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2013年03月ピュアAU186: モノラル隔離病棟 (325) TOP カテ一覧 スレ一覧 2ch元 削除依頼
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モノラル隔離病棟


1 :2012/08/19 〜 最終レス :2013/03/05
ようこそ、毎日モノラル漬けにならずにおれない中毒患者様。
音楽の本質だけを骨太に再生するモノラルについて語ってください。

2 :
2000年以降の主な動向
2000年 米オーディオ界の重鎮ヘンリー・クロス氏が
    Tivoli Audioでモノラル・ラジオ Model Oneを設計。
2007年 江川三郎氏が、オーディオ・アクセサリー誌にてモノラルにカミングアウト宣言。
    「モノラル再生という原点を見直す」2007年春
    「音楽を聴く理想の場所とモノラル再生」2007年秋
    「理想の再生とモノラルのメリットを検証」2008年春
2009年 ビートルズのモノラルBOXが発売。
2011年 フルトヴェングラーのSACDが英EMIより発売。

3 :
現在も製造中のモノラル・カートリッジ(SP用含む)
DENON DL-102
Audio Technica AT-MONO3/LP, SP, AT33MONO
Ortofon SPU Mono G MKII, SPU CG-25DI MKII, OM D25M, OM-78, Cadenza MONO, 2M MONO
SHURE M78S
EMT OFD25
・・・他多数

4 :
モノラル時代のアメリカの録音スタジオには4台のA7がフライングで設置されていることがよくある。
http://www.lansingheritage.org/images/altec/catalogs/1971-home/page02.jpg
http://www.flickr.com/photos/fuoriporta/1266716173/
http://www.precambrianmusic.com/united3a.jpg
これは既にマルチchで放映されていた映画用トラックをプレイバックするためのもの。
当然、マイクもマルチ・チャンネルで収録されている。
ただし、プレイバックの音はかなり音圧が高かったと言われる。
一方で、ラッカー原盤を作るカッティング・ルームは、シンプルな1本での再生が多い。
http://www.preservationsound.com/wp-content/uploads/2011/09/ReevesSoundStudios_NYC_1950.jpg
http://www.pavekmuseum.org/mullin/mullin200.jpg
http://i1.squidoocdn.com/resize/squidoo_images/-1/draft_lens2172013module86893681photo_1267112035NBC_Recording_Room.jpg
http://www.wilmut.webspace.virginmedia.com/iblog/C14564315/E20060706113241/Media/recording.jpg
http://www.flickr.com/photos/30969937@N06/3820390718/
こうしたことから、広い会場では数本のスピーカーで鳴らすのも可。
日本のほとんどの家屋の試聴では1本のみで鳴らすのが適当となる。

5 :
Hi-Fi録音の象徴である33回転LPが発売される前哨戦として
アセテート盤へのダイレクトカット・レコーダーがあった。
Presto社のレコーダーは、元々は映画撮影用に企画されたが
1934年に発売した翌年にはNBC放送局が採用することになり
業界のデフォルト・スタンダードになった。
http://www.televar.com/grshome/Presto1.html
http://www.televar.com/grshome/Presto2.html
最大16インチのラッカー盤には最大15分収録可能で
業務用ターンテーブルでみかける16インチのものは
アセテート盤を再生するためである。
内周差からくる高域の減少を改善するため、Autpmatic Equalizerを装備し、
当時のカタログでは70〜7,500Hzまで再生できるとされた。
http://www.steveespinola.com/lathetrolls/resources/Presto_6N_Manual_Color.pdf
これはWE社のWide Range Systemに対応している以外にも
AM放送の規格にも合致している。
このアセテート録音機は1950年代まで使用され、特にロカビリーの録音で多用された。
エルビスがデビューしたSUNレコードでは、基本的にPresto社のレコーダーを使用している。
http://s552.photobucket.com/albums/jj340/joeyaltruda/?action=view¤t=Elvis-SamPhillips-SunRecords.jpg
また、1960年代のビートルズのBBCセッションには、ダビングされ地方局で使用された
アセテート盤がブートレッグとして出回ることもある。
1970年代にLP盤で各国の放送局に提供されたBBCライブは、この延長線にある。

6 :
Hi-Fi規格の起源を第二次大戦後にドイツから広まったテープ録音技術にあるというのが一般的である。
しかしながら、Hi-Fiという言葉は1930年代には既に一般化されており
Zenith社が1935年から製造した Stratosphereという高級コンソールラジオは
"Hi-Fi Radio"と称され、ensen製の12インチウーハー×2本と597と同等のツイーターを実装し
50Wパワーアンプで再生周波数30Hz〜15kHzとトーキー並の実力をもっていた。
http://www.flickr.com/photos/ksupley/5492888341/
これに対応する音楽ソースは、ラジオの生放送ライブといったら驚くだろう。
FM放送開始以前の話であるが、AM放送でも32kHzのIFフィルターでHi-Fi再生が可能だった。
ドイツがマグネトフォンによる録音を放送した際、ライブ中継と間違ったと言われるが
裏をかえせば当時の生放送の音はそれだけの実力のあったことになる。
Scott社が同様のHi-Fiラジオを製造する際には、SP盤のスクラッチ・ノイズを減少させるため
高域にノッチフィルターを装備したこともあった。同様のフィルターはThordarson社の
Tru Fidelityアンプにも実装されている。
http://file.vintageadbrowser.com/l-pmxzczpowjncqq.jpg
http://www.tubebooks.org/Books/Atwood/ThordAmp.pdf
ちょうどこれと並行して、ランシングのICONICモニターが1937年から製造された。
最初の広告には、やはりラジオの音楽再生がリストされているが
最も大きな関心を寄せたのが、NBCをはじめとする大手放送局だった。
http://www.lansingheritage.org/images/lmco/advertizements/1937-electronics.jpg
http://www.lansingheritage.org/images/lmco/advertizements/1939cat-1.jpg
つまり、Hi-Fi録音がLPと共に一般家庭に届けられる15年前、しかも第二次大戦の最中に
Hi-Fi技術そのものは一部の人に知られ、現在のオーディオの原点に立つことが判る。

7 :
ランシングのICONICモニターも全くPAに使われなかったわけではなかった。
以下の写真を見ると、Altec A7と604の中間的な存在であることが判るだろう。
http://2.bp.blogspot.com/-4wnRRbk7leg/TwSMvtzZaSI/AAAAAAAAXy4/FmRdB9jQt6Y/s1600/ICON.jpg
同じサイズならA8のほうを思い浮かべる人もいるかもしれない。
しかしこちらは、FM局用に開発されたWE 753モニターのAltec版であり、
それをPAに応用したものである。(同じことは755Eにもいえる)
有名な604の開発は、ICONICモニターを録音スタジオ用に最適化することから始まる。
1943年にリリースされた後のことは、誰もが知る通りである。
一方で、この604は家庭用として積極的には売り出させなかったというのは言い過ぎだろうか。
Altecの家庭用システムには、バレンシアをはじめA7を小型化し装飾を加えたものが多く
家庭用に開発されたユニット(601やbiflexシリーズ)はそれほど多くない。
やはりVoice of the Theaterへの憧れは当時からもあったといえる。

8 :
Hi-Fiの歴史では、WE→Altec→JBLというアメリカ西海岸の伝統が持ち上げられるが
当時、もうひとつ大きな影響を与えた人物としてPaul W. Klipsch氏が挙げられる。
クリRュ・ホーンが有名だが、エレクトロヴォイス、ヴァイタヴォックスなどに
パテント供与した他、タンノイがオートグラフを作る切っ掛けともなった。
これによりモノラル期のコーナー・ホーンの黄金時代を築くことになる。
クリRュ・ホーンは、500Hz以下を低音用ホーン部分で受け持ち
壁面の反射を利用するため、周囲120cmは物を置かないように指定し、
理想的には9m四方(25畳)の部屋が良いとされる。
低音だけは15W必要だとするが、500Hz以上は2Wで十分であるとし、
10Wを入力すると300名の会場でも十分な音響を得られるとされる。
http://www.hifilit.com/hifilit/Klipsch/1953e.jpg
これは明らかにバイ・アンプを意識した設計であり、
低音の重心の低さを重視するイースト・コーストの伝統をみることもできよう。
ただし出てくる低音は、風のように軽いもので、これみよがしに重低音を強調したものではない。
当時の低音楽器は、コントラバスとオルガンしかなかったはずであり
コーナー・ホーンの包み込むような低音と相性が良かったといえる。

9 :
1960年代以降の視点でみると理解しがたいのがワイドレンジ・ユニットの存在である。
1948年のJBL D130の発売を皮切りに、各社から12〜15インチのユニットが出された。
これらは、いずれも再生周波数は80〜8,000HzでHi-Fiの規準は満たしておらず
ワイドレンジという名から想像するよりも、低音も高音も出ないユニットである。
一方で多くのユニットが1949年のLP発売以前の開発であり
まだ78回転盤が市場では優位だった時代のものという理解が必要である。
業務用のジュークボックスにもワイドレンジ・ユニットは多用された。
Hi-Fi時代のシステムが従来の電蓄と違うところは、一体型で売られるよりも
専門メーカーによりLPに対応したレコード・プレイヤー、アンプ、スピーカーと
別々に売られたことで、組み立て費用を削減できるキット製品も数多く存在した。
スピーカーでは最初ワイドレンジ 1本でスタートし、ツイーターを追加しステップアップする
というストーリーが一般的であった。その間にLPの枚数を増やすのと比べ悩むのである。

10 :
最も有名なJBL D130の場合は、1970年代まで長く製造されたため本数はかなり多い。
最初の頃は65〜6,500Hz(最大40〜15,000Hz)とされ、この帯域は概ねフラットである。
http://www.lansingheritage.org/images/jbl/catalogs/1950/page4.jpg
これの高域を補うユニットはD175であり、初期のマルチセルホーンから音響レンズを
付けたストレートホーンまで、いずれも高域のエリアを広くとるモノラル期の特徴がある。
これに対し1956年からは砲金製の075がハークネス等のバックロード箱に組み入れられることで
ビバップやロカビリーに相応しいパンチのある音を志向するようになった。
ステレオ時代の1960年代は、よりフラット志向のLEシリーズに圧された格好になるが
D130が再び脚光を浴びたのは、1970年代のロック・ステージにおいてであった。
音離れのよいボーカル域を司るD130は、まさに音響の中心を担うのに最適であり
通常はフロントロードホーンが、より小さいステージ用にバックロード・ホーンが用いられた。
http://www.lansingheritage.org/images/jbl/catalogs/1978-pro/page08.jpg
ただしこの時代の2135では、PA用途に特化し帯域幅を狭めていて、2wayとBLH箱は必須となる。
http://www.lansingheritage.org/images/jbl/specs/pro-comp/2135/page2.jpg
こうしてみると、同じD130でも時代毎のニーズによって変化しており
そのニーズに合わせてセットを組むべきであろう。

11 :
〜と思うのですが如何でせぅ?

12 :
〜と思うのですが如何でせぅ?

13 :
<<ソロヴォーカルをモノラルで再生する必要は無い!>>
<<ソロ演奏をモノラルで再生する必要は無い!>>
スミマセン。大変な間違いを犯していますた。
ソロヴォーカルをステレオで再生する必要は無い!
ソロ演奏をステレオで再生する必要は無い!
以上訂正してお詫び致します。

14 :
Rよ

15 :
イギリス製スピーカーといえば、タンノイやクォードに代表される個性豊かな
メーカーが多いが、そのなかでもひときわ個性的だったのはLowtherである。
一般的にはバックロードホーンのアコースタだけが知られ、強力なサブコーンの響きが
Lowtherのサウンドポリシーとして取り上げられることが多い。
しかしそれは大きな誤解で、ユニットさえ見えない音道の長いフロントロードホーンでも
高域の減衰が起きないように設計されていたと思える節がある。
創業者のPaul Voigt氏は、1933年に自身の特許管理を行うVoigt Patents社を設立。
その第一弾が、Voigt Domestic Corner Hornである。
http://www.r-type.org/timeline/ww1933-a.jpg
http://www.lowthervoigtmuseum.org.uk/images/Small/voigt_me_3.jpg
 フロントロードホーンの一種だが、狭い場所に置けるコーナー箱でもあり
 16cmのフィールドコイル型のユニットは、糸吊りダンパーなど先進性が高い。
 タンノイも一時期、このタイプの箱を作っていた。
1949年よりLowther社として事業を引き継ぐが、ここでは低音の増強のため
フロントロードホーンに加え、バックロードホーンを備えた。
1951年にHegeman、1954年にTP-1をリリースした。
http://www.lowthervoigtmuseum.org.uk/lowtherHegeman.html
http://www.hifilit.com/hifilit/Lowther/1960-2.jpg
 この外観をみて、フルレンジ1本のみで鳴らしているとは誰も思わないだろうし
 実際に大型ホーン並のレンジの広さ、反応の良さを誇る。
 ちなみにこのときのPM3Aは大きい電球のようなディフューザーの付いた20cmユニットである。
こうしてみるとLowtherにとってアコースタは単なるファミリーカーで、創業当初から
レーシングカーなみのチューンナップが施されたスピーカーを作るメーカーであったと言える。

16 :
イギリス製スピーカーで日本において最も人気のあるのはタンノイであろう。
1947年にDual Consentoricユニットを開発して以来、1953年のAutograph、1955年のGRFと
大型コーナー型キャビネットの傑作を残した。家庭でホールの響きを再現できるということで
クラシックの再生では最右翼に位置付けられている。
http://www.positive-feedback.com/Issue49/images/6%20Autograph%20Corner%20Horn%20Line%20Drawing.jpg
一方で、タンノイには様々な顔があり、ひとつはスタジオ・モニターであろう。
何かと因縁の深いデッカとの関係は、1949年に家庭用コンソール・システムのDecolaに採用された
ことから始まるが、1950年からは正式にスタジオ・モニターとして採用される。
最初はプレーンバッフルによる壁埋め込み型だったが、Canterburyを使っていたこともある。
写真はステレオ期のものだが、比較的古いコーナー型を使用していたことが判る。
http://www.philsbook.com/decca_files/Kev_Studio3.jpg (1976年のデッカ・スタジオ3)
しかしスタジオで最も使用されたのはLockwood社製のバスレフ箱に詰めたタイプで
これは1951年のEMI アビーロード・スタジオにも採用された。
http://www.philsbook.com/decca_files/Kev_Studio1.jpg (1960年代のデッカ・スタジオ1)
http://www.lockwoodaudio.co.uk/images/lockwood2_lrg.jpg
タンノイを普通のバスレフ箱に入れたときは、その切れ味の鋭いエネルギー感に驚くことがある。
ある意味でアルテックのホーンよりもキツイ音かもしれない。それだけテンションの高いユニット
だからこそ、背面に大きめのホーンロードを担いでもバランスが取れるのだと思う。

17 :

意外な使われ方は、先に書いたデッカ社の家庭用コンソール・システムのDecolaでの採用だろう。
http://www.tvhistory.tv/1954-Decca-121.JPG (写真中、右側がDecola)
最初の1947年にはグッドマンズのユニットを使っていたが、1949年にタンノイを採用したときには
デッカ社はモニター・ブラック12を一気に900本購入したという。
こちらは、12インチの同軸ユニットを中央に置き、両翼にウーハーを付けたものだが
一体型コンソールに与えられたスピーカー箱の容積は極めて小さい。
http://img15.hostingpics.net/pics/252654P1080481.jpg (写真はグッドマンのユニット)
ここでも低音:高音=3:1なので、音響のバランスは低音寄りといって良いだろう。
とはいえ、アンプはPX25Rュ、カートリッジは自社製なので
スピーカー単体での単純な計算でDecca ffrrのバランスを論じるのは無理であろう。

18 :
クォードの静電型スピーカーのファンは、一度ハマるとその繊細なトーンの虜になる。
多分、家庭用スピーカーのうちでも最もスタイリッシュなもののひとつであろう。
http://soundvintagehifi.com/contents/media/lycklig%20quad.jpg
http://www.opusklassiek.nl/boeken/afbeeldingen/ditmars.jpg
ともかく1981年まで現役だっため、モノラルで聴く人は少ないと思われるが
ESLは1957年に発売された歴としたモノラル時代のスピーカーである。
ただしプレーナー型独特の指向性をもつため、試聴位置は基本的に正面からとなる。
http://quadesl.nl/img/Stereoplay_June_1978.jpg
http://www.nutshellhifi.com/MLS/MLS2.html
スピーカーの正面に座って音楽を聴くのは、今では当たり前だが
モノラル期の試聴位置は、スピーカーの脇に座って聴くことが多かったようだ。
http://2.bp.blogspot.com/-LlphJopSLio/TwxYTIqLBLI/AAAAAAAAX1Q/HrnDkGQ3Ksk/s1600/J160.jpg
http://www.network54.com/Forum/27140/message/1289001164/Who+Listened+to+Bix-+....
http://3.bp.blogspot.com/_NVQujPOPx2c/TScteFgpYhI/AAAAAAAATqE/Acu-0Ap6_Nw/s1600/university_range1.jpg
http://3.bp.blogspot.com/-euc3xCQFWJs/T_GUHh_Vn4I/AAAAAAAAFA0/5sxdZBCDfGk/s1600/bing-crosby-philco-1946.jpg

19 :
最スピ、オマエはスピーカースレを作りたいのかい?

20 :
意外に宣伝で多いのが、タンスにスピーカーを組み入れるタイプ。どれほど実行されたかは知らないが
壁に埋め込むのがオシャレだったようだ。
http://3.bp.blogspot.com/-MTTC8bPStOU/TwxYEU83_fI/AAAAAAAAX0Q/QouiUsC7n08/s1600/J155.jpg
http://www.hermanmiller.com/content/dam/hermanmiller/page_assets/products/Nelson_Thin_Edge_Group/design_story_nelson_thin_edge_1.jpg
有名人には何と言うか変な聴き方をする人が目立つ。
レコードを枕にして寝ながら聴くクリント・イーストウッド
http://www.flickr.com/photos/sweetvintagegal/6869336873/
スピーカーにお尻を向けて聴くサッチモ
http://www.aes.org/aeshc/docs/recording.technology.history/images3/PDRM4603a.jpg
http://www.lisaltzman.com/wp-content/uploads/2011/06/LSA-P-Armstrong-Pic-4a.jpg
旅行には必ずポータブル・プレイヤーを持って行くエルヴィス
http://24.media.tumblr.com/tumblr_m965uu2Hgv1qa70eyo1_r1_500.jpg
どうもあのクルクルが気になるらしい。
http://25.media.tumblr.com/tumblr_m4jga10Fgl1qmvhifo1_500.jpg
ともかく、家庭でのモノラルの聴き方はラジオから派生しているだけあって
非常に自由度の高いことだけは伺える。

21 :
部屋の四隅にスピーカーおいて、爆音再生して真ん中に座って聞いてたトスカニーニとかね。

22 :
トスカニーニとVOTTの関係は未だに伝説的ですな。
自宅でのシステムを写真等で見ることができれば良いですね。
1946年の自宅:大型電蓄でSP盤を聴く(結構な数のレコード棚)
http://www.gettyimages.co.uk/detail/news-photo/arturo-toscanini-in-his-study-at-home-news-photo/50875518
1949年:RCA開発のドーナッツ盤のテスト機を眺める
http://i.ytimg.com/vi/uybdqAxR-ZE/0.jpg
http://www.aes.org/aeshc/docs/recording.technology.history/pix/45rca.GIF
http://doitagainthemovie.com/wordpress/wp-content/uploads/2010/03/RCA_45_J_with_record.sized_.jpg
8Hスタジオでの収録風景(1942年改修の前後):マイクは常にRCA 77型を複数本
http://www.loc.gov/wiseguide/may10/images/samuel_B.jpg (1938年)
http://www.coutant.org/celeb6/nbcsymph.jpg (1944年)
http://www.coutant.org/antler/index.html

23 :
NBC楽団員のDavid Sarser氏がトスカニーニの自宅に納品したとされるシステム
Ampex 300 → カスタムアンプ(Musicians Amp) → Altec 604B
1949年のMusicians Ampと呼ばれる807Rュの詳細は以下を参照。
http://oestex.com/tubes/mus_amp%20.pdf
その後このアンプはMaestro Ampとして6146Rュに改良された。
http://oestex.com/tubes/maestro.html
David Sarser自前のスタジオ3の構成
http://www.reevesaudio.com/studiothree.html
MIC → Altec 436 → Pultec EQP-1(MEQ-5) → Altec 1567A → Ampex 300 → Musicians Amp → Altec 601B
この他、Fisher K-10 Space-X-Pander spring reverbs、Macintoshのアンプ、Thorens TD124も所有。
多分、トスカニーニの録音にエコーを掛けようと提案したのは彼かもしれない。

以下のサイトのリストでは、色々な機材が集まっていたようだ。
http://www.audiohistory.com/files/documents/AudioSystemsOfTheRichAndFamous.html
Ampex 300によりテープで試聴することに。
Tape Library in basement:
ターンテーブルはプロ用の録音機材を使用
RCA 16" Transcription turntable
Jerry Minter 16" Transcription turntable
early Westrex disc cutting lathe
アンプ類はSarser氏のカスタムメイド
Pultec pre amp (custom made for AT)
Musician's Amplifier (Nov. 1949 by David Sarser)
スピーカーはちゃっかりRCAのものも置いてあるが
Main Hall にはVOTTが。Study Roomに604とLC-1Aが置いてあった。
Altec 604
Olson LC-1A speakers
Main Hall:
Altec Voice of the Theater (furniture finish)

24 :
トスカニーニが録音後の音決めに使ったシステムは?
1939〜1949年のNBC放送局に装備されたスピーカーはRCA 64型
再生プレーヤーはPresto社のアセテート録音機か
RCA 70型ターンテーブルと71型ピックアップ
http://www.americanradiohistory.com/Archive-Catalogs/RCA-1939-Catalog.pdf
http://www.bayarearadio.org/schneider/kpo_recording-room.shtml
http://www.bayarearadio.org/schneider/images/radio060.jpg
http://itishifi.blogspot.jp/2011/08/rca-mi-4400-1940s.html
RCA 64型はかなりやっかいな代物で、見た目はただの8インチのフルレンジだが
ユニットはダブル・ボイスコイルで高域の暴れを改善した特注品で
さらに高域の拡散のための拡散翼を追加している。
ラビリンスと呼ばれるバックロードホーンは、150Hzでクロスさせ
共振峰をダンピングするためユニットの特性とマッチさせている。
全てが一体設計なので、部分的に真似しようとしても難しい。
アンプは94型の6L6GRュだろう。
一方で、MI-4887カッターレースは、Presto社より高性能で
Hi-Fi使用として30〜10,000Hzをカバーすると謳っている。
ただし71型ピックアップは50〜7,000Hzと一般的で
従来の72型カッターレースは60〜6,000Hzで、これはPresto社より劣る。
上のサンフランシスコ局でもメインはPresto社のカッターレースとみられる。
あるいはNBCの研究所にはLansing Iconicモニターがあったので
それも聴く機会があったかもしれない。1937〜43年まで製造された。
Sarser氏と共同でAmpexの8トラックレコーダーを開発した
Les Paul氏がIconicモニターの愛用者だ。
こうした縁から604Bモニターに巡り会った可能性もある。

25 :
良スレ

26 :
直熱管パワーアンポで有名な千葉の館山コンコルドは
総ての系統がモノラルです。
その再生音を聴いた瞬間にステレオは必要無いと思いますた。

27 :
でも、しばらくしてステレオ録音を聞いたら
やっぱりステレオがいいやと思いますた。

28 :
>27
あなたは今のところ病状がみられないため退院です。
中毒症状が出てきたら、今度はメリル先生に診てもらいましょう。

29 :
トスカニーニといえば録音の扱いが難しい指揮者のひとりといえるが
ともかくラッパ吹き込み時代から決定盤があるため非常にややこしい。
録音をNBC時代に絞ったとしても
1937〜1947年:ラッカー盤&アセテート盤
1948〜1954年:磁気テープ
と分かれており、リリースされている分量はほぼ半々となろう。
前者の覇気のある演奏(70〜80歳:決して壮年期ではない)
後者の落ち着いたノーブルな演奏とそれぞれの魅力がある。
ラッカー盤とアセテート盤の違いは、前者が一般に量販されたのに対し
後者が放送用のアーカイヴである点。
アセテート盤は全米ネットをもつNBCがダビングして放送に使用したもので、
数回針を通すと擦り切れてしまうが、基本的にダイレクトカット盤に近い。
状態の良い復刻に当たるとパリッと乾いた音ながらライブらしい振幅の激しい演奏が聴ける。
これも1937〜39年、40〜44年、45〜47年で少しずつ改善がみられ
1941年のFM放送開始、終戦に伴うドイツ録音技術の移入が絡んでいるように思う。
ラッカー盤もメタル原盤が見つかると非常に良好な音質が得られるのは
1941〜42年に行われたフィラデルフィア管とのセッションでも判る。
ラッカー原盤の場合は1941年時点でも、かなり潤いがあり良好な音で収録されている。
1947年は原盤がラッカーであるが、テープにダビングした後、行方の判らないものも多い。
磁気テープはLP時代に改悪するケースが目立ち、いわゆる鋼鉄サウンドの伝説を生んだが
1992年に元テープからのリマスターで本来の音に戻ったと考えて良いだろう。
多分この音が基準となり、それ以前の録音の復調が叶っているとも思う。

30 :
これと全く逆の過程を踏むのがフルトヴェングラーで
現在の評価のほとんどは、戦後のライブ録音によるものと思われる。
かつてかなり劣悪な復刻が多く出回り、やや食傷気味だったが
TAHRA、auditeなどから良質なリマスターCDが出てきて、過熱状況はまだまだ続くと思われる。
トスカニーニと逆転するのは1941年からのマグネトフォン録音において
あきらかに戦後から1950年頃までの録音の質が悪くなることである。
特に戦中の録音は、ソ連軍が丸ごと接収していったため幻の存在だったが
1987年に返却されてからは、秘密のヴェールが解けつつある。
レンジ的には10kHzまでのようだが、深い低音や輝きのある金管の音を聴けば
戦後まもなくのものよりかなり優秀なことが判る。
戦後の混乱は、明らかに占領軍との録音技術の交錯によるものと思われる。
例えばEMIの1950年のベト7の録音では、元テープをラッカー盤にダビングした後に廃棄。
その後、テープにダビングし直す過程で女性の話声が混入というハプニングも生じた。
DGGの1951年セッションは、元はヴァリアブル・マイクログレードと呼ばれる
78回転盤マスターを後にLP用にテープ・ダビングしたものがマスターとして使われた。
これらは一部で元の78回転盤の復刻が試みられている。

31 :
トスカニーニにしろフルトヴェングラーにしろ、長らく誤解を生んできたのが
大元がラジオ音源であることからくる、当時のリスニング環境への軽視である。
確かに現在のAM放送から想像する音質は、とてもこれで崇高な芸術が理解できる
とは思わないであろう。
しかし当時の生中継の音が、78回転盤より遙かに良好だとしたらどうであろうか?
>6 で示したように32kHzのバンドパス・フィルターをもったラジオであれば
10kHzのフラット再生は楽にクリアできるし、その実力を十分に備えていた。
他にも1930年代の録音マイクとスピーカーを知れば、現在のHi-Fiと全く遜色なく
これのための録音媒体が何であったかに疑問も生じる。この空白を埋めるものが
生中継の音であり、マイクを併用したPA技術である。PAのように生音との対決となれば
15kHz再生もオーバースペックではなくなる。604やオイロダインを聴けば明らかである。
このような素地をもつライブ音源で状態の悪いと思われるものは、
・ダビングの繰り返しによるテープ情報の劣化と出音の鈍化
・ノイズ除去のため、5kHz周辺で過度なフィルタリングを掛けたもの(SP盤の規格と勘違い)
・位相が変わるほど中高域をイコライザーでいじりすぎているもの
等々の理由があると思う。ともかく変な音のものが多かったことも事実である。
アセテート盤の音の立ち上がりは、テープ収録より鋭い場合が多く、音が雑然と聞こえるのは
スピーカーの中域と高域のスピードが揃ってなくて、高域の立ち上がりが耳障りに聞こえるからである。
これを無理に周波数特性で誤魔化そうとするので、本来のプレゼンスが消失した音ができあがるのだ。
一度失われたプレゼンスは、イコライザーで持ち上げても元に戻らない。素人に近い仕事振りである。
あえて言えば、1940年代の規格で8kHzまでを満遍なく再生できれば、十分に生々しい音になるし
ホーンなどは逆にレベルを落とさないと、耳に突き刺さるほどうるさくなる場合が多い。

32 :
同時代のラジオの音を評価するもうひとつの切り口はジャズである。
とはいえ戦前ジャズのこと、戦後のビバップのように、これぞジャズという境界線は極めて薄い。
ブルース、ライト・ミュージック、ボードビル芸人などと仲良く隣合わせである。
1930年代ならベニー・グッドマンのLet's Danceの収録や有名なカーネギー・ホール・コンサート
http://en.wikipedia.org/wiki/Let's_Dance_(radio)
http://www.bg1938.com/
1940年代にはビング・クロスビーのPhilco Radio Timeの収録
http://www.stevenlewis.info/crosby/philco46.htm
この時代のジャズは、必ずボーカル・ナンバーが入るので、その音声を中心にトーンを調整すると
なんとなく落ち着く場所が見つかるので、音が変だと思ったときは仕切り直すと良いと思う。
これらはLPで出されたこともあるが、ほとんどは晩年のステレオ録音を境に忘れられた。
ところが最近面白いと思うのは、やはり時代の熱気というか演奏の勢いの違いである。
これと比べるとステレオ期の録音が譜面を読んでるだけのように感じるから不思議だ。
それと生番組ならではの出演者のタレントぶりも、今ではなかなか聞けない面白さがある。
この時代の録音で無くてはならないのが、中域のスピード感である。
小型2wayではウーハーの反応が重すぎて、絶対にうまく鳴らない。
それ以上に最悪なのが、高域がジャリジャリするアセテート盤の音である。
しかし勘違いしないで欲しい。中域のスピードが足らないスピーカーが押し並べてこうなる。

33 :
1950年代のDGGの音の不可解なパズルは、HMV伝統のコクのある中域に
戦中のマグネトフォンやノイマン製マイクで培った周波数の伸びを足したような感じ。
大元のジーメンスのスピーカーなら解決してくれるかと思っても
1950年代の良好なものを見つけるのは至難の業である。手に入りやすいのがラジオ用では
さすがにフルトヴェングラー様に失礼ではないか? とも思う。
しかしこの時代の家庭用の最高のシステムでも、PA用のワイドレンジに
高音拡散用にツイーターを複数重ねたものである。
http://klangfilm.free.fr/index.php?lng=0&music=&type=2&frame=&item=&title=&dir=data/pictures/loudspeakers/loudspeakers/6ruf-lsp-23a/&num=1
これはKammermusik-Kombination Z59Mというシステムの一部で
Elac Miracord 8Mプレーヤー、AEG KL25オープンリール、EL84Rュのアンプで駆動していた。
http://www.radiomuseum.org/r/siemens_kammermusik_kombination_z.html
スタジオ用モニターと言われるオイロフォンも同様の構造。
http://klangfilm.free.fr/index.php?lng=0&music=&type=2&frame=&item=&title=&dir=data/pictures/loudspeakers/loudspeakers/europhon/&num=1
場合によっては、移動映画館のワイドレンジ一発でレコード・コンサートが行われた。
http://klangfilm.free.fr/index.php?lng=0&music=&type=2&frame=&item=&title=&dir=data/pictures/loudspeakers/loudspeakers/siemens_2000_2/&num=1
もうひとつややこしいのが、当時Teldecモニターとして使われたIsophonのオーケストラの
評判の悪さである。誰が聴いても「つまらない」で一蹴される。
http://www.lup-berlin.de/archiv/Katalog/index.html (1952年のカタログ P.10)
どうもほとんどはコーン型で聴いていたようで、どうみてもラジオとユニットの構成が似通っている。
というより、同じ技術で培われた音調なのだ。

34 :
1950年代のDGGの音調の判断を難しくしているのが、米デッカとの関係である。
ドイツ盤よりプレスの質が良いため、あえてこちらを選ぶという裏技もあるくらい。
米デッカといえば、ハリウッド映画と深い関わりのあったポピュラー音楽のレーベル?
ここで判断が鈍るわけ。ユニヴァーサル・スタジオはAltecの王城である。
こうなるとAltecのもうひとつの側面、映画音楽に多いイージー・リスニングへの適性が
浮かび上がってくる。DGGの45回転シングルというのも変わったレパートリーだった。
こうしたなかで生き残った録音の数々は、たとえジーメンスの技術的後ろ盾があっても
嫌が応にも伝説化するのが常である。VR盤、秘蔵のマスターテープ、謎はまだまだある。
ウラニアのエロイカが半音高いピッチで出回ったというのも時代性のひとつだろうか。
遠い異国の都市伝説のなかを気ままに徘徊するのも、モノラル道楽のひとつである。

35 :
とても面白いです。今後も続けてください。

36 :
>33 でテレフンケンの085aモニターが抜け落ちていることが気になるかもしれない。
ノイマンのカッターレースのモニターに選定されたものだが、
やはりこれも高域拡散用にコーンツイーターが16個付いている。
http://www.gokudo.co.jp/Vanguard/room6/room6.htm
一方で、これはステレオ用に設計されたもので、>33 で紹介した様々な試みの
最終形態であることは間違いない。もちろんモノラルでも十分に鳴らしきれる。
一方で放送スタジオのモニターによく使われたのがIsophonのオーケストラという同軸型で
リリースが1949年ということで、当時からかなり注目を集めていたことが判る。
http://www.fernsehmuseum.info/lausprecherbau-1949.html
いわゆるHi-Fiに対応したユニットでありながら、高音は従来のマグネトフォンでも
耳障りな音にならないばかりか、スピーチのPAにも最適であるとされる。
(実はこれがドイツらしくない大人しい音と言われる原因のように思う)
しかし最も注目されたのはその安さである。家庭用としてもおかしくなく実際に良く売れた。

37 :
実は戦中の1942年にステレオ録音の実験が行われていたが、そのとき開発された
Eckmillerという同軸型スピーカーは、今や伝説となっている。
カラヤンがベルリン歌劇場でステレオ録音したというのも、このスピーカーとセットで実験された。
http://klangfilm.free.fr/index.php?lng=0&music=&type=0&frame=3&item=&title=RRG%20loudspeaker%20with%20Eckmiller%20O15%20(Reichsrundfunk%20Vol.9%20December%201943)&dir=data/documentations/loudspeakers/loudspeakers/rrg_o15/&num=1
http://klangfilm.free.fr/index.php?lng=0&music=&type=0&frame=3&item=&title=Eckmiller%20O15%20(Alnico)&dir=data/pictures/loudspeakers/drivers/o15_alnico/&num=1
http://klangfilm.free.fr/index.php?lng=0&music=&type=0&frame=3&item=&title=Eckmiller%20O15%20(Radio%20Mentor%20Vol.%209/10%201943)&dir=data/documentations/loudspeakers/drivers/o15_radio_mentor/&num=1
1949年のFunk-Technik誌でもこのことが言及されていて、1942年から開発がストップしていたと述べている。
そのとき10,000Hzまでだったのが、16,000Hzまで伸び、かつ安いというのが、Orchesterの大きな強みである。
この記事のなかで、もうひとつ気になったのが、6,000Hzという数字で
実はこれがスピーチに最適な周波数レンジ、すなわち当時のラジオの標準的なレンジであったと判る。
http://www.exdreamnet.de/forum/user/Franky/Seite_12_13.jpg
Isophon自身は、広範なOEM生産をしていたユニットメーカーだったので
ブランド志向というのものはほとんどない。それがオーディオ的な評価の低さに繋がっているが
これも1950年代の考え方のひとつであり、後の1960年代を先取りしていたのかもしれない。
これと日本の家電メーカーと比べて、それほど違いがないというのが、ロマンの希薄さか。
どんな劣悪なソースも耳障りなく聴きたい人には、意外な掘り出し物かもしれない。

38 :
ビンテージのスピーカーにあてるアンプについては、昔から黄金の組み合わせがあるが
名作といわれるアンプの多くは30W以上のものである。EL34、KT88、6550...など今でも需要が高い。
というより、低いfoをもつウーハーを駆動するために、絶対的な駆動力が必要だったし
60年代以降は生き残れなかった。何でも駆動できるアンプは? と問われればこれである。
一方で、1950年代の家庭用スピーカーを駆動するためのアンプの主流は6V6、EL84である。
Altecが民生用に出したアンプは6BQ5Rュが主流で出力10〜20W。これで601は十分に鳴らせた。
アメリカで一番売れたキットアンプGrommes社のLittle Jewelシリーズは6V6Rュであった。
http://www.grommesprecision.com/grommes/assets/pdf/littlejewelreview.PDF
同じキット製品でも、ヒース・キットやダイナ・キットが如何に先進的であったか判るのである。
さらにヨーロッパに目を向けると、さらに小型なものが目立つ。
EL84RュはPA用、家庭用ならEL42(6BM8)シングル駆動で2W程度までである。
1960年代にはラジオ球といって誰もが蔑んでいたし、今もそれほど変わりない。
ここで問題になるのが、スピーカーに掛かる費用との大きな落差である。
折角のビンテージ・ユニットなので禍根を残さぬために、高級アンプをという気持ちも判る。
しかし、ただでさえスピーカーが高能率で、実際には1W使うか使わないかの瀬戸際では、
低出力時のリニアリティについて言えば、小型管のほうが良いのである。
スッとステップを踏み出すときの軽さとでも言おうか。ダンスの基本のようなものだ。

39 :
こうした小出力趣味について、一方では三極管の世界がある。
多くは1920〜30年代に設計され、電蓄の時代と共に去っていった…はずであった。
最初にリバイバルを促したのは瀬川冬彦氏であろう。1950年代末にAxiom80を購入して
色々悪戦苦闘の末行き着いたのが。45シングル。すでにウィリアムソン・アンプ全盛の時代に
アッと言わせた不思議な体験談である。もっと先輩には伊藤喜多男氏がいて、オイロダインを
300Bシングルで鳴らすということを1973年に発表して誌面を賑わしていた。明治男の意地である。
面白いことに、1960年に長岡鉄男がフリーエッジのものでも、ローサーのような高能率のものは
「三極管シングル、NFなしの小出力アンプのほうが案外効果をあげるもの」と言い切っている。
一方で、低foで低能率の国産スピーカーは、「大量のNFを掛けた高出力アンプが必要」とした。
晩年の長岡氏からは想像も付かないだろうが、モノラルからステレオへの移行期を体験した
世代が抱いた共通の感覚というか、時代の空気のようなものが感じとれるだろう。
今の三極管ブームは単なるノスタルジックだろうか?
モノラル録音を聴きながらアレコレ想像してみるのも乙なものである。

40 :
Magnavox は6V6パラRュとかよくわからないものも造ってるね。
うちで Rola のフィールド鳴らすのに使ってるけど、えれえいい音するよ。

41 :
>40
マグナヴォックスは、ダイナミック・スピーカーの開発者のひとりとして活躍したわりには
日本ではあまり認知されていないメーカーのひとつですね。なんというか戦後に手広くやり過ぎたというか。
紹介されたものは、多分、高級電蓄に納まっていたアンプではないでしょうか。
http://www.ohio.edu/people/postr/bapix/magnav1.htm
http://www.antiqueradios.com/forums/viewtopic.php?f=9&t=125527
1940年代後半から1950年代初頭のモデルと思われます。
Rolaに比べて年代的にはやや新しいものの、FM初期の高級電蓄という共通地盤があり
電蓄の音も実は奥が深いのだと思います。
以前にマグナヴォックスのジュークボックス用の40cmワイドレンジを聴いたことがありますが
低音がどうのというより、本当にふくよかでバランスの良い音で、金属リングの音がチャーミング。
ワイドレンジは大きければ大きいほど音が良いのでは? と幻想を抱いたほどでした。

42 :
JensenのA12については、非常に広範に使われた、戦前のヒット作となりましょう。
コンソール型の電蓄ではRolaのほかにCapehart、Zenithの高級大型ラジオ
はたまたハモンドオルガンのレスリー・スピーカーに組み込まれたりと大活躍。
むしろあまりに広範に用いられたため、ユニット単体の特色が判りづらい。
Jensen流の処世術で、アッセンブリーの提案を色々やったのでしょう。
裸の特性は標準的なワイドレンジで、5kHzまでをしっかり出す。
http://nullspace.us/a12.html
一方で、聴感ではもっと帯域が狭いように聞こえるものも多く
ビンテージ・フィルター内蔵なんて言う人もいるくらい。
でもツイーターを加えると、あまりに普通の音なのでロマンが薄れる。
5kHz以降で-3dB/octでロールオフする欠陥ツイーターなんて無いしなぁ。
でも、A12の発売当初からツイーターを追加した例は沢山あるのですよ。
ここでも扱い方のぶれる原因がひとつ増える。
でも、A12でじっくり聴いてみたいのが戦前のスウィング・ジャズやブルース。
あとトスカニーニもいいかな。是非、勇姿のほどをお聞かせください。 >40様

43 :
>>41
何でもご存知ですね。w
確かにうちで使ってるのは2番目のサイトにある奴です。
マグナのアンプはアメリカだとかなり熱心なファンがいてせっせとリストアしてるみたいだけど、日本では音の割にほとんど知名度がないですね。
多分、基本がコンソールに突っ込んで使うためのアンプばかりで、アンプの筐体の見てくれが良くないのが人気のない理由だと思いますが。
業務用がなかったわけではないけど、スタジオや映画館とかより、学校とか教会の放送設備なんかが多くて、民生機との垣根が曖昧なのも日本で人気が出ない理由かもですね。

44 :
しかし、自分で使っていながら、マグナはなんで 6V6 のパラRュなんて作ったんだろうと不思議でならない。
純然たる出力の問題なら 6L6 のPPで済んだなのに。
整流管2本差しとか、かなり効率の悪いことになってて、ちょっと意味が分からないw
パラRュらしい太い、いい音が出るんで気に入ってるアンプではあるけど。

45 :
>>42
うちの Rola は英国輸出してた Saxon というブランド名になってますが、袴付きなので、おそらく30年代後半から40年代初頭あたりの電蓄の中身だったのではないかと想像してます。
型番が G12 なので、この辺の型番は普通の Rola と共通みたいです。
この辺のフィールドのユニットは、Rola も Utah もコーン紙だけ変えて、実際にはほとんど Jensen が供給してたという話を読んだことがありますが、実際はどうなんでしょう?
ユニットのフレームを見る限りは、リブのとりかたとか各社それぞれに特徴があるように見えるんだけど。

46 :
素のユニットの音の特徴でいうと、Jensen は全体にやや細くて硬い音の印象があって、有名な TA-4151 含めて、いい音だとは思うけど自分の好みからはちょっと外れる。
いわゆる現代的なハイファイ的な音に近い印象があって(もちろんフィールド型特有の音の強さはすごいけど)、A12にツイーターを追加するとかなり普通の音になるというのもよく分かる話。
どうせわざわざフィールドを使うのなら、Rolaの太くて柔らかみのある音の方が自分には楽しい。
なお、うちでもツイーターは使っていて、Jensen のRP103を合わせてます。

47 :
(今気づいたんだけど、Magnavox は「ライオンの声」ではなく「大いなる声」か「偉大なる声」だと思います。
 ラテン語でのライオンは leo だったはず。格変化はこの場合どうなるかは忘れた)

48 :
>44
>しかし、自分で使っていながら、マグナはなんで 6V6 のパラRュなんて作ったんだろうと不思議でならない。
>純然たる出力の問題なら 6L6 のPPで済んだなのに。
もしかすると、音の作り込みでしょうかね。6L6だと太くなりすぎるかも(もしくはフォーカスが甘い)。
高域の澄んだ感じを残しながら、厚みも出るという良いとこ取りな感じでしょう。
全体の音の太さはUTCのインプット・トランスによるところも大きいでしょうね。
MMカートリッジのように、2Bの鉛筆のような暖かみのある感じが好きです。
この辺のバランスが合っているから巧くいくんだと思います。
http://www.nostalgiaair.org/PagesByModel/293/M0010293.pdf
これは組み込みアンプだけあってフィールド電源も付いていて便利ですね。
今更ながらフィールドコイル250Vの意味が判りました。6V6、2A3のB電源と共通。
(難しく考えずにそのまま並列で繋げば良かったのか?)
>どうせわざわざフィールドを使うのなら、Rolaの太くて柔らかみのある音の方が自分には楽しい。
>なお、うちでもツイーターは使っていて、Jensen のRP103を合わせてます。
これぞ良識というものです。家庭用ユニットの良さというものをどんどん広めましょう。
あと…例のライオンです。
http://uv201.com/Audio_Pages/Audio_Images/magnavox_2.jpg

49 :
どっかの一発屋芸人じゃないですけど…Magnavoxの122連発!!
http://www.antiqueradios.com/gallery/v/Magnavox/Magnavoxst654.jpg.html (これがスタート)
しかし、考えられる限りのオーディオライフを形にした驚異のメーカーですな。
http://www.antiqueradios.com/gallery/v/Magnavox/magnavoxwindsorimperial.jpg.html
http://www.myvintagetv.com/magnavox_windsor.htm (購入した人の居たことも驚異)

50 :
電蓄の評価の難しさは、総合システムという縛りにあると思う。
特に電蓄への評価は、プレーヤー、受信機、アンプ、スピーカーと
様々な要素が絡まっていて、パーツだけ取り出してもよく判らない。
コストの点で制限もあるので、単品で勝負している機材に比べると
どうしてもチープで見劣りがする。これだけでも腰が引けるのだ。
ただ、当時のオーディオ(しいては録音アーカイブ)を楽しむためには
電蓄のカラクリを再構築することは避けて通れないような気がする。
少なくとも、当時のほとんどの人は電蓄(レコード、ラジオ)を通じてしか
家庭でオーディオに接する機会がなかったからだ。
トスカニーニが使っていた電蓄は、時代遅れで、音質評価を鈍らしただろうか?
http://www.youtube.com/watch?v=hdDjfsnvWBc&feature=related
(この分離型のアームが付いたメーカーは何でしょうか?)
フィリップスの電蓄で自作を聴くことが大好きだったシベリウスは本当にその音に満足していたか?
http://www.sibelius.fi/english/graafiset_elementit/ainola_kuvat/vieraita_ainolassa.jpg
フィルコの電蓄の脇でたたずむクロスビーから想像できる癒しの源は何か?
http://3.bp.blogspot.com/-euc3xCQFWJs/T_GUHh_Vn4I/AAAAAAAAFA0/5sxdZBCDfGk/s1600/bing-crosby-philco-1946.jpg
汽車の個室のなかでひたすらドーナッツ盤を聴くエルヴィスの思い画くものは?
http://24.media.tumblr.com/tumblr_m965uu2Hgv1qa70eyo1_r1_500.jpg
http://www.elvis2001.net/SIGNATURE%20RECORD%20PLAYER.htm

51 :
78回転盤からドーナッツ盤への移行期に流行した米国のポピュラー音楽はある意味不運だ。
LPになってもほとんど再販されることなく、お蔵入りしたテイクが大量にある。
しかし、ただ古臭いだけじゃすまされない面白さが潜んでいる。
まずもって、1940年代ほどおバカな音楽が炸裂した時代もない。
対ナチス、対共産主義を掲げて、娯楽そのものが国策だっただけある。
ビルボード・チャートにノベルティ部門があったくらいである。
ラジオでのリクエストがチャートに影響大な時代なので、こっそり買って聴いたのではなく
公共の電波を使って堂々と鳴らしていた。ラジオがノベルティ文化を押し上げたのだ。
誰もがラジオ生出演風のアドリブを付けたがるし、一発屋を狙った芸人魂を競ってた。
思えばトーキーの輝かしい歴史も、ボードビル芸人のダンスと歌で幕を上げた。
ユーモアのなかに真実があると言えば、ややユダヤ的であるが
ことアメリカのポピュラー音楽にはその傾向が強い。
その笑いの殿堂を再生するとき、どうしてもフィックスドエッジのスピーカーが欠かせない。
ひとつは音の勢いとノリの良さ、そして瞬間芸に掛けた切り替えの早さが命である。
重たいウーハーでは追いつかないので、80Hzより下はいらない。
ボーカルの機転を良く聴くために、高域だって6kHzまでを出せれば十分。
それは車高の低いレーシングカーに乗っているようなスリル感だ。
ジャイブ、ブギウギ、ジョグ、ブルーグラスに乗せて、軽いジョークを叩く伊達男と一杯やろう。

52 :
おそらくこの手のポピュラー音楽で馴染みが深かったのはセラミック・カートリッジである。
もともとセラミックの圧電効果を利用したもので、フォノ・イコライザーなしで繋げる。
ただし、周波数特性は5kHzまでのものがほとんどで、上等なものでも8kHzまでである。
低域はだら下がりで、場合によっては100μFのコンデンサーでカットする。
http://i46.tinypic.com/2qb63ar.jpg
http://www.roger-russell.com/sonopg/velocitone.jpg (Sonotone 9Tの例) 
今でも中古で手に入るという一方で、別名レコード・キラーとも言われた高コンプライアンス設計。
なぜかこれが78回転盤とドーナッツ盤の愛好家に好まれているらしい。
(最も多いのがジュークボックスの保守部品だが、普通のアームには取り付けられない。)
面白いのは、意外にイギリスで長く使われていたという数々の証言。
有名なのはDecca Deramで、かのMark IIと並行して売られていた。
http://wegavision.pytalhost.com/jahrbuch1/Systeme/Decca.jpg
http://wegavision.pytalhost.com/jahrbuch1/Tonarme/Decca%20Deram.jpg
さらに1970年代にシュアやピッカリングを横目に、78回転盤とLPをセラミック・カートリッジで
聴いていたという話もチラホラ。以下はその状況を語った一刀斎師匠の漫談。
英国というところは、電蓄に対しては大変保守的でケ{な国である。アメリカや日本でステレオ
全盛の今日でさえ、イギリスのレコード愛好家はまだ七十八回転のSP(LPのモノーラル盤ではな
い!)で聴いている。市販のカートリッジも、SP・LP両用でなければ売れないという。ロンドン
にも現在シュアーのカートリッジは市販されているが、V15のU型はおろか、V15すら部品カタ
ログに載っていない。高価なV15など誰も買わないからだ。それほどケ{な国だ。オルトフォ
ンはさすがに出廻っている。しかし殆ど月賦販売用である。SPU/GTが二十三ポンド――邦貨に
して二万四、五千円見当だろう――それを十ヵ月払いの月賦にしなければ誰も買ってくれない。そう
いう国民だ。(五味康祐「オーディオ巡礼」:1963年にロンドンを訪れた頃の話)
http://www.audiosharing.com/people/gomi/junrei/jun_03_1.htm

53 :
しかしこのデコラの話を読んで、なるほどと思うことも多い。
http://www.audiosharing.com/people/gomi/junrei/jun_03_1.htm
デコラのアンプを取り寄せたが「比較するのがいたましいくらい」マッキン、クオードに劣る。
スピーカーは当然ながらオートグラフと比べるまでもない。しかしデコラの音はすこぶる良い。
さすがに五味先生は、セラミック・カートリッジは評価していないが、モノラルで鳴らすデコラの
音について、「モノーラルの音の冴えは到底《デコラ》にかなわない」と断言する。曰く「SPを
鳴らせなければ承知しないロンドン児相手に、発売されるコンソール型だけに《デコラ》のモノは、
これがモノーラルかと耳を疑うほど、たっぷり、ふくらみあるしかも繊細な美しさをともなって鳴る。」
こうした思いやりというか、やさしさが、実はモノラル再生には大事なように思う。
そういえばクオード 33型プリアンプにも、強力なロー&ハイカット・フィルターが付いていた。
レコード・キラーの異名を取る古いカートリッジを使っていた当人たちは
案外ミゾの擦り切れたのが気付かなかったかもしれない。高音がそもそも出ないカートに合わせ
システムが組んであるからだ。好きな盤はトレースしやすいローファイLPが完成しているかも。
21世紀の当地のマニアはDecca DeramやSonotone 9T、さらにローファイでガッツのある音を目指す。
なんだか時計が一周したような感じだが、いつまでも回転するレコードのようで面白い。

54 :
同じ帯域の狭いマグネティック・カートリッジにGEのバリレラがある。
http://viktor-a-shapkin.narod2.ru/materiali_po_general_electric/
IRM-6C(RPX-010)およびIRM-8C(RPX-025,029)は1946年から製造され、ダイアモンド針を採用した。
IRM-6Cはジュークボックス、IRM-8Cは放送局という振り分けである。
これらは元来SP盤用であり、IRM-8Cは完全なカマボコ型の特性である。
http://viktor-a-shapkin.narod2.ru/materiali_po_general_electric/0__DATA__IRM-8C__3.jpg
しかしながら、この特性は1940年代のソンダーソンのPAアンプや
Altec 400Bのようなフルレンジと比較しても、それほどレンジが狭いわけではない。
http://www.tubebooks.org/Books/Atwood/ThordAmp.pdf (一番末尾のページ)
http://www.lansingheritage.org/images/altec/catalogs/1949/page5.jpg
RPX-040はLP対応となった後も、まだ同じ特性を踏襲している。
http://viktor-a-shapkin.narod2.ru/materiali_po_general_electric/1__DATA__RPX-046__4.jpg
面白いコメントをしているのが、RPX-052に対するものである。
http://viktor-a-shapkin.narod2.ru/materiali_po_general_electric/1_GE_RPX-52_revieu__2.jpg
「プロ用を使う優位性はない」とし、「放送局ではHi-Fi以外の音源も雑多に扱うから
独占的に使われる」とまで言っている。LP用と78rpm用の2種類の針を共有することは
とどのつまり78回転盤の特性を残していることを指している。
ただイコライザーで高域を丸めただけでは一緒にはならない。
アクティブな発電機構が連動して、中域をえぐり出しているのである。

55 :
米国特許でバリレラ関連をみると以下のとおり
1941 2,320,416 : スタイラスチップの使用
 http://www.google.com/patents?id=uNZQAAAAEBAJ&pg
1944 2,491,794 : RPX-010 VARIABLE RESISTANCEという呼称
 http://www.google.com/patents?id=REtxAAAAEBAJ&pg
1948 2,554,208 : RPX-046
 http://www.google.com/patents?id=FjlnAAAAEBAJ&pg
1949 2,554,209 : RPX-050-052
 http://www.google.com/patents?id=FzlnAAAAEBAJ&pg
最初の特許は、後にGEに移籍するRoy Dally氏のもの。
ちょうどこの時期はFM放送が開始された頃で、カートリッジの開発競争が激しかった。
バリレラの最初期型 RPX-010からダブルタイプのRPX-052まで、ほんの5年間だが
この間に78rpmからLPに移行している。GEはRCAへの供給でかなり有名になったが
特許明細の最後の関連特許をみると、ライバルの多さに驚きを禁じ得ない。
ちなみにRoy Dally氏は、VR-IIの開発にも関わっていたらしい。
VR-IIは普通のHi-Fiカートリッジであり、すぐにステレオへ移行していく。
http://www.lencoheaven.net/forum/index.php?topic=2569.0

56 :
Elements of acoustical engineering, Harry Ferdinand Olson, 1940
 http://archive.org/details/elementsofacoust00olso
 RCAの革命児、オルソン博士が自ら開発した機器を解説
Acoustic measurements, Leo Leroy Beranek, 1949
 http://archive.org/details/acousticmeasurem00inbera
 無響室を最初に造った音響計測の鬼、Beranek博士の音響論
The Recording and Reproduction of Sound, Oliver Read, 1952
 http://www.tubebooks.org/Books/read_recording.pdf
 レコーディングに関することが一通り書いてある便利本
Designing and Building Hi-Fi Furniture, Jeff Markell, 1959
 http://www.tubebooks.org/Books/Atwood/Markell%201959%20Designing%20and%20Building%20Hi-Fi%20Furniture.pdf
 ステレオ初期=モノラル末期の家庭用オーディオのデザイン集

57 :
貧富の差も関係ない
http://www.shorpy.com/files/images/8c17501u.jpg
http://www.corbisimages.com/stock-photo/rights-managed/BE028479/sisters-and-phonograph-records
ラジオの時間(なぜか子供は全て床に座って聴いている)
http://www.corbisimages.com/stock-photo/rights-managed/BE067880/family-listening-to-radio
http://www.corbisimages.com/stock-photo/rights-managed/SF18843/family-listening-to-radio-at-home
http://www.corbisimages.com/stock-photo/rights-managed/U533494ACME/family-sitting-by-radio
いかにもロカビリー的ショット
http://www.corbisimages.com/stock-photo/rights-managed/42-20036658/1950s-teen-couple-doing-jitterbug-rock-and
http://pds2.exblog.jp/pds/1/200604/19/45/f0107245_2202888.jpg
http://media-cache-ec2.pinterest.com/upload/46161964900076344_kkcuKe5B_c.jpg
ロンドンにあったと言われる伝説のレコード屋
http://www.corbisimages.com/stock-photo/rights-managed/HU026727/music-booths-at-a-london-record-store
http://www.corbisimages.com/stock-photo/rights-managed/HU041166/customers-at-record-store
http://www.corbisimages.com/stock-photo/rights-managed/HU026728/customers-in-a-london-record-store

58 :
何でも分解して調べるという技術屋魂に敬服
本国では紛失しているHTSレコーダーのレポートは貴重かも
1945年:ドイツ製テープレコーダーのレポート
 http://downloads.bbc.co.uk/rd/pubs/reports/1945-28.pdf
1946年:ドイツ帝国放送局用HTS型テープレコーダーのレポート(本命?)
 http://downloads.bbc.co.uk/rd/pubs/reports/1946-10.pdf
(参考:http://www.youtube.com/watch?v=wdsMb1pwJEw&feature=player_embedded
1946年:謎のBBCイコライザーカーブ(NABとの比較)
 http://downloads.bbc.co.uk/rd/pubs/reports/1946-02.pdf
1947-48年:各社ピックアップの比較
 http://downloads.bbc.co.uk/rd/pubs/reports/1947-13.pdf
 http://downloads.bbc.co.uk/rd/pubs/reports/1947-25.pdf
 http://downloads.bbc.co.uk/rd/pubs/reports/1948-06.pdf
 http://downloads.bbc.co.uk/rd/pubs/reports/1948-10.pdf
 http://downloads.bbc.co.uk/rd/pubs/reports/1948-38.pdf
1949年:パルメコとタンノイの比較レポート
 http://downloads.bbc.co.uk/rd/pubs/reports/1949-03.pdf
初期のパルメコ用エンクロージャーのレポート
 http://downloads.bbc.co.uk/rd/pubs/reports/1949-39.pdf
1952年:モニタースピーカーの比較レポート
 http://downloads.bbc.co.uk/rd/pubs/reports/1952-05.pdf
1958年:LS3/1の開発レポート(末尾にESLも)
 http://downloads.bbc.co.uk/rd/pubs/reports/1958-31.pdf

59 :
1940〜50年代のBBCのテクニカル・レポートをみて感じるのは、Hi-Fi時代の前哨戦として
録音機材とスピーカーの進展の早さである。これは世界大戦で途絶えていたアメリカ、
ドイツの技術動向が一気に流れこんだというころが関わっているように思う。
最終的な勝者はドイツの磁気テープ収録になるのだが、1950年初頭では意外にアセテート盤も
捨て切れていないことが伺える。実際には1960年代までアセテート盤は使用し続けられ
ビートルズのサタディ・ナイト・ショウの記録もある。これは当然ながらモノラルである。
この延長線には1970年代に自主プレスLPでブリティッシュ・ロックを世界配信するようになった。
面白いのはイコライザー・カーブに独自のものを使用していたこと。NAB規格に準拠するか悩んでいたが
カッターヘッドの性能で特性が異なることから、標準化に慎重に対処するように提言している。
これはモノラル録音が、演奏者のサウンドの違いよりも、録音のトーンの違いが顕著であることと
無関係ではないように思える。(参照:http://downloads.bbc.co.uk/rd/pubs/reports/1946-02.pdf
トーンコントロールはこうしたトーンの違いを補正するのに必須であると思う。

60 :
BBCの独自性が強いと誰もが考えるのはスピーカー開発であろう。
しかし独自性の強いものが出現するのは戦後のことであり、戦前はWEおよびGEの技術を使っていた。
GEの8インチフルレンジはRCAで使用していたものと同等品であるが、戦中の64A/Bは導入できなかった。
1927年:WEの技術を導入していて、音声モニターに陣笠がみえる
 http://www.corbisimages.com/stock-photo/rights-managed/AALJ001058/bbc-radio-control-room
1933年:GEのパテントでBTHが製造していたダイナミック・スピーカーと開発したてのテレビのデモ機
 http://www.corbisimages.com/stock-photo/rights-managed/42-15688130/listening-and-viewing-hall-no-1
1937年:秘密裏に開発していたテープレコーダー
 http://www.corbisimages.com/stock-photo/rights-managed/AALJ001413/recording-in-number-2-tape-room
 http://www.bbc.co.uk/pressoffice/images/bank/programmes_radio/446cowell_archive.jpg
しかし、戦後まもなくはユニットの外注姿勢が強く、パルメコ、タンノイ、グッドマンズ、ローレンツなど
様々なユニット会社から供給を受けていた。1958年のLS3/1開発でもESLとの比較を怠らない慎重さがみられる。
(参照:http://downloads.bbc.co.uk/rd/pubs/reports/1958-31.pdf

61 :
放送局用モニターというと、音楽番組の製作に用いられるものが最先端であり名機が多い。
しかし、陰日向で最も活躍したのは8インチのフルレンジユニットである。
最初期で完成度の高かったのはGE社が採用した、ライス&ケロッグの開発した
ダイナミック・スピーカーで、1926年にRCA 104型としてリリースされた。
UX-112、UX-171、UX-210、UX-245等のGE社の真空管と同時期だということを考えると
このルーツの古さに驚くことだろう。英BTHや独AEGにもパテント供給され世界標準となった。
またオルソン博士の開発したRCA 64A/B(MI-4400)も8インチであり、この口径への愛着は
既に不動のものとして定着していたように思う。
戦後のHi-Fi期に前後して開発されたものとして
米国ではWE 755A、Altec 400B、408、JBL 208 LE8T、Jensen P8P、EV SP8Bがあり
放送局での音声モニター、ビギナー向けのスピーカーとして大活躍した。
日本でもパイオニアPIM-8はラファイエットSK98としてOEM生産されたとか
パナソニックのゲンコツ8P-W1も外資獲得に大活躍であった。
http://www.imagebam.com/image/2d1151128254565
英国にはローサーPMシリーズ、グッドマンズAxietteもある。
このうちAxietteはBBCモニターやDeccaのデコラ電蓄にも搭載された。
この8インチユニットの良さは、低音と高音のバランスの良さと自然な響きにある。
ボーカル専用のサブシステムと思うかもしれないが、狭い日本の家屋には十分の音量で
アンプもラジオ球と言われる6V6、EL84、2A3などで十分に鳴らしきれる。
あと音の悪い録音への耐性もあって、SPからLPまで何でも聴く人には重宝するし
大型システムのバランスを確かめるためのバロメーターにも利用できる。
安いからとステレオで揃えず、モノラル1本で聴くのがオススメ。

62 :
UX-112、UX-171、UX-245はWesting House社
UX-210のみGE社でした。ごめんなさい。
ラジオ球として知られるこれらの3極管は、とても長く製造され戦前のオーディオの中心的存在といえる。
12Aは0.3Wでマグネチック・スピーカーに最適で、芯の細い音。真空管ラジオのファンには人気だ。
71Aは0.7Wで少し重心が下がって、一番バランスの良い球。後の6V6とも似ている中堅の音だ。
45は太い中低域と柔らかな高域の、いかにも3極管らしい音。出力は2W以下。
10(VT25)はこれらと違いカチッとしたメリハリの強い音。電球のように明るい10Vタングステン球。
3極管というと柔らかでナロウレンジという印象もあるかと思うが、トランスひとつで大分違い
最近のトランスに載せ替えると、20kHzは楽に伸びている。現代の録音に合わせる場合にはこれで良いが
モノラルらしい中域のコクを出すのは、トランスの影響が非常に大きく
個人的には10kHz以上が下がるくらいのほうが、エネルギー感が増すように思う。
今はこういう「欠陥品」を見つけるのが難しい。あとNFBは掛けないほうが、音楽が弾んで面白い。
上記の8インチ・フルレンジとの絡みでいうと、3極管はそれよりずっと古い設計のもの。
しかしビーム管で鳴らすと普通にHi-Fiな音なのに、3極管はSP時代のシンプルな芸風が似合っている。
ちょうどストーリーが込み入った往年のハリウッド映画と、チャップリンの無声映画との違いみたい。
共に今どきの爆発ばかりするのに比べると大人しいものだが、ワンシーンに掛ける時間の流れが違う。
この時間の流れがオールドタイムを活き活きと演出してくれるのだ。

63 :
モノラル時代のフルレンジのキャラクターを分けると、おおよそ3種類に分かれると思う。
一般にはアメリカ、イギリス、ドイツと国別に分けることが多いが、性格が180度違うものもある。
例えば同じドイツのLorentzとIsophonでは全く違うし、同じJBLでも208とLE8Tで異なる。
1)中高域2.5kHz周辺に山をもつワイドレンジ型。
  Altec 400B、755E、JBL 208、Jensen P8Pなどはこの部類に入る。
  これはベル研究所のラウドネス曲線に沿ったもので、音が前にせり出し明瞭性をもつ。
  (アーグル氏のレコード・エンジアリング本にもイコライジング技術として紹介されている)
  一般的にビンテージ・ユニットというと、この系列を指すことが多い。
2)フラットな特性のユニット
  今では当たり前のフラット志向は、戦後に開発された新しい傾向である。
  JBL LE8T、グッドマンズ Axiette、パイオニア PIM-8、パナソニック 8P-W1が該当。
  ドイツ製のモニター用ユニットもこれに相当し、ドイツらしくないと酷評される。
3)高域をさらに増したユニット
  これはドイツ系のフルレンジに多いもので、4〜8kHzをさらに歯切れ良くしている。
  Siemens、SABAのほか、ローサー PM-6、エレボイ SP8Bが相当し、バックロードホーン向けとされる。
  WE 755Aもこれに属すると思うが、後続の755Eが異なるため誤解されてるかもしれない。

64 :
この手の「サブ・スピーカー」に向いているユニットの多くはそれほど凝った箱を必要としない。
(上記の3)でバックロードが合うのはPM-6とSP8Bのみです。重ね重ねごめんなさい。)
特にフィックスド・エッジのものはfoが高く低音が伸びないので
むしろヘタにバスレフに入れるとボン付いてじゃまになることもある。
例えば、Altec 400B、WE 755Aなどは構内放送用の小さな箱でも十分に鳴るし
そういう使い方でも浸透力のある音が鳴る。(ドイツ製ユニットも同様である)
壁面やコーナーに置くことで音の広がりが出るし、10畳程なら1本で十分である。
アンプは1Wもあれば十分で、むしろ小音量のときのリニアリティが効いてくるので
小型のトランスのほうが軽くスイングするので心地良い。
少しだけ欲張って40L程度の密閉箱に入れても良く、小型PA並の力量で鳴り響く。
10W程度のRュプルを充てると、小さなライブ会場なみの音響が得られる。
ドイツ製ユニットは、ラジオ用がほとんどなので、平面バッフルで使う人が多いが
後面開放か、密閉箱でも後ろ面にスリットや小穴のが開けて背圧を逃したほうが良い。
アンプはEL84、EL82などのシングルが一番合っている。
むしろ箱に気を遣わなければならないのは、LE8T、ゲンコツ、PM-6のような
フリーエッジ系のユニットで、低音を50Hz程度まで欲張っているので
80〜120Lのそれなりの箱に入れなければスカスカの音になる。
低音の量感豊かな本格的Hi-Fiシステムに近づくが、ステレオで使う人は高域不足を
感じる人がいるかもしれない。同じ箱で12インチ同軸という選択肢もあるなかで
モノラルで踏ん張るのは多少勇気が居るかもしれない。
アンプはシングルアンプでも鳴るが、10W程度出るRュプルのほうが躍動感が出る。

65 :
12インチの同軸ユニットは、1950年代にかなりの種類を数え、価格も手頃なのが魅力である。
ただ日本でもそうだったが、あまりしっかりと設計されていない張り子の虎のような
良く判らないものも多い。アルテック、タンノイ以外は1970年代になると急速に忘れ去られた
ユニットがほとんどなのも特徴だ。逆にいえばビンテージ度も高いのだが、この思い入れが
じゃまになる場合もある。
例えば、Isophon Orchesterや日本からOEMしたLafayette SK58のように超フラットな
モニター調のものは、日本では見飽きているのか評価が低いが、欧米では高かった。
100L以上のバスレフ箱に納めてゆったり鳴らすのが流儀であろう。
個人的にはアルテックもタンノイも12インチだと、あれほどアンプに苦心せずに済んだはずだ
と思いを深くする。EL84や6V6のRュプルで十分鳴るのだから、まさに家庭用に最適。
モニターレッドにコーナー・ヨークをモノラルで鳴らすなんて趣味の極道か?
あるいはAltec 601をモノラルで購入する理由を自覚している人は、相当な趣味人であろう。
コーナー型バックロード箱で入門に適したエレボイのAristocratに12TRXを詰めるのも良い。
あと置き場所だが、シングル・ソファをスピーカーの脇に置いて聴くのが当時の流儀である。
ほとんど部屋の響きをブレンドして聴くのが、ゆったりしたリビング空間を生み出す。
ステレオ試聴の流儀に毒されて、正面から聴くのは野暮というもの。
http://www.hifilit.com/hifilit/Electro-Voice/117-6.jpg
http://www.corbisimages.com/stock-photo/rights-managed/NT3724378/family-listening-to-radio
何事も適当なさじ加減が良い結果を生むのである。

66 :
12インチが部屋いっぱいにHi-Fiサウンドで満たす条件を備えているとすれば
8インチはそれよりもパーソナルな空間を作ることができる。
最近面白いと思っているのが、8インチユニットを3極管シングルで鳴らし
戦前のジャズやブルースを聴くこと。本来であれば、当時のユニットを使うべきであろう。
しかし戦後のある時期のユニットには、78回転盤への未練の濃いユニットもある。
そして80〜8,000Hzという帯域を独特のコクのある音で鳴らしてくれる。
Altec 400Bは1945年のまさにSP末期のものだが、1950年代の放送業界の実態に合った特性だと思う。
http://www.lansingheritage.org/images/altec/catalogs/1949/page5.jpg
誰もが不思議に思うほど狭帯域のJBL 208のようなワイドレンジもこの部類に入るだろう。
エレボイ SP8Bでは、カタログで9kHz以上はカットしたと明白に書いてある。
http://www.hifilit.com/hifilit/Electro-Voice/baronet-2.jpg
これらは当時でさえ、6V6Rュで鳴らすことが多かったのだが
スピーカーのもつ最大スペックを狙うのではなく
あえてラジオ球クラスの3極管シングルで鳴らすと、懐かしいくつろぎの時間が生まれる。
それもアセテート盤で収録されたラジオ番組が妙に合うのだ。
夜な夜な70年以上前のラジオの音に耳を傾けるのが、最近の日課になっている。

67 :
これらのワイドレンジ・ユニットは、Hi-Fiの要件を備えていないが
小型PAとしての実力を備えている点で、音声に対する条件が全く違っている。
つまり、マイクの生音を直接入れて、それらしく鳴らす特性である。
例えば、プレスリー・マイクと異名をとるSHURE 55マイクのうち1951年型は
1〜5kHzの山を作ることで、パンチのある音を作り出し人気を博した。
http://www.coutant.org/shure55/55multi.pdf
この特性とワイドレンジ・ユニットを比べてほしい。
http://www.lansingheritage.org/images/altec/catalogs/1949/page5.jpg
これらの設計思想が一致していることに気がつくであろう。
ラジオ収録を確認するのに、音に手を加える前の生音を効率良く聴く技術は
PA用の拡声技術と結びついていたのである。
ただし、SHURE 55型の特性は1942年に開発された当初には織り込まれなかった。
http://www.coutant.org/shure55/55a1942.pdf
これはRCA 44型リボンマイクのようにナチュラル志向の音声を、
スピーカー側で補うのが拡声技術の基本だったと思われるのである。
このトーンがJensenをはじめとするアメリカン・サウンドの源流と考えるのは、
甚だ間違ってはいないだろう。
それだけに、SP録音の本流がPA技術を軸にしたナチュラル系の音という見方で捉えると
再生の軸がぶれないと思われるのである。

68 :
BBCで独自に使用していたイコライザーカーブが あったが
 http://downloads.bbc.co.uk/rd/pubs/reports/1946-02.pdf
今度はNAB(National Association of Broadcasters)が新しくEQカーブを制定した頃のアメリカの記事。
(以下のP.20から)
 http://www.rsp-italy.it/Electronics/Magazines/RCA%20Broadcast%20News/RCA%20Broadcast%20News%2055%201949%2006.pdf
ここでも旧規格(SP盤と同じもの)との比較で、辻褄の合うイコライザー設定が検討されている。
これはアセテート盤をまだ大量に使用されていた時代で、極めて実務的な問題でもあった。
10kHzまでしっかり伸びているが、どうしても中低域がこんもりして、抑えようとすると高域がへこむ。
ちょうどテープレコーダーの使用が議論されていた頃で、
性能的にはテープが良いのだが、コスト的な問題もあったかもしれない。
テープレコーダーの特集(1949年)
 http://www.rsp-italy.it/Electronics/Magazines/RCA%20Broadcast%20News/RCA%20Broadcast%20News%2054%201949%2004.pdf
RCA 70Dがまだまだ売れてる時期の広告(1949年、P.50に新しいカッターヘッドの記事)
 http://www.rsp-italy.it/Electronics/Magazines/RCA%20Broadcast%20News/RCA%20Broadcast%20News%2053%201949%2002.pdf
結局、SUN Recordsのようなロカビリー系では1950年代までアセテート盤の収録が続いていたし
それをまたRIAAにコピーしたという不思議な関係が続いていたことになる。

69 :
ロカビリーの話ついでに、ロカビリー・ファンには、モノラル再生への関心が薄いというか
ビンテージ・オーディオそのものの存在をあまり知らない人が多いように思う。
それで曲の魅力が減じるわけではないが、ラジカセで聴いても一緒だと言わんばかりの勢い。
例えば当時のジュークボックスの再生音は、米国ではマストアイテムだが、日本では補修屋が皆無。
オーディオに興味のある人でも、JBL 4312止まりで、ロックのルーツをついでに知りたい程度。
せめてフェンダーのギター・アンプ(D130やJensen)で聴いてみると、また感じが違うと思うのだが。
張りのあるドラム、突き出るボーカル、跳ねるギター、当時の人が熱狂した全てが詰まっている。
深いベース音とか、シンバルが綺麗に鳴るとか、実はどうでもいいように思うのだ。
個人的には、日本の家屋ならスーツケース入りのアンプ付スピーカーが最適なのだと思うが
これまでスーツケース・スピーカーがまともに評価されたことはないと思う。
同じラジカセ並の大きさでも、小型PAとしての実力が全く異なる。
(管球王国65のSP盤紹介で、Ampex 620から、結局BBCモニターで聴いた意図が全く判らない。
 特集のAltec 755Cに繋がらないのが、ロカビリーを低くみているせいかもと疑いたくなる。)
ただ最近、マニアの間でアセテート復刻がオリジナル・テープより評価されていることは幸い。
オリジナルはそっちで、テープがコピーだからだ。

70 :
ちなみにAmpex 620はテープレコーダーと対にして販売されたアンプ付スピーカーで
12インチフルレンジを6V6Rュで鳴らすという、いたってシンプルなシステム。
http://reel2reeltexas.com/vinAd54Ampex620b.jpg
http://reel2reeltexas.com/vinAd54Ampex620c.jpg
当時のスーツケース・スピーカーが最も活躍したのは、移動映画館の簡易PA用で
米国での最大手はBell & Howellだろう。1907年創業のアマチュア映画ではおなじみのメーカー。
B1型スピーカーは285型映写機と共に1950年代に良く売れた機種だ。
最近はビンテージ・ギターアンプとして人気が出ているが、当時は区分があいまいだった。
http://www.preservationsound.com/wp-content/uploads/2010/11/Artistfone-1024x680.jpg
こうした市場をWE/Altec陣営が指をくわえて見ていることはなく
よく知る755シリーズは、こうした簡易PAシステムにも良く使われた。
http://inrussia.us/index.php?option=com_ebay&task=showitem&itemid=380428666165
以上より、スーツケース・スピーカーは、メイン機材の付属品として販売されたもので
その機能は本格的オーディオの範疇にはなかった。しかしその実力は簡易PAとして十分であり
実際に小ステージで使えるほどの拡声能力を持っていた。またギターアンプの祖でもあり
当時のワイドレンジ・ユニットが使われて今も続いている。

71 :
だらだら
長い書き込み
御主たち 暇じゃな〜

72 :
いや、ずっと読んでるが、オーディオ誌の連載より勉強に鳴る。
既存編集者の猛省を促したい

73 :
>71
自分自身もモノラル時代の情報に飢えてるし、実際どういうアプローチが最適かが判らないまま。
だから隔離病棟をつくって色々とテーマを切り貼りしている。
>72
過分なお言葉だが、既存のオーディオ誌のアプローチは
「1950年代のモノラル録音(特にフリー・ジャズ)の魅力を最大限に引き出すシステム」
「現代の録音も魅力的に鳴らすビンテージ・オーディオ」
という限定されたテーマを追い続けていると思う。
だからトスカニーニやフルトヴェングラーをリファレンスとして試聴できないし、
スウィング・ジャズ、ブルース、ロカビリーというアメリカ文化の中枢を押さえきれない。
そこから映画音楽、懐メロ、歌謡曲と無限に広がる録音ソースの海があるのに
あえてそこにダイブして溺れてみせるだけの器量がない。
管球王国65でもビル・ヘイリー、プレスリー、平尾晃、ペギー葉山とかなり頑張っているのに
なぜとなりの特集記事のAltecフルレンジを持ってこれないのかが不思議。
そこで、AmpexとAltecの共通項と相違点がみえてくるのに。
いつかレコード・コレクターズ誌の執筆陣とコラボしないかと夢みてる。

74 :
例えば、戦前のハリウッドに詳しかった野口久光氏の復刻盤は
絶対にスクラッチ・ノイズを赦さない世代で、5kHz以上は大幅にカットする。
こういう方針は1980年代まで一般的で、東芝のGRシリーズ、ビクターの赤盤シリーズにも共通していた。
実際には1933年のWEのワイドレンジ・システムの開発で10kHzは収録可能で
現実には8kHzが通常のスペックとして流通していたので、SP盤といえども侮れない。
それとスクラッチ・ノイズは3kHz付近が耳につきやすく、当時のノッチ・フィルターもそうだった。
意外にも5kHzカットは、電蓄に装備されていたトーンコントロールを、そのまま踏襲したものだろう。
今の新しい復刻は、こうした流儀をわきまえていて、大分時代が変わったと思う。
JSPの復刻など、1920年代にやや弱さをみせるが、1930年代物はすばらしい復刻が多い。
ソニー・エンターティメントのレガシー・シリーズも、丁寧な復刻で安心できる。

75 :
この手のワイドレンジ・ユニットと本家PA屋のVOTTとの差がどこにあるのか?
単純に言うと、目標とする音響出力の違いによってトーンを変えている。
ワイドレンジは小出力向けに500〜2,000Hzを右肩上がりのスロープを作り
6kHz辺りからロールオフする。こうすることで、音が前に迫り出すように聞こえる。
これは人間の聴覚の特性を利用したもので、小さい音を近くで聴くときの聴覚を
トレースすることで、音が目の前で鳴っているような錯覚を起こす。
http://www.lansingheritage.org/images/jbl/specs/pro-comp/2130/page2.jpg
一方で、VOTTのほうは、比較的自由に特性をいじることができる。
モノラル期のデータがないので、1970年代のカタログで代用すると
大型ホーンを使用したシステムでもかなり特性が違うことが判る。
マンタレーホーンのA7では、5kHzから緩やかにロールオフする素直な特性。
これは映画館での標準特性(俗に言うアカデミー・カーブ)と整合させている。
http://altecpro.com/pdfs/vintage/SpeakerAndMics/systems/A7-MR994A%20VOTT%20Speaker%20System.pdf
スタジオモニター用の9846-8Aはフラット志向だ。
http://www.lansingheritage.org/images/altec/catalogs/1971-monitor/page3.jpg
楽器用の1218Aはワイドレンジ風の右肩上がりだが、高域は緩やかに15kHzまで伸びる。
http://www.lansingheritage.org/images/altec/catalogs/1971-monitor/page3.jpg
このように会場の広さ、実用的な音響出力などにより、スピーカーの特性は変えるべきであり
家庭用の小音量であれば、ワイドレンジを参考にまとめていくと、ゴールが見えやすいと思う。
一番使いにくいのは、シアター用の特性のまま導入すると、結構な音量で鳴らさないと
大人しいバランスでしか鳴らないということが起こる。クラシック向けのバランスでもある。

76 :
上記の1218Aのリンクを間違えていました。以下が正です。
http://www.lansingheritage.org/html/altec/specs/pro-speakers/1218a.htm
これらの特性の違いは、ウーハーの違い、クロスオーバーの違い、上下のバランスなど
500〜6,000Hzのキャラクターで音の厚み、抜け、広がりが変わる。
録音ソース毎に設定を変えるのはしんどいので
ベースとなるサウンドが決まれば、イコライザーで微調整するほうが実用的である。
個人的にはステレオのアンプをバイアンプにしてモノラルで鳴らすのも良いと思う。
クラシック向けということで思い出したが、1950年代に音質評価に用いるソフトは
ムード音楽というと驚くかもしれない。しかし実際はそっちのほうが多かったと思う。
例えば1955年のトップテンに入っただけでも
Billy Vaughn "Melody Of Love"
Perez Prado "Cherry Pink and Apple Blossom White"
Four Aces "Love Is a Many Splendored Thing" もその部類か。
意外なのはヤンキーソングの売れ行きで
"The Yellow Rose Of Texas"、"The Ballad Of Davy Crockett"などは
年中売れ続け、ジュークボックスでも人気だったらしい。
これらは同曲を別のミュージシャンが並行して吹き込むことも多く
間違って買ったわけではなく、いちよ売れ行きの順序もある。
もちろん"Rock around the Clock"や"Dance With Me Henry"も売れたが
どうもアメリカン・グラフィティに感化されて、若者だけのアメリカを
イメージしすぎているのかもしれない。
もちろんAltecはこれらの幅広いジャンルにも適性を示す。

77 :
VOTTの話題ついでに、映画館のステレオ化にまつわるお話。
WEがステレオ技術を1940年に発表したものの、商業化でRCAに先手を取られた後
ようやく1954年になってPERSPECTA STEREOPHONIC SOUNDをリリースした。
http://www.widescreenmuseum.com/widescreen/perspecta-fairchild.htm
http://www.youtube.com/watch?v=48WWtzSvBBA&feature=relmfu
これは30〜40Hzの信号音をVCAが感知して、音声を3chに振り分けるという方式で
A7の1953年のリリースは、比較的小規模の映画館に向けた提案だった。
一方で、この時代にHi-Fi技術との連動も試みられていて
配給されたフィルムの音声を巡ってAltecの音響技師が悪戦苦闘している。
http://www.widescreenmuseum.com/widescreen/perspecta-altec.htm
ようするに、新しい音声方式は高域が強すぎるというのである。
結局イコライザーで5kHz以上をロールオフさせると丁度よかったという。
これは1939年製作の「風と共に去りぬ」をPERSPECTA方式で配給したもので
確認しても同様であったとされる。

78 :
映画館の音響特性で興味深いのは、6kHzというレンジで十分楽しめたこと。
もちろん広い会場での音のエネルギー分布は、高域は拡散して聞こえないのが一般的で
ピュア・オーディオではその些細な音の広がりを繊細に拾い上げる必要がある。
実際のスピーカーは、角度を振ると同様のロールオフをするのは自然の原理で
むしろそうしないと左右のセパレーションが得られない。
現在のスピーカーは概ねフラットだが、首を振るとキャラクターが明白になる。
B社:5kHzに山がありややドンシャリに聞こえる分布
 http://www.stereophile.com/images/archivesart/1205802fig5.jpg
S社:クラシック向けのアコーステックな響きで8kHz以上はほぼカット
 http://www.stereophile.com/images/archivesart/1207SFEfig06.jpg
W社:中域のセパレーションが強く、3kHzの山で前のめりの音
 http://www.stereophile.com/images/211Wilfig07.png
実際には総合的な音響を聴いているのであって、意外にも8kHzまでの音調で
スピーカーの音の傾向が決まっていることが判る。

79 :
Altecの場合はどうだろうか?
例えば、906-8Aドライバーとマンタレーホーンを使ったときの特性は
5kHzからロールオフする特性を持っている。中域重視の厚めの音調である。
http://www.lansingheritage.org/html/altec/specs/pro-speakers/9812-8a.htm
一方で驚くべきは、±50°首を振ってもそのトーンに変化がないことである。
これにチョコンとツイーターを乗せれば今風のトーンに様変わりする。
288-8Eを旧来の511ホーンと組み合わせた場合は8kHzまで±40°確保している。
http://www.lansingheritage.org/html/altec/specs/pro-speakers/9848.htm
ここまでくると高音が強すぎて、逃げ場のないくらいに鳴り響く。
これらはPA装置において、試聴位置で音響特性を変えることが許されないニーズが
あるからだが、ステレオ再生だと混濁しやすいこの特性は、実にモノラル向けである。
モノラルの場合、高音の広がりに癖があると、直接音が強く出る傾向のあるのと
逆にレンジが狭く感じることがある。これは >78 で示したように、高域がない録音では
スピーカーの中域の癖が出やすいことに起因しているように思う。
レンジは8kHzまでで十分だが、中高域がスムーズに広がるものが好ましい。

80 :
アメリカン・サウンドというと、いかにも攻撃的な印象をもつかもしれない。
一方で、なんというか、ぶ厚くて柔らかい中域に魅せられるときがある。
いわゆるシルクのような繊細さではなく、ベルベットのような質感。
真空管のサーモノイズをシュワッと感じた後に寄せてくる出音の充実感である。
最近気がついたのは、こういうサウンドの志向が、今のクラブ系で流行っていること。
1970年代初頭のUREI、BOZAKなどのミキサーが珍重される不思議な現象が続いている。
やはりそこでも「太い音」という言葉が飛び交う。
そもそも高域が拡散して、低音ばかり目立つクラブ独特の音響のなかで
中域の押し出しがステイタスを築くのは、並大抵のことではない。
そのパワーを、ビンテージのミキサーが作り出すというのだから面白い。
個人的にはUTCの軍用トランスが好きだが、その音は最初は魅力を何も感じない。
高域の輝かしさ、低域の太さ、そういうオーディオ的な魅力とは無縁だ。
しかしボーカルを肉付き良く再生するのに、これほどのトランスを見つけるのは難しい。
その自然さは、男性のアナウンスを聴くと判る。SP時代の録音でもくぐもったりカRチンにならない。
人によってはWEのほうが…という意見も多いだろうが、WEは全体のバランスを保つ名人芸あっての音
なので、トランスだけ抜き出してサウンドのバランスが保てるとはあまり思えない。
その点、UTCは融通が利くし、色んな意味でタフだ。このいい加減さも好きな理由である。

81 :
業務用というと、完璧な水準という印象も抱きやすいが、
規格という壁に阻まれて、意外にも最高のスペックというわけではない。
1925年:100〜5,000Hz:ビクトロ−ラ蓄音機
1931年:80〜8,000Hz:AMラジオ、映画館
1946年:50〜15,000Hz:Decca-ffrr、FMラジオ
1949年:20〜20,000Hz:Hi-Fi
Hi-Fi以前の規格は十把一絡げにされやすいが、
1941年のFM放送開始なども含めると、5年置きには規格を煩雑に変えており
あとHi-Fi以後も放送局の機器には15kHzで閉じているものが多い。
とはいうものの、スペックだけなら今のラジカセでも公称20kHzだが
これらの業務用機器の実力は、その中身の堅実さにあると言っていい。
ここで規格内の音をきっちり出すとは、単純には、余計な音(ノイズ)を出さず、
レンジも窮屈ではない、という当たり前のこと。しかしこの当たり前が意外に難しい。
例えば、私が大好きなラジオ音源は通常は5kHzまで、伸びていても8kHzというレンジだが
これを自然に鳴るようにするため、トランスでレンジを制限し、イコライザーで整え、
スピーカーも古レンジで揃えると、過不足無くぴたっと納まる。
Jazzだと511ホーンの愛好家は80Hz〜10kHzに留めるかは非常に悩ましい問題で
ステレオ録音も視野にツイーターを足す人も多い。かといって最初から811にする人は皆無。
JBL D130に足すのは、175か075かというのも同じ問題である。
この手の問題は、残念ながら、新規格が旧規格の上位代替とはならない。
500Hzと800kHz、1,200Hzと2.500Hz、この間に詰まっている音をどう考えるかは簡単なのに
10kHz以上の話となると難しく考えるのは、人間らしいといえば人間らしい。

82 :
ふむふむ もっとやって
じゃが5球スーパーにもう戻れないのよね

83 :
小出力真空管のシングル・アンプで鳴らしている人は、ボーカルや室内楽には良いが
オーケストラは苦手という感覚をもっている人も多いと思う。
1Wも入れば音量的にはうるさいくらい鳴っているのに、なにかが違うのである。
こういうときにコンプレッサーを導入すると、意外に効果が出る場合がある。
既に録音時に整えてあるのに、さらに加えるのはナンセンスなのではと最初は思ったが
1:2くらいでソフトに入れてやると、それほど癖も感じられず自然になる。
こうするとフォルテとピアノの差が縮まり、小出力でも聞きやすくなる。
コンプレッサーを入れることで、フォルテのときの音に解像度に差が出てきており
よく聴くとフォルテのときには軽くクリップしていていたことも判った。
あとアタックとリリースの設定で、音の押し出しが良くなる場合もある。
これでもLPだとそれほど気にならないが、CDで聴いた場合にピーク時と小音量との
差が激しく聞きづらいことが多い。これはオリジナル・テープをそのままダビングして
リマスターしているため、LPのカッティング時に施されるコンプレッサーの処理が
なされないまま製品化されるからに他ならない。それがオリジナルといえばそれまでだが
やはり味気ない。これにコンプレッサーをかけると腰の据わった音になる。
あとFM放送が聴きやすいのも同じ理由で、以前トスカニーニの録音を流したことが
あったが、凄く滑らかな音で驚いたことがある。最初はDL-102の音かとも思ったが
CD発売記念だったので、どうも理由はそれだけではなかったらしい。

84 :
管球式ラヂオって楕円形スピーカー多かったですよね

85 :
ラヂオの楕円形スピーカー(オーバル)が使われたのは、1942年の米Emaerson社が最初かもしれない。
http://www.radiomuseum.org/r/emerson_ga1_441.html
あとZenith社のカーラジオにも搭載されたのも1942年なので、やはりこの頃が始めだろう。
http://www.radiomuseum.org/r/zenith_6mf690_ford_adjust_o_mat.html
ちなみに1940年代の卓上ラジオの実力は以下のような感じ。(P.11)
http://web.mit.edu/sdmorr/Public/projects/radio-paper.pdf
かなりのカマボコ型で、全てはHFフィルターの性能で決まっていたが、これは最も安価なラヂオに属する。
日本ではペラペラ紙という印象が多いけど、欧米では立派なサイズのものも多く
同軸2wayのユニットも多く存在する。
http://www.htg2.net/index.php?action=dlattach;topic=70269.0;attach=148149;image
ドイツ製ではIsophon、Grundigが有名だけど、RCA、フィリップスなども多数製造した。
1950年代のHi-Fi用は、強度が保ちやすく小さなボイスコイル径でも駆動できるため、
高音と低音のバランスがとれて意外にまとまりの良い音で鳴る。
ただ小出力に向いていて、超低音を大入力するには不向き。
EL84シングルとかで駆動するのがほとんどだった。
イギリスではEMIのスピーカー、デッカのデコラ・ステレオなど最高機種にも使われた。
(よくモニタースピーカーと言われるが、ローレンツ製ツイーターの付いたものだけか?)
http://www.audio-maestro.com/luochi_sui_shii_files/decola1.jpg
B&Wの初期の製品にも楕円形スピーカーをあしらった製品がある。この当時はステレオセットにも多用された。
http://www.bowers-wilkins.com/Discover/Discover/History_of_Bowers_&_Wilkins/1960s.html
あと変わり種は陣笠タイプの楕円形スピーカー
http://www.radiomuseum.org/r/farrand_junior_model_20_oval_cone_speaker.html


86 :
>82
>6を参照のこと。
1930年代の高級ラジオは2wayスピーカーでPA並の実力があった。

87 :
ラジオ用とは言っても、トークバック、キューイングといった音声確認用モニターは
手軽なフルレンジが用いられた。以下のカタログにあるP.53の壁掛けスピーカーNo.32200がそれ。
http://www.americanradiohistory.com/Archive-Catalogs/RCA-1939-Catalog.pdf
トスカニーニやベニー・グッドマンなどの放送録音を確認したNBCラジオの
レコーディング・ルームの状態。正規には奥にある64A型モニターだったが、
もっぱら写真の天井に置いてある壁掛けスピーカーで確認した。
http://i2.squidoocdn.com/resize/squidoo_images/-1/draft_lens2172013module86893681photo_1267112035NBC_Recording_Room.jpg
これは1947年でも変わらず使われ続けられ、例えばトスカニーニのオテロはラッカー盤が原盤になる。
http://www.preservationsound.com/wp-content/uploads/2011/05/Audio_engineering_Nov_1947-717x1024.jpg
つまりラジオ局がラジオ的な音の確認のために使ったという意味で有意義である。
同じ性格のスピーカーとして、1945年開発のAltec 400Bが挙げられる。
http://www.lansingheritage.org/images/altec/catalogs/1949/page5.jpg
WE 755Aはこれより遙かにHi-Fiである。
http://imageshack.us/photo/my-images/156/we755a1ii3.jpg/
多分、1948年から続くJBLのD130、D131、D208のワイドレンジも、78回転盤への思い入れが深いと思う。
http://www.lansingheritage.org/images/jbl/catalogs/1948/page6.jpg
http://www.lansingheritage.org/images/jbl/catalogs/1950/page4.jpg
1949年のエレボイ SP8Bはもっとノスタルジックな思いが詰まっている。
通常の「商業録音」のため、あえて9kHzで切ることを提案している。
http://www.hifilit.com/hifilit/Electro-Voice/baronet-2.jpg

88 :
いつも頭の隅っこにあるのが、トスカニーニとフルトヴェングラーの放送用録音のこと。
そしてどういう音響機器で聴くのが最適なのかと何となく考えている。
トスカニーニの場合の鬼門はアセテート盤の復刻で、特有の乾いた音質に慣れるまで
ある程度時間がかかる。それに加え、アメリカ特有の中高域を持ち上げる色付け。
ダイナミックレンジは30dBくらいだろうか。その限界のなかでのパフォーマンスである。
この難問奇問を乗り越えると、アセテート盤のアーカイヴ群の広い大洋に泳ぎ出す。
フルトヴェングラーの場合はもっと複雑で、マグネトフォンの再生機器が戦後にうやむやになり
ほとんどはコピーテープを使った焼き直し。最近になってオリジナル・テープのリマスターが
出回ったのは、旧ソ連からの返還があった1991年以降に再生機器の再構成が行われたのでは
と思っている。それまでの悪あがきが何だったのかと思うほど、夢から覚めたような感じ。
その後は戦後の録音も見違えるように良くなったように思う。
ただLP時代からの調整をやりなおす必要もある。現代のモニターシステムで調整しているからだ。
それでも当時のパンパンに張ったフィックスドエッジのスピーカーは必須だし
真空管のほうがタフなだけに部品交換がやりやすく調整しやすい。

89 :
トスカニーニは自身がレコード好きなだけあって、再生機器の方向性は意外に判りやすい。(>22-24)
一方のフルトヴェングラーは録音嫌いなうえ、ほとんどが放送ライブ録音ということで
何を基準にすれば良いのか、あまりよく判らない。多分、皆それぞれのフルトヴェングラーの音を
聴いているのだろうと思う。それでも圧倒的に個性的な演奏は誰でも判る。
まず最初の手がかりは、1934年のドイツ製スピーカーの音響規模の分類表である。
http://www.medienstimmen.de/ela/lautsprecher/chronik/1934/gr/wigge1934_9.htm
家庭用は3Wまでであり、よくみるラジオ用スピーカーはこの規模である。
このラジオ用スピーカーの特性は、小音量に合わせ6kHzあたりにピークのあるのが特徴で
一般的にカッチリした音と表現されるものである。3WならEL84シングルとなる。
http://www.exdreamnet.de/forum/user/Franky/Seite_12_13.jpg(左側参照)
次に1950年代に多かったレコード演奏会の規模で考えれば、移動映画館用のスーツケース・スピーカー
ということとなる。25cmフルレンジをEL84Rュで鳴らす。
http://klangfilm.free.fr/index.php?lng=0&music=&type=2&frame=&item=&title=&dir=data/pictures/loudspeakers/loudspeakers/siemens_2000_2/&num=1
場合によっては、コーン・ツイーターを追加しても良いだろう。
当時の放送用モニタースピーカーはどうだろうか。1949年のIsophon Orchesterは
戦中に伝説となったEckmiller O15型同軸スピーカー(>37)の後継機種として開発された。
http://www.lup-berlin.de/archiv/Katalog/index.html (1952年のカタログ P.10)
このスピーカーはドイツらしくない大人しいもので、人気はいまいちだ。
ところが当時の記事をみると
http://www.fernsehmuseum.info/lausprecherbau-1949.html
Hi-Fiに対応したユニットでありながら、高音は従来のマグネトフォンでも
耳障りな音にならないばかりか、スピーチのPAにも最適であるとされる。
多分、これが本命なのではないかと睨んでいるのだがどうだろうか?

90 :
一方で、こうした折衷的な考えとは真っ向反対する意見も多いだろう。
一見、癖のありそうなフルトヴェングラーも、素直なシステムで聴くとそれなりに聞こえる
という一般的な意見もある。クラングフィルム、タンノイ、JBLというモニター系で楽しむ人も
結構多いのである。それぞれに理由はあって、クラングフィルムは旧来のドイツ音響機器の親玉、
タンノイはEMIのスタジオモニター、JBLは1970年代のDGGのスタジオモニターである。
発売された期間が長いだけあって、どの時代のプレスかで使い分けるのも面白いかもしれない。
ただGrundeigの楕円型スピーカーでフルトヴェングラー専用システムを組んでみるとか
Isophon Orchesterをスーツケース・スピーカーとして使ってみるとか
そういう裏道を通ってみると、フルトヴェングラーは雲の上の人ではなく
普通にドイツの街を歩いてた一市民であったという実感が湧くような気がするのだ。
ある意味、そうした一般的なドイツ人のために演奏しつづけた人でもあったと思う。

91 :
フルトヴェングラー専門…などと書いてはみたが、戦中のマグネトフォン周辺の技術は
ノイマン製コンデンサーマイク、BASF社の樹脂ベース磁気テープなど
戦後のオーディオで主役となった製品が多い。そういう意味では、根っ子の部分では
共通した技術で培われているので、それほど大きくはブレないはずである。
ところが当時の写真をみると、ほとんどが1本の宙吊りマイクで収録している。
ベルリン放送大ホール(1947年)
http://www.furtwangler.net/images/bpo47funkhaus.jpg
ザルツブルク祝祭劇場(1951年)
http://www.furtwangler.net/images/wiener2.jpg
ここで使われているマイクはCMV3という戦中から使われた古いもので
指向性で見た周波数特性にはかなり癖がある。
http://www.neumann.com/download.php?download=cata0037.PDF
双指向性、無指向性のいずれにせよ、あまり輪郭のない音になるのは必須である。
シンプルなマイク設置なだけに、周波数特性よりも出音が揃っていることが重要で
200〜4,000Hzの出音がしっかり揃うと問題ないと思うが、反応が重いウーハーを持つ
スピーカーだと中低域の凹んだ薄っぺらい音になる。
モノラルはステレオのように音の広がりで誤魔化せないのでその辺が難しい。

92 :
ヒマなジジイがキショいのうw

93 :
楕円型スピーカーは縦横どちら向きか? と問うとき、モノラルなら横向きだろう。
理由はそのほうが中域の指向性が広いからである。
http://www.htg2.net/index.php?action=dlattach;topic=70269.0;attach=148149;image
逆にステレオの場合は、セパレーションに有利なため縦向きになる。
もともと楕円形スピーカーは筐体をコンパクトに納めるニーズから出ているため
卓上型であれば横向き、ステレオスピーカーであれば縦のほうがコンパクトという
理由だけかもしれないが、ホーンのそれと似ているように思う。
ドイツでの高域の拡散については、モノラル時代にかなり心血を注いだテーマと言っていい。
大きくはジーメンス社の最高機種Kammermusik-Kombination Z59M
http://klangfilm.free.fr/index.php?lng=0&music=&type=2&frame=&item=&title=&dir=data/pictures/loudspeakers/loudspeakers/6ruf-lsp-23a/&num=1
そしてテレフンケンの085aモニターが最右翼に属する。
http://www.gokudo.co.jp/Vanguard/room6/room6.htm
これが小型化すると、Grundig社の3D-Klang方式というものがある。
2wayに近い発想だが、同軸ではなく、箱の両脇にツイーターを付けた。
http://i.ebayimg.com/t/GRUNDIG-3045-3D-Klang-TUBE-RADIO-1954-RESTORED-MINT-/00/$(KGrHqQOKnUE1OOdY9lBBN(objUo5g~~_3.JPG
http://www.vintage-radio.net/forum/attachment.php?attachmentid=30449&d=1258927261
ラジオの筐体は放熱のため背面の板に穴が無数に開いているので、後面開放に近いものとなる。

94 :
これらのアンプはどうだろうか?
Kammermusik-Kombination Z59Mは、EL34Rュで家庭用としては最大のものだ。
多分、米英向けに企画されたものと思われるが、ELACのプレーヤー、AEGのオープンリールと
ドイツ電器業界の見本市のようなもので、ひとつの指標になるだろう。
http://www.radiomuseum.org/r/siemens_kammermusik_kombination_z.html
テレフンケンの085aモニターは、ノイマンのカッティングレースの検聴用に指定され
アンプはV69型(F2a11のRュ)とされる。いわゆる削り立ての原盤を聴くためのもので
この辺の規準がどうなっているのかは、まだあまり調べていない。
トーンマイスターの制度が始まるのは1969年からなので、それ以前は録音技師であるが
グラモフォンには製作責任者、録音責任者、録音技師がしっかり明記されており
音の傾向は録音技師による違いのほうが大きい。使用マイクやセッティングなど記載する
フォーマットも整備されていて、ノウハウを蓄積する姿勢はあったようだが
1950年代は録音技術の進展も重なって、思ったほど一枚岩ではない。
一番判りやすいのは、ヨッフム/BPOのブラームスSym全集で
初期のVR盤コピー(1951年)、中期のテープマスター(1954年)、後期(1956年)となる。
085aモニターはステレオ初期=モノラル末期の製品なので、モノラルの総決算とみるべきか
既に安定期に入った録音方法の申し子とみるべきかは評価が定め難い。
最後のラジオは、これも輸出品が多かったが、それでもEL84シングルが多かった。
今では初心者向けのキットアンプに多い仕様は、高性能な小型ビーム管によるもので
この時代にHi-Fiに関する基本的なトーンが完成していたと考えてよいだろう。
反応の良いフルレンジで鳴らすことで、本来の味わいが戻ってくる。

95 :
モノラル録音は1本のスピーカーで聴くべきか? というのは意外に難問であろう。
単純にステレオ録音と併用しているメイン・スピーカーという扱いのも多いが
モノラルが主体の場合は、仮装音像を介さずに直接音で聴くのが本来のような
気がする。点音源で放射されるほうが自然な音像を結ぶし、音の締まりも良い。
ただ、個人的には、1本での試聴には慣れが必要と感じている。
慣れない理由としては以下のことが考えられる。
1)ステレオのような音の広がり成分が少なく、スピーカーの音の癖が出やすい。
2)そもそもスピーカーの中高域の指向性が狭く、ルームエコーが活かせない。(>78参照)
3)ステレオ試聴の癖でスピーカーと正面を向いて聴いてしまう。
いずれもステレオのような音の広がりがないかわりに、ルームエコーを活用するという
基本が忘れられているため、モノラルでの視聴で音が痩せる原因となっている。
これがジャズだと反対の意見で好まれるが、それでも2台で聴いている人のほうが多い。
あとステレオペアにこだわるため、ペアが組めるだけの選別&整備費用が嵩み
ビンテージ機器の価格を押し上げている、という側面も否定できないと思う。
モノラル専用にすれば、同じ価格でグレードも上がるし、ペア選別しなければ
いっそう価格も抑えられるはずである。
これはステレオ・アンプにも言えて、新品でモノラルでのアンプの選択肢が極めて狭い。
個人的には2way用のバイアンプに使おうか思案するくらいである。

96 :
PA設備では1本のみの拡声というのは少ないのが実情であるが、広い会場での場合で
例えばAltecの規格では20フィート(6m)間隔以内にスピーカー1台ということになる。
http://hwm8.gyao.ne.jp/nao-sakamoto/yota/yota/mokuzi.html#【ステレオフォニック】
そもそも奇数台を並べるのはPERSPECTA SOUNDという3chステレオを再生するためで
考え方は現在のサラウンドと変わりない。これの録音モニターも3本以上が基本となる。
http://www.lansingheritage.org/html/altec/catalogs/1963-pro.htm
しかしモノラル録音であれば、1本でのモニターが基本である。
STAX Studio: http://www.bbc.co.uk/music/static/i/content/souldeep/gallery/27.jpg
Decca Studio: http://blog-imgs-29.fc2.com/k/a/o/kaorin27/DSC03498.jpg
Blue Note Studio: http://blog.americanhistory.si.edu/.a/6a00e553a80e108834015391917f99970b-500wi
複数台使うならせめて中央に寄せて、扇形に配置するべきではないだろうか?
http://www.lansingheritage.org/images/altec/catalogs/1966-vott/page5.jpg

97 :
ステレオというのは、本来モノラルに対し上位互換の規格のはずである。
LPの溝、FMの変調方式、いずれもモノラルとの互換性を意識した規格である。
こうした背景には、モノラルからステレオへの移行をスムーズに行う配慮があったが
面白いことに1960年代に至ってもモノラルの時代(あるいは併売)は続く。
ビートルズのモノマスターの存在(なかには78rpm盤もあり)は以前から知られていたが、
アメリカでもボブ・デュランのアルバムにモノラル・バージョンが存在するし
グレン・グールドだってステレオ収録とモノラルの併売は1968年まで続いた。
R&Bやファンクのシングル盤は、モノラルが音の勢いもあってほぼデフォルトと考えて良い。
ラジオ音源に至ってはほとんどがモノラル収録のままであったし
テレビ、映画でモノラル収録というのは1980年代のモノラル収録に根強いものがあった。
これらは決してステレオで再生したのではなく、モノラル機器のためのものであるが
ほとんどは電蓄の延長線にあるコンソール型システムだろう。
シングル盤ならジューク・ボックス、ラジオは今でもモノラル型が多い。
1960年代のモノラルは、こうした破片を集めて組み上げることになる。

98 :
上記のうち、最も高級な機種はジューク・ボックスになる。
1960年代にはステレオの機種も多く発売されるが、筐体の形が決まっているため
ステレオも中央から拡散する方式になる。中身は以下のような感じ。
http://www.jukebox-world.de/Forum/Archiv/Rock-Ola/R.O.TempoII.htm
http://www.wallbox.de/Rock-Ola-1484-3.jpg
http://www.wallbox.de/Rock-Ola-1484-4.jpg
ワイドレンジ・ユニットを2つ並べただけの簡素なもので
使われたユニットもギター・アンプなどでお馴染みのJensenが多い。
http://www.jensentone.com/sites/default/files/spec_sheets/C8R_Specification_Sheet.pdf
http://www.jensentone.com/sites/default/files/spec_sheets/P12R_Specification_Sheet_0.pdf
ともかく雑多な音の混ざるなかでの再生のため、強力な100Hzの山と中高域で攻めまくる。
2way化した機種でも、セラミック・ツイーターで済ます場合も多く
今でもPA機材で需要があるらしく細々と売られている。
カートリッジは、セラミック・カートリッジが多く、これは特性として2種類ほどある。
ひとつは500Hz周辺で山なりになっているもので、上記のスピーカーと帳尻を合わせている。
http://i46.tinypic.com/2qb63ar.jpg (逆の山なり特性のもの)
こちらは、フラット志向のセラミック・カートリッジ。オーディオ愛好家にも人気があった。
http://www.roger-russell.com/sonopg/velocitone.jpg(フラット志向のもの)
アンプは6L6Rュが多かったが、6BQ5パラRュというのもアリである。
いちよトーンコントロールも付いていて、店の雰囲気に合わせて使い分けできる。
http://www.jukebox-world.de/Forum/Archiv/FAQ-RO/NOVA-Verstaerker.htm#Tempo%202

99 :
Magnavox

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