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2012年2月エロパロ588: スクールデイズの分岐ルートを考えるスレ part9 (273) TOP カテ一覧 スレ一覧 Pink元 削除依頼

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スクールデイズの分岐ルートを考えるスレ part9


1 :10/08/21 〜 最終レス :12/01/17
もしかしたらあり得たかもしれない物語。
ひょっとしたら辿り着けたかもしれない結末。
そうした幾つもの可能性が重なり合ってるのがSchool Daysです。
そこで、スクイズで可能だったと思われる展開を自由な発想でSSにしてみませんか。
もちろん、Over flow関連作全てが「あり得た可能性」に含まれるので他作もアリです。
刹那
「次スレは980レス、480KB超えたら立てて。
 荒らしはスルー。
 ここは基本的にsage推奨だから。メール欄にsageって入力して。
 これらは、このスレの約束事だから。ちゃんと守って」
前スレ スクールデイズの分岐ルートを考えるスレ part8
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1268576367/
過去スレ
1:http://sakura03.bbspink.com/eroparo/kako/1193/11939/1193987088.html
2:http://yomi.bbspink.com/eroparo/kako/1199/11993/1199367974.html
3:http://yomi.bbspink.com/eroparo/kako/1202/12025/1202532657.html
4:http://yomi.bbspink.com/eroparo/kako/1203/12039/1203986961.html
5:http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1207811343/
6:http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1214095427/
7:http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1221993335/

2 :
>>1乙女

3 :


4 :
・・・あれ?、前スレもうなくなったの?
なんでまた・・・

5 :
【マジカルハート心ちゃん】〜第二部〜
誠 「大変だレイパー!みんなが泰介化してる!」
泰介「そりゃ大変…って、待てコラ!俺とレイパーを逆にして喋るな!」
登校するなり誠と泰介は、昇降口で惨劇を目の当たりにした。
罵声、悲鳴、怒号、恐喝、イジメ、暴力、破壊、強姦。
榊野学園は未曾有(正確には日常茶飯事)の危機に陥っていた。
ゴミ焼却炉から謎のガスが噴出、学園全体に充満。それに伴い、人々の暴徒化。
泰介「この謎のガスを吸うと、例によって凶暴化するみたいだな。誠は平気なのか?」
誠 「ああ。俺には効果無いみたいだ。泰介はもともとレイパーだから意味無いみたいだし」
泰介「しばくぞコノヤロウ!」
教室に入ると、昇降口同様、中ではバトルロワイヤルが繰り広げられていた。
そこへ遠山松平コンビが登校して来て、
遠山「ちっ、カラか。澤永、火ィ貸せや」
泰介「あれ?清浦にビビってた遠山が煙草くわえてる」
遠山「しょうがねーだろ!清浦の命令ひとつで田中にシメられるんだしよ」
松平「かったりい。パチンコにでも行くか。伊藤、あり金全部よこせ」
泰介「あれ?清浦にビビってた松平が喝アゲしてる」
松平「しょうがねーだろ!清浦の命令ひとつで田中にシメられるんだしよ」
誠 「二人とも、ガスの影響で不良化してるな」
遠山「俺達はもともと不良だ!」
泰介「そーだったのか?二人ともショボ過ぎて、意気がってるだけの小心者に見えた」
松平「ざけんな!今日は清浦も田中も居ねー!日頃の鬱憤はらしてやる!」
泰介「そーいえば、あの二人、まだ来てねーのか?姿が見えないし」
誠 「不幸中の幸いだな。あの二人が凶暴化したら俺達もタダじゃ済まないだろうし」
泰介「てか、他の連中も凶暴化してるし、とばっちり来る前に避難しよーぜ」
遠・松「スルーすんな!ぶっ飛ばすぞ!」

6 :
そこへ、
ガシャーン!!!
何者かが窓を蹴り破って飛び込んで来た。ガラス破片が泰介の顔面に突き刺さる。
心 「愛と性技の魔法少女マジカルハート参上!誠君、助けに来たよっ!」
誠 「いや、ありがたいんだけど、普通にドア開けて入ってよ。泰介、悶絶してるし」
心 「そんな事より。覚悟しなさい悪党ども!必マジカルスティック!」
松平のキンタ○を直撃。松平、悶絶。
心 「必マジカル三角木馬!!」
遠山に股裂きの刑。遠山、悶絶。
心 「必マジカル強制収容所送り!!!」
暴徒達を北朝魚羊に売り飛ばす。ナイス暴徒がナイスボート。
泰介「待てェー!マジで必する気かァ!?てか、この娘、正義の味方じゃ無ぇー!!!」
誠 「性技とか言ってたし、どうやら彼女もこのガスで凶暴化したみたいだな」
言葉「どこですか清浦さん!?出てきなさい!ブチして差し上げます!!」
言葉が、学祭用の角材を振り回しながら叫んでいた。
言葉の足元で世界、加藤、甘露寺の三人が昏倒していた。三人の頭にトーテムポール状のタンコブ。
誠 「うーむ。やっぱり言葉もガスで凶暴化してる…」
言葉「あら誠君。ちょうどいい所に。さあセクロスしましょう」
誠 「うわー!何の脈絡も伏線も無いー!!!」
ずっこん、ばっこん。
試合終了。
言葉「あれ?私、今まで何を…?」
誠 「言葉、正気に戻ったのか?」
泰介「どーやら、セクロスすると洗脳が解けるみたいだな。チン圧で鎮圧しろってか?」
誠 「一人一人犯していくのか?いくらレイパーが泰介でも限界があるだろ」
泰介「だから、俺とレイパーを逆にして喋るな!同義語だと思われるだろ!」
言葉「不潔です」
泰介「うう。犯人を見つけてガスを止めるのが先決だな。犯人の目星はついてるけど、問題は…」
誠 「ああ。どこに潜んでるか、皆目見当がつかないな。やっぱり俺が自慢の欲棒で一人づつ…」
言葉「あのぅ。ガスなら焼却炉から発生してましたけど。そこに犯人も居るのでは…?」
誠 「!!くそっ…盲点だった…」
泰介「謀ったな、シャー!」(←ガノレマ風に)
心 「なんか敵が凄かったみたいな言い方してる。てか二人とも、どうして気付かないかなあ?」
言葉「誠君は純粋だから。澤永さんは単純だから」

7 :
誠と泰介が辿り着いたそこには、予想通りの人物が立っていた。
世界征服を企む悪の秘密結社、その頭領ドクターS。
そして、ドクターSの腹心というか片腕というか家来というか奴隷というか、とにかくドクターSの下僕で
田中にそっくりな大男がいた(ので、便宜上この大男を田中と仮名する)。
誠 「そこまでだ、ドクターS!やっぱり、お前の仕業だったんだな」
ドクターSは振り向いた。なぜか修道院の尼僧のコスプレをしている。
S 「そうよ。けど、その呼び方は止めて。今日から私は慈愛の使者シスターS」
泰介「??…とにかく、今すぐこのガスを止めろ!」
S 「貴方に言われるまでもない。このまま民の暴徒化を黙って見過ごす訳にはいかない」
泰介「??…なんかS、いつもと性格が180度違ってねーか?」
誠 「…まさかとは思うけど。なあS、このガスの効果って、もしかして…」
S 「そう。善人を外道にし、外道を善人にしてしまう。私はガスマスクをつけ忘れて善人に」
泰介「自爆かよ!」
誠 「外道を善人に…。どうりでレイ泰介がマトモになった訳だ…」
泰介「今おもいっきりレイパーって言いかけただろ!てか自分を棚に上げて言うな!」
S 「それはともかく。恐るべき効果だった。創造主である私をも洗脳するとわ」
泰介「自分が間抜けなのに、さも自分の作品が凄かったみたいに言うな!」
誠 「まあ、いいか。要はガスを止めれば万事解決だし」
S 「それが可能なら、すでに私がしてる」
泰介「…おいおい。この物語のラスボスって、まさか…」
S 「そのまさかよ。外道を善人に。善人を外道に…」
勇者の前に立ち塞がったのは、ドクターSの下僕、
田中だった。

8 :
泰介「よりによって、コイツが暴徒化かよ…」
誠 「タチ悪いな」
田中「俺は悪の道に目覚めた。お前達も我が同胞になれ」
誠 「それ無理。泰介、このガスのせいでレイパー辞めたから」
泰介「お前こそ人間のクズ辞めたくせに」
誠 「いや、俺は(セクロスで)元に戻ったから生涯現役で行くぞ。ハーレムは男の浪漫だしな」
泰介「それはそれで西園寺に刺されるから、やめとけ」
田中「あくまで拒むか。ならば少々痛い目にあってもらおう」
泰介「へ?」
田中、すばやく泰介の背後に回り込み、
田中「ひざカックン♪」
泰介、バランスを崩され、勢いで5mはフッ飛ばされて壁に激突。
田中、泰介の背中をまくり上げ、そこにビンタ。
田中「もみじ♪」
泰介、背中を紅葉形に充血させて、勢いで5mはフッ飛ばされて壁に激突。
田中、ダブルフィンガーを泰介の尻に突き立てる。
田中「カンチョー♪」
泰介、勢いで5m上空にフッ飛ばされて、その高さから地面に墜落。
S 「流石は悪の道に堕ちた聖者。光もスカートめくり食らって風圧でスカート粉々にされてたし」
誠 「悪じゃなくて、ただの悪戯小僧だろ。威力がオーガ並だけど」
S 「打つ手なしね」
誠 「そうでもない。実は田中を正気に戻す方法がある」
S 「それを先に言いなさいよ。もっと早く澤永を救えたのに」
誠 「いや、展開が面白くなるから黙ってた。それに万が一、柔よく剛を制すかも知れないし」
S 「それ田中(柔道部)の専売特許。てか、もう澤永(の目が)んでるし、次は伊藤の番かも」
誠 「ヤバ…。実はな、洗脳された奴を元に戻すには、セクロスすればいいんだ」
S 「ふざけんな、この万年発情野郎」
誠 「いやホントだってば。ちゃんと言葉が証明してくれた…らしい」
S 「なら試してみる」
Sは懐からエネマシリンヂを取り出し、それを田中の尻に突き刺した。
誠 「ははあ、なるほど。はは、あなるほど。…って、またそのオチかよ」
てか学校になんてモノ持ち込んでんだ、この痴女わ。
こうして、
例によって田中は撃破され、例によって榊野町につかの間の平和が訪れましたとさ。
めでたし、めでたし。
泰介「…ちっとも、めでたく無ぇ……ぐふっ」
おわりんぐ

9 :
終わりです

10 :
>>9
いつもお疲れ様です。これからもよろしくです。

11 :
>>10
こちらこそ
よろしく36

12 :
あれ?前の板消えていたんですね?
>>1
遅ればせながら乙です。
では「贄と成就」アフター
続きいきます。

13 :

「ち、違うっ!」
僕はまたも地雷を踏んでしまったことを自覚しつつ、
路夏の言葉を否定するが、路夏はジトッとした目で僕を見つめてくる。
「ち、違うんだよ、路夏。僕は覗いていたわけじゃなくて、ただ扉の前で声を聞いていただけで…!」
「うわっ、じゃあ勇気は盗聴魔だったんだ!!」
「だ、だから違う!」
うわあ…なんかますます泥沼にはまっていってるような気がするけど、とにかく誤解を解かなくちゃ…。
「そうじゃなくて、僕はそういうつもりはなかったんだけど、西園寺たちの後をつけた時にたまたま…」
「後をつけた?じゃあ勇気ってストーカー!?」
「ち〜が〜う〜」



その後、結局路夏はきちんと納得したとは言いがたかったが、とりあえず桂のことを考えることが先決だということと、
放課後になったこともあって、僕への覗き盗聴魔&ストーカー疑惑問題はとりあえず先送りになった。
いや、疑惑というより濡れ衣なんだけど…。
ともあれ放課後になったからには路夏は部活に行かなくてはならないし、
僕はこのままここで図書委員の仕事につくことになる。
間もなく花山院先輩もやってくるだろう。
…ん?
そう言えば花山院先輩って甘露寺の彼氏なんだよな。
もしかして先輩から甘露寺に一言言ってもらえば、とりあえずいじめはやめさせることができるんじゃないか?

14 :



「ダメだな」
間もなく図書館に現れた先輩が、僕らの依頼に対する答としてまず発したのはそんなあっさりした一言だった。
路夏と僕は
「そ、そんな…」
「何故ですか?」
と、同時にそう言葉を発していた。
「じゃあ先輩は自分の彼女が苛めを扇動してるのを放っておくって言うんですか!?」
「いや、そうは言わないけどな…。
 ただ今の状況で俺が七海に何か言っても、逆に…その桂って子が俺をたらしこんで
 言わせてるって七海に思われそうな気がしてな…」
「ま、まさかそんな…」
と僕は言いかけるが、
「それは…あるかも…」
そう言ったのは路夏だった。
そしてそれに答えるような先輩の、
「ああ、勇気はわからないかも知れないけどな、
七海のヤツはそういうところがあるんだよ。
 それに、仮に俺の頼みで七海が苛めから表立って手を引いたとしても、
 その桂って子を嫌ってるヤツは他にも多いんだろう?
 だとしたら、結局苛めは影でより陰湿に続けられるだけだと思うぞ」
という言葉に、僕は納得させられると共に、桂を助けることの難しさを再確認する。
だが先輩は
「大体なあ、俺なんかに相談するんなら、もっとすぐ近くに相談すべき相手がいるだろ」
と言った。
え?誰だ?
「もしかしてして…知恵先輩?」
路夏の問いかけに、先輩はこくりと頷く。

15 :

「で、でもこれは一年生だけのことだし、問題をあまり大きくするのは…」
反論する路夏に、僕も
「そ、それに姉ちゃんなんかに相談したってむしろ引っかき回されるだけっていうか…」
そう言いかけるが、
「お前な、少しは自分の姉を信用しろよ。
 俺もあいつとは馬は合わないけどな、そういう場合に間違った行動とるようなヤツじゃないし、
 その意味ではかなり信用してるからな」
と、やたら姉ちゃんに相談することを推してくる。
僕と路夏は顔を見合わせるが、
「まあ七海も大きく関わってることだし、俺の方からも足利のヤツにメールしておくから、
 今からだと…部活が終わってからになるか…。まあきちんと相談してみろ」
と姉ちゃんに相談することを強く推し、僕と路夏は再び顔を見合わせる。
路夏は結局姉ちゃんに相談することに同意した。
元々路夏が姉ちゃんに相談しなかったのは、さっき路夏自身が言ったように、
ことを大きくしたくないという考えからで、路夏は姉ちゃんのことは
元々尊敬していたので、さほど異論はないようだった。
僕はというと、あまり気が進まないものの、
現状で桂を助けるいい考えが見つかってない以上藁にもすがるという気持ちで
姉ちゃんに相談することに同意した。

16 :

そして、時間は経ち、路夏から部活が終わり、姉ちゃんが部室で待っているというメールがきた。
図書館を閉めようとしたら鍵が見つからず、やや遅れて女バスの部室に入ると、
路夏と一緒に、姉ちゃんが
「遅いぞ」
と不機嫌そうに出迎えた。
僕が少々遅れた間に、殆どのことは路夏が説明してくれていた。
そして僕らは姉ちゃんに苛めの現状を見せるために4組…桂のクラスの教室に移動する。
4組の桂の席は相変わらず悪意溢れる落書きがびっしり書かれ、
教室後ろにある桂のものと思しきロッカーは落書きばかりでなくベコベコになっており、
たして開閉できるのかどうかも怪しい。
それらを見た姉ちゃんは、
「なるほど、こりゃひどいねえ。
 やっている方は面白がってるだけかも知れないけど、やられてる方にしてみりゃたまらないね」
と、眉をしかめて言った。
いや、むしろその声音には怒りすら感じられた。
僕は姉ちゃんはどちらかと言うといじめっこ気質と思っていただけに、これは意外だった。
更に姉ちゃんは
「わかったよ。甘露寺たちの苛め行為はきっちりやめさせる」
あっさりとそう言った。

17 :

「ちょ、姉ちゃん。姉ちゃんは桂のこと知らないんだろ?
 言わば他人ごとなのにそんなに安請け合いしていいのかよ?」
「ばかだね、勇気は!
 他人ごとのわけがないでしょ!」
「え?じゃあ姉ちゃん桂を知ってるのか?」
「知るわけないでしょ。
 こっちにとって問題は苛められてる方じゃなくて苛めてる方なんだよ」
「え?」
「だから早い話、女バスが中心になって苛めなんかしているなんて学校に知れたら、
 何らかの処分は避けられないってこと!
 ましてや万が一これが原因で何かの事件になって外部にまでことが公けになれば、
 うちの部がそれなりに名目だけに、マスコミにでも叩かれたりしたら、最悪廃部だってあり得るんだから!」
「あ…」
「まったく…路夏もこんなニブイ勇気になんか相談する前に、すぐ私に相談して欲しかったわね」
「す…すみません…」
姉ちゃんの言葉に路夏が恐縮して謝る。
「まあいいわ。 ただ、その子…桂だっけ?
 その子が寝取られただの、それでもよりを戻そうとしながら元カレに冷たくされてるだの、
 その辺のゴタゴタは私ゃ無関係なんだし知ったことじゃないからね。
 あんたらが何とかしてやりたいって言うんなら、あんたらで勝手にやりなよ」
「あ、うん…」
姉ちゃんのもの言いはぶっきらぼうではあったけど、
少なくとも苛めに関してはバスケ部内部の問題としてきちんと片をつけてくれるであろうと、
そう信頼させてくれる響きがあった。
そして姉ちゃんは更に言葉を続けた。

18 :

「それにしてもあの伊藤ってヤツまで絡んでいるとはね…」
「え?姉ちゃん、伊藤を知ってるの?」
「そりゃあね、学園祭の頃に路夏が一緒に回るだの言ってたヤツでしょ。
 あの頃は私らも散々ふりまわされたからね」
「あ…すみません…」
と路夏。
「いや。まあいいんだけどね。
 それに私も、駅でその伊藤ってのが、人目もはばからずに女子とキスしてるところも見ているしね。
 たしか、見た目ちょっとおとなしそうなヤツだよね?」
 その姉ちゃんの言葉を受け、路夏が
「あ、写真ありますけど…」
と、昼に桂から送信してもらった、西園寺が自分でカメラを構えて撮った、
伊藤、西園寺、桂が同じフレームに入った写真を見せる。
姉ちゃんはその写真の伊藤を見て言った。
「そうそう、たしかにこいつよ。あ、こっちのこの子!この子とキスしてたのよ」
「その人が西園寺さんです」
姉ちゃんが指して言った写真の中の女子を見て、路夏が言う。
「へえ、この子が寝取った方か…。可愛い顔してよくやるわよねえ。
 とすると、こっちの髪の長い方が寝取られた挙げ句に苛めにあってる子?」
「はい、桂さんです」
「ふうん。たしかにおとなしそうで、いかにも苛めに合いそうな感じの子ね……
 ……あれ?この子?」
と、写真の桂を見ていた姉ちゃんが変な反応をし、
「ねえ、この子のもうちょっと大きな写真ない?」
妙に険しい顔でそんなことを訊いてきた。

19 :

「あ、はい。ありますけど…」
そう答えた路夏は、今度は桂と伊藤のツーショット写真を携帯に表示した。
それを見た姉ちゃんは…
「やっぱりこの子…。でも…そんな……」
そう言いながら顔を青ざめていた。
「ね、姉ちゃん?どうしたんだよ?桂のこと知ってるのか?」
だが姉ちゃんは僕の問いには答えず、
「ねえ、この子が学園祭から少しの間つき合っていたっていう男……
 さっき路夏は、この子は本当は付き合いたくなかったらしいって言ってたけど、
 その男の写真ある?
 あるわよね。 勇気の友達だっていうんだから…」
そう、どこか怖い顔で訊いてきた。
「澤永の写真?
 姉ちゃん、どうしたんだよ一体?
 それにいきなり写真なんて言われても…」
「いいから早く見せな!!」
そう言って怒鳴る姉ちゃんは何か尋常ではない雰囲気で、
僕は気圧されるように、自分の携帯にあった澤永の写真を見せた。
「やっぱり…」
写真を見てそう呟く姉ちゃんは、どこか震えているようでもあった。
そして
「本当にどうしたんだよ、姉ちゃん?顔が青いぞ」
という僕の言葉にもまともに答えず、
「勇気。私、明日この桂って子と…それから澤永ってヤツとも話したいから、
 あんたから連絡して段取り組んどいて」。

20 :

「え?本当にどうしたんだよ、姉ちゃん?
苛め以外のことは自分に関係ないんじゃなかったのかよ!?」
「うるさいわね。どうやらこの話は私にも無関係じゃなかったってことよ!」
「な?どういうことだよ?」
本当にどういうことだ?姉ちゃんともこの話が無関係じゃないって?
「いちいちうるさいわね!
 あんたは私の言う通りにすればいいのよ。
 そうね、桂さんと会うのが朝一番…桂さんに始業より一時間早く来るように言って。
 澤永に会うのは昼休みにして……
 で、苛めの件にケリをつけるのは放課後。部活開始前にするわ。
 勇気、桂さんと澤永との段取りの方、よろしくね。
 じゃあ私は明日のことで色々一人で考えたいから…」
結局その心変わりの真意もさっぱりわからぬまま、
姉ちゃんはそう言って一人でとっとと4組の教室を出ていき、
取り残された僕と路夏は顔を見合わせる。
どうにも姉ちゃんが何を考えているか、その態度が理解できないまま、
ただそれでも僕…そしておそらくは路夏も、
ことを請け負ってくれた姉ちゃんが事態を好転させてくれることをやはり期待していた。

21 :

今回はここまでです。
主人公の勇気が墓穴ばかり掘って、まったく頼りにならないので、
結局知恵姉さんが動き出しました。

22 :
知恵は気付いたようだな、泰介が言葉に「何を」したかを……
悪役時代ばりに怖い一面見せるのか?
あと、女バス内部の状態も気になる 路夏の部活仲間の麦や留夏たちはどうも
言葉苛めには内心嫌がってる気が>丁字屋氏

23 :
私も久しぶりに短編投下。サマイズ寄りのほのぼのワールド。
乙女・可憐姉妹にはこういうの似合いそう。 誠のクソ親父だけでなく
彼女達にとってもいたるは天敵だな(笑)
「ああこれ、これは200円だよ。…え、まけてくれって?
うーん、それはちょっと…… わかった、じゃあ半額でいい?」
やっぱり、主婦の押しは強い。さすがの私もたじたじで思わず苦笑いだ。
合間をみて、可憐が話しかけてきた。
「お姉、どうそっちは?」
「結構大変ね。フリーマーケットの売り子も」
今日は夏祭り。
今年は地域振興を兼ねて、夜店以外にも各家庭からいらない物を持ち寄って
20ブースほどのミニフリーマーケットをやる事になったのだが、出店者の1人が当日になって
急に来れなくなったのだ。
それだけなら、ふーんで終わる事なんだけど、
あろうことか、うちのクソ親父がその人の代わりを引き受けてしまったのだ。
本当なら父さんが売り場で物を売るはずなのだが、
父さんは町内会の役員も務めているので、神輿の調整や打ち合わせなどで忙しく、
売り場まで手が回らない。
むさい男が売り場にまわるよりは、美少女2人がしたほうが売上げもいいだろうと
おだてられ、私と可憐が売り場で物を売る事となった。
「まったく、父さんも人がいいもんなあ。可愛い娘がチンピラにナンパされるとか、
少しは心配しないのかね?」
「いいじゃん。お神輿の手伝いやらされるより、こっちのが面白いもん」
「まあね。去年はバタバタし過ぎで神輿をダメにしちゃいそうになったし。
細かい仕事やるより、こっちの方が性に合ってるよ」
代役を引き受けた代わりに、売り上げの半分が私達のふところに入るというわけだ。
出品してるものは生活用品や雑貨、衣類が大半で、どの位の値段で売ってほしいかは予め教えられているが、
物によってはその場の交渉で値段が変動する。
初めての経験で戸惑う事も多いけど、下手なアルバイトよりも面白いし、実入りがいい。

24 :
「あ、センパ〜イ!こっちこっち」
「加藤。今日は妹も一緒か。2人でフリーマーケット出してたんだ」
「残念。うちらはピンチヒッターよ。バイト代わりみたいなもんかな」
夏休みに入ってからは殆ど顔合わす機会なかったけど、伊藤がお祭にやって来た。
どっちかといえば出不精なタイプだが、祭の活気に誘われたのかな?
「あれ…?」
「どうしたんだ加藤?俺の服に何かついてるのか?」
「いや、そうじゃなくて」
私は伊藤の後ろに隠れていた小さな女の子に目が行っていた。
「伊藤どうしたのよ、その女の子」
「まさか、先輩の隠し子だったりします?」
「バカ、そんなわけないでしょ!」
伊藤が苦笑いし出す。まったくもう、可憐ときたら失礼な!
そういえば、この子誰かに似てるような……
「こいつは俺の妹で、いたる。ほら、ごあいさつは?」
「こんにちは、いたぅです…」
「きゃー、かわいい〜!」
たどたどしい口調でぺこりとおじぎをした。そんな仕草に
可憐が騒ぎ出し、私は『いたるちゃんが驚いちゃうでしょ』と
一発かまして黙らせる。
なるほど。道理で伊藤と目鼻立ちがよく似てるわけだ。
「伊藤って、兄妹いたんだ。初めて知ったよ」
「まあ色々あって、妹とは離れて暮らしてるんだ。今日は祭だから
一緒に過ごすって、ずっと前から約束してたんだよ」
「そうだったんだ…… 何か悪い事聞いちゃったかな」
「気にすんなよ。お前らしくないぞ」
「友人のよしみで安くしとくよ。いたるちゃんも
何か気に入ったものがあったら、言ってね」
「…………」
あれ?反応してこない。
やっぱり人見知りが激しいのかな、この子は……
「いたる。このお姉ちゃんにおねだりしたら、いたるの好きなもの、普段より
安く買えるかもしれないぞ」
「おにーちゃが、そうゆーなら」

25 :
「うーん、うーん…」
やっぱり兄の座は強し、か。
伊藤にうながされ、ようやくいたるちゃんが選び出した。
これが生意気なハナタレ小僧なら、適当に相手して追い払ってやるところだが、
『伊藤の妹』に、ぞんざいな扱いするわけにはいかない。
「これがいい」
「これがほしいのね。えーと、これは700円か。
じゃ、特別に200円でどうかな?」
「このカエルちゃんなら、もうもってるだろ。別のにしなさい」
「やーだ。これがいーの」
「いいじゃない伊藤。久しぶりに会えたんでしょ?これくらい」
「そうだけど、甘やかしすぎるのはよくないだろ」
意外にもこういう所は厳しいようだ。
私にもこれくらい頼りがいあって引っ張ってくれたらなあ…
なんて事は口が裂けても(いやホントに裂けたら困るけど)言えないが。
結局今日は特別という事で伊藤も折れ、お目当てのものが
いたるちゃんのものになった。
「ありがとな加藤。こら、お前もちゃんとありがとうって言いなさい」
「あいがとぅ」
「どういたしまして。伊藤も何か買ってったら?」
「うーん… 俺は遠慮しとくよ。別に今ほしい物はないし」
「そう。まだここにいるから、気が向いたら来て」
「ああ、そうする」
まあ、しょうがないか。
せっかく兄妹水入らずの時間過ごしてるんだし。
伊藤も喜んでくれて悪い気はしない。
うん。今日の私は心の中でいい事言うなあ。(ホントは2人で周りたいけど…)
「そんなつれない事言わないでくださいよぉ。伊藤センパイ」
そんな私のオトメ心をぶち壊すかのように、可憐の能天気な声が響く。
しかも微妙に艶っぽさを含んでるというか……ってオイ!?

26 :
「こらー!あんた伊藤に何してんのよー!」
「お姉の考える事なんか、お見通しでいっ。私は直球狙いだもん」
私の怒声などどこ吹く風で、
可憐は私よりも豊かなムネ(怒)を伊藤の腕に押し付けやがった。
「私は純粋にいたるちゃんに好きなもの選んで欲しいから!」
「そういうのが、ネコ被ってるってゆーのよ。オネエのいくじなし〜」
「おいおい、お前らなに2人でケンカしてるんだよ?
てゆーか、可憐、腕に何で押し付けるんだよ…その…」
「先輩はこういう事されるの…イヤ?」
「いや、そりゃ感触が柔らかいというか……って、子供いる前でやめてくれよ」
「そうだそうだ!ガキの癖に色気で誘惑して金もうけしようなんて、
魂胆が気に入らないわよ!」
もっともらしい正論を言ったつもりだが、ええい、離れろ。
この小悪魔妹め。
10センチとは言わない、せめてあと5センチあれば私だって……
嗚呼、世の中は理不尽すぎる。
「まったく!ちょっと目離すとロクな事しないんだから」
「ぶう。だって持ち場離れられないじゃん。これだと」
「しょうがないでしょ。まだ終わるまで時間あるのに、誰もいないんじゃ
泥棒されちゃうじゃない」
(こういうトコは変に常識人だもんな、オネエ)
フリマーの誘いに乗らないで、お神輿の手伝いに回ってれば、
適当にフケて、先輩と少しでも一緒にいられたかもなあ…
神社の森でなら、いくらニブい先輩でも、ムードが高まって応えてくれると思うのに。
ああでも、いたるちゃんがいたからやっぱりダメか。
さっきの誠へのちょっかいも半分は本気だったが、誠の妹を探る意味合いも兼ねていた。
姉を出し抜き、憧れの誠を篭絡できたとしても、
いたるというあの女の子の信頼を得るのは、さらに難しいかもしれない――
そう可憐は感じていた。
(もしかしてあの子、私たちが思ってるより、遥かにタフかも?)
売上金が順調に増えていくのとは裏腹に、苦笑いする乙女と可憐であった。
そんな、夏のひととき。
(おしまい)

27 :
ヤンデレを返り討ち 逮捕逮捕

28 :
誠に女を殴る能力は無いだろうが

29 :
うむ

30 :
たしか、いたるって小さいころから乙女と知り合いだったんじゃないっけ?
で、たしか「(故意ではないが)いたるをぶつけた」みたいなことやって、彼女の記憶に残っているはず。

31 :
>>30
それで当ってる。
三つ巴ルートの風呂場で
乙女の事を怖いだとか嫌いだとか言ってた。
なお、乙女ルートだと、優しい人だと評価してたが、これは可憐と勘違いしたもの思われる。

32 :
>>20
からの続きです。
「贄と成就」アフター

33 :

翌朝、僕は姉ちゃんといつもより一時間早く家を出た。
夕べはあれから、姉ちゃんに言われたように桂と澤永に連絡をとってあり、桂も一時間早く来ている筈だ。
電車の中では、姉ちゃんは僕に、桂や澤永はどんな人間かと訊いてきた。
そして桂のことはともかく、澤永に関しては、僕の
「騒がしいし鬱陶しいヤツだけど決して悪いヤツじゃない」
という言葉がいかにも符に落ちないかの様子厳しい表情でいた。
学校に着き、桂と昨日と同じ図書館の司書室で落ち合う。
桂は姉ちゃんを一目見て少し怯えたようだったが、僕が自分の姉ちゃんだと紹介すると安心したようだ。
それでも姉ちゃんがバスケ部だと名乗ると再び表情に警戒の色が走ったが、姉ちゃんが微笑んで
「大丈夫。心配しないで。弟がそうであるように、私もあなたの味方だから。
だから、私を信じて」
と言うと
「あ…はい」
と、安心したように返答した。
て言うか、この時の姉ちゃんの微笑みは、弟の僕でさえほとんど見たことのないほど優しい微笑みで、
更に「信じて」と言った時の表情は本当に真剣で、
桂を心から安心させるのに十分足り得た。
だが僕は、姉ちゃんが初対面の桂のことに対してなぜそんなに真剣になっているのかが不思議だった。
そして
「じゃあ勇気、あんたはもう出てっていいわ」
そう姉ちゃんが言った。
「ええっ?」
「二人だけで話したいから、あんたがいると邪魔なのよ。わかったら出ていきなさい。
あと、覗いたり盗み聞きでもしたら許さないからね!」
一方的にそう言われるや、僕は図書館から追い出されてしまった。
僕は姉ちゃんが桂と二人だけで何を話すのか気になったけど、
覗いたり盗み聞きをしようとは思わなかった。
「覗いたり盗み聞きでもしたら許さない」と言った時の姉ちゃんの声が恐ろしく本気だったのもあるが、
流石に昨日路夏に覗き魔だの盗聴魔だのとあらぬ誤解を受けたばかりで、そんなこと出来るもんか。

34 :

というわけで、僕は図書館を出てぶらぶらする。
しかし始業まではまだ全然時間があるせいか、校内に全く人影はなくさびしい。
まあ仕方ないから教室でぼうっとしてるしかないか……。
そう思って自分の教室に向かうと、4組の教室に見覚えのある人影があった。黒田だ。
でも何で黒田が4組の教室に?
しかも黒田は桂の席のところにいて、桂の机をじっと見ている。
「黒田…おはよう…」
僕は思いきって声をかけた。
「あ、足利……おはよ」
少し驚いたように、どこか呆けたように黒田が応えた。
「しかし黒田、こんな朝早く4組の教室なんかで何やってるんだよ?
それにそこは…」
「桂さんの席でしょ」
「ああ」
「…………ひどいものよね」
黒田は、相変わらず落書きだらけの桂の机を見ながら険しい表情でそう言った。
「ああ…ひどいもんさ」
そしてかすかな沈黙のあと、僕は少し躊躇したがそれでも黒田に尋ねた。
「黒田は、これを見てもやっぱり桂のことをいい気味だと思うのか?」
「……足利はどう思う…?」
「僕は、黒田がそんなヤツとは思わないよ」
僕がそう答えると、黒田は
「ありがと。足利はいいヤツよね」
そう薄く笑って言った。
「でも足利の言う通り。
私、昨日足利に話を聞いてずっと考えてたの。
本当なら今朝だって通学電車で七海と、桂さんが伊藤に近づこうとするなら邪魔する筈だったんだけどね、
 七海がそれだけじゃなくて他でも苛めを煽ってるって知ったら、なんだか一緒に行動する気になれなくて、
 それで、なんとなく誰とも顔合わせるのも嫌で、こんなに早く学校来ちゃってさ、結局やることないから、
 じやあ桂さんが本当に足利の言うように苛められてるのか確かめてみようかなってここにきたんだけどね…」
「予想以上にひどかったか?」
「うん。
……七海のヤツ、こんなひどいことさせてたんだ…」
そう静かに言う黒田は、やはり友人の非道に怒っているように見えた。

35 :
 
僕はそういう黒田を友達として嬉しく思うと共に、それでも釘をさしておかねばならないことがあった。
「なあ、黒田、お前甘露寺のこと怒ってるか!?」
「まあね」
「そっか。ただ、この問題についてはバスケ部の問題でもあるからって、
今姉ちゃんが、早急にやめさせようと動いてるんだ」
「え?そうなんだ。そう言えば足利のお姉さんってバスケ部だったわね」
「ああ、だから黒田も甘露寺に何か言いたいことはあるかも知れないけど、
とりあえずそのことが終わるまで待って欲しい…」
「ふうん。あんた結局桂さんのために、いろいろ動いてるんだ?
 あんたのお姉さんが動いてるってのも、あんたが頼んだからなんでしょ?」
「あ、ああ。まあ頼んだとはいえ、姉ちゃんの方も、何だか知らないけど予想外に桂に肩入れしてるみたいなんだよな」
「ふうん…。でもあんた、そんなことしてて彼女に怒られても知らないわよ。
喜連川さんだっけ…相当にやきもち焼きみたいじゃない?」
「そ、それは無用の心配ってやつだ。何しろ……ん…いや…」
何しろこのことを相談してきたのは路夏の方なんだから……と言いかけて僕は躊躇する。
路夏が桂の味方だと、黒田の口から甘露寺の耳にでも入ったら、路夏のバスケ部内での立場が悪くなるかも知れないからだ。
だが、
「そっか。喜連川さんも桂さんの味方なんだ」
「ななななな、何言ってるんだよ!?そんなわけないだろ!」
図星を突かれ、ついうろたえてしまった僕を見て、黒田が苦笑する。
「全くもう足利は…。そんなにうろたえてたら、そうですって言ってるのと同じよ」
「あうう…。け、けど黒田、頼むからこのことは…」
「わかってるわよ。七海には言わないでっていうんでしょ?
 喜連川さんもたしかバスケ部だもんね。
 桂さんに味方しているなんてわかったら、立場悪くなっちゃうって言うんでしょ?」
「あ、ああ、頼む」
察しのいい黒田は、僕の頼みに再び苦笑しながら頷き、だがやがて真顔になって僕に尋ねてきた。
「でも…なんで?」
「え?」
「なんであんたと言い、あんたの彼女お姉さんと言い、桂さんなんかに肩入れするのよ?」
「黒田?」
「私、七海が桂さんに対してやってることはたしかによくないと思うけど、
 だからといって元々悪いのは、世界から伊藤を横取りしようとしてる桂さんなんだし、
 そのことは私、世界の友達として許せない。
 ………それに、澤永をもて遊んだことだって……」
黒田はそこまで言うと押し黙った。

36 :

黒田は苛めはよくないと思いながら、やはり桂に対しては決していい感情を持ってはいないのだ。
だが、そこには黒田の誤解も存在する。
だがその誤解を解くことに僕は躊躇する。
それは黒田の友人や…そして好きな相手を貶めることになるかも知れないからだ。
しかしそれでも僕はそれを口にする。
「なあ、黒田はさ、桂が西園寺から伊藤を横取りしようとしているって言うけど、本当はそうじゃないんだ」
「え?足利、何言ってるの?」
「本当は西園寺の方が、元々桂の彼氏だった伊藤を西園寺が横取りしたんだよ」
「はぁ?何言ってるの?そんなわけないじゃない」
「黒田も友達がそんな人間だなんて思いたくないだろうけど、でも本当なんだ。
 それだけじゃない。西園寺ははじめ、自分から友達になろうだなんて言って桂に近づいて……」
…そして桂に伊藤を紹介して、二人が付き合うようになったら応援するようなことまで桂に言っておきながら、 
桂の知らない間に伊藤と関係を持って、それがばれると開き直ったように桂を遠ざけて…
そう、まるで桂の心を弄ぶみたいに…。
だが、それを語り終えたあと、
「それって、桂さんから聞いたことなんでしょ?」
「あ、ああ。そうだけど…」
「呆れたわね。あんた、そんな一方の言い分だけ信じて、それでそんないい加減なこと言わないでよね!
 大体、桂さんが世界と友達だったとか、伊藤と付き合ってたとか、ましてやそれを世界が仲立ちしていたなんて、
 そんなの聞いたことないし、もしそうなら世界は私たちに一言くらい言ってくれる筈だよ」
 そう言って黒田は怒りをあらわにした。
だが、昨日桂の携帯から送ってもらった、伊藤と桂、西園寺と桂のツーショット、彼ら3人のスリーショット写真を見せると、
3人が共通の知り合いだとは思ってもいなかった黒田はかなり戸惑った表情になる。
「それにな、澤永のことも、桂が弄んだっていうより、伊藤たちにそんなふうにされて傷ついていた桂に、
 澤永の方が何か強引なことをしたとか考えられないか?」
「さ、澤永がそんな…」
「でもあいつ、空気が読めないって言うか、相手の気持ち考えないところがあるだろ?」
「そ、そりゃあ確かに……でも……桂さんがそう言ったの?」
「いや、はっきりそうは言わなかったけど、澤永と付き合っていた時は嫌だったって……
 それに、そのことに触れられること自体つらそうだった…。
 澤永に悪気はなかったにしろ、とにかく桂に嫌な思いをさせていたのは確かだと思う…」
「ふうん…」

37 :

最初は僕の言うことを信じなかった黒田も、今は何か考え込むような表情になっている。
そんな黒田に僕はもう一つ質問する。
「なあ、ところで黒田は、4組での桂苛めの直接実行しているやつが誰か知ってるか?」
「え?」
「こういう落書きにせよ、中心になって直接実行してるやつは多分そんなに多くはないと思うんだ。
そいつらが誰なのか、名前とかわからないかな?」
だがその質問に黒田は呆れたように、
「あのね足利、私は昨日あんたから初めて桂さんへの苛めがあるって聞いたのよ。
それなのにどうしてそんなこと知ってると思うのよ?」
「あ、ああ…」
それもそうか。まあ僕も今朝姉ちゃんから、苛めの実行犯がわかるようなら調べておくようにと言われていたから一応聞いてみただけなんだが…。
「それにね…」
そう言って黒田が続ける。
「確かに桂さんと世界や伊藤の間柄のことは私は知らなかったし、
世界がそのことを話してくれなかったことも符に落ちないけど、
だからと言って、世界が伊藤を桂さんから奪ったとか結論づけられないし、
澤永が桂さんに嫌な思いをさせていたなんてのも推測じゃない。
私、やっぱりそんなこと信じられないわ」
「そ、そうか…」
確かに黒田信じてくれないのもわかる。
僕の言ったことだって何の証拠もないのだし、ましてや親しい友達や好きな相手を疑いたくなんてないだろう。
「ま、あんたはせいぜい頑張って桂さんを助けてあげることね。
昨日も言ったけど、私は協力はしないけど邪魔もしないから」
そう言い捨てて黒田は去り、僕も仕方なく自分の教室に向かった。
姉ちゃんは一体桂とどういう話をしているんだろう?
桂に嫌な思いはさせてないだろうか?
そんなことが色々と気にはなったけど、とりあえずあとで桂にメールで聞いてみることにしよう。

38 :
今回はここまでです。

39 :
全ての真相が明らかになった時、勇気はどう考え、行動するんだろうな……
光は泰介とはもちろん、世界や七海との付き合いを完全に切るんじゃないかね
言葉が泰介にされた事を馬鹿正直に打ち明けはしなくても、乙女に苛められた
経験のある路夏が推測で辿り着く可能性あるし
ま、何にしても過疎の酷いスレで数少ない良心だ>丁字屋氏

40 :
乙ですっ!!
姉と泰助がどう関与してるのか判らんが…
続き楽しみっす!!

41 :
ついにマスターアップ…
世界・言葉・乙女の輪姦は、あるかね…

42 :
留学中、刹那はある剣をエジプトの夜店で買う。
刹那は言葉が居合いをやっている事を思い出し、その剣を贈る事にした。
アヌビス神「伊藤誠をせ!澤永泰介をブッた切れ!西園寺世界をまっぷたつにしろッ!
おまえは達人だ…剣の達人だ…誰よりも強い、なんでも切れる!」
言葉様「黙っていて下さい、斬る相手ぐらい私が決めます…
道具が人間に意見しないで下さい。塩水に漬けますよ」
アヌビス神「りょ、了解しました(何故、洗脳が効かないんだ…)」

43 :
>>42
ジョジョの奇妙な冒険第3部のアヌビス神…。
洗脳が効かないとは言葉恐るべし…。

44 :
言葉様の害候補
1.足利勇気(彼氏を寝取った男)
2.西園寺世界(実はずっと裏切っていた)
3.澤永泰介(アレを切り落しても正当防衛、沢越止のように去勢されても仕方が無い)

45 :
暴力的なプロポーションの持ち主である言葉は、その胸で誠を虜にする事にした。
・学校の屋上で…。
「ほぉら…誠君、おっぱいの時間ですよ〜♪ ぱふぱふ、ぱふぱふ…v」
「ああ…言葉のおっぱい、気持ち良いよ〜」
 誠の顔を優しく胸に挟み込んで、ぱふぱふする言葉。
・浮気予防策?
「誠君、もし浮気したら…こうですよ?」
「むぐっ!? く、苦しい…(気持ち良いけど、息が出来ない!!)」
「浮気したら、本当に窒息させますからね?」
「は、はい…」
 言葉は誠の顔を胸に強く抱き締め、窒息寸前まで離さない。

46 :
>>45
続編主人公(男)を性的に食ったあの男が胸ぐらいでどうにかなるのか。
可愛ければ男でも構わないストライクゾーンの広さと、沢越止譲りの性欲を持つ奴がそれぐらいではどうにもならない。

47 :
いっそ、皆女の子の「スクールレズ」はどうだろうか?

48 :
止と息子達が勇気を巡って刃傷沙汰に陥るバトロワルートはどうだろう。

49 :
刑務所編

50 :
いっそ言葉や世界や刹那を一斉に集めて
「俺は全員好きだ。だから、全員とエッチするし、全員平等に愛してやる。だから喧嘩するな」
こういったら修羅場になんねーんじゃね。
誠にそんな芸当は期待薄だけど

51 :
>過疎の酷いスレで数少ない良心だ
本人はむしろ悪人なんですけどねw
というわけで「贄と成就」アフター
>>37
からの続きです。

52 :

一時間目の授業中に、僕はメールで桂に、姉ちゃんと何を話していたのか訊いてみた。
やがてきた返事は、
「知恵さんには私のつらい状況を、本当に心配していただきました」
というものだったが、具体的にどういう話がされたかは、さっぱりわからなかった。
ただ、最後に
「知恵さんて本当にいい人ですね」
書かれていたことから、どうやら姉ちゃんが桂に嫌な思いをさせたりはしなかったようだと察せられ、安心した。
メールで路夏にそのことを報告すると、路夏も安心したようだった。
そして昼休みになった。
澤永には姉ちゃんの待っている図書館の司書室に行くように言ってあるが、僕は行かなかった。
またも僕は席を外すようにという姉ちゃんの指示だった。
しかし姉ちゃんも澤永と二人だけで一体何を話すというのだろう?
そんなことを考えつつ、学食で食事をしていると、
「足利、同席していい?」
そう言って黒田が、食事の盆を持って僕の向かいに座ってきた。
「おいおい?またいつかみたいに僕と付き合ってるとか誤解されても知らないぞ」
 僕がそう言うと、黒田は薄く笑って逆に問い返してきた。
「ふふっ、そんなこともあったわね。
でも、そうなって困るのは、むしろ彼女のいるあんたの方じゃないの?」
「おあいにくさま。あの頃は僕も路夏に信じてもらえなくて苦労したけど、
 今じゃ何があっても信じてくれるって言われてるんでね」
「うわっ、のろけてんじゃないわよ!」
「イヒヒ」
と、笑ってみるものの、最近は地雷のふみすぎで本当に信頼されているものやら…
まあ、それは口には出さないけど…。
と、その時黒田が、
「でも、あの頃はよかったわ。そんな程度のことで、腹を立てたりむきになったりしてたんだものね」
そう言って暗く笑った。
「黒田?」
「足利、私、世界に確かめたの。足利の言ったこと…。
 桂さんに伊藤を紹介して、二人の恋を応援しながら、こっそり伊藤と関係を持っていたのか…って」
「ええっ?!」
ちょっ、それはあまりにストレート過ぎじゃあ… で、でも…。
「そ、それでどう答えた?」
「そんなわけないって言ってた」
「そ、そうか…」
そりゃそうだよな。そんなこと正直に認めるわけがない。
だが黒田は一層暗い表情になって続ける。
「でもね…そう言いながら、世界、ずいぶん動揺してて…」
「あ…うん」
「つらいよね…」
「うん?」
「友達が苛めをしてるって知るのも、友達に嘘つかれるのも…
 嘘つかれてるってわかっちゃうのも…つらいよ…」
黒田はそう言うと、盆の上にあったカレーライスを黙々と食べ始めた。

53 :

だが、無表情にも見える黒田の顔が、しかし僕にはなんだか泣いているように見えて…。
そう、友達の暗い本質を知ってしまった黒田はやはり傷ついているのだろう。
だから…
「なあ、黒田。うんこ味のカレーとカレー味のうんこ、お前だったらどっち食べる?」
「んんっ、…ぶぐほっ!がふっ!」
黒田は食べていたカレーが変な器官にでも入ったのか妙な咳き込み方をすると
電光石火の如く履いていた上履きを手に取って頭上に振り上げると、
「人がカレー食べてる時になんつー質問しとるんじゃーっ!!」
スパーーーーン!!
雄叫びと共に、僕の頭頂部に全力の一撃を食らわせた。
…い、痛い。…でも…。
「少しは、元気出たみたいだな」
僕がそう言うと、黒田は一瞬きょとんとした後…
「足利はやっぱりいいやつね」
そう笑いつつ、しかし
「ただ、いいやつだけど、バカなのが玉にキズだわ」
そう心底呆れたように言った。
「うう…ひどい言われようだ」
「ひどいのはあんたよ。私、まだカレー半分以上残っているのよ」
「ごめん。なんなら僕のうどんと交換するか?」
「別にいいわよ」
そう言うと、黒田は再びカレーを食べ始め、僕もうどんを口に運ぶ。
とその時黒田が…
「ねぇ、いま足利の食べてるのって、中学の時標本で見た寄生虫みたいよね」
!?!?
「げふっ!ぐは!?」
僕は思いきり咳き込み、うどんが鼻から出そうになった。
「けほっ、く、黒田はなんてこと言うんだ」
「ふふ〜ん。さっきの仕返しよ」
「し、仕返しにしても女の子が寄生虫とか言うか?普通?」
「今時の女の子はフリーダムなのよ。おほほほほ」
そう笑って勝ち誇る黒田だけど、さっき上履きで叩いたのは仕返しじゃなかったのか?
とか思っていると
「ゴホン」
と隣から大きなせき払いが聞こえた。
そして僕と黒田は気づいた。
周囲の人間全てが僕たちをもの凄い目で睨んでいることに。
ハハッ。そりゃ、学食でうんこだの寄生虫だの言ってたら当然だな。
気まずくなった僕らは、食べ掛けのままトレイを返す。

54 :

そして、そそくさと学食を出ると
「全くもう、足利のせいで中途半端なお昼になっちゃったじゃない!」
「なんだよ!?僕だけのせいじゃないだろ」
「あーもう!うっさい!! ばーか」
「あー、バカって言うやつは自分がバカなんだぞ」
「しょ、小学生か、あんたは?ま、身長は小学生と変わりないみたいだけど…」
「あーっ!黒田、僕の一番気にしてることを…!」
などと他愛もない言い合いをしていた。
でも僕も黒田も本気で怒っているのではなく、黒田の顔はどこか楽しそうだった。
その黒田が
「そういえばさあ足利、桂さんを実質的に苛めてるのが誰かわかったわよ」
と軽い調子で言ってきた。
「え?」
「いや、私今日2時間目の教科書忘れて4組に借りに行ったのよ。
 それであのクラスに私たちと同じ中学の森がいるでしょ」
「ああ、知ってる」
「あの子って如何にも苛めに参加してそうでしょ?だから何気なく探ってみたのよ。
 で、やっぱりあの子苛めに積極的に参加してて、
 私が世界の友達だって言ったら誇らしくペラペラしゃべってくれたわ」
黒田が森から聞いた話によると、路夏の言っていた通り、
4組で苛めの音頭を取っているのはやはりバスケ部の加藤であり、
率先して実行しているのは、森ともう二人、小泉と小渕という女子で、いずれも加藤とかなり親しいということだ。
机やロッカーの落書き以外にも、悪質な嫌がらせをしているらしい。
「ただ、とりあえず暴力的なことはまだされてないみたい。それだけでもよかったわ」
そう黒田が言った時、僕は思わず微笑んでいた。
「な、何笑ってるのよ?」
「ん?いや…、黒田もやっぱり桂のこと心配しているんだなって」
「な、何よそれ!?」
「何って、黒田が今自分で言ったじゃないか。桂が暴力を受けてないだけでも「よかった」って…」
「!?そ、それは…っ」
僕が指摘した途端、黒田の顔が真っ赤になる。
「いいから、照れなくたっていいだろ?」
「もう、うっさい、うっさい!!あたしもう行くからね!」
そう言って僕に背を向けた。
「黒田。苛めのことも調べてくれてありがとうな。
 あと…元気出せよ」
僕がその背に向けそう言うと、黒田は
「うっさい、ばーか」
とそのまま歩いて行くが、
ふと立ち止まって振り返ると、
「でも…ありがとね。足利…」
そう言って微笑むと、踵を返して走り去った。

55 :

と、突然
「でも、ありがとね。足利…」
と、今さっきの黒田と同じ口調で後ろから声がした。
振り返ると、
「勇気、また黒田さんと仲良くしてる…」
「ろ、路夏!?」
そう言いながら、路夏がジト目で僕を睨みながら立っていた。
「ホントにもう…勇気は、ちょっと目を離すとすぐこれなんだから…」
「ち、ちがうよ路夏…誤解だ」
僕はあわてて弁解しようとするが…
「あんなに楽しそうに話してて何が誤解なんだか。だったら黒田さんと何話してたの?」
「それは…」
僕は路夏に、黒田が西園寺や甘露寺と親しくそれ故に桂には辛くあたっていたが、
西園寺や甘露寺の桂への仕打ちを知ってショックを受けていることを話した。
「ふうん。そうなんだ」
僕の話を聞いて路夏も考えこんだ表情になる。
「だからさ、路夏。黒田も辛いと思うんだよ」
「うん」
「だから、黒田に少しだけ優しくしてあげてもいいだろ?」
僕が真剣な気持ちでそう問うと、路夏は少しの間僕の顔を見つめて、
「もう、ずるいよ勇気。そんなふうに言われたらダメだって言えないじゃない」
そう言ってどこか困ったような顔で微笑んだ。
「それに、何があっても勇気のこと信じるって言っちゃったしね」
「う、うん。僕のことは本当に信じてくれていいから」
それは僕の本音だった。
そう、僕は伊藤とは違う。路夏を裏切ったり悲しませたり決してするもんか。
そう心の中で改めて強く思う僕だったが、
路夏はそんな僕を見てため息をつくと、
「はあ…それにしても、女装趣味で覗き魔で盗聴魔のストーカーを信じろとか、
まったくどういう罰ゲームなんだか…」
「あうう…そ、それは…」



とまあそんな感じに、残りの昼休みの時間を、僕は路夏と穏やかな(?)時間を過ごしたのだった。

56 :

今回は以上です。

57 :
丁字屋氏いつも乙です。
これからの展開に期待しつつ勇気や路夏にいつもニヤニヤさせてもらってます。
自分も短編を投下させていただきます、

58 :
「ただいま〜」
「しぃー、お姉、声が大きいっ」
「えっ?」
家に帰るなり、可憐に言われた一言に私はきょとんとしてしまった。
何があったのかと可憐のいる部屋をのぞいて見ると、
「すぅ  すぅ」
「あれ?いたる……ちゃん?」
「お姉、おかえり、いたるちゃん来てたんだけど、
今寝ちゃったんだ」
居間のソファーですやすやと眠るいたる、
周りの様子を見るとどうやら2人で遊んでいたらしく
遊び疲れたといった所だろうか一度かたしてから再び散らかったような
惨状をみせている。
可憐の話だと、駅前で偶然いたるちゃんと会って、伊藤に連絡した結果、
伊藤が帰ってくるまで家で待つ事にしたのだ。
そういえば天気予報だとこれから雨が降るとか言っていたような気もする
まあ雨が降って無くても、いたるちゃんをずっと待たせる訳にもいかないし
保護者である伊藤に連絡したのなら別に問題は無いだろう、
そんなことをいたるの寝顔を見ながら考えていた、
「可憐ーちょっと来てくれる、」
「あっ、はいはい、じゃあお姉、ちょっといたるちゃん見ててね」
「ちょっと可憐」
引きとめようとしつつも可憐は呼ばれた母親の所へと向かっていった、
母親にも寝てる子どもがいるからとか言ってる声がかすかに聞こえる。

59 :
かくして居間には私と寝ているいたるちゃんの2人きりになった、
「おにーちゃ、むにゃむにゃ」
「ふふ、伊藤の夢でも見てるのかな」
いたるちゃんの寝言を聞いてふと顔が緩む、
と、ここで私はある事を思いついた、
昔TVか何かで聞いた睡眠学習に関する事を特集していたことで
寝てる間でも人間の脳は活動していて、寝てる時に聞いたことは
頭の中に入って行き易い、小さい子どもなら尚更影響を受けやすいとのことだ、
さらに伊藤はいたるちゃんから影響を受ける事が多い、
そこで私はいたるちゃんの耳元で起こさないような小さな声で呟いた。
「おにーちゃは加藤のおねーちゃと一緒がいい、
おにーちゃは加藤のおねーちゃと一緒がいい、
おにーちゃは加藤のおねーちゃと一緒がいい、
おにーちゃは加藤のおねーちゃと一緒がいい、
おにーちゃは加藤のおねーちゃと一緒がいい、
おにーちゃは加藤のおねーちゃと一緒がいい、
おにーちゃは加藤のおねーちゃと一緒がいい、
おにーちゃは加藤のおねーちゃと一緒がいい、
おにーちゃは加藤のおねーちゃと一緒がいい。」
「んぅ〜・・・むにゃむにゃ・・・すぅ」
少しうなされた様子はあったものの、いたるちゃんは再び寝ている、
よしっ、ここはもう一回、と思ったらドアのベルがなる、どうやら伊藤が来たらしい。
「今日はいたるを預かってもらって、本当に助かりました」
「いーのよ、娘がもう一人増えたみたいで私も楽しかったから」
「いたるちゃん、また遊びにきてね」
「えへ」
「じゃあ伊藤、またね」
「ああ、またな」
いたるを引き取りに来た誠は私たちの家族に簡単な挨拶とお礼を言って
帰っていった、また伊藤が家に来る事があったらいいなと思いつつ家の中に入っていった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

60 :
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それから数週間の時が流れる、伊藤はというと、桂や西園寺さんと付き合っているとかいう話は聞いたけど、
別にそんなこと無かった、ううん本当はどちらか、あるいは両方と付き合っていたのかもしれないが
今は私の隣で一緒に私の家へと向かっている。伊藤も相当悩んでいたらしく、
なにかきっかけがあれば桂や西園寺さん、はたまた山県あたりと付き合ってかも知れないが
今、伊藤は私と二人きりの帰路についている。
どうも伊藤が悩んでいる時にたまたま伊藤の家に来ていたいたるちゃんの助言があったのが
決定打になったとの事だ、なんでも最近いたるちゃんは「おにーちゃは加藤のおねーちゃと一緒がいい、」
と言っており、伊藤にしてみれば相手を選ぶきっかけとなってたとのことだ。
まさかあの時の擬似催眠学習がここまで成果をもたらすとは正直思ってもいなかった。
本当にとんでもない程の効果が出たのだから。。。    ただ…………
「あっ、先輩」
「ああ、可憐待たせちゃった、かな?」
「大丈夫です、私も今学校から帰ってきたところですから、
じゃあ先輩、早速デート行きましょ。私、榊野町に行きたい。
先輩知ってます、この前TVで紹介されてたケーキのお店行きたい!」
「ああ俺も見た、じゃあ早速行こうか?」
「うん、先輩には私が食べさせてあげますからね」
「おいおい、あんまり茶化すなよ」
「先輩照れちゃって」
そういって伊藤は可憐と榊野町にと行ってしまった。
そう、誠が選んだ相手は私ではなく妹の可憐だったのだ
今日も家で待ち合わせがあったから一緒に帰ってきたからに過ぎない
昔からの親友として、もしくは伊藤の恋人の姉として
そりゃぁ、いたるちゃんにしてみれば可憐も“加藤のおねーちゃ”
なのかもしれないけど、どうして私じゃないのよ!
やり場の無い怒りを持ちつつカップルとなっている
伊藤と可憐の背中を私は眺めていた。

61 :
以上です、
みなさんの実力には及ばないかもしれませんが
楽しんでいただければ幸いです。

62 :
>>61

やはり乙女は嫌われてたか
この調子でがんがん力作かいて下さい

63 :
どうも。
久しぶりに小説版スクイズ読んでみて、
思うところがあったんでハーブェスト言葉編をいじくってみました。
ので投稿します。
【例えば、こんな物語】
  X(cross)
※18禁

64 :
【例えば、こんな物語】
  X(cross)
桂言葉の手には大きな風呂敷包み。中身は、誠の為に作ってきた重箱弁当。
早起きして母親の手も借りずに一所懸命に作った自信作だった。
言葉は誠の喜ぶ顔を想像して、笑顔を浮かべた。
昼休み。
弁当を持って誠のもとへ行こうとすると、
「!?」
何かに躓き、言葉は前のめりに床に倒れた。手にした弁当が床に落ちる。
それを見たクラスメイト女子の反応は冷ややかだった。
「あーら。何か引っ掛けちゃった?」
言葉の斜め後ろで加藤乙女が薄ら笑いを浮かべながらとぼけた。
ようやく言葉は、加藤が(しかも意図的に)足を引っ掛けてきた事を理解した。
(痛た…。膝を擦りむいたかも。…いえ、そんな事より!)
言葉は弁当を探した。
「ごめんねぇ、桂さん♪」森来実の楽しそうな笑み。
すでに弁当は、偶然を装った森の足で蹴り飛ばされていた。
弁当は、遠くまで転がり、包みが解かれ、無惨にも中身がぶちまけられた。
「あーあ。汚いなあ」「桂さん。教室を汚さないでもらえる?」
小泉夏美と小渕みなみが悪態をついた。
(非道い……。誠君のお弁当が…)
汚れた料理を誠に食べさせるなど、言葉には考えられなかった。
言葉は、自分が嫌がらせを受けた事より何より、誠の昼食が失われた事に深く悲しんだ。
加藤達四人は、さらに追い打ちをかける。
「うわ。こいつ、目に涙いっぱい溜めてる」
「そんなに、お腹がすいてたのぉー?」
だが、いつまでたっても言葉が弁当を見つめたままで抗議してこないので、加藤達はシラケてしまう。
「じゃ、行こうか」
「桂が悪いんだからね♪ちゃんと掃除して綺麗にしておきなさいよ」
結局、言葉は弁当を破棄し、水筒だけを持って待ち合わせ場所へ向かった。
校舎屋上では、伊藤誠がベンチに座って言葉を待っていた。
「遅いぞ、言葉」
「…ごめんなさい」
「??…言葉…?」
「あの…お弁当作ってきたんですけど、その、私ドジだから、ちょっと引っ掛けて落としちゃって…」
「いいよ。じゃ、購買で何か買ってこよう」
「ごめんなさい…ごめんなさい」
「いいって」
言葉は、ただただ謝った。何度も何度も。

65 :
学生食堂兼購買部は大勢の生徒で賑わっていた。
「ふーん。じゃあ、その甘露寺さんの友達…西園寺さんて人が影の黒幕なんだ?」
一角のテーブルで、女子三人が言葉イジメについて喋っていた。
「…にしても。あの時の桂の表情、見た?目に涙ためて、超笑えたよ」
「あんなでっかい弁当、持ってくんなっての♪」
「乙女が足引っ掛けた時さ、弁当無事だったじゃん。来実の蹴りで全部ひっくり返ったもんね」
そこへ誠がやって来て、
(ん?…今、誰かが世界と言葉の話をしてたような…?)
誠はその声の主を見つけ、利き耳を立てようとしたら、
「おい」
いきなり背後から肩を掴まれて、誠の思考は中断した。
誠が振り向くと、そこには小柄な眼鏡少年がいた。
足利勇気。何かと誠に突っ掛かってくる少年。
誠が桂言葉と西園寺世界を二股にかけている事が 、足利にとっては気に入らないらしい。
「また、お前か…。今度は何だよ?」
誠はウンザリ顔でぼやいた。
「桂がイジメられてる。お前、彼氏だろ。何とかしてやれよ」
「言葉が?…誰にだよ?」
誠は訝しげに尋ねた。
実のところ、誠は足利を疑っていた。なぜなら足利は誠を敵視しているから。
自分に敵意を持つ人間のコトバなど胡散臭い、というのが理由だ。
だから今回、足利からの言葉情報も、どうせ俺を責める為の作り話だろ?と誠は疑ってかかった。
「加藤って奴だ。桂と同じクラスの。なんか女子でグループ組んで桂を…」
加藤乙女。誠の中学生時代からの女友達だ。
誠の眉がツリ上がった。怒りの目。
だが、その矛先は加藤ではなく、目の前の足利に向けられた。
(加藤がそんな事するわけ無いだろ。俺の親友を悪く言うな)
加藤の事なら俺が一番よく知ってる、と誠は自負している。少なくとも、中学が違う足利よりかは。
「いつ?どこで?…現場を見たのか?」
「いや、直接見た訳じゃないけど…」
(ほらみろ。テキトーなコト言うな)
だが、ここで反発しても面倒臭い事になりそうなので、誠は
「わかったよ」と好意的に受け取った。
「そうか。じゃあ桂の事、頼んだぞ」
足利は気付かない。自分の助言が誠を動かすには至らなかった事に。
誠は、ただメッセージを受け取っただけだった。
この後、もし誠が事の真偽を確かめるため行動したなら、大切なものを失わずに済んだかも知れない。
だが誠は、足利の言う事は信じられないという理由だけで、言葉イジメの可能性まで否定した。
誠は気付かない。すぐ後ろで、女子三人が各々の言葉イジメを賛賞していた事に。

66 :

夜。
誠は本当の恋人を自宅に招き入れた。
「今日、お母さんは?」
「夜勤だから大丈夫」
「この前、キスの途中で鉢合わせしそうになって、焦ったよー」
「ちゃんと世界の事、紹介しとけば良かったよな。俺の彼女ですってさ」
誠はキッチンへと向かう。
「世界、何か飲む?」
「そんなの、あとあと」
「何のあとなんだか」
「んもう。わかってるくせに」
しばらくして、
パンパンパンパン。部屋で二人が腰を打ち付け合う音が響く。二人の結合部から湿った水音も。
世界は壁に手をつき、形の良い尻を誠に向けている。その世界を誠が後ろから攻めたてる。
「すごい…世界のココ…締まるッ!」
「ふああっ、熱いっ…もっと突いてぇっ!」
「世界……最高だ、世界」
「ああイク、イッちゃう……ああああっ!」
痙攣し、上体をのけぞらせる世界。
「……なんだ、もうイッちゃったのか。世界はホントH大好きだな」
「…ハアハア……誠のせいに決まってるじゃない。一日に七回もHしたのはドコの誰?」
「仕方ないだろ。世界のアソコ、気持ち良すぎるんだから」
「ねえ誠。私の事、好き?」
「好きだよ。世界の事が好きだ」
「桂さんよりも好き?」
「ああ。セカイで一番、世界の事を愛してる」
誠も世界も気付かない。
すでに何者かが伊藤宅内に侵入していて、ベランダから二人の情事を覗き見ている事など。
まして、それが何らかの理由で玄関の合鍵を確保した桂言葉であるなど、誰が想像できるだろうか。
「あ〜もう。体中ベトベト。誠、絶倫。シャワー貸して」
「待てよ、俺も一緒に…」
しばらくして、
違和感を抱いたのは、バスルームで第2ラウンドを終えたその後だった。
バスルームから自室に戻った誠はベッドに座って、何となくカーテンの隙間に目を向けて、
(??…ベランダの鍵が開いてる?)
誠は鍵を閉めるついでにベランダを覗いてみた。
風があるせいか雪がベランダ内にまで入り込んでいて、床が真っ白に染まっていた。
その床に、なぜか一箇所だけ不自然に雪がとけている部分があった。
「そういえば、誠。お風呂でHしてた時、何か笑い声が聞こえてこなかった?」
一体いつどこで選択を間違えたのか。後日、誠は惨劇を目の当たりにする事となる。
誠は気付かない。自分が選択を間違えた事すらも。
End

67 :
終わりです。即興で書いたんでクオリティ低いですが。
【オマケ】
誠 「んー。何て言うか、お約束展開ってやつだったな」
勇気「せっかくイジメ情報を掴んだってのに、何でこうなるんだよ!?」
山県「足利君が悪い」
勇気「何でだよ!!ちゃんと伊藤にアドバイスしただろ!!」
刹那「時と場所を選んで。てか空気読め」
勇気「迅速にアシストしたのに!!」
黒田「や、足利のせいで三馬鹿の尻尾を掴み損ねた訳だしー」
勇気「待て!僕の言うこと信じない伊藤が悪いんだろ!?てか何でお前ら伊藤の肩持つわけ!?」
誠 「足利が邪魔しなければ、俺は言葉を助けに行けたのになあ」
勇気「なに威風堂々と責任転嫁してんだこの屑野郎!!おい桂、何とか言ってやれ」
言葉「誠君は悪くありません。誠君は (以下省略) ですから」
勇気「しまったー!こいつ、超伊藤マンセー女だったァー!!!」
黒田「てかデイズシリーズの女子はみんな伊藤菌に毒されてるから、足利に勝ち目は無いわよ」
勇気「なんてこった…気が付けば、クロイズばりの四面楚歌に…」
泰介「気を落とすな。俺がついてるだろ」
勇気「信じられるのは路夏と姉ちゃんだけか…」
泰介「俺は無視かよ!」
そのころ、路夏と知恵ねーちゃんは盗撮ビデオを占有してヲナニーしてましたとさ。
めでたし、めでたし。
世界「何なの、このグダグダな終わり方わ…」
おわりんぐ

68 :
すごく面白かったです!
惨劇後の二人の様子が気になります。
誠はめちゃくちゃ後悔しそうだけど勇気はどうすんだろ?
伊藤は何もしなかった=黒幕は伊藤と思い込んで新たな惨劇とか・・・

69 :
>>68
ありがとうございます。
もともと企画段階では勇気不在、
単に誠が学食で「不運にも」「タイミング悪く」「三馬鹿の言葉イジメ自慢を聞き逃して」ノコギリEnd
でしたが、
味付け感覚で入れた勇気が思いのほか活躍してくれました。

70 :
桂言葉容疑者人容疑で逮捕。
懲役10年

71 :
どうも。
今日のSSは私のお気に入りキャラ田中と刹那のストーリーです。
が、今回の田中はあくまで語り手。
活躍するのはオリキャラの松方君です。
【例えば、こんな物語】番外編
〜Last Promise〜

72 :
【例えば、こんな物語】番外編
〜Last Promise〜
ある土曜日の午後、榊野町を歩いていたら、いきなり見知らぬ男に声をかけられた。
「田中?やっぱし田中!久しぶりやん!相変わらずデカイなー。また背ェ伸びたんか?」
…ええと、どちら様?
「ワイや、ワイ…て言うても覚えてへんか。ガキのころ一回会うたきりやしなー」
妙な関西弁の男は松方陟と名乗った。
松方の話では、子供のころ松方はある病気で入院していて、たまたま出会った俺に励まされたらしい。
…すまん。俺、全然覚えていない。
「まあ、こうして会うたのも何かの縁や。ビールで乾杯と行こか。待っとれや」
言うなり松方はコンビニへとダッシュした。俺が制止する暇も無かった。
俺が唖然としている所へ、
「あ、田中。奇遇ね、こんな所で会うなんて」四人の少女達が話しかけてきた。
クラスメイトの清浦刹那、西園寺世界、黒田光、甘露寺七海だった。
「私達これから買物なの。田中、暇なら一緒に来る?」
「ランジェリーショップまで」
…遠慮します。てか俺のガタイでそこに入ったら絶対、警察に通報されるだろ。
清浦達と別れると、
「見とったでー。四股かあ?お前も隅に置けへんなー」いつの間にか松方が俺の背後にいた。
どこぞのエロゲー主人公じゃあるまいし、人聞きの悪いこと言うな。
「誰やねんあの可愛い子ちゃん達。ワイにも紹介せい」
わかったから、昼間から路上でビールは止めろ。てか俺は未成年だ。
「ふーん。西園寺世界に清浦刹那に以下略かー。格好ええ名前やん」
ものすごい省略の仕方だな。てか、気安く呼び捨てるな。
「田中。お前、あのリボンちゃんに惚れとるやろ?確か刹那とかゆうたか」
ぶっフォ!!…なぜ初見一発でバレる!?エスパーか、お前は!?
「隠し事しても無駄やでー。ワイには天のお告げが聞こえるんや」
この日から、俺と松方の奇妙な交友が始まった。
後日。
松方は大胆な提案をしてきた。
「よっしゃ田中、ワイがお前の恋、応援したる。そのかわり、ワイと世界の仲を取り持ってーな」
よりによって一番競争率の高い西園寺か。気の毒だが諦めろ。彼女はもう他に好きな男がいる。
「知っとるで。伊藤誠ゆう男やろ?」
なぜ、お前が知っている?しかもフルネームまで。
「天のお告げがあってん」
また、それか。
「さっそくライバル登場かー。ワイも負けてられへんな。残り少ないこの命、世界の為に懸けるでー」
大袈裟だな。命懸けときたか。
「あ、言い忘れとった。実はワイな、不治の病やねん。余命あと半年て言われてん」
その割には御チャラけているな。ソレも天のお告げとやらか?
「そうや」松方は終始、笑顔だった。

73 :
さらに後日。
松方の恋は無情にも引き裂かれる事となる。
西園寺が伊藤ひとすじだからという理由ではない。 松方の不治の病が原因だから…でもない。
悪夢のような報せ。
西園寺が救急車で病院に運ばれた。
失血性ショック。西園寺が四組の桂言葉に、ノコギリで首筋を斬り裂かれたのだ。
西園寺は緊急手術を受け、なんとかギリギリのところで一命を取り留めた。
だが昏睡状態のまま意識が戻らない。担当医の説明では、意識が戻る可能性は薄いらしい。
清浦は学校に来なくなった。病院に泊まり込んで西園寺に付きっきりで看病しているのだ。
俺は伊藤、黒田、甘露寺ほかクラスメイト達と共に、西園寺の見舞いに行った。
実のところ、俺は清浦の事の方が心配だった。(もちろん西園寺の事も心配だが)
その俺の不安は的中する事となる。まるでんだ様に眠る西園寺の隣で、
清浦はやつれていた。目の下に隈ができ、頬がこけ、生気が感じられない。
ただ椅子に座ったまま、西園寺を見つめたまま微動だにしない清浦。
テーブル上の、清浦への差し入れ弁当も、ほとんど手付かずのままだ。
「大丈夫。世界はきっと良くなる」
「刹那、一睡もしてないの?一度、家に帰ってゆっくり休んだら?」
「てか、ご飯ちゃんと食べてる?」
「そろそろ学校にも顔出してよ。みんな心配してる」
クラスメイトが励ましや慰めや心配のコトバを口にしたが、
「………ん……」清浦は虚ろな返事をしてくるだけだった。
そんなやりとりをする日が何日か続き、やがて伊藤も学校に来なくなり、
一週間以上が過ぎた。依然、西園寺は意識不明のまま。
榊野学園。
放課後、校門で松方が俺を待っていた。
そういえば、しばらく会っていなかったな。最後に会ったのは、あのノコギリ事件の前日だったか。
「おう田中。ちと難儀な事になってもうてな。耳貸しィ。刹那にバレたら発狂もんやで」
すでに知っている。この件を、俺や清浦が知らない訳が無い。…てか、お前、今頃知ったのか?
「世界がヤバイんは知っとる!伊藤や伊藤!あいつ、ヤケクソになってもうたんか?元々ああなんか?」
そういえば、伊藤あれから学校に来ていないな。清浦と同じく、西園寺に付きっきりなのだろう?
「んな訳あるか!世界が選んだ男やから、どんな男前かと思うたら、とんだクソガキやったわ!」
何だ?何の話だ?伊藤が何か、しでかしたのか?
「ああ、スマン。喋る順番、逆やった」
松方は、これは天のお告げとちゃうで、と前置きして、
「伊藤の奴、浮気しとるで。世界が目ェ醒まさへんのをええ事に、家に女つれ込んどった。三人も」

74 :
一ヶ月が過ぎた。
榊野総合病院、病室。あれから何度ここを訪れただろうか。
西園寺は相変わらず昏睡状態のままだった。
今日も清浦が西園寺の隣で椅子に座っていて、相変わらず…いや、さらに衰弱していた。
…なあ清浦。いつまでそうしているつもりだ?
「…ずっと。ずっと世界を守るの。私には世界しかいないから」
そんな寂しいこと言わないでくれ。
「もし世界が逝亡くなったら…世界の存在を認めなかった桂さんとこの世の中に復讐してやる」
やめてくれ。そんな事、西園寺は望んでいない。むしろ悲しむ。黒田も甘露寺も。…それに俺もだ。
みんな心配している。清浦が少しでも友達を大切に思っているなら、あいつらを安心させてやってくれ。
「私には世界だけいれば、それでいい。心配するだけで助けてくれない友達なんて、いらない」
清浦は全てを拒絶した。
俺は逃げる様に病室を出て、待合室に行きベンチに座りこんだ。頭を抱える。
くそっ。俺は、どうすればいい?
俺は無力だ。誰も守れない。清浦の心の支えにもなれない。図体がデカイだけのデクの棒だ。
清浦は俺を拒絶した。俺なんかが傍にいても清浦の重荷になるだけだ。
「まったく…世界守るて気張るんはええけど、自分が倒れてもうたらモトもコも無いでー」
松方だった。いつの間にか俺の隣にいて、清浦の事をぼやいていた。
「自分の幸せ犠牲にしても誰も喜ばへんのに、いつまで人との約束引きずるつもりやねん」
こら、西園寺はまだ生きているぞ。勝手になすな。
「ちゃうちゃう…いや、スマン。そやな、お前の言う通りや。…世界は必ず目ェ醒ます」
「…で、田中。結局、刹那に喋らへんかったんか?伊藤の浮気を」
俺に出来る訳が無いだろう。残酷な真実で、さらに清浦の心を閉ざす事など。
「そーか。刹那の百年の恋も冷めたら、デクの棒にもチャンスが回ってくる思うたのにな」
なぜ、お前が知っている?清浦が伊藤に惚れている事を。
松方は、天のお告げがあってん、と答えて、
「まあ、お前がそんな卑怯モンやったら、ワイがド突いとったけどな。さすがワイの見込んだ漢や」
そんな格好良いものではない。ただ俺が臆病者なだけだ。
「実はワイな、世界が目ェ醒まさん方がええとも思うとった。そしたら世界はワイのモンになるしな」
おい、いきなり何を言い出す?
「世界が目ェ醒ましたら、またあのクソガキと付き合うやろ?なら、いっその事…ってな」
想い人を、あんな男に渡したくない、か。その気持ちは解らないでもない。
「けどな、お前の泣き顔見て気ィ変わったで。こりゃ、力づくでも世界の目ェ醒まさなアカンてな」
そう言うと松方は、西園寺の病室へ向かって歩き出した。
おい待て。力づくって…お前、何をする気だ?
「今まで黙っとったけどな。実はワイ、天の使いやねん。人を生き返らせるチカラがあるんや」

75 :
再び病室。
俺達(というか松方)のいきなりの入室に、
「田中。その人、誰?知り合い?」清浦は怪訝そうな視線を向けた。
「ワイが誰かなんて、どーでもええ。このままやったら世界が目ェ醒ます前にアンタがくたばってまうで」
「ほっといて」
「そーもいかへん。アンタがくたばったら田中が泣くさかい。せやから世界を起こしに来たんや。
……田中がな」
??…え?俺が??お前、何を言っている??
「…田中が?」
「今まで黙っとったけどな、実は田中、天の使いやねん。人を生き返らせるチカラがあるんや」
「ふざけないで!!」清浦の怒声。
そうだぞ。こんな時にそんな冗談を言うなんて、非常識にも程がある。
すると松方は俺の右手を掴み、俺を西園寺のもとまで歩み寄せた。すぐ前に昏睡状態の西園寺。
「まあ見とき。恋するデクの棒は強いでー」
松方は俺の右掌を西園寺の額に押し付けた。強引に。
数秒後、信じられない事が起きた。
昏睡状態のはずの、西園寺の両目が開いたのだ。
「え?嘘…!?世界!?」清浦が驚く。
う、嘘だろ?
信じられない。こんな事、絶対に有り得ない。俺も清浦も幻覚を見ているのか?
「…あれ?何で刹那と田中がココに?てか、ココどこ?確か私、桂さんに首を…」
西園寺はハテナ顔。だが、その意識はしっかり回復しているようだ。
「世界、良かった!!……ありがとう田中、凄い!」
いや違う。俺には、そんな力は無い。
そうだ、さっき西園寺に手をかざしたのは俺だけではなかった。これは俺が起こした奇跡ではない。
「言うたやろ。天の使いや、って」
お前か?お前の力なんだな?
だが、当の本人は、
いない。どこに行った?
『まったく世話がやけるな。けど、これで安心して二人を任せられる。頼んだぞ田中』
ただ声だけが聞こえてくる。が、その姿が見当たらない。廊下に出て捜しても、どこにもいない。
「待って、出て来て!あなた誰なの!?」清浦も一緒になって捜す。
『さすがにワイの…いや、僕の顔を思い出せないか。けど、それでいい。それでいいんだ、刹那』
知り合いだったのか?
『いつまでも人との約束なんか引きずるもんじゃない』
「何でその事を?ねえ田中、彼は誰なの!?」
誰って、ただの顔見知りだ。子供の頃に一度会った程度の。名前は松方陟といって…。
「陟?ありえない!ノボル兄さんがここにいるわけ無い!!」
やはり知り合いだったのか。だが、ありえないも何も、さっきまでココにいただろう。
「…ノボル?ノボルさんなら、とっくにんでるでしょ。私達が子供の頃に」
西園寺が、事もなげに言った。
『ああ。今度こそ本当にサヨナラだ。世界、僕は君の事が好きだった』
松方の声は、それっきり聞こえてこなかった。

76 :
あれから数日が過ぎた。
西園寺は退院し、清浦も元気を取り戻した。
西園寺は伊藤とバカップルぶりを披露し、清浦がそれを暖かく見守っている。
(言いたい事は山ほどあるが、人の幸せに水をさすほど俺は野暮ではない)
俺達は、いつもの日常を取り戻した。
ただ、松方だけが、いない。
あの日の西園寺の目覚めと共に、松方は忽然と町から姿を消した。まるで最初からいなかったかの様に。
(そういえば、あいつ不治の病とか言っていたな)
「何者だったの?あの陟さんて人は」清浦が尋ねてきた。
よく知らない。会って数回しか話をしていない。
子供の頃に俺と出会っていたらしいが、俺にはその記憶が全く無い。
もしかしたら、出会いすら無かったのかも知れない。
清浦の方が詳しいのでは?
「ノボルさんは私の初恋の人だったの。まあ、あの人は世界にゾッコンだったんだけど」
子供の頃に亡くなったとか言っていたな。ノボルさんも不治の病に侵されていたのか?
「うん。世界を守ってくれ、そう言い遺してノボルさんは息を引き取ったの」
それでか。清浦が異様なまでに西園寺に執着していたのは。伊藤を西園寺に譲ったのも、そのためか?
「約束したから」
そういえば、松方は人との約束がどうとか言っていた。残り少ないこの命を世界の為に懸ける、とも。
あいつもノボルさんも、西園寺の幸せをを守りたかったんだな。
あいつが、清浦の言うノボルさんと同一人物なのかどうかは、わからない。だが、
『今まで黙っとったけどな。実はワイ、天の使いやねん』
もしかしたら、あいつは本当に天の使いだったのかも知れないな。
「ぷっ。田中、意外にロマンチスト」
おっと。つい感傷的になってしまった。まるで親友を失った気分だ。
そう。俺は、あいつと親友になりたかったのだ。
解り合えたかも知れない漢の最期。
あいつの正体が何であれ、もっと一緒にいたかった。もっと話をしたかった。
だから、サヨナラは言わない。冥福も祈らない。だが、これだけは…
ありがとう、陟。
そういえば俺、まだ自分の気持ちを伝えていなかったな。
「?…何?」
「俺、ずっと前から清浦さんの事が…」
End

77 :
終わりです。
あまりにもご都合良すぎる展開ですが、やっぱり最後はハッピーエンドが良いですよね。
ドラマCD「Little Promise」をお聞きになると、より一層、味わい深くなります。

78 :
いよおおおおおおおおおおおおおし!!

79 :
その調子だぁ!

80 :
保守

81 :
逮捕逮捕逮捕

82 :
七海が誠に突き上げられてあの美巨乳を激しく揺さぶらせる姿とか、
駅弁へ移行後に堪らず長い四肢を誠の背に絡めてしがみ付く姿とか、
組み敷かれた体位で大量の精液を注ぎ込まれて達してしまう姿とか、
もっと見てみたかった

83 :
クロイズの七海エンドの補完か
是非読んでみたいね

84 :
身長173cm B98-W68-H91
とんでもスクリプトによると体重59kg
ド迫力ボディが素晴らしい

85 :
いいぞぉ!

86 :
七海が光と路夏の目の前でも構わず誠を求めてる大声を、
家の外まで来てた乙女に聞かれるってのも良いなw

87 :
>>86
スクイズ乙女ルートだと
玄関前に言葉が居残ってるかもしれないのに
乙女H始めたよな

88 :
七海は誠に激しく突き上げられながら
惚けてしまい、絶頂間際には自分から
膣内射精を懇願してしまうわけか
股間が熱くなるな…不覚にも

89 :
身長170cm以上、体重60kg近い体格の良い女を駅弁ファックするのは結構しんどい

90 :
対面座位なら行けるだろ
何せベッドは4Pも可能なくらい広くてごっついしw

91 :
久しぶりです。
規制に巻き込まれてましたがようやく解除。
というわけで「贄と成就」アフター
>>55
からの続きです。

92 :

姉ちゃんがいじめにけりをつけると言っていた放課後になった。
僕は既に黒田から聞いたいじめの実行犯のことはメールで連絡しており、
一方姉ちゃんからは、図書館にくるように指示を受けていた。
指示通り図書館に行くと、既に姉ちゃんと桂が来ており、花山院先輩の姿もあった。
姉ちゃんは僕の顔を見るなり
「来たね。じゃあとりあえず、あんたはここで桂さんと一緒にいてやりな。
 で、私が連絡したら桂さんのクラス…1年4組の教室に二人できな」
と言い、更に桂に
「桂さんそれでいいね?」
と訊いた。
そしてそれに対する
「はい」
という桂の返事には、やはり姉ちゃんに対する信頼のようなものが伺えた。
そして僕は
「ところで姉ちゃん、いじめにけりをつけるって、一体どうするつもりなんだ?」
そう尋ねていた。」
その僕の問いに、姉ちゃんは
「どうするもなにも、うちの部の下級生がおいたをしてるんだ。
上級生としてきちんと説教してやめさせる。それだけだよ」
と、さも当たり前だろと言わんばかりに答えた。
て言うか、何とも当たり前な答えだった。
どうも僕は姉ちゃんのことだから、何かエキセントリックなことでもするんじゃないかと考えすぎていたようである。
「それから花山院、今回はあんたの彼女にはかなり厳しいことになるけど承知しておいてよ」
「ああ、。自分の彼女のフォローくらいは自分でするから、お前が正しいと思うようにやってくれ」
花山院先輩は、いつもは姉ちゃんと口喧嘩しているが、いまの姉ちゃんの言葉に対する返答からは、
やはり姉ちゃんへの信頼のようなものが感じられた。
そして、
「じゃあ行ってくるよ」
そう言って姉ちゃんは図書館を出て行くが、僕はその後を追った。
姉ちゃんに聞きたいことがあったからだ。

93 :

「姉ちゃん…」
「ん?どうしたの勇気。図書館で桂さんと一緒に待ってろって言ったでしょ」
「ちょっと聞きたいことがあるんだ」
「何?」
「澤永のことなんだけど…」
「澤永…君?」
姉ちゃんは一瞬訝しげな顔になる。
澤永は、今日午後の授業に出ていなかった。
心配する黒田からの「何か知らないか」というメールで僕はそれを知ったのだが、
澤永は気まぐれに授業をサボるようなヤツじゃあないし、
昼休みに姉ちゃんと話した時に何かあったのではないかと僕には思えた。
そのことを姉ちゃんに問うと
姉ちゃんは少し困ったような顔をして頭をかき、やがて僕の顔をまっすぐ見ると、
「そうだね。簡単に話しておこうか」
そう言って話し始めた。
「まず、澤永君は…あんたや路夏も推測はしていたようだけど…桂さんに対して嫌なことをした。
 そして、桂さんはそのことでひどく傷ついた」
「やっぱり……でも、嫌なことって一体…?」
「ただね勇気、澤永君には悪気はなかったんだ。
 彼は今日まで、自分が桂さんを傷つけていたなんて露ほども思っていなかった。
 それは無知と言うにあまりに愚かなことだけど…」
「……」
「でも澤永君は今日、ようやく自分のしたことの意味と重さを知った。
 私が教えたから…。
 そして彼は、今自分のしたことに反省し、後悔している」
「うん……」
「それでも、姉ちゃんは澤永君を殴ったわ」
「え?」
「いくら反省し、後悔しても、やはり罰が必要なことはあるの。
 それにこのことは澤永君も納得ずくのこと。
 いや、私に殴られたところで、彼はこの先も自分のしたことの重さに苛まれるだろうけど、
 それもまた彼が受けるべき罰よ…」
「……」
一体澤永は何をしたというんだ?
姉ちゃんはいまだそれを口にしないが、僕はそれが気になる一方で、
それを知るのがこわい気がしていた。
だが……
「だから、澤永君が桂さんに何をしたのかを勇気が知る必要はないの」
「え?」

94 :

「この先澤永君が自身のしたことに苦しむのは澤永君自身の問題だし、
 桂さんはこのことは忘れたいと思っている。
 だから、あんたは何も聞かずに、澤永君とも桂さんとも今まで通り普通に付き合いな」
「で…でも…」
「いいね、勇気。あんたは何も知らなくていいの。
 わかった?」
まるで念を押すような、そして諭すような姉ちゃんの言葉は、なんだかひどく優しい声で、
 でもそう言った時の姉ちゃんの眼は、なんだかひどく悲しげで、
だから僕は、
「うん。わかった」
ただそう答えた。
姉ちゃんはその答えに満足したように満面の笑みを浮かべると、
「よし、いい子だ」
そう言って僕の頭を優しく撫でた。
僕はそれまで、姉ちゃんに今回のことを任せるのには、
姉ちゃんのことだからかえって話をややこしくさせるのではと不安があった。
でも今姉ちゃんの笑顔を見て…姉ちゃんに撫でられた頭が気持ちよくて、
そんな不安は吹き飛んでしまった。
うん、姉ちゃんに任せておけば大丈夫だ。
そして僕は、
「じゃ、行ってくるからあんたも図書館に戻ってな」
そう言って背を向けた姉ちゃんを見送って、図書館に戻った。

95 :

図書館で姉ちゃんから連絡が入るのを待つ間、桂には不安そうな様子はなく、
やはり姉ちゃんを全面的に信頼していることが見て取れた。
僕は桂に訊いてみた。
「桂は…姉ちゃんが怖くないのか?」
「え?」
「いや、姉ちゃんてさ、顔も性格も結構キツイし、僕なんか奴隷のように扱うし、
バスケ部の一年でも姉ちゃんを怖がってるヤツも少なくないし、だから…」
「いえ。確かに今朝、初めてお会いした時には正直言うと少し怖いなって思いました。
でも、お話してみると知恵さんってすごく優しいですし、私のことを本当に思ってくださって…」
そう目を細めて言う桂の頬は、僕にはうっすらと赤らんで見えた。
姉ちゃん?桂と一体何を?
結局一時間近く待っただろうか、姉ちゃんからメールがきた。
指示通り4組の教室に入った途端、桂が動揺した。
って言うか、僕も少し動揺した。
教室の後ろに一列に、女バスの一年の面々がユニフォーム姿で並んでいたのだ。
その中には路夏や甘露寺、そして僕のクラスの細川、畠山、今川もいた。
いや、三人ばかり、ユニフォームでなく制服姿の者もいて、1人は…森だった。
ということはあとの2人は、森同様に4組でのいじめの実行犯である小渕と小泉というヤツか。
そしてみんなどこかうなだれたような列の脇に姉ちゃんと、
もう1人…あれは確か女バスの部長の渋川さん…がいた。

96 :

ともあれ、僕らが教室の扉を開けると、その全員が一斉にこちらに注目した。
細川たちは一瞬、何で僕がいるのかと言いたそうな怪訝な表情をする。
姉ちゃんはこちらを見ると
「来たね。じゃあ桂さん、こっちへ」
と桂を手招きし、桂もこくりとうなずいて、そちらへ向かった。
「あなたが桂さんね」
そう言って桂に声をかけたのは渋川さんだった。
「バスケ部の部長の渋川です。
 今回はうちの一年生たちがあなたに随分ひどい事をしたみたいで、
 部長としても本当に申し訳なく思っているわ。
 本当にごめんなさい」
「あ…いえ、そんな…」
渋川さんの丁寧な謝罪に桂はかえって恐縮する。
「で、ここにいるのが桂さんに嫌な思いをさせた連中よ。
 計画、指示した者もいるし、まあ直接的には何もしないとはいえ、止めなかった者もいる。
 そしてもちろん直接嫌がらせを実行した者も・・・。
 ほら、あんたたち、謝りな」
姉ちゃんがそう言うと、一年の列が半歩前に出て、
ともあれ、僕らが教室の扉を開けると、その全員が一斉にこちらに注目した。
細川たちは一瞬、何で僕がいるのかと言いたそうな怪訝な表情をする。
姉ちゃんはこちらを見ると
「来たね。じゃあ桂さん、こっちへ」
と桂を手招きし、桂もこくりとうなずいて、そちらへ向かった。
「あなたが桂さんね」
そう言って桂に声をかけたのは渋川さんだった。
「バスケ部の部長の渋川です。
 今回はうちの一年生たちがあなたに随分ひどい事をしたみたいで、
 部長としても本当に申し訳なく思っているわ。
 本当にごめんなさい」
「あ…いえ、そんな…」
渋川さんの丁寧な謝罪に桂はかえって恐縮する。
「で、ここにいるのが桂さんに嫌な思いをさせた連中よ。
 計画、指示した者もいるし、まあ直接的には何もしないとはいえ、止めなかった者もいる。
 そしてもちろん直接嫌がらせを実行した者も・・・。
 ほら、あんたたち、謝りな」
姉ちゃんがそう言うと、一年の列が半歩前に出て、
「ごめんなさい」
と一斉に謝った。
本当にすまなそうな様子の者が殆どだが、中には不服そうな顔の者もいる。
甘露寺もそうだし、森なんかはそういう感情が顔にもろに出ている。
続けて姉ちゃんが桂に言う。
「まあこの連中には一応きつく説教はしたわ。
 あと、桂さんの机やロッカーもきれいにさせた。
 まあロッカーの方は元通りというわけにはいかなかったけどね…」
見ると、確かに桂の机やロッカーの落書きは、きれいに消されていた。
ロッカーの方の蹴られた跡であろうへこみはさすがに元通りにならなかったようだが。
「あと、落書きで使えなくなった教科書も、きちんと弁償させるから」
「そ、そんな…弁償なんて…」
「いや、こういうことはケジメが大切だから」
「は、はい…」

97 :
(↑すいません、なんか文章が一部ダブっちゃいましたー汗)
「無論、桂さんの感じてきた精神的苦痛を考えれば、これだけで済むとは思っていないよ。
 けど…、桂さん、どうする?
 全員一発づつ殴るとかでもいいし、
 無論学校側からきちんと処罰して欲しいって言うならそれもやむを得ない」
姉ちゃんがそう言った時、一年生たちが動揺を見せた。
それはそうだろう。
学校側に処罰を求めるとなれば、明確に集団いじめという事件になるということだし、
特に主犯とも言える甘露寺や実行犯の加藤や森たちなどは、相応の処分を覚悟しなくてはならないだろう。
まあそれだけのことをしたのだから当然の報いと言えばそれまでだが…。
しかし…
「いえ、いいんです。みなさんには、きちんと謝っていただきましたし、
 これ以上ことを荒立てたいとは思いません」
桂がそう言うと、一年生の間に安堵の空気が流れた。
「桂さん、本当にそれでいいの?」
渋川先輩が念をを押すように訊いたが、桂は
「はい」
と小さく、だがはっきり答えた。
それを受けるように姉ちゃんは優しく微笑み、
「桂さんは優しいね」
と桂に、一転して厳しい表情で一年生部員たちに、
「…あんたたち、わかってるの?
 あんたたちはこういう子によってたかってひどいことしていたんだよ!」
ときつく言い放った。
言われた一年生は殆どがうなだれ、中にはすすり泣きしている者もいる。
 
「じゃあ桂さん、本当にごめんなさいね。
 とにかくもうあなたへの嫌がらせなんてさせないから、
 とりあえず今日は安心して、ゆっくり休んでね」
と、改めて渋川先輩が謝る。
しかし桂は逆に
「いえ、こちらこそありがとうございました」
と礼を言って頭を下げた。

98 :

そして桂はそのまま教室を出ようとするが、
「桂さん。待って」
と声がした。
声は細川だった。
細川は桂の前に出てくると
「私は直接桂さんに何かしたってわけじゃないけど、
 それでも桂さんにひどいことしようってみんなが決めた時、
 それを間違っているとわかっていても、
 自分は何もしていないって自分に言い訳して知らないふりを通していた。
 でも、結局それも桂さんを苦しめることになっていたのは変わりないから…
 だから…ごめんなさい!」
そう言って深々と頭を下げた。
すると畠山と今川も前に出てきて
「私も、本当はこんなの嫌だなって思っていながら、反対できなくて、
 みんなに同調して……ごめんなさい!」
「私も……ごめんなさい!」
とやはり深々頭を下げた。
更に他の面々も次々と前に出てきて、
「私もごめんなさい」
「私は正直言うと桂さんのことあまり好きじゃないけど、
 でも今回みたいなことはやっぱりしちゃいけなかった。
 だから…ごめんなさい」
「私もごめんなさい」
「ごめんなさい…」
と頭を下げた。
桂はそのたびに
「いえ、いいんです…」
と困ったように答えながら、でもやはりどこか嬉しそうだった。
また、姉ちゃんもその様子を嬉しそうに見ていた。

99 :

しかし肝心の実行犯、主犯と言える森や加藤たちは、
「悪かったわ」
という一言だけをいかにも嫌々言っているようだった。
そして最後に甘露寺も前に出てきて
「桂。あんたが伊藤に手を出そうとしていることについては、まだ言いたいこともあるけど、
今回のことは…とにかく悪かった…」
と、あまり申し訳なさが感じられない様子ながら、それでも頭を下げた。
すると桂が甘露寺に話しかけた。
「いえ…ただ、甘露寺さん…」
「ん?」
「安心してください。私、もう誠くんには近づきませんから」
「え?」
桂の言葉に甘露寺が驚きの表情を見せた。
いや、甘露寺だけじゃない。
路夏も、加藤たちも、姉ちゃんも今の桂の言葉は予想外だったのか驚いた顔をしている。
僕だってそうだ。
僕は桂が本当に伊藤を好きなのだと痛切に感じていたし、
今回のいじめにしても、
甘露寺が一度警告した時に、もし桂が伊藤への思いをあきらめていれば起こらなかったはずのことだ。
すなわち桂は自分がどんな目に合おうと伊藤への思いを貫こうとしていたんだ。
それが、もういじめの心配はなくなったのに伊藤にはもう近づかないって…一体どういうことだ?

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