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2013年04月ニュー速VIP+223: 高校のときの話をさせてくれ (235)
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高校のときの話をさせてくれ
- 1 :2013/04/01 〜 最終レス :2013/04/07
- 書くの遅いし、長くなると思うけど
区切りがついたので話させてください。
- 2 :
- パンツぬいだぞ
- 3 :
- きくぜ!
- 4 :
- パンツ食べた
- 5 :
- まだかよ・・
- 6 :
- せめてもうすこし書きだめてから…
- 7 :
- まだか?
下半身が寒い
- 8 :
- ごめん。代行で立ててくれた方ありがとうございます。
- 9 :
- ふぅ
- 10 :
- 俺のかよっていた高校は校則が厳しかった。
女子のスカート丈も膝くらいか少し上か。
男子も見てわかるほどあからさまにズボンをずらしてる奴もおらず
勉強にも部活にもまじめな奴が多くてすごしやすい環境だった。
高校一年生の夏ごろ一度女の子と付き合ったがすぐ別れて。
あとは特に変わったことなくサッカーに打ち込み友達と遊び、無難に一年を過ごした。
- 11 :
- 二年の春。
進路相談の末俺は理系クラスに行くことに。
高2、高3の二年間をそのクラスで過ごすことになる。
陽気だが風はまだ冷たい4月1日、
俺は新しい環境への期待に胸を膨らませていた。
勉強しないとな。部活だって好きだから頑張る。恋愛だって久しぶりにしたい。
いろんなことに対してやる気が満ち溢れていた。
一年の秋から冬頃、誰がどのクラスに行くのか噂が回っていたため
クラスのメンツには予想はついていて、知り合いがいないとわかっていた。
わりと人見知りするタイプなので打ち解けられるか、
これから先仲良くやっていけるか・・・やる気もあったが、そんな不安もあった。
- 12 :
- ちょっと緊張しながら廊下を歩いて、理系クラスの8組の前で足をとめて、
軽く背伸びをして微妙に中の様子を確認していたら
「あれ…1?お前も8組なの?」
知っている声に振り返ると、Aが立っていた。
Aとは一年のとき合同体育で知り合って少し仲良くなった。
「え?あ、おお。Aも8組?」
久しぶりに話す気まずさを感じて、動揺しながら聞いた。
「うん。久しぶりだな〜。中はいんねーの?」
Aは俺とは違って微塵も気まずさを感じていなそうだった。
8組の様子をきょろきょろと見ながら不思議そうにAが言う。
よかった。Aがいた。安心した。
「いま入ろうとしてたとこ」
緊張して二の足踏んでたくせにそう言って教室のドアを開けた。
- 13 :
- 俺は窓際の後ろから三番目の席に座った。
Aは俺の前の席に座った。
「なんか、理系クラスだけあって男多いな〜」
Aが頬杖をついてクラスを見ながら言った。
机の横のフックに鞄を掛けながら俺も見た。
確かに、いまクラスにいる人数のざっと8割が男。
「あー…そうだな。でもまあ、まだ来てないだけかもよ」
俺がそういうと、まあな、とAがぼーっと遠くを見ながら答えた。
俺はそんなAを一瞥して、何をしてもさまになるなイケメンは。と思った。
一年の時から、クラスは違えどAの噂はよく耳にしていた。
3組のバスケ部のイケメン。クラスの女子が騒いでいた。
こりゃモテるわなと少し劣等感を感じて、そんなこと考えてんなよと自己嫌悪した。
ほどなくしてクラスメイトが集まり、担任がクラスに入ってきた。
白衣を着た化学教師で、やたらに落ち着いていて、遠くを見て話をする人だった。
たまにジョークを交えて生徒を笑わせるが本人は一切笑わなかった。
恒例の一言自己紹介を経て、顔見知り程度だが知っているやつが何人か居たこと、
男女の比率はだいたい7:3くらいだったことがわかった。
担任が気を利かして「一時間後またくるから」と教室を出てから
みんなゆるゆると周りに話しかけ、よろしくと交わしていた。
- 14 :
- すいません。歯医者に行ってくるので途切れます。
そのあと書き溜め分投下します。
- 15 :
- 待つ
- 16 :
- まt
- 17 :
- 歯医者復活戦か。
- 18 :
- >>17 地味にワロタ
- 19 :
- >>17
- 20 :
- 戻りました。
投下します。皆さんありがとうございます!
- 21 :
- Aは周りによろしく、と、知っている奴にはおっす!と積極的に声をかけていた。
俺もなんとなくAと一緒によろしく、と言っていた。
1年の時からAは気さくな奴で、友達も多く、ある程度の距離からみてではあるが欠点のひとつもなかった。
俺はと言えば普通の中の普通で、コミュ力もそう高くなく、友達も多くはない。
一通り声をかけ終えたので席に座って、クラスメイトと談笑するAを横目に
配布されたプリントを眺めて4月の予定を確認した。
高校二年生の記念すべき一日目は、
ちょっと期待していた一目ぼれをしたわけでもなく、
それこそ無難に幕を閉じた。
- 22 :
- これ、A病気で死にますわ
- 23 :
- それから、俺はAと、クラスに一人はいるお調子もののお祭り男Bと
ちょっと抜けていていじられキャラのCの計4人で行動することが多くなった。
行動といっても昼飯を一緒に食べる程度だけど。
Bは4人の中で一番背が低いが声は一番でかい。
基本的に単語、もしくは短文で話していた。
「1!飯!行くぞ!」
「腹減った!パン食お!」
あんまり人の話を聞いてないやつで、たまにいらっとさせられるが素直ないい奴。
Cは優しかった。シャイでいろいろ鈍感で、へえ、が口癖。
無口とまではいかないが基本的に聞きに徹するタイプだった。
イベントの多い4月は足早に過ぎて行き、
俺以外の3人が人見知りをしないお陰ですぐに打ち解け、
馬鹿な事をしたりして楽しい生活を送っていた。
- 24 :
- ふむ
- 25 :
- 青々とした葉の茂る5月の中旬、
二時間目の休み時間、見慣れない女子が教室に入ってきて、教室は少し硬い空気に包まれた。
その女子はうつむき加減に教卓の席順表を確認して、廊下側の一番後ろの席に座った。
「…あれ、Sさん?」
「っぽいな」
Aの問いかけに、だと思う、と続けた。
4月の間一度も来なかったクラスメイトのSさん。
ちょっとからだを壊していたかなんだかでずっと休んでいた彼女が登校してきた。
肩までの黒髪ボブで、細くて、色の白い女の子だった。
クラスの女子が2、3人駆け寄って話しかけていた。
Sさんは少し困惑したような顔で、でもはにかみながら何か頷いていた。
落ち着いてきていたクラスに小さな波がおこったようで、俺含め皆新鮮な気持ちで彼女を見ていた。
- 26 :
- 彼女は大人しかった。
休み時間はクラスメイトと話していたこともあったけれど、基本的にいなかった。
人伝いに聞いた話では体調ももうすっかり良いとのことで、その証拠に体育も休まず出席していた。
AもBも軽く話したと言っていて、俺も話しかけてみようかと思ったけれど、
なんて声をかければいいのかわからないし、話も続かないだろうし、
いつか機会があればと思いあえて話しかけにはいかないことにした。
- 27 :
- ほう
- 28 :
- そんなこんなで6月がきた。梅雨。
中靴が廊下とすれてきゅっきゅと音を立てる。
雨が降る放課後、日の当らない廊下を一人で歩いていた。
AとBはバスケ部、Cは弓道部なので3人とも中で部活があったが
サッカー部の俺は練習がなく、ひとり帰ろうとしていたときだった。
黄色い蛍光灯の灯った図書室に、見慣れた顔があった。俺は思わず足をとめた。
Sさんだった。
うちの学校には図書室が3つある。
なかでも一番小さい古びた図書室に彼女はいた。
なにやら単行本を何冊か抱え、開いてはチェックし、本棚に戻している。
ちょっと迷いながらも、今しかないと思った。
- 29 :
- 「えっと、なにしてんの?」
えっと、というあたり意気地のなさがにじみ出ている。
少し緊張しながら図書室の扉から声をかけた。
扉に背を向けていたSさんがうわっと言って本を抱きしめ振り向いた。
「びっくりした…1くんか」
目を白黒させて俺を見るなり肩の力を抜いた。
図書室は少し湿っぽくて、古い紙とインクの匂いがした。
「Sさん、図書委員だっけ?」
「うん」
初めて話すせいか緊張してSさんの目を上手く見れなくて
図書室を見渡すことで誤魔化していた。
「ここ、人くる?」
中央図書室あるし、と続けた。
3つの図書室の中でダントツで大きい図書室で日当たりも品ぞろえも良い。
ほとんど行ったことないけど。
- 30 :
- 「ほとんど来ないよ。だからいつもひまなの」
へえ、とだけ返した。
Sさんは手に抱えていた本を移す作業を再開した。
さくさくと片付けて全部終わったら手をはたいてまた振り返った。
そしてこっちに歩み寄ってきた。
「初めて話すよね。Sです。よろしく」
お辞儀をして、よく見るあの困ったようなはにかんだ笑顔でそう言った。
すっきりとした目をしていて長いまつげととがった八重歯が特徴的だった。
「1です。よろしく」
俺もかしこまってお辞儀をした。
顔をあげると、笑ってるSさんと目が合って
なんだかよくわからないけど少し恥ずかしくなってすぐに目をそらした。
- 31 :
- 図書室に入って他愛もない話をいくらかした。
休み時間はこの図書室によく来ること。(委員の仕事のため)
歩いて通学していること、生まれは東北で、一人っ子。
犬を飼っていること、など知った。
彼女はよく笑った。
引っ込み思案であまり笑わない子なのだろうと勝手なイメージを持っていたので意外だった。
『Sさん』というぼやけた存在が、俺の中で、一人の女の子として輪郭をもちだした。
もっと知りたいと思った。もっと話してもっと仲良くなりたいと思った。
たぶん、純粋に彼女に興味を持ったからだった。
- 32 :
- とりあえず書き溜め分です。
夕飯食べてまた続き書きます。
見て下さってる方、ありがとうございます。
まだまだ長くなりそうですがお付き合いいただけると幸いです。
- 33 :
- >>32
乙
楽しみにしているよ
- 34 :
- >>33
ありがとう。
その日を境に俺はたびたび彼女と話をした。
あいさつから始まり、何気ない話をして、ものの貸し借りもした。
彼女から借りたCDはスピッツのアルバムで、全部好きだけど、スパイダーが特に良いと言っていた。
まだまだ距離はあったけど、純粋に、仲良くなれてきていることが嬉しかった。
「なあ!最近どうしたのよ!」
俺が借りたCDを鞄の中にしまっていると、
鼻息荒くにやにやしているBと目が合った。
「なにが?」
「それ!CD!」
「貸してもらっただけ」
「うっそだね。好きなんだろ?Sさんのこと!」
Bは俺の前の席に座りながらそう耳打ちした。
そして、最近仲いいしさ〜あやしいと思ってたんだよなあ〜と続ける。
「そういうわけじゃないって!」
「俺も好きなのかと思ってたわ」
俺の横でしゃがんで、Aがそう言った。
そして、いいじゃねーかSさん。と俺の背中を軽くたたいた。
- 35 :
- 俺はなぜか否定することに必死だった。
「ほんとに違うんだって。ともだちだよ、ともだち」
恋愛感情をもちこむと、Sさんを遠ざけてしまう、
この心地よい関係が壊れてしまうんじゃないかと思った。
俺の頑なな否定っぷりになんだ、とつまらなさそうにBが言った。
そしてBは自分の話をし始めた。
なんでも、最近好きな子ができたらしい(本人はまだわからないと言っていたが)。
すぐに分かった。同じクラスのTさんだ。
Tさんは真っすぐで曲がったことが大嫌いな、どちらかと言えば気の強い女の子。
背は低めで、かわいらしい顔とその性格にギャップがあった。
Bと馬が合うようでよく話して笑っているのを見かける。
すぐさまAがTさんだろ、と指摘して、俺も頷いた。
Bはなんでわかったんだと驚いて、そんなにわかりやすかったのかと気にしていた。
普段うるさくてはしゃいでるBが小声で好きな子の話をしていることに少し笑えた。
トイレから戻ってきたCが落ち込んでいるBを見て困惑した顔でどうしたのか尋ねる。
俺とAはBに聞いてみとにやにやしながら答えた。
- 36 :
- 続きが気になる
- 37 :
- まだか三c⌒っ.ω.)っ シューッ
- 38 :
- これは期待
- 39 :
- これは続きが気になる
- 40 :
- すみません。
ちょっと外に出ていました。
皆さんありがとうございます。
書くの遅いですが、お付き合い下さい。
- 41 :
- 梅雨も明けて蝉がうるさい7月。
だいぶクラスも打ち解けて、まとまりがでてきた。
この頃から夏休み明けの体育祭、文化祭をどうするかという話が上がっていた。
うちの学校は、イベントは基本的にクラス対抗で行う。
九月の中旬に三日間にわたりイベントをする。
一日目が体育祭、二日目、三日目が文化祭である。
体育祭の準備といえば、クラスでオリジナルTシャツや応援旗を作るくらいだが
文化祭の準備は大変だった。どんな模擬店を出すか、材料も買わないといけないし、
それに合わせて衣装や看板も作らなければならない。
毎日LHRで話し合いが続いた。
まずクラスを体育祭担当と文化祭担当にわけ、それぞれ同時進行で行き、
体育祭担当の仕事が終われば文化祭の準備を手伝うという方針になった。
AとBは体育祭担当、俺とCは文化祭担当に振り分けられた。
クラスの中心であるTさんとBは体育祭の実行委員になっていた。
これはAのちょっとした策略の結果。
Sさんは、俺やCと同じく文化祭担当だった。
- 42 :
- きたあああああ
- 43 :
- Aがイケメン
- 44 :
- とりあえず全体で模擬店を決めた。
紆余曲折あってメイドカフェに決定。
ただし男子が女装するという奇天烈なものだった。
そしてそうこうしている間に学期末テストがやってくる。
テストの前の週は、一度Sさんと二人で数学の勉強をした。
古汚い図書室で灰色の絨毯の上に座ってもくもくと。
お互い特に教えあうこともなくひたすら解くだけだったけど。
カチカチとSさんのシャーペンの花のチャームが音を立てる。
Sさんは集中していたけど俺はなんかそわそわしていて
でもそんなところ見せられないしで真面目に取り組もうと
姿勢を変えたり座りなおしたりしていた。
- 45 :
- 続き気になるけど眠いから明日読む
おやすみなさい
- 46 :
- >>45
書くの遅くてごめんな。
ゆっくり寝て下さい。ありがとう。
- 47 :
-
Sさんは授業中に眼鏡をかける。
でもこのときだけはかけていなかった。
単純に気になった俺は、Sさんに尋ねた。
「眼鏡かけてなかったっけ」
Sさんは空返事をして、もくもくと答案を作り続ける。
しまった邪魔をしたかと俺もそれ以上何もいわずテキストに向かった。
ちなみにこのとき使っていた参考書は青チャート。
「忘れたの」
ひたすら解答と照らし合わせて考えているとき返事が返ってきた。
え?と、Sさんの方を向くと、くいっと眼鏡をあげるポーズをして笑った。
シャーペンについたチャームをぶんぶん回しながら、
ないと不便だなあ、と言ってまた勉強を始める。
俺は両目裸眼で視力が良いため、その不便さはわからない。
なんとなく、Sさんが大人っぽく見えて俺も眼鏡かけようかなとかばかなことを考えていた。
- 48 :
- 何このいい雰囲気!!!!!
- 49 :
- 期待!
- 50 :
- Sさんかわいすぎるだろ
- 51 :
- 「なんでアドレス聞かなかったんだよ!」
テスト期間、Aの家で4人で勉強していた時だった。
図書室でのことを3人に話すと、Bが声をあげた。
ああ!もう!と両手で顔を覆ってじたばたする。
「ふたりっきりだったんだろ!?なんで!?」
と大げさに詰め寄ってくる。
俺もちらっと考えた。聞こうかなと。
でも、そんなことしたらそれこそ好きだって認めることになるし
下心見えてたらSさんに引かれそうだし引かれたら終わりだし。
「お前こそTさんの連絡先知ってんの?」
見かねたAが助け舟を出してくれた。
BはAの言葉にばつが悪そうに視線を泳がせた。
「…まだ」
急に声が小さくなるB。
Tさんのこととなるとすぐ弱気になる。
「なんでだよ。実行委員同士ならいるだろ?」
「タ、タイミングってもんがあるんだよ!聞きづらいんだって!」
Aは間をおいて、はあ、とため息をついた。
- 52 :
- お前らは揃いも揃って、と言いたげな目をしている。
俺とBは何も言えず小さくなるだけだった。
俺Sさんの連絡先知ってるよ」
Cが、もくもくとテキストを解きながら言った。
3人で目を丸くする。
なんでも、CとSさんは同じ中学校に通っていたらしい。
なんで言わなかったと詰め寄るBにCはこういうことになってるのを知らなかったからだと答えた。
Cから教えてもらおうぜと意気込むBに俺は
「いいわ、大丈夫」
とわけのわからない返事をした。
もし聞くなら自分で聞くつもりだった。
少し意地を張っていたのもあるけれど。
いつもの落ち着いたトーンで話すと
AもBもCもそれ以上は何も言わなくなった。
- 53 :
- みてるぞ
- 54 :
- 追いついた。
いい展開やないかい!
- 55 :
- 七月の末頃から体育祭、文化祭に向けての準備が始まった。
BとTさんはクラスメイトにデザインしてもらった原画を持って
Tシャツを作りに行き、残りの体育祭班が自由に応援旗を作っていた。
そこでもAは舵を取っていてみんなから慕われていた。
文化祭班はまず必要なものをリストアップして、と
地味な作業から取り組み始めた。どこで買うと安くすむか頭をひねった。
結局、最初に誰かが提案した、学校の近くの卸売店で買うことになった。
ある程度方針が決まると今度は衣装作りに取り掛かり始めた。
生地を買って、寸法を測ってとすべて女子が担当してくれて
男どもは叱られながらメジャーに巻かれた。
「1。気をつけして」
Jさんが言う。俺ははい、と言って椅子から立ち上がった。
メジャーで首回りや胴回りを測られて、ああ、俺もメイド服着るのかと落胆した。
「よし。オッケー」
Jさんはそう言って満足そうに笑った。
- 56 :
- 今北3行
- 57 :
- >>56
>>1とSさん
純愛
文化祭展開くる!?
- 58 :
- >>57 さんくす
- 59 :
- 文化祭マジックってこわい
- 60 :
- 「なあ、俺も着るの?」
不服気にJさんに尋ねた。
メイド服は全員が着るわけじゃない。
クラスのだいたい3分の1程度で、あとは着ぐるみだったり
まあ制服にエプロンだけの手抜きだったりするのだ。
「もちろん」
何やら布に印をつけながらJさんは返した。
俺は小さくため息をついた。
Jさんとは中学が同じだった。
2年の時に一度クラスが一緒になって結構話もした。
背が高くてすらっとしていて、美人。どちらかと言えば男っぽい性格をしていたが
仕草や声がかわいらしかった。声については本人のコンプレックスでもあったようだった。
裁縫が得意なJさんが中心となって衣装作りが行われた。
教室で控えめにお菓子を広げて、音楽をかけて楽しく縫っていた。
俺は奥で控えめに裁縫しているSさんを盗み見た。
茶色い縁の眼鏡をかけて真剣に針をさしていた。
- 61 :
- みてるぜ
- 62 :
- 暇なとき芸能人で言うと誰に似てるとかどんな顔だったとかも教えてくれ
- 63 :
- 手持無沙汰な男子は木で立て看板を作ることになった。
釘を使うので作業は外で行う。
ちょっとトイレ、と校舎の中に入った時だった。
ばったりSさんとはち合わせた。おお、とSさんが笑う。
眼鏡がなくなったかわりに青いタオルを首から下げていた。
ちょうど、立て看板の様子を見に来たらしい。
「順調?」
と背伸びして顎をあげて立て看板の出来を見ようとする。
俺も振り返って確認した。まだまだ、模造紙の大きさを決めている段階だった。
「そっちは?」
今度は俺が尋ねた。
Sさんは、順調だよと目じりを下げて、歯を見せて笑った。
ほんの少し立ち話をしていると、Jさんが降りてきた。
Jさんも、看板の様子を見に来たらしい。Sさんを見て少し目を丸くした。
順調?と、JさんはSさんと同じ質問をした。
俺は見ての通りだと言わんばかりに看板を振り返った。
Jさんは、作業風景を見て、暑そうだなと眉を潜めていた。
「じゃあ、私はそろそろ戻るね」
振り返ると、先にあがってるねとJさんに。
俺には、がんばって、と言ってSさんは階段を駆け上がった。
- 64 :
- ふむふむ
- 65 :
- >>62
Sさんは宮崎あおい系統の顔
黒髪で肩くらいまでの長さ、身長は普通くらい
Tさんはあえていうなら雰囲気大島優子みたいな感じ。
ちょっと焦げ茶のロングでちっちゃい
Jさんはなんとなく昔の飯島圭織に似てるかも。
黒髪ロングですらっとして背が高い。
- 66 :
- 「…なに?二人付き合ってんの?」
少し窺うようにそーっとJさんが俺に聞く。
慌てて、いや、いやいやいや、とあからさまに否定すると
そんなに言わなくてもとJさんは呆れたように笑った。
そして口もとを手で覆ってにやけながら言った。
「でも、好きなんだ?」
「ちがう」
脊髄反射で即答した。
「いいって。嘘つかない嘘つかない」
見てて分かるし、とJさんは続けた。
俺はそんな見てたのか。確かに見てたかもと自問自答して項垂れた。
もう、否定しても聞かないだろうと諦めているとCがきた。
「トイレどんだけ長いのかと思ったら」
と笑って言った。ごめん、すぐ行くわと返してCの頭から足先まで見た。
「あはは、びしょびしょ」
濡れたシャツを摘まんで、俺が言う前にCが言った。
いくらなんでもここまで汗はかかんだろと作業場を見ると
ホースを持ってじゃれるクラスメイトがいた。どいつもこいつも水浸しだ。
模造紙や板、ペンキなどの道具ちゃっかり安全圏に移動させてあった。
「うわっ!なにやってんの?」
Jさんが、ばかだなと笑いながら窓から作業場を見る。
そんなに濡れてどうやって帰んのと楽しそうに。
暑いから、そんな奇行に走ったんだと暴れるホースを追いかけるクラスメイト。
俺も混ざりたくなってCと走って作業場に戻った。
後々同じく教室で作業していた体育祭班の男も噂を聞きつけ参戦。
職員室から担任に叱られたのは言うまでもなかった。
- 67 :
- 寝ます。今日一日付き合ってくれた人ありがとう。
明日は一日予定があるので、更新は隙があればちょいちょい不定期に、
なければ夜に少しだけすると思います。おやすみなさい。
- 68 :
- 追いついたのに・・・
- 69 :
- まってるよー
- 70 :
- おもしろそうだから最後まで書いてくれ
- 71 :
- 待ってるぜ
- 72 :
- 捕手
- 73 :
- 追いついた
気長に待ってます
- 74 :
- 体育祭班も仕事が終わり、文化祭の準備を手伝ってくれた。
作業をしているうちに、どんどんクラスメイトと仲良くなった。
Tさんともそれなりに話すようになったが、急速に仲良くなったのはJさん。
というのも隙あらばこっそり冷やかしてくるから。
Jさんはその性格からABCとも仲がよかった。
Sさんと俺は相変わらずで、たまに俺が自転車をおして、
家の近くまで送ったりする仲になっていた。
でも、ここまでしても不思議と彼女から脈を感じなかった。
一枚壁を作られている、そんな気がしていた。
ある日、Bが、皆で遊びに行こうと言った。
AもBもCも、TさんもJさんも賛成した。
Aが、誘えよSさん、と耳打ちしてきた。
ああ、三人が俺を見兼ねて企画してくれたんだな、そう思った。
あんなに否定していたのに、いつからか、好きだと認めていた。
直接口に出したことはなかったけど、俺はSさんが好き、
それが仲間内では当たり前のようになっていた。
ありがたい気持ちとそっとしておいて欲しい気持ちが混ざって
なんだかもやもやとしていた。不安だった。
俺は準備の帰り道、Sさんを送っていた。
「あのさ」
「んー?」
夏の夕暮れ、気持ちいい風が吹いていた。
きれいな赤とオレンジに包まれていた。
鳥の鳴き声やどこかの家の夕食の匂いがしていた。
Sさんは荷物を俺の自転車のかごにいれて、
生えてる道草を足で軽く蹴りながら歩いた。
帰り道はいつもそれほど会話はなかった。
俺は息を吸い込んだ。
「みんなでさ、遊びに行かん?」
できるだけ軽く言った。
内心はど緊張だった。
だって、学校の外で会うのは初めてだから。
中で会おう、と誘うのとわけが違うんだ。
Sさんは下を向いて落ちていた髪を耳にかけた。
その横顔は、少し何かを考えているように見えた。
- 75 :
- 待ってたぞ
- 76 :
- みんなレス、保守ありがとう。
できる限り更新します。
- 77 :
- 来たか
- 78 :
- 追いついた
みてるよー
- 79 :
- 哀しいくらい青春だな
- 80 :
- 見てるよ
- 81 :
- 捕手
- 82 :
- >>22
それなんてきみまち
- 83 :
- 頑張って1
- 84 :
- C
- 85 :
- 捕手
- 86 :
- 保守
- 87 :
- マダカナーヾ(o´∀`o)ノ
- 88 :
- ふいにSさんがぴたりと足を止めた。
俺もからからとついていた自転車を止めた。
「いいね〜。いつ?」
Sさんが笑顔で問う。
俺はどっと緊張からとけて、肩の力が一気に抜けた。
からからと自転車をついてSさんの横に並んで止まった。
「今週の土曜日」
足下の、アスファルトの隙間から生えた雑草を見ながら言った。
黒い影が先の方までずっと伸びている。二つ並んでいる。
「わかった。あけとくね」
Sさんの言葉に俺は顔をあげた。
眉を下げて、笑うSさんと目が合った。
胸の奥がざわざわとして、きゅっと萎む感覚がした。
後から、じわじわ滲むように喜びが押し寄せた。
俺は慌ててSさんから目を逸らして足下に目線を落とす。
Sさんの茶色いローファーがすぐ近くにある。
道路に散らばった砂利を蹴った。
悟られないように、ん、とだけ返事をした。
今週の土曜日が楽しみだ。
歩き始める。
頬が緩みそうになるのを手の甲で隠して、噛み締めた。
今日は眠れないかもしれないなと、浮かれた気分だった。
- 89 :
- きたああああ
- 90 :
- 遅くなってすいません。
保守、ありがとうございました。
家に着いたので続き書きます!
- 91 :
- 待ってた!!
- 92 :
- おもしれー
- 93 :
- お、来てたんか!
待ってたで!
- 94 :
- 待ってたぞ!
- 95 :
- その日は家に帰ってからも上機嫌だった。
玄関の靴もちゃんと揃えたし、お風呂だって無言で磨いた。
何でもやってあげたくなった。浮かれていたから。
どういう風の吹き回しかと家族は困惑していた。
我ながら単純だなと思う。
Sさんから了承を得たとABCJに伝えると、
みんな自分のことのように、むしろそれ以上に喜んでくれた。
「よっしゃあああ!どこ行く!?どこ行く!?」
椅子に足をのせてガッツポーズをして、
Bは浮かれ調子でキョロキョロと皆を見た。
「海じゃね?」
夏だしなあ、とAが続ける。
「海!いいねえ!海!」
Bのテンションが天井知らずで手を叩いて喜ぶ。
Aが机の上で汗をかいているスプラウトのペットボトルを掴み、ぐいっと飲んだ。
机の上に広がったドーナツ型の水たまりを指でならしながら、
「だったら川がいいよ」
電車で行ける距離にあるし、とJが言った。
木陰もあって涼めるし人も比較的少なめだ、と。
あ〜、なるほどなと男子陣が声をあげる。
「てかTさんとSさんには聞かなくていいのかよ?」
ハッとしたようにAが俺とBを見ながら言った。
「決まったら言ってくれって」
昨日、Sさんが別れ際そう言ったことを告げた。
あの時の何とも言えない気持ちが蘇って、俺はまた浮かれた。
「Tも遊べるならどこでもいいってさ〜」
Bは少し気まずそうにそう言った。
Bは、Jが自分の気持ちを知らないと思っているので
Aが自分にTのことを尋ねたことでバレやしないかとヒヤヒヤしているのだ。
Jはとくに気にもとめず、くるくると机の上の水溜りをのばしている。
残念ながらすでにバレバレだった。
- 96 :
- なんとなく、夏と言えば海だろうという気持ちが邪魔してか
俺たちは川案に対して歯切れの悪い返事をしていた。
Jは、どこでもいいけどさ、と言った。そして
「近くにログハウスあるし、BBQもできるけどね」
と続けた。
俺たちの目はあからさまに輝いた。
そこがいいそこがいい!!最高じゃん!とBが立ち上がる。
花火も持って行こう!な?とキョロキョロ皆を見た。
全員が川案に賛成した。
場所は電車で1時間ほどの距離にある川。
11時からで、星も見たいし1泊するのはどうだという話になった。
俺はさっそく明日、Sさんに言ってみるわと立ち上がった。
AとJは、まだ連絡先聞いてなかったのかよと呆れた。
「クラスメイトで、そんなに仲良くて、知らない方が不自然だから」
とJは俺の胸元を指差して語気をつよめて言った。
「まあ、さすがに土曜には聞くだろ」
とAがスプラウトを飲んで口を拭いながら言う。
Bはもうその話題については触れなかった。
「まあ、そのうちな」
俺は苦笑いしながら言った。
慎重になりすぎるのもよくない。分かっている。
でも、ゆっくりと距離を詰めたかった。
下手に近づきすぎると彼女が遠くなる気がした。
恋愛感情を挟むと今までのように接してくれない気がした。
せっかくここまで仲良くなれたのに壊したくなかったのだ。
そんなのは言い訳。それも分かっていた。
連絡先を聞くだけでここまで考える俺はただの臆病者だなあと
考えるのに疲れて、他人事のように思っていた。
- 97 :
- 追いついた
Sさんみたいな人って笑ってる顔見るだけで嬉しくなる
- 98 :
- 明くる日、Sさんに昨日の案を伝えると、
泊まりは無理なので終電には帰ってよいかと言われた。
冷静に考えると、そりゃそうだよなと考えなおし、
全員終電で帰ることにした。Bが少し残念そうにしていた。
待ちに待った土曜日。
俺は寝坊することなく時間通りに起きた。
浮ついたまま顔を洗って、歯を磨いて、朝食を食べて、
服を着替えて、髪をセットした。
お気に入りの白いTシャツに紺色のデニムを履いて、スニーカーに足を入れた。
ウエストポーチを斜めにかける。胸でカチッと音を立てた。
玄関の扉をあけると白い光と夏の熱気と蝉の鳴き声が一気に押し寄せた。
俺は私服のSさんを想像した。
どんな格好で来るだろう。初めて見る。
歩きながら緩みそうになる口元を手で覆った。
暑さとかもう、どうでもよかった。かかって来いって気分だった。
- 99 :
- 電車に乗りこみ、扉を背もたれにして立つ。
会うまでのこの時間をたっぷり味わいたい。
好きな人を待つ時間って、すげえなあと感心した。
電車に揺られること20分。Sさんが乗車してくる駅だ。
俺は動く電車の中からSさんの姿を探した。
あれか? ちがう。
あれ? ちがう。
何度かそんなことを繰り返していると、
電車は乗客を乗せて発車した。
落胆した。ちがう車両に乗りこんだのだろうか。
俺は前の車両を背伸びして覗き込んだ。
「あの、1くん?」
反射的に振り返った。
後から思考と感情が追い付いてくる。Sさんだ、と。
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