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2012年2月エロパロ257: 【朝ドラ】ゲゲゲの女房でエロパロ5【いちせん】 (553) TOP カテ一覧 スレ一覧 Pink元 削除依頼

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【朝ドラ】ゲゲゲの女房でエロパロ5【いちせん】


1 :11/07/17 〜 最終レス :12/02/10
村井夫妻でちょっこし妄想
もちろん村井夫妻以外もおk
いちごとせんべいネタもおk
前スレ
【朝ドラ】ゲゲゲの女房でエロパロ4【昭和のかほり】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1303995098/l50
まとめ
ttp://www.h01.i-friends.st/?in=llgegegell
こんなサイトもあります。
「花よりエロパロ」ゲゲゲの女房
ttp://2nov.jam3.jp/nov/gegege/

2 :
一応、いちせんネタもありという宣伝?のためにスレタイにいちせんに入れといた。
予告なしで勝手に立ててスマソ。500KBイってたので。
スレタイについては次スレまでにマターリ決めましょうや。

3 :
>>1
スレタイもいいと思う
だんだん!

4 :
>>1
ありがとうって伝えたくて
ついに5スレ目か・・・胸熱

5 :
おっつおつ

6 :
可愛くない? メガネとか
http://www.nicovideo.jp/watch/sm14923835
http://www.nicovideo.jp/watch/sm14923866
http://www.nicovideo.jp/watch/sm14923781

7 :
>>1
乙&だんたん!
ゲゲふみも祐綾も源ミヤも修絹も戌井夫妻もバッチ恋‼

8 :
スレたてありがとうございます!
いちせんもスレタイに入ったんだね、いいかも。

9 :
>>1だんだん!
このスレ大好き!職人さんが皆さん素晴らしいし、作品に対する愛が溢れているのが素敵

10 :
前スレ埋まったみたいです。400強のレス数で500KBいくとか、投下が多かった証拠かな。
このスレも賑わいますように。

11 :
>>1乙!
スレタイこれでいいと思う
>>7
哲也邦子もばっちこい!
なかなか良い夫婦だと思うんだ…

12 :
>>1乙です。
前スレ>>459ですが、容量残り少ないところに大量投下すみませんでした。
スレタイとか話し合う余地がなくなっちゃったみたいでごめんなさい。
以前、自分が投下した直後ではないけど、ゲゲふみ以外のカプはいらないみたいな
レスがあってちょっと凹んだのですが、皆さんの温かいレスで救われました。
自分ばっかり投下してるみたいで心苦しい&心細いので、いろんな書き手さんが
参加しやすい空気を残しておいてほしいです。
「書こうかなあ・・・。」とおっしゃってた皆さん、お待ちしてます。

13 :
ジュモクですけど投下したら載せますよ
更新ペースがおかしくてすみません

14 :
>>12
いつもありがとうございます!私はあなたの作品の大ファンです
作品を読ませていただく度に、愛おしい「ゲゲゲの女房」の世界に舞い戻り、楽しませていただいております
これからもどうぞ素敵な作品を投下して、私を萌えにさせてくださいw
。。。それから、橋木さんシリーズを書いてくださってた職人さんはもういらっしゃらないのでしょうか?
エロがなくとも愛が溢れているあなたの作品も、私は大好きでした
このスレの職人さんは皆さんレベルが高く、本当に素晴らしいです
好む好まないは個人の自由でしょう
ゲゲゲやいちせんに関連するお話なら、自分はいつでもウェルカムです!!

15 :
>>14
>橋木さん?
ttp://www.h01.i-friends.st/index.php?in=llgegegell&pan=49

16 :
地デジになったらサイトまるごと消えて今辛うじて見れてる
ゆうあやのプロフィールとかわれせん見れなくなっちゃうのかな…

17 :
>>16
そもそも地デジ化促進のためのドラマみたいなもんだったんだから、
地デジ化記念にもう1話くらい作ってくれてもいいもんなのにな。

18 :
何そのナイスアイディア!
だいたい、二本っておさまりが悪いよね
三本くらいあった方がバランスいいよね

19 :
しがない絵描きです。
またエロはないんですが…いちせんネタで盛り上がってるので、今回は祐綾を!
夏の島の2人です。
いちせん続編を願って
「祐ちゃん、海!」
http://beebee2see.appspot.com/i/azuY_ZKnBAw.jpg

20 :
>>19
ゆうちゃんの眼差しと綾子さんの笑顔がたまらんです!
ほんと海行ってイチャイチャしてほしいわー
日焼け止めとか日焼け止めとか日焼け止めとか

21 :
>>20
GJ!
なんだこの爽やか美男美女カポーは・・・!
さりげなくお揃いのアクセというのもイイ!
海の開放的な雰囲気につられて、もっともっとベタベタしてもらいたい

22 :
>>19
消えてしまってるっぽいので
再度うpしてくださると嬉しいです

23 :
>>22
昼ごろは見れないようでしたが、今は見れるみたいです。

24 :
>>15
ありがとうございます!
やはり橋木さんはもうここにはいらっしゃらないのですね。。。
これから上京初日辺りのDVDを見てパス探します

25 :
ジュモクさん更新乙&だんだん!毎度あのエロバナー広告ワロスw
絵とか描ける人すごい。例えば今まで投下された作品の一場面を絵にしたりとか無理ですか?
エロもあるとなおありがたし、ですがw

26 :
「遅いなあ・・・。」
時計の針は、十時をまわっている。今日の午前中、雄玄社の本社社屋で行われる漫画賞の
授賞式に出席するために出かけた茂は、夜になってもまだ帰ってこなかった。
 ちゃぶ台の上には、フミエの心づくしの祝いのごちそうが、所せましと並べられている。
太ったギョウザ、ちらしずし、春雨の炒め物、ふかし芋・・・茂の好物ばかりだ。とりわけ
太ったギョウザは、初めて大手の雑誌社から依頼された仕事に乾坤一擲の勝負をかけた
茂のため、少しでもスタミナをつけてほしいとフミエが知恵を絞った思い出の料理だった。
 茂が帰ってきたら一緒に箸をとろうと、フミエは夕食を食べずに帰りを待っていた。
小さな藍子は、ギョウザをおいしそうに食べた後、とうに眠りについている。
「おなか、すいたなあ・・・。」
思わずおなかをさすり、また時計を見る。
(豊川さんたちと、どこかで祝杯をあげとるのかもしれん・・・。)
茂は全くの下戸なので、祝杯と言うわけでもないだろうが、よく考えたら、これだけ
大きな賞を獲った人間を、周りが放って置くわけがなかった。
(どこか高級なお店に招かれて、ごちそう食べとられるのかもしれんね・・・。)
 急に、目の前のごちそうがみすぼらしく見えてきた。
雄玄社から、今までの貸本漫画の常識では信じられないような額の原稿料が振り込まれる
ようになってからも、結婚以来の貧乏暮らしで培われたフミエの経済観念はそう簡単に
変わるものではなかった。
「外ですまして来られるかもしれん。固くならん様に、ふきんかけとかんと・・・。」
茂を送り出した後、ご馳走の文字通り買い物に奔走して、一生懸命作った料理の数々は
すっかり冷えて、固くなり始めている。
 今朝、仕立ておろしのスーツに身をつつんだ茂に、晴れがましさと同時になんだか
まぶしさを感じて目を細めたことを思い出す。なんだか急に茂が遠くへ行ってしまった
ような気がして、寂しさに胸を衝かれた。
 この家に初めてひいた電話が、茂が『テレビくん』で雄玄社漫画賞を受賞したという
嬉しいニュースをもたらしたのは先月のことだった。
 電話を受けた茂が、切った後も茫然としているため、フミエは(もしや打ち切り?!)
と固唾をのんで茂の言葉を待った。
「俺に・・・賞をくれるそうだ。雄玄社漫画賞という・・・一年に一回しかない、立派な賞だ。」

27 :
「まあ、俺がこういう賞をとるのは、当然の結果だがな。」
茂はそう言って胸を張ったが、少し声が震えていた。そして、フミエがどんなに驚くか、
飛び上がってダンスでも踊りだすのではないかとその顔をうかがった。だが、フミエは
質屋から戻ってきた品物の山に埋もれたまま、静かに微笑んでいるだけだった。
「・・・なんだ、お前、驚かんのか?」
「必ずこういう日が来ると思っていましたけん・・・。信じられんとか、夢のようだとかは
 ひとつも思わんです。お父ちゃんは、それだけの努力をしてきたんですけん。
 やっと・・・来るべき時が来たんですよ。」
フミエの表情や声は静かだが、顔は誇りと喜びに輝いていた。茂と言う男に全幅の信頼を
置いていることが、フミエをどっしりと落ち着かせていた。
(こいつ・・・案外、大した奴だな。)
茂は感心して声も出ず、フミエの顔を見つめていた。この女房は、普段は内気で従順、
平凡を絵に描いたような人間だが、ここぞと言う時は、茂よりよっぽど肝がすわっている
ところがある。こみち書房での読者のつどいで、茂をなじった父に立ち向かっていった時、
貧乏のどん底でお腹にやどった子供を「産みます。」と言い切った時・・・。
 結婚以来、二人はたびたびギリギリの崖っぷちに立たされて来た。フミエの肝っ玉は、
本当に追いつめられた時だけ発揮されるものだけに、自分のために何度もそんな危機に
妻をさらして来てしまったことに胸が痛んだ。
 授賞式はひと月あと・・・。フミエはもうその時の心配を始めた。着ていくものは・・・、
散髪は・・・。相変わらず身なりに全然かまわない茂に、なんとしても授賞式にふさわしい
装いをしてもらわなくてはならない。
 質屋から請け出した背広は、もうすっかり型くずれしており、とても晴れの席に着て
行けるようなものではなかった。名誉な賞を受けるのに、茂をみすぼらしい格好で
列席させるわけには行かない。フミエは清水の舞台から飛び降りるようなつもりで
新しい背広をあつらえた。  

28 :
 明日は授賞式と言うその夜。茂はいつもどおり週刊連載のしめ切りに向けて仕事を
したが、明日の昼過ぎから行われる式に余裕を持って向かえるよう、いつもより早めに
床についた。
(お父ちゃん、眠れんのかな・・・。)
フミエは、布団に入ってからずいぶん経っても、隣りの布団で輾転反側しているらしい
茂の様子を、気づかれないようにそっとうかがった。
(明日のことが、不安なんだろうか・・・?)
ひょうひょうとして楽天的で、物事にとらわれないように見えるが、苦労に苦労を
重ねてきているだけに、茂には現実的で用心深いところもあった。うまく事が運びすぎて
いることが不安なのか・・・それとも、明日、今まであまり縁のなかった日の当たる場所で
ひとびとに囲まれることに気後れがあるのだろうか・・・。
 今までの漫画家人生において、茂は貸本漫画の版元に、なじられ、馬鹿にされ、
原稿料を踏み倒され・・・言うに言われぬ辛酸を嘗めてきた。春田図書出版という出版社に、
熱を出した茂の代わりに原稿を届けに行った時、フミエは夫が今まで外でどんな屈辱を
受けてきたかを知り、人知れず涙を流した。今、晴れの舞台を前にして、茂がいつになく
神経質になっているのかと思うと、フミエはいたましくてたまらない気持ちになった。
「はぁ・・・。」
「・・・ん?なんだ、お前まだ起きとったのか?」
頭の後ろに腕をかい、天井の一点を見据えて難しい顔をしていた茂が、フミエのため息に
気づいてこちらを向いた。
「・・・なんか、興奮してしもうて、眠れんのです。」
「だら。お前が賞をもらうわけでもなかろうに。」
そう言いながらも、茂の難しい顔はゆるみ、破顔していた。
「だって・・・明日、ちゃんとネクタイ結べるかなあ・・・とか思うて。」
「そげなもん、ちゃちゃっと結んどいたらええんだ。」
「婚礼の前の晩に、兄が教えてくれたんですけど、お父ちゃん、ちぃっともスーツなんか
 着ることなかったけん、忘れてしもうたかもしれん。」
・・・これは嘘だった。フミエは受賞が決まってから、数え切れないほど何度も、ハンガー
を相手にネクタイを締める練習を重ねてきている。
「あげな堅苦しいもん、できれば着とうないわ。」
「いけんいけん。明日は頭の先から足の先までビシィッと、ええ男になってもらわんと。」
「何を言っとる。七五三じゃないんだけん、あんまりいじくりまわさんでくれよ。」
爪きり、ひげそり・・・身体の手入れをされることが何より嫌いな茂は、明日フミエに
どんな拷問を受けるのかと思うだけで鳥肌が立った。

29 :
「俺はそもそも、卒業式だの紀元節だの、堅苦しい式は大嫌いなんだ。子供の頃は、
 式典の時に奇想天外な屁でみんなを楽しませ、一躍英雄になるという楽しみがあったが、
 今度はそうもいかん。それに・・・。」
茂はちょっと暗い顔をした。今夜の茂はなんだか饒舌だ。こんな時は、普段語らない
心情をぽろっと洩らしてくれる・・・フミエはただじっと聞いていた。
「俺は、誉められるいうことに慣れとらん。学校でも軍隊でも、罵詈雑言を浴びせられ、
 貸本漫画家になってからも、出版社からは疫病神あつかいを受けてきたけん・・・。
 それが突然、高い所に引っ張り出されて、阿諛追従を奉られるのは、どうにも
 こそばゆくて、我慢できそうにないわ。」
やはり、明日晴れがましい場所に出ることに戸惑っているのか・・・、フミエがそう思って
いると、茂はさらに悲観的なことを言い出した。
「なあ・・・俺、ちょっこし考えたんだが・・・。今度の賞って、誰が選んだんだろうな?」
「・・・雄玄社のえらい人じゃないですか?」
「雄玄社のえらい人・・・漫画部門でえらい人ゆうたら、ランド編集長の豊川さんだろ?」
「まあ、そげですね・・・。他には社長さんとか・・・。」
「ちょっこし、おかしいと思ってな。鬼太郎の読みきりはランドの人気投票ではいつも
 ビリッケツだったし・・・連載もまだ始まったばかりだ。」
「賞をいただいたのは『テレビくん』でしょ?」
「『テレビくん』は、一回こっきりの読みきりだろ?実績もないのに、いきなりこげな
 大きな賞をもらってもええもんかな?」
「『俺がこげな賞をもらうのは、当然だがな。』と言うとられたじゃありませんか。」
「俺は、自分の描いたもんには絶対の自信がある。・・・だが、今度の賞はちっと早すぎる
 気がするんだ。」
せっかく大手の雑誌で読みきりが載るようになった鬼太郎だが、読者の人気投票で
連戦連敗をかさね、「打ち切り」の憂き目を見そうだったのはつい数ヶ月前のこと。
「同じことばかりやっていては少年アワーには勝てない!」
編集部の反対を押し切り、豊川は鬼太郎の連載を強硬に開始した。テコ入れの意味で
茂にお手盛りの賞を与え、箔をつけたかったのではないか・・・。
 のんびりしているようで、茂の現実を見抜く眼はするどい。茂が今度の受賞のウラを
そう分析しているらしいことは、業界の事情にうといフミエにもわかった。 

30 :
「・・・くれる言うもんは、もらっといたらええじゃないですか?」
いつもは謙虚でおとなしいフミエの意外な言葉に、茂はギョッとして思わず顔を見た。
「世の中には、権威によわい人も多いですけん、賞をもらった作家の作品と思えば、
 今まで見過ごしとった人も、読んでくれるかもわからん。」
茂の風刺漫画を地でいくような現実的で鋭い洞察に、茂は内心舌を巻いた。
「それに・・・あなたの漫画をええと言い続けてくださっとる方が、少なくとも
 三人おるでしょ?」
「うむ・・・。戌井さんに深沢さん・・・それに豊川さんもだ。」
「戌井さんの漫画にかける情熱は誰にも負けんし、深沢さんは新しい、いい漫画を
 発見して世に出したいと努力しとられる・・・。豊川さんも、ライバル誌を追い抜くため
 には、斬新で面白い漫画をいつも探しとると言うとられました・・・。」
「三人とも、漫画の見巧者だな。」
「みごうしゃ・・・って何ですか?」
「芝居なんかを見慣れとって、その良し悪しがわかる人のことだ。見るのが巧い人、
 言うことだな。」
「その三人が、あなたの漫画を認めとるんですけん・・・。」
「・・・ああ。俺がうじうじしたことを言うとったら、三人に失礼だな。」
三人に初めて会ったときの事を、茂は忘れていなかった。富田書房でふと目にした
茂の原稿に魅かれ、全作品を読破して、興奮のあまり自宅まで押しかけてきた戌井。
原稿を売り込みに来た茂を「待っていたよ。」と歓迎し、すぐに仕事をくれた深沢。
茂の才能に惚れこみ、一度断られたにもかかわらず、周囲の反対を説き伏せて、再度
依頼に来てくれた豊川・・・。三人とも、得がたい茂の理解者であり、恩人だった。     
 けれど・・・。いちばん近くで、いちばん茂を理解し、応援していてくれる人間がいる
ことを、茂は忘れていなかった。今も、思い出すたび心が熱くなるあの告白・・・。
「おまえ、いつだったか、親父さんに食ってかかったことがあったな。俺のことを
 『うちの人は本物の漫画家ですけん!』言うて。」
「・・・いやだ、そのことは忘れてくださいと言うたじゃないですか。」
「いやあ、忘れられんな。あげに怖い顔したお母ちゃん見るのは初めてだったけんな。」
「もぉー、ひとが真面目な話しとるのに・・・。」
からかわれて、フミエはほおをふくらませた。

31 :
(忘れてなんぞ、やるもんか・・・。)
あれは結婚してから1年も経たない、秋の北風に枯葉の舞うさむざむしい日のこと。
貸本漫画屋のサイン会で、景品で人を集め、茂の漫画に人気があるように見せかけた、
その根性が気に入らんと、岳父に大声でなじられた。ひと言も言い訳をしない茂に寄り添い、
その一喝に家中がふるえあがるほどの父親に、フミエは必で立ち向かっていった。
『うちの人は小細工なんかせんですよ。私はよう知っとります。この人が精魂こめて
 描いとるとこ、私が一番近くで見とるけん。・・・うちの人は、本物の漫画家ですけん!』
フミエが自分に寄せる尊敬と信頼が、これほどのものとは、茂は正直感動してしまった。
自分は好きで漫画を描いているのだし、そのおかげでフミエには大変な苦労をかけている。
フミエの世代の女が、夫をたて夫に従うことは珍しいことではないが、フミエの場合は
それだけではなさそうだ。それは、つまり・・・、
(俺に、惚れとるけんだ!!)
茂の心に、失いかけていた自信がむくむくと湧きあがって来た。一人の女に、全身全霊を
かけて愛されるということは、男にこれほどの自信を与えるものか・・・。          
「ねぇ、お父ちゃん・・・さむい・・・。」
フミエが、掛け布団が重なっている中を擦り寄って来て、茂の胸に顔をうずめた。
茂の足に足をからめ、温めるようにすりすりとこする。だが、寒いと言いながら、
その足はちっとも冷えていなかった。
(ぷっ・・・誘っとるんか、こいつ・・・。)
二人が肌を合わせる時は、ほとんどと言っていいほど茂の求めから始まることが多かった。
フミエから誘うとは珍しいこともあるものだが、慣れない事はしない方がいいもので、
足をすりすりする以上のことは出来ず、困っているらしいフミエを、茂はほほえましく
思った。
(もしかして・・・俺を慰めてくれようとしとるのか?)
それなら、慰めてもらうとするか・・・。据え膳食わぬはなんとやらだ。だが、茂はわざと
意地悪くフミエに聞いた。
「おい・・・明日は大事な日なんじゃないのか?」
「だって・・・眠れんのですもん。」
「ふうん・・・疲れさせてほしいのか?」
「もぉ・・・。」
笑いながら茂が唇をかさねてくる。もう数え切れないほどの夜をともにして来た二人
だけれど、はじまりの口づけは、フミエをいつもドキドキさせる。 

32 :
「んっ・・・ふぅ・・・ぅうん・・・。」
伸びかけたひげにゾリッとあごをこすられ、ぞくりとした戦慄が背にはしる。これだけで
身体の芯がとろけ、濡れてくる自分は、どれだけこの男のことが好きなのかとあきれる。
(明日の朝、ひげ、剃らんといけんな・・・。)
頭のすみに浮かんだそんな考えも、肌をまさぐる茂の手にかき消されていく。
「はぁ・・・はぁ・・・ぁ・・・。」
温かい床の中で、激しく口づけあいながらお互いの帯を解いた。上になったフミエの
乳房を、茂が下からむさぼると、フミエはいとおしくてたまらないと言うように、茂の
頭をかき抱き、四肢をつらぬく快感に耐えた。
 茂の手が下着にかかると、フミエは腰を揺すってずり落とす手助けをした。臀の方から
挿し込まれた指が谷間を探り、太腿までを濡らすしたたりをからめて前後にさすると、
フミエはこらえきれないあえぎを洩らして茂に身体をこすりつけた。
 臀のまるみを撫でながら手をすべらせ、茂がフミエの左脚を持ち上げた。濡れた狭間に
漲りきった雄芯の筒先があたる。フミエは思わず我が身をくねらせてそれを呑み込もうと
した。
「・・・今日のお母ちゃんは、激しいな・・・。」
茂が少し笑って、腰を引き寄せてぐっと突き入れた。
「や・・・ぁぁっ・・・。」
数え切れないほど何度も受け入れた雄根だけれど、貫かれる瞬間はいつも初めてのように
新鮮だった。やがて訪れる充足・・・苦悶・・・狂乱・・・恍惚・・・。どんなに馴染んでも、
狎れることのない愛の責め苦がフミエを待っていた。
「・・・あっつ・・・。」
フミエは掛け布団をはぎ、肩に引っかかっていたゆかたを脱ぎ捨てた。
「なんだ・・・寒いゆうとったくせに。」
今日はなんだかフミエに押され気味の茂は、フミエの大胆さに内心驚きながらも、
いつもの様にフミエをからかうことは忘れなかった。
 そんな茂の唇を上からふさぎながら、フミエは身体をくねらせた。
「んむ・・・ん・・・んんっ・・・。」
自分で自分の動きに感じてしまったフミエに夢中で唇を吸われ、茂はうめいた。
「ぷはーっ・・・。お母ちゃん、もっと優しうたのむわ・・・。」
「だ・・・って・・・ぁ・・・ん・・・ぁ・・・。」
フミエはもう無我夢中で腰をうごめかせ、茂の肩につかまってのどを反らせた。大きく
開けた口は呼吸を求めて激しくあえぎ、しきりに悦びをうったえた。
「だめ・・・しげ・・・さ・・・ぁっ・・・あっ・・・も・・・いく・・・。」
フミエが反らせていた首をがくっと前に倒すと、茂の顔に長い髪がバサッとかかった。
急に目の前が暗くなってもがく茂には気づかず、肩にぎゅっと抱きついて、フミエは
何かに耐えるように手に力を込めた。
「あぁ・・・ぁああ―――――!」
肩を締めつけられ、雄芯を輪状にしめあげられ、茂は必で耐えていた。

33 :
・・・次第に締めつける力がゆるみ、フミエの身体が茂の上でやわらかくほぐれていくのを
感じた。イった後のフミエの身体は、溶けてしまいそうなほどやわらかくはかなげで、
心なしか軽くなったように感じる。折り曲げたままの脚をそっと伸ばしてやり、
ゆっくりとあおむけにさせる。
「ふ・・・ぁ・・・ゃっ・・・ん。」
つながったまま動かされ、達したばかりの内部がうごめく。
「今日は、どげした?・・・まあ、俺は快かったけど、無理するなよ・・・。」
いろいろ痛い目に遭わされたけれど、フミエのつたない激しさがいとおしくて、今度は
ゆっくりとフミエのなかを味わった。
「ぁ・・・しげぇ・・・さん・・・ぁ・・・ん・・・。」
ぐったりと弛緩していたフミエの手足が、再び形を取り戻して茂にからみついてくる。
甘く束縛されながら、茂はだんだんと律動を速めていった。
「ぁ・・・ぁぁん・・・んっ・・・あな・・・た・・・。」
茂の首に腕を巻きつけ、脚に脚をからめて、フミエは全身で茂を感じようとしていた。
ぶら下がられる重さも気にならぬほど、茂も溺れていた。目の前で自分を呼び続ける
唇を奪うと、フミエは甘美な断末魔のさけびを茂にだけ聞かせて果てた。
「はぁ・・・。お母ちゃんに何もかも吸いとられてしもうた・・・。」
フミエの中に注ぎ込んだ後、茂は大げさに大の字に寝そべりながら、またしても
フミエをからかった。
「腰が立たんようになって、明日は式に行けんかもしれん。」
(もぉ・・・あげなことばっかり言うんだけん・・・。)
フミエはまだ身づくろいも出来ず、茂が離れた後の身体が二人の汗に濡れて冷えていく
のを感じながらぐったりしていた。
「すー・・・すー・・・。」
気づくと、茂は精根尽きたという感じで早くも寝息をたてている。
「お父ちゃんったら・・・。」
フミエは起き上がって、茂になんとかゆかたを着せかけ、掛け布団をかけてやった。
寝顔を見ているうちにたまらないようになって、その唇にそっと口づけする。
「・・・ぐっすり眠ってごしない・・・。」
フミエもゆかたを着なおして布団に入り、茂に寄り添った。
(あ・・・あげなところに、ひげ・・・。)
あごの下に、一本長めのひげの剃りのこしがあった。この部分は、片手で皮膚を伸ばし
ながら剃らないと、なかなかきれいに剃れないのだ。
(明日、ここも忘れんように剃らんと・・・。)
そんなことを考えながら、フミエも愛し合った後の幸せな眠りに落ちていった。 

34 :
 翌朝。
「や・・・るならひとおもいにってくれよ。」
「もぉ〜、何ゆうとるの・・・。」
洗面台の前でのひげそりに、案の定茂はいやがって大騒ぎをしている。つめきりは
おとなしくさせてくれたのだが、いい加減忍耐も限界にきたらしい。
「・・・ここをちゃんと伸ばして・・・はぁ、やっと剃れた。」
拷問から解放された茂は、さっさと逃げ出そうとしたが、
「お父ちゃん!まだ整髪が終わっとりませんよ。」
フミエにつかまって、今度は髪の毛をポマードをべったりと固められる。
「うわー、好かん・・・やめてくれ・・・。」
茂はせっかく塗ったポマードをタオルでごしごしこすって、髪をぼさぼさにしてしまう。
「もぉ〜、今日くらいはおとなしく言うことを聞いて下さい!」
どうにかこうにか、髪をまとめると、今度は着付けである。
「あ〜、もう!それでええ!何度やり直したら気が済むんだ?!」
ネクタイ結びの仕上がりが気に入らず、何度もやり直したがるフミエに、できるかぎり
我慢していた茂がとうとう怒り出した。
「・・・なんかしっくりこんけど・・・まあ、こんなもんか・・・。」
フミエは納得できない顔をしながらも、ズボンを履かせ、背広を着せかけた。
「・・・ほんなら、行ってくるけん。」
「いってらっしゃい。」
フミエは玄関先で、スーツ姿の茂をほれぼれと眺めた。スーツを着ている茂など、
お見合いの時以来、しかも今日は新調したての一張羅である。
「・・・なんだ?」
フミエにうっとりと見つめられ、茂が居心地悪そうに聞いた。
「・・・ええ男だなあ、と思って・・・。」
「お・・・おう。」
臆面もなく言い放つフミエに、茂はちょっと面食らって、照れ臭そうに応えた。
「いってらっしゃい・・・。」
それからは一度も振り返らずさっさと歩いていく茂の後ろ姿が曲がり角に消えるまで、
フミエはいつまでも見送っていた。茂がこの曲がり角を曲がっていくのを、これまで
何度見送ったことだろう。だが、今日はその後ろ姿に、なんとなく遠いものを感じて
フミエは一瞬心が翳った。おめでたい日に、こんなことを考える自分がなさけない。
「さあ・・・。お祝いの準備せんとね!」
まずは家中をそうじして、それから買い物に行って・・・フミエは気をとりなおして、
いそいそと働き始めた。 

35 :
「帰ったぞー。」
フミエがあきらめて皿や箸などを片付けようとした時、玄関がガラリと開いて、茂が
帰ってきた。
「あー、腹へったなあ。・・・おっ、うまそうだ。」
茂はちゃぶ台の上を見て相好をくずした。脱いだ背広を受け取ってハンガーにかけると、
酒やたばこの入り混じった夜の巷のにおいがした。
「授賞式でごちそう出んかったんですか?」
「ああ・・・パーティー言うても、ようけ人が寄ってきてあーだこーだ聞くもんだけん、
 なんも食えんだった。その後バーを連れまわされたが、あげな所はつまらんなー、
 食う物がない。」
茂はネクタイをゆるめ、さっそく箸をとった。
「おっ、太ったギョウザか。相変わらず緑色だなあ・・・うん、うまい!」
茂はまったくいつもどおりに、ギョウザを次々たいらげ、ちらしずしを何回もおかわり
した。フミエは嬉しそうに、気持ちのいい食べっぷりに見とれた。
「これ食ったら仕事するわ・・・しめきりが近いからな。」
フミエはいそいそとお茶をいれ、しょうゆをつぎたした。
「戌井さんや深沢さんも来てくれたぞ。豊川さんがふたりを歓待してくれてなあ・・・。」
受賞者からひと言と言われ、緊張して挨拶を始めた時、壇上からこの三人が並んでいる
のが見えた瞬間、茂の胸に強い想いが去来した。式典が終わった後、彼らと固い握手を
かわし、礼を言えたことがうれしかった。
「そう言や、浦木も来とったな・・・。呼ばれもせんのに、勝手にもぐりこんだんだろう。」
「まあ・・・。」
浦木らしい・・・。もちろん、出版業界の片隅にかじりついている浦木のこと、何かうまい
話にありつくためだろうけれど、茂を祝う気持ちも一厘くらいはあるかもしれない。
 
 食べ終わると、茂は休む間もなく仕事部屋に入った。フミエが皿を洗っていると、
カリカリとぺンをはしらせる音が聞こえてきた。ちゃぶ台の上には、今日もらってきた
賞状と楯、それに賞金の袋が置いてある。
 フスマの向こうに、いつに変わらぬ茂の背中が見えるようだった。あの夏の日の夕暮れ、
フミエに言葉を失わせた、一心不乱に仕事に取り組む男の背中・・・。
「お父ちゃん、おめでとう・・・。」
皿を洗う手を止め、その背中に向かってお祝いの言葉を言うと、フミエの目から、
これまで一度も流すことのなかった涙が、初めてあふれ出した。

36 :
>>26
GJ!
お誘いフミちゃんかわえぇぇぇぇ!
5スレ目も絶好調ですね!

37 :
>>26
GJ!!積極的布美ちゃんをからかうゲゲは、なんだか攻められてるのを照れ隠すみたいでカワユスw
普段Sだから、受け身は慣れてないんだな。

38 :
>>16を読んで慌ててパソコンから割れせん見てきた
綾ちゃんの実家にはちゃんとピアノが置いてあるんだなw

39 :
>>26
ふみちゃんの誘いきれてない誘いに悶えた
ひげそりに大騒ぎするしげさんかわいい…!
いちせん公式跡地とわれせん、なんとか生き残って欲しいのう…
ネクストBSとか書いてあるからBS宣伝用に全体は残したりするかな…

40 :
ゲゲさんにケモ耳がはえるとしたら猫だろうか
兎も捨て難い
ふみちゃんは犬だって信じてる

41 :
>>40
新しいな
狸耳とかどうだろう

42 :
>>40
随分大きな猫や犬だな
萌えるけどw

43 :
話ぶった切ってごめん。われせんで最後のほう祐ちゃんが
「ちゃんと○○して貯金しないとね」って言ってるんだが、○○って何言ってるかわかる?

44 :
聞こえにくいけど ちゃんと「売って」だと思う

45 :
ちゃんとせんべい売ってってことかな?ありがと、そのつもりで聞いてみる。

46 :
>>45
今まで自分達で食べるなりしてた割れ煎餅も安価で商品にして売って〜って事じゃないかな
最初に綾子さんが綾父に身内用だけどって言ってるし
チラシ
再放送してる某ドラマでゆうちゃんの中の人の父親役が平泉氏でなんかワラタ

47 :
ちょっと拗ねちゃう風味の「祐ちゃんプチ嫉妬編」とか
すげー読みたいw

48 :
>>47
嫉妬→仲直りの後はさぞかし濃厚なんだろうな

49 :
勝手に拗ねて勝手に解決して勝手に濃厚に攻めるゆうちゃんを妄想したら萌えた
綾子さんに今日どうしたの?って聞かれてもニコニコしながらなんでもないとか言ってそう
あと、ゆうちゃんは犬耳で綾子さんは猫耳だと思う

50 :
いちせんの場合は猫耳とかメイド服とかベビードールとか時代的に厳しくないのが良いな

51 :
ゲゲふみは時代もアレだけどとにかく金銭的に厳しいからなぁ
でも今の俗っぽく形骸化されてしまったメイドではない正統派が楽しめそうな気がする
あと大人のおもちゃを是非しげさんに使って欲しいんだが…

52 :
はりこですね、わかります

53 :
猫耳とかはゲゲフミだとマジで生えかねないと思うw
呼び方がどう祐一くんからゆうちゃんに変わったか気になってせんべいが食べれない

54 :
ふと『嫁なら読め』がものすごく見たくなって最近見れてなかったDVDを見た
ほんともうなんでこの夫婦こんなにかわいいんだろう…

55 :
花火大会のシーズンだが、祐綾の花火大会デートってどんなだろう・・・?

56 :
>>55
ゆうちゃん下町っこだから花火大会近いとこに多そう
結婚する前に二人で行って綾子さんの浴衣にかき氷をこぼしちゃって
シミの応急処置にゆうちゃん家に寄って綾子さん彼シャツ状態まで妄想した

57 :
昔の朝ドラの風のハルカでは、
キスシーンが合計4回もありました
1回はたぶんフリだけだと思うけど
ゲゲゲでもキスシーンあってほしかった
けど、キスとか直接的な表現がないからこそ、
自分はエロの妄想が働くのかもしれませんw

58 :
>>56
そこからそこから〜〜〜!!
>>57
これはもう語に近いのか。でもあえて言わせてくれ。「禿しく同意!」

59 :
>>57
あったなあ
あすか、純情でもけっこうなものでした
純情ではブラウスのボタンに指かけてたような
ゲゲゲなんて手をつなぐ、あたまポン、肩ポン、肩もみ、熱はかり、
お茶碗手添え、ネクタイ結び、腕つかみ・・・こんなもんだしな

60 :
>>59
その中での自分の最上級萌えは「あんたは手先が器用だなあ」だ!

61 :
自分は「持っとれよ」かなぁ
頭なでなでも捨て難い

62 :
>>56
ニヤニヤしながら読んだw
浴衣から彼シャツ姿で体操着プレイみたいなもんか

63 :
お迎えゲゲ@アキ姉ちゃん宅 が好きだー!
これが初めての家出になるんだな、そういえば

64 :
>>63
突然ぶった切って家出ばなしとはこれいかに?
あそこからちょっこし来たんですねw
ここは基本エロですよ

65 :
ごめん、なんか誤解されてるみたいだけど
単に自分の萌えポイントを挙げただけで
(ちょっと前の流れ)
あそこがどこなのかもサパーリです(´д`)

66 :
>>65
大丈夫。普通に萌えたシーンをあげてるんだなって分かったよ

67 :
>>64
あそこってどこの事を指してるんだか・・・

68 :
>>56
下町だし商店街っぽいし、きっと花火大会とか夏祭りとか商店街主催で
結婚する前、つまり祐父が倒れる前でもきっと実行委員の打ち上げとかで両親共に家に居なくて
祐ちゃんちで彼シャツであんなことやこんなことをしてもきっと大丈夫と思った自分は妄想しすぎ

69 :
生暖かい湿気た風の吹く夜。
にゃ〜にゃ〜と、先ほどから甘ったるく鳴く猫の声が止まない。
雄が雌に求愛している声なのか、雌が雄に愛を告げている声なのか。
生きとし生けるもの、異性を求める本能には逆らえない、ということか。
「暖かくなると発情するのが犬猫だが」
長い黒髪を櫛梳く布美枝の背後で茂が呟く。
「人間は年がら年中発情する困った生きモンだ」
そう言うなり、後ろから茂の腕が布美枝の腰に廻り、引き寄せられて胡坐の上へ座らされた。
「きゃっ」
困った困ったと言いながら、全くうらはらに布美枝のうなじへ唇を寄せる。
「…ん」
身を捩って小さく喘ぐ吐息。抱き寄せた腕は、布美枝の抵抗などものともしない。
顎を使って肌蹴させた寝間着の隙間から、肩へ舌が滑る。
「…ふっ…、ゃ…」
茂の愛撫はいとも簡単に布美枝の内側へ火を点ける。
求められる悦び、脱ぎ捨てる羞恥心、それらの感情に少し躊躇する理性。
右腕だけの力強さで、圧倒される我が身の頼りなさが情けなくも可笑しく、
唇が触れるだけの摩擦で、字のごとく骨が抜かれたようにふにゃりとくずおれる。
うっとりとこのまま身を預けようとした、そのとき。
「…っくしゅ!」
背後で茂が大きなくしゃみをした。
「だ、大丈夫ですか?」
「ん、髪で鼻をくすぐられた」
「あ…すみません」
ぐしぐしと鼻をこすってから、くんくんと布美枝の髪の香りを嗅ぐ。
「…あんた、こげな長い髪うっとおしくないのか」
「え…いえ。昔からずっと…短くしたことないですけん。慣れとります」
「ふうん」
ちらりと後ろを見やると、唇を尖らせてしげしげと布美枝の後ろ髪を眺める夫の顔があった。
「…見苦しい…ですか?短い方がええ、とか」
「いや、手入れが色々面倒そうだけん。女というものは大変だな」
茂らしい答えだと思った。くすっと笑って、布美枝は茂の正面に向き直って座る。
「…長い方が…好き、です、か?」
窺い目線で、下から見上げた。
真意を測りかねた茂が一瞬きょとんとして、しかしすぐに照れたように顔を背けた。
「どっちでもええわ」
愛想のない言い方はいつものことだけれど、やはりがっかりする。
幼い頃から背の高かった布美枝は、少しでも女らしさを前面に出すために、
髪だけはずっと伸ばし続けていたのだ。

70 :
「ぼくねんじん…」
口の中だけで呟いた。茂は「ん?」と聞き返すが、今度は布美枝がぷいと横を向いた。
事情の判っていない朴念仁は、再び布美枝の長い髪を観察するように見つめ、
何を思ったか、すい、と後ろ髪を持ち上げて、確認するようにうなじのあたりを眺め始めた。
「な、何ですか?」
再び始まるのかと思った愛撫が、どうやらそうではないことに布美枝は戸惑って、
肩をすくめて茂の右腕を押し戻した。
「いやぁ、口が隠れておらんかなと思って」
いたずら小僧のような、にんまりした笑顔で茂はまだ布美枝の後頭部を気にしている。
「口?」
「二口女というのを知っとるか?」
「ふたくちおんな?」
「髪に隠して、頭の後ろにもう一つ口がある女の妖怪だ。普段は大人しい女で、
 全く食いもんを口にせんが、夜になるとその後ろの口でバリバリムシャムシャ…」
身振り手振りで話す茂の怪談に、思わず身の毛がよだつ布美枝だったが、
ふと考えて、自分が「一反木綿」以来の妖怪に、再び例えられていることに気づき、むっとした。
「もうっ!!」
どしん、と茂の胸を突き飛ばし、身体ごとそっぽを向く。
「なしてあたしは妖怪ばっかりなんですか!」
「あははは、冗談だ。いや、もし本物なら先に言うてくれ」
「そげなわけないでしょ!」
けらけらとまだ笑っている。口を窄めて布美枝は布団へ潜り込んだ。
結局男には判らないのだろう。女が髪を伸ばす理由など、着飾って褒めてもらいたい見栄が大半だ。
それを妖怪にしか例えられない、この変人のセンスには未だに慣れなかった。
「おい」
布美枝を覗う声にも、まだ笑いが残っている。
答える代わりに、ぎゅっと布団の中で身体を丸めた。
けれど、茂はおかまいなしに、するりと褥に入り込んでくる。こういうところが憎らしい。
背中から抱きしめられる。後ろ髪を避け、首筋に舌が這う。
悔しくも感じてしまう素直な身体が、茂以上に恨めしい。
「…後ろの口で噛みつきますよ…」
ぷっと吹き出したのが判った。「恐ろしい」耳元で囁かれる。
「けどな…」
さらさらと、背中に伸びる髪を撫でられながら、時折それに唇が触れる。
「女の髪は、昔から古典やら文学やらでちょっこし謎めいて描かれることが多いけんな」
「え?」
「二口女もそうだが、幽霊や妖怪の女たちはみーんな長い髪をしとる」
「…ああ…そげ、ですね」
「だけん、俺は昔から…長い髪の女の怪しげな…」
そこまで言って、茂は布美枝に覆いかぶさった。
重ねられるまま、唇を受け止め、舌の侵入を許す。
そしてその舌に絡められるまま、それに応じ、甘い吐息をこぼす。
どんどん注入される淫らな媚薬に、脳も身体も蕩けはじめる。

71 :
ようやく離れた唇は、何も語らないままゆっくりと布美枝の胸の頂へと降りていく。
さっきは何を言おうとしたのだろう。じれったく身を捩る。
「…な、た?」
胸元に潜る茂の顔を、肩でちょんちょんと合図して見下ろす。
肩に傾れる髪の先に口づけてから、茂は布美枝の頬へ戻ってきた。
「怪しげな…何?」
ふっと微笑って、耳を舐られ、くすぐったさに目を閉じる。
「妖艶…という言葉を知っとるか。妖しい、艶やかさだ」
「ん…」
「艶やかというのはまあ、色気のようなもんだな」
「あ…!」
素知らぬふりで太腿の間に挿し入った右手に、下着の上から粒を探られた。
喋りながらも、舌は布美枝の肩を這い、右手は下着の中で蠢く。
乳房の先端を捕えられ、舌の上で弄ばれる。硬くなっていく蕾を、舌先で弾かれる。
「あっ…」
理性的に茂の言葉を聴いていられるのは、もうこのあたりまでだと思った。
「妖怪の女は艶やかさがある。そげ思わんか」
口の片端を上げて、愉快そうに布美枝を覗う。
「わ…わかりま、せ…」
「あんたは鈍いなあ」
呆れたという顔で小さなため息まで吐かれた。けれど下半身への愛撫はそのままだった。
「鈍い…って…」
顔を赤らめて、布美枝は口を尖らせた。眉はハの字になっている。
「…だーっ、もう要するに!俺は昔から長い髪の女に色気を感じる傾向にあるということだ」
浮き上がった布美枝の細い首の筋へ、舌を滑らせながら唇で吸い付く。
それはどこか、照れ隠しのための茂の逃げの一手でもあるかのようだった。
わざと乱暴気味に下着を剥ぎ取り、指で引っ掛けるようにして中を弄られる。
ちょうどそこは、最も敏感な性感帯だったようで、布美枝の細い身体がびくんと撥ねた。
「っふぁっ…!」
「ああ、そげだ」
愉しげに目を細め、快感に震える布美枝の中を探る。
「あんたにも口がもうひとつあったな」
「え…?ぇ…?」
にやりと笑って、茂は布美枝の視界から消えた。

72 :
「あっ…!」
茂曰く、布美枝のもうひとつの「口」へ、激しい口づけが落とされる。
「や、やだ…!い…ぁ…ぁ」
繁みの中の、そのまた花冠に埋もれているピンク色の芯を、尖った舌に刺激される。
するとそれはいとも簡単に布美枝を決壊させる威力で以て、泉の水を溢れさせた。
潤沢な淫液を湛えたその場所へ、指が、舌が、容赦なく出入りを繰り返す。
濡れた音の響きが呼び起こす、もっと淫らな内側の欲。
「んっ…はぁっ…!や、あ、あ、…ぃ、ゃあ…」
気づかぬうちに引き出される嬌声は、嫌なわけじゃないのに勝手に嘘をつく。
けれど茂は知っている。布美枝の「嫌」は、独りだけ頂点へ持ち上げられるのが「嫌」なだけだと。
上半身を起こした夫を、愛しく抱きしめる。
硬く主張する雄の陽根を、潤いの中へ滑り込まされ、あまりの快感に声も出ず仰け反った。
「…っ…」
眉根を寄せて一瞬身体を強張らせた茂が、二度三度、軽い口づけを落とす。
「ええ、な…あんたの、下の、く、ち…」
不敵な笑みを浮かべて、冗談めいたことを言う。
「噛み千切らんでくれよ」
思わず布美枝は、両手で茂の口を覆った。
「もうっ…!」
こんなときにさえ情緒のないことを口にする茂を、じとっと睨みあげた。
ゆっくりと律動を刻まれる柔らかな女体が、為されるがままに揺れていく。
黒髪は白い敷き布に放射状に広がって、揺さぶられる身体に付いていくだけだ。
「んっ…!あ、あ、んっ……ん、ぁ」
湿った熱の喘ぎ声が、茂の抽出に合わせて洩れていく。
半開きの布美枝の唇に、茂の節ばった指が二本差し入れられた。
「んんふっ!…ぁ、はっ、ん、む…!」
夢中で舐った。呼吸など忘れそうなほどに。
しばらくしてその指を抜き取ると、茂は布美枝に両腿を抱えるよう指示した。
されるままに従うと、自分の唾液を塗りたくった指で、花の芯を摘み捏ねられ始めた。
「ぁつ…っ!…、っ!ん!…あああぁ!」
ばさばさと、乱れる髪にも気を使えず、首を振って身を捩る。
一層強く打ちつけられる腰の動きに、ひくひくと雌の場所が痙攣する。
「き…っ、つ…」
「はあっ、ああ、…っ、あなたぁ…」
悶えるうちに茂を呼べば、必ず口づけで応えてくれた。
遠のいていく意識の中に、最高の悦びの瞬間が近づく。
茂が顔をしかめながら、再び布美枝の口へ指を突っ込んだ。
「んんっ!」
自分の愛液の味を初めて知った布美枝は、やがて涙のうちに自らの全てを解放した。
同時に爆ぜる茂の熱を、しっかりと呑み込みながら。

73 :
― ― ―
「霊能力者の髪には神通力が宿っとると言われるけんな。髪は昔から神秘的なもんなんだ」
烈しさのあとの静寂に、ふたりはゆったりと身を沈めていた。
布美枝の髪を手櫛で梳きながら、茂が静かに話してくれる。
「平安の女は顔より髪の美しさで美人かどうか判断されとったくらいだしな」
今夜はやたら饒舌な茂が、なんだか少し可笑しくて、布美枝は茂の胸の中でふふっと笑った。
「ん?」
「あ、いえ…。今日はやけに…語るな、と思って」
「だら。そげならもう黙るわ」
「でも…」
思い出して布美枝は、少し頬を染めながらまた、ふふふと笑った。
「…なんだ」
「…貴方の女性の好みって、幽霊や妖怪みたいな人なのかな、と思って」
「うむ?んー…まあ、小さい頃からそういう絵ばっかり見て育っとるからな」
「あたしは…一反木綿で、二口女、なんですよね?」
「うん?」
「だけん、少しは、貴方の好みなのかなあ、と思って」
「…」
「髪も長いし?」
「あー、あー、もう、寝るぞ!」
あからさまに照れた顔で、茂は布美枝を胸の中へ埋め込み、布団を被りなおした。
可笑しさに、笑いを堪えきれない布美枝は、小刻みに身体を震わせた。
ごほんと大きく咳払いをして、またひとつぐっと抱きしめられる。
否定をしない肯定が、きっと、不器用な夫の最大限の言葉なのだろう。
布美枝は微笑んで目を閉じた。
するすると梳いてくれる、彼の無骨な右手から伝わる、愛しさの欠片を感じ取りつつ…。
おわり

74 :
ジュモクです。
いい仕事を嗅ぎ付けたのであと3時間くらい起きてます

75 :
>>69
GJ!
ほんとお互いに想い合うエロくてかわいい夫婦だ
ゲゲさんとふみちゃんの髪について妄想してた自分には超タイムリーなネタでしたw
しかしここの書き手さん達の妖怪知識ぱねぇ

76 :
>>69
GJ!
フミちゃんの長い綺麗な髪はほんと、魅力的ですねぇ
事後いちゃいちゃのふたり可愛いわー。

77 :
>>69
GJ!!
しげさんがしげさんなりにふみちゃんの全てを大好きな感じがたまらんです

78 :
>>69
GJ!
二口女というキーワードがエロに拍車を掛けてて良いんですな〜w
事後イチャイチャもかわゆすぐる

79 :
ジュモクさん更新早すぎwいつもだんだん。
なにげに>>75の妄想ってなんだったんだと気になるな。

80 :
>>79
75ですが
ゲゲさんがチキンカレーのノリで勝手に質の良い石鹸を買って来て
何買っとるんですか!と怒られながらもふみちゃんの髪質の向上に悦に入ってたらいいなぁ…
というしょうもない妄想ですw
ふみちゃん勿体なくて使えんとか言いそうなので一緒にお風呂で強制的に使わせたりとかw

81 :
>>80
ええな、それ!何気に風呂プレイの展開だなw
前から興味があったんだ、ちょっこしやらせてみろ、とか言って髪洗ってたら
背中からオパーイ行って下に手がまわって、泡だらけで滑りもよくなってそのままいっちまえるな。

82 :
>>57-59
この前たまたま今の朝ドラの番宣見たが、短いダイジェストの中でゲゲゲでは有り得ない位ベタベタしてて、ビックリしたwゲゲふみは何故ああも抑えてたのかと・・・

83 :
>>82
モデルとなったご夫婦が健在だからでしょうね…。
いい雰囲気になっても、次の事件が起こったり珍客が乱入したり…。
しげーさんはすぐに仕事部屋にこもっちゃうし。
夜になったぁと思っても、次の場面でスズメは鳴くし桜は咲くしww。
そこを縫うようにして妄想するのがたのしいんですが・・・。
「ええ男だなあ。」は布団の中で言ったらベタすぎると思います。

84 :
イチャイチャしてほしくもあったけど、でもイチャイチャしまくってたら
おやおやあららでケンカするだけでも萌えられるネ申夫婦にはならなかったんだろうなとも思う…
あのケンカは中の人も言ってたけどほんと夫婦らしくて良かった

85 :
妄想補助のためにちょんまげのゲゲも見ています。夜の8時だとあれくらいはやってくれるんだなw
けどやっぱり、相手が布美ちゃんじゃないと…!

86 :
>>85
おなじくw
ゲゲゲで布団並べるシーンがなまま見たいちせんでのあのシーン
何が起こるか妙にドキドキしたことありました

87 :
ちょんまげゲゲさんはなんか怖くて見れないww
再放送してた平泉氏の息子役だったドラマはあまり妄想の役に立たなかった…
そして色々見てやっぱゲゲふみ最高!と思うのだった…w

88 :
「ふふ・・・。」
低い笑い声。茂とふたりだけの時間に聞かせるような・・・。
「・・・いや、ほんとですよ。」
「いやだ、豊川さん・・・お上手なんだから。」
 フスマの向こう側で肩を寄せ合っている二人は、何を話しているのだろう?
豊川に何かお世辞でも言われたのか、謙遜してみせるフミエの声は、必要以上に弾んで
いるように思える。
 散歩から帰ってきた茂は、仕事部屋のフスマの陰から聞こえる男女の話し声にふと
立ち止まり、妻の声にいつにない艶な華やぎを感じて、声をかけるのを躊躇していた。
「あ・・・先生、お留守中にお邪魔しております。」
気配に気づいた豊川が、いずまいをただして挨拶する。
「あら・・・あなた、おかえりなさい。」
一瞬遅れて気づいたフミエは、二人で見ていたらしい、何かカバーのかかった本を
パタンと閉じると、サッと自分の陰に隠した。
「散歩だけん、すぐ帰ってくると思うて、待っとっていただいたんですよ。」
フミエはさりげなく本を脇に隠しながら台所へ立って、お茶をいれ始めた。
(何を隠した・・・?)
フミエが自分に隠し事をするなんて・・・茂は面白くない気分でちゃぶ台の前に座った。
「先生。来月号の進み具合はいかがですか?今日は陣中見舞いがてら、構想をうかがいに
 参りました。」
豊川が持ってきたというドラ焼きが茶とともに食卓に出された。
「あ・・・いや、なかなか進まんで・・・。」
「いや、お気になさらないでください。私が勝手に押しかけたんですから。しめ切り
 まで、まだ時間もありますし。」
「それなら3日待ってください。3日後に来てくれれば、構想を仕上げておきますけん。」
「わかりました。それでは3日後に。」
仕事の話はそれで終わり、豊川はみやげのドラ焼きで茶を飲みながらフミエと楽しそうに
世間話をして、仕事の進展は何もなく帰って行った。

89 :
(・・・あいつ、何しに来たんだ?)
この家に電話をひいてからというもの、わざわざやって来る必要はそれほどなくなったと
いうのに、近ごろやけに豊川の訪問が多くなった気がする。
(まあ・・・奴も必なのかもしれん。)
豊川が編集部の反対を押し切って、大胆にも人気投票ダントツ最下位の『墓場鬼太郎』の
連載開始に踏み切ったのは、ふた月前のこと。
(奴が、俺の漫画を買ってくれとるのは間違いないが・・・。)
端整な容貌や慇懃な態度の内にも、不敵な魂が見え隠れする豊川を、この辺に住む
向こうキズのある猫に似ている、と茂が評したのは意外と言い得て妙だったかもしれない。
『少年ランド』を少年漫画雑誌ナンバーワンにする為ならどんな努力もいとわないらしい
彼の身体からは、いつも熱意が吹きつけてくるようだった。
(だが、亭主の留守にひとの女房とこそこそして・・・けしからんな。フミエもフミエだ、
 奴がくれたカステラの包み紙なんぞを後生大事にとっておいたりして・・・。)
だが、今さらそんなことを問いただすのも大人気ない気がする。茂はせっかくのドラ焼き
にも手をつける気にならず、難しい顔をして黙りこくっていた。
 次の日。またしても招かれざる客がやって来た。ついこの間、少年ランドの恐怖の
人気投票システムの情報をもたらしてフミエを動揺させ、作っていたおはぎをボテボテの
代物にさせた浦木である。フミエが出かけていて、玄関で呼んでも誰も出てこないので
勝手にずかずかあがりこみ、仕事部屋のフスマを無遠慮に開け放った。
「なんだ・・・おるんなら返事くらいせえ。無用心なうちだな。」
「お前また来たのか・・・今仕事中だけん、帰れ!」
「せっかくええことを教えてやろうと思ったのに・・・あのランドのなんとかいう編集者な
 ・・・今日、ここに来る予定か?」
「豊川さんか・・・?今日はそげな約束はないぞ。昨日来たばっかりだしな。」
「ふうん・・・。」
「なんだ・・・ニヤニヤして。豊川がどうかしたのか?」
「さっきここへ来る時に街で見かけたんだが・・・お前の女房と一緒だったぞ。肩を並べて、
 えらく親しそうだったなあ。」
「・・・お前、何が言いたい?」
「いや・・・あの奥さんもなかなかすみに置けんということだ。お前に似合いのさえない女
 だと思っとったが、お前の仕込がいいのか、近頃やけに色っぽくなったしな。」
「えげつないことを言うな!」
「漫画は打ち切り目前だし、女房は寝取られるしじゃ、お先真っ暗だな。」
「ひとの家に図々しく上がりこんでデタラメばっか言いおって。お前ほんとに帰れ!!」
茂は立ち上がって浦木のえり首をつかむと、玄関に引っ立てて行って三和土に放り投げた。

90 :
 その夜ふけ。3日で構想を、それも今度は人気投票で最下位を脱出できるようなものをと、
茂は机に向かい、必で頭を絞っていた。心の中は疑念でいっぱいだが、仕事にかこつけて
フミエと話をしなくて済むのを幸い、夕食もそこそこに部屋にこもったのだ。だが、仕事に
集中しようと思っていても、昼間浦木にささやかれた話と、それを裏づけるかのような
昨日のふたりの様子に、知らずしらず思考はそのことに戻っていってしまう。
(ばかな・・・フミエにかぎってそげなこと。だいたいあいつは豊川よりみっつよっつ
 年上のはずだ。)
豊川のような若きエリートが、年上の人妻に懸想するなどとは思えない。それに、
茂にとってフミエは最初から自分のもので、自分しか知らないおぼこ女で・・・他の男に心を
奪われるなど考えてみたこともなかった。だが・・・。
(もともとああいう奴の方が、フミエの好みのタイプなのかもしれんな・・・。)
父親は山っ気があるが手堅い家庭で、兄姉は学校の先生・・・豊川のようにかちっとスーツを
着こなした勤め人の妻になるのが、本来のフミエの理想だったのではないか。
 なんだか急に、フミエが本当に二階に寝ているのすら心もとなくなってきて、茂は足音を
しのばせて二階にあがった。
 一番奥の小さな布団に寝ている藍子の隣りで、フミエは何の変わったところもなく
すやすやと眠っていた。
『昨日隠した本は、何だ?』
『今日、豊川と会ったのに、なんで黙っとるんだ?』
聞きたいのはやまやまだが、嫉妬していると思われるの沽券にかかわる。身体に聞いてみる
と言うわけでもないけれど、フミエが自分のものであることを実感せずにはいられなく
なって、フミエのそばにかがみこんだ。
 おもむろに掛け布団をはぐと、ひやりとした秋の夜気にフミエがすこし身じろぐ。
無言で身体の上におおいかぶさると、唇を奪いながら見八ツ口に手を差し入れて胸乳を
まさぐった。
「ぅ・・・ふぅ・・・ん。」
フミエが目を閉じたまま、首に手を回してきた。深い眠りから引き起こすような強引な
求めにも、慣れっこになっているのか、いやな顔もせず甘く応えてくる。だが、棘のように
心に刺さった疑念が、茂を少し意地悪な気持ちにさせていた。             
 とがり始めてきた乳首を放置して浴衣のすそを割り、潤いを確かめる。まだ夢うつつで
愛撫もろくにされていない身体は、充分に潤ってはいなかった。もどかしい思いで、前で
結んだ帯を乱暴に解いて前をはだけると、乳首に吸いつきながらしげみに指を突っ込んだ

91 :
「痛・・・お父ちゃん、どげしたの?もっと優しうして・・・。」
フミエが目を開け、静かな声で抗議した。茂の頬を両手ではさむと、目を閉じて下から
甘く口づけてくる。フミエの舌がしのびこんできて茂の舌をからめとり、やさしく吸った。
(なんだこいつ・・・やけに余裕があるな。)
フミエの落ち着いたとりなしに、なんだか自分の方があやなされているような気がして
面白くない。茂はフミエの手をつかんで布団に押しつけ、激しく唇をむさぼった。    
「んふ・・・ぅうん・・・ぁ・・・ん・・・。」
 唇を密着させ、舌をからめ・・・それだけでフミエはいつも通りにあふれ、ほぐれてくる。
このまま貫いてしまいたい欲求が湧き上がるが、先刻から心にひっかかっている疑念の
せいで、なんとなくすんなり愛し合う気持ちになれない。               
 フミエの身体を上に乗せて上下を入れ替え、頭をそっと押し下げる。フミエは茂の求め
ていることを悟り、素直に下へさがった。
「・・・あっちを向いてせえ。」
フミエは(困った人ね・・・。)とでも言いたげに少し眉根を下げて微笑むと、言われた
とおり後ろを向いて茂の上にまたがった。胸の上にフミエの濡れた女性が押しつけられ、
それだけで雄芯がこわばるのを感じる。
 形をとり始めた器官に両手を添えて、フミエは根元からていねいに舐め始めた。
臀の下に手を入れて持ち上げるようにすると、フミエが膝をついて腰をあげた。目の前の、
露をたたえた紅い花を指でなぞると、熱い泉がいくらでも湧いてくる。中心部に指を沈め、
中でうごめかすと、のどを鳴らすような声を出して腰を揺らす。お返しとばかりに雄芯を
呑みこんで、熱い粘膜で包み込み激しく吸った。
(こ・・・こげに上手かったかな?)
フミエに見られていないことを幸い、茂はぎゅっと目を閉じてつよい快感に耐えた。
「も・・・もうええ。」
とっくに反り返っている雄根を、なおも口じゅうで愛そうとしているフミエを止めるため
声をかけようとした茂の声は、突き上げる欲望のためかすれていた。 
 名残惜しそうに雄芯をゆっくりと吐き出してからひとつ口づけ、身体を起こして
振り返ったフミエの顔は淫らな行為に上気し、目がとろんと潤んでいる。手で臀を押しやる
ようにすると、フミエは少し前にすすんで腰をあげた。
 フミエが充分に育てたものに手を添えて秘裂にあてがってやると、フミエはあえぎながら
腰を寄せて呑みこんで来る。挿入りやすいよう、剛直の角度に合わせて身体を傾けるさまが、
こうして抱かれるのに慣れていることをうかがわせて淫らだった。

92 :
「ぁ・・・ぁぁあ・・・んっ・・・。」
臀の肉が茂の下腹部にぴったりとつくほど深く呑みこみ、フミエが動き始めた。あおむけに
なって頭の下に腕をかい、茂はその背中をみつめていた。目の前でゆらゆらと揺れている
白い背中と臀に幻惑され、自分の上で踊っているのがフミエではなかったらどうしようと、
急に馬鹿げた不安におそわれる。
「ぁあっ・・・だめ・・・しげさ・・・んぁあっ―――――!」
律動が不規則な痙攣に変わり、フミエが身体を硬直させてがっくりと前に倒れた。上体を
起こして後ろから抱き起こしてやると、いとおしそうに頭を肩にもたせかけてくる。
 そのまま横に倒れ、側臥位になって腰を使う。身悶えて前へ逃げようとするフミエの脚に
脚をからめて動きを封じ、後ろから抱きしめてがくがくと揺すぶった。
「ゃぁ・・・ぁっ・・・ぁっ・・・ぁ―――――!」
息つくひまもないほどの責めに、あえぎっ放しののどはカラカラに渇き、かすれて声に
ならない悲鳴が、ますます茂の嗜虐心をあおりたてる。
 まだけいれんしている身体からいきなり引き抜くと、フミエが小さな悲鳴をあげた。
ふるえている身体をあおむけにさせて侵入し、三度目の絶頂へと追い上げる。
「んんっ・・・はぁ・・・は・・・も・・・。」
フミエは茂にしがみつき、渇いた喉を潤すかのように汗にまみれた肩に唇を押しつけた。
「んぅ・・・んんっ―――――!」」
深くえぐりながら腰を打ちつけると、フミエは無我夢中で背に爪を立て、肩に歯をあてて
くぐもった悲鳴をあげた。その痛みも感じないほど溺れ、茂もフミエの中に思い切り
放った・・・。
 フミエのすべてを奪いつくした後は、単純なもので昼間の疑念もどうでもよくなってくる。
ほおにいく筋もの涙の痕を光らせてぐったりと横たわるフミエの姿に、やり過ぎたかと言う
後悔の念がわきおこった。
「・・・ちょっこし、キツかったか?・・・すまんだったな。」
罪ほろぼしに甘く口づけながら抱きしめると、フミエは弱々しく抱き返してきた。
「ううん・・・ええの・・・。」
抱き合っているために茂からは見えないフミエの眼が、常にない琥珀色に光っていたことを、
茂は知る由もなかった・・・。

93 :
 次の日。例によって散歩に出かけた茂は、すずらん商店街のはずれの御堂のそばで、
あの向こうキズのある猫を見かけて思わず立ち止まった。またどこかの猫とケンカでも
して来たものか、前脚から血を流している。そこへ、銀灰色のすらりとした身体つきの
猫があらわれ、しきりに鳴き交わしていたと見るや、二匹はつい、と御堂の陰に消えた。
 茂はなんだか胸騒ぎがして、急いで御堂の反対側へまわった。
「あら、あなた。どげしたんですか?息せききって。」
驚いたことに、そこにはフミエがいた。御堂の縁に腰かけて、あのキズのある猫を膝に
乗せている。
「またケンカしたみたいで、前脚にひどい怪我しとるけん、ちょっこし手当てして
 やっとったんです。」
見れば、さっき血を流していた前脚はきれいに洗われ、布きれで巻いてあった。猫は
フミエの膝に抱かれて、のどをゴロゴロ鳴らしている。
「そげな猫かかえて・・・ノミを伝染されてもしらんぞ!」
茂は今自分の目で見た光景が信じられず、不機嫌にそう言い捨てて、逃げるようにその場を
去った。自転車に飛び乗って一心に走らせながら、頭は激しく混乱していた。
 茂が帰ってからしばらくして、フミエも藍子を連れて帰ってきた。預けられた隣家での
遊びに疲れたのか、眠ってしまった藍子を二階に寝かせ、夕食の支度を始めた。
「おい・・・。」
(お前、さっき猫になっとらんだったか?)
そんな馬鹿げたことを口にも出せず、茂は立ちあがって後ろからフミエを抱きすくめた。
「きゃっ。もぉ・・・やめてごしない・・・包丁持っとる時に。」
フミエは包丁をまな板の上に置くと、手をふきふき、あきれたような笑顔で振り返った。
「んっ!・・・んぅ・・・。」
息がつまるほど強く抱きしめられ、乱暴に唇を奪われて、フミエはうめいた。体重をかけて
引きおろし、そのまま押し倒そうとする茂に、フミエもさすがに抵抗した。
「やめて・・・お父ちゃん・・・やめてったら!・・・どげしたの?」
「身体を・・・見せてみれ!」
フミエを流し台に押しつけ、ブラウスのボタンを引きちぎろうとする。 

94 :
「アーン・・・アアーン・・・。」
二階で、藍子の泣く声がする。目を覚まして母親を呼んでいるのだ。だが、茂の耳には
入らないようで、ブラウスのすそを引き出して中に手を差し入れてくる。今まで、茂の
どんな求めも素直に受け入れてきたフミエも、こんなことには耐えられなかった。
「ガリッッ!」
眉間を鋭い爪に思い切りひっかかれ、茂は思わず手を引っ込めた。一瞬の隙を突いて、
フミエは茂の下から這い出して立ち上がった。
「なして・・・こげなことするの?」
「お前が猫か人間か、たしかめるんだ!」
フミエは凍りついたように台所の隅に立ちすくみ、やがて悲しそうに言った。
「あなたと添い遂げようと思っとったのに・・・。こうなってはもう、ここにはおれません。」
「・・・な、なんだと・・・こら待て!」
追いすがる茂の腕をするりと交わした時、フミエはもうしなやかな銀灰色の猫になっていた。
飛ぶように二階への階段をあがると、追いかけてきた茂をしりめに、小さな銀灰色の子猫を
口にくわえて、一瞬の躊躇ののち、窓から屋根へと飛び降り、視界から消えた。
「待て・・・待ってくれ・・・。ああ、藍子まで・・・。」
フミエの消えた風景がぼんやりとかすんだ。気がつくと、フミエに引っかかれた眉間の
キズは意外に深く、血が流れ出して眼に流れ込んでいた。何か血を止めるものはないかと
戸棚を開けると、あのねこ福堂の包み紙をかけた本が隠してあった。
「・・・なんだ、俺のやった本じゃないか。」
それは、フミエが初めてアシスタントをした『墓場鬼太郎』で、茂が『謹呈、村井布美枝殿』
と書いてフミエにプレゼントしたものだった。
 なぜこれを豊川に見せたのか?なぜあいつのくれたカステラの包み紙を?・・・謎は深まる
ばかりだ。流れ落ちる血を手ぬぐいで押さえ、茂は玄関を飛び出した。

95 :
 キズに手ぬぐいを巻きつけただけで自転車に飛び乗り、商店街を目指した。心当たりと
言えば、あの街はずれの御堂しかない。・・・だが、そこにはフミエ猫も向こうキズの猫も
いなかった。ここにいなければ、後はどこにいるのか見当もつかない。
「あら、先生。おデコ・・・どうかなさったの?」
こみち書房のみち子に声をかけられ、茂はうつろな表情で頭を下げた。
「たいへん!血が出てるじゃない。うちにいらして、すぐ手当てしますから。」
こみち書房のお茶の間で、手際よくキズの手当てをしてくれたみち子に、茂は尋ねた。
「ここらでフミ・・・い、いや、銀灰色の猫の親子を見ませんでしたか?」
みち子は、お茶をいれようとしていた手を止め、意味ありげな微笑をうかべて茂を見た。
「フミエさんを探してらっしゃるの?」
「え・・・いや、俺は銀灰色の猫を、と・・・。」
「ふふ・・・先生、もうわかってらっしゃるんでしょ?」
茂はうす気味わるくなって、みち子のふっくらとした顔を見返した。心なしか、眼が
緑色に光り始めている気がする。
「あ〜あ、やだねえ・・・これだから人間の男は。女房なんて放っといても、いつでも
 そばにいるのが当たり前みたいに思ってんだからね。早いとこ競争相手を倒さないと、
 フミエちゃん、持ってかれちゃうよ。」
しゃがれ声に驚いて振り向くと、そこにはみち子の姑のキヨ・・・だったらしい、茶色の、
年を経てしっぽの先が二股に分かれた老描がいた。
「あ・・・あんたらがフミエをあげな風にしたんだな?」
茂は冷や汗を流しながら、妖魔に会った時の九字だの護身の法だのをありったけ動員して
奇妙な呪文を唱え、手で空気を切った。
「いやあねえ、先生。そんなことしたって無駄ですよ・・・ご自分を見てごらんなさい。」
みち子が鏡台の覆いをはねのけると、そこに映っているのは、頭から大きな耳が生え、
腕には黒い毛がふさふさと生え始めている自分の姿だった。
「な・・・何ニャ、これは・・・?」
驚愕してみち子を見ると、そこにはもう、まっ白で丸々と太った緑色の眼の猫がいた。
「先生。もう観念して、私達と一緒にたのしく暮らしましょ。」
恐怖のあまり後ろに跳びしさって、茂は店を飛び出した。二匹の猫の笑い声を後ろに
聞きながら、茂はまた街はずれの御堂を目指していた。

96 :
「マーーーーオ」
御堂の裏手の原っぱには、あの向こうキズの猫が待っていた。頭を低くして今にも飛び
かからんばかりの戦闘体勢をとっている。少し離れた場所には、銀灰色の子猫に寄り添って
フミエ猫が心配そうにこちらを見ていた。
(フミエ・・・。俺はこいつに勝たなきゃならんのか?)
茂はもう完全に大きな黒猫になっていたが、前脚が一本しかないので人間のように立って
歩くしかできない。ケンカなら子供の頃にさんざんしたが、ガキ大将というものは作戦を
立てて全軍を指揮するものであって、一対一の決闘はあまりしたことがなかった。
(だいたい、猫のケンカって、何をどうすりゃいいんだ?)
すがるようにフミエの方を見た時、いきなり顔に猫パンチをくらった。バランスを失って
倒れたところをホールドされ、腹にしこたま猫キックを入れられる。
「ギャフベロハギャベバブジョハバ!!!!!」
くんずほぐれつ、ひとつの塊になって転げまわる。茂猫も激しく応戦したが、いかんせん
相手は猫のケンカのプロだ。引っかかれ、噛みつかれて、劣勢は明らかになってきた。
「フーーーーッ!」
いったん跳びのいたキズ猫が、いよいよ最後のとどめを刺そうと間合いをはかっている。
(俺はここでぬのか・・・戦争でもなんかったのに。)
茂猫は倒れたまま、観念して最期の時を待った。
「シャアッッッ!!」
飛びかかってくるキズ猫より一瞬はやく、銀灰色のかたまりが茂の前に飛び出した。
フミエ猫の長い肢が繰り出す強烈な猫キックを浴びてキズ猫は後ろに吹っ飛び、くるりと
一回転してまた戦闘体勢をとった。フミエ猫も油断なく身体を低くして反撃にそなえた。
だが・・・。総身の毛を逆立て茂猫を守って立ちはだかるフミエ猫を見て、キズ猫はそもそも
このケンカの目的が何だったかを思い出し、急速に戦闘意欲を失った。
「ニャーーーオ・・・。」
キズ猫は、一声悲しそうに鳴くと、納得いかないというように後ろを振り返り振り返り、
しっぽを垂れて去って行った。 

97 :
「ニャアオォン・・・(あなた、大丈夫?)」
キズ猫が完全に去るのを見届けてから、フミエは草むらに隠してあった藍子猫に駆け寄り、
子猫をくわえてまた戻ってきた。茂は傷の痛みで意識が遠のいていくのを感じていた。
(俺はもう、ダメらしい・・・。猫になってもええ、3人で暮らそうと思うとったのに・・・。)
(お父ちゃん、なないで!)
フミエ猫と藍子猫が、一緒になってニャアニャア鳴いている・・・茂はうすれゆく意識の中で
ふたりに別れを告げていた。
「ニャア・・・ニャア・・・ニャア・・・。」
まだ藍子猫が鳴いている・・・茂は顔をしかめて目を開けた。フミエが心配そうにのぞき
こんでいる。
「ん・・・あれ?なんだ、俺・・・生きとるのか?」
「いやだ・・・しっかりして、お父ちゃん。」
猫の鳴き声と思ったのは藍子の夜泣きで、フミエは藍子を抱いて布団の上であやしていた。
「藍子が泣き出したんであやしとったら・・・お父ちゃん、えらいうなされとったけど、
 何か悪い夢でも見たんですか?」
「え・・・ああ・・・うん。」
フミエは、泣きやんだと思ったらすぐにスースーと寝息をたて出した藍子を布団に寝かせ、
茂のところに戻ると、手ぬぐいで顔の汗をふいてくれた。全身にぐっしょりといやな汗を
かき、肩や背中のキズに塩気がしみてヒリヒリする。
(なして、こげな所にキズが・・・?)
豊川に約束した日が明日に迫ったため、今日は一日中仕事部屋にこもって構想を練り上げ、
深夜、倒れこむように布団にもぐりこんだ・・・はずだ。
「もう・・・根つめてお仕事されすぎなんですよ・・・あんまり無理せんでね。」
フミエは、両の手のひらで茂の頬をはさむと、やさしく口づけした。やがて離れていこう
とする唇をのがさぬよう、茂はフミエの頭の後ろに手をまわして口づけを深めた。
「んん・・・はぁ・・・。」
何も言わなくとも、ふかまる口づけはふたりの時間の始まりを意味する。フミエは夢の中
と違って拒まなかった。口中を愛撫しながら下から帯を解くと、フミエも茂の帯を解いて
前をはだけ、素肌と素肌をあわせてくる。フミエが唇を離し、上から舌を伸ばすと、茂も
舌を伸ばして突き合せる。しばらく舐めあってから、いたずらな舌をとらえて強く吸うと、
フミエがぎゅっとしがみついて来た。

98 :
「はぁ・・・ぁ・・・やだ・・・これ・・・私が・・・?」
しがみついた肩に、小さな歯型をみつけ、フミエはすまなそうな顔をした。見れば、
それ以外にも、肩や背中にひっかき傷やみみずばれが残っている。
(そうだ・・・この傷は、フミエがつけたんだった・・・よな?)
時として、フミエは惑乱の中でこういった傷を茂の身体に残すことがある。フミエは激しい
悦楽の痕跡をいとおしむように、胸の傷をひとつひとつ丁寧に舐めはじめた。       
「こ、こら・・・やめろ。くすぐったい・・・。」
「だって、私がつけたんですけん・・・。」
温かい舌がふれるたび、ひりひりする痛みが癒され、かわりにしびれるような官能が
わき立ってくる。フミエの爪や歯でつけたにしては傷は深く、数が多すぎるような気も
したが、もはやそんなことはどうでもよくなるほど心地よく、フミエのやわらかい身体の
下で、自らの欲望が痛いほど猛り立ってくるのを感じた。
フミエの舌はそのまま傷を追ってさがっていった。そして、下着を突き上げている雄根に
たどりつくと、両手で包み込んで頬ずりした。窮屈そうなそれを、下着を下げて自由に
してやると、ふるりと震えて天を指す。フミエはふかぶかと口にふくむと、唇でしごき
あげながら外へ出し、いとおしそうに舌全体で愛撫し始めた・・・。
 茂は快感に耐えながら上体を起こし、フミエの頭をそっと押して中断させた。
「お前に、挿入れたいけん・・・。」
フミエは身体にまつわるものを全て取り去って手をさしのべた。茂がその手を引き寄せ、
つよく抱き込みながら上になった。
「ええのか?・・・あいつに勝たんでも。」
「?・・・何のこと・・・ですか?」
「い、いや・・・なんでもない。」
言葉をにごすと、苦しまぎれにいきなり深く口づけながら両脚を開かせ、熱く猛る雄芯を
フミエの中心に沈めた。                                
「ぁあ・・・ぁ―――――!」           
フミエがうめき声をもらし、背中にまわした腕に力をこめた。耳朶を噛みながら熱い息を
吹き込むと、ぞくぞくと身体を震わせながらきゅうっと締めつけてくる。固い芯で
かきまわしては突きをくれることを繰り返すと、茂の胸の傷に唇を押し当てて叫びを
しながら、フミエは身体をふるわせて達した。
 茂は上体を起こして、びくびくと絶頂の余韻に震えるいとしい身体を見下ろした。
つらぬいたまま、ぐったりしているフミエの腕を首につかまらせ、よっこらしょと
座りなおしてあぐらをかいた上にフミエを抱きかかえた。

99 :
「だ・・・だめ・・・もう少し、やすませて・・・。」
「後でいくらでも休んだらええ。」
自らの身体の重みで、達したばかりの内部に剛直がくいこみ、フミエが身悶える。
このかたちで揺れ合うのを、口には出さないけれどフミエが好んでいるらしいことを、
茂はよく知っていた。唇を近づけると、あえぎながらも顔を傾けてフミエから口づけを
深めてくる。上も下も存分に溶かしあい、唇を離すと、フミエは顔を見られるのを
羞ずかしがってギュッと抱きついてきた。
「ぁあ・・・しげぇさん・・・すご、く・・・ぃい・・・。」
フミエが耳に口を寄せて囁く。こんな声を、他の奴に聞かれてたまるか・・・。茂は、
この声が他の男の名を呼ぶことを想像するだけで意をおぼえた。
 フミエがあえいで突き出したあごを噛むように口づけながら、下から揺すぶってやる。
フミエはのけぞって白い喉をさらし、びくびくと身体をふるわせた。
「ぁあっ・・・ぁあ・・・ん・・・しげ・・・さ・・・ぃく・・・。」
後ろに手をついてさらに激しく突き上げると、支えを失ったフミエは後ろに倒れそうに
なり、必で茂を求めた。その手をつかんで引き寄せ、力のかぎり抱きしめながら、
強い収縮の中へ精を振りまいた・・・。                           
 溶けきったフミエの、やわやわとした重みを受け止めて、しばらく荒い息をおさめた。
そっと横へ抱き倒し、身体を離すと、フミエが小さくあえいで胸に顔を寄せてくる。
こんなに可愛い妻を、なぜ疑ったりしたのだろう・・・。
 夢の中で、フミエが自分の手をすり抜けていった時の喪失感がまざまざとよみがえる。
身体ごと愛し愛され、けだるい身体を寄せ合ってまどろみにおちていく幸せが、今自分の
手の中にあることに、茂は心から安堵した。
 それでもひとつ、聞いておきたいことがあった。
「なあ・・・なして、豊川に見せたんだ?」
「見せたって・・・何を?」
「・・・俺がやった本だ。墓場鬼太郎の・・・。」
「ああ・・・。豊川さんがあなたの昔の本を見とる時、みつけてしもうて・・・。豊川さんの
 くださったカステラの包み紙をかけてあったけん、不思議に思うたらしくて。」
「なして、あいつのくれたカステラの紙を使ったんだ?」
「私が初めてアシスタントをして、あなたにプレゼントしてもらった大切な本だけん、
 うちで一番いい紙を使ったんです。・・・前の紙はチラシでしたけん、傷んでしもうて。」
「うちで一番いい紙・・・なんだ、そげなことか。」
茂はひょうし抜けしたが、初めてアシスタントをした思い出の本を大切に、おりにふれて
読み返していたらしいフミエがいとおしく、豊川との事を疑った自分が恥ずかしくなった。

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