だがそれでも同じような人の暗黒面を見続けた故にこう思うのだ
一人の女性も愛せないような不誠実な男には何時かは心が離れていくのだろう
そんな最低な自分よりも愛する男が出来ればきっと付いて行くのだろうと。
自身とて当初などはこのような立場になり、好意を持つ他の女性に甘え利用してきた報いとして
静葉が他の男に走ろうとそれも致し方がないと考えていたのだ。
>「お前ビジュアル的にこっちな。ひけない? 適当にひく振りしときゃいいんだよ、形だ形!」
そんな事を考えている自分がこのような場で祝福される事が許されるのか?
祝おうとしている者達の純粋な好意を無碍にも出来ず、最愛の女性とは言え
心の底から信じる事が出来ない自分が最低であることを自分に向けて皮肉と自嘲を込めた
少し悲しげな笑顔をエスペラントはするのであった。

21 :
>「おめでとう 笑顔がゆれて ゆるやかに流れる奏鳴曲(ソナタ) ふたりとも ずいぶん大人に見えるよ
長いこと 友だち同士 何回も ケンカしてたね 気がつけば ふたり想い出が重なる」
「………」
フォルテは歌っている最中に少し悲しげに笑うエスペラントを見つめていた静葉もまた
そんな愛する主の顔を見ていられずに目線をずらしてしまう。
静葉もエスペラントに向ける愛情は間違いなく彼の愛する<災厄の聖女>には間違いなく
負けず劣らず、ただの忠誠心だけではなく一人の女性として心から愛していると口には出さずと言える。
その心に他の誰かが入る余地は無い、だが逆に彼女もエスペラントに対して心に入る余地は無いと思っていた。
それは間違いなく<災厄の聖女>のこと彼の最愛の人がエスペラント自身の心に深く深くに住んでいるからだ
子供の頃から共に居た人に対して勝てる訳も無く、もっと早くに出会っていれば彼女の代わりに自分がその中に居たのかもしれない
とどう足掻いても叶う訳が無い事を後悔していた。
そしてエスペラントが静葉の愛情を理解し応えている事
彼女に対する想いも彼の最愛の人同じくらい愛している事もよく分かっていた
故にそれを口にして、彼の自分に対しての思いも分かった上で慕っていると言った所で
向けている少し悲しげな笑顔と同じ物を彼女自身に向けてありがとう、と返すのだ
そう心の中でも言っているにも関わらず、頭と心の片隅の何処かにある
彼女が何時かは離れていくだろうという思いを持つ事自体を静葉を貶める行為だと自身を責めながら
言う姿を見て、彼女は自身の感情を抑えられなくなり彼を抱きしめたことがあった。
>「男とか 女とかじゃなく 何でも話せる ふたりだったね
短いようで 長い道を 旅してふたり ここに立ってる」
歌を聴き続けながら、それ以来自分は愛する主に簡単にお慕い申し上げていますと
簡単には口に出さなくなっていた事を思い出していた。
自身をとても愛してくれているにも関わらず、今までの己の役目として
人の負の側面を見てきたことによりほんの少しでも相手を信じる事が出来ない事に
自分自身を責め続けるエスペラントを見るのがとても辛いのだ。
とても抱きしめたくなる衝動にも駆られるが誰も悪いわけでもなく、人間誰しもが無意識には思う事かもしれない考えすらも
自分が原因という事で背負い込んでしまう姿を見ても何も出来ない自分が悔しく歯痒い思いをするのが腹立たしかった。
愛する者が悩み苦しんでいるのに何も出来ない己が伴侶になる資格はないという静葉
負の側面や暗黒面を見てきた事により身近にそして自身を誰よりも愛してくれる女性すら
信じる事が出来きずそして二人の女性を愛することが不誠実だと思う己を許せないエスペラント―ビャク=ネイムレイス
この二人が幾ら心底愛し合っていても結婚という物を神聖で侵し難い存在という事でする事が無い
唯一にして最大の理由であった。
普通の世界では妾などは世間から良い目では見られていないし場合によっては許されるわけも無く
だが静葉は世間がなんと言おうとしても傍にいたかった
そしてエスペラントも同じ思いでありそれを受け入れたから今のよう形になった。
それがかつての戦友であるテイルの子供と様々な人達に祝われている
この事がある意味では皮肉なのか、それとも許されたという思し召しの幸運なのか
それが二人には分からなかったようだ。

22 :
>「なだらかなレンガの 階段を 腕を組みふたり 登りはじめる
お互いに夢を かかえあえたら 夢に近づくたび クレッシェンドする 勇気の鐘」
歌も終わり、周囲には歓声と共に祝福してくれる人々がライスシャワーが二人に降り注ぐ
本来ならば結婚式をしないと決めた以前にするやっている暇が無いのだが
このような場所でするとは思っても見なかったのだろう。
エスペラントは純粋な好意でやってくれた全員に対して、
自らの感情を抑えつけながら話しかける
「……見ず知らずの私達二人のために集いわざわざ祝ってくれた事に関して礼を述べる
ありがとう、お返しはしようにも仕切れないが、…私たちには血の繋がった家族は居ないし
家族に等しい者もこの場には来れない、その代わりに参加してくれた事はとても感謝している
もう一度ありがとうと言わせて欲しい」
この場に居る全員にお礼を言うと静葉は耳元まで寄って
「とりあえずパンケーキが来たら参加者全員に分けましょう
お礼はそれくらいしかできませんから、それまでには」
その言葉に対してエスペラント頷いた後、彼の手を力強く握る静葉は
少しだけ幸せそうな顔をして、パンケーキが来てもずっとずっと繋いでいた。

23 :
>「丁度いいところに来たゲッツ!
>二人の新たな門出を祝福する最高に幸せな歌を歌おうか!」
「――っは、いいじゃねェの。
 静葉さんとエス平についちゃァ、俺も結構やきもきしてたんでな。
 ここで、強引かつ陽気に一発ぶちかますのも上等ってわけよォ!」
少しだけ、いつもより柔らかい笑顔を浮かべて。
ゲッツはフォルテの提案する案に即座に乗ってみせる。
ここで変に慰められたりするよりは、こうした方がずっと良い。
きっと、ウ・ボイで長い眠りに着くことになっただろうボルツにも届くように。
>「お前ビジュアル的にこっちな。ひけない? 適当にひく振りしときゃいいんだよ、形だ形!」
「っへへ、やってやらァ。
 ハイランダー一のイケメン戦士は万能だってことを見せてやるよ!
 さっさと貸しなァ!」
根拠の無い自信と無駄なノリはゲッツの強み。
フォルテの差し出すギターを受け取ると、ストラップを肩に掛けてギターを構えた。
弦を適当に押さえてピックで弦を弾くも、上手く行かず。
フレットを押さえるんだってー、とフォルテに基本を教えてもらいながら、拙いながらも多少姿だけは様になった。
ガタイが良い為、こういう物をもたせると妙に似合うのは、性質だろう。
きっとドラムとかも似合う。でかいし。
そして、フォルテの美声が響き、それに乗せてゲッツもギターを見よう見まねで弾いてみる。
心臓の鼓動は、フォルテの刻むリズムに合わせて強く刻まれ。
メロディに乗って行く内に、気がつけばゲッツは簡単ながらも一部のフレーズを弾くようになっていた。
おそらく、心臓を通して霊的なラインが構築されている為、少しだけ同調している、のかもしれない。
>「……見ず知らずの私達二人のために集いわざわざ祝ってくれた事に関して礼を述べる
>ありがとう、お返しはしようにも仕切れないが、…私たちには血の繋がった家族は居ないし
>家族に等しい者もこの場には来れない、その代わりに参加してくれた事はとても感謝している
>もう一度ありがとうと言わせて欲しい」
「好きなら好きって言えば良いんだってのォ。
 お前さんはよォ、確かに超強ェし、長生きしてるし、何考えてるか分かんねぇし、悩み事もたくさんあるだろうけどよ。
 そういう細かいこととかよ、そんなン気にする位ならまず一言お前が言う事があンだろォが。
 まずエス平! 静葉さんに愛してるって言ってやンなァ。世の中、口に出したほうが良い事だってあんだからなァ。
 あと、静葉さんも。こんなご時世、愛する人の半歩後ろを歩くなんざ古いぜ? きっちり、女房やってやんねェと、この手の輩はふらふら彷徨っちまう。
 好きならがっつり、捕まえちまいな。――ま、てめぇ等おめでとうってこったな!」
珍しく、静かな口調で語りかけるように2人に向けて若造が偉そうなことを口にする。
遠い昔に勘当されているとはいえどこれでも神官系の家系だ。
この手の祭事には首を突っ込みたくなるのがゲッツの性格である。
そして、2人の背中を痛過ぎない程度にばんばんと叩いて、向かい合わせた後には、邪魔者は退散とばかりに走り去っていく。
宴の輪は広がり、吊り橋効果か何なのか、そこらじゅうでブーケトスが始まり、ライスシャワーが撒き散らされる。
神官は聖術で花の大盤振る舞い。今日ばかりはあらゆる店も商人も儲けなど気にせず馬鹿騒ぎ。
宴の中で幸せそうに笑う2人を遠目で見つつ、ゲッツは取り分けられたパンケーキを頬張りながら、地べたに座っていた。
「――勇気の鐘、ね」
ックク、と喉元で笑い声を零して。
どこからか手に入れてきたのか傍らに積み上げた酒樽にジョッキを突っ込みぶどう酒を掬い上げる。
それを一息にぐい、と飲み干すと。珍しく静かな様子で酒を飲んでいるのだった。
偶には騒がず一人で飲みたい時もあるのである。

24 :
オレは驚愕と感動に打ち震えていた。
全くの初心者とは思えない程すぐにフレーズを奏で始めたが、最も驚くべきはそこではなく。
断言しよう、完璧にシンクロした合奏なんてこの世に存在しない。
複数で演奏する限りどんなに綺麗な合奏も、一般人が聞いたら分からない程度に僅かにずれているものである。
が、その存在しないはずのものが今ここにあった。シンクロ率400%じゃねーか!
隣で得意げに弾いてる奴はそんな事に気付いてないけど。
そうか、これが心臓に名を刻んだことの意味――オレは大変な事をしでかしてしまったのかもしれない。
>「……見ず知らずの私達二人のために集いわざわざ祝ってくれた事に関して礼を述べる
ありがとう、お返しはしようにも仕切れないが、…私たちには血の繋がった家族は居ないし
家族に等しい者もこの場には来れない、その代わりに参加してくれた事はとても感謝している
もう一度ありがとうと言わせて欲しい」
「……」
複雑げなエスペラントさんと、それでも少しだけ幸せそうな静葉さん
多元世界を守るという宿命を背負い何百年も生きているのだ。
オレには想像もつかないような過去を背負っているのだろう。
ゲッツは、そんな事は気にせずか承知のうえでかは分からないが、お構いなしに言ってのける。
>「好きなら好きって言えば良いんだってのォ。
 お前さんはよォ、確かに超強ェし、長生きしてるし、何考えてるか分かんねぇし、悩み事もたくさんあるだろうけどよ。
 そういう細かいこととかよ、そんなン気にする位ならまず一言お前が言う事があンだろォが。
 まずエス平! 静葉さんに愛してるって言ってやンなァ。世の中、口に出したほうが良い事だってあんだからなァ。
 あと、静葉さんも。こんなご時世、愛する人の半歩後ろを歩くなんざ古いぜ? きっちり、女房やってやんねェと、この手の輩はふらふら彷徨っちまう。
 好きならがっつり、捕まえちまいな。――ま、てめぇ等おめでとうってこったな!」
ゲッツが走り去った後、向かい合わされた二人に謝るオレ。
「なんかゴメンね。強引にお祭り騒ぎのダシにしちゃって……。オレって刹那主義だからさ。
今更どうしようもない過去の事や考えたって分かりっこない未来の事ばっかり気にしてたら
目の前の素敵な事が見えなくなっちゃうから。
それってオレみたいなげーじゅつかにとっては死活問題、みたいな?
だって音楽って感情を直接伝えるものなんだよ。オレの歌、ちゃんと届いてたらいいな」
笑いかけて、二人を残して走り去る。
意味の無い音の高低に何で人は心動かされるのか。
それは、音楽は、論理の産物である言葉を介さずにダイレクトに感情を伝達する物だからだと思う。
だから謳い手は心を曇らせては駄目。難しい事を考えずに前の前の感動を真っ直ぐに受け止めて今を全力で楽しまなきゃ駄目。
それがオレの生き方だ。軽薄と思われたって構わない。

25 :
パンケーキを受け取り、段差に腰かけてパクつく。周囲の喧騒が妙に遠く聞こえてきた。
一仕事終えた安堵で疲労が一気に押し寄せてきたようだ。
「ふぁ〜あ、疲れた……な……」
そのままうつらうつらと目を閉じて浅い眠りに落ちたのであった。
――夢を見た。
何故かタキシードに身を包んだオレは、教会で誰かを待っている。
こりゃ夢だな、と即座に理解した。だって未来永劫200%有り得ない状況だろコレ!
それにしても一体誰を待っているのだろう。どうせ夢だ、可憐な美少女が出てきてもバチは当たらないだろう。
やがて扉が開き、光の中から待ち人が現れる。
「……」
ボルツさんが縄で簀巻きにしたなんかでかいのを引きずって来たんですけど……。
「ぬわーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!? いっそ全裸の方がましだよ!」
断末魔の悲鳴をあげながら飛び起きた。何か物凄い精神的ブラクラな光景を見たような気がする!
「落ち着いてくださいフォルテさん! とう!」
リーフが後ろからヘッドギアをはめた。そういえば、今まで外したままだったのか。
ならばさっきの夢は誰かの強い想いの影響を受けている可能性が高いのだけど……。
ただの意味不明な夢と流しそうになったが、少し前の何かを予感したようなゲッツの様子が思い出された。
――ああ、そういう事か。
「――リーフ、ばっさり切っちゃって。あといつもの服」
「修行への決意を現すために断髪ですね分かります!」
と言うよりやめどきを失ってた女装がようやく元に戻るだけですからーっ、残念!
という訳で通常グラフィックに戻ったオレは、一人で飲んだくれているゲッツを見つけた。
「こんな所にいたのかゲッツ」
敢えて慰めの言葉はかけずに笑いかけ、手を差し出す。
「そろそろ行こうぜ! オレ達の戦いはまだまだこれからなんだからさ!」

26 :
「起きたか?二人とも。」
二人が、起きたのを確認し声をかける。
「俺も、若干気持ち悪いけど頑張って、おまえ等、転送するよ。」
アサキムも昨日の宴は、ハイになっていたらしい、目に隈ができている。
「うーんじゃ、地獄にーGO!」
光が収束、二人の周りにまとわりつき、そのまま仙界に飛ぶ。
しかし、肝心のアサキムは。

27 :
飛ばされていなかった。
というより飛ばなかった。
「さてと、」
アサキムは、バイタルに向かい。有ることを調べ始めた。
それは、
魔王レヴィヤタン。
かつて、別次元で、フォルテの親、テイルや俺と戦っていた。やつ。
「もし、死骸が、ありそれに、あれがついたら」
考えるだけで、ゾクッとする。
「あいつに確認とるか。」
そう言うと、ケータイで、ある奴に連絡を取る。
「もしもし、士?ああ、ライダー大戦以来か。それで頼みごとがある。」

28 :
一方、仙界では、二人が王宮に転送されていた。
「予定より、早いご到着なによりです。」
起きた、二人に声をかけたのはアヤカであった。
「さぁ、素戔嗚さまが、お待ちです。」
二人は、王宮の中央部に案内される。
「汝が、テイルの子と、その守護者か?」
二人を、筋肉ムキムキ爺が見る。
「よう、来た。我が素戔嗚尊じゃ。」
その、笑った、筋肉ムキムキ爺こそが素戔嗚尊である。

29 :
>「好きなら好きって言えば良いんだってのォ。
 お前さんはよォ、確かに超強ェし、長生きしてるし、何考えてるか分かんねぇし、悩み事もたくさんあるだろうけどよ。
 そういう細かいこととかよ、そんなン気にする位ならまず一言お前が言う事があンだろォが。
 まずエス平! 静葉さんに愛してるって言ってやンなァ。世の中、口に出したほうが良い事だってあんだからなァ。
礼の言葉を述べていた時、静葉とエスペラントの背後にて間に入り
彼に対してのそうシンブルだが一番大事な言葉を告げること
>あと、静葉さんも。こんなご時世、愛する人の半歩後ろを歩くなんざ古いぜ? きっちり、女房やってやんねェと、この手の輩はふらふら彷徨っちまう。
 好きならがっつり、捕まえちまいな。――ま、てめぇ等おめでとうってこったな!」
彼女に対してはその気持ちを当たり前のようにその傍に絶対に離れずいる事を
お互いの気持ちの擦れ違いを正すように普通ならば明確な答えを告げながら
二人を向き合わせて、立ち去ってしまう。
その後に続きフォルテもやってくると
>「なんかゴメンね。強引にお祭り騒ぎのダシにしちゃって……。オレって刹那主義だからさ。
今更どうしようもない過去の事や考えたって分かりっこない未来の事ばっかり気にしてたら
目の前の素敵な事が見えなくなっちゃうから。
それってオレみたいなげーじゅつかにとっては死活問題、みたいな?
だって音楽って感情を直接伝えるものなんだよ。オレの歌、ちゃんと届いてたらいいな」
そんな事を言いながらさっさと立ち去ってしまう
こんな二人に対してエスペラントはやれやれと首を振りながら
だがその表情は笑っていた
「まったく言いたい事を言って立ち去るとはな…
贅沢を言えば本当ならば静葉に合わせて和装の結納の方が
私達では似合っていたのかもしれないな」
今では殆どいないと言って良いほどのエスペラントの最愛の人が聖女ならば
静葉は間違いなく大和撫子と言われる負けず劣らずな可憐な乙女である
そんな彼女もクスっと笑う
「でも第三者から見れば正しい事なのだと思います、だから
彼らの言うとおりに再度誓います、私は二度と離れません例え行き先が最終的に地獄であっても
貴方について行きます、でも絶対にそうならないように私は貴方のお傍に居続けます
この魂魄が燃え尽きるその日まで、貴方を愛し続けます」
それは出会ったときから変わっていない永遠の誓い、最早畳の上では付き添う限りはRない事も
子供達の顔も見れなくなるかもしれないことも、地獄を延々と見せ付けられる事もある定めに付いてしまった
愛する人の目の前で再び交わす。
「…僕はね、やっぱり最悪の状態になってでも忘れないでくれていたイリューシャは絶対に見捨てないし
永遠に愛し続けると決めた、けど静葉もそれと同じくらい君が愛してるんだ
どちらかを選べと言われれば僕は自分の死を選ぶ、それくらい僕には欠かせない存在なんだ
だから…そんな僕でも好きなままで―」
その先は言えなかった、なぜならば静葉は唇を己の唇で塞いだからだ
例え愛する人がもう一人居ても構わないという意思表示で
丁度その時に鐘が鳴り響くと近くに居た鳩のような鳥達がバサバサと飛び立つ
偶然だろうが、いやコレには彼の友人であり
この世界のことを覗いていたヤハウェの祝いたいという気持ちで些細なほんの僅かな干渉があったものの
二人を歓迎していた、その愛がこの世界をいや全ての世界に共通する最も強き力で何物をも救える基本元素であった。
この世界に置いても重要な物に違いない

30 :
結婚式という宴は終わり、人々はまた一人と去っていく
辺りも暗くなっていく最中、二人は手を繋いでいた。
やはりそのまま何処かの宿に泊まるのもいいかもしれない
身体は幾度も重ねてきたが、まさか今日が新婚初夜になるとは夢にも思っていなかったため
とても二人は初々しい気持ちになりそれが無言と言う雰囲気で出ていた。
そんな状態で宿に入るまでのあと少しという所で脆くも崩れ去る。
「ッ!!」
エスペラントの全身は悪寒と共に彼の片目にはすぐに自我の色が一瞬で消えて
半永久闘争存在化している事にすぐに気づき悪意が込められている視線にすぐさま振り向くと
それは一人の少女否―その姿をした最強最悪の怨霊がニタニタと笑っていた。
その存在は並の魔王以上の力を持った、余りにも邪悪すぎる故に世界守護者委員会以外にも目を付けられた存在だった。
「静葉―すまないがアサキムの知り合いの所に送る、済まない!!」
「主様!!」
余りにも性質が悪すぎる相手に対して、お互いを強化していないこの状況は危険すぎるため
すぐさまにフォルテとゲッツより最初に静葉を仙界に送るように飛ばし、アサキム達に保護してもらえるようにしながら
最悪の怨霊―少女へと転生した佐伯伽椰子に視線を向けるが最初から居なかったように姿が消えていた。
「…最悪の展開―アイツが出てきたという事は本気でこの世界が滅ぶかもしれん」
事実佐伯伽椰子は世界を一つ滅ぼしている、この苦しみを他人に味わわせてやりたいと思う奴が
世界一つ滅ぼした程度で収まるわけがなく、例え平行世界の同一人物でも最重要危険人物だから
発見次第即時抹Rる事を出来る許可が与えられている。
そんな奴が種子を手に入れる前に始末を付けねばならぬと真っ先にその後を追うのであった。

31 :
騒ぎを見下ろしながら酒をかっ食らう竜人一人。
輪の外で目を細めて座り込んでいたが、目の前に見知った顔の両声類が立って、笑う。
よぉ、と声を掛け、駆けつけ一杯でぶどう酒を強引に押し付け飲ませて。
>「こんな所にいたのかゲッツ」
>「そろそろ行こうぜ! オレ達の戦いはまだまだこれからなんだからさ!」
「――っへ、なんだその打ち切りっぽいセリフ。
 とォぜんよォ、この俺様の敵をやるにはあんな神様ぽっちじゃ役不足だってのォ。
 喧嘩するためにも、ちょいと本気で行きますかねぇ」
差し出された手を取って、竜人は立ち上がる。
いつもの通りに、差し出された手を取ったかと思えば、肩にフォルテを担ぎ上げて。
師の遺志を引き連れてゲッツは歩き、店主無き店で一夜を明かした。
そして、朝起きて目をこすっている内に、ゲッツもフォルテもアサキムに話しかけられた。
かなーり一方的な畳み掛けの後に、アサキムは何かの術を発動する。
>「うーんじゃ、地獄にーGO!」
収束する光、飛翔する肉体、意識。
異界の果てを駆け抜けて、気が付けば居たのは仙界。
当然、ゲッツもフォルテもたどり着いたことなど有るわけがない。
「うっわ、オイオイ、なんかスゲー綺麗な建物あンだけどぶっ壊していいのかおい?」
修行と聞いていたゲッツは当然の様に、なにかを壊したり殺したり倒したりすると思っている。
その為、誰が聞いているとも知れないというのに、鋼の左腕をぐるぐると回していい笑顔を浮かべているのである。
現れたアヤカを見て、壊していいのかー?と壁をごすごす叩くゲッツ。土下座するフォルテ。いつもの光景だった。
なんやかんやありつつ、中央部までたどり着き、視界に収まったのはとても良い体をしたご老体、素戔嗚尊だ。
こいつと殴りあうのか、ともう既にゲッツはスイッチが入った万全状態。
だがしかし、その前にアンデットとやらとの戦いである。全くもってどんな物かは分からないが、何とかするしか無いだろう。
(――修行は苦手なんだがなァ。どーにも、お膳立てされると本気で行きづれぇ。
 ま、頑張るっきゃねーんだが。俺の実力の再確認も兼ねて――な)
腕を組んで、おう、と素戔嗚尊に挨拶をしつつ思考を巡らせて。
首をごきりと回し、全身に魔力を巡らせることで筋をほぐし、体温を上昇させて準備を万端にさせた。
今直ぐにでも修行を開始できそうな状態である。

32 :
なんか駆けつけ一杯飲まされた。
最近何故か昼間っから酒ばっか飲んでるような気がする!
10代(エセでは無く)の少年少女の加入はもはや想定していないのか、大変教育によろしくないパーティーである。
いつも通りにゲッツに運搬されて店に行ってみると、店主の姿は無かった。
やっぱりそうなんだ、という感じ。
その事には触れずに当然のごとく2階にあがって一室を占拠して。
普段ならここで枕投げが始まりそうな所だがそんな元気はなく、モナーを抱いてベッドにダイブする。
「おやすみっ! うるさいからいびきとかかくなよ!」
――どれぐらいたっただろうか。オレはモナーを抱いたまま悶々としていた。
遠足の前日じゃないんだからさっさと寝ろ自分。
隣から大いびきは聞こえてこないが、とうに深い眠りに落ちているのだろう。
そう思って一方的に語りかける。
「なーゲッツ、この歌覚えてる……?」
子守歌のようにそっと歌う。
「積み上げた石は置き去りにして見つけ出せ 次なる星の欠片 淡い葉陰にゆらめく水晶
一夜の夢織り上げる宵に安息の繭はほどかれていく 清められた夜の遠い物語に蒼月の翅は舞い降りぬ――」
歌っている間に全身の緊張が心地良く解けて、寝る体制に移行する。
次第に意識に帳が降りて、今度は夢も見ずに、ぐっすりと眠った。

33 :
――次の日
>「起きたか?二人とも。」
「むにゃ……父さん……? ねえ聞いて。すっごい夢を見たんだ!
世界が危機になって、世界を救う英雄に出会うんだ! だけどそいつがひっどい奴でさー」
「だぁれが酷い奴だってェ!?」
突っ込まれて我に返り、悶えながらベッドの上を転げまわる。
「うわー恥ずかしー!」
洗面所に駆け込んで冷水で顔を洗う。
そのまま超スピードで身繕いをし、いつも通りキマったV系吟遊詩人の様相を取り戻した。
>「俺も、若干気持ち悪いけど頑張って、おまえ等、転送するよ。」
>「うーんじゃ、地獄にーGO!」
何はともあれ――こうして、修行編が始まった!
次元を超え、気が付いた時に目の前に広がっていた光景は、地獄とは正反対、天国ともいうべき場所だった。
「うわあ、なんて――」
綺麗なんだろう、と言おうとした時、ゲッツの第一声。
>「うっわ、オイオイ、なんかスゲー綺麗な建物あンだけどぶっ壊していいのかおい?」
「なぜに壊すし!? いや、普通の場所ならもう今更何も言わない。でもここ仙界。超人のすくつ。
その気になればオレ達なんて虫けらみたいに捻りつぶされちまう! どぅーゆーあんだーすたん?」
と、滾々と言い聞かせるもそんなの関係ねえとばかりに結局いつものパターンが踏襲されるのであった。
そんな感じで、アヤカさんによって筋肉ムキムキの爺さんの元に案内される。
>「汝が、テイルの子と、その守護者か?」
>「よう、来た。我が素戔嗚尊じゃ。」
「あれ、母さんが天照……。あなたは素戔嗚、という事は……」
「うむ、神の世界は色々あって複雑なのだが叔父と言って言えない事はない」
「マジかよ……!」
ゲッツの方を見ると、すでに準備万端いつでもどうぞという感じである。
「楽しそうで何より。たまには後ろを気にせずに好きなだけドンパチしてくれ!」
マッチョ達が繰り広げる超絶肉弾戦に巻き込まれないように後ずさる。
オレはセイレーンに呪歌を教えてもらう予定だったはずだ。

34 :
「あっ、もしもし?どうなった?」
アサキムは、そろそろ、着いた頃かと思い先に、いってるアヤカに連絡した。
「二人とも、ついてますよ。あと」
「静葉さんが、転送されました。」
「なんだと!?」
付き添い人が、急に転送された、しかも主が、
「解った、二人には伝えるな、その件は、俺が処理する。」
「御意。」
久しぶりに聞いたな、とか思いつつ。
急いで、布陣を書き、バイタルを起ち、ヱヴァンジェルに向かうことにした

35 :
一方、仙界では
「ほう、勢いは、ありそうだな。じゃが」
素戔嗚は、ある動作をした。
それは、正拳づき。ただの
その風圧で、敵を滅するというものである。
勿論、周りの仙人は、しれっと決解を貼り防御
アヤカは、転送付で、フォルテを別の場所に送る。なぜか静葉さんもいる
本人曰く
「いや、暇だから」
夫がピンチなのにこんなぐわいである。
「ほんとは、速攻、行くつもりなんだっけど、あの人まだ目覚めないというし。」
「しょうがないから、前の宮殿で肩慣らししましょう」
そう言うと、アヤカは、フォルテを持ち上げる、お姫様だっこで
「あれ?、あなた鎧きた、ジャンヌダルクより軽いわよ?」
そのまま、宮殿に駆け出す。
「やっほーきたきた。」
宮殿の前で、待っていたのは、弓よう姫のなで知られている。孫尚香である

36 :
>「楽しそうで何より。たまには後ろを気にせずに好きなだけドンパチしてくれ!」
「は――ッ、てめェも楽しんで歌って奏でてきな。
 ソッコー終わらせてまだグダグダしてるお前をにやつきながら眺めてやるさ」
犬歯をむき出しにして、右手の指をびしりと立てて笑う。
敵に対応して強くなっていくとゲッツの性質は、エスペラントの永久闘争存在化とよく似ている。
だが、ゲッツのそれはエスペラントのそれとは異なる起源を持って生まれた力で、その最大値はこのままなら¢蛯オたことではない。
瞬間的に神域に足を踏み入れることはできても、一瞬のみの神域であるし、辿り着ける高みも大したものではない。
それでも良いと思う。最初から最強で、総てを知って、何にでも勝てる存在だったのならば、今の己のように戦いに敬意を抱いていなかっただろうから。
>「ほう、勢いは、ありそうだな。じゃが」
「ヒ、ヒャハッ! 上等よォ――――!
 砕けるかよ、吹き飛ぶかよ――、竜がそんなそよ風でやられると思ったら大間違いだぞこの野郎が。
 力一辺倒でやられてたまるほど、今の俺は弱かねぇよ!」
素盞鳴が放つ正拳は確かに強力で、そして範囲も非常識に広い。
だがしかし、ゲッツはそのレベルを知らないわけではない。
これまでの戦いの経験は、確実にゲッツに経験値を与え、同時にレベルアップさせていた。
鋼の左腕に意識を向け、体内に溶け込んだ魔術炉心に火を入れるイメージを固める。
義手に組み込まれた魔術回路に電流の様に魔力が走り、術式が起動する。
真正面から剣圧に拳でぶつかり合うと同時に、その風に裂け目を作って弾き飛ばした。
一瞬生まれた空隙に吹きこむ風を背に受けてゲッツは地面を蹴り、間合いを詰める。
「――ヒャハハハッ! こんくらいで潰れてくれるなよマッチョ爺!」
魔術回路から膨大な魔力を吹き出し、拳に圧縮した状態で叩きこむだけのシンプルな技。
しかしながら、小手先の技術等を抜きにした、実践で鍛えられた体捌きから放たれる左拳は異様な威力を誇る。
中級クラスの竜種並の膂力と破壊力を発揮する左拳のフックを、躊躇うこと無く素盞鳴尊の腹部に叩き込んだ。
(……アンデットとやらも有るようだが、喧嘩売られたならヨォ……)
「買ってやるっきゃねぇわなァ、んで持って勝つッ!」
買われた喧嘩は買うのがゲッツのスタンスだ。
真紅の軌跡を残し、ゲッツの足元の地面に放射状にヒビが入る。
軌跡は数条へと増えていき、一息で5発の打撃が一斉に素盞鳴の正中線に叩き込まれる。
轟音を立てて素盞鳴を吹き飛ばしたゲッツは、しかし油断をする事無く追加で口から魔力ビームを叩き込んだ。
土煙の向こうから、まだ倒しきれていない相手が出てくるのを予測して、ゲッツは腰を落として構えを取っていた。

37 :
>「は――ッ、てめェも楽しんで歌って奏でてきな。
 ソッコー終わらせてまだグダグダしてるお前をにやつきながら眺めてやるさ」
「お前ってどこまでも自信家だな、さっさと終わらせてオレの美声を聞きにこい!」
指を立てて笑い返した時、周囲の風景が変わる。
アヤカさんによって転送されたようだ。そこには意外な人物がいた。
「静葉さん? エスペラントさんは一緒じゃないの?」
>「いや、暇だから」
その不自然な態度を見て何か変だな、と思いつつも、それ以上問い詰める事はしなかった。
>「ほんとは、速攻、行くつもりなんだっけど、あの人まだ目覚めないというし。」
>「しょうがないから、前の宮殿で肩慣らししましょう」
アヤカさんにひょいっと持ちあげられる。
運搬される事自体は慣れているのだが、一ついつもと決定的に違う事があった。
これは俗に言う所の……
「お、お姫様だっこ――!?」
>「あれ?、あなた鎧きた、ジャンヌダルクより軽いわよ?」
「そりゃ鎧着た人より軽いのは当たり前だから! 降ろせよー!」
オレの抗議なんてお構いなしにアヤカさんは足取り軽く走り、宮殿の前まで辿りつく。
>「やっほーきたきた。」
入り口で出迎えたのは、弓を持った女性武将のような人物だった。弓……?
まさかと思って聞いてみる。
「えーと……呪歌士クラスだって報告はあがってるよな?
まさか普通に戦闘訓練されるわけじゃないよな!?」

38 :
「ふっ、まだまだ青いなぁ。」
全ての、攻撃を受けても、なお平然としている。素戔嗚
「じゃが。」
周りのアンデットカテゴリー2〜10は全滅している。
「なら。」
素戔嗚尊の剣が青く煌めく。
「ぬん!」
仙気が一気に解放され、無限の斬撃がゲッツに襲う。
「あとは、お主たちに暫く任せる。」
放った後に、残りのA J Q Kが一気に襲う

39 :
その頃、フォルテたち、は
>>「まさか、普通に戦闘訓練するわけじゃ」
「っ?そだよ。」
あっさり言う、アヤカ
「でも、普通の武器じゃないよ。」
意味深な発言をする尚香
「えっと、これ」
そう渡すのは、本多忠勝の娘稲姫
「これは、三國志の時代の扇降ると」
忽ち突風が吹く。
「ね?使えるでしょ。」
どや顔する尚香。
「だから、これぐらい使えなきゃいけないの。自己防衛程度に」
「だから、私たちの弓を跳ね返す練習をするわよ。」
「アヤカは、甲斐姫たち押さえるのやってね。」

40 :
これまた変わりヱヴァンジェルに、
「ビャクと、全次元で抹殺許可が出てる。奴か」
「危険だな。さて……!?」
相対していた、怨霊は、こっちを向き
襲いかかってきた
だが、
「世界の理は俺に味方する故に」
「貴様の、攻撃は利かない」
さっと、一撃を食らわし、吹き飛ばす。
「こっちも、本気で行く 天地仙魔転生降臨」
全身が、オーラに包まれ一気に変わる
それは、四つの翼と、二つの魔の羽
「さて、ここで待機でも、これにはなっとかないとな」
これが、アサキムの本気 「天魔覆滅」
「ほんとは、町ごと吹き飛ばしたいが、しゃあない」
天と地を表す剣、ラクネルとエターナルを持ち構える

41 :
>「ぬん!」
目の前に襲いかかる、無数の斬撃。
それらを前にして、ゲッツは慌てること無く、息を吸い込み目を細める。
普段のゲッツには見られない落ち着いた様子は、師であった故ボルツのそれに似ている。
数こそ無数とは言えど、目の前の斬撃自体は直線を描き、交錯していた。
「――この程度の物理ゴリ押しなら、案外なんとかなるわな」
時折腕で弾き、同時に健脚で斬撃を飛び越え、咆哮で斬撃を打ち消した。
そして、一気に襲い掛かる各スートのエース、ジャック、クィーン、キングの化け物たち。
それらを見て、ゲッツが選んだ行動は、一つ。
全体の攻撃をギリギリまで引きつけた上で、全てをすれすれで回避してみせる。
ゲッツの首筋やえらの汗腺から冷や汗が漏れだすも、かろうじて16体の化物の相手は可能であった。
迫るJのアンデット達を前にして、ゲッツは牙を剥き生身の右手を振りぬいた。
(――折角の修行だ、体術一個一個確認してくか。
 腰を捻って、爪の先端まで気合を入れて、後は全力で――ぶち込むっと」
天から襲いかかるイーグルアンデッドの心臓を真芯を捉えて爪で貫くゲッツ。
その威力は強力極まりなく、一撃でイーグルアンデッドは上半身と下半身を別れさせた。
多種多様な敵が居て、数も多いこの状況はゲッツにとって不利でもなんでもない。なぜなら、多対一こそが全方位殲滅師の本領。
戦場における一騎当千の二つ名は伊達ではない。どんな敵が出てこようと、ゲッツはそれに対応する策を見つけようとするし、取れる手段は実際に多い。
Jのアンデッドの残りは3体。
哺R類や鳥などの恒温動物が多そうであるが、その分虫系などに比べて強度はそう高くはない。
一斉に襲いかかってきた残りの三体を見て、鈍色の瞳を細めて犬歯をむき出しにした。
左腕に魔力を込めると同時に、前方の空間を叩くように左腕を叩き込み、魔力の篭る衝撃を三体のアンデッドに打ち込んだ。
周囲の空気は竜の咆哮が駆け抜けたかのように微細な振動を続けているが、三体のアンデッドはそれを気にすること無く牙を突き立て、打撃を放つ。
しかし、次の瞬間だ。全体を睨みつけるゲッツが息を吸い込み、雄叫びを解き放つ。
「キシャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
その叫びを呼び水として、三体のアンデッドの体内に残っていた振動が増幅されていき、数秒後には粉々に砕け散る。
破片を振り払いながら、ゲッツは残るQ,J,Aのアンデッド、そして素盞鳴を見て口元を弓状に歪めた。
両手を強く、強く握りしめて全身に魔力を巡らせながら、さっさとかかって来いと、そう叫ぶような視線を向けた。
次に進み出たのは4体のアンデッド、カテゴリーはQ。
オーキッドアンデッドによってゲッツの周囲の空間は幻惑されかけるが、先程の竜種の咆哮によって周囲の空間には魔力が散っている。
即座に幻惑空間の完成はならず、その隙を狙うようにゲッツは鋼の腕を刃に組換え、真上から一刀両断に引き裂いた。
(腰が全ての軸。足の動作、重心の動きを意識しながら――相手の筋を断つんじゃなくて、裂くように。
 抵抗のない動きが一番美しい型で、一番有効な力の振るい方だ)
返す刃で背後から襲いかかるサーペントアンデッドの蛇骨の刃を受け止めた。
一瞬の拮抗の後に、滑りこむように懐に潜り込んだゲッツはサーペントの腹部を貫き、真横に振りぬいて横に両断。
そのまま死に別れしたサーペントを蹴り飛ばしながら一歩前に動き、その奥から蹴りを放とうとしていたカプリコーンアンデッドに切っ先を叩きこみ吹き飛ばす。

42 :
「フォォォォウ!」
変幻自在な動きからカプリコーンアンデッドは衝撃並を放つも、ゲッツの咆哮によって真正面から打ち消された。
その隙を狙うようにしてゲッツは翼を展開し空を叩く無作法な飛び方で距離を詰め、そして心臓を貫いたまま天空に持ち上げ、地面にカプリコーンをたたき落とす。
致命傷ながらも、三日月状のブーメランを展開するが、発車する前に翼をたたんだゲッツの空中からのストンピングキックによって頭蓋を砕かれる。
これで、残るQのアンデッドは一体。タイガーアンデッドのみとなる。文字通りに獅子奮迅の大活躍である。
武器を持たず、素手でゲッツの前に立ちはだかるタイガーアンデッドを見て、こいつは戦士であるとゲッツは判断。
同じような素手のスタイル――但し生身の部位は少ないが――で、相対することとした。
タイガーアンデッドが距離を詰め、打撃を放ちゲッツのみぞおちに攻撃を叩き込むも、ゲッツは口の端から唾を吹き出したのみで踏みとどまる。
ゲッツが取った手段は――頭突き。ねじれた角を相手の頭蓋に叩きこむような豪快極まりない攻撃で、相手の額に大穴を開けて絶命させた。
飛び散る鮮血を振り払いながら、凄然とした様子でゲッツは静かに笑みを浮かべて、残り八体へと減ってしまったアンデッドを見据えている。
アンデッド達も、並大抵の敵ではないとようやっと気がついたのか警戒の様子を見せ始める。
ゲッツは決して弱くはないのだ。この修業が戦闘経験をつませるためのものであったならば、ゲッツに戦闘経験は十二分だったと言える。
なにせ、物心ついた頃から一歩間違えれば死に瀕する戦場で、捨て駒の人生を送ってきたのがこの僧兵系男子のゲッツ=ベーレンドルフだ。
殴ったりブレスを吐いて倒せる相手ならば、ゲッツにとって怖いものは存在しない。太刀打ち出来るかできないかではなく、戦えるかどうかがゲッツの判断基準だ。
次に足を踏み出したのは、Aのアンデッドだ。
虫系のアンデッドであるAのアンデッドは、どうやら様子見をしていた様で、一気にゲッツとの距離を詰める。
どうやら、一対一ではなく一斉攻撃に持ち込めば倒せると思ったようであり、たしかにそれは普通ならば間違った判断ではない。
スパイダーアンデッドが粘着性の糸を吐き出し、ゲッツの皮膚に牙を突き立て溶解させようとして。
スタッグビートルアンデッドが大顎を開きゲッツの四肢を両断しようとする。
その状態から一気に止めを刺そうと、マンティスアンデッドとビートルアンデッドが同時攻撃を放ち、絶命させようとする。
が、しかし。マンティスのカマキリの刃はゲッツの牙によって受け止められ、牙を突き立てたスパイダーは傷から飛び出した流体金属の穂先に頭蓋を潰された。
スタッグビートルの大顎と、ビートルの大剣はいつの間にか皮膚から浸潤し現れた外骨格装甲によって防がれ、押し返されている。
「――、舐めんなよォ?
 数が多いのは認めるしよ、個性豊かなのも理解した。
 だがよォ――この程度じゃ全然びりびりバチバチこねェってんだよ! たりねェぞォ!」
ゲッツの怒号と同時に、体から吹き上がる赤黒い竜種の魔力が装甲を進化させていく。
膨れ上がる装甲は瞬間的に炸裂し、無数の破片を周囲にばらまき一撃で4体のアンデッドを細切れにした。
皮膚からは即座に追加の装甲となる生体金属が展開されていき、全身を覆う白銀と真紅を基調とした生体的なフルアーマーを作り出す。
確かにアンデッドも化物であるが、きっと多くの人間がアンデッドの破片を浴びながら笑うゲッツを見れば、化物と彼の事も罵るだろう。
だが、知ったことではない。それでも戦いに生き、戦いに信仰を求めるのが、ゲッツの生まれた意義であって、誇りの根幹だからだ。

43 :
残ったKを前に、ゲッツは中指を立ててちょいちょいと誘うような動作を取る。
お前らで最後だ。そう口元で小さく呟き、気合入れてこいよ、と更に付け足す。
最後のアンデッドグループとの衝突が――始まる。
ギラファノコギリクワガタアンデッドが一歩を踏み出し、両腕の双剣を振りかぶり距離を詰める。
Kのアンデッドだけ有ってその戦闘力は極めて高く、ゲッツと互角に切り結ぶ。
だが、徐々にゲッツが速度と虫の膂力に追い詰められていき、鋼の義手が切り落とされる。
このまま止めとばかりに双剣を振り上げたギラファノコギリクワガタアンデッドは、ゲッツの剣によって首を切り落とされて絶命。
――切り落とされた鋼の右腕を口で捉え、刃に変形させた状態で首の力で叩ききったのである。
戦いを進めていくごとに、ゲッツの動きからは無駄が消え、本来の竜種の在り方に近い本能的な戦闘法が目立ち始める。
好戦的なものが多いものの、ここまで戦闘に特化して生まれてきたハイランダーは間違い無くゲッツ位のもの。忌み子と言われた理由もここにその一端が有るのだろう。
タランチュラアンデッドは、左腕からネットを飛ばし、毒の爪でゲッツを殺そうと地面を蹴った。
ネットに腕を囚われるも、距離を詰めたタランチュラアンデッドに向けて火炎のブレスを吐きつける。
怯んだその瞬間に向けて、再度火炎のブレス。そして、最後に魔力を込めた咆哮の光線を叩きこんで絶命させる。
赤い鱗の竜人は、胸元に刻まれたfの文字状の傷を輝かせながら、邪悪極まりない笑みを浮かべていた。
時折顔を歪め、正気に戻りかけるも、戦闘の狂熱とはまた別の狂気に囚われた気配がゲッツからは感じられる。
パラドキサアンデッドとコーカサスビートルアンデッドを前に、両腕を構えて笑い声を響かせる。
瞳に赤い光を宿らせ、全身から平時のものとは質を異ならせる魔力を吹き上がらせる。
暴虐という言葉がこれ以上ないほど濃密な魔力は触れるだけで周囲の物体を侵し、罅を入れていく。
それを抑えるように、鮮烈ながらもどこか穏やかな光がゲッツの歴戦の古傷から漏れだし、拮抗しあっている。
暴れる鼓動は、遠く離れたフォルテの耳にも聞こえたかもしれない。ゲッツの持つ、祖竜の狂気の精神が、霊的なラインで伝わってもおかしくはない。
「どうだ、かかって来いよ。あとはお前らだけだ。直ぐに原型を留めないスクラップにしてやる。
 ドラゴンって存在の強さをテメェらに刻み込んでやる。誰が最強か戦いで決める?
 そんなもん、ドラゴンに決まってんだろうが。だから見せてやる、教えてやる――ッ!」
一斉に飛びかかる二体の強力なアンデッドを前に、不敵な態度を崩さないゲッツ。
装甲が変化していき、全身の装甲が刺々しい装飾を纏い、赤黒く発光し始める。
にやり、と口元を歪め、両手を胸の前で合わせ、吹き上がる魔力に胸の傷から漏れだす赤い光を混合する。
「ティラノドライブ・エナジー!」
真紅が世界を染め上げた。
時間にしては一秒に満たない瞬間の後、既にそこにアンデッドは居ない。
荒く息を吐き、憔悴した様子のゲッツの翳した両手の先にある宮殿は――その一角を文字通りに蒸発させていた。
異様な高熱を圧縮した熱線を解き放ち、アンデッドの群れに全力で叩き込んだだけでこの威力。
規模は小さいものの、最大火力自体はかなりのものを誇っており。そのままゲッツは頭を押さえるようにしてうめき声を漏らして、地面に崩れ落ちた。

44 :
>「っ?そだよ。」
「おんぎょおおおおおおおおおおお!? 帰る! 今すぐ帰る!」
不思議生物 は 逃げ出した! しかし 回り込まれた! ……リーフに。
「逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ、モナーちゃんは預かっておきますから頑張って下さいね〜」
「お前いたんかい!」
>「でも、普通の武器じゃないよ。」
>「えっと、これ」
渡された物は、二つ一組の扇。
>「これは、三國志の時代の扇降ると」
試しに上から下に振ってみる。
すると突風が巻き起こり、向こうに置いてあった置物が倒れた。
うわーやっべー!
「うを!? す、すみませんそんなつもりじゃ……!」
>「ね?使えるでしょ。」
>「だから、これぐらい使えなきゃいけないの。自己防衛程度に」
>「だから、私たちの弓を跳ね返す練習をするわよ。」
「うわ、たたみかけ三段論法! しかも女性武将っぽい人わらわら出て来たし!――ちょわっ!」
鼻先を矢が掠めていき、斜め後ろに突き刺さる。問答無用で戦闘訓練が始まってしまったようだ。
しかも稲姫と尚香が二人掛かりで撃ってくるときた!
「えっ、次どっち!? ひぃ!?」
いつの間にか飛んできた脇腹を掠っていく。やべーぞ、運動神経云々以前にまず矢が見えない!
正直に白状すると超人達(ゲッツ含む)が戦ってるのを見てても何が起こってるのか分かんなかったもんね……。
戦った、そして勝った! みたいな感じ。
「ぎゃあああああああああああああ!! 本気で無理っす!」
派手に転んだ頭上を矢が掠めていく。
「あら、わざと外した矢しか撃ってないのに勝手にヘタレてるわ」
「予想以上にどうしようもないわね」
「あなた、体育2だったでしょう」
「うるせーよ!! 格ゲーですら始まった瞬間に負けるよ吟遊詩人が運動音痴で悪いか!!」
見かねたリーフが、ヘッドギアを外すと言う提案をしてくる。
「フォルテさん、これ外してみたらどうですか?」
「呪歌の訓練ならともかくこれには関係無いだろ!」

45 :
思わず声を荒げてしまった。
精霊の声が聞こえ過ぎて心身に異常をきたすのは、地上ならどこでも多かれ少なかれ悪い精霊力の影響を受けるからだ。
ここ仙界なら悪い精霊力にあたる事はないだろう。
それでも、自分の普段は出ていない部分が出てくるのは怖い物がある。
「関係大アリモナよ? フォルテが真の精霊楽師なら。
忘れたモナ? 音楽とは森羅万象、全てのものにはリズムがある」
呪歌――最も原初の魔法にして、遠い昔に忘れ去られた神の御業の名残。
音楽を極めた者は、宇宙の全てと繋がる事が出来るという。
精霊を操ったり、人の心に作用したりするのは、そのほんの一端らしい。
「……忘れるものか。きっと父さんには森羅万象を手に入れた瞬間がある、だからオレがここにいるんだ。でも……」
精神崩壊寸前まで追い込まれて危うく破滅の歌を歌いかけた時の事がフラッシュバックする。
まだほんの昨日の事だ。
「……?」
不意に、不思議な感覚を覚えた。何だろう、体が熱い。狂気的なまでの情動を感じる。
こんな感じは、以前にも覚えた事がある。ゲッツと初めて対峙した時。
よく覚えてないけど、何故かは分からないけど、あの時嘘みたいに戦えたんだよな――。
どこまでも高みにいけるような、届くはずのない星に手が届くような、そんな気がした。
だったら、この情動に身を委ねてみようか。ゆっくりと頭に手をやり、ヘッドギアを外した。
抑えられていた髪がふわりと風になびく。それを合図にしたように、表情が豹変するのが自分でも分かる。
妖精が元来持つ無邪気故の残酷な部分を増幅したような笑み。
「くくっ、さっきのは冗談だ。遠慮なく当ててみろよ」
「やっと本気になったようね」
相変わらず矢の姿は見えないが、そんな事は関係ない。
オレが頼るべき感覚は? あの時何を頼りに戦った? そう――音。
弓をつがえる音。引く音。飛んでくる風切音。全て筒抜けだ。
「そこっ!」
まず一つ、楽勝で矢をはたき落とす。
音を頼りに、飛んでくる矢をはたき落としていく。
そうしながら、次にどうする? 鍵は――リズムだ。
リズムとはすなわち規則性と周期性。完全な不規則など、意思を持つ者にとっては不可能だ。
たとえ本人が意識していないとしても、たとえ意識的に隠そうとしても、そこには必ず何らかのリズムが発生する。
それを読みとってやればいい。後はそれが単純か複雑かだけの違いだけだ。
矢を叩き落とす毎に、矢が飛んでくる間隔が早くなっていく。
が、一度リズムを読んでしまえば、どんなに速い曲だって怖くない。
なーんだ、要はドラムを叩くのと一緒じゃん、朝飯前!
「そーおれ!」
さては矢が尽きたか――最後の矢を叩き落とし、ポーズをキメる。
「これ以上やっても当たらないぜ! お前達の”リズム”、読み切った!」

46 :
それの周囲には異常なまでに集っている様に見えた犬のような原形質の肉塊
ティンダロスの猟犬が最早確実に千を超える数が伽椰子の前に突如現れる
理由は簡単、獲物として認識された事そして時空を捩じ曲げる最悪の存在に対して送られる
執念深き不死身の追跡者として使役されているからである。
そんな存在に目を付けられた以上唯で済むはずもなく、全てのティンダロスの猟犬が伽椰子に襲い掛かる
しかし――
「…………やはりまた遭い見えたか佐伯伽椰子」
半ば自我が無くなり、無機質な考えに支配されていく中恐ろしい数の猟犬たちは
伽椰子の腕の一振りであっけなく粉砕されるがその度に数が増えていき彼女の周囲を覆い
隙を与えぬように矢継ぎ早に襲い掛かるののそれも時間稼ぎにしかならないだろう。
しかし、そんな状況でもニヤニヤと嫌らしく吐き気のする粘っこい笑みを浮かべて
意思が無くなりつつある街中に指を指すと、阿鼻叫喚の坩堝と化していた。
そこは正に地獄と言っても良い、街の人々に憑依した伽椰子が殺し合いを始めたのだ。
奴はエスペラント=ビャク・ミキストリとのRは出身世界を滅ぼした最初の時期から殺し殺される関係であり
彼が最早世界を守るためだけの殺戮機械として取り込まれた事により既に遡り過去の彼を殺しても別の彼が誕生し
同じ役割を継ぐという事を理解しているため、どう足掻いても倒せない事として認識しているからこそ
彼に対しての嫌がらせとして無辜の人々が殺し合うという事を仕向けているのであった。
「…貴様――!」
此方も残っている自我により激昂と共に腕を振り上げてティンダロスの猟犬により纏わりつかれ
身動きが完全に取れない伽椰子に対して黒き魔力で作られた十字の剣―無想剣が尋常ではない数で出現し
例え霊体だろうと干渉し、当れば唯では済まないように全身を串刺しにする。
「くそ…街の人を止めねばならないが―奴は何を仕出かすか分からん故に目を離せない
それにこのまま放置する訳にはいかない、ボルツ氏との約束のためにも!」
このヱヴァンジェルを守るとボルツとの約束をした以上は自分の出来る全てを持って
せめて果たしたいと考えているが、相手は全生命の敵と化した存在ゆえに意識を保っていられるのも奇跡なのだ
下手をすればこの場所すらも滅ぼさねばならない、奴にはそれが分かっていて出てきたのかもしれない。
だが、そんな時に伽椰子は全身に纏わりついていた猟犬を全て自身の怨念の力で吹き飛ばし
串刺しの状態であろうとも気にもせずにしていたが、そんな時にアサキムが来ている事に気づくと伽椰子が襲い掛かる
「これは好機か…?ならばこの街全域に力を行き渡らせる
あの世に行け、全力でな!!」
ヱヴァンジェルに対して瞬時にバクルス状の詠唱端末杖形態にすると
この都全体を対象にした壮大な破魔系攻撃魔法マハンマオンを発動させると
憑依されて殺し合いを始めていた者達は一斉に凄まじい苦しみと共に昇天し倒れていく
だがそれも伽椰子も例外ではなく、今持てる供給される全ての力も注ぎ込んだため
尋常ではない苦しみと怨嗟の声を上げて蒸発する。
「奴がこの程度で終らせるとはとてもじゃないが――ッ!!」
この先を言おうとした瞬間、一気に意識が失われると其処には無慈悲な殺戮機械である永久闘争存在が現れる
それは大勢のティンダロスの猟犬たちと共に何処かと一瞬で消える。
着実にこの世界での呪怨が広まりつつあった。

47 :
>>43
「ふふふ、後で、修理費用はもらうからな。」
ニヤニヤしながらも、崩壊した宮殿から出てくる、素戔嗚
「だが、その程度じゃ無意味じゃよ。」
すると、ミンチになっていた、A〜Kの全てのアンデットが復活!
「ほれ、もう一度、戯れろい。」
一斉に、アンデットが襲いかかる。
【エンド〜レス】

48 :
>>46
「まぁ、この程度じゃ終わらないよね。」
完全に、不完全闘志化した、ビャクは、倒さない限り止まらない。
「さて、」
【キャモナブラストシェイクハンド エクソシスト プリーズ】
ウィザーソードガンに特殊なリングを使い、発動される。
「もっと、苦しんでもらおうか?」
乱れ撃つ。
だいぶ弱ってきたのか、もう一度襲ってくる。
「ビャクも解ってねぇな 力だけじゃ、どうにもならねぇときもあるんだ」
その、怨霊にとってもデカい釘を打ち込む。
「どうにもならねぇときは封印すればいいんだよ」
蒸発しようが、まだ生きてる怨霊は、とてつもなく、生命力が高い。
なら、封印すればいい、永遠に
「まぁ、中でも力は異常消費される。諦めろ」
そして、その怨霊は、消える。
「とりあえず。町を元に戻すか。タイムベント」
町と、人を怨霊がくる以前に戻してやる。
「さて、仙界に戻ろうかねぇ。」
瞬転の術で仙界に向かう

49 :
>>45
「凄い、これが、フォルテ。」
「つーか、もうそれで生活しちゃえよ。」
「無理だよ。その弱点を克服するために安心院に会いに行くんだから。」
そんな話をしていると、
「次は、私たちが相手だ。」
という、雑賀孫市【BASARA】
武器は、鉄砲、ミサイルランチャー
「なんで、わらわまで。」
と、愚痴を言う。ガラシャ【無双】
武器は、火の玉とか使う腕輪
「文句言わない、アサキムの命令なんだから。」
宥める、練師【無双】
「さぁ、いざ!!!」
第二試合開始である。
「ちょっと、落ち着きなさいよ。修行の邪魔でしょ」
「うるさい、すっごい美形なんでしょ。見たいに決まってるじゃない。」
「機会は、アサキムが何とかしてくるから」
「ウルサい、今みたいの今」
宮殿の中では、熊姫っ、もとい甲斐姫と、アヤカが取っ組み合いになりながら。
必死に甲斐姫を止めている

50 :
>「ほれ、もう一度、戯れろい。」
一度完膚なきまでに粉砕したはずのアンデッドが、即座に復活する。
目の前に雲霞と立ちはだかる16体の異形たち。戦闘力自体はゲッツにとって大した脅威ではない。
確かに膂力は強く、その性質は多彩かつ強力なのだが、ゲッツの異様な耐久力と攻撃力の前では、それらは大した障害には成り得ない。
だがしかし、不死という性質それのみが、ゲッツにとって与し易い相手を最も厄介な敵へと変貌させた。
術師であればアンデッドを祓い昇天させられるだろう、吟遊詩人であれば呪歌によってそも戦闘自体を回避できるかもしれない。
パーティの他の2人にとっては、不死程度どうってこと無いのだろう。だがしかし、ゲッツは違う。
ゲッツに出来るのは、壊すこととRことだけで。そんな面倒な絡め手など使用できるはずがないのだ。
「――ち、ィ」
舌打ち。それでもゲッツは瞳の奥に、祖竜の一面――狂熱をチラつかせながら、立ち上がる。
展開されている装甲はこれまでの形態で最も攻撃的で凶悪なデザインとなり、周囲の空間を熱量を持った魔力でじりじりと焼き付かせ始めていた。
強大な力を内に秘めているが、身体構造自体は通常のハイランダー種の竜人と変わらないゲッツは、その強大な力に耐え切れない。
骨格がごきりと軋みを上げ、その激痛に眉根を寄せるが即座に体内に溶け込んだ生体金属が骨格と同化し補強、修繕。
アンデッドが襲いかかる瞬間に、右腕に力を込めて真横に振りぬけば眼前のアンデッドの全てが数mは吹き飛んだ。
それでも殺しきれず、ゲッツに何度も飛びかかっていくアンデッド、粉砕するゲッツ。
砕き、砕かれ、殺し、死にかける。焼いて焼かれて裂いて裂かれて。
それが何度も、何度も何度も続く。無限とも言える無駄な戦いが、数時間は続いていただろうか、
もう何度目か分からない復活を遂げたアンデッドの前には、ピンチからの強化復活を幾度も続けた、5m級の竜が立ちはだかっていた。
ゲッツの外見は竜人種の中でも割りと人の比率が高かったが、現在の外見はどう見ても人の因子を欠片に持つ竜そのもの。
祖竜ファフニールの再臨と言っても過言ではない程の禍々しく、しかしながらどこまでも力強い竜人の姿がそこには有る。
「グルルル……」
口の端から赤黒い焔を散らしながら、飛びかかってくるアンデッドの喉笛を牙で捉え、口の中でブレスを発射。
炸裂するブレスに粉々に体を粉砕され地面に叩きつけられるアンデッドを見て、黄金の瞳をぎらつかせた。
(――もう、この際だ。
 制御できるかできないかは、問題じゃねぇな。
 一回、限界まで挑戦してやるしかねェか。……殺しきれなきゃ、俺はこの先役立たずの馬鹿野郎でしかねェ。
 ……なァ、祖竜ファフニール様。きっと、俺ァアンタの血が濃いんだろうな、なんでもぶっ壊して、ぶっ殺して。
 壊すしか能が無いのは、きっと祖竜様、アンタの血を引いちまったからだ。
 でもよ、だったらよ。せめて意地として、ファフニール様。俺ァアンタよりももっと強い竜神になってやンよ。
 殺せない奴をぶっ殺して、壊せない奴をぶち壊す。そんな――絶対無敵の、災厄染みた竜人に――!)
ゲッツ・ディザスター=Eベーレンドルフ。
ミドルネームはゲッツの魂に刻みつけられた、忌み子としての忌み名だ。
それには、どういう意味があるのか。厄災の子である定めを背負わされた竜人の本領は――。
「Fortes fortuna adjuvat.(運命は、強い者を助ける)」
ゲッツが、口元で魔力を含んだ呟きを口にした。
祖竜信書、第一章一節。
運命が味方をするのは何時だって強者であり、良い定めを待つ者にはいつまでも運命の助けは訪れない。
運すらも引き寄せるほどの強い武力と意志こそが、戦場での全ての流れを支配し、力を持って運命すらも従える者が神となれる。
分かりやすい理論だとゲッツは思う。そして、己はそれが出来る者だとも、ゲッツは確信していた。

51 :
(――アイツが、俺を勇者に仕立て上げてくれンならヨォ。
 俺も、アイツの作る勇者様なんかより遥かに強くて気高くて格好良くなんねェと――ダセェよなァ。
 ………………行くぜ)
息を吸い込み、人の形質を失いつつ有る竜人は、鋼の腕を刃へと変じ、右胸に腕を伸ばす。
刻まれた傷に腕が沈み込み、不思議なことに血をこぼすこと無く、沈み込んだ腕は引き抜かれる。
引きぬかれた腕に握られていたのは――鋼の心臓。友の名を刻み、戦場での経験を刻み込んできた、ゲッツの核と言える部位。
それを左腕で握るゲッツは目を細めてアンデッド達を睨みつける。
アンデッドが一歩引いた。これまでに引くことなど見せなかった、あのアンデッドが、一歩後ろへと。
「――竜刃昇華[シェイプシフト]、完全竜化[ドラグトランス]」
竜人種特有の変身能力、竜化。
本来ならば、肉体の一部の部位を完全に竜種のそれへと変貌させる程度の物であるが、ゲッツの竜化は別物だ。
完全竜化。己の中に存在している祖竜と祖人の性質を強く認識した上で、魔術炉の支援を受けて発動する竜化は、全身の完全な竜種化を可能とさせる。
真紅の閃光が宮殿を染め上げ、光が止んだ宮殿には、暴虐の化身が君臨していた。
煌々と輝く黄金の瞳、血よりも尚鮮やかに光り輝く鱗、その上に装着された聖性すらも感じさせる白銀の鎧。
ずらりと並んだ牙の隙間からは、赤黒い焔と青白い焔が混ざり合う独特の火炎がチラついている。
「――――ホロビロ、雑魚ドモガァ!」
人とは異なる声帯で人のような声を発する以上、どこかぎこちなくなるのは必然。
だがしかし、その虚仮にされた怒りを含んだ雄叫びは、古代から人と戦い続けていた竜種の恐怖を呼び覚ます。
アンデッドに恐怖など無いのかも知れぬが、今この瞬間に於いて、アンデッドは距離を取るものと恐慌に陥り跳びかかる者に二分された。
だが、刃も衝撃波も網も蹴りも拳も、竜種の強固な肉体と、暴力的な魔力、強大な装甲の前には無為になり得た。
この竜種程、力という言葉が相応しい存在もそう存在しないだろう。
跳びかかるアンデッドの群れ、逃げ出すアンデッドの群れ。それらを見て、ふん、と鼻を鳴らす。
「カァッ!」
体内の魔力炉で魔力を生み出し、体内で練り上げた魔力を口から放射するだけの技、咆哮。
真紅の衝撃はアンデッドに命中し――、灰へと還して消滅させる。
不思議なことに、これまでに見せた通常のブレスと外見は変わらないのにも関わらず、アンデッドは蘇生しない。
10m級のドラゴンは、白銀と真紅の翼をはためかせて高速で移動し、腕をなぎ払い爪でアンデッドを両断する。
両断され、引きちぎられたアンデッドもまた、蘇生しない。
「ギシャッ! ギシャシャシャシャシャシャ――――――ッ!!」
16体のアンデッドの無残な死体の上に浮かぶのは、災厄の竜。ゲッツ・ディザスター・ベーレンドルフ。
宮殿全てに響き渡るような豪放な竜の雄叫びが開放され、魔力が仙界を揺るがした。
暴威を従える竜王は、黄金の双眸を素盞鳴尊に向けて、念話を送る。
『おい、素盞鳴。
 コレでとりあえずアンデッドとやらはぶち殺したわけでよォ。
 ――次は、てめェをぶち壊せばいいのかァ?』
普段と変わらないように見えるゲッツの態度。
だがしかし、破壊の衝動は隠しきれず、威圧感は周囲の空間を歪めている。
一歩を踏み出せば、足元のアンデッドは粉微塵に粉砕され、もう二度と復活しない。
第一の関門を超え、第二の修行が始まろうとしていた。

52 :
>「次は、私たちが相手だ。」
>「なんで、わらわまで。」
>「文句言わない、アサキムの命令なんだから。」
並び立つ銃使いと魔法少女と弓使い。
まだ呪歌の修行にはいかせてくれないという事か。まあいいや、やってやる!
「深い深い森奥に迷い込んだ村の娘、色あせた手紙を持って夜の館にたどりつく
Bad∞End∞Night――ダンスパーティーの始まりだ!」
それは、不思議の館で繰り広げられる狂乱の宴の歌。
>「ちょっと、落ち着きなさいよ。修行の邪魔でしょ」
>「うるさい、すっごい美形なんでしょ。見たいに決まってるじゃない。」
>「機会は、アサキムが何とかしてくるから」
>「ウルサい、今みたいの今」
「見ていいぜ。折角のショータイムだ。観客は多い方がいい!」
背に妖精の翼を顕現し、足を地面から僅かに浮かす。
今なら出来る、歌いながら踊る反則技が。
たとえ起こる物事は自分のあずかり知らぬ所で決まっても、それにどんな意味を与えるかは全てが自分の手の内、それが吟遊詩人だ。
戦いが苦手なら戦いと思わなければいい。 リズムに乗って歌って踊ってやれ。
声を使い分けて一人八役のミュージカルの始まりだ。
「不気味な洋館の 壊れた扉を叩く」「誰かいませんか」「おやおや、お困りですか?」
「ヨウコソ・・・」右手で矢をはたき落とし、「不思議ノ館ヘ・・・」左手で鉄砲玉をかわし、
「お茶を召し上がれ♪」両手で扇を一閃し火の玉を吹き散らす。
「あ、あれは古事記に記された神楽舞《カグラマイ》――呪歌による加護を自分自身にかけて戦う神代の技!
加護を自分にかけると他人にかける時とは桁違いの効力を発揮する……が動悸息切れで普通は不可能!
若者の体力低下が叫ばれ口パクライブが常識となった現代では忘れ去られた禁じ手です!」
リーフが解説を始めた。そうだったのか! 解説ありがとう!
そりゃ吟遊詩人がここまで戦えるようになるんだから桁違い、だよな。
「皆々集まって 客人は「値踏み」をされる」
普通ならこの辺で相手の戦力分析とか入るんだろうな。
でも知らん! バトルもの的なノリはよく分かんねー。とりあえず派手にやればいいんじゃね!?
「でも、こうして会うのも何かの縁」「ナラ、パーティー、パーティー!!」
「歓迎しよう!」「Hurry、HurrY!!」「ワインをついで」「どんちゃん どんちゃん♪」
「乾杯しましょう」「Are you readY??」「準備はいい?」―――「さあ始めよう!」
舞い踊りながら、矢を弾き返し、弾頭を逸らし、火炎球を叩き散らす。

53 :
「君が主役のcrazy night ワイン片手に洒落こんで ほどよく酔いが回ったら 楽しくなってきちゃった?
謳え踊れ騒ごうぜ 酸いも甘いも忘れてさ 気が狂っちゃうほどに楽しんじゃえHappy nighT」
オレは遊びに夢中な子どものように心の底から笑っていた。
一緒に遊ぼうとでも言う様に甲斐姫を手招きする。
解放された甲斐姫は、鞭のような剣を振り下ろしてきた。飛び退って避けてウィンク。
そのままじゃれ合うように舞い踊る。
歌の歌詞は、狂乱の宴から少女を襲う不穏な予感へと移る。
明けない夜、止まった時間、逃げ込んだ部屋で見たのは無数の棺。
でも大丈夫、これはBad Endの筋書をブチ壊す歌だ。
「君が主役の Crazy nighT 台本どおりに進むのかい? 今宵はどうなる? EndinG 全てはそう、君次第さ
探せ 探せ Happy enD 順番間違えたら終・わ・り True enD は棺行き? さあ、今夜も Bad ∞ End ∞ Night?」
そして歌の中の少女は、”ハッピーエンドの鍵”を拾う。
オレはモナーを呼び寄せ、二本の光の短剣に変化させて武器をそれに持ち替える。
「私が主役の Crazy nighT ナイフ片手にしゃれこうべ ほどよく振り回したら・・・ 楽しくなってきちゃった
逃げろ!逃げろ!一目散に! 舞台、台詞も忘れてさ 気が狂っちゃうほどに 壊しちゃえ Bad ∞ End ∞ Night」
甲斐姫と何度も切り結び、剣戟の音が響く。
これってあの3人との勝負だったよね。ま、いっか! 脚本? 筋書? ンなもん改変するためにあるのさ!
「君が主役の Crazy nighT キャストも舞台も無くなって物語が終わったら さあ、みんなで帰りましょうか
歌え 踊れ 騒ごうぜ 酸いも甘いも忘れてさ 気が狂っちゃうほどに 楽しんじゃえ Bad ∞ End ∞ Night」
光の剣を甲斐姫の喉元に突き付けてぴたっと止める。
その時、膨大な魔力の波動を感じ、竜の咆哮が聞こえた。思わず笑みが零れる。
「ふふっやってるやってる。
――安心しろよ。どんな残酷な運命も、どんなに完璧なBad-Endの舞台も、オレの手にかかればぶち壊れだ。
なぜならオレはハッピーエンドしか語れないんだよ! 頭の中がびっくりするほどユートピアだからなあ!」
狂気的なまでに楽しげな笑い声を響かせながら、アヤカ導師を振り返る。
「今の聞いた? あれの手綱を握ろうと思ったら生半可な呪歌じゃ通用しないぜ?
そろそろメインディッシュ、いいだろ?」

54 :
「はぁ、滅茶苦茶だ。」
アサキムは、呆れはて、コード天魔覆滅を解除
「ゲッツ、次は俺が相手になろう。」
すぐに、ゲッツを探し、相手になる
(ふーん、不死身殺しか。やるねぇ)
そう思うと、勢いよく、攻撃を始める
「パワーファイターは、お前だけじゃないってことを教えてやる。」
羽を使い勢いよく、突撃
回転しながらのキック
左足で、ゲッツの体を音速で突き上げ
さらに、追撃一気に、追いつめる。
「しまいだ。ソニックパニッシャー!」
アサキムから、ゲッツに向け音速の破壊光線が向けられる。

55 :
「うーん、メインディッシュって行きたいんだけど。」
「セイレーン。アサキムが大のお気に入りで、ベタベタ触られんのがやで、来ないんだけど」
「強制で、来させる………だめだ」
そこで、一同が、見たのは、ゲッツに一方的なダメージを与えているアサキム
「介入する勇気ないわ。まつ?」
「いや?。マギがいるし大丈夫か。」
そう言うと、フォルテにヘットホンをつけ。そのまま抱え、セイレーンの所に向かう。
「さて、ついたよ。」
というが、いかにもセイレーンがいる洞窟とはかけ離れた。一戸建て
「さっ、行ってらっしゃい。」
ドアを上げ、フォルテを突き飛ばす。
そうすると、フォルテくんは落ちて、死亡しました。
fin.
「まっ、終わらないんだぜ。」
そう言うのは、セイレーンこと安心院なじみである

56 :
>「パワーファイターは、お前だけじゃないってことを教えてやる。」
「パワーファイタァ? ザケンナッテノ、コノ屑ガヨォ。
 ――滅竜ファフニール様に、吹イタもんだなァ!? 神仙風情が甘くみてんじゃ、ねェぞオオオオオオオオオオオオオ!!」
アサキムと攻撃を交わすドラゴンの意識は、いつしか祖竜のそれと入れ替わっていた。
真紅の瞳をギラつかせた、狂熱の竜の威圧は、先程までの狂っていたとはいえどゲッツのままだった状態の比ではない。
羽の一振で宮殿の一角が灰燼と化し、爪の一薙で大地が砕け散る。もはや、パワーファイターという言葉はふさわしくない存在。
文字通りの殲滅者。全方位の全存在に対する絶対無敵の天敵、滅ぼす王、灰燼の主。
神話において、彼の名はこう伝えられる――滅びの使者、滅竜ファフニールと。
相手の蹴りを喰らい、音速で叩き上げられながらも、反撃で爪を叩き込むファフニール。
障壁で防がれるも、アサキムの障壁を瞬時に飲み込み粉砕し、本体に一撃を食らわせ吹き飛ばした。
強い。概念がどうこうとかそういう小難しい話を抜きにして、力≠ニいうものの存在を強く感じさせる、孤高の強さの一つだ。
その力の質は――もしかするとアサキムは知っていてもおかしくない。
「峻厳のアイン・ソフ・オウル、滅竜ファフニールに――こんな攻撃が効くかよ、アホかァ!? 馬鹿なのか直ぐRやァ!」
ローファンタジア崩壊時に戦った存在と、滅竜の力は極めて酷似しているのだ。
蘇生不可の死を与え、世界に歪みを齎すほどの大きな力を持つ存在、すなわちアイン・ソフ・オウル。
あの時彼は、頂天魔アイン・ソフ・オウルと名乗っていたのだが、この竜もアイン・ソフ・オウルと名乗る。
一体これはどういうことか。謎は膨らむばかりだが、今はそこに思考を巡らせている暇はない、あり得ない。
>「しまいだ。ソニックパニッシャー!」
放たれた音速の破壊光線、たしかに極めて強力だ。ゲッツならばそのまま終わってもおかしくはない。
そう、ゲッツであればの話だが。
今ここに居るのは、ゲッツ・ディザスター・ベーレンドルフではなく、滅竜ファフニール。
だとすれば、ここで終わるはずはない、終わることがありえない。

57 :
「しゃらくせェ――!」
破壊光線に対して、右の爪を揃えて爪を叩き込むファフニール。
あろうことか、その破壊光線と強大な爪は拮抗し、そして数秒の間の後に、砕かれる。
弾かれるでも耐えられるでも吸収されるでもなく、砕かれた。
滅竜の伝承には、全てを滅ぼすと書かれていたが、それは文字通りの意味で、全てを滅ぼす存在である事を示していた。
メタ的な視点で言ってしまえば、倒せない設定のボスだろうが、壊されることを考慮していないオブジェクトだろうが問答無用。
壊すと決めてしまえば攻撃は通り、通ればそれを破壊する。それだけの力。だからこそ、隙が存在しない、故に強い。
「……チッ、うるせーな。
 わーってるよ、あいあい、ちょっと暴れてぇくらい容赦してくれや。
 な、ちょっとだけ。あと半世紀暴れる位だからよォ――。へ? 暴れ終わる前に更地になるゥ?」
悠々と空に浮かびながら、何かと会話をするファフニール。
ゲッツに酷似しているが、正直な話ゲッツよりも2倍くらい粗暴だ。流石ご先祖。
半世紀暴れるやら、世界が更地になるとか物騒な話題が展開されているようだが、会話が終わったようで少ししゅんとなった様子で地面を見下ろし。
「千年とちょっとぶりか、寝すぎたかねェ。
 ……まあいい、我様に歯向かうたァ良い度胸だ。
 気に入ったぜ神仙。今から殺してやらァ」
怒気と殺意と戦意と壊意、あらゆる攻撃的な感情を携えて竜はアサキムを睨みつけた。
両の腕を揃え、何かを開くように腕を開き、胸を張る。
空間をひしゃげさせるほどの魔力を用いて、魔術と呼ぶには余りにも強引すぎる行程を持ってして、業を発動させる。
「憎悪と怒りの獄門[エターナル・ゲート]」
魔力と存在力で創りだした空間の歪みに、赤黒い獄炎を吹き付けるだけの技。
何百年も修行したでもなく、神の力を用いたでもない、絶対的な力が有れば出来るだけの簡単な技だ。
だが、それをこの竜が用いたのならば、それ一発が全てを終わらせる終末の呼び声と化す。
創りだされた空間の歪みが、ファフニールの火炎によって文字通りに粉砕される。
粉砕されることによって周囲に生まれた時空の空隙に火炎が飲み込まれると同時に、周囲の空間に罅を広げるようにして火炎が空間を焼き尽くしていく。
アサキムの周囲半径一キロ程度の空間を覆った空間の裂け目から火炎が漏れだしていき――炸裂。
360度全ての方向から、空間を引き裂く獄炎が襲いかかる。
そして、勝ち誇ったように高笑いを響かせるファフニール。ローファンタジア崩壊時もかくやという大惨事が起こりつつ有った。

58 :
「おうおう、ファフニールってあんなに強いのか?素戔嗚尊?」
「奴め、活性化しておるわ。我と戦ったより。」
素戔嗚覚えろよ。と完全にプッツンいってる。アサキムがいた。
>>「憎悪と怒りの獄門」
確かに、一瞬だが、範囲一キロが燃えた。かと思ったが。
「収束、倍加、反転、滅殺。」
その言葉のとうりに、その火を収束、魔力で倍加、向きをファフニールに反転、ぶつける。

「オマケって事で、コイツも」
召喚魔法で、この前使った、全体用ではなく、実物大の50mのロンヌギヌノ槍を何十本も刺す。
「まだまだ、四面楚歌」
天地右左様々の方向から、重力と彼のイヤな音をぶつける。
「god only knows 死に神ちゃん頼むよ。」
ファフニールの魂を慎重に回収する。
ちなみに、強引なので、かなり痛いです。
「はぁ、これじゃあ安心院の所にはいけんだろうな。まぁ、大丈夫だろ。」

59 :
>「強制で、来させる………だめだ」
>「介入する勇気ないわ。まつ?」
>「いや?。マギがいるし大丈夫か。」
アヤカさん達は一端どこかに転移したが、すぐにそのまま戻ってきた。
何か尋常ならぬ事があったようだ。
「何があった……? 答えろ!」
詰め寄るも、ヘッドホンを付けられた瞬間に疲労感に襲われ座り込みそうになった。
そこをすかさず抱き上げられて運搬される。
>「さて、ついたよ。」
「ここが……?」
どう見ても庭付き一戸建てだった。
狼狽えていると、ドアを開けて中に突き飛ばされた。
>「さっ、行ってらっしゃい。」
「うわぁッ!?」
踏み出した場所に床は無く、そのまままやかしに吸い込まれるように意識が途絶えた。
♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪
「ほらほら、そんな所でうたた寝して〜、紅白歌合戦始まっちゃうよ!」
「ん…?」
オレを覗き込んでいるのは誰だ? なんだ、母さんか。
もぞもぞと起き上がる。コタツの上には蕎麦を食べた痕跡と、蜜柑の山。
父さんが蜜柑の皮をむきながらこんな事を言う。
「お前もいつか出れるといいなあ。やっぱ出るとしたらピンク組かな」
「ピンク組は謹んでお断りいたします!」
ピンク組は赤と白の間という意味で何百年か前に諸事情につき追加されたらしいが
今やアニキやオネエに席巻され、専ら兄ソンで勝負するウケ狙いチームと化している。
いや、そんな事よりも何か大事な事を忘れている気がするんだけど……。
「はいこれ」
「タンバリン……だと!?」
母さんがタンバリンを差し出す。そうか忘れている物はこれだったのか。
父さんと母さんは当然のごとくタンバリンを鳴らしながら歌い始めた。
「ここはカラオケ屋かっ! やめろよ近所迷惑じゃん!」
馬鹿両親から玩具を取り上げようとする。部屋の中を逃げ回るバカップル。
「お前は小さい事を気にしすぎなんだ。そんなんじゃスターになれないぞ」
「そうそう、大物なら何が起こってもどーん!と構えてなきゃ!」
「うっせーそれ渡せよ!」

60 :
騒いで笑って、他愛のない日常の一コマが過ぎていく。
はずなのだが。――おかしい。いつまでたっても紅白歌合戦が終わらない。
ヤバイじゃん、紅白歌合戦が終わらなかったら年が明けないよ!?
そういえばさっきからずっとピンク組が兄ソンを歌い続けている。エターナル兄ソンだ。
時計の針を見てみると、午後11時半で止まっていた。――そういう事か。
「父さん、母さん、オレ行かなきゃ……! 友達との大事な約束があるんだ」
「ハハハ、こんな夜中にどこに行くんだ」
立ち上がって、ソファーの上に置いてあった猫のぬいぐるみを手に取る。
猫のぬいぐるみ……モナーはキーボードへ姿を変える。
そして歌い始める。まやかしの安息を打ち破る破幻の歌を。
「拡散する静寂の時 掴んだ手 この目に写すもの描く視界が 徒に僕の心臓を突き刺すように 痛みをただウツして光る」
記憶が次第に戻って来る。アイツと消えない傷を刻み合い、心臓に名を刻んだ事。
母さんに自分がいない間の世界を頼まれた事。
「拡散する 絶望の声 離した手この目に浮かぶものかき消す言葉は約束を 僕の体に刻み付ける今 感覚は 虚空に消える」
決めたんだ。アイツを伝説の勇者にするって。たとえ悪の竜王の化身だったとしても――
「覚醒する 再誕の時 握った手この目に光るもの 輝く世界は色あせる僕は新たに踏み出していく
たとえこの僕の心に意味はなくとも今この命 零に 変わる」
――世界が、ガラスが割れるように砕け散った。
♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪
目を開けると、黒髪ヘアバンドのセイレーンがいた。
「安心院さん…ですか?」
「早速試させてもらったが幻術を見事打ち破ったな。第一段階合格だ。
次は呪歌の基礎理論からみっちり……と行く予定だったが事情が変わった。早速実践にいってもらう。」
「ひぇえええええええええええええええええ!?」
セイレーンの脚で捕まれ、猛スピードで飛ぶ。そこでは巨大な竜が暴れているのだった。
>「憎悪と怒りの獄門[エターナル・ゲート]」
>「収束、倍加、反転、滅殺。」
安心院さんから捕まれたまま、遥か上空から下の光景を唖然としながら見下ろす。
なんか燃えてるね。えーっと、うん。もうオレの語りで表現できる範囲を超えてるわ。
と思ってたら何を考えているのか地面に降ろされた。
何かとどめを刺し切れなかったらしく例の美少女死神が必死で頑張ってるんだけど。カオス。

61 :
>「はぁ、これじゃあ安心院の所にはいけんだろうな。まぁ、大丈夫だろ。」
「噂をすれば来てやったぜ? それより今のロンギヌスの槍じゃなくてロンヌギヌの槍になってたぞ
こんな時にふざけたパロディ技使いやがって」
と、安心院さん。今の槍が降る技は失敗だったらしい。
成程、エクスカリバーならぬエクスカリパーと同じような類ね。1ダメージしか通りませんってやつ。
って納得している場合ではない。
「こんな所にオレ連れて来てどーすんだよ! こんなんお前らでどーにかしろよ!」
安心院さんはやれやれ、といった調子で応える。
「気付かないか? お前の勇者様だよ」
「えっ、だって気配が……」
ゲッツなら姿が変わっても何となく分かる。でも、今目の前にいる竜は気配が別人ならぬ別竜だ。
「乗っ取られちまったんだよ。 制御できないと分かっていながら、自分の中に潜む悪竜の力に手を出した」
「あの馬鹿、どうして……!」
理由なんて分かりきっている。アイツはそういう奴なのだ。意を決してヘッドホンを首まで引き下ろす。
発狂するのではないかという不安も無いでは無かったが、異界の神に対峙した時には決定的に違う事がある。
得体の知れない物に対する怖さではなく、純粋な力に対する恐ろしさ。
もっと分かりやすく言えば、あれキショい、こっちは格好いい。SAN値直葬になるかならないかにおいてそこは超重要。
この際だ、ゲッツのご先祖様がどんな奴なのか見極めてやる! 力技の真っ向勝負が通用しない時こそオレの出番だ。
「お前はどこまで常に全力なんだよ!
普通こんな美味しいイベントは雰囲気を盛り上げてクライマックスで、だろーっ!?
序盤の修行イベントでいきなり繰り出されても困るわ! モナー! フォーム《タクト》!」
――精霊指揮《レゾナンス》。音楽の本質とされる森羅万象との呼応、その一端を顕現して見せる奥義。
それは精霊の奏でる音色として一般の人にも知覚し得るものとなる。
宙空に佇み、見えない存在達の注目を集めるかのように指揮棒を掲げる。周囲の空間に膨大な精霊力が集まり弾ける。
早速もう正気を失いかけているのか、恐怖は消え奇妙な昂揚感に支配されつつあった。不敵な笑みを作って見せる。
「初めまして――でいいのかな? ようこそ出ておいでくださいました。
精霊の奏者フォルテ=スタッカートが歓迎の印として星の奏でる音達を祖竜様に捧げましょう。
――どう解釈するかはあなた様次第」
鳴り響く弦楽器の荘厳なメロディ。
禍々しさと壮麗さ、流れるようなスピード感と力強い重厚さを見事に併せ持つ神曲。その名も“龍神”。
相手次第で、崇め奉り鎮める方向に作用する事もあれば、苦痛を与え動きを封じる呪詛として働く事もある。
魔法の世界において祝いと呪いは紙一重なのだ。
どちらにしても、対ドラゴン戦を決する最強の切り札である事には変わりない。
飽くまでも常識の範囲内のドラゴンであればの話だが。

62 :
「フォルテ! 僕達が攻撃を引きつけるからお前は首のあたりにある逆鱗を狙え!
霊的な繋がりがあるお前ならゲッツを引き戻せるかもしれない!」
安心院さんの声が飛ぶ。それに分かったと返し、祖竜に向き直る。この際だから聞いておきたい事がある。
ゲッツが気にしていた、自分が悪竜の化身なんじゃないかって事。
悪神と善神の二神教自体は何も不自然な事はないが、そういうのは大抵世界の終わりの時に善神が勝利する事になっているものだ。
でも彼等は不思議な事にその両方を祖として信仰しているのだ。
一族の祖となった二柱のうちの一つが、本当に破壊の化身でしかなかったのだろうか。
「祖竜様にいくつか聞きたい事がある。祖竜信書の伝説はどこまで本当なんだ?
……と言っても分かんないか。お前は本当に悪い奴なのか!?
いや、暴れまわってる時点で悪い奴なのは分かるんだけどなんていうか……本当にぶっ壊す事以外に興味無いのかっていうか……」
一番聞きたい事を聞き出すって案外難しいものだ。なんて言えばいいんだろう。
ゲッツが祖竜の影響を受けているとしたら、ゲッツの言動に何かヒントがあるかもしれない。
――傷ってのはわかりやすいつながりだぜ。俺はテメェのハートに俺を刻んでやる。
だから、テメェも俺にテメェを刻みなァ! 全部全部、真っ向から受け止めてやるからよォ!
――俺に消えない傷を刻んだ奴は決して忘れねー事にしてあんだ。 んで持って、傷は必ず残す、ってな
それだ! いるじゃないか! 祖竜ファフニールに消えない傷を刻んだ伝説の聖者が。
「大事な事だから正直に答えてくれ。祖人ゲオルギウスのこと、どう思ってる?」
言った瞬間、味方側から気まずい視線が突き刺さったような気がした。やっべー、オレ何か変な事言った!?

63 :
それはこの世界に現れた突然変異をした悪性の病原菌―伽椰子を排除するため
その存在が確認された場所全てに一瞬で出現し、それは当たり前のように
誰の目にもとまらず、誰にも意識される事はない形で至る所に現れた。
相手はその気になれば着ている服の中や口の中に現れ、いかに恐怖を与えながらRかを考える
力を持ちすぎた生粋の下衆・外道故にその力には際限が無い上に彼のような存在には一切の干渉が出来ないほど
圧倒的な狩人として、徹底的に排除しこの世界の何処にも居る事を許さぬように追い立てた。
その姿はまさに地獄の猟犬に相応しく、誰にも意識出来ず干渉出来ず黙々と処刑を繰り返す。
相手は本来ならば彼の友人や知り合い全てを今もこうしている間に恐怖を与えながら殺そうとしているだろうが
世界を滅ぼした時点でその存在は世界を守る者達に目を付けられた以上は運の尽きであり
いかに存在の力を誤魔化そうにも世界の意思を完全に誤魔化す事は不可能である、その身は多世界間に置いては指名手配になり
その存在が少しでも察知されればティンダロスの猟犬やエスペラントのような者が飛んでくる以上、もはや佐伯伽椰子には何処にも逃げ場は無い
それがあの世だろうと天国だろうと、その強大な力を持ち一つの世界を滅ぼした代償として怨霊として死んでからも永遠に追われる羽目になった。
世界の力を侮り目を付けられてほぼそれから戦い続けて行く内に予想以上にこの世界にばら撒いている無限に作れる分身とは言えこのネバーアースに来てからは
追い詰められている佐伯伽椰子は、討伐されゆく意識の中であることを思い至り
その笑みも理解できない世界を守るためだけの殺戮機械に対して憑依した者の体内から引き摺り出され強制的に浄化されながら
思いついた事を実行するために使役できる今まで殺してきた亡霊たちをほんの少しにしかならない時間稼ぎとして利用する
その目的は分身を今目の前に居る者の大切な女の居る仙界に向けられる
成功して嘆き苦しむ様を想像しながら、佐伯伽椰子は浄化されていった。
その事にはとっくに気づいていたそれは、ほんの一瞬でこの世界に居る佐伯伽椰子の分身の排除を確認した後
飛ばされた分身を排除すべく仙界へと向かう。
それ自体が佐伯伽椰子の邪悪極まりない目的だとも気づかずに。

64 :
数に物を言わせ仙界に出入りする者達に憑依をし、この世界にやってきたり
あるいは直接霊体のままでの分身を多数送り込んだ佐伯伽椰子は
まず表立って行動する事は性格上やってきたばかりの場所ではあり得ない
虎視眈々と様子を見ながら、静かに日常などから追い詰める恐怖、
逃げ場が無い絶望を与えて殺し自らの使い魔にするために忍び寄る中
永久闘争存在は此方も静かに降り立つ。
ただ本格的に多世界の脅威を排除するために破壊するために共に派遣される意思無き狂戦士達は居らず
あくまでも獲物に目を付けた以上は絶対に見逃さない事実上の不死の存在に等しいティンダロスの猟犬を大量に引き連れて現れる。
理由としてはまだこの世界には自浄存在や世界個人の抑止力が働いているため
この世界を完全に犠牲にしなくても良い可能性があること
そして単にまだ多世界に向けて破滅が具体的にこの世界で確認されていない以上は
この仙界との全面戦争をしてでも佐伯伽椰子を絶対に滅ぼすというのもリスクが大きすぎると判断されたからだと思われる。
多世界の意思はあくまでもその個々で一つ一つの世界が持つ意思が介在している
其処には多くの人間の意志などは段階的には優先度は同じだが、それより人より一つ上の領域から超常的な大いなる存在による意識・考え等が主に求める声が優先されている
彼があくまでも人々を守るために現れるという事はその超常的な大いなる存在と多くの世界すらも超えるほどの助けを求める声と
無意識的な危機意識と意思の量と力が上回るという
ことでエスペラントことビャク=ミキストリが守護者的概念存在としての召喚され人々を守るために現れた者として本当の意義を発揮する。
ということでこの世界では何者にでも縋るほど絶望した者達で溢れている訳ではなく
ここにいるのは危機意識を持ち、絶対に排除しなければならないと決めた多世界の意思が優先されて
災厄を狩る限定的大災害である永久闘争存在としてこの場に居る理由である。
下手な事で多世界対仙界という構図はいろいろな面で好ましくない
だが必要とあればこの世界を排除してまで佐伯伽椰子を抹消しなければならない可能性を
あくまでも彼の意思ではなく、永久闘争存在としての必要最低限の犠牲という合理的な考えを最後の最終プランとし
目的の全世界の災厄と化した怨霊をその姿は最早誰も意識出来ず干渉出来ない現象という概念と同じ形態で
ティンダロスの猟犬と共に追跡を開始した。

65 :
>「収束、倍加、反転、滅殺。」
「ホォ……、中々やる。っつーか超つえェな。
 だけどよォ、我を斃したアイツに比べりゃ、痛くもねぇ!」
反転し己に襲いかかる火炎は、放った力の数倍で戻ってくる。
だが、それがどうした。火を統べる火竜が、倍加されたとは言えど己の焔で焼かれて傷つく道理は無い。
己に飛び込む大量の火炎を、ファフニールは大口を開けて迎え入れ、体の中に飲み込んだ。
ごくり、と焔を体内で掻き回し、体の中に再度迎え入れたファフニールは満足気に吐息を吐き出し、足元の宮殿の一部を溶解させた。
理屈は無い。強いものは強いのだから仕方がない。質と量を兼ね備えていれば、理論等を抜きにして強いのは当然。
これを倒すのに必要な物は、至極単純な物だ。
ファフニールより強い奴を持ってくれば勝てる、だがファフニール以上に強い者等、例えるならばゲオルギウス等同じく神話に語られる勝者≠フみだ。
もし、アサキムがその神話に語られる英雄達と同格か、それ以上の強さを持っていれば、この滅竜を倒すことも可能だったろう。
>「オマケって事で、コイツも」
「聖者の血は啜り慣れてる、今更聖遺物程度で俺に届くと思うなよ?
 それに――残念だが、そいつはパチもんだ。まあ、我様相手でも確実に微妙なダメージ通すのは逆にすげぇがなァ!」
一ダメージしか与えられないRPGお約束の伝説の武器シリーズの偽物シリーズ。
それもアサキムの手によれば、一発100ダメージは行くだろう。
そしてそれが数十本。数千ダメージは硬い。確かに食らっているし、槍は体に突き立っている。
しかしながら、竜の口から吹き出す火炎で槍は撫ぜられ、そのまま溶解していく。
所詮の所、偽物は偽物でしか無い。本物であれば、多少以上には効いていただろうが。
>「まだまだ、四面楚歌」
>「god only knows 死に神ちゃん頼むよ。」
「――その程度でよ、我を倒せると。
 ……思い上がるなよ? お前は強い、お前以外にも強い奴は沢山居る。
 だがな――強いのはお前だけじゃねぇ。俺だって強いんだ、舐め腐ってるといつか足元掬われるぞ。
 ゴリ押しで勝つなら、勝つだけの容赦の無さでかかって来い。そんな腑抜けの魂も篭ってねぇ作業で殺される程、俺の命は安くねぇんだ!」
重力で竜の体は確かに拘束される。骨が軋み、鱗に罅が入り、肉体が締めあげられた。
だが――竜の体から吹き上がる真紅の光、時折力を発揮した歳のゲッツと同じそれが発露。
その真紅の光によって、力場が『粉砕』された。
音に対しては、此方も竜の魔力を込めた雄叫び――ゲッツの咆哮の上位互換を放つことで、相殺。
力で力を押しのけるような強引さは、文字通りにゴリ押しとしか言い様のない物。
そこには戦略も知略も洗練も欠片も無い。只、本能に従って力を振るえばそれが攻撃となるからそうしているだけ。
力のバリエーションでも、戦略でも、技の豊富さでもファフニールに対してアサキムの大半はたしかに優っている。
だがしかし、力の総量。その一点のみについては、ファフニールは隔絶した領域に立っている。
言うなれば、世界を相手にしているような圧倒的な存在感と言えようか。
エスペラントなどに見られる、多次元世界から力をバックアップされているそれに近い存在感がファフニールからは発露している。

66 :
>「初めまして――でいいのかな? ようこそ出ておいでくださいました。
>精霊の奏者フォルテ=スタッカートが歓迎の印として星の奏でる音達を祖竜様に捧げましょう。
>――どう解釈するかはあなた様次第」
「ほォ……楽師か。そんなちっせえ力で我の前に来るたァ、度胸あんな。
 騒がしいのは嫌いじゃねぇ、それにお前――ちょいと変わった気配を感じるな。
 細っちょろくて食いではよくなさそうだが、まあ我様を楽しませて見せな。その切り札でよ」
相手の決死の名乗りと、荘厳なメロディを奏でるフォルテ。
開放状態であっても、竜の暴力的な熱気はフォルテを翻弄するだろう。
確かに、凄まじい破壊の気を帯びては居るが、この竜から発される魔力は誇りという色を多分に帯びている。
只の暴虐の破壊者ではないという事が、今のフォルテならば理解できてもおかしくはない。
奏でられるメロディを前に、竜は比較的落ち着いた様子を見せる。
と言っても、粗暴な様子も破壊的な所作も何もかも殆ど大差はないのだが。
もとより神として崇められていた身であるが故、メロディは鎮める方向へと作用したようだ。
>「祖竜様にいくつか聞きたい事がある。祖竜信書の伝説はどこまで本当なんだ?
>……と言っても分かんないか。お前は本当に悪い奴なのか!?
>いや、暴れまわってる時点で悪い奴なのは分かるんだけどなんていうか……本当にぶっ壊す事以外に興味無いのかっていうか……」
「――てめェ、ちぃとアイツに似てやがる。癪だが、本気で癪だが――竜ってのァ気まぐれだ。
 お前の問答にちょっとだけ付き合ってやるよ。我の機嫌を損ねたらお前はそこで踊り食いだけどヨ。
 我の役割≠ヘ、壊すことだ。壊される奴からしたら溜まったもんでもねぇだろォからよ、そいつらから見れば我は悪だろう。
 壊す為の力で、壊した後がどうなるかは知らねぇ。そこから先は、他のアイン・ソフ・オウル≠フ役割だしな。
 ……色々壊してきたぜ? 暴走した歴代のアイン・ソフ・オウルも、他の次元からやってきた敵とかもよォ。
 間引きで人を数万焼いたこともあったし、大陸の一角を削ったこともある。……なぜかは、自分で考えなァ」
神代の竜の語る話は、異様にスケールが大きい。
だが、話を聞けば、破壊の役割を与えられ、それに従って力を振るっていることが分かる。
破壊しているのは、罪もない人や文明だけではなく、世界の危機も破壊している。
悪にも善にも寄らず、破壊という役割を只貫き続けているだけの存在が、ファフニールだった。
>「大事な事だから正直に答えてくれ。祖人ゲオルギウスのこと、どう思ってる?」
「我を止めてくれる奴で、我の最愛の――嫁だ。
 我もよ、誇りも無い奴を潰し続けるのにうんざりしててよ。
 そこで俺を潰しに来てくれたのがあの輩だ。悪い竜を倒すのは何時だって勇者だろ?
 半年くらいだっけか――――アイツと切り結んだのは超楽しかった、んで持って俺を殺しておきながら、アイツ泣いてんだよ。
 もう、貴方はその力を貴方の誇りの為に使ってもいい、ってよ。世界の奴隷にならなくてもいいって。
 ……んで持って、俺はアイツの魂と一緒に封印されてたわけだが……ま、惚気話はここらにしようぜ」
唐突に、血なまぐさい惚気話を始める破壊の祖竜。
気恥ずかしそうに爪で角をごりごりとしているが、その爪は一振で集落を滅ぼしかねない一撃を放てる物だ。
この竜は、聖人に救われた存在で、文字通りの夫婦関係だったようだ。
要するに、ハイランダー種は特に血が濃いが、竜人のルーツ本当の本当に、神代の英雄と悪竜の間からのものであったようだ。
そして、話し終えれば竜は目をすがめ、口の端から焔を散らす。
光り輝く、白さを含んだ、二色の焔は何処か聖性すらを感じさせる代物。
「――ここに居るのは破壊の悪竜だ。
 ……偶にはよ、吟遊詩人とか、そういう輩が英雄になってみてもいいんじゃねぇか。
 引き立て役だってのも、中々辛いもんだろ。派手に来な、潰してやる」
そう言うと、口の中で火炎を圧縮し、フォルテに向かって光線めいたブレスを吹き出した。
速度は異様に早く、貫通力もかなりのものだが、点の攻撃は必死に回避すれば、回避できなくもないだろう。
……此処から先は、竜を倒す以外には、恐らく自体の解決は無いと見ていい。

67 :
「よし、天魔震撼、転身」
アサキムが、新たな、姿へ
それは、白き衣に、羽を左右4つ、ついた。
「これが、毘沙門天たる、証だ。」
準備運動程度に、武器の七支霊刀を軽く振る。
すると、山の山の先までまっふたつに割れた。
「七支霊刀、最破」
最大まで、力をためる
「消え失せろ!」
勢いよく、刀を振る。
すると、
半径500mの全ての町が、消えた。
物理的に、
しかも、この技、近ければ近いほど、威力が増す。
近かった、あの魔竜は、相当のダメージを食らっているはず。
巻き添え、いや、そんなの知らんし。

68 :
>「――てめェ、ちぃとアイツに似てやがる。癪だが、本気で癪だが――竜ってのァ気まぐれだ。
 お前の問答にちょっとだけ付き合ってやるよ。我の機嫌を損ねたらお前はそこで踊り食いだけどヨ。」
万が一音を外しでもしたらパクッと食べられかねないと思うと緊張半端ないわけで。
額から汗が流れてくるのはきっと熱さのためだけではない。
あーあ、必死の形相で戦うなんてガラじゃないんだよなあ。
V系吟遊詩人は一歩引いた位置で澄ました顔で妄言を垂れ流しておくのが丁度いい。
何はともあれオレの演奏は読み通り、暴虐の竜を鎮める方向に作用した。
一見何も起こっているようには見えないが、会話に乗ってくれているのがその何よりの証拠だ。
>「我の役割≠ヘ、壊すことだ。壊される奴からしたら溜まったもんでもねぇだろォからよ、そいつらから見れば我は悪だろう。
 壊す為の力で、壊した後がどうなるかは知らねぇ。そこから先は、他のアイン・ソフ・オウル≠フ役割だしな。
 ……色々壊してきたぜ? 暴走した歴代のアイン・ソフ・オウルも、他の次元からやってきた敵とかもよォ。
 間引きで人を数万焼いたこともあったし、大陸の一角を削ったこともある。……なぜかは、自分で考えなァ」
「凄い……凄い凄い凄いよ!! あなたって本当の本当に神様なんだ!」
この震えは何だろう。まかり間違えて次元が違う存在と逢い見えてしまった事への恐怖?
圧倒的なスケールの存在と対峙出来た事への歓喜?
人間の尺度を超越した神の論理。世界の理のようなものと相対しているかのような感覚。
竜人達が破壊の悪竜を神として崇めている事をなんとなく受け入れられた。
そして話は核心へ。祖人ゲオルギウスとの関係やいかに。
宿命のライバルとか強敵と書いてともと読むとか言ってくれればいいなぁ、と思ってたのだが……。
ご先祖様は期待の遥か上を行ってくれた。
>「我を止めてくれる奴で、我の最愛の――嫁だ。」
「――よ、よ…め!?」
ああ、竜退治にいったはずの英雄がうっかり…ってギャグ漫画じゃないんだから! ってか祖人ゲオルギウスって女の人だったの!?
一瞬、耳を疑った。いや、念話なのでついに発狂して頭がおかしくなったのではないかと思った。
が、それを聞いたのはオレだけではなかったようで、周囲の仙人達も微妙に「マジで!?」な雰囲気を醸し出している。
>「我もよ、誇りも無い奴を潰し続けるのにうんざりしててよ。
 そこで俺を潰しに来てくれたのがあの輩だ。悪い竜を倒すのは何時だって勇者だろ?
 半年くらいだっけか――――アイツと切り結んだのは超楽しかった、んで持って俺を殺しておきながら、アイツ泣いてんだよ。
 もう、貴方はその力を貴方の誇りの為に使ってもいい、ってよ。世界の奴隷にならなくてもいいって。
 ……んで持って、俺はアイツの魂と一緒に封印されてたわけだが……ま、惚気話はここらにしようぜ」
無敵のドラゴンスレイヤーが実は慈愛の聖女で。
破壊しか知らなかった孤高の竜が、聖女にR愛を知った――か。悪くない、というかすごくいいんじゃない!?
愛が古今東西数えきれない程の歌の題材になってきて未だにネタ切れしないのは、愛に決まった形なんて無いからだと思う。
彼等は殺し合う事で愛し合い命を刈り取る事で結ばれたのだ。この上なく倒錯していて、同時に何よりも純粋な愛の形。

69 :
「碌でもないオチばっかの邪神にしてはすげー幸せ者だな。最後の最後に死ぬ程人を愛せたんだから」
自分はきっと死ぬ程人を好きになる事なんて出来ない、むしろなってたまるか。オレは何者にも縛られたくない。
好きにならなければ、置いて行かれた時に嘆いたり恨んだりせずにすむから。
でも少しだけ羨ましいような気分になるのは何故だろう。
>「――ここに居るのは破壊の悪竜だ。
 ……偶にはよ、吟遊詩人とか、そういう輩が英雄になってみてもいいんじゃねぇか。
 引き立て役だってのも、中々辛いもんだろ。派手に来な、潰してやる」
凝縮されたブレスが放たれる。
流星のごとく飛んできた安心院さんにはたかれ、ぐるぐる回りながら吹っ飛ぶ。
「潰されてやるもんか! お前の惚気話を新説として世界中の人に知らしめてやるから覚悟するこったな!」
>「よし、天魔震撼、転身」
>「これが、毘沙門天たる、証だ。」
アサキム導師が山をも切断する斬撃を放つ。
それを見ながら、安心院がしれっとレクチャーを始めた。
「よし、今のうちに授業だ。”共振”は分かるか?」
もちろん知っている。音とは微細な振動。
あらゆる物体は固有の音――つまり振動数を持ち、通常はそれが外部から来た振動と打ち消し合っている。
しかし、固有振動数と全く同じ振動数の音を当てるとその物体は震えはじめ、ついには破壊する事ができる。
この原理を利用すると、声だけでグラスを割る手品が出来る。だからどうしたという話だが。
「知ってるけど今そんな事言ってる場合かよ!?」
「屈辱的だが僕達の力をもってしてもあいつに敵わない。
でも霊的な超絶聴力を持つお前なら……あの竜の振動数にモナーをチューニングすれば装甲を突破する事が可能だ。
――やれるな?」
言われてみれば理論的には可能だ。
音を共振破壊が出来る程寸分の狂いも無く合わせるのは至難の技だが、オレの霊的な聴力とモナーをもってすれば不可能ではない。
一番の問題は、振動数を合わせるには多少の間あの魔竜と切り結ぶ形を作らないといけないという事!
「――いいよ、やってやるよ! モナー、フォーム《キーブレイド》!」
モナーが、刃の部分が鍵盤を象ったような不思議な形の剣の姿と化す。選ぶ余地がないのに聞くとは人が悪い。
やらなければその時点で世界終了のお知らせになるのは目に見えている。
だって、この超絶な力を持つ人達が力では敵わないと言って戦力外お荷物キャラを担ぎ出すぐらいだから
本当に正攻法のゴリ押しではどうしようもない相手なのだ。
もちろん、あんなのにマジで一人で挑むほど無謀ではない。

70 :
「さくせん――“オレに任せろ”!」
この作戦、威勢のいい字面に騙されてはいけない。
言葉通りとはある意味真逆の、どうか力を貸してください、死なせないように全力でサポートしてくださいという懇願だ。
でも超人連中が寄ってたかってお荷物を引き立ててくれる状況ってよく考えると凄くね!?
>「消え失せろ!」
アサキム導師が超絶爆発を放つ。恰好のタイミングだ。
今だと言われるまでもなく、剣を掲げて滑空するように一気に距離を詰め、斬りかかる。
「さあ君の音を……声を聞かせて――。いざ――勝負ッ!」
戦いの舞に選んだ歌は、ゲッツと切り結んだあの時と同じ歌。
何故かは分からないが、気が付いたらそうしていた。
「月陰る闇に咲く華 底知れぬ深淵を見つめた
時を漂い続けた君は 星屑の掃き溜めにて目覚めた
水を蹴って翅広げ 青年の日に別れを告げて今飛び立とう 黄金の粒散らして」
無駄のない洗練された動作なんてどうせ不可能だ。
戦いのセオリーとは逆であろう、わざと自分の存在を顕示するかのような派手な動作で剣を振るう。
オレはここにいるよ。君の声が聴きたい――!

71 :
>>67訂正版、ごめんなさい、最初の部分が切れてました】
「あーあ、火は、火を持って制す。まぁ、無理か。」
そう思いながら、力を溜め始めるアサキム
>>「俺の命は安くはねぇんだ」
「上等、その命、抉りとる」
そう言うとき、フォルテは、ブレスにおそわれるが、安心院にしれっと、防御される。
「よし、天魔震撼、転身」
アサキムが、新たな、姿へ
それは、白き衣に、羽を左右4つ、ついた。
「これが、毘沙門天たる、証だ。」
準備運動程度に、武器の七支霊刀を軽く振る。
すると、山の山の先までまっふたつに割れた。
「七支霊刀、最破」
最大まで、力をためる
「消え失せろ!」
勢いよく、刀を振る。
すると、
半径500mの全ての町が、消えた。
物理的に、
しかも、この技、近ければ近いほど、威力が増す。
近かった、あの魔竜は、相当のダメージを食らっているはず。
巻き添え、いや、そんなの知らんし。

72 :
追跡と同時に佐伯伽椰子及びその分身等の使役される者達含めながら
強制的に聖なる力による成仏という名の見敵必殺(サーチアンドデストロイ)を
やはり誰にも認識出来ない状態で繰り返していたその時
自分と同行していたティンダロスの猟犬がそれなりに消された事と大規模な強大な力を感じ取る。
その方向に視線を向ければ広範囲の街が消え、その余波に巻き込まれそうになるかと思えばそうではなく
向かってくれば無敵結界にて全てが遮られるので元々無傷なままなのだが。
「―――」
エスペラントの意思が微塵にも感じられない無機質且つ温もりの感じない冷たい刃その物の指すような視線
冷酷非情な雰囲気を纏ったソレは合理的且つ冷静な判断で見つめる
この世界での知識が頭に流れ込んでくる中で、この世界の日常茶飯事レベルにして聊か放出される力のレベルよりはかなり上だと思われる。
そしてこの力が多世界に向けられる可能性はそれなりにあるとも判断できる。
理由としては与えられるこの技を放つ者の主義思想と力量についての全情報によるためだ。
そして対峙している強大な存在の情報も含めて、ある決断が浮かぶ
「………要注意危険・脅威度測定不能…」
消されたティンダロスの猟犬達が再び無限補充の如く周囲に出現し
この世界の佐伯伽椰子討伐に関しては相手が相手であるため
油断も隙もないのだが、場合によっては此方も多世界の脅威になる可能性がある以上
データ収集に向かうべくこの世界に置いての激戦の地にティンダロスの猟犬達と赴く。

73 :
>「潰されてやるもんか! お前の惚気話を新説として世界中の人に知らしめてやるから覚悟するこったな!」
>「よし、天魔震撼、転身」
>「これが、毘沙門天たる、証だ。」
滅竜の放つブレスは安心院が当然の様に防ぐ、が。
そこでファフニールが峻厳のアイン・ソフ・オウルとしての力を発現。
安心院の持つ1京2858兆0519億6763万3867個のスキルの内の9328兆0399億6763万8600個を破壊しその数を3530兆0119億9999万5267個まで減らしてみせた。
ファフニールがアイン・ソフ・オウルとして持っている力はその火力ではない。
それらの火力は、ファフニールがアイン・ソフ・オウルとしての役割を課せられる前から持っていたもの。
アイン・ソフ・オウルとして得た力の本性は、あらゆる存在の破壊、という能力である。
故にブレスだけで空間を引き裂き、能力を破壊し、不可逆の死を与えてみせる。
アイン・ソフ・オウルに届く力があるからこそ、ファフニールは歴代の暴走したアイン・ソフ・オウルを殺し続けることが出来た。
>「――いいよ、やってやるよ! モナー、フォーム《キーブレイド》!」
「おォ……それだそれ。 悪い竜は――正義の味方に退治されねぇとよォ。
 誰か持ち上げるだけじゃなくてよ。偶には自分で何かしてみな、吟遊詩人」
鍵盤を象ったような剣を構えたフォルテを見て、からりと笑い。
爪をじゃりぃん、と甲高い音を立ててこすり合わせて、フォルテとアサキムを睨みつけた。
>「消え失せろ!」
「ティラノ・リンク・ノヴァ!」
アサキムの放った余りにも強力で、余りにも大規模な攻撃を前に、ファフニールの取った行動は単純だ。
右腕に深々と刻まれた刀傷から、真紅の光を吹き出させてそのまま凝縮させて前方へと撃ち放つ。
莫大な衝撃波とぶつかり合う真紅の光は、ファフニールに襲いかかる部分だけを綺麗にこそげとり、破壊≠オた。
力の上では、アサキムは決してファフニールに見劣りしているわけではない、神代の竜と互角という時点で、そもそも伝説に語られてもおかしくない次元の強さだ。
だがしかし、それでもファフニールと力と力で争うのは得策ではないのだ。なにせ、力と力であれば、ぶつかり合えば破壊してしまう。
形のあるもの、確として認識できるもの、概念として確実な物。
能力や、攻撃や、物質や生命であれば、ファフニールはその総てを破壊することが出来る。
もし、それでも破壊できないものが有ったとすれば、それは――心とか、絆とか、そんな朧気で不確かで不安げな物に限られてしまうのだろう。
>「さあ君の音を……声を聞かせて――。いざ――勝負ッ!」
>「月陰る闇に咲く華 底知れぬ深淵を見つめた
>時を漂い続けた君は 星屑の掃き溜めにて目覚めた
>水を蹴って翅広げ 青年の日に別れを告げて今飛び立とう 黄金の粒散らして」
「ヒャハッ! ヒャハハハッハハハ――――――!
 良いなァ、悪くねぇ。俺の嫁ほどじゃねェが、テメェも面白ェ!」
振りぬかれるフォルテの剣を受け止めるように、爪を振るいそのまま存在毎抹消しようとする。
だがしかし、内側から襲い来る強い意志と、激痛に僅かに――ほんの僅かに気を取られ、そこに隙を産んでしまう。
まだ消え去っていなかったアサキムの衝撃波の反動が、緩んだ体には良く聞いた。
体勢をわずかに崩し腕は空振り。それでも衝撃波でフォルテにダメージは与えるも、己の右の腕から鮮血が舞って散る。
腕を引き裂かれながら、胸に傷を刻めば、その傷を中心に罅が広がっていき、音楽記号のフォルテを思わせる裂け目が生まれ、そこから真紅の光が漏れだした。
ゲッツの光だ。滅竜のそれ程には強くないが、それでも確固とした意志を持って成る、精一杯の閃光だ。

74 :
『――ヒャハ、ヒャヒャヒャヒャハハハハハハッハハハッ!!!
 悪ィな、神様よ! 俺のダチ潰すってンなら、幾らご先祖様でも神様でもよォ……!
 俺が許さねぇ。んで持って、こええ奴らが二人ほどテメェを殺しに来るし、いつかオレはファフニール様、あんたを超える。
 ……超えた暁にはよ、もう一度コイツら連れて本気のあんたを潰しに行くから――此処でそろそろ牙をひいてくれねェか?』
「――やだねェ! ヒャヒャハ!!
 せっかく燃えてきてんだ、ここで茶々入れられると我様キレるぜェ?
 それでも止めてぇならよォ、力で来い。テメェ、我様の子だろォが、なァ?」
胸元の傷から声が漏れ、ファフニールを止めようとするもファフニールには豪放に笑うのみ。
懐に入り込んでいたフォルテを睨みつけると、ずらりと並んだ牙を魅せつけるようにして、口から火炎を吹き出した。
安心院が残った3530兆0119億9999万5267個のスキルを駆使してフォルテを守るも、その都度に防御に使ったスキルが消滅させられていく。
そう長く持つ状況ではないし、このまま戦っていればファフニールだけでなく、容赦を知らないアサキムの攻撃によってこの仙界が滅びてしまうことだろう。
『ギャハハハハハハ――――ッ!
 いいなァ、殴っても引き裂いても火ィ吹いても壊れねぇ壁かァ、厄介だなァオイ。
 だがよォ、それをぶっ壊すからこその、全方位殲滅師な訳だ。
 ――悪ィなフォルテ、あと数分生きろ、こいつに殺されたら生き返らねぇぞ』
ごうん。
赤い光の漏れるファフニールの胸元から、打撃音が響く。
最初は弱く、小さかった打撃音は次第に連続していき、かつ音量が爆発的に増えていく。
胸元から漏れだす光は強まっていき、徐々に胸元の罅は大きく広がっていった。
それを感じたのか、ファフニールはげらげらと下品に笑い声を響かせて、アサキムやフォルテ、安心院、他の神々を睨みつける。
「どォやら時間がねぇか。
 遊ぶのはこれで最後、ってわけだなァ?
 精々死に様で我を楽しませな。
 それでも挑むってンなら――、吟遊詩人。テメェの母親はアマテラスだっけか、中々いい性格してやがったが。
 アイツは、逃げなかったぜ。確かに割りとおもしれェ性格だったが、やる時はやる性格だ。――来な、フォ……なんだっけ。
 んで、そこの仙人。テメェは強ェなァ。本気で強いが、テメェの弱点は一つだ。
 なんでも自分でやろうとするからテメェには芯が無ぇ。芯を決めな、それが出来なきゃテメェは何時か壁にぶち当たる。
 ま、知ったこっちゃねぇがな。今から叩きこむのは我様の取って置きだからなァ! ヒャヒヒヒッヒ――――――!!」

75 :
両の手を合わせてそこに黒紅と白蒼の混ざる光を生み出していくファフニール。
先程までの攻撃の全てが、児戯に等しいとすら思わせんとする程の密度と物量を持った純粋な力。
破壊を役割とされた旧き竜神のその本性を形としたかの如くに、その力は発動を前にしてすら周囲の空間を歪ませ建造物を砕いていた。。
手元を離れ、ファフニールの目の前に浮かぶ大きな光の球体。
そこにファフニールは己の全力のブレスを吹き込み、ファフニールが峻厳のアイン・ソフ・オウルと呼ばれる所以を解き放った。
     ギャラクシーショット
「――――超銀河弾HELL」
超物量、超密度、超サイズ、超速度、超威力。
大凡強いと言われうる要素を詰め込んだから強いのではなく、力を注ぎ込んで解き放った結果そうなっただけという非常識極まりない力。
当たればどうなるとかそういうレベルではない力だが、それでも当たればどうなるかを表現すれば、死ぬとしか言い様が無い。
どんな防護であろうとその力は打ち砕き、魂の根っこから総てを粉砕し、焼却する。
それでも尚、立ち向かうというならば。
神の力を携えるか、意志を持って向かうしか無いだろう。
そして、何よりも、先程からの竜の発言を考えてみるといい。
どこか、本気ではない様子、試している様子を竜は見せている。
となると、これは決して超えられない試練ではないという事だ。そう、失敗すれば不可逆の死を得るし、成功率は無いに等しいが。
この竜を倒すすべは、どこかにある。と言っても、正面から竜を倒すには、破壊を超えなければならない。
力で拮抗できるのは、この世界においてはアサキムか、此の場には居ないエスペラント、または他のアイン・ソフ・オウルくらい。
それ以外の手が、ココにはある。力によって破壊されない、朧気なのに何よりも確かな存在を知るものが、この場には存在している。
それを知り、それを振るう事がこの死を超える鍵となり、クリアの条件と成るだろう。

76 :
「純粋な、仙力で、力任せ。でもダメか。」
鍵となるのは、やっぱ
「アヤカ。素戔嗚尊たちは」
「周りの、被害を防ぐ為に、尽力しているわ。」
「おまえも、消えろ巻き込まれる」
「うん、死なないでね。」
アヤカが失せたのを見計らい。
【無限決解、神楽】
初戦で使ったのを使用して、周りを防ぐ。
「時間は、稼げる。フォルテ、来い」攻撃を止め、毘沙門天を解く。
「ちょっとくすぐったいぞ。」
【アサキムダグラスが命ずる。毘沙門天よ、姿を変え、彼女を守護せよ。】
白きオーラが、アサキムから、フォルテへ、受け継がれていく。
「フォルテ、君に、俺の力を託す。七福神は、知ってるな。」
「その能力は、受け継ぐときに変わる。君の場合は、弁財天、君には、打ってつけの能力だ。」
「それに、仙力も受け継がれる。俺の力が、すべて受け継がれる」
「畜生、こんなに、思い道理にならないのか」
「アヤカに、宜しくなっ。」
全ての力を、受け継がせ、アサキムは、光となりて消えた。
安心院には、こっそり仙術をかけ、
スキルを取り戻させ、さらに絶対守護のスキルを貸した。

77 :
「はぁ、気持ちいいな。」
ここは、仙界よりも、さらに上の治療所。
ここでは、仙人の、治療
事故死、殺害などから成仏した人の、治療。
ここでは、争いは、御法度であり
世界守護委員と、仙界の合同で、守られている。
「入っていい?」
「ああ、どうぞ………ブゥゥゥゥー」
勢いよく、鼻血と、唾がでた。
「なによ、混浴だし、良いじゃない。それに私の体、そんなに好み?」
「女が、タオルもせず、混浴に入ってくんな。テイル。」
「大体な。おまえは、天照大神としての自覚がない。」
「いやー最近暇だからねぇ。子も成長したし、私とがった」
「Rぞ、あとタオル巻いてこい」
テイルに、右のボディブローと、左の地獄突きをくらわす。
「分かったから、虐めないで。」
いそいそと、タオルを巻くテイル。
「まぁ、そんなんなら。復帰もちかいな。」
「まぁ、ね。早期治療のおかげだよ、アサキムこそ、なんで来たんだい?」
「まぁ、仙力使い果たしたし。」
アサキムは、消滅したのではなく粒子化し、上に飛んだ。
「ふーん。ねぇ、私の娘どう?」
「まぁ、やんちゃが過ぎるが、良いんじゃねぇの」
「でしょでしょ、」
【親ばかか。】
「まぁ、下でヒドい事になってきたし降りようかな。」
「大丈夫だよ、全部受け継いできた」
「???アサキム?どういう事」
「だから、受け継いできた。」
「ええ!!!なんで」
「武器召還は、魔法だし、霊刀は、リンク再登録するし。」
「そうなんだ。………逆上せてきたね」
「そうだな、上がるか。」
「その後は、少しつき合ってね。」
「解った。なにすんだ?」
「下に降りる準備。」
「ならいい。」
風呂から、出る

78 :
魔竜が爪を振り抜く。精密なコントロールも何も無い、ただ振るうだけの脅威の広範囲攻撃。
小さい方が当たり判定で有利、なんて理屈は当然のごとく通用しなかった!
間一髪の位置を薙いでいった竜の右腕に、音を乗せた刃で斬りつける。なるほど――ね。もう少しこっち方面か。
飛び散った返り血を浴び、竜も赤い血をしているんだな、なんて場違いな事を思った。
いや――返り血だけじゃないな、こりゃ。当たってないにも関わらず、服ボロボロだし全身に無数の切り傷が刻まれている。
V系っつってもこういう血塗れ路線じゃないんだけど!?
「一夜の夢織り上げる宵に 安息の繭は解かれていく
浅葱の翅の女神の唄に狂わされた 獣の魂が踊り燃ゆ」
血塗れになりながらも歌ってるのは我ながら流石プロの吟遊詩人って感じ!?
二撃目は―― 一気に懐に飛びこむ! 半分自由落下任せの刺突で胸に傷を刻む。
だけどまだだ――まだ合わない。分かりそうで分からない。
そもそもこんな人知を超えた神様と共鳴する事なんて可能なのだろうか。
胸に刻んだ傷から閃光が漏れ出し、声が聞こえてきた。
>『――ヒャハ、ヒャヒャヒャヒャハハハハハハッハハハッ!!!』
この馬鹿笑いは……聞き間違うはずもない。
「ゲッツ! 一体どうなってんだよ!? マトリョーシカ方式!?」
そこは多分深く考えたら負けである。
ゲッツが制止しようとするも、当然のごとく聞き入れないご先祖様。
容赦なく火炎の息を吐いてきた。
「あ、やばっ――」
そう思った時には安心院さんがオレを逃がしていた。
水の壁を作り、時間を操作し、空間を歪ませ、あるいはもっとたくさんの能力を使って、だ。
>『ギャハハハハハハ――――ッ!
 いいなァ、殴っても引き裂いても火ィ吹いても壊れねぇ壁かァ、厄介だなァオイ。
 だがよォ、それをぶっ壊すからこその、全方位殲滅師な訳だ。
 ――悪ィなフォルテ、あと数分生きろ、こいつに殺されたら生き返らねぇぞ』
「笑いながら言う事か――ッ!
人騒がせ野郎はオレの美声でも聞きながらそこで大人しく待っとけ!」
破滅の閃光を練り上げはじめる魔竜。
母さんの名前を出してどこか挑発するような態度を取る魔竜だが
今までの攻撃も非常識な次元だったのに、その更に段違いである事がはっきりと分かる。
「母さんを知ってるの……!?」
ああ終わったな、と今までのオレなら諦めの境地に達して辞世の句でも読んでいた事だろう。
でも今のオレは自分でもびっくりするほどとびっきり諦めが悪くなっていた。
生き残りたい、生き残りたい、まだ生きていたい。
オレ達の伝説はまだ始まったばかりなんだ。こんなところで終わってたまるか。
オレは瞬時にその優秀な頭脳でもって最善の行動を弾き出した!

79 :
「導師様! オレを生かしてくれ! そのためなら何だってする!
アイツを伝説の勇者にするのは……オレしかいないんだッ!」
何の事はない、結局いつもの導師えもんに泣きつくフォル太君の構図であった。
導師様は、言われずとも何かを決意したような面持ちだった。
>【無限決解、神楽】
>「時間は、稼げる。フォルテ、来い」
アサキム導師は魔竜の周囲に結界を張り、時間稼ぎをする。
>「ちょっとくすぐったいぞ。」
>【アサキムダグラスが命ずる。毘沙門天よ、姿を変え、彼女を守護せよ。】
「あ……」
純白のオーラが流れ込んでくる。力強くて、それでいて優しい光。
確かにくすぐったいような、不思議な感覚を覚える。
今まで普通に男扱いだったくせになんでいきなり三人称代名詞が彼女になってんだ!?
と、莫大な力を受け継ぎながらこの期に及んでどうでもいい事を心の中で突っ込んでしまう。
>「フォルテ、君に、俺の力を託す。七福神は、知ってるな。」
>「その能力は、受け継ぐときに変わる。君の場合は、弁財天、君には、打ってつけの能力だ。」
弁財天、またの名をサラスヴァティー。音楽神にして水の女神、そして流れゆく物全てを司る女神だ。
なるほど、吟遊詩人にはぴったりの能力だろう。
と思っていると、アサキム導師が信じられない事を言い始めた。
>「それに、仙力も受け継がれる。俺の力が、すべて受け継がれる」
>「畜生、こんなに、思い道理にならないのか」
「ちょっと待て、どういう事だ!?
何でもするとは言ったけど……自分を犠牲にしていいなんて一言も言ってないぞ!」
>「アヤカに、宜しくなっ。」
「そんなの自分で言えよ……おいっ!」
伸ばした手は何者にも触れる事はなく。次の瞬間、アサキム導師はもうそこにはいなかった。
彼は自らを犠牲に、オレに全ての力を受け継がせたのだ。
だけど悲しんでいる暇はない。今はあの魔竜の攻撃を迎え撃つ方法を考えなければ。
導師様自身であの魔竜に打ち勝てる力を持ってるならわざわざこんな事をせずに自分でやればいい。
オレに力を受け継がせた、オレじゃなければいけない意味が何かあるはずだ。
考えろ――絶対の破壊を前にしても壊れない物は何だ? あるのかないのかも曖昧なもの。嘘か真実かも分からない物。
流れゆくもの、たゆとうもの、時代によって形を変えていく物。――それは受け継がれゆく情報。例えば神話、例えば伝説。
音楽を極めた者は森羅万象と繋がる事が出来るという。今のオレなら、一瞬だけなら繋がる事が出来るだろうか。
集合的無意識の海――星の記憶のデータベース、全ての生命の精神が繋がっている場所に。

80 :
「モナー、――フォーム《ストリングス》」
竪琴を爪弾き謳うは、異界の言語で紡がれる、星の海の歌。海精の女王――Queen Nereid。
常識的に考えれば歌っている場合ではない。
超強い盾を出したり超凄い攻撃で迎撃しなければいけないところだが、オレには歌しかないのだ。
だけどもしも、伝説が息づく場に瞬間だけでもアクセスする事が出来たなら――
「――wesura rijumishe sateraicha yumyuje wesura rijumishe sateraicha yumyuje」
acha radid yo acha radid yo acha radid yo acha radid yo」
歌いながらふと思い出す。
その昔母さんと共にガイアという世界を救った仲間は、エスペラントさんとアサキム導師以外にもう一人いたらしい。
聖なる竪琴を携えた呪歌士、”海精の歌姫ルーチカ”。
それだけの事をやれば、神々の世界に迎え入れられ永遠を手に入れる事だってできただろう。
だけど敢えて彼女は普通の少女として生きる事を選んだらしい。
手の届く永遠を自発的に拒み人間として生きる事を選ぶ、それって何気に凄い事だと思う。
もしかしたら彼女は知っていたのかもしれない。決して壊れない確かな物を――
「sos ras kyube letari oreti a so renda rina lobelu beji mesekase dio solobe lachea
ru dzes mela lokori asisdze o somedzeleo ibela lozina speriste lusina」
結界を破った魔竜が、技の準備を完了したようだ。
来るなら来い、そう視線で訴えかける。
「guradia sho zea soruma bie rito guradia sho zea」
>「――――超銀河弾HELL」
果たして、その時は来た。超絶絶対の破壊が顕現される。
全てが、白い光に包まれた――
♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪

81 :
「Draco in fabula《伝説の中の竜》 In deocone hora《竜の中の時間》In dracone spes《竜の中の望み》
In dracone error 《竜の中の迷い》In dracone veritas《竜の中の真実》In dracone somnium《竜の中の幻》
In dracone fatum《竜の中の宿命》In dracone causa《竜の中の理由》In dracone amor《竜の中の恋》」
次の瞬間――オレは風奔る草原に立っていた。風に乗って、謳が聞こえてくる。
「音のない大地に 恋の歌 響けば 狂い出す歯車 とめられぬ宿命(さだめ)がはじけた
蘇る 今 いにしえより 寂寞の恋 目覚めた
絆を求めて 炎はほとばしる 破壊と再生 気高き君の呪縛」
謳っているのは印象としては少女、でももしかしたら20代半ばぐらいかもしれないとも思う。
そこは深く突っ込まないほうがいいだろう。ご自慢の聖剣でずんばらりされても困るからな!
そんな事より、歌の内容だ。竜に捧ぐ恋歌。祖竜ファフニールの事を歌っているのだろうか。
とすれば……
「聖女、様……?」
「それが竜に恋した竜殺しの英雄の事なら。
君が見ている私は全ての生命の記憶の中の祖人ゲオルギウスの最大公約数的なもの、かな」
察するに、どうやらオレは集合的無意識の世界への退避に成功したようだ。
もしかしてこれって死んでるんじゃね!? という一抹の不安が残るわけだが。
せっかく運よくこの人が出て来たのだ。攻略方法を聞かない手は無い。
「なあ、どうやってアレに勝ったんだ!? 教えてくれよ!」
「君はもう知っているはず。ただ気付いていないだけ。
竜はね――伝説を望む存在。物語《ロマン》に生きる存在」
「わっけ分かんね」
流石最大公約数だけあってざっくりし過ぎて意味が分からなかった。
もういいや、さっさと帰ろう。
そう思って、はたと気づいた。帰り方が分かんないんだけど!
「えーっと、どうやったら帰れる?」
最大公約数な聖女様に聞いてみた。聖女様は悪戯っぽく笑う。
「そうだね、少し話に付き合ってくれたら」
「いいけど……出来るだけ早くしてくれよ。何?」
「君――恋してるね」
「!!!!!!???????」
絶句した。いきなり何を言い出すんだこの聖女様は。平静を装って言う。
「残念! オレは音楽にしか興味無いんだ」
「音楽が森羅万象だとしたら……君が歌を歌うのは世界の全てと繋がりたいから。
だからこそ一歩引いた位置で何事にも他人事であろうとする」

82 :
「そりゃそうだろ。だってオレは伝説を謳う者だぜ?
一歩引いた位置からでないと伝説の勇者様がよく見えないだろ?
決めたんだ、アイツを史上最高にかっこいい勇者にしてやるってな!」
「そうかな? 肩を並べないと見えない物もあると思うけどな。
でも君は本当はもう気付いてるね。きっと大丈夫」
世界が揺らいでいく――やっと帰してくれる気になったらしい。
おぼろげな意識の中で、聖女様の声を確かに聞いた気がした。
「いい事を教えてあげようか。
恋をすると、ひとりがふたりになっただけなのに、世界中の人とつながったような、世界をすべて手に入れたような夢を見る――」
♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪
突然意識が戻ってきたような感覚。情報体の粒子が結集し、再び実体化する。
導師様から受け継いだ力が、姿に変化を及ぼしていた。
背に広げるは、三対六枚の羽――神格の妖精の証。そこまではいいのだが……
露出が多い割にいらんところでひらひらしている白を基調とした衣。
相変わらず細身ながらも、柔らかな曲線を帯びた体。胸にはあるわけ無いはずの膨らみがある。
どういう事だこれ!? 公式が病気、そんな素敵ワードが思い浮かんだ! きっと導師様の仕業に違いない!
でも全ては魔竜を倒すためだ、今だけは、まあいいか――
「待たせたな祖竜! お前の持つ”音”は……これだ!
音型展開《シンセサイズ》――アスカロン!」
チューニングを完了したモナーを巨大な弓矢の形へ変化させる。
それは遥か古、孤高の竜のハートを見事射抜いた聖女様へのオマージュ。
もう一度言う、全ては竜を倒すためだ! 弓を引き絞り、祖竜の胸に向かって光の矢を放つ。
「これで終わりだ! オレの勇者様を返しやがれぇええええええええ!!」

83 :
ポン。ポン。ポン。ポン。
なんみょうほうれんげえいきょうおおお…
やくざの家は葬式。
正座して位牌を見ている男は若頭。
名前はリュジー・タライノ。
彼は遺影を見て思う。死体になったヤスのことを。
ヤスは孤児。がんばってヤクザしてたのに
お守りを口に詰められて死んでた。
それもリュジーがあげたお守りを口につめてた。
ひでえいことをしやがる…。
こんなことをするやつは人間じゃねえ……
握りこぶしを作って膝でぎゅっとする。みんなでぎゅっとする。
むなしくお経が響く。そのときを見計らうように
「てやんでい!」
怒ってリュジーは立つ。
そうしたら突然、遺影が砕け散った!
「ぎゃあ!!?」
お坊さんは絶句。みんな絶句。
しーんとなる家の中。わなわなしながら組長がつぶやく。
「のろわれてる」
外を見たら白い顔が窓びっちりと張り付いていた。
そのなかにはヤスもいた。

84 :
「…るわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
錯乱した組長が窓ガラスを鉄砲で撃つ。
それに従いヤクザみんなで撃つ。
そして窓ガラスは粉々に砕け散る。
でも窓の外には誰もいない。
組長は興奮しながら
「でてこい!ばけもの!」
と叫んだら、隣の部屋から出てきた。
無数の白い手が現れてはどこか不思議な場所へと生きている人たちをひっぱってゆく。
リュジーは絶叫しながら消えてゆくヤクザたちを見ていた。
そしてとうとうリュジーの足も掴まれてしまう。
無念…
リュジーは短刀で自分の首を刺して死のうと思った。
そのときだった。リュジーを咥えて大きな犬が持っていった。
それはなんと、ティンダロスの猟犬だった!
気が付けば見たこともない世界が目の前に広がっている。
猟犬たちの集まる中心には見たこともない者がいた。
それは神か悪魔か。否、もはや人智では理解不能な存在。
そう、あれは人でも神でも悪魔でもない。
大宇宙唯一の永久。絶対的勝利の守護者。『永久闘争存在』なのだ!!
「おめー、もしかして神様か?バケモノ退治なら、俺も同行する」
ティンダロスの背中にまたがったリュジーは永久闘争存在と一緒にゆくのだった。

85 :
「ギャハハハハハ――、ヒィ――――ヒャヒャハハハハハハッハハハハハッハハハハハハッハハァッ!!
 壊れな、全部ッ! 世界の再編が来る前に、この我様が総てを壊すッ!!
 それが嫌なら破壊してみなァ……運命をよォ――!」
伝説となり、神話に語れる竜は己の破壊によって滅びていく仙界を見て高笑いを上げる。
目覚めてしまった以上、ファフニールは本能に従って総てを破壊してしまう。
赤子に触れようとすれども、その肌に爪で触れれば赤子は死んだ。
触れるもの見るもの総てを壊して殺し続けた結果、数千年前のこのドラゴンは、一度狂気に飲み込まれた。
自分以外の何者も己に触れることが出来ず、己の声一つで即死するならば声を交わすことすら叶わない。
究極の孤独は、次第に狂気をもたらし、ファフニールを文字通りの悪竜へと至らしめた。
山を消し、城を呑み、天蓋を砕き、大地を削る。
三主とすら爪で斬り合い、一度は無為の地平まで吹き飛ばしてみせた。
だが、それでもファフニールは一人で、ずっと一人で、総てを破壊し続けて、何もない誰もいない地平に一匹佇んでいて。
最強の竜となった先にあった虚無感に打ちひしがれそうな時に出会ったのが――――
>「待たせたな祖竜! お前の持つ”音”は……これだ!
>音型展開《シンセサイズ》――アスカロン!」
「な、に――ィ」
豪壮な声は、しかしどこか寂しがりの子供の様な弱々しさを含んでいた。
この竜を倒す方法は、悪意でも敵意でもなく、真っ直ぐな光の方向へと向かう心。
あの時ならば、この一人ぼっちの竜を愛してしまった一人の聖人の一閃がこの竜を救った。
>「これで終わりだ! オレの勇者様を返しやがれぇええええええええ!!」
「ゲオル……ギウス…………?」
祖竜の放った絶対の破壊を、その光がすり抜けたのは奇跡だったろう。
奇跡を起こし、運命を変えうる存在、それこそが勇者。
そしてきっと己の勇者の為に勇気を振り絞って戦ったフォルテは間違いなく勇者だった。
駆け抜ける矢、視界を埋め尽くす光が、ファフニールの脳裏に過去の幻影を映しだした。

86 :
† † † † † † †
ぐつりぐつりと煮えたぎる溶岩の中に有る、岩のプレート。
空は黒い煙に覆われ、周囲の空気は熱気でゆらりゆらりと歪んでいた。
そこで、一人の竜人が目を覚ました。
「ン――ぁ?」
胸が、ぎしりと軋みを上げた。
視線を落とせば、胸元の音楽記号で言うフォルテ状の傷跡が発光していた。
それを抉るように爪で触れ、ゲッツは理解する。
フォルテが、大真面目に戦っているという事を理解し、ゲッツは正直な所面食らっていた。
肝心な所で茶化したり、一歩引きたがるアイツが、ここまで頑張るとは、と。
そして、その頑張った理由が恐らく己なのだと思うと、口元に笑みが浮かんだ。
そんな最中、ゲッツの背後から、ゲッツに良く似た声が聞こえてくる。
「よォ我の末裔。
 ……どォにも、テメェのダチがお前をお呼び出し中らしィぜ?
 まさか、我の封印解いた馬鹿と、そんな馬鹿を助けようとする奴が現れるたァ予想してなかったわ。
 ――テメェもあの吟遊詩人も、いい度胸してやがンぜ。ま、テメェはなんにもしてねェけどな」
立っていたのは、一匹のドラゴンだ。
真紅の鱗を持ち、鋼色の瞳を持つドラゴンは、神話に語られる悪竜ファフニールそのものだ。
ゲッツが胸元に傷を残しているように、ファフニールも胸元に横一文字の大きな刀傷を持つ。
次第に、その刀傷が広がっていき、ゲッツの周囲の空間にも罅が入り始めた。
そろそろか、そう理解したゲッツは、口元の笑みを強くした。
「なァ――ご先祖様よ。
 どォも、あんたと俺は似ているっぽいが、あんたの出会った運命はどういう奴だったんだ?
 強かったか? んでもって、ギラギラ輝いてよ、すげぇ奴だったんだろどォせ」
「ああ、そうよ。
 当然、地上で俺の次に″ナ強で、俺の次に<Mラギラした、最ッ高の存在だぜ?
 一人じゃ変えられなかった定めも、アイツが変えてくれた、そしてアイツの運命は俺が変えた。
 末裔、いやゲッツか。てめェの運命も、そうやって誰かと交われば変わるかもなァ、災厄のアイン・ソフ・オウルから変われるかもしれねェ。
 大切にしな、ああいうダチはそう手に入るもんじゃねェ」
「わァってるよ、ファフニール様。
 ってか、あんたもあんたで神様っぽくねェよなァ、信仰心は捨ててねぇけど。
 どーせなら、絶世の美女のゲオルギウス様の方が良かった――ハイハイハイ悪かったからここで火ィ吹くなっての俺が死ぬ。
 ま、なんだ。あんたを俺は超えるぜ? きっと俺もアイツも、祖竜信仰なんてメじゃねェ伝説作るさ。
 ……って訳で、耳かっぽじって目ェ見開いて、夫婦仲良く世界でも見守ってな、きっちり世界は俺らが救ってやるから」
どんな神だろうと、子供の時から憧れ続けてきた祖竜様は、案外にも己とよく似ていたと思うゲッツ。
悪竜がこんなやつなら、別に俺が悪竜の子孫でも悪くないと、ゲッツはそう思えた。
だから、最後に一発。ちょっとばかし気合を入れて、ゲッツは拳を握りしめて一歩を踏み出した。
爪が振り上げられる。拳を振り上げた。
鋼と鋼が交錯して、何かが砕ける音が響いて、世界は赤い光に包まれていき――――――
† † † † † † †

87 :
「あれ、イメチェンしたのかよォ? フォルテ。
 ちょいとマブいんだが、これはとりあえずR揉んどけって事か、Rな、R! 今から揉むぞ!」
光が止んで、矢を放った後緊張で力が抜けていたフォルテの前には、一人の竜人が立っていた。
神官を思わせる衣服は、どことなく祖人ゲオルギウスの時代の聖騎士の装束にも酷似している。
大きく開かれた胸元には、薄っすらと光を漏らす、fの文字を象った傷。
わきわきと手を伸ばし、女性化したフォルテのRを揉もうとしたが、目の前でぼふんと音を立てて何時ものフォルテになった。
スカッ、虚しい風切り音を立てて指は空振りして、ゲッツはきょとんとした顔で、次の瞬間には高笑いを響かせていた。
「ヒヒャ……ッ、ヒヒャハッ! ヒヒッヒャヒャヒャヒャハハハハハハハ――――ッ!!
 なんだそれ、エアRかよ!? 修行で身につけた新技かァ?
 俺もちょいと新技使えそうな気はするが――その前に」
馬鹿笑い高笑い阿呆笑い。
暫くそんないつもどおりの発言を繰り返していたが、ゲッツは珍しく真面目な態度へと移る。
真っ直ぐにフォルテの目を見据えた上で、その場で土下座を敢行した。
角が地面にめり込み石畳を粉砕したが、それほどまでに申し訳ない気分で一杯だったのだ。
「悪ィな、迷惑かけた。
 ……ボルツのおっさん死んだりよ、色々有ってちょいと焦ってたんだわ。
 んで、こんな無茶しちまった。お前も殺しかけたし、10回位お前の頼みなんでも聞くから、ガチで済まんかった!!」
もう一度、額を石畳にたたきつける勢いで――というか、叩きつけて石畳を吹き飛ばしたが――セカンド土下座。
フォルテが何か言うまで、ゲッツは謝り倒すだろう。
自分の勝手で皆に迷惑を掛けたことは間違いないし、親友を殺しかけた。
己の責任でそれを成したことが何よりも許せず、だからこそゲッツは自分の筋を通すために頭を地面に叩きつけ続けていた。
しかしながら、このまま謝罪をさせ続けていると、次第に仙界に穴が開いて地上までの直通通路ができかねなかったろう。

88 :
光の矢は竜の胸をあやまたず打ち抜き、眩い閃光が炸裂する――
それを認識した瞬間、脱力感に襲われて地上に降り立つ。
そこには、神官のような衣をまとったゲッツがいた。
「ゲッツ……」
何て声をかければいいんだろう。感情の波が押し寄せて言葉にならない。
この気持ちはきっと、吟遊詩人が自らの勇者に向けるもの。それ以上でもそれ以下でもない。
無言で駆け寄ってよじのぼって定位置におさまってやろうか。
そうこうしているうちにゲッツが先に口を開く。
>「あれ、イメチェンしたのかよォ? フォルテ。
 ちょいとマブいんだが、これはとりあえずR揉んどけって事か、Rな、R! 今から揉むぞ!」
「はあ!? お前を喜ばせるためにこうなってる訳じゃねーよこのR星人が!」
いきなりのセクハラ発言をかまし、あろうことか胸に手を伸ばしてきた!
こいつに惚れる女は古今東西全宇宙探しても1000%存在しないな。間違いない!
サービスでこのまま抱きつくぐらいしてやっても良かったのに完全にアウトだ!
オレはえいやっと通常グラフィックに戻り、Rは虚数空間の彼方に消えた。これこそまさに虚R。
「ヒヒャ……ッ、ヒヒャハッ! ヒヒッヒャヒャヒャヒャハハハハハハハ――――ッ!!
 なんだそれ、エアRかよ!? 修行で身につけた新技かァ?
 俺もちょいと新技使えそうな気はするが――その前に」
満更間違いではないけどRがメインではなく飽くまでも能力発動の副産物である。
Rなんて飾りです、エロい人にはそれが分からんのです。
と、ゲッツがいきなり真面目な目でこちらを見据えたかと思うと、物凄い勢いで土下座をした。

89 :
>「悪ィな、迷惑かけた。
 ……ボルツのおっさん死んだりよ、色々有ってちょいと焦ってたんだわ。
 んで、こんな無茶しちまった。お前も殺しかけたし、10回位お前の頼みなんでも聞くから、ガチで済まんかった!!」
「本当だよ。普通こういう盛り上がるイベントはクライマックスなのに序盤でやっちまってどーすんだ。お仕置きだっ」
そこまで言って、かがんでゲッツにデコピンをくらわせた。そして肩を掴んで目を合わせて微笑む。
「でも……仕方ないか。
オレがそんじょそこらの伝説と同じじゃ駄目って言ったんだもんな。
強さを求めるのは否定しない。いや、強いに越したことはないさ。
でもこれだけは覚えとけ。オレがお前を選んだのは一番強いからじゃないんだぜ?
言っただろ? 唯一無二のテーマ、誰も見た事のない伝説ってな!
柄でもなく戦ったのはお前のためじゃない、オレ自身のため、いつかオレが謳う伝説のためさ!
だから謝らなくていい、そういう時は”ありがとう”って言うんだよ」
そこまで言って、導師様がもうこの場にいない事にはっと気づく。
「……お礼はアサキム導師に言ってやってくれ。導師はオレに全ての力を受け継がせて……」
「導師は今上で風呂に入ってるそうだ」
安心院さんがしれっといい、思わずずっこけそうになった。
いや、あの超強い導師様の事だから多分そんなところだろうとは思ってたけどさ!
「――だってさ! とにかく導師様にエアRの感謝でもしとくんだな! 触らせてやんねーけど!」
もう一度言う。Rはメインではなく飽くまでも付録である。
しかし世の中には付録目当てでお菓子や雑誌を購入する人も存在してしまうのだ。恐ろしい事である。

90 :
一方、上の診療所では、アサキムは、20年に一度の全身検査を受けて、結果を貰っている。
「はい、これでおしまいです。あと、これ結果ね。」
「どうも、……げっ」
「えっとね、頑張りすぎ」
「しょうがねぇだろ。厄がおおすぎんだよ。」
「あと、脳検査は、異常なし」
「そうか、あれは」
「うん、もう大丈夫。」
ふい、そうため息をつき
帰ることにした。なぜかテイルがいるので
ヘッドホンをつけて降りることにした。
jam projectの「rocks」を全力で流す。
「ねぇアサキム」
【superRobo スーパーロボ!】
「ねぇ」
【張りつめーた瞬間ににらみ合った】
完全スルーでありんす。
何度かスルーし、ようやく外し
「んじゃ、帰る。」
「うん、アサキム。また僕と×××して、×××しよ。」
いった瞬間に鼻血を吹き倒れた。
めんど、そう思い、降りることにした。

91 :
>>「導師様は、今上で風呂に入ってるそうだ。」
「もう、終わったから。」
安心院の後ろからアサキムが顔を出す。
そして、
「お前は、空気を読むことを知らんのか」
ハンマーを召還し、勢いよく、攻撃する。
「痛いから、痛いの」
安心院は、ミンチよりひどいことになりました♪
「まずは、フォルテ弁財天の守護覚醒成功おめでとう。」
「ある意味、賭けだったが、成功してなりよりだ。」
「お前の、親も喜んでたぞ。上から見てて」
「神格化を継続させる修行は、今度やる必要があるが、良しとしておく」
「そして、ゲッツお前は後で説教だ。」
「大体な、制御不能の奴を解放して、得なんかしねぇだろ。」
「破壊ばっかり考えているからこうなる。」
「罰として、ゲオルギウスからの説教五時間な。」
「プラス素戔嗚等、からの説教10時間コースな。」
そう、言いつける。
「俺は、アヤカ、安心院と、少し出るから。」
「復活っと」
安心院さん復活☆
「いくぞ。」
三人は、勢いよく走り出し、二人の眼前から消える。

92 :
>「でも……仕方ないか。
>オレがそんじょそこらの伝説と同じじゃ駄目って言ったんだもんな。
>強さを求めるのは否定しない。いや、強いに越したことはないさ。
>でもこれだけは覚えとけ。オレがお前を選んだのは一番強いからじゃないんだぜ?
>言っただろ? 唯一無二のテーマ、誰も見た事のない伝説ってな!
>柄でもなく戦ったのはお前のためじゃない、オレ自身のため、いつかオレが謳う伝説のためさ!
>だから謝らなくていい、そういう時は”ありがとう”って言うんだよ」
「――力を求めンのは俺の業よォ。だがまあ、力に振り回されンのは本意じゃァねえわな。
 精々、あの力も完全にモノにして、全く知らねェ新しい伝説を世界に刻んでやるさ。
 まあ、なんだ。……ありがとよォ、フォルテ。結構いい筋してたじゃねェか、心臓がバチバチしてたぜ俺ァ!」
力を求めるのは、もはや生まれ持った業であると言いつつ。
しかしながら、ゲッツはその業を突き詰めはしても、その業に引きずられる気はさんさらない。
力に振り回されるなど、ハイランダーの名折れであり、力を支配する事こそがハイランダーの戦士としての誉れだった。
フォルテの健闘を湛えるように、いつもどおりにデリカシー一つ無い腕力でフォルテの背をばすんばすんとひっぱたく。
ビンタと言うものは鈍い音の方が痛いと言うが、文字通りそれだ。一挙一動が迷惑なのは、まるで規模違いのファフニールの様だ。
>「導師は今上で風呂に入ってるそうだ」
>「――だってさ! とにかく導師様にエアRの感謝でもしとくんだな! 触らせてやんねーけど!」
「ち……ッ、結局R触れなかったしィ!? いいぜ、いいもんなァ!
 娼館にでも――って、よく考えるとローファンタジア以降俺一文無しじゃね……?
 やべェ、こっから旅するにしろ、なんにも俺ねェぞ? 服だけなんか綺麗なねーちゃんに貰ったけど」
今更すぎるが、この竜人一文無しだ。
ローファンタジア以降、移動手段に車は貰い、お礼に寝床と食事と酒と風呂。
エヴァンジェルにおいても、移動手段は自力であったし、食事も寝床もボルツの奢りだった。
そして、ゲッツは大抵において身一つで生きていたため、ローファンタジア以降全財産を失っていた。
それに気がついたゲッツは、ぎしり、と犬歯をむき出しにして。
「……ムカツクなァ、アイン・ソフ・オウルとやらも。
 こりゃ、あの変な黒いの片っ端から――『うんうん、そういうふうに熱心なのは嬉しいね』
財布とかクレジットカードの恨みで、世界を滅ぼす力に殺意を向ける当たりさすがだった竜人。
その呟きに被さるように、歳若い女の声が聞こえてきた。
声の主の姿は、紛うことなき聖人ゲオルギウス、剣の聖女だ。
外見こそ、フォルテの見た聖人のそれに近いが、もう少しフレンドリーで、わかりやすく言うと俗っぽい。
ニコニコと笑顔を浮かべて、フォルテにぱたぱたと小さく手を振っている当たり、あの精神世界のやり取りは知っている様だ。
『やほ。
 まあ、見ればわかると思うんだけど、ゲッツ君達ハイランダーのご先祖様、なのかな?
 数千年ぶりに起きたらなんか子沢山になってた気分でちょっと現実味ないんだけど。
 とりあえず、私はゲオルギウス。竜殺しの聖人で、救世のアイン・ソフ・オウル。よろしくね、二人共』
そう言って、Rに手を延そうとして手をわきゃわきゃさせていたゲッツを地面に埋め込みつつ、フォルテの手を取って握手をする。
ゲッツが神霊クラスのご先祖様に果敢にセクハラを行おうとするも、私人妻なんだけど、との言葉と同時に空中に高く蹴り上げられる。
まだ若く見えるのかなー、とくねくねとしている当たり、どこか天然入っているのだろう。しかしながら、実力は有るためたちが悪い。
ハイランダー種のご先祖は、なんだかんだで親しみやすい神霊であるようだ。
かーわーいーいー、とフォルテを背後から抱きしめてなでなでぐりぐりしているが、本当にモノホンの聖女である。

93 :
>「まずは、フォルテ弁財天の守護覚醒成功おめでとう。」
>「ある意味、賭けだったが、成功してなりよりだ。」
>「お前の、親も喜んでたぞ。上から見てて」
>「神格化を継続させる修行は、今度やる必要があるが、良しとしておく」
>「そして、ゲッツお前は後で説教だ。」
>「大体な、制御不能の奴を解放して、得なんかしねぇだろ。」
>「破壊ばっかり考えているからこうなる。」
>「罰として、ゲオルギウスからの説教五時間な。」
>「プラス素戔嗚等、からの説教10時間コースな。」
「制御不能を不能のままにしてちゃいつまでも不能だろうに……!
 ……ま、あんたにもすっげー迷惑かけたから、しっかり説教は聞くことにする。
 悪かったな、アサキム」
地面に体を半ばほど埋めたまま、頭を下げるゲッツ。
いつもどおりの乱暴さだが、それでも申し訳ないという気持ちはあるようだ。
そして、この暴走を通して、どことなく気配が変わったようにも思えるだろう。
具体的には、あのローファンタジアのアイン・ソフ・オウルと質量は異なるが同種の力をゲッツは持っていた。
『やあ、アサキムさん。
 私達の子孫と、ウチの旦那がどうやら面倒を掛けたみたいで、悪かったね。
 今度菓子折りでも持ってくから、ゲッツ君についてはちょっと目を瞑ってくれると嬉しいかなって。
 全く、ファフ君に良く似て粗暴で乱暴で粗野で馬鹿だけど、多分悪い子じゃないんじゃないかと思うからさ。
 信じてあげてくれる? アサキムさんも、フォルテちゃんも』
なんというか、悪ガキの面倒を見るお姉さんかお母さんと言った調子の聖女。
ぺこり、と頭を下げて、ついでにゲッツの頭も下げさせる。
穏やかな雰囲気は、本当にあの世紀末戦闘民族ハイランダーの祖とは思えないが、芯の強さはこの時代にも受け継がれているようだ。

94 :
『……さて。
 私は、そろそろファフ君とイチャラブ封印夫婦生活を送んなきゃならないんだよね。
 そうしないと、さっきの戦いより物騒な事になっちゃうから。
 あとファフ君も叱っとくから、フォルテちゃんもアサキムさんもこれで御免、って事で』
ゲオルギウスは、次第に体から感じられる存在感を薄めていく。
徐々に封印の式に引っ張られていき、そのまま異世界の封印空間に二人で封印されるのだろう。
残された時間はそうない為、ゲオルギウスは去っていったアサキムを見送り、ゲッツとフォルテに向き直って。
『ローファンタジア以降、世界の歪みはどんどん大きくなってきているの。
 多分、近い内にこの世界は再編されちゃうと思う。
 それが、良い方向か悪い方向かは別として、この世界の大意がそう語っている。
 それを変えられるのは、アイン・ソフ・オウルの力。
 ゲッツ君は私達から生まれた、アイン・ソフ・オウル。
 フォルテちゃんも多分、弁財天の加護とかを得る以前の時点で、アイン・ソフ・オウルの素質を持っているかもしれない。
 アイン・ソフ・オウルは、奇跡の力。……詳しい事は私からは語れないけど。
 それを知りたいなら、そして世界の危機を知りたいなら。バニブルの地下迷宮に行くといいよ。
 あそこの奥に、この世界の隠された真実が有るはずだから。欲し求めれば、与えられん。
 あの地の知の迷宮は奥深いし嫌らしいけど、それでもと言うなら私から少しだけヒントを教えておくよ。
 勇気を抱えて、誰かを信じ抜くこと。それが、この世界に挑む鍵。
 ご先祖の人妻さんから言えることは、これくらいかな。……また何時か。再編された世界で会えると、嬉しいな――――』
言うだけ言って、微笑みを浮かべてゲオルギウスは消えていく。
ファフニールや、ゲオルギウスが語り、ローファンタジアを滅ぼしたアイン・ソフ・オウルとは何か。
この世界に訪れるとされている、再編≠ニは何なのか。
それを知りたいなら、図書国家バニブルへ行け。
それがゲオルギウスの言い残したことだ。それを真面目顔で聴いていたゲッツは――。
「ZZZ……、ファッ!?
 あぶねー……、長話とかはやっぱし苦手だけどよ。
 よ〜するに、バニブル行っときゃ良いのかねェ? ってか、アサキム達もエス平も居ねぇけどどーしたもんか。
 先に現地入りでもしとくか? 仙界の飯、肉すくねぇから好みじゃなかったしよ」
いつも通りの態度を見せつつ、フォルテを肩に担いで仙界の様子を見て回ろうとする。
歩きながら、この先のプランについて話しあおうとするも、超人組は既にこの場に居ない。
先に行って情報収集でもするか? との提案が、ゲッツからは為されていた。

95 :
>「――力を求めンのは俺の業よォ。だがまあ、力に振り回されンのは本意じゃァねえわな。
 精々、あの力も完全にモノにして、全く知らねェ新しい伝説を世界に刻んでやるさ。
 まあ、なんだ。……ありがとよォ、フォルテ。結構いい筋してたじゃねェか、心臓がバチバチしてたぜ俺ァ!」
「いってー! お前とは作りが違うんだぞ!」
手加減一つない実質張り手に抗議しながらも、口元には笑みが浮かぶ。
いい筋してた、と言われて悪い気はしない。
「分かったよ、そうだと思った。いざとなったら引き留めてやるからお前は思う存分一番を目指せ!
ナンバーワンでオンリーワンの伝説を謳ってやるよ!」
と、ゲッツと会話をしていると、綺麗なお姉さんが現れた。というか救世の聖女様だ!
>『やほ。
 まあ、見ればわかると思うんだけど、ゲッツ君達ハイランダーのご先祖様、なのかな?
 数千年ぶりに起きたらなんか子沢山になってた気分でちょっと現実味ないんだけど。
 とりあえず、私はゲオルギウス。竜殺しの聖人で、救世のアイン・ソフ・オウル。よろしくね、二人共』
伝説の聖者相手にゲッツが果敢にセクハラに挑み、あえなく撃沈する。
そのチャレンジ精神には感服するが、世の中にはチャレンジしなくて良い事もある。そのうちの一つがこれだ。
まだ若く見えるのかなーって……享年何歳なのかますます不詳になってきた。まさかの美魔女!?
でも改めて見るとものすっごい美女だ。
その美女が背後から抱きついてなでなでしてくるのだから「お姉さまー!」と戯れざるを得ない。
ゲッツの方をウザいドヤ顔で見る。羨ましい? 羨ましい? 入れてやんなーい!

96 :
>「もう、終わったから。」
「早ッ! 烏の行水かよ!」
噂をすればアサキム導師が現れた!
>「まずは、フォルテ弁財天の守護覚醒成功おめでとう。」
>「ある意味、賭けだったが、成功してなりよりだ。」
>「お前の、親も喜んでたぞ。上から見てて」
>「神格化を継続させる修行は、今度やる必要があるが、良しとしておく」
「母さんが!?
一つ聞きたいんだけど……女神の神格を受け継ぐと見た目も女性化するもんなのか?
だったら神格化を継続したらずっとあのままじゃねーか!」
そんな事をしたらR大好き竜人がいる限りずっとRネタで話が進まないじゃん!
それともずっとあのままなら慣れて耐性が出来るのだろうか。
>『やあ、アサキムさん。
 私達の子孫と、ウチの旦那がどうやら面倒を掛けたみたいで、悪かったね。
 今度菓子折りでも持ってくから、ゲッツ君についてはちょっと目を瞑ってくれると嬉しいかなって。
 全く、ファフ君に良く似て粗暴で乱暴で粗野で馬鹿だけど、多分悪い子じゃないんじゃないかと思うからさ。
 信じてあげてくれる? アサキムさんも、フォルテちゃんも』
力強く頷いて言う。
「安心して、聖女様。もはや信じる信じないじゃない。伝説を謳う者に選ばれてしまったのが運の尽きさ」
それに……オレの見込んだ勇者様はいざとなったら我が身を省みずに仲間を助けてくれるような奴だよ!
そう伝えてあげたかったけどやめておいた。だって本人が聞いてるのに言えるか!

97 :
>『ローファンタジア以降、世界の歪みはどんどん大きくなってきているの。
(中略)
 ご先祖の人妻さんから言えることは、これくらいかな。……また何時か。再編された世界で会えると、嬉しいな――――』
聖女様は謎めいた言葉を言い残して消えていった。ちょっと待てよ!
世界の再編!? オレもアイン・ソフ・オウルの素質を持っているかもしれない、だって!?
>「ZZZ……、ファッ!? 」
「お前寝てただろ!? 目ぇ開けたまま寝てただろ!」
全くこいつは、油断も隙も無い! 定位置におさまって、仙界を見て回る。
そういえば――ゲッツに伝えるために祖竜ファフニールから命懸けで聞き出した事を思いだしたが、もはやオレの口から言う必要は無いな!
>「あぶねー……、長話とかはやっぱし苦手だけどよ。
 よ〜するに、バニブル行っときゃ良いのかねェ? ってか、アサキム達もエス平も居ねぇけどどーしたもんか。
 先に現地入りでもしとくか? 仙界の飯、肉すくねぇから好みじゃなかったしよ」
「でも……どうやって地上に帰るの?」
アサキム導師たちはさっきそそくさとどこかに行ってしまったし、どことなく仙界が慌ただしいような気がする。
「お前達、こんなところをうろついていたのか。早く地上に帰れ」
うろうろしている所を、素戔嗚さんに捕まえられた。何故か不自然に早く帰らせたそうに見える。
彼に連れられて入った小部屋には、ぐるぐる回っている時空の歪み?のようなものがあった。
ご丁寧に「たびのとびら」って立札が立ってるし。胡散臭い事この上ない。
「ここに飛び込めば地上に帰れる。今すぐここに飛び込みなさい、さあ、さあ!」
「本当かよ!」
うわー、どこ行くか分かんないしめっちゃ怖いんですけど!

98 :
ここは図書国家、バニブルのとある庭園。
木立の奥、古木の後ろから、寄り添う二つの影がはみだしていた。
一人は男で一人は女。互いの背にためらいながら手を伸ばす。
女の腕は男の肩へ、男の腕は女の腰へ回され、女が軽くつま先立った。
顔と顔が近寄ってゆき、鼻先をずらして、唇が重なる。影がひとつになる。
「きゃわぁーっ!!」
口づけを目撃してしまった。
気づいたときにはヴァルンの腰は抜けていた。
しかも他人ならいざ知らず、最愛の夫と、ヴェルザンディ国家司書との
――口づけだ。
「うそよー!これは何かのまちがいよ。どうしよう。
ハー君と国家司書があんなことする仲だったなんて…」
ぐっと拳を握ったとたん、胸が妬けヴァルンは泣きそうになった。
ハー君ことハーラルは近衛兵の長。かたやウェルザンディは国家司書。
例えたら警視庁長官と、なんてら大臣のような関係なのだ。
たぶん。そう思う。ヴァルンには詳しいことはよくわからなかったが
でも、ふらふらになりながらもう一度古木に視線を移す。
しかし、すでに影はなかった。二人は立ち去ったあとのようだった。
(…どうしよう。……どうしよう)
疑念が頭から離れない。ヴァルンは魔法で動く魔導車に乗って庭園をあとにする。
そしてしばらくすると、クラクションの音が街中に鳴り響く。
振り返れば後ろは大渋滞。それはヴァルンが超安全運転だから。
おまけに右折ができず、狭い場所にとめるのも苦手。
だから公園の駐車スペースにひん曲げながら車をとめる。
――公園のベンチ。
「…はあ」
しょんぼりしながらヴァルンは盛大なため息を吐いた。
まさかハーラルが浮気していたなんて…。
(いえ、ちょっとまって)
ヴァルンは立ち上がる。そして恋愛小説を思い出す。
悪い女から騙されるおろかな男のことを。
「きっと、ハー君はあの女に騙されてるんだわ!
あの女狐め!尻尾を掴んで地獄の業火に叩き込んでやるわ!!」
こうしてヴァルンは、私立探偵の事務所の門を叩くのであった。

99 :
「だが断る!!」
「え?どうしてなの!?」
私立探偵の事務所の客室で、ヴァルンは探偵に怒鳴られていた。
「そんなん調査したらこっちの命がなくなるわ!」
私立探偵「スパイダー・マサトシ」は関西弁でまくし立ててくる。
「じゃあ、自分で調査するので私を探偵にしてください!」
「なんでやねん!!」
マサトシの怖い顔。まるで野犬。ブルドッグ。
ぶ厚い下くちびるを突き出してまるでヤクザ。
ヴァルンは負けじと頬を膨らませてみせた。
そのあと、部屋に押し入って、勝手に掃除を始める。
「ちょ、おま、なにしてんねん!!」
「みたらわかるでしょ。掃除です。もう私は今から探偵みならいです」
「ああ!?誰がええっていったんやこのクソアマ〜!!」
マサトシがバナナを振り上げ迫ってくる。
きゃーたすけて!そう思ったその時だった。
扉が開いて、お客様がハイって来た!
「いらっしゃいませーっ!」
ヴァルンは元気な声で挨拶をした。

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