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2012年09月モ娘(狼)169: さゆえり「れいなはココが感じるの?w」47 (331)
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さゆえり「れいなはココが感じるの?w」47
- 1 :2012/10/27 〜 最終レス :2012/11/03
- このスレのプロローグ――
さゆえりレズSEXを不意に目撃してしまったれいな
拒否反応を示して嫌悪感をあらわにするれいなを捕獲するさゆえり
抵抗するれいなを口封じのために2人で気持ちよくさせて一言
さゆえり「れいなはココが感じるの?w」
れいなは抵抗するものの、自然と漏れてしまう甘い吐息
れいな「ハァハァ」
キャラ紹介兼相関図最新ver.
http://image02.wiki.livedoor.jp/m/9/mdpg119/4a3d6cffa630dabb.jpg
かめれな世界相関図
http://www.hayasoft.com/reina-her-ways/cgi-bin/src/rena-pai0571.jpg
前スレ
さゆえり「れいなはココが感じるの?w」46
http://hayabusa3.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1349663203/
まとめサイト
http://wiki.livedoor.jp/mdpg119/
規制で書き込めない方はこちらの避難所へ
http://yy21.kakiko.com/test/read.cgi/morning/1305815840/
- 2 :
- AAまとめ
从*´ ヮ`) れいな♀ ノd*´ ヮ`) たなか♂ ノc|*´ ヮ`) 成人たなかクン♂
ノノ*^ー^) えりりん♀ ノd*^ー^) かめい♂ ノc|*^ー^) かめい先輩♂
从*・ 。.・) さゆみん♀ ノd*・ 。.・) みちしげ♂
カプまとめ
基本♀は名前、♂は名字。
【例】
れなえり(♀×♀)
たなえり(♂×♀)
たなしげ(♂×♂)
- 3 :
- ♂シンボルまとめ
っ ちびれいな君
n ちびれいな君フルパワー(半角エヌ)
つ 亀さん(かめい君)
∩ 大亀さん
⊃ 弟重君(みちしげ君)
n 新垣てんちょ(全角エヌ)
- 4 :
- ( ■_■)<テンプレ終了でございます若
- 5 :
- くーちゃんおつww
- 6 :
- 乙んこです
- 7 :
- 1000 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2012/10/27(土) 23:28:26.70 0
ノd*´ー´リ<1000ならフクちゃんはぼくのもの❤
- 8 :
- !!!!!w
- 9 :
- ノノハヽ
ノハヽ(^l_ ^盗
ノd*´ 3´( ノハヽ
ノ つ (`<_´+|9ヽ
- 10 :
- R触ってねえか?www
- 11 :
- 鞘師君は甘えるフリしてフクπに顔埋めてそうw
- 12 :
- 腕とか胸とか触り放題羨ましいなw
- 13 :
- ノ9|+`_ゝ´)<りほぉぉぉぉおおお!!
从*´◇`)<まぁまぁえりちゃん落ち着いて。怒ったってお腹が空くだけだよ?
ノ9|; ´ _ゝ`;)<だってだってかのんちゃーん
从*´◇`)<…あんなバカほっときゃいいんだろうね
ノ9|;‘_ゝ‘)<か、かのんちゃん?
从*´◇`)<ほあ〜お腹空いた〜コロッケ買って帰ろーっと
ノ9|;‘_ゝ‘)<あ、ちょっと香音ちゃん!
ノd刀e _l‘)<ねぇりほちゃん
ノd*´ 3 ´リ<んー?なぁにフクちゃん?
ノd刀e _l‘)<あたしにくっついてくれるのは嬉しいけどさ、香音ちゃんのこと悲しませたら許さないからね?
ノd*´ ー ´リ<へ?
ノd刀e _l‘)<えりぽーん待ってー
ノd*´ ー ´リ<………
たぶんAAうまくできてないと思うけど、鞘師君がフラフラする度にこう思ってます
- 14 :
- 分かってないようで分かってるフクちゃんw
- 15 :
- 鞘師君はともかく聖君だけは直しといてww
- 16 :
- ぐおっ!パラレルやっちまったwww
ノノ刀e _l‘)こっちだったーすめーん
- 17 :
- >>13
ノd*´3´リ←完全にビルスレ鞘師w
- 18 :
- 遅くなって申し訳ないです光射す行きます
絵里は一瞬立ち止まって振り返った。
だれかに呼ばれたような、そんな気がしたのだけれど、あり得るわけないかと再び歩き出す。
傘を持ってこなかったのは失敗だったといまさら後悔した。
大きな荷物を肩に抱えて、ずぶ濡れになりながら歩く姿はどう見たって怪しい。
盲人用のステッキとサングラスをかけているおかげで、群衆は気を遣って道を開けてはくれる。
しかし、ところどころで囁かれる暗い蔑みの言葉や嘲笑には苦笑せざるを得ない。
「……疲れた」
絵里は不意に立ち止まり、天井を仰いだ。
大粒の雨が顔を濡らす。頬を伝う涙も洗い流してくれるような気がして、気持ち良かった。
街中に突っ立って、傘も差さずに雨のシャワーを浴びる姿なんて、変質者以外の何者でもないなと絵里は再び歩き始めた。
れいなの家を出たのは、気まぐれではない。
昨晩の突然の告白、そしてキスされたことが頭から離れない。唇に残った甘い感触が、いまでも絵里の胸を締め付ける。
どうしてれいながキスをしたのかなんて、答えはひとつしかない。
れいなの口許をついた「好き」という言葉を、絵里は信じたくて、信じたくなかった。
これ以上れいなに迷惑をかけたくなくて、自分という存在でれいなを穢したくなくて。
れいなの優しさにどんどん甘えていく自分が嫌いで、絵里は、眠るれいなに別れを告げ、家を出た。
カバンに詰め込んだのは、財布と印鑑、通帳、必要な着替えと水、ただそれだけ。
黙って出ていくのは申し訳なかったので、絵里は置手紙を書いてきた。
お願いだから、もう私のことは忘れてほしかった。
―なんて言っても、れーなのことだから、探しちゃうかな……
優しい彼女の怒った声が少しだけ想像できて絵里は悲しく笑った。
- 19 :
- 出て行く理由を明記しなかったのは、バカにされると思ったからだった。
「キスされたから」なんて、れいなのキスがまるで本気だと思っている自分が情けない。
あれは、れいなが酔っ払った勢いでしただけで、「好き」という告白だって真剣じゃない。
何処にでもあるような、友人同士のふざけなのだと、絵里は必死に言い聞かせた。
―――「れなは絵里が好きっちゃ」
昨日の熱い言葉に絆される。
いまもなお、この心は捉えられている。
闇と絶望しかなかった世界に確かな光をくれたれいなに、絵里は、恋をしていた。
彼女のくれる無償の愛を欲し、無償の愛を、与えたかった。
そんなの、ただのわがままだってわかっているのに。
「………でもっ…」
大粒の雨が絵里を濡らす。
頬を伝うのは、冷たい雨と、暖かい涙だった。
「好き……なのっ」
あのキスが離れない。心を捉え、二度と離してくれないその想い。
れいなをれいなたらしめるすべてが、絵里を包み込み、ただどうしようもなく、想いを走らせていた。
奥にしまいこんでいた蓋はあっさりと開く。絵里はれーなが好きだと、なんども呟いてしまう。
- 20 :
- 瞬間、だった―――
降り注いでいた雨が唐突に止んだ。
傘を差しだされているのだと気付いたのは直後だった。
まさか、と絵里は図らずも期待してしまうが、目の前に落ちてきた色は高貴な紫色だった。
「だいじょうぶですか、亀井さん……」
「愛佳…ちゃん?」
「なんて格好ですか…こんな濡れて……危ないですよ傘も差さんと」
愛佳はカバンからハンカチを取り出して絵里の頬を拭いた。
傘を差しだしたことも、そうして優しく触れたことも、すべてはあの日と同じだと絵里は思う。
見たこともないれいなのことを、あの淡い水色を、絵里は想う。どうしようもなく胸が痛む。そしてなんども、恋をする。
「とにかくシャワー浴びんと…帰りましょう。風邪を引いて…」
愛佳がなにかを言おうとした時、絵里は無意識のうちに首を振った。
もう、戻れない。自分から家を出る決意をしたのだと絵里は頑なに拒否する。
「……なんがあったか知りませんけど、その格好じゃ確実に風邪引きますって……」
「でも……」
愛佳は迷った。
れいなの家に戻ることを絵里が拒否していても、シャワーを浴びないことには風邪を引く。
そうなると、考えられる選択肢としては限られていて、そのうちのひとつに、愛佳の自宅へ連れて行くというものもあった。
- 21 :
- 「……近くにホテルありますから、入りましょう」
「え?」
「それから、田中さんには連絡させてもらいます。これはもう絶対です」
自分の家に連れ込む選択肢を伏せ、愛佳は絵里の腕をぐいっと引っ張った。
突然の提案に絵里は思わず抵抗するが、半ば強引に愛佳はビジネスホテルへと歩く。
「な、なんで」
「どんな理由があっても、ちゃんと話さんで一方的なんはダメです。ふたりで、ちゃんと向き合わんのは、良くないです」
「そ、そんなの愛佳ちゃんには関係ないじゃない!」
「関係なくないです!私は、私はあなたを―――!」
語気が荒くなってハッとする。なにを口にしているのだろうと頭を振る。
言葉尻を掴めなかった絵里はきょとんとするが、愛佳はそれを無視して早足で歩いた。
ああ、もう。こんなことで口にするつもりなんてなかったのにと雨で濡れた髪をかきあげ、ホテルへと入った。
-------
愛佳からの連絡を受けたれいなはすぐに指定されたホテルへやって来た。
指定された部屋へ入ると、ベッドに座り濡れた髪をタオルで拭いている愛佳がいた。
浴槽からシャワーの音が聞こえて、れいなは何処かホッとした。
「こんなこと、先輩に言うのは愛佳らしくないとは思うんですけど…」
肩で息をするれいなに向かって、愛佳はそう前置きをしたあと、口を開いた。
- 22 :
- 「好きになった人くらい、ちゃんと護って下さい」
真っ直ぐに言葉が突き刺さった。あれ、さっきもこんなことを言われたようなとぼんやり思う。
愛佳は立ち上がり、れいなの肩を軽く拳で叩いた。力はさほど加わってないはずなのに、やたらと痛い気がした。
「それが愛佳の尊敬する先輩なんですから…」
ずいぶんと身勝手な捨て台詞だとは分かっていた。
だが、伝える言葉にこれ以上もこれ以下もなくて、愛佳はそのまま部屋を後にした。
れいなが後方でなにか発した気がしたが、それすらも無視する。
ずぶ濡れになった服がやたらと重い。ずるずると引きずるようにエレベーターへと乗り込むと携帯電話が震えた。
「亀井さんには無事に逢えましたか?」
その声に愛佳は大袈裟に肩を竦めた。
「道重さんのマネージャーにしては仕事ができすぎやない?あんたの目的はなんや?」
「最初にお話ししたまでです。亀井さんを迎えに行ってほしいというだけですよ」
「答えになってません」
「答える必要性はありますか?」
堂々巡りの押し問答だと思いながらロビーを出て行った。空は相変わらず泣いていて、ビニール傘を広げた。
仕事が休みだった愛佳の元にかかってきた電話は、亀井さんを迎えに行ってほしいというものだった。
相手は道重さゆみのマネージャー、佐藤恵美。確かに不審に思ったが、その声に偽りはなかった。
状況も理由も全くつかめなかったが、冷たい雨の降る空を見た愛佳は、迷うことなく車を走らせていた。
- 23 :
- 「なんを企んでるとや?」
「……私はなにも企んでいません。ただ、傷ついてほしくないんです、だれにも」
声が震えている気がした。
愛佳は耳を澄ませ、その奥に顰めている想いを汲み取ろうとしたが、なにも聞こえない。
彼女はいったい、その心の深くに、なにを感じているのだろう。その矛盾した想いを、どうして抱えているのだろう。
「……亀井さんのこと、助けていただいて、ありがとうございました」
その言葉を最後に電話は切れた。
愛佳はため息をついて空を仰ぐ。
ああ、もしかしたら、彼女もこんな風に泣いているのだろうかとぼんやりと思った。
-------
シャワーの音が聞こえるなか、れいなはベッドに座り、ずっと考えていた。
絵里が出て行った理由にハッキリとした色が見つけられない。何処か鈍いその記憶は、昨日の酒のせいだと反省する。
目を閉じて昨日の飲み会のことを反芻する。酒と場の空気に呑まれながら、れいなはさゆみとキスをした。それは覚えている。
ずいぶんと身勝手なキスをしたんだと自分でも反省する。
だが、この唇は確かに、もうひとり別の誰かの甘い香りを覚えていた。
柔らかくて切ない、だけども美しくて優しい唇と重ねたことを、覚えている。
「……キス、したと?」
曖昧で不定形で確証はない。だからこそ震えてしまう。
いったいなぜ、絵里にキスをしてしまったのだろうと。
- 24 :
- 「れーな……」
瞬間、声が前から走ってきた。
顔を上げるとそこには浴衣に身を包み、髪からはお湯を垂らした絵里が立っていた。1日ぶりに見る彼女は、何処か儚げで切ない。
なんて声をかけるべきか迷ったが、れいなは立ち上がり、そっと絵里に手を伸ばした。
瞬間、れいなの手は絵里に振り払われた
「……っ、ごめんなさい…」
拒絶、されたのだとれいなは気付く。だが、だからと言って傷ついて落ち込む暇はない。
考えるべきことは山のようにあるのだから。
「……怒っとぉ?」
「え?」
「れなが、昨日、したこと」
れいなのその問いに、絵里は顔を紅潮させて逸らした。
ああ、やはり最低なことをしたんだなとれいなは気付く。最初に彼女と出逢った夜にも、随分ひどいことをして、傷つけたのに。
弁解の余地もないれいなは頭を垂れ、裁かれる罪人のように言葉を吐いた。
「……ごめん、絵里。また、絵里を傷つけて…」
「っ、違う!」
振り払われた手を、今度は絵里が繋いできた。正確に言えば、れいなの裾をぎゅうと握ってきた。
実に儚くて、いつ千切れてしまっても不思議ではないその握り方は、あまりにも脆い。
「違う……違うよ、れーな…」
「え……?」
「…私が悪いの……絵里が、絵里がれーなを……」
- 25 :
- 脆く儚く握られた裾だが、彼女は決して離そうとしなかった。
震える手でなにかを語ろうとする絵里を、れいなは訝しげに見つめる。
視線はやはり、絡まない。それでも、その瞳の奥、影を落とし、闇を背負った彼女の心を、覗きたかった。
「期待、しちゃうから……」
「……なんを?」
「こんな…こんな私でも、人を、れーなを、好きになれるんだって…」
聞き返そうとして、思わず息を呑んだ。
いま、彼女が言ったことをれいなは反芻する。彼女は、絵里は、「好きだ」と言った―――?
「最低でしょ?私、あなたのことが好きなの。迷惑だって、気持ち悪いって、分かってるのに」
絵里はいつの間にか、泣いていた。
その大きな瞳から静かに涙を流しながら、自嘲気味に笑って言葉を紡ぐ。
れいなはその理解力のない頭ながらに、必死で絵里の言葉すべてを拾い上げ、なにを言わんとすのか理解しようとする。
「れーなが優しいのは、そういう性格だからって、知ってるのに、甘えちゃうの。私に…絵里に、そんな、好きになる資格なんてないって分かってるのに……」
資格?好きになる資格ってなんよ。
なんで、なんで皆すぐにそうやって……
「絵里の体ね…」
ふいに絵里が涙を拭って呟く。
それでもなお、握った裾は離れない。離してはいけないと、れいなは慌ててその手を取った。
絵里もまた、それを拒絶することはしない。
「まだ覚えてるの。あの人のこと…」
- 26 :
- 絵里の吐息が震えた。彼女は自嘲気味に「笑って」いるが、本当は笑ってなんか、いない。そんなこと、れいなにだって分かった。
分かっていたのだけれど、彼女の言葉を止めることもできなかった。
どうしていつもいつも、傷つけることばかりしてしまうのだろうとれいなは思った。
「あの人が触ったところ、揉んだところ、舐め回したところ、全部全部、覚えてるんだよ…」
絵里はそうして、言葉を吐き出した。
忘れることなんてできなかった。叔父が絵里にした仕打ちのすべてを。
体中を撫で回し、胸を揉み、その舌で蛇のように舐めあげた。
自分の欲望のままに絵里を貫き、腰を振り、獣のような声を上げて絵里を蹂躙した。
そんな悪夢の記憶は、れいなに出逢ったあの雨の夜から、ずっと、忘れることなんてできない。
「穢いの、絵里の体……」
「絵里……」
「あの人に触られて、キスされて、体の中まで犯されて……
そんな体に、触れてほしくないのっ……れーなまで、れーなまで、絵里のせいで穢れてしまう……」
穢されたこの体を呪った。あの叔父と出会ってしまったことを呪った。
あの自動車事故さえなければ、両親が健在であったら、絵里もいっしょに死んでいたら、目が見えていたら……
過去を変えることはできないが、なにかひとつでも歯車が違えば、絵里の運命も変わっていた。
決して、穢されることのない人生だってあったはずだ。そんな体に、触れてほしくなかった。
「それなのに私、れーなが好きなの!迷惑だって、気持ち悪いって分かってるのに…好きなの!」
穢されて、それでもなお、絵里はれいなを求めていた。
メチャクチャにされ、ぼろぼろになっても、絵里は人の温もりを信じていた。
あの夜、ひとりぼっちで雨の中に捨てられた彼女に、笑って傘を差しだしてくれたのは、れいなだったから。
れいなはずっと、絵里の傍にいて、絵里を見守り、変わらぬ優しさを降り注いでくれたから。
- 27 :
- 「ごめんなさい……好きに、好きになる資格なんて、ないのに…ダメなのに、絵里……」
れいなと一緒に過ごす日々は確かに温もりと優しさに溢れていた。その優しさに甘えて溺れる自分が嫌だった。
これ以上、れいなに迷惑をかけたくなかった。あの夜のキスが、絵里の心を加速させた。
好きになっても良いんだという想いが走り出すことを、絵里は恐れ、キツくフタをし、家を出た。
二度と、好きにはならないと心に誓って―――
「……それで、全部?」
絵里の独白を聞き、れいなはそう返した。
彼女の言葉をすべて頭に叩き込み、心に刻んだ。
哀しさと同時に、腹立たしさが滲み出た。己の弱さと、叔父への怒りとが入り混じり、破裂しそうだった。
れいなは絵里の答えを待たずに、彼女を強く抱きしめた。
もう絶対に離さないように、なんの言い訳もさせないようにひたすらに強く抱く。
「れーなっ…ダメ……お願い、やめ…」
「なんで、皆、資格とか言い出すとや?」
絵里の言葉をあえて無視し、れいなはつづけた。
彼女の頭の中には、先ほど鞘師里保の言った、「愛する資格がない」という言葉がよぎった。
どうして皆、愛する資格とか、好きになる資格とか、言い出すのだろう。
「好きになるって……人を愛するって、メッチャ凄いことやろ?」
「え……?」
「かみさまが皆に平等にくれた、大切な想いやろ?」
- 28 :
- この世の中は不公平で不均等で不平等だ。
性別、国籍、年齢、容姿、体力、財力、才覚、いろいろなバラバラの要素によって世界は差別に満ち溢れている。
そんな中でも、だれしもが平等に与えられているものが、「好き」という想いだけだ。
「せっかくの想い…否定せんでよか…そんな、好きになる資格とか言うな…皆、皆だれだって、好きになって良いっちゃ」
好きになること、恋をすること、愛すること。それだけがただ赦されている。
不均衡なこの世界で、たったひとつだけ平等なものだとれいなは信じていた。
「絵里は穢くなんかない。絵里の心は透明なまま、ちゃんとある。体が穢いって思うっちゃったら、れなが全部、消してやる」
随分とムチャクチャなロジックだと思う。
だが、なんの計算もなく、れいなは言葉が口から突いて出た。
ずっと心の中に溜め込んでいた想いが堰を切ったように流れ出す。
「絵里。れなは絵里のことが好きっちゃ―――」
抱きしめる腕の力を強めた。
絵里は驚いたように顔を上げるが、れいなは気にせずにつづける。
「絵里のことが、ただ純粋に、ずっと一緒にいたいって思うほど。絵里が好き。大好きっちゃ」
「っ…れーなぁ……」
「絵里が好き。ホントに。愛しとぉよ、絵里。その全部が、全部が愛しいと」
いま、自分にもてるだけのすべての言葉だった。
信じてくれなくても良い。だけどひとつだけ、ひとつだけ分かってほしい。
れいなは絵里の傍にいたい。たとえあなたが望まなくても、私はあなたを望むから。
きっとずっと、想いは確かに此処にあり続けるから。応えてくれなくても構わないから。
- 29 :
- 「れーなぁ……」
そのとき、れいなは背中に温もりを感じた。
裾を握っていた絵里の腕がゆっくりと上がり、そのまま背中に回っていた。
「絵里……絵里、穢いよ?」
「穢くなんかなか。絵里はメッチャ綺麗よ」
「全然っ…目見えないし……治る見込みも…」
「それやったら、れなが絵里の目になる。ずっと傍におって、絵里にいっぱい世界見せちゃる」
「それに……それに私―――!」
「もう、良かよ」
れいなはそれ以上の言葉を塞ぐように、絵里に口づけた。
触れるだけの、子どものように甘くて優しいキス。それは、ふたりの涙に濡れてしょっぱい。
「好いとーよ、絵里…」
その告白が、絵里の心を解放した。
「れーなぁ……れーなぁ…!」
いっしょに歩いていきたいって、そう思った。
離れたくなくて、ずっと傍で笑っていたくて、永遠なんて陳腐な言葉を、信じてみたくなった。
何処までも真っ直ぐな愛をくれるれいなとともに、此処からはじめてみたくなった。
少しずつ、過去の傷が癒えていく。
ふたりは泣きながら抱きしめあい、名を呼び合った。
それなのにまだ、外には雨が降りつづき、うるさいくらいに、窓を叩いていた。
- 30 :
- 光射す場所へ第28話以上になります
うへぁ暗い…w苦手な方はスルーしてくださいね
ストックが足らないのでペース落ちまくってますががんばります…ではでは
- 31 :
- やっと二人が繋がった気がしますねぇ…
光射すれいなのストレートな性格が好きです
ノハヽ
(* ;e;) ぶわっ
(||<V>|)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 32 :
- 結果として二人を助けたことになるが
りほりほは今後どうするつもりなんだろうか・・・
- 33 :
- てんちょ泣くなよ…泣くなよ(´;ω;`)
- 34 :
- ( ■_■)≡O ワンモアセッ
- 35 :
- (■_■ ) ( □_□)
- 36 :
- 仲良く喧嘩してるのな
- 37 :
- 遅くなったけど光射すおつです!
やっとお互い通じあったのにどこか不穏な空気…いつになったら安心できるのやら…
続き待ってます!
- 38 :
- ハァハァ
- 39 :
- http://www.youtube.com/watch?v=a-g1z07IeF8
フラフラしてるとことかたなえりっぽいw
光射すれーなを見習えれいな君w
- 40 :
- さゆ猫にれな猫を奪われるえり猫、さらに中澤先生…まんまたなえりやw
- 41 :
- これ走って追いかけて裏では絶対飛び蹴りしてるなえり猫w
- 42 :
- んでそのあとニャンニャンしてるんだろw
- 43 :
- ∧,,,∧ /l,,,∧ /l,,,∧
ノノ+^ー^) ノd*´ ,ヮ`)从*・ 。.・)
ノ つ つ
- 44 :
- あーあw
- 45 :
- こりゃネコパンチだなww破壊力は段違いだがw
- 46 :
- れいなはクリを縛りあげて電マで刺激しないとな
- 47 :
- れいな君またガードあげとけw
- 48 :
- キャットファイトと聞いて飛んで来ました
- 49 :
- ネコれーにゃ君!聞け!聞くんじゃ!
ピーカブーブロックではない!
クロスアームブロックじゃ!
- 50 :
-
/l,,,∧
ノd;` ∩´) こうかいな!クロスアームブロックっちゃ!
--| |-ヽ
--| |-ノ
急いで作ったのでAA雑スマソw
- 51 :
-
ブロックごと!!
∧,,,∧ ヽ l //
ノノハヽ(⌒) ―― ★ ―――
ノノハ+^ー) /|l // | ヽ
(/ ノl|ll / / .| ヽ
( ノ 彡'' / .|
/ ./ 〉
\__)_)
- 52 :
- えり猫じゃなくて鬼に見えるwww
- 53 :
- さゅぇり SM
http://www.youtube.com/watch?v=eBviCHVMdsw
- 54 :
- えりりんつえーw
- 55 :
- お客さんにスレ潰されてどうするw
∧,,,∧ ∧,,,l\
星になったw>ノノ*^ー^) (・ 。.・*从<れーな見なかった?
- 56 :
- TDC終わり防止ー
PONPONイチャコラ&フクちゃん誕生日おめでとう!
れいなのナイスアシストに工藤君感激
シゲ君と飯窪さんがとっても仲良し
香音いかりや長介のお知らせ
譜久村君R疑惑
パッと思い付いただけでこんなとこかな?
さゆれなイチャコラは発見できず…強いていうならさゆの歌う後ろで爆笑するれいなw
- 57 :
- ノ9|*^_ゝ^)っ由(^l_ ^祷ク
- 58 :
- 生田君が聖の妖艶な笑みにやられたそうで…w
- 59 :
- >>58
これかw
627 :名無し募集中。。。 [] :2012/10/28(日) 21:17:44.27 0 [PC]
みずぽん(&くどぅー)生誕オワタ
メドレーのセクボのイントロ流れたとこでぽんぽんが真ん中に来て正面に向かって二人で投げチュー
ここまではいつもどおりだけどその後テンションあがったのかみずぽんがえりぽんの頬っぺにチューしに向かう
正面向いてたえりぽんは横から急接近してくる気配に驚き「うへっ?!」と少し距離をとりながらみずぽんのほうを向く
未遂に終わったがえりぽんの驚きフェイスを見つめてニヒヒと小悪魔な笑顔を浮かべるみずぽん
これだけでお腹いっぱいでござった
- 60 :
-
ノノ□ヽ
ノdヽ´ ロ`) ノハヽ
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.| (´ー`;从
| | ̄ ̄ ̄ ̄| | ∪ ∪ )
| | @ @| | (__(_つ
| |@ @ | |
| |____| |
|________|
体調不良のお知らせ
- 61 :
- http://www.helloproject.com/news/1210282300_musume.html
昼だけ入ったけど声が上ずってたし若干覇気がなかったようにも感じたな
そこら辺の感じ方は人それぞれだけどね
- 62 :
- えりりんが優しく看病してくれるさ
ノノ□ヽ
ノd*´ ヮ`) こーいう時の絵里は優しいんよ…エヘヘ
- 63 :
- 星まで吹っ飛ばしときながらなんやかんやで優しいえりりん
早く治してもらわないとRできないからとかなんとか理由はあるにしても
優しく看病してくれるえりりんが大好きなれいな君なのでしたw
- 64 :
- 暗い話題ばっかだとあれなんで愛すべきアホ中等部たちw
http://stat.ameba.jp/user_images/20121028/23/morningmusume-10ki/d8/2b/j/o0480064012259494952.jpg
ついでに光井先生。元気そうで良かったw
http://stat.ameba.jp/user_images/20121028/23/morningmusume-10ki/ed/f6/j/o0480064012259495050.jpg
- 65 :
- 心配なのはかめい君の方な気がするw
- 66 :
- >>64
明日こいつら観に行くんだが…本当に愛すべきバカどもだなw
- 67 :
- 国内に残ってるのこいつら(+れいな)だけなんだよなw
未来は明るいな!ww
- 68 :
- ヾノd;゜ー゜)ノシ たいへんだー!たいへんだー!
从ヽ` ロ´) あんま騒ぐな!具合悪いんよ!
ノd;´ー`) ごめぇん…
- 69 :
- れいなが生理だったり体調不良だったりかめい君にとってここ数週間は踏んだり蹴ったりだなw
とりあえずRは禁止ですよ?w
- 70 :
- ノd;´ー`) さすがのボクもれーなが心配でこんなですよ…
∪ ダラ〜ン
- 71 :
- あの強行スケジュールであの偏食れーなが倒れない方が不思議ってもんだからなw
色々言われてるけどとにかく療養してほしい結構マジでw
|<れーな、死ぬよっ?!
- 72 :
- ノノ*`ー´)<絵里が出張中だからってちゃんと食べてなかったんでしょ!!
ノc|ヽ´ ヮ`)<絵里の手料理やないと食欲湧かなくて…ニヒヒw
- 73 :
- >>59
これ見たよw
そのまましてしまえ!と強く願ってしまった腐な自分w
家帰ってかられいなの体調を知って心配だけど今日は楽しかったー
- 74 :
- 川*・ 。.・)
- 75 :
- PONPONキスしたら発狂してたな良い意味でw
>>66
とりあえず報告宜しくーw
- 76 :
- ノ9|‘_ゝ‘)。oO(聖はパリで誕生日迎えるっちゃね…)
ノ9|T_ゝT)。oO(せっかく付き合えたのに一緒に過ごせん)
- 77 :
- ノd*´ー´リ<さぁ仲良くパイ投げでもするのじゃw
- 78 :
- 三(;■_■)
- 79 :
- 確かにこのパイ投げの写真、鞘師君は生き生きとして生田君は落ち込んでいるような…w
- 80 :
- www
- 81 :
- ノd*・ 。.・)<π投げ?
- 82 :
- ちげぇw
- 83 :
- 从*^ー^)<先生、絵里もπ投げしてみたーい
ノc|=´┴`)<絵里さん、何かまちがってますよ・・・
从*^ー^)<まちがって絵里以外のπを掴まないようにねw
ノc|;´┴`)<それ既にパイ投げじゃありませんよ
- 84 :
- 川*^A^)<π投ゲハ日本ノ伝統文化デスネハイハイ
川´・_o・)<楽シソウダ
参加者が増えました
- 85 :
- ノd*・ 。.・)<πといえばさゆみもそろそろおNewのブラ買わなくちゃなの
- 86 :
- 从*` ロ´)<いらんやろ!
- 87 :
- オフ窪さん可愛いw
http://st73.storage.gree.jp/album/23/42/27952342/e1fb12f7_640.jpg
http://st73.storage.gree.jp/album/23/42/27952342/be01928b_640.jpg
http://st73.storage.gree.jp/album/23/42/27952342/2fdba150_640.jpg
ノハ*゚ ゥ ゚) on
ノハ*゚ 亠゚) off
- 88 :
- さゆの隠し撮りはメンバーの素が見えてうまいよなあw
- 89 :
- 3枚目の飯窪さんの育ちの良さw
- 90 :
- 中学生NIGHTが盛り上がってるからレポ期待しつつ保全
リアルれなえりのつもりw 途中途切れたらごめんなさい
鬱屈とした感情が胸に巣食い、まるで蜘蛛の巣のように広がっていく。苛立ちとか、怒りとか、失望とか、そういった負の感情が心に取り巻く。
それでも私が此処に来て、部屋の前の扉に手をかけたのは、そういった負の感情とは一片も関係ないのだから驚きだ。
自分の中に生まれている微かな変化に戸惑うが、それがなんであるのか、はっきりとした色は掴めない。
それに苛立つことはなく、ただ静かに変化を見ている。客観視とは、こういうことなのだろうかとぼんやり思いながらため息を吐く。
3回、ノックするが、意味があってないようなものなので、そのまま入る。
ベッドの中の彼女は上体を起こし眉を顰めてこちらを見ていた。
「やっ。元気してた?」
「え、絵里、どしたと?」
私が明るく話しかけると、彼女―――田中れいなは怪訝そうな表情のまま返した。それはいつかどこかで聞いたセリフそのままで苦笑する。
明るめの茶色い髪はぼさぼさ、額にはくたびれた冷却シートが貼ってある。
私は手にしていた鞄を床に置き、「お見舞いですよ、お見舞い」と言って彼女の肩を軽く押した。
れいなは力なくベッドに背中を預ける。いまの彼女はあまりにも線が細く、無力だと思った。押し倒されても、文句は言えない。
「か、勝手に人ン家入ってきて…」
「いーじゃん、ちゃんとインターホン3回鳴らしたし、ノックもしたでしょ?」
「こっちが返事もしとらんのに……」
まだ文句を言いたいのか、口を尖らせるれいなにムッとする。
細かい反論は、正直全て正論でしかないのだが、こんな時期に倒れないでほしいと文句を返す。
すると彼女は素直に自分の非を認めたのか、それでもまだ言い足りないのを押し隠すように口を閉ざした。
言い返せないと子どものようにすねるのはれいなの悪い癖だ。いまだってなにか言いたいのだろうけど、毛布で口元を隠して堪えている。
子どもだ。少しは大人になったかと思ったけれど、本質は変わっちゃいない。
変わらずにいてほしかったのだろうか?変わっていなくて良かったと思ったのだろうか?
そうやって自問自答したが、この思考は泥沼化しそうだったのでやめた。
- 91 :
- 「ごはん、なにか食べた?」
私の質問に対し、彼女は答えない。それが答えだ。
嘘をつかないだけマシというものだが、彼女の偏食さには本当に呆れさせられる。
私はわざとらしくため息をつき、れいなの額の冷却シートを外してやった。あらかじめ持ってきていたタオルで顔の汗を拭く。
小さなテーブルに置かれた体温計を認め、れいなのパジャマのボタンに手をかけた。
「ななな、なんすっと?!」
「熱計るだけだよ。あと、汗拭かないと体温計挟めないでしょ」
「じ、自分でできるけん!」
れいなは慌てて私の手を握る。その手は熱くて、思わず私も彼女を見た。
視線がしっかりと絡む。熱で魘された瞳は微かに濡れていて揺れる。大きな瞳に吸い込まれそうになって、堪える。
「言うこと聞いて。れーなは風邪っぴき。患者さん。絵里はお医者さんなんですよ」
「お、お医者さんってヤブ医者やん…」
「細かいこと言わないの」
第3ボタンまで外されたパジャマをぐいと開けると、真白い鎖骨や胸元が見える。
タオルでそっと汗を拭いてやるとれいなは顔を逸らす。裸を見るのは珍しいことじゃないくせに未だに恥ずかしいらしい。
そんな些細な行為も可愛いなあなんて思いながら体温計を脇に挟んでやった。
「着替える?」
「いい……」
そう否定されて肩を竦め、私は洗面台へと向かう。
蛇口を捻ると冬には冷たい水が流れ出る。先ほど手に触れた温もりがなくなっていくようで寂しかったが、汗を拭いたタオルを濡らした。
随分と久しぶりに逢ったような、つい最近逢ったような、不思議な感覚だった。
- 92 :
- 私とれいなが顔を合わせたのは、先日に行われた舞台、ステーシーズだった。
そう考えると、5ヶ月振りになるのだろうか。ああ、それはもうずいぶんと逢ってなかったのだなと納得する。
毎日のように顔を合わせて、ダンスレッスンをして、ライブをして、雑誌の撮影をしていたころが懐かしい。
―――「え、絵里、どしたと?」
そういえばあのときも、れいなはそうやってこちらを見ていた。
彼女は、私がどうして追いかけてきたのかも分かっていなかった。あのとき、私はただ携帯電話を届けに走ったわけじゃない。
れいなの心を捉えたくて、離したくなくて、この想いを不意にぶつけたくなって、私は走った。
大人ぶって、余裕を見せるような恰好をして、思わせ振りに「好き」なんて云った。挑戦的な笑顔の向こう、私は崩れそうな自我を保つので精一杯だった。
嫌われたらどうしようとか、気持ち悪いなんて思われたら生きていけないとか、弱気で意気地なしの自分が顔を出していた。
「……昔のことだっつーの」
私は蛇口を閉め、タオルを絞った。
れいなのことを本質が変わっていない子どもだと思ったけれど、私もずいぶんと子どもだ。
余裕がなくて、常に追い込まれていて、自分の思い通りにならないと気が済まない、わがままな子どもだ。
結局、私はあの人にハマって、抜け出せなくて、もがいているだけなのかもしれない。
「熱何度?」
思考を振り払うように部屋に戻ると、彼女はすでに体温計を外していた。
本当に計ったのか怪しむ目を向けると、「8度2分…」と弱々しく声を出した。まああの温度だとそれくらいあるなと理解する。
濡らしたタオルを額に乗せてやり時計を見る。ちょうど昼時だった。
「なに食べたい?」
「……は?」
「お粥?雑炊?うどん?絵里がつくれるの3つだけだから選んで」
- 93 :
- 私の提案に、れいなは答えなかった。ふいと横を向いて目を逸らす。
れいなは朝からなにも食べていない。食欲がないのは分かるが、絶対になにか食べさせてやる。
「さゆにも迷惑かけてるんだし、我慢して食べなさい」
「……風邪やもん。食べたくなか」
「キミが偏食で倒れたからさゆにも迷惑かけてるでしょ!ホントに死ぬよ?!」
私が少しだけ声を荒げるとれいなはびくっとしてこちらを見た。
怯えた小動物のような目を向けられて後悔する。いまれいなは風邪なんだってしっかりと理解してため息をつく。
道重さゆみから「れいなが風邪を引いた」とメールで聞いたのは一昨日のことだった。
人の言うことを聞かない彼女が、体調不良で倒れるのは珍しいことではない。ただ時期というものがある。
海外に行く仕事を休んでしまうことは、事務所にとっては大きな痛手だろうし、さゆみにも大きな負担がかかる。
「……お粥つくってくるから」
私はそう言って立ち上がる。
れいなの痛いくらいの視線を背中に受けながら部屋を出た。
キッチンへと向かい、食材を確認する。やっぱり雑炊にしようと卵を取り出した。
ここ数ヶ月の多忙さは私も知っている。
50枚目のシングルの大々的なプロモーション活動。ハロープロジェクトのコンサート、そして休む間もなく、秋ツアー。
10月頭に発売した51枚目のシングルでも、同様なプロモーション活動が行われ、並行して海外での仕事もこなした。
私が在籍していたころの比ではない多忙さがある。会社の日程の組み方に問題があるのも分かる。
それは理解しているのだけれど、それでも倒れてしまうのは、れいなの食生活の問題だと思う。
加えて、同期のさゆみがひとりで気を吐いて、彼女までも倒れてしまわないかが不安だった。
「でも、怒鳴るのは違うよなあ…」
- 94 :
- 私はそうしてため息をつき、卵を落とし、軽くかき混ぜる。全体が黄色を帯びてきた。
6期メンバーの中で最も感情的なのはれいなだと思われがちだが、意外と私かもしれないとぼんやり思う。
まるで成長がないのは私の方だと雑炊をレンジに入れた。
久し振りに逢えたというのに、どうして素直になにもできないのだろう。
本当は優しくキスをするとか、抱きしめるとか、そういう普通の恋人のようなことがしたかったのに。
れいなが風邪を引いていなくても、そんなことができただろうかと自問した結果、答えは出てこなかった。
代わりにレンジが温まったよと返事をしてくれたので、私は大いに苦笑した。
「はい、絵里ちゃん特製の玉子雑炊」
「……お粥やなかったと?」
「こまけーこたぁいーんだよぉ」
部屋に戻るとれいなはクスッと笑うと上体をツラそうに起こした。
私がカーディガンを羽織らせてやると素直に「ありがと」と言った。随分と弱々しい声に胸が痛くなる。
「ほら、食べさせてあげるから」
そんな気持ちを吹き飛ばすように私がおどけて言うと、れいなは反論せずにまた頷く。
自分で仕掛けておきながら思い切り肩透かしを喰らったようで私の方がどうして良いか分からなくなった。
一瞬止まった手を慌てて動かし、レンゲで雑炊を掬い、「ふぅー」と冷ましてやった。
「はい。あーん」
「きしょい……」
れいなは悪態をついたが、素直に口を開いた。
レンゲが彼女の口に入り、もぐもぐと雑炊を噛む。一口も随分と小さいな、相変わらず。
- 95 :
- 「お味は?」
「……ふつう」
「素直じゃないなあキミは」
私はそうして二口目をよそった。れいなもツラそうにしながらも口を開ける。
塩加減間違えてないよねと不安になったので、ひと口だけ味見をする。ああ、確かに普通だわと思った。
三口目を食べさせようとするとれいなは首を振った。
「ダメ。まだちょぉっとしか食べてないもん」
「食欲ないっちゃって…」
「それは分かるけどダメ。ホントに死ぬよ?」
「懐かしいっちゃね、それ」
れいなが力なく笑って、カーディガンを脱ぎ、そのまま横になろうとした。本当に食べない気だなと私は悟る。
体調不良とはいえ、私にも意地がある。というか口実がほしかったのかもしれない。れいなに触れるという、口実が―――
私はレンゲの半分の雑炊を口に含み、れいなの顎を掴んだ。
「ちょ……!」
なにをされるのか理解したれいなは逃げようとするが、私は離さなかった。
そのまま彼女を引き寄せ、唇を重ねた。強引に口を開かせ、舌で押し出すように雑炊を運んでやる。
れいなは苦しそうに眉を下げ、私から距離を取ろうとするが、最後のひと粒まで丁寧に口に入れる。
観念したのか、それとも起きているのがツラかったのか、れいなは力を急速に失い、そのまま体を倒した。
私も自然と、彼女の肩を持ったまま一緒に倒れ込む。唇を離すとれいなは肩で息を整えながら口ももぐもぐさせる。
- 96 :
- 顔を逸らし、私と目を合わさないれいなが可愛い。そして、寂しい。
傷つけたくなくて、優しくしたくて、でもできない自分がいて、それでもいっしょにいたいと願う。
わがままだと分かりながらも、私はれいなの頬に手をかけた。れいなはビクッとしながらも私と向き合う。
大きな瞳が、揺れる。吸い込まれそうな黒い輝きが綺麗で、私は素直に顔を傾けた。
今度はれいなも拒絶しなかった。素直に目を閉じ、落ちてきた唇を受け止め、舌を突き出してきた。
「んっ……」
抜けるような吐息が愛しい。そのすべてを、自分のものにしたい。
狂おしいほどに甘く、狂おしいほどに切なく、狂おしいほどに想う。
ひとりの大切な同期として、恋人として、私はれいなに恋をして、愛して、想う。
れいなも同じように、私のことを想ってくれているのかなとか、子どものような嫉妬と独占欲が広がる。
「ふっ…はぁ……ん、え…りぃ……」
「ん…れーな……」
風邪だって分かっていたから、こんなに激しくキスするつもりなんてなかった。
それなのに、一向にキスが止まらない。離したくない。離れたくない。なにかのスイッチが入ってしまったみたい。
キスにキスの応酬。5ヶ月振りのれいなの唇が甘く、Rのように依存してしまう。
舌を突き出し、絡め、頬を撫で合い、髪をすき、指先を絡め、強く握る。ねぇ、れーな、どうしよう。れーなぁ……
「好きだから……お願い、だから……」
キスをやめ、顔を離す。
呼吸を整えながられいなは私を見た。
- 97 :
- 「もうちょっとだけ、自分のこと、大事にして……?」
泣きそうになっている私が恥ずかしい。こんなことで心が動くのが、れいなに振り回されているのが。
こんなこと言うつもりなんてなかった。いつものように大人ぶって余裕綽々な態度でいるつもりだった。それが叶わないのは、なぜ?
その理由は掴めない。けれど、れいなはなにも言わずに私に手を伸ばしてきた。
熱に魘されているのか、その瞳は濡れていたけれど、しっかりと私を捉え、その頬を撫でた。れいなの体温が、熱い。
「はい……ごめん、なさい」
そうしてれいなは眉を下げて笑った。
謝っているのか、それともいつものようにからかっているのか、判断できない。
でも、久しぶりに見たいたずらっ子のような彼女の笑顔に、私は絆される。
捻じ曲がった、歪で不定形な恋だけれど、それでも良いと思った。
身勝手でわがままな私の想いは、ぐちゃぐちゃになりながらも、れいなに届いている。
「れーなの方が大人、だよね」
「……どこが?」
「そーゆーところが」
私はベッドから降りてれいなに毛布を掛けてやった。
いつの間にか落ちてしまったタオルを洗ってこようと立ち上がると、その腕を掴まれた。
振り返ると、毛布の中かられいなが手を伸ばし、こちらを見ていた。真っ直ぐな瞳に捉われ、動けなくなる。
- 98 :
- 「……ここ、おってよ」
弱々しい声に私はなにも言わずに頷いた。
れいなはそれに安心したのか、また笑ったかと思うと、ゆっくりと目を閉じた。
息をひとつ吐いてテーブルを見ると、少しだけ冷めた雑炊があった。
結局、三口しか食べなかったことを思い出し、絶対あとで食べさせてやろうと心に決めた。
「薬飲んでないじゃん」
私がそう呟くと、れいなは寝返りを打った。
随分と下手くそな寝たふりだなと肩を竦めながら、私はベッドに頬杖をつき、れいなの髪を撫でてやった。さらさらの髪に指が通っていく。
「あとで飲むんだよ?」
そう囁くと、れいなは少しだけ、頷いたような気がした。
ああ、やっぱり寝たふりかと、私は笑った。
- 99 :
- >>90-98 「歪な想いの行く先」
前に投下した「泡沫の夢」と「触れた想い」と合わせて三部作だったりする…w
中途半端で相変わらずキャラ崩して申し訳ないm(__)m
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